真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「義母狂ひ 夫、義父、息子・・・」(2001『義母の秘密 息子の匂ひ』の2008年旧作改題版/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/音楽:レインボーサウンド/監督助手:片山昌志/撮影助手:池宮直弘/照明助手:高橋理之/効果:梅沢身知子/出演:遠藤陽子・河村栞・林由美香・浅井康博・城春樹・なかみつせいじ)。
 一人の寝室、九州に滞在する夫・鍋島義弘(なかみつ)と、愛子(遠藤)が電話で話す。愛子は後妻として義弘と結婚したものの、その途端に、義弘は単身赴任になつてしまふ。今は東京の鍋島家は愛子と、妻には先立たれた義理の父・忠夫(城)、同じく義理の息子で高三の信彦(浅井)の三人暮らし。義弘の提案でテレフォン・セックスがオッ始まり置き土産のバイブで悶える義母の姿に、信彦は秘かに熱い視線を注いでゐた。翌日、昨夜の愛子の痴態が頭から離れぬ信彦は、初めから学校はサボッてゐた彼女・芹沢沙織(河村)の部屋に忍び込む。草加煎餅のやうなオバサン顔―どんな顔だか全然伝はんねえよ―の愛子を念頭に置きつつ、信彦は沙織を抱く。かういふ御題のエクセス映画に立ち止まるのはツッコんだら負けだと頭では判つてゐるにしても、どれだけ特殊な性癖の持ち主なのかと苦笑させられずにはをれない。信彦が帰宅したところ、慌てて愛子が飛び出して来た。忠夫が、御上の厄介になつたといふのだ。忠夫は、魔が差した電車痴漢を仕出かしてゐた。愛子に問ひ質された忠夫はションボリと退職後の空白感と、こんな自分はもう女に相手にされることもないだらう、とかいふ絶望的な寂寞とを吐露する。そんな義父にコロッと情に絆(ほだ)された愛子は、観音様を見せるだけならと忠夫に体を開く約束をする。その夜、勿論何だかんだと最終的には一通り一戦交へてのける義母と祖父の姿を相変らず覗く信彦は、更なる愛子に対しての邪な恋情を募らせる。
 忠夫に続き今度は信彦が、校内での喫煙が見付かり停学処分になる。愛子に問ひ質された信彦は・・・・・ええと、

 以下略でいいかしら?

 馬鹿馬鹿し過ぎる展開が、紙一重を突破していつそ眩くすら見える一作。別の映画で簡単に譬へると、御大仕事よりはマシな程度、少しだけ。しかもこの二作、同年の映画かよ、挙句に二十一世紀の。かつて夢見られた筈の未来は、果たして何処に消えたのか。同窓会に家を空けた愛子の、失踪勘違ひ騒動なんぞこの際蛇足だ。締めの濡れ場は、再び義弘とのテレフォン・セックス。実は傍らに不倫相手の部下・工藤夏海(林)を侍らせ、愛人との実地セックスを楽しみながら大胆にも妻との電話を取る義弘に対し、愛子は愛子で、信彦との擬似近親相姦を想起しバイブに狂ふ。互ひに果てたのち、夫から何を想ひ致してゐたのか問はれた愛子が、「ヒ・ミ・ツ☆」と凶暴に愛らしくはない愛嬌を振り撒いて呉れやがるオーラスには、最早完敗を認める以外に何が許されようか。今作に対して唯一残された積極的なアプローチの途としては、史上最強のピンク五番打者・林由美香が画面上に姿を見せるや否や、そこだけは映画が締まる幾つかの登場場面を、懐かしく堪能するほかあるまい。


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ピンク映画の感想のインデックスです。
当該タイトルを踏んで頂ければ、別ウインドウで表示されます。

監督別五十音順に整理、同一監督内は製作順。
(製作年/V)は、正確にはピンクではなくVシネ。

増田俊光
純潔を破る!」(昭和57)
ONANIE 24時間」(昭和59)

増本庄一郎
後ろから前から」(2010/ロマンポルノRETURNS)

松岡邦彦
飢ゑた痴女 汚らはしい穴」(1993/旧題:『本番露出狂ひ』)
黒下着の日 主婦は浮気をする」(2001/旧題:『玲子の秘密 多淫症の人妻』)
息子と寝る義母 初夜の寝床」(2002/旧題:『義母尻 息子がしたい夜』)
年増女のスケベ襦袢 尻が壊れるまで!」(2002/旧題:『和服妻凌辱 -奥の淫-』)
ヌードスタジオ 撮られた人妻の白い肌」(2003/V)
派遣女子社員 愛人不倫」(2003)
大阪のエロ奥さん 昼間からよばひ」(2004)
親友の恥母 -さかり下半身-」(2004)
獣のやうに後ろから セレブ奥様と植木屋」(2004)
多淫な人妻と老人 -夜這ひ春情-」(2005)
刺青淫婦 つるむ」(2005)
肉屋と義母 -うばふ!-」(2005)
ノーパン痴母 夫を裏切る水曜日」(2006)
人妻学芸員 図書室の痴態で…」(2006)
ド・有頂天ラブホテル 今夜も、満員御礼」(2006)
人妻妊婦の告白 蟷螂(かまきり)の契り」(2007)
変態の恋・蝶 -整形美容師-」(2007)
ノーパンパンスト痴女 群がる痴漢電車」(2007)
お葬式の義母 トイレで情事」(2007)
人妻のじかん 夫以外と寝る時」(2008)
中川准教授の淫びな日々」(2008)
クリーニング恥娘。 いやらしい染み」(2008)
母性愛の女 昼間からしたい!」(2008)
福まんの人妻 男を立たす法則」(2009)
男で愛して 女でも愛して -盗まれた情火-」(2009)
義母と郵便配達人 ‐禁欲‐」(2010)
罰当たり親子 義父も娘も下品で結構。」(2011)
つはものどもの夢のあと 剥き出しセックス、そして…性愛」(2012)
女と女のラブゲーム 男達を犯せ!」(2014)
おばちやんの秘事 巨乳妻と変態妻なら?」(2017)
憂なき男たちよ 快楽に浸かるがいい。」(2019)

松岡誠
痴漢電車 奥までたつぷり」(1999)

松原一郎(=下元哲)
馬と後妻と令嬢」(2006)
ブログ告白 熟女のエロい尻」(2006)
マダム《秘》便所 恥づかしい瞬間」(2008)
折檻調教 おもちやな私」(2009)

麿赤児
性獣のいけにへ」(昭和59)

水谷俊之
女子大生 教師の前で」(昭和58)
スキャンティドール 脱ぎたての香り」(昭和59/買取系?ロマンポルノ)

光石冨士朗
新妻奥さん 背徳の匂ひ」(1990/旧題:『若奥様の生下着 いかせて!』)
倉沢まりや 本番羞恥心」(1995)

向井寛
発禁縛り夫人」(昭和53)
宇能鴻一郎原作 むれむれ夫人」(昭和53/東映何ポルノ?)
日本密姦拷問史」(昭和54)
拷問女暗黒史」(昭和55)

宗豊
夜のOL 舌なぶり」(昭和56/東映ナウポルノ)

村川透
哀愁のサーキット」(昭和47/ロマンポルノ)

女池充
白衣 制服のうづき」(1997/旧題:『白衣いんらん日記 濡れたまゝ二度、三度』)
ぐしよ濡れ美容師 すけべな下半身」(1998 夏)
ハレンチ・ファミリー 寝ワザで一発」(2002)
濃厚不倫 とられた女」(2004)
花井さちこの華麗な生涯」(2005/『発情家庭教師 先生の愛汁』《2003》の一般映画版)

望月六郎
JOHNEN 定の愛」(2008/厳密にはも何も、明確にピンクではない)

本井了
変態暴行 ‐甘い絶叫!!‐」(1991)

森田芳光
⦅本⦆噂のストリッパー」(昭和57/ロマンポルノ)

森山茂雄
少女の微熱 甘酸つぱい匂ひ」(2002/旧題:『桜井風花 淫乱堕天使』)
小川みゆき おしやぶり上手」(2002)
美人保健婦 覗かれた医務室」(2003)
純愛夫婦 したたる愛液」(2003)
OL日記 あへぐ牝穴」(2003)
色情坊主の後家くずし」(2004/旧題:『後家・後妻 生しやぶ名器めぐり』)
痴漢電車 秘貝いたづら指技」(2006)
ワイセツ和尚 女体筆いぢり」(2007)
好きもの家系 とろけて濡れる」(2008)
肉体婚活 寝てみて味見」(2010)
あぶない美乳 悩殺ヒッチハイク」(2011)


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 「新妻奥さん 背徳の匂ひ」(1990『若奥様の生下着 いかせて!』の2008年旧作改題版/製作:シネマアイランド/提供:Xces Film/監督:光石冨士朗/脚本:永麻美/プロデューサー:千葉好ニ/撮影:福沢正典/照明:才木勝/美術:石毛朗/編集:菊池純一・田中小鈴/音楽:坂田白鬼/助監督:金田敬/監督助手:松岡邦彦・安藤尋/撮影助手:石山稔/照明助手:石田重/メイク:永江三千子/スタイリスト:星輝明/協力:大工原正樹、他八名/出演:五島めぐ・徳井優・伊藤猛・岡田以蔵・アマツヒロシ・中田礼美・藤ひろ子・佐野和宏・坂手洋二・小川美那子)。出演者中アマツヒロシは、ポスターには天津比呂志。
 午後八時、渋谷トップのホテトル嬢・麻子(五島)は目覚まし時計に起こされると、相棒のオカマ・五郎(徳井)の運転するライトバンで客の下へと向かふ。五郎が急ブレーキを踏み、麻子の口紅は曲がつてしまつたところで、ブルースハープが鳴り始めタイトル・イン。その日の麻子の客は、右翼趣味の葬儀屋社長・加藤(アマツ)。その夜の麻子と加藤の情事に、以前麻子が客を装つた両肩に刺青のある男(岡田)に撮影された、強姦ビデオが重なる。定点ビデオ映像と通常撮影とを巧みに組み合はせた強姦シーンは、大きく動かせた演者が力強く捉へられてあり、開巻掴みの濡れ場としては迫力満点。監督第一作ながら、確かに培はれた光石冨士朗の地力がここでは光る。
 風紀課刑事・織田(坂手)が、麻子の強姦ビデオを注視する。織田の妻・真由美(小川)も元ホテトル嬢で、同じく過去に強姦ビデオを撮られてゐた。真由美と織田はその裏ビデオの捜査が縁で知り合ひ、結婚した。真由美は、実は麻子の姉でもあつた。夫の様子に妹の異変を感じ取つた真由美は、昔の男・立花(佐野)のバーを訪ねる。立花に抱かれつつ、真由美は麻子が現在ホテトル嬢である事実を知る。それにしても、所々で目につく小川美那子の、清々しく時代に遅れたメソッドは果たして如何なものか。名前も美貌も申し分ないとはいへ、映画の背中を押すのか足を引張るのかといふと、些か微妙なところでもある。立花に大して抵抗も見せないのだが半ば手篭めにされながら、真由美がまるで白目でも剥くかのやうに、終始異常に上方の一点を見詰め続ける演技には途方に暮れさせられた。それとも、それは現代の目でみるからさう見えるだけであつて、1990年当時としては別にこれで問題もなかつたのであらうか。
 その日は金曜日、目印のバラの花を手に街々に立つ男達の中から、麻子がその夜の客を選ぶ。バラを手にした真由美を見つけた麻子は、五郎に車を停めさせる。信号待ちで停車したところで、織田が麻子らの車に近付く。刑事の出現に、麻子は窓から逃げる。真由美は夫を激しく詰ると、妹を追ふ。程なく再び五郎と合流した真由美は、姉妹の故郷の、基地の町へと向かふ。
 松岡邦彦金田敬らの同時代の戦友・光石冨士朗のデビュー作。都度の繰り返しになるのは我ながら芸が無いが、新版公開に際しての、柔軟で強靭なエクセスの姿勢は大いに買ふところである。大雑把に一言で纏めると、姉妹のロードムービーとでもいつた風情にならうか。ひとつひとつの場面には丹念に力が込められ、濡れ場のある女優陣の粒も抜群に揃ひ、桃色の満足度も全く申し分ない。とはいへ、核となる姉妹の心情の描き込みがまるで不十分な為、最終的には物語に背骨が通らない。六十分をそれなり以上に満足して眺めてはゐられるものの、結果的には、どういふ映画かと問はれたならば、何だか判らない内にお姉さんと妹とが仲直りするお話、とでもしかいひやうがない。姉妹の関係が修復される件には、何となくの雰囲気だけならば兎も角何らの説得力は無く、続けての麻子と五郎の濡れ場にも、如何せんそれまでに二人の間に積み重ねられたものが特にある訳でもないので、どうにもクライマックスたり得ない。挙句に、姉が自分のことは棚に上げホテトル嬢の妹に説教でもする気かと思ひきや、相変らずのラストでは<主人公は米兵相手に自由闊達な売春婦稼業に精を出す>、などといふのは些かインモラルに過ぎる、といへば尻の穴の小さきといふ謗りを免れ得ないとしても、煙に巻かれたやうな気分にもなつてしまふのは無理からぬところであらう。昨今はバイプレーヤーのエキスパートとしてそこかしこで活躍する徳井優や、劇団「燐光群」主催の坂手洋二が登場する辺りは側面的な見所といへなくもないが、悪くは決してないものの、強くも一切ない一作である。

