真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「おねだりナースコール 巨乳で満足」(2002『淫乱病棟 巨乳で看護』の2005年旧作改題版/製作:小川企画プロダクション/提供:オーピー映画/監督:小川欽也/脚本:池袋高介/撮影:図書紀芳/照明:岩崎豊/音楽:OK企画/助監督:加藤義一/監督助手:竹洞哲也/出演:加藤由香・小川真実・奥菜千春・竹本泰志・なかみつせいじ・かわさきひろゆき・石動三六)。旧版時に二、三度観てゐるが、三度も四度も観る映画である訳ないことはいふまでもない。
 映画は取調室から始まる。刑事(石動)と、二年前に酒乱の暴力夫・池辺吉三郎(竹本)を謀殺したことを、この期に自首して来た看護婦の比奈子(加藤)。比奈子が、何故、如何様に吉三郎を殺害したのか、そして何でこの期に出頭して来たのかが、刑事と比奈子の遣り取り→回想パート→刑事と比奈子と遣り取り・・・(以下略)といふループで特に意外な展開や衝撃の真相、なんぞ全く見せることもなく、よくいへば淡々と、要は右から一昨日へと流れて行くやうに語られる。寂寞にも似た疲労感の他には、後には何にも残りはしない。
 比奈子は体中につけられた傷や青痣を、婦長の東尾真由乃(小川)に発見される。真由乃のレズビアンの妙技に絡め取られて行く内に、比奈子は真由乃に唆されるままに吉三郎殺害を決意する。眠剤を飲ませ眠らせた後、静脈への空気注射で心筋梗塞を偽装し吉三郎を殺害。死亡診断書は、真由乃と爛れた関係にあつた医師・芳村真希郎(なかみつ)、に適当に胡麻化して貰ふ。芳村は、もとい芳村も、新人医師時代の医療ミスを真由乃に揉み消して貰つて以来、愛人関係にありながらも真由乃には逆らへぬ立場にあつた。
 吉三郎は死んだが、それで全ては片付かなかつた。現在時制の取調室、刑事は良心に咎められた―から二年も経つて自首して来た―のか、と比奈子に尋ねる。比奈子の答へは否。
 吉三郎の死後、今度は真由乃の脅迫が比奈子を苦しめる。吉三郎の死亡保険金で纏まつた金が入るものの、何だカンだで結局は全て真由乃に持つて行かれる。お礼、と称して芳村との関係も強ひられた。患者の吉本砂州夫(かわさき)から金を取り、客も取らされる。芳村と若い看護婦・沼沢ユミ子(奥菜)、との密会には自宅を使はれる。何に使ふのだか判らぬままに、比奈子が真由乃に家の鍵を貸すと、帰宅したところ真由乃と芳村とユミ子とが3Pに興じてゐた。比奈子は終に、自殺を決意する。病院の屋上、ナース帽を投げ捨てる。この投げ捨てられたナース帽のショットは、開巻に一応繋がる。も、思ひ留まる。このまま死んでしまつては、自分の人生は悲惨で惨めなままだ。真由乃も芳村も、自分が死んだとて痛くも痒くもない。何事もなくのうのうと生きて行くであらう。それでは、私が可哀相だ。真由乃と芳村を道連れにする為に、比奈子は自首して来たものだつた。
 真由乃と芳村も刑事にパクられる、明かりを消した―病院の―廊下、刑事と芳村が奥から手前に向かつてコツコツと歩いて来る。段々近付いて、芳村の右脚で画面は暗転、エンドクレジット。

 この際それどころでもないといへば実も蓋もなくなるが、あるのは比奈子の自供のみ、物証なんて欠片もないぞ。こんな映画を、毎週毎週観てゐる俺の人生の方が余程悲惨で惨めだ、流石に修練に近いものがある。加藤由香の改造乳に関しては最早触れない、哀しさがいや増すばかりだから。


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