 濡れ場を見せる訳ではない大ベテラン藤ひろ子は、姉妹の旧知の飲み屋のママ。中田礼美は、真由美の昔のホテトル仲間で、現在も現職の真樹。伊藤猛は、以前は真由美のヒモで、今は真樹のヒモといふゴキゲンなポジションの友成。
 画面のそこかしこに見切れる恐らく協力勢は。織田の部下の若い巡査。金曜日の花・バラを手に、麻子からのコンタクトを待つ男が四人。立花のバーを訪れた真由美が、店先で擦れ違ふ男。基地の町の歓楽街で、(オカマの)五郎に声をかけ狼狽させるパン女、は普通にハクい。そして台詞も出番も十二分にある割には、出演者としてクレジットしては貰へない、結果的に姉妹をそれとは知らずそれぞれ軽トラに乗せる畠中養鶏所のウェスタン男が、これ江藤保徳か?


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 昨年十月の旧本館よりの移行後、現行極めて稀でもある、時には純然たる繰言である。

 改めて自己紹介がてらにいふが、当方ドロップアウトカウボーイズは、九州は福岡市在住のピンクスである、出身は別だ。ピンクスとは、“ピンク映画愛好の士”を意味する造語である。福岡市にはオーピー映画直営の福岡オークラ劇場(オークラ1で薔薇族、2でピンク)がかつては存したが、残念無念、2006年の五月末で既に閉館してゐる。尤も福岡市からピンクの小屋が完全に消滅してしまつたのかといふと、さうではなく、駅前ロマン―とパレス―といふ小屋が未だ残つてゐる。尤も、正確なタイミングは忘れた―上に今は調べ直す気力に欠く―が、福岡オークラが健在であつたかなり早い時点から、駅前ロマンはフィルム映写をやめプロジェク太上映に移行してをり、それに伴ひ三本立てのうち通常二本、時に一本、酷い時は三本ともがピンクでなくVシネといふ、当地に残存する最後の牙城とはいへ中々に切ない小屋ではある。ところで、この小屋かつてはエクセス系列館の筈で、新日本映像(エクセス母体)公式サイト内の劇場案内にも記載があつたのだが、今回再確認してみたところ、何時の間にやら消えてゐる。大人の事情、とやらと思しきところにつきおとなしくさて措くが、といふ訳で以前はエクセス新作がプロジェク太上映ながら結構早いタイミングで、それよりは若干遅れるものの福岡オークラよりは早く、新東宝の新作もかゝつてゐた。現在は大体同じやうな時間差で新東宝の新作と、平素はオーピーの2003年作を順次上映してゐる。色々な考へ方もあらうが、個人的にはプロジェク太上映であつたとて、三打数一安打であつたとて、それでもピンクはピンク、あくまでピンクはピンクである。といふ次第で、プロジェク太に移行後福岡オークラ健在時には正直足も遠のいてゐた駅前ロマンに、現在は再び頑強に通ひ続けてゐるものである。
 さてそこで、先週手放しで観たかつた関根和美の旧作を楽しんだ、ところまでは良かつた。二週前からロビーに貼り出されてあつた、今週の番組予定は「義理の妹 いけない発情」(2005/ 脚本・監督:関根和美/主演:出雲千尋)、直截にいつて嫌な予感はした。何故藪から棒に2005年次に飛ぶのか、小川欽也の「妻の妹 いけない欲情」(2003)と間違へてね?といふ気がしたのだ。けふ、金曜から番組の変る駅前に仕事終りで一応足を運んでみたところ、表に貼り出されてあるポスターは依然「義理の妹 いけない発情」。「妻の妹 いけない欲情」ならば改めて観るつもりはなく、「義理の妹 いけない発情」ならば進んで観たいものであつたので、途中からではあるものの残り二本のVシネも丸々一周するつもりで券を買つた。さて劇場内に入ると、なかみつせいじとの情事の夢を見ながら、三上翔子が自慰に耽つてゐる。カット明けると、竹本泰志と佐々木基子も登場・・・・案の定「妻の妹 いけない欲情」でやがる、本当に有難く御座いませんでした
 一度財布から抜いた金を、返せといふつもりはひとまづない。さうはいつても流石に一言筋を通してはおかうと小屋の人間を捕まへてみると、こゝから先は、よくどころか殆ど全く理解出来てゐないため、文言としてそれほど正確ではない。大意である旨を、予めお断りする。小屋の人間が寄こした返答は、「いけない欲情」は「いけない欲情」で、それが「義理の妹」であるか「の妹」であるのかは、サブタイトルゆゑ取るに足らない瑣末であるとのこと。今気づいたが、片方は「いけない発情」でもう他方は「いけない欲情」である以上、その副題論すら実は成立してゐないのだが。何れにせよ、結果的な要点としては表に貼り出したポスターと、実際に上映してゐる映画が食ひ違つてゐても構はないといふのである。元々デフォルトで疲れ果ててゐるのに加へ、あんまりの斜め上を行く返答に最早腹を立てる気力も失ひ、その場はおめおめと引き下がりつつも、当然といふか何といふか、かうして決して断じて1mmも釈然とはしてゐないところである。これで釈然とさせられることが出来れば、任天堂法務部を相手に戦つても勝てるね。

 そんな駅前ではあれ、来週の番組は傑作との誉れ高い池島ゆたかの「不倫妻の淫らな午後」。再来週は、確かリアルタイムで観落としてゐる筈の、国沢実の「悩殺天使 吸ひ尽くして」(何れも矢張り2003年作)。然様に無体な小屋でも足を運ばずにをれない己の業の深さといふか一種の弱さが、今は呪はしいばかりである。さうはいへ腹立たしさに任せて、こんな小屋何時潰れて呉れても構はんよ、とまでいふのは、全体の状況を鑑みれば、筆を滑らせるにも度が過ぎる放言であらうことは、頭では判つてゐるつもりである。元より、そもそもこの世界全部俺の敵、そこから始めたのではなかつたか。小屋にすら冷たくされたとて、この期に一々一人ぼつちで夜泣きするまでもなからう。

 付記< 結局、現時点で最後に駅前ロマンで上映されたエクセス新作が何なのかといふと、昨年十月に観た、(2007年)七月の山内大輔更にもう一つ気がついたのは、実は今でも新日本映像公式サイト劇場案内中の、地図と住所とが記載された駅前ロマンのページ自体は生きてゐる。リストからは漏れてゐる以上、どうやつて辿り着くのだ、といふ話でもあるのだけれど。


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 「ワイセツ和尚 女体筆いぢり」(2007/製作:パワーフール/提供:オーピー映画/監督:森山茂雄/脚本:佐野和宏/撮影:長谷川卓也/照明:ガッツ/編集:酒井正次/音楽:大場一魅/助監督:中川大資/監督助手:内田芳尚/撮影助手:平原昌樹/スチール:津田一郎/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック/題字:杉本智美/協力:オフィス・バロウズ・いぐち武士・バンブーハウス・セメントマッチ・デジタルギズモ/応援:田中康文/出演:野々宮りん・平沢里菜子・山口玲子・江端英久・堀本能礼・白井里佳・望月梨央・恭子・伊藤太郎・中川ダイスケ・内田ヨシナオ・佐野和宏/スペシャルサンクス:田中繭子)。出演者中、恭子から内田ヨシナオまでは本篇クレジットのみ。逆に、松丸善三はポスターのみ。正確なビリングは、堀本能礼と白井里佳の間に田中繭子が入る。
 森山茂雄が撞く鐘の、「ゴ~ン♪」といふ音にて開巻。残念ながら未見のワイセツ和尚シリーズ前作、「後家・後妻 生しやぶ名器めぐり」(2004)中の一幕。若後家(神島美緒)を相手に奮戦する生臭坊主の武田鎮源(佐野)が、イッたところでタイトル・イン。
 三年後、度の過ぎた荒淫が祟り、鎮源が実は意識はハッキリとしてゐるものの、身体の自由は全く失つてしまつてゐた。要介護の患者も顧みずのうのうとタバコを吹かすブスの看護婦・リカ(白井)に、憐れ放置され涎を垂れ流してゐた鎮源を、別の看護婦の野々村りん(野々宮)が有体にいふと拉致する。自宅に鎮源を連れ込んだりんは、自らの裸身を鎮源に捧げると、遂に復活させるレヴェナントに成功する。携帯電話の受信状態を指し示すアンテナの表示が、バリ3も通り越しピンコ立ちになるイメージと同調して、鎮源が再起動を遂げるシークエンスは綺麗に快調。ピンクにしては珍しく、イメージ自体の出来も挿み込み具合も全く申し分ない。
 りんが鎮源を蘇らせたのは、兄の復讐のためであつた。鎮源リタイア後、寺は同じく生臭で、りんの血の繋がらない義理の兄に当たる鎮念(松丸)が継ぐ。然しそんな村に、厳格な修行僧の上杉憲陳(江端)が現れる。やがて村人の信奉を集めるやうになる憲陳と、ダルに破戒の鎮念とは当然の如くソリが合はず、鎮念はノイローゼの果てに死に、寺の住職の座には結局憲陳が居座つたといふのだ。シリーズ前作は未見につき、松丸善三の登場場面が、バンクなのか新撮なのかは不明。正直鎮念なんて別にどうでもいい鎮源ではあつたが、りんに改めてヤラせて貰ふ条件で、仕方なくも張り切りつつ打倒憲陳を期し村に向かふ。
 配役残り山口玲子は、森の中で修行してゐたところ、臆面もなく下根(げこん)を自称する元助(堀本)に犯される浜田めぐみ。因みに下根とは上根・中根と三対を成す仏教用語で、仏道への適性の、生まれつき劣つてゐることを意味する。時に問題視される仏教の差別性を指し示す用語といへようが、改めて考へてみるまでもなく、仏教は近代思想の生まれる遥か前より存するいふならば全く別個の体系。幾ら現行のパラダイムとはいへ、仏教が一々民主主義に媚を売る要もあるまい。生臭具合は鎮源―と鎮念―も同じながら、元助は徹底して悪役として描かれる対照は鮮やか。話を戻して望月梨央は、めぐみの画面向かつて左側で、同じく修行する村の女。右側にもう二名見切れる村娘は白井里佳の二役目と、正体不明の恭子。伊藤太郎と中川ダイスケに内田ヨシナオは、村人のトン吉・チン平・カン太、流石に各々の特定にまでは至らず。現在は憲陳に傾倒し、元気だつた頃の鎮源に、隣村の田吾作の山羊を紹介して貰つた恩は忘れる。平沢里菜子は、亡夫の初七日を迎へ、未だ鎮まらぬ肉の欲に悶える檀家の未亡人・渚リナコ。憲陳は裸に剥いたリナコの全身に写経しながら、驚く勿れ、なほ苦悶するリナコを冷笑しこそすれ、その姿に欲情しはしなかつた。両腕を縛り上げられたリナコの前に鎮源が飛び込むと、マゾのリナコは鎮源をあつさり求める。
 佐野和宏扮する俗物の権化・鎮源の、人間味・ユーモア・ビート感はどれも文句の欠片もつけやうがなく百点満点。鎮源が自由自在に暴れ回るパートの、面白さは正しく無類。そこに森山茂雄の、手がどれだけ加はつてゐるのかといふ点に関しては、微妙なところでもあるのだが。女優陣も、天然ものの矢藤あき、とでもいつた風情のキュートな野々宮りん。一幕限りの純然たる絡み要員ながら、余計な肉だけ落として超攻撃的なボディに進化を果たし、もう少し堪能したかつた心も残す最新型の山口玲子。白く細い体に、縄ととが堪らなく映える平沢里菜子。話が面白過ぎて逆に見落としてしまひがちにもなりかねないが、濡れ場の威力もどれも十二分。未見のシリーズ前作が既にさうであつたのかも知れないが、森山茂雄が遂にマスターピースを叩き出したものかと、大いに目を輝かせられた。ところではあつたのだが、途中までは。
 人の温もりも知らず凍りついた憲陳の心に触れたりんが、再び自らの肉体を捧げその非人間性を解き解す。といふ流れは、娯楽映画の定番展開としても、ピンク映画のジャンル的要請としても、何れも肯ける。尤もその際の方便が、いふに事欠いて“仏の愛”とは幾ら何でも何事か、自堕落にもほどがある。何処に対しても狭義の信心を持ち合はせはしないが、それはさて措き、御仏が愛だなどと破廉恥をいひ出すものか。逆からいへば、愛だとか口走る仏が当てになんぞなるものか。直前に、「私は仏に仕へる身、得度《とくど/出家の意》した時に人間は捨てた!」とまで憲陳にカッコいい見得を切らせておいて、何たる無様な体たらく。尻の穴の小さい難癖をいふやうだが、その怠惰は軟弱は、如何とも看過し難い。痛快な娯楽映画の良作たり得てゐたのに、最後の最後で取り返しのつかないミソがついてしまつた。そもそも、幾ら義理にせよ、兄貴の敵討ちも何処に消えた。
 田中繭子(一時的なex.佐々木麻由子)は、オーラス、新たなる再び愉快な日々の始まりを告げるべくカメオ出演する、鎮源の本妻・美子。

 クレジットの最後は、“パワーフールNo.2”と締め括られる。ここで第一作目とは、昨年の前作にしてピンク第七作「痴漢電車大爆破」(主演:園原りか)。森山茂雄は2002年のデビュー後、第六作「後家・後妻 生しやぶ名器めぐり」まではそれなりにコンスタントに作品を発表してゐたのだが、以降がどうにも足取りが重い。


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 「黒の挑発 未亡人が疼くとき」(2000 『イヴの未亡人 夜のいそぎんちやく』の2008年旧作改題版/製作:ENKプロモーション/提供:Xces Film/監督:剣崎譲/脚本:宇喜多洋平/企画:稲山悌二/製作:駒田達郎/撮影:浜崎務、他二名/照明:北井哲男、他二名/編集:酒井正次/助監督:西村恒光・大谷優司/協力:翔の会、他多数/劇中映画:『イヴちやんの花びら』監督 中原俊/出演:イヴ・桐島せな・高橋しのぶ・渡邊哲・藤田佳昭・中井正樹・田宮明・太田愛蔵)。出演者中、太田愛蔵は本篇クレジットのみ。作中どの人を指すのかは判らないのだが。それとどうでもいいが、まるでファム・ファタールもののやうな新題は、もう少しどうにかならなかつたものか。
 太田ひとみ(イヴ)は、だらしなくも裸のまま朝を迎へた義理の娘・彩(桐島)と、彩の彼氏で、半同棲状態で家に入り浸る布施拓(中井)を起こす。会社に遅れると慌てる布施を余所に、「五年ぶりに生のオチンチン見ちやつた・・・☆」と、秘かにひとみは豊かな胸をときめかせる。ひとみの夫・繁夫(渡邊哲/この人とは完全なる別人)は、五年前に死没してゐた。夫の跡を継ぎ、ひとみはピンク映画上映館「北斗座」を切り盛りする。映写技師の田所次郎(藤田)が、その日の上映開始をひとみに告げ劇場内では映画がスタートしたところで、タイミングを合はせたタイトル・イン。このタイトル・インは抜群に鮮やか、全力で感心した。
 田所は馴染みのスナックのママ・美香(高橋)から、北斗座の場所にマンション建設の噂のあることを耳にする。田宮明は、マンション・デベロッパーの赤野。
 といふ次第で、この際仕方がないので開き直るかのやうに認めるが、斜陽産業を舞台とした人情ピンクである。さうすると殊に中井正樹がボロボロの脆弱な俳優陣に関してはひとまづさて措くと、正直厳しいの斜め上を行く状況に決死のクロスカウンターを放つたが如き物語は、結構な結実をモノにし得てゐたかも知れないところではあるのだが、それにしては、基本的な設計ミスが二点大きく目立つ。ひとみが実は元ポルノ女優で、主演映画に惚れ込んだ繁夫の猛烈なアタックを受け、結婚したものであるといふ過去を明らかにしてしまふのと、ひとみと田所が男女の仲になつてしまふのが、些か早過ぎはしまいか。彩が来る結婚を控へて、布施の実家に対し引け目を感じるのは自分の実家がピンク映画上映館といふだけでも、とりあへずは十分であらう。何とかイヴちやんの裸は自慰か入浴か繁夫との回想で繋いで、後は桐島せなと高橋しのぶの手も借りつつ、ひとみが劇中現在時制で男とセックスするのは何とかクライマックスまで我慢出来なかつたものか。ひとみは最終的に、北斗座の閉館に踏み切る。配給会社から届いた最終番組は、繁夫がひとみを見初めた、イヴちやんの映画デビュー作「イヴちやんの花びら」(昭和59/製作・配給:にっかつ/監督:中原俊/憚りながら未見)であつた。田所は普段は行はない試写と称して、その日の営業は終了後の劇場で、ひとみを唯一の観客に「イヴちやんの花びら」を上映する。やがて上映中の映画を前に体を重ねる二人、といふピンクの歴史の中でも屈指のシークエンスの、決定力が上記二点により幾分以上に殺がれてしまつてゐるやうに思へる。
 オーラス、カット一枚で語られるいふなればどんでん返しは、如何にもぞんざいなものとも思はれかねない。とはいへここは敢て、ありのままの現実などといふものは、しばしばといふか殆ど常に、潤ひも温かさも美しさも欠くものである。ならばせめて作りものの物語くらゐは、為にする嘘であつたとて、寝言の如き夢であつていい時もあるのではないか、と思ふ。現に残念ながら、北斗座のロケ地であるシネ・フレンズ西陣(京都市上京区/クレジットにあつたかどうかは見落とした)は、実は既に平成十七年の五月末で閉館してしまつてゐる。といふと何気に、故福岡オークラのちやうど一年前でもある。ところで、シネ・フレンズ西陣は実はピンクではなく薔薇族映画専門館であつたとのことだが、ピンクと併設ではなく、薔薇族一本の小屋といふのも中々珍しいのではなからうか。

 何やかにやと軽く驚く程協力として多数クレジットされるが、他に画面の中に見切れるのは、冒頭登場する台詞も有りの平素の客・カタハラ。赤野の部下。そして閉館の報を聞きつけて、それまで閑古鳥の鳴いてゐた北斗座に掌を返したかのやうに詰め掛ける連中。決然と空気も読まずにいふが、私はそれが、美しい光景であるとは決して思はない。


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 「濡れた太股 揺れる車内で」(昭和63『痴漢電車 あぶない太股』の2007年旧作改題版/製作:国映/配給:新東宝映画/監督:片岡修二/脚本:瀬々敬久/企画:朝倉大介/撮影:下元哲/照明:白石宏明/音楽:早川創/編集:酒井正次/助監督:橋口卓明/監督助手:瀬々敬久/撮影助手:片山浩/照明助手:鎌須賀健/スチール:田中欣一/車輌:JET RAG/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:相原久美・伊藤清美・川奈忍・佐野和宏・笠原夢路・劇団 触物図鑑・下元史朗)。出演者中、笠原夢路と触物図鑑は本篇クレジットのみ。
 白仮面の男達(触物図鑑の皆さんか)から、女が集団痴漢に遭ふ。白仮面が一人、カメラの方を向けといふ指示を最初忘れてゐるのは御愛嬌。度々さういふ夢を見るミカ(相原)は、心理科医・カズミ(伊藤)のカウンセリングを受ける。二十年前だから当然といへば当然でしかないが、伊藤清美がまるで別人かと見紛ふくらゐに若い。ミカはカメラマン(下元)に、写真を撮らせて呉れと頼まれる。「誰かに似てゐる」―から声をかけた―とかいふカメラマンの言葉が気に懸り、ミカは後日カメラマンの下を訪ねる。
 川奈忍は、カメラマンの前妻。カメラマンとの間にはアキラといふ男の子がゐるが、現在は再婚してゐる。佐野和宏は、壊れた風情のミカ義兄。笠原夢路は、恐らく現実の地平でミカに痴漢する男。ここでの“恐らく”といふのは、両義的に受け取つて頂きたい。
 カメラマンがミカに似てゐるといつた女とは、伝説の写真家の妻であつた。伝説の写真家はカメラマンの師匠でもあつたが、撮影の対象物を見詰めることに没頭するあまり、彼我の境目を失し、狂つた。師と同じ道を辿りつつあるカメラマンに寄り添ふのに疲れ別れた前妻は、元夫をミカに託す。かう簡単に纏めてみると、まだしも物語としての体を成してゐるやうにも思はれかねないが、残念ながらそれは拙筆が至らぬ所為で、正確ではない。
 ミカとカズミの冒頭の遣り取りで登場する、“境界”といふキーワードが以降の全篇を支配してゐるらしき節ならば、どうにか酌めぬではない。とはいへ、境界を超えた、あるいは壊した末の混濁もしくは混沌の果てに、明確に平易な着地点に到達することは、必ずしも必要といふ訳ではあるまい。混濁を混濁のまゝに、秩序でなく混乱をひとつの志向として目指すといふ方法論は、個人的にはあまり得意なところでも好むものでもないが、さういふアプローチも時にあらうこと自体は当然構はない。尤もそれも、あくまで映画として観てゐられる場合に限る。瀬々敬久が仕出かしたのか片岡修二がヌルいのだかは判らぬが、今作が兎にも角にも、漫然としかしてゐない割には、妙にひとつひとつが長いシークエンスが、一切のメリハリも欠いたまゝランダムとしか思へないやり方で羅列されるばかりなのである。単位としても展開としても殆ど理解出来ない場面場面が、ひたすらにダラダラと垂れ流れるのに付き合はされるのは本当に辛い。清々しく若い伊藤清美や佐野和宏が、観念的な長台詞を捏ね繰り回すのを微笑ましく観てゐられなくもないものの、物理的には高々六十分前後そこらにしか過ぎない筈の尺が、九十分にも二時間にも感じられる、ある種の苦行にも似た一作。一応何処かに着地するものか、もしくは画面の片隅にでも何か拾ひ処はないものか、と思ひ貧乏根性で懸命に喰らひつかうとは試みたが、正直なところ、今作を前に睡魔に抗ふのには相当な困難も覚えた、不眠にお悩みの諸兄にお薦めしたい。

 やるせないパーマ頭にだらしない口元といふ、主演女優の80年代風ルックスにも頭を抱へさせられたが、考へてみれば何をトチ狂ふたか二十年ものの新版公開ともなる今作は元々80年代の代物なので、それは仕方がない。


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 「馬を愛した牧場娘」(2003/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:関根和美/脚本:関根和美・小松公典/撮影:倉本和比人/照明:野口素胖/助監督:中村拓/録音:シネキャビン/編集:《有》フィルムクラフト/音楽:ザ・リハビリテーションズ/効果:東京スクリーンサービス/スチール:佐藤初太郎/監督助手:大竹朝子/撮影助手:佐藤治/照明助手:成田源/現像:東映ラボ・テック/車輌協力:関東鸞駕会・美弥丸/協力:中島谷雄樹・和田正憲滑川友徳/撮影協力:ウェスタン村/出演:秋津薫・酒井あずさ・高岡愛・岡田謙一郎・竹本泰志・ボブ藤原・森本浩・町田政則/友情出演:中嶋修・菅原良和・岸田圭・江藤大我)。出演者中ボブ藤原・森本浩と、カメオ隊は本篇クレジットのみ。正確なビリングは森本浩の次にカメオ隊が来て、町田政則がトメ。
 団勝馬(町田)駆るデコトラ・美弥丸開巻、まあそれにしても、町田政則にダボシャツと首から提げたお守りが異常に似合ふこと似合ふこと。駐車場にて一息ついてゐたところ、先に停まつてゐた美弥丸が、後から駐車しようとした車にオカマを掘られる。激昂した勝馬は運転手をどやしつけようとするが、車から降りて来たのは、勝馬よりもタッパのあるハクい女・松井広子(秋津)であつた。秒殺ですつかり鼻の下を伸ばししどろもどろになる勝馬ではあつたが、積荷の卵は、割れてしまつてゐた。勝馬は、宿に馴染みのホテトル嬢・山野花(酒井)を呼ぶ。勝馬の本番のおねだりを、花は遂に勝馬が自分に求婚して呉れたものかとぬか喜びする。シリーズ前作と堂々と全く同じシークエンスは、ここでは麗しくすらある。性懲りもなく競馬狂ひの勝馬に、花はこの近くに名競走馬・バクソーキングの墓がある牧場があるので、験担ぎに参つて来るやう勧める。バクソーキングの墓標の前に佇む勝馬は、いきなり頭から牧草を浴びせかけられる。広子と、牧童の滑川守(岡田)に吉田良二(竹本)が、勝馬を何者かと勘違ひしたのか血相を変へ立つてゐた、とりあへず勝馬は一旦退散する。酔ひ潰れたスナックの手洗ひで、勝馬は広子の牧場が、高利貸しの借金の形に奪はれさうになつてゐると知る。広子の父親は既に亡く、広子の兄・強志は妹との間に確執を抱へ家を捨て、東京でプロレスラーに。高利貸し・国木田正義(森本)の脅迫的な催促に脅かされつつも、広子は守を父親代りに牧場をどうにか切り盛りしてゐた。
 三年前の前作「痴漢トラック 淫女乗りつぱなし」の、明確なシリーズ第二作。残念ながら、現時点で第三作以降が製作されてはゐないのだが。どちらかといはなくとも「トラック野郎」といふよりは、ジェイソン・ステイサムの「トランスポーター」シリーズに近い物語の前作に対し、一目惚れしたヒロインによく思はれたい一心で、ヒロインの直面する困難を打開するべく役に立つ立たないは一旦兎も角、主人公がひとまづ奮闘する。となると今作は、本家・菅原文太の「トラック野郎」シリーズに近い、といふか殆どそのまゝである。それはそれとして、今回の残念な敗因は、一人一人の登場人物に物語を欲張り過ぎた点。ただでさへレギュレーションから総尺は六十分前後、そこから更に濡れ場を費やさねばならないピンク映画である。関根和美の構成力が決して強靭とはいへない以前に、エピソードの過積載といふ嫌ひは明確に見受けられる。挙句に一体どうしたものの弾みでかういふ次第になつたのだか、鬼怒川温泉ウェスタン村を舞台にした、二度も挿み込まれる勝馬の西部劇妄想―後述する―に更に残り尺を削られ、事態は一層悪化する。
 配役残り高岡愛は、牧場を追ひ返された勝馬が入る、パブスナック「サイレント」のホステス・船木由佳、良二と関係を持つ。高岡愛の絡みを一度は見せるといふデフォルトの制約は呑めるが、そこから先更に膨らまされる、良二とのエピソードは矢張り結果的には不要ではないか。平素とは逆をいふやうだが、ここは高岡愛の扱ひは濡れ場要員に徹した方が、映画の照準が素直に定まつたやうに思へる。更にサイレント店長が中村拓で、友出隊前三人は国木田子分要員。そしてボブ藤原が、国木田のプロレスラーのやうな用心棒。
 本来ならば一直線極まりない筈の物語が、あちらこちら寄り道ばかりしてまるで纏まらないまゝに、牧場の権利書を手にした広子と勝馬は、守の身柄を押さへた国木田一味と対峙する。グダグダしたクライマックスの(一応)大立ち回りの末に辿り着いた着地点が、<親子の絆は取り戻したものの、牧場は易々と手放してみせる>といふのには、逆の意味で驚かされた。明けて花との〆のカットを切り出す、「金は一銭も入らねえし、無駄骨折つちまつたよ」といふ勝馬のボヤキ台詞が、開き直つたかの如く胸に染みる。主演女優の演技は終始ぎこちなく、軸足を完全に失した作劇は失敗作に直結しかねない瀬戸際ではあつたのだが、町田政則・酒井あずさ・岡田謙一郎、三人の芸達者が要所要所をギリギリ締めて呉れるゆゑ、思ひのほか楽しんで観てゐられなくもない、単純な割に複雑な味はひの一作。してみるならば、詰まらないやうで無下に斬つて捨てるには所々面白くもある、といふ微妙さがシリーズ二作に共通する特色、ともいへようか、変則的なことこの上ないが。

 何に触発されたのだか一切描かれもしない以上唐突にもほどがあるが、勝馬はウェスタン村―経営難から現在休業中―を舞台に自らを賞金稼ぎビリー・ザ・カッツ、広子をキャロライン役に見立てた長々とした西部劇風の妄想を、しかも火に油を注いで二度も見る。とはいへここも藪蛇な蛇足と排して済ますには、弾着や発破や落下スタントまで繰り出してみたりと、変に見所であつたりもする辺りが、全般的な微妙さをいや増すチャームポイントではある。さてここで、友出隊のトメに座る江藤大我の配役が、未だ不明のまゝ残る。国木田の子分は三人しか登場せず、その中に江藤大我は見切れない。顔は見切れないが、ビリー・ザ・カッツに撃たれ物見櫓から落下するスタントが、もしかすると江藤大我であるのやも知れない。ひとつ大きな再発見は、矢張りあれやこれやと盛り込み過ぎててんで落ち着かないエピローグ中の一幕、花が終に勝馬に三行半を叩きつける件。勝馬のこれまでの悪行を、花はスミレ(前作登場の佐々木基子扮するトルコ嬢)のサイトから知つたとする旨の台詞がある。すつかり忘れてゐたが、改めて胸が温かくなつた。とはいへ、だから“ホーム・ページ”ぢやねえだろよ。といふツッコミ処をここでも忘れない辺りは、表面的には最も派手な西部劇パートを、選りにも選つて物語の本筋にはほぼ無関係の妄想ネタで浪費してのける大らかさに加へ、実にらしいところではある。


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 「SEX相談 痴女の股ぐら」(2004『オーガズムリポート 痴女のSEX相談室』の2008年旧作改題版/製作:旦々舎/配給:新東宝映画/監督:的場ちせ/脚本:山﨑邦紀/企画:福俵満/撮影・照明:小山田勝治/撮影助手:赤池登志貴・花村也寸志/照明助手:広瀬寛巳/編集:㈲フィルム・クラフト/音楽:中空龍/助監督:田中康文・三浦麻貴/録音:シネ・キャビン/現像:東映ラボ・テック/キャスティング協力:株式会社スタジオビコロール/出演:北川明花・鏡麗子・なかみつせいじ・吉岡睦雄・平川直大・佐々木麻由子)。久し振りにつき、今更ながら改めて触れておくと監督の的場ちせといふのは、浜野佐知の別名。本篇クレジット北川明花には、御丁寧にも“さやか”と読み仮名がふられる。さういふのも、あまり観た覚えがない。
 開巻即座、アンニュイな佐々木麻由子にフィニッシュ・ブローを叩き込まれる「ハーイ、こちらTOKYOオルゴン研究所」。第一声が「ハーイ」―しかも気怠く―といふのも、斬新にもほどがある。気を取り直してTOKYOオルゴン研究所所長のアリアドネ(佐々木)は、性に悩む現代人にTV電話によるセラピーと実地派遣とを通して、宇宙のオルゴンとやらの究極の絶頂を体験して貰ひ、心身の平定を取り戻すといふ活動を展開してゐた。因みにアリアドネとは、ギリシャ神話上牛頭人身の怪物・ミノタウロスに迷宮に囚はれた、クレタ島の豊穣の女神の名前である。箍の外れた過剰性欲に悩む公務員の岩田順二(吉岡)は、TV電話―といふかこれSkypeか?―を通じてアリアドネに助けを求める。アリアドネはオルゴン派遣隊の一人・かぐや姫(北川)を岩田の下に向かはせる。尺と予算規模とに屈してか、今回かぐや姫以外の派遣隊隊員が登場することはないのだが(後注)。宇宙だオルゴン・エネルギーだのといひながら、要はヤルことをヤリ、岩田はスッキリする。一方アリアドネに、矢張りTV電話を通して、自称神父の池内健二(なかみつ)が激しく攻撃を加へる。セラピーだかオルゴン理論だか知らないが、お前達のやつてゐることは単なる買春ではないかといふのである。全く、池内のいふ通りだとしかいひやうがない。神に代つて私が天罰を与へてやるなどといふ、それもそれとして如何なものかと首を傾げざるを得ない池内に対し、アリアドネは苦笑するばかり。後日、例によつてエキセントリックにアリアドネを罵倒する池内の横から、妻の澄子(鏡)が大登場。澄子いはく、池内は以前は確かに神父であつたが現在は職を辞してをり、その原因は自らの奔放過ぎる浮気にあるといふ。自分の肉体は男達の共有物だと明後日の方向に咲き誇る澄子に対し、流石のアリアドネも呆れる。かぐや姫は続いて、女陰は魚臭く、なほかつ内部には無数の鋭い歯が生えてゐて挿入すると男性自身は喰ひ千切られる、といふ強迫観念に苛まされる宇野邦治(平川)と会ふ。
 ヴィルヘルム・ライヒ(Wilhelm Reich、1897~1957)、自然界に存する生、乃至は性エネルギーとかいふオルゴン理論の提唱者。ナチズムと大衆心理に関する考察に於いてはエーリッヒ・フロムらに先んじたとも時に評価されつつ、ざつくばらんにいへば郵便ポストが高いのも、電信柱が赤いのも性的抑圧に結びつけてのける学説は全方位的な排斥を受け、最終的には流れ着いた先のアメリカで獄死した異端の心理学者。アリアドネの机上には、昭和44年に勁草書房から訳出された『性と文化の革命』(中尾ハジメ訳)も見られる、山﨑邦紀の蔵書か。さうはいへ勿論アカデミックに堅苦しいものなどではなく、かつて苦しい境遇からオルゴン理論に、説明が足りてゐないのでよく判らないが兎も角救ひを見出した女二人―アリアドネとかぐや姫―が、オルゴンといふ文言だけを適当に換骨奪胎、もとい援用し、性に悩む男達に桃色の福音を振り撒くゴキゲンな一作、と簡単に片付けてもしまへる。尤も、やがて新出する女性神“ファッキング・ゴッド”の件は、痛快な不謹慎さはさて措き、的場ちせ(=浜野佐知)の思想的要請あるいは偏向には親和するのかも知れないが、展開としては木に竹を接ぐにも甚だしく、蛇足といつた印象は否めない。とはいへそこから更にオーラスへの力技で、説明原理はどうあれ宇宙に溢れるエネルギーを源に、各々の挫折からの再起を促すメッセージへと持つて行く結末は力強くエモーショナル。ここで活きるのが、不器用ながらベタ足で前に出る圧力に富む、平川直大の突進力。山﨑邦紀の冷徹な論理力に裏打ちされた豪腕も元より、何だかんだで最終的には旦々舎の侮れぬ底力が垣間見える一作である。

 後注< 翌年公開される今作の続篇「異常性欲リポート 激ナマSEX研究所」に於いては、北川明花の従姉妹・北川絵美が、オルゴン派遣隊・椿姫として登場する。


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 主演デビュー作「刑事ニコ/法の死角」(1988/米/製作・監督・脚本:アンドリュー・デイビス/脚本:ロナルド・シャセット、他一名/製作・主演:スティーブン・セガール/出演:パム・グリア、シャロン・ストーン、他)から二十年、目出度くも“芸能生活20周年記念作”などと銘打たれたスティーブン・セガール(以下セガ)の新作を、正直同じ街ながら私の住む場所からは結構アクセスに難いシネコンまで、性懲りもなくわざわざ足を伸ばして観に行つた。例によつて本国ではDVDストレートのこんな代物今作、銀幕で拝める至福あるいは単なる酔狂もしくは何かの間違ひを、それでもセガファンとしては矢張り謹んで享受させて頂かずにはをれまい。別にそんなこともねえやうな気も強くしないではないが、そのやうな全うな常識的判断はこの際何処かに忘れて行け。
 「沈黙シリーズ」完結といふことに関して個人的には別に真に受けてゐる訳ではないものの、今回は「DENGEKI 電撃」(2001/米/監督:アンジェイ・バートコウィアク/製作:ジョエル・シルバー、他)以降のセガ第二シリーズ(の前後を逆にした)、適当な威勢のいい漢字二文字の単語+それのローマ字、といふ放題もとい邦題が設けられてゐる。あるいは“ポン酒”の要領で、“ポン題”とでもいふべきか。

 「弾突 DANTOTSU」(2007/米/製作:セガ、他/監督:ロエル・レイネ/脚本:ジェイ・ディー・ザイク/原題:『Pistol Whipped』/撮影監督:リチャード・クルード/主演:セガ/出演:ランス・ヘンリクセン、他)。
 酒とギャンブルに溺れた、元刑事のマット(セガ)。数年前に証拠品の横領疑惑に巻き込まれ、職も失ふ。別れた妻子は当時庇つて呉れた同僚刑事と暮らし、マットは相変らず酒に浸りながら、賭場に通ふどん底の日々を送つてゐる。ある日大負けして更に大きな借金を背負つてしまつたマットは、強面に廃劇場へと誘(いざな)はれ、両頬に筋のある謎の老人(ランス・ヘンリクセン)に引き合はされる。老人(“Old Man”としかクレジットされない)は肩代りした借用証書と引き換へに、マットに法で裁けぬ悪党を始末する仕事を請け負はせる。
 判り易いといふか陳腐過ぎていつそ清々しい仕事人稼業や、今は絶賛無職のマットが、刑事になる前の更に前職は特殊部隊隊員であつたりなんかする、お約束ながらそれ程を通り越して特に意味は全く無い定番設定に関しては、この際さて措く。今作兎にも角にも特筆すべきは、

 セガ太り過ぎ。

 近年すつかり肥えてしまつたセガの姿には、それでも仕方なく慣れてもゐたつもりではあつたものの、それにしてもあんまりな御姿である。一体90年代中盤までのベスト・ウェイトからは、何十キロ太つたのだ?掠れ気味の声もあり、高見山大五郎かと思つたぜ。幾ら今はアルコールと博打とに溺れたダメ人間といふ人物造形とはいへ、何といふこともない所作で一々「フゥフゥ」と息を乱すセガには、最早役作りなのか素なのだか判らない。といふかその造形自体に、寧ろ微妙なリアルさを感じ取ればよいのか。お話の方も、「何の為に?」と一旦は首を捻らせておいて、シーンの変り際には見事に納得させるマットが廃工場で並べて立てるマッチ棒や、マットが最終的に真相に辿り着く段では、キチンとそこに至る上での伏線を配しておく辺りには、“『RONIN』の”、といふ脚本のジェイ・ディー・ザイクの枕詞は伊達ではないことが窺へる。とはいへ全般的には、光学迷彩を搭載したトンデモ・ステルス機が出て来たりしない分、如何にもB級映画然とした漫然とした粒の小ささだけが残り、却つてツッコミ処に欠けるとすらいへる。開巻で触りも見せて呉れる、クライマックスの墓地を舞台にした壮絶な銃撃戦は、様式美と悲壮感とに溢れた大変見応へあるものではあるのだが、それまでの物語の積み上げがいまひとつ不十分な分、ドンパチとしての出来は申し分ないながら決定的なエモーションをモノにするところまでには到達してゐない。今や何時、どれだけ本人によるアクションが見られるのかと、明後日の方向にスリリングなセガクション(セガール+アクションの意)に関しても、鮮やかに光速の輝きを魅せるセガール拳の見せ場も僅かながら無くはないものの、そのあるか無きかの数カットの為に、疲躯に鞭打ち小一時間チャリンコを飛ばしてしまふ己の業が恨めしくも思へて来る。そもそも、セガが近年は開き直つたかの如くボディ・ダブルを多用を通り越して濫用してゐることに関しては、今更論を俟つまい。ただ今回個人的には初めて気が付いたのは、ボディ・ダブルに関して、フォト・ダブルとは更に別個に、ボイス・ダブルといふのもクレジットされてゐる。確かに近作、カットによつては丸つきりセガの声が別人であつたりすることも覚えがあるが、フォト・ダブルがカメラの前で背中を向けて動き、そこにボイス・ダブルが後から声をアテてゐるとするならば、それはもうセガ本人は何もしてゐないことになる。加へてもうひとつ惜しいのは、マットと同じく特殊部隊出身といふ設定が別に有効に機能してゐる訳ではまるでないランス・ヘンリクセンが、どうせならばこの際現場復帰するところは見たかつた。

 タイトルの中に、“TOT”といふ泣き顔の顔文字が隠されてゐるやうな気がするのは気の所為かとも思つたが、どうやら適当につけ流してゐるやうに見せかけて、相当秀逸なポン題であつたやうだ。


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 「新妻の寝床 毎晩感じちやふ」(2007/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:水上晃太/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:塚本宣威/選曲:梅沢身知子/効果:東京スクリーンサービス/出演:小峰由衣・倖田李梨・牧村耕次・華沢レモン・天川真澄・城春樹)。セカンド助監督のクレジットはなし。
 定年を翌日に控へた徳田清明(城)の枕元に、早くに亡くした妻・理恵子(倖田)が立つ。といふ次第で、早速開巻の濡れ場を夢オチでこなしつつ、翌朝登場する清明の同居家族は、息子・貞夫(牧村)と、女子大生の孫娘・亜矢(華沢)。・・・・・城春樹の息子が牧村耕次かよ!流石に関根和美もその無茶は承知の上か、まるでヒッピーのやうな格好をさせられた牧村耕次には、貞夫はフォーク歌手といふ役が当てられる。何れにせよ、無理は無理といふか、無理も通り越した無茶だが。マトモな稼ぎのない貞夫は逃げられたのか、亜矢の母親はゐなかつた。清明が、家族からの退職プレゼントと引き換へに貞夫に手渡した縁談の見合ひ写真に、亜希いずみが見切れない辺りは、今作が画竜点睛を欠く点ではある。
 退職の一日も終り、清明は部下の米倉真理子(小峰)から誘はれたバーにて、出し抜けな告白を受ける。ここで空気の読めないバーテンダーは、水上晃太か。確か同年下元哲の「黒髪マダムレズ -三十路妻と四十路熟女-」にもなかみつせいじの連れの若い男で、登場してゐたやうな気がする。当然当惑しひとまづ真理子と別れた清明は、帰途見覚えのないスナック―因みにロケ先はこちら―を見つけ入店すると、ママは理恵子と全く生き写しの折本冴子であつた。当然、倖田李梨の二役であるのは兎も角、“リエコ”に横棒を一本引張ると“サエコ”で御座い、さういふ趣向と捉へてよいのであらうか。清明が真理子との一件を相談すると、冴子は歳の差に囚はれない恋愛を促し、なほかつ求愛を超えた求婚を受けるやも知れないだなどと仄めかす。城春樹といふ人は、呆れるほどに長いキャリアも誇る割には台詞回しが何時までも棒読み、といふか妙な訛があるので、ここまで相手役が小峰由衣や倖田李梨だと、どうにも映画がマッタリしてしまふ感は否めない。
 その夜、亜矢は交際の認められてゐない彼氏・野沢諒介(天川)を家に連れ込むと、大胆にも浴室で情事に及ぶ。ここでも、女子大生役の華沢レモンの彼氏が天川真澄かよ!通常平易に予想されるラインからは、城春樹以外の男優部の平均年齢が十は高いのではないか。翌朝亜矢は、諒介と同棲を始めるべく家を出る。娘の残した置手紙を、無言のまま貞夫が清明に差し出す件。華沢レモンによる文面の朗読を、あたかも娘の声色を使つてゐるかのやうに口を動かす貞夫に対し、そこは清明はツッコんでやれよ。黙したまゝの絶妙な間も、面白いのは爆発的に面白いが。男二人の窮状を見かねて、とかいふ方便で、真理子が徳田家に転がり込んで来る。
 時に関根和美が放つ、メルヘン仕立ての一作。六十男がどうした訳だか孫くらゐ歳の離れた若い娘から猛烈に惚れられ、挙句にあれよあれよといふ間に祝言まで漕ぎつけヤッてヤッてヤリ倒す。世の中を小馬鹿にしたやうな物語に思へなくもないが、ピンク映画主要客層のド真ん中に放り込まれたファンタジーと捉へれば、誠麗しい一作ともいへようか。冴子が正体を明かす如き倖田李梨の最後の濡れ場では、珍しく非現実パートと前後とに明確な境界が設けられる辺りにも関根和美のヤル気は窺へ、親子役にはどう転んでも苦しいものの、矢張り城春樹と牧村耕次の掛け合ひには軽妙ながら貫禄の味はひ深さが溢れる。HPの高い主演女優を始め綺麗処三本柱の面子も抜群に揃ひ、特に決定力を有した映画といふ訳では一欠片もないにせよ楽しんで心豊かに観させる、大ベテランならではの慎ましき佳作。かういふ一篇をのんびりと満喫する、さういふ映画の観方にも替へ難いものがあるにさうゐない。

 徳田家に乗り込んだ真理子は、入浴中の清明を急襲するとひとまづ背中を流し、その夜初めて二人は体を合はせる。翌日、理恵子に情事を見られてゐるのに抵抗を覚えた真理子が遺影に手を掛けたところ、見咎めた清明は激しく叱責してしまふ。居た堪れなくなつた真理子は、一旦徳田家を出る。城春樹と牧村耕次の濡れ場に非ざる絡みの最高潮は、続くカット。微妙な雰囲気の中、父子が湯飲みで日本酒を飲む。貞夫が何かいひかけると、清明は「何も聞くな」。それならばとギターを掻き鳴らし何か空気に合はせた悲しい恋の歌を歌ひ出すと、「歌も要らん」。不貞腐れた様子で酒を空けると、「小指立てるな」。しかも、貞夫が器を持つ際小指を立てるのは、冒頭の朝食シーンに於いて実は既に伏線が置かれてある。狙ひ通りに決まる関根和美のギャグ演出といふ奴にも、おいそれとお目にかゝれはしない、いいものを見せて貰つた。


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監督別五十音順に整理、同一監督内は製作順。
(製作年/V)は、正確にはピンクではなくVシネ。

北川徹(=磯村一路)
愛欲の日々 エクスタシー」(昭和59/本隊ロマンポルノ?/磯村一路名義)
緊縛 鞭と縄」(昭和59)
ハイヒールの女王」(昭和60/旧題:『緊縛 鞭とハイヒール』)
倒錯みだれ縄」(昭和60)
ザ・SMレズ」(昭和60/旧題:『緊縛の仕置き』)
お嬢さんのONANIE」(昭和61)
団地妻 ニュータウン暴行魔」(昭和62/買取系ロマンポルノ/磯村一路名義)
変態」(昭和62)

北沢幸雄
異常快感24時」(昭和60/飯泉大名義)
緊縛と虐待」(昭和60)
現役女子大生 下半身FOCUS」(昭和61/買取系ロマンポルノ)
OLハンター 女泣かせの指」(昭和61/買取系ロマンポルノ)
ハードレイプ」(昭和62/買取系ロマンポルノ)
処女のキスマーク」(昭和62/買取系ロマンポルノ)
濡れた太腿 媚態」(昭和62)
ハードエクスタシー 処女失神」(昭和63)
裏ビデオONANIE 密戯」(昭和63)
桃色学園 教へて」(昭和63)
裏ビデオ本番 The Movie」(1990)
好色エロ実話 ‐13人集団快楽‐」(1990/業沖九太名義/旧題:『実体験リポート ★13人★SEXパーティー』)
美人ノーパン下半身 壺飼育」(1991/旧題:『ナマ本番 変態治療』)
喪明け妻 一周忌の情事にて…」(1992/旧題:『喪服妻 生贄地獄』)
痴漢と覗き -社員女子寮篇-」(1993)
団地妻・愛染恭子 かまきり熟女」(1993/旧題:『愛染恭子 昼下りの情事』)
中年男女 一夜限りの不倫」(1994/旧題:『不倫妻 一夜の快楽』)
バツイチ熟女 盛りの色下着」(1994/旧題:『離婚妻の生下着』)
黒い性感帯 喪服妻の太股」(1995)
隣のお師匠さん 恥らふ太股」(1995/旧題:『尺八教室のお師匠さん』)
淫臭パンティー 味は十人十色」(1995/旧題:『使用済み下着』)
淫乱人妻ドライバー 男を乗せて、乗せられて」(1995/旧題:『痴漢人妻タクシー』)
女美容師の生下着 快感」(1996)
高校教師 私は、我慢できない」(1996)
熟妻の性 蠢く不倫痴態」(1996/旧題:『人妻の性 淫乱下半身』)
高校教師 淫らな課外授業」(1996)
我慢できない女子 エロ妻・サセ妻・ヤリ妻・スケベ妻」(1996/旧題:『密会の女たち 人妻から女子大生まで』)
牝教師 嬲つてあげる」(1997/旧題:『高校教師 黒い下着を脱ぐとき』)
義弟と若妻 近親不倫」(1997)
ザ・痴漢教師 制服狩り」(1997)
暴行タクシー ハメられた女たち」(1997)
紬<つむぎ>未亡人 ‐よがり責め‐」(1998/旧題:『和服未亡人 ‐じらし責め‐』)
尼寺の情事 極楽SEX」(1998)
覗き痴態 わき毛の熟女」(1998/旧題:『盗撮熟女 すけべな浴室』)
母娘どんぶり 密壺くらべ」(1998)
喪服妻 初七日に濡れる」(1998/旧題:『好きもの喪服妻 濡れた初七日』)
ノーパン尼寺 熟れた茂み」(1998/旧題:『不浄下半身 尼寺の情事2』)
ピンサロ病院2 ノーパン女医」(1998)
ナースコールガール 献身看護日誌」(1999/V)
連込み兄嫁 薬指の技」(1999/旧題:『義姉と弟 はしたない人妻』)
ザ・人妻性感帯 SEXドクターの告白」(1999/旧題:『驚異! 勃起促進剤』)
四十路の人妻 性愛性交」(2000/旧題:『欲情夫人 恥づかしい性癖』)
社宅妻暴行 白いしたゝり」(2000)
熟母の本能 一滴残らず欲しい」(2001/旧題:『股がる義母 息子の快感』)
肉体訪問販売 マルチへの報復」(2002?/V)
暴走する人妻 絶対、抜いちやイヤよ」(2002/旧題:『人妻痴女 変態男漁り』)
韓国の人妻たち 激しく、淫らに」(2002)
三十路スチュワーデス 敏感名器」(2003/西沢幸紀名義)

北畑泰啓
愛人萌子 性生活」(2006)

北見一郎
痴漢変態電車」(昭和60)

木俣堯喬
ポルノ・レポート 金髪パンマ」(昭和51/買取系ロマンポルノ)
ポルノレポート 変態」(昭和51/買取系ロマンポルノ)
ザ・夜這ひ」(昭和60/買取系ロマンポルノ)
中川みず穂 ハードポルノ絶頂」(昭和61)

木村純
喪服未亡人 いやらしいわき毛」(1999)
理髪店の奥さん 息子愛撫」(2001/旧題:『三十路女の濡れ床屋』)

久我剛
観光バス 濡れ濡れ・ジャック」(昭和52/買取系ロマンポルノ)

工藤雅典
人妻発情期 不倫まみれ」(1999)
美人取立て屋 恥づかしい行為」(1999)
美人OLの性欲処理 痴女三昧」(2000/旧題:『ハイヒールの女 赤い欲情』)
美人おしやぶり教官 肉体《秘》教習」(2001)
和服貞淑妻  ‐襦袢を濡らす‐」(2001/旧題:『和服熟女 三十路のさかり』)
ノーパン家庭教師 たまらないお股」(2001/旧題:『美人家庭教師 半熟いぢり』)
美人家庭教師 欲しがる下半身」(2002)
寝乱れ義母 夫の帰る前に…」(2003)
寝とられた人妻 夕樹舞子 私に股がして!」(2005)
サイコレイプ -もう…やめないで。-」(2005)
昭和の女 団地に棲む人妻たち」(2006)
おひとりさま 三十路OLの性」(2008)
如何にも不倫、されど不倫」(2008)
痴漢電車 女が牝になる時」(2009)
お掃除女子 至れり、尽くせり」(2010)
夏の愛人 おいしい男の作り方」(2011)
連れ込み妻 夫よりも…激しく、淫靡に。」(2014)
師匠の女将さん いぢりいぢられ」(2018)
爛れた関係 猫股のオンナ」(2019)
人妻の湿地帯 舌先に乱されて」(2020)
悶々法人 バリキャリ男喰ひ」(2022)

国沢実
巨乳はさんで咥へる」(1995)
シミ付き令嬢 贅沢な舌技」(1997)
おねだり妻 くちびるでご奉仕」(1997)
女子プロ志願 乳固め卍くずし」(1998)
義母覗き 爪先に舌絡ませて」(1999)
痴漢電車 手のひらで桃尻を」(2000)
淫臭名器の色女」(2000)
不倫願望 癒されたい」(2000)
人妻たちの性白書 AVに出演した理由」(2001)
プライベート・レッスン ~家庭教師の胸元~」(2001)
三浦あいか 痴漢電車エクスタシー」(2001)
吉村すもも 奴隷人形」(2001)
ノーパン医院 お脱がし治療」(2002)
人妻陰悶責め」(2002)
ノーパン若妻 おもちやで失神」(2002)
小島三奈 声を漏らして感じて」(2003)
新・未亡人銭湯 女盛りムンムン」(2003)
ふしだら志願 イキたい課外授業」(2003/旧題:『十八歳、制服の胸元』)
悩殺天使 吸ひ尽くして」(2003)
変態エロ性癖 恥汁責め」(2004)
凌辱の爪跡 裂かれた下着」(2004)
女子大生 恥ぢらひの喘ぎ」(2004)
くノ一淫法! おつぴろげ桜貝」(2004)
欲情喪服妻 うづく」(2005)
ピンサロ嬢 優しい指と激しい舌」(2005)と、総論部分に留まる旧版
人妻《裏》盗撮 背徳の情交」(2005)
痴態エステ 舐めて交はる」(2006)
母娘(秘)レシピ 抜かず喰ひ」(2006)
新婚性教育 制服の花嫁」(2006)
THEレイパー 暴行の餌食」(2007)
巨乳熟女 とろける手ほどき」(2007)
居酒屋の女房 酔ひ濡れ巨乳」(2008)
人妻ひざ枕 奥までほじつて」(2008)
美人歯科 いぢくり抜き治療」(2008)
コンビニ無法地帯 人妻を狩れ」(2009)
OL空手乳悶 奥まで突き入れて」(2009)
THEレイパー<闇サイト編> 美姉妹・肌の叫び」(2010)
監禁玩具 わいせつ狩り」(2010)
兄嫁の肌は熱く甘く」(2011)
美女妻クラブ ~秘密の癒し~」(2011)
変態女課長 陵辱ぶち込む」(2012)
SEXカウンセラー 変態ゑぐり療法」(2012)
家庭教師 いんび誘惑レッスン」(2013)
女警備員 まさぐり巡回」(2013)
露出願望 見られたい人妻」(2014)
特務課の女豹 からみつく陰謀」(2014)
女弁護士 揉ませて勝訴」(2015)
スケベ研究室 絶倫強化計画」(2015)
陶酔妻 白濁に濡れる柔肌」(2016)
萌え盛るアイドル エクスタシーで犯れ!」(2016)
性鬼人間第一号 ~発情回路~」(2016)
来訪者X 痴女遊戯」(2017)
ピンク・ゾーン 地球に落ちてきた裸女」(2017)
スペルマーダー 嵐を呼ぶエクスタシー」(2017)
SEXアドベンチャー ワンダー・エロス」(2018)
性鬼人間第二号 ~イキナサイ~」(2018)
ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤」(2018)
溢れる淫汁 いけいけ、タイガー」(2019)
スペース・エロス 乳からのメッセージ」(2019)
ピンク・ゾーン3 ダッチワイフ慕情」(2020)
性鬼人間第三号 ~異次元の快楽~」(2020)
裸のタイガー エロス狩り」(2022)

久万真路
一度はしたい兄貴の嫁さん」(1997/2003に『兄嫁と義弟 近親恥態』と旧作改題)

神代辰巳
やくざ観音・情女仁義」(昭和48/ロマンポルノ)
悶絶!!どんでん返し」(昭和52/ロマンポルノ)

蔵原惟二
セックス★ライダー 濡れたハイウェイ」(昭和46/ロマンポルノ)

栗原幸治
絶倫玉さがし」(昭和53)

黒川幸則
熟れた痴肉 下心丸出し」(1997/旧題:『淫乱生保の女 肉体勧誘』)
火照る姉妹 尻・感染愛撫」(2009)
夜のタイ語教室 いくまで、我慢して」(2009)
ある歯医者の異常な愛 狂乱オーガズム」(2010)

黒沢直輔
ズームイン 暴行団地」(昭和55/ロマンポルノ)
看護婦日記 獣じみた午後」(昭和57/ロマンポルノ)

剣崎譲
変態好きな熟牝たち 露骨な下半身」(1994/旧題:『どインランな女たち 大阪風俗篇』)
どインランな女たち 大阪すけべ喫茶篇」(1995)
美人音楽教師 濡れ下着」(1998/旧題:『人妻ピアノ教師 いやらしい指』)
責め絵の女」(1999)
義理の母 息子と不貞に…」(2000/旧題:『和服義母 息子よやめて!』)
黒の挑発 未亡人が疼くとき」(2000/旧題:『イヴの未亡人 夜のいそぎんちやく』)
未亡人痴態 三十路の羞恥心」(2001/旧題:『三十路の後家さん よがり泣き』)
イヴの寝室 和服妻は床上手」(2002)

剣持哲也
縄女」(昭和63)

小泉剛
未亡人教授 白い肌の淫らな夜」(2004)

小路谷秀樹
中沢慶子 ザ・昂奮」(昭和63)

小関裕次郎
ツンデレ娘 奥手な初体験」(2019)
痴漢電車 夢見る桃色なすび」(2020)
よがりの森 火照つた女たち」(2020)
夜の研修生 彼女の秘めごと」(2021)
若熟女と家出娘 たつぷりハメて」(2022)

児玉高志
実録ソープ嬢スキャンダル 裂く!」(昭和62/買取系ロマンポルノ)
ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み」(昭和63/ロマンポルノ、のアンソロジー)

後藤大輔
喪服不倫妻 こすれあふ局部」(2001/旧題:『喪服の女 崩れる』)
OL発情 奪ふ!」(2002)
義父と嫁 乳しぼり」(2003/旧題:『痴漢義父 息子の嫁と…』)
団地妻セックスバトル 不倫とスワップ」(2004/旧題:『夫婦交換《スワップ》前夜 ~私の妻とあなたの奥さん~』)
わいせつステージ 何度もつゝこんで」(2005)
妻たちの絶頂 いきまくり」(2006)
新・監禁逃亡」(2008/厳密にはピンクではない)
となりの人妻 熟れた匂ひ」(2011)
多淫な人妻 ねつとり蜜月の夜」(2011)
痴漢電車 ゆれ濡れる桜貝」(2011)
熟妻と愛人 絶妙すけべ舌」(2012)
艶めき和服妻の痴態」(2013)
愛欲霊女 潮吹き淫魔」(2013)
巨乳事務員 しやぶれ!」(2014)
小悪魔メイド 後ろからお願ひします」(2014)
牝と淫獣 お尻でクラクラ」(2019)

小沼勝
色情旅行 香港慕情」(昭和48/ロマンポルノ)
花と蛇」(昭和49/ロマンポルノ)
花芯の刺青 熟れた壺」(昭和51/ロマンポルノ)
OL官能日記 あァ!私の中で」(昭和52/ロマンポルノ)
性と愛のコリーダ」(昭和52/ロマンポルノ)
妻たちの性体験 夫の眼の前で、今・・・」(昭和55/ロマンポルノ)
縄と乳房」(昭和58/ロマンポルノ)
女囚 檻」(昭和58/ロマンポルノ)
‐ファイナル・スキャンダル‐ 奥様はお固いのがお好き」(昭和58/ロマンポルノ)
‐箱の中の女 処女いけにへ」(昭和60/ロマンX)
箱の中の女2」(昭和63/ロマンポルノ)


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 「喪服妻と老人 昇天奥義」(2008/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/脚本・監督:神野太/企画:亀井戸粋人/プロデューサー:伍代俊介/撮影監督:下元哲/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:塚本宣威/助監督:小山悟/監督助手:伊藤祐太/メイク:榊原美香/編集:フィルムクラフト/制作協力:フィルムハウス/出演:友田真希・佐々木基子・日高ゆりあ・坂入正三・岡田智宏・小滝正大)。
 義理の母の一周忌を済ませ、黒江翔子(友田)と夫・弌郎(岡田)が帰宅する。弌郎は靴を脱ぐや勿論礼装の翔子にむしやぶりつくと、「何でかなあ・・・?」、「昔から、男つて奴は女の喪服姿に欲情してしまふんだよなあ・・・」。懇切丁寧にコンセプトを開陳して呉れるのは天晴な御愛嬌、個人的には、全く以てその嗜好を持ち合はせるものではないのだが。一戦交へる二人は、後れて帰宅した弌郎の父・巌(坂入)に、その模様を覗かれてゐるのを知らなかつた。事後縺れ合ふ夫婦の足と、少しパンした後方に立ち尽くす義父の足下とで状況を説明するカットに、神野太のさりげない妙技が光る。実直な娯楽映画のみが持ち得る、何気な堅実さが心地良い。
 六年後、開巻の夫婦生活は実は夢オチで、しかも弌郎は一年前に亡くなつてゐた。黒江家は母親の七回忌と、弌郎の一周忌を併せて執り行ふことに、かういふ辺りの数字の扱ひも堅い。弌郎の双子の弟・弐郎(いふまでもなく岡田智宏の二役)、弐郎の妻・和美(佐々木)と娘の美樹(日高)も集まる。法要も終り皆で旨さうな握り寿司なんぞ摘んでゐるところに、三男の克三(小滝)が遅れて仙台から駆けつける。その夜無理な妻の求めに応じ、弐郎は和美を抱く。洩れ聞こえるその様子にアテられた翔子は、浴室に駆け込むと激しい自慰に耽る。そんな義姉の姿に克三は劣情を滾らせ、巌は息子に出歯亀の先を越されたことに臍を噛む。
 二月末公開の今作で主演デビュー後、池島ゆたか監督作(×二本)、工藤雅典、佐藤吏と現時点の主演作だけでも五本と、今年のピンク界を席巻してゐる勢ひもある、当代人気熟女AV女優の友田真希。矢張りといふか素のお芝居はどうにも覚束ないが、AV女優として案外長い(2002年デビュー)キャリアにも裏打ちされた、艶技力の方は申し分ない。といふ訳で、熟れた未亡人に熱い視線を注ぐ三人の男達。一方美樹は、藪から棒といつてしまへばそれまででもあれ、実は何故か父親の弟に積極的な想ひを寄せてゐたりなんかする。そんな腰から下に司られた一家の桃色騒動が、特段の踏み込みや映画的完成度の煌きを見せるではないまゝに繰り広げられ、最終的には更に一年後の弌郎の三回忌、再び看板を偽らぬ翔子の喪装濡れ場が、更に何故か巌を終の相手に展開される。佐々木基子と日高ゆりあの絡みはそれぞれ一回づつ―和美には入浴シーンも設けられる―に止(とど)め、残りは友田真希の裸を延々見せ倒す一点突破に潔く徹する構成は、実用的には全く過不足ない。家人それぞれの立ち位置の描写の十全さに、ルーチンワークとまで断じるのは幾分以上に酷な、エクセス・ピンクのエチュードともいへよう一作である。


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監督別五十音順に整理、同一監督内は製作順。
(製作年/V)は、正確にはピンクではなくVシネ。

植木俊幸
集団痴漢電車 私服の獲物、制服の餌食」(1996)
どスケベ痴漢電車」(1997)

上田吾六
発情学園 やりたい年頃」(2001/旧題:『痴漢ハレンチ学園 制服娘の本気汁』)

上田良津
団地妻暴行 そそり立つ」(1995/旧題:『昼下りの暴行魔 団地妻を狙へ!』)
性獣三姉妹 百花淫乱」(1995/旧題:『三匹の女猫』)
熟女事務員 癖になる痴態」(1996/旧題:『女事務員 トイレの痴態』)
性欲過多症 たまらない人妻たち」(1997/旧題:『不倫狂ひの人妻たち』)
女探偵 舌で搾り込む」(1998)

上野俊哉
快楽郷 人妻に乗る」(1995 冬/旧題:『本番!!ドすけべ夫婦』)
わいせつ覗き 見せたがる女」(1996/鈴木俊久名義/瀬々敬久との共同監督)
赤い欲情 はめ上手」(1997 秋)
兄嫁 禁断の誘ひ」(1998/旧題:『白衣と人妻 したがる兄嫁』)
したがる兄嫁2 淫らな戯れ」(1999)
どすけべ姉ちやん」(2000/旧題:『どすけべ姉ちやん 下半身兄弟』)
新・したがる兄嫁 ふしだらな関係」(2001)
猥褻ネット集団 いかせて!!」(2003)

梅沢薫
変態指圧師 色欲の狂宴」(昭和46/買取系ロマンポルノ)
女教師《秘》教へてあげる」(昭和54)
鞭で泣かす」(昭和55)
獣色官能婦人」(昭和58)
新妻真昼の暴行」(昭和58)
連続15人花嫁犯し」(昭和59)

江尻大
いんらんな女神たち」(2014/金沢勇大・中川大資・北川帯寛と共同監督)

榎本敏郎
最新ソープテクニック」(1993)
熟女ソープ 突きぬけ発射」(1998)
喪服姉妹 タップリ濡らして」(1999)
覗かれた不倫妻 主人の目の前で…」(1999)
おしやぶり天使 白衣のマスコット」(2000)
熱い吐息 股間のよだれ」(2001/旧題:『痴漢電車 さはつてビックリ!』)
人妻 大胆な情事」(2002/旧題:『人妻出会ひ系サイト 夫の知らない妻の性癖』)
姉妹 淫乱な密戯」(2006)
悶絶 ほとばしる愛欲」(2006)
色情淫婦 こまされた女たち」(2008)

遠軽太朗
痴漢名器占ひ 奥まで覗け!」(1996)
どスケベ温泉旅館 昇天《イキ》くらべ」(1996)
喪服妻暴行 お通夜の晩に‐」(1998)
ミニスカ警備員 濡れる太股」(1998)
女医と患者 秘め事診察」(2000/旧題:『女医《秘》診察室 人に言へない性癖』)
恥ぢる喪服妻 潤ほふ巨尻」(2001/旧題:『喪服妻の不貞 ‐乱れた黒髪‐』)

遠藤三郎
団地妻 忘れ得ぬ夜」(昭和47)

大井武士
暴行軍団スケ狩り」(昭和57)
痴漢バス 良い妻・悪い妻・普通の妻」(昭和57)

大西裕
をんなたち 淫画」(2007)

大野正典
淫行妻の本性 絶頂体験」(1996/旧題:『人妻淫行 むさぼる』)

岡元太
妖女伝説セイレーンXX ~魔性の欲望~」(2009/V)

小川欽也
谷ナオミ しびれる」(昭和53/姿良三名義)
カマキリ女秘書」(昭和59/小川和久名義)
セックスサスペンス リズの熱い肌」(昭和59/小川和久名義)
女子大生セックス占ひ」(昭和59/小川和久名義)
ロリータ いけない戯れ」(昭和59/小川和久名義)
襲はれた若妻」(1989/小川和久名義)
をんなの性感帯」(1989/小川和久名義)
裸女の宅配便」(1990/小川和久名義)
人妻濡れた花唇」(1990/小川和久名義)
異常に燃える女」(1990/小川和久名義)
制服の告白 処女あげます」(1990/小川和久名義)
女は濡れてひらく」(1991/小川和久名義)
はめられて」(1991/小川和久名義)
牝獣」(1991/小川和久名義)
むちむち・ぶるるん」(1991/小川和久名義)
盗撮レポート 人妻浮気現場」(1992/小川和久名義)
ザ・変態熟女 ‐イカせて下さい!‐」(1992/旧題:『ザ・変態ONANIE』)
制服の誘惑 テレクラに行かう」(1992/小川和久名義)
奥様は覗き好き」(1993/小川和久名義)
人妻AVギャル 団地売春」(1993/小川和久名義)
ONANIE交感不倫」(1993/小川和久名義)
秘技四十八手 枕絵のをんな」(1994/小川和久名義)
わいせつFAX 本番OL通信」(1994/小川和久名義)
不倫ベッド パンティあそび」(1994/小川和久名義)
OL VS 人妻 盗聴レイプ」(1994/小川和久名義)
風俗ルポ ポケベル《裏》売春」(1994/小川和久名義)
若妻侵入 淫乱まみれ」(1994/小川和久名義)
風俗嬢 内諸で本番」(1994/小川和久名義)
家庭内3P 人妻の妹」(1995/小川和久名義)
お色気セールス 人妻なまめく香り」(1995/旧題:『セールスレディ バイブ訪問販売』/小川和久名義)
泡姫極楽昇天」(1995/旧題:『最新ソープテクニック ねつとりご奉仕』/小川和久名義)
痴漢 穴場びしよ濡れ」(1996/小川和久名義)
人妻・愛人 連続暴行現場」(1996/小川和久名義)
本気ONANIE ‐ひわいな中指‐」(1997/小川和久名義)
若妻不倫 乱れてくねる」(1997/小川和久名義)
乱熟秘書 吸ひつく下半身」(1997/小川和久名義)
若奥様 スワップでメロメロ」(1997/小川和久名義)
肉欲婚淫 むいてほじる」(1998/小川和久名義)
熟女の乱れ髪」(1998/旧題:『若妻覗き 穴場の匂ひ』)
濡れ巨乳なぶり」(1998/旧題:『悩殺占ひ 巨乳摩擦』)
性純教師 熱く乱らな吐息」(1998)
人妻家庭教師 濡れしぐれ」(2000)
CFガール ONANIEシャワー」(2000)
いんらん民宿 激しすぎる夜」(2000)
誘惑美容師 ヴィーナスの縮れ毛」(2001)
OL 性の裏窓」(2001)
熟女妻 絡みつく夜」(2001)
柔肌天使 今夜も抱いて」(2001)
若妻 敏感な茂み」(2002)
レイプ痴女 撫でくり廻す」(2002)
個人レッスン もんでもみまくる」(2002/旧題:『美人家庭教師 ふくよかな谷間』)
おねだりナースコール 巨乳で満足」(2002/旧題:『淫乱病棟 巨乳で看護』)
巨乳女将の寝乱れ姿」(2003)
拉致ストーカー 監禁SEX漬け」(2003)
かわいい妹 悩ましい妄想」(2003/旧題:『妻の妹 いけない欲情』)
愛欲遊戯 狙はれた美穴」(2003)
派遣ナース おまかせ速射天国」(2004/旧題:『ナース裏治療 舌で癒して』)
淫欲怪談 美肉ハメしびれ」(2004)
痴漢義父 新妻をいたづら」(2004)
ストリッパー ~愛欲の日々~」(2005)
人妻姦通 お仕置き監禁責め」(2005)
ノーパン秘書 中出し接待」(2005)
女サギ師 いんらん痴肉」(2005)
美人セールスレディ 後ろから汚せ」(2006)
浮気妻 ハメられた美乳」(2006)
いたづら家政婦 いぢめて縛つて」(2007)
銀行レディ エッチに癒して」(2007)
人妻・愛人 けいれん恥辱」(2008)
熟女と新人巨乳 したがる生保レディ」(2009)
新婚OL いたづらな桃尻」(2010)
若妻と熟女妻 絶頂のあへぎ声」(2011)
美女家庭教師の谷間レッスン」(2012)
乱宴の宿 湯けむり未亡人」(2013)
女子大生レズ 暴姦の罠」(2014)
エロ番頭 覗いてイヤン!」(2015)
昇天の代償 あなたのゐない夜」(2016)
湯けむりおつぱい注意報」(2017)
熟女の誘惑 入れ食ひの宿」(2018)
5人の女 愛と金とセックスと…」(2019)
女ざかり 白く濡れた太股」(2020)

小川隆史
社宅妻 ねつとり不倫漬け」(2009)

沖島勲
したくて、したくて、たまらない、女。」(1995)

奥出哲雄
団地妻 W ONANIE」(昭和60/買取系ロマンX)

小栗はるひ
バージン協奏曲 それゆけ純白パンツ!」(2019)

小原宏裕
新・実録をんな鑑別所 -恋獄-」(昭和51/ロマンポルノ)
ルナの告白 私に群がつた男たち」(昭和51/ロマンポルノ)
女囚101 しやぶる」(昭和52/ロマンポルノ)
バックが大好き!」(昭和56/ロマンポルノ)
桃尻同級生 まちぶせ」(昭和57/ロマンポルノ)


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 「ハード・レイプ すすり泣く人妻」(2003/製作:多呂プロ/提供:オーピー映画/監督:荒木太郎/脚本:渡辺護/撮影・照明:前井一作・横田彰司/編集:酒井正次/助監督:田中康文/制作:小林徹哉/協力:ピンクリンク・太田耕一/出演:富士川真林・佐々木基子・桜原未羽《新人》・今泉浩一・太田始・乱孝寿・佐倉萌)。出演者中、桜原未羽の新人特記は、本篇クレジットのみ。正直恐ろしく見辛いエンド・クレジットには、情けないプロジェク太画質越しでは全く手も足も出なかつた。荒木太郎にいふても詮なからうが、満足に中身を見せる気のないクレジットなんぞ、いつそ打たなければいいと思ふ。
 ガード下、平間五郎(今泉)がパン女(桜原)を買ふ。女の胸元を飾るショートホープの小箱。パン女が男に身は任せながら、心はここにあらずといつた風情で膨らませるフーセンガム。ギミックを積み重ねて攻めようとしてゐるのは酌めるが、ハード志向と思しきシークエンスにはどうにも硬度不足が否めない。結果論からいへば、この不足は全篇を貫く。タイトル・イン、例によつて手書きのチャチな出演者クレジットが、ミスフィットの火に油を注ぐ。
 国家公務員で封建的な夫・田所順之助(太田)と、その妻・政江(富士川)。田所は学が無く要領も悪い政江に常に高圧的な態度で接し、政江はそんな夫に従順に傅いてゐた。とはいへ、後に登場する田所の口煩い伯母(叔母かも)・大塚芳子(乱)の嫌味によれば、順之助は家の用意した縁談を蹴つて、政江と一緒になつたもので、その割にはさういふ大恋愛を経た夫婦には、少々見えなくもある。人は変る、さういつてしまへば正しくそれまででもあるのかも知れないが。
 田所は五日間の出張で家を空けた夜、政江は一人の床で、夜道から聞こえて来る「通りやんせ」の口笛に、戯れに自らの口笛も合はせてみる。さうしたところ、政江がハッと気が付くと、家の中には口笛の男・五郎が侵入してゐた。五郎は政江を犯す。翌日、思ひ詰めた政江は遺書すらしたためんとするが、芳子の不意の来訪を受け果たせず、その内に田所帰宅。政江が夫に告白出来ぬままに、通り雨に慌てて洗濯物を取り込むと、室内には再び五郎が。政江は再度犯される。以降五郎は政江の出先に出没しては、路地裏の連れ込み旅館で繰り返し関係を持つ。
 五郎が最初に政江を犯す件、縁者の動きは決して悪くは見えないのだが、絶望的な緊迫感を演出せんとしたのならば、その割にカットのメリハリが甘い。長短と遠近を工夫すればもつと如何程にも輝いて来さうなシークエンスが、最終的には何処かちぐはぐしてしまふ。(よくいつて)万年映画青年荒木太郎には、所詮ハードレイプなどといふのは些かならず重い荷ではなかつたか。加へて御丁寧にも、脚本のト書きに該当すると思しき部分は原稿用紙に下手糞な手書きで映し出され、政江一人の日常の様子は、チカチカとした早回しでトレースされる。要は何時もの荒木節、ならぬ邪魔な意匠や機能しないギミックばかりの荒木臭である。即ち既に答へは出されてゐるやうに、本来渡辺護が志向したであらう重たい官能を軸にした硬質のメロドラマに対して、確かに荒木太郎は荒木太郎なりの歪曲した正面戦を展開してはゐる。もののそれは矢張り、荒木太郎が撮つたものならば箸が転んだだけでも破顔一笑するといふ向きでなければ、到底呑める筋のものではなく、通る相談でもなからう。ざつと譬へれば秋刀魚の油をすつかり抜いて、挙句に一歩違へれば菓子にでもしてしまつたやうなものである。富士川真林はデビュー第二作とすればまあ少々の棒読みも仕方がないとしても、受ける相手がアナクロなやさぐれ台詞がてんで板にはつかない今泉浩一とあつては、メインの男と女のドラマがまるで形にならない。ここは自らの読解力不足を露呈してしまつてゐるやうな気もしないではないが、サマにならないままに、五郎も政江も共に人物造形が不鮮明。絶対的な暴力者にしては、今泉浩一の面立ちはマイルド過ぎて、挙句に最終的には犯した女に惰弱に泣き言を繰り始めるに至つては何事か。現し世にあつては、何事に於いても徹し切るには人は何分弱い。だからこそ、物語の中にあつてはたとへそれが悪しき行ひにつけ外れた道につけ、徹し抜いた存在に、貫き通した存在に鑑賞者は輝きを見出すのではないか。口では、あるいは事後には激しい抵抗と拒絶を表しながら、傍目にはホイホイと五郎との関係を継続する政江も今一つ量り難い。五郎との情交に田所とでは味はへぬ深味を見出した、とでもいふのならば兎も角、それならばよしんばそれが殊にジャンル的には凡庸な途であつたとしても、政江が夫との夫婦生活には如何ともしやうのない欲求不満を覚える、といつた一手間に欠けよう。連れ込みでの情交の中政江が五郎にぶつける、犯すならばもつと若い女か、美しい女を犯せばいいのにといふ残酷性も、荒木太郎にも富士川真林にも手に余つたか、重大な台詞に思へたもののまるでスルリと流されてしまつてゐる。オチの落とし方の昭和的な辛気臭さは、個人的には非常に好む肌合ひであつたりもするのだが。

 佐々木基子は、政江の隣家の斎藤家夫人。口笛のミス・リーディングは上手く極まつた荒木太郎は、斎藤夫人の間男。広瀬寛巳は、不貞を知り妻を激しく追ひ回す斎藤。その姿に、政江は身につまされ秘かに慄く。濡れ場には参加しないが台詞は沢山設けられる佐倉萌は、政江の友達で噂好きの主婦。


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