真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



ピンク映画の感想のインデックスです。
当該タイトルを踏んで頂ければ、別ウインドウで表示されます。

監督別五十音順に整理、同一監督内は製作順。
(製作年/V)は、正確にはピンクではなくVシネ。

増田俊光
純潔を破る!」(昭和57)
ONANIE 24時間」(昭和59)

増本庄一郎
後ろから前から」(2010/ロマンポルノRETURNS)

松岡邦彦
飢ゑた痴女 汚らはしい穴」(1993/旧題:『本番露出狂ひ』)
黒下着の日 主婦は浮気をする」(2001/旧題:『玲子の秘密 多淫症の人妻』)
息子と寝る義母 初夜の寝床」(2002/旧題:『義母尻 息子がしたい夜』)
年増女のスケベ襦袢 尻が壊れるまで!」(2002/旧題:『和服妻凌辱 -奥の淫-』)
ヌードスタジオ 撮られた人妻の白い肌」(2003/V)
派遣女子社員 愛人不倫」(2003)
大阪のエロ奥さん 昼間からよばひ」(2004)
親友の恥母 -さかり下半身-」(2004)
獣のやうに後ろから セレブ奥様と植木屋」(2004)
多淫な人妻と老人 -夜這ひ春情-」(2005)
刺青淫婦 つるむ」(2005)
肉屋と義母 -うばふ!-」(2005)
ノーパン痴母 夫を裏切る水曜日」(2006)
人妻学芸員 図書室の痴態で…」(2006)
ド・有頂天ラブホテル 今夜も、満員御礼」(2006)
人妻妊婦の告白 蟷螂(かまきり)の契り」(2007)
変態の恋・蝶 -整形美容師-」(2007)
ノーパンパンスト痴女 群がる痴漢電車」(2007)
お葬式の義母 トイレで情事」(2007)
人妻のじかん 夫以外と寝る時」(2008)
中川准教授の淫びな日々」(2008)
クリーニング恥娘。 いやらしい染み」(2008)
母性愛の女 昼間からしたい!」(2008)
福まんの人妻 男を立たす法則」(2009)
男で愛して 女でも愛して -盗まれた情火-」(2009)
義母と郵便配達人 ‐禁欲‐」(2010)
罰当たり親子 義父も娘も下品で結構。」(2011)
つはものどもの夢のあと 剥き出しセックス、そして…性愛」(2012)
女と女のラブゲーム 男達を犯せ!」(2014)
おばちやんの秘事 巨乳妻と変態妻なら?」(2017)
憂なき男たちよ 快楽に浸かるがいい。」(2019)

松岡誠
痴漢電車 奥までたつぷり」(1999)

松原一郎(=下元哲)
馬と後妻と令嬢」(2006)
ブログ告白 熟女のエロい尻」(2006)
マダム《秘》便所 恥づかしい瞬間」(2008)
折檻調教 おもちやな私」(2009)

麿赤児
性獣のいけにへ」(昭和59)

水谷俊之
女子大生 教師の前で」(昭和58)
スキャンティドール 脱ぎたての香り」(昭和59/買取系?ロマンポルノ)

光石冨士朗
新妻奥さん 背徳の匂ひ」(1990/旧題:『若奥様の生下着 いかせて!』)
倉沢まりや 本番羞恥心」(1995)

向井寛
実録 ⦅秘⦆通勤痴女日記」(昭和51/買取系ロマンポルノ)
発禁縛り夫人」(昭和53)
宇能鴻一郎原作 むれむれ夫人」(昭和53/東映何ポルノ?)
日本密姦拷問史」(昭和54)
拷問女暗黒史」(昭和55)

宗豊
夜のOL 舌なぶり」(昭和56/東映ナウポルノ)

村川透
哀愁のサーキット」(昭和47/ロマンポルノ)

女池充
白衣 制服のうづき」(1997/旧題:『白衣いんらん日記 濡れたまゝ二度、三度』)
ぐしよ濡れ美容師 すけべな下半身」(1998 夏)
ハレンチ・ファミリー 寝ワザで一発」(2002)
濃厚不倫 とられた女」(2004)
花井さちこの華麗な生涯」(2005/『発情家庭教師 先生の愛汁』《2003》の一般映画版)

望月六郎
JOHNEN 定の愛」(2008/厳密にはも何も、明確にピンクではない)

本井了
変態暴行 ‐甘い絶叫!!‐」(1991)

森田芳光
⦅本⦆噂のストリッパー」(昭和57/ロマンポルノ)

森山茂雄
少女の微熱 甘酸つぱい匂ひ」(2002/旧題:『桜井風花 淫乱堕天使』)
小川みゆき おしやぶり上手」(2002)
美人保健婦 覗かれた医務室」(2003)
純愛夫婦 したたる愛液」(2003)
OL日記 あへぐ牝穴」(2003)
色情坊主の後家くずし」(2004/旧題:『後家・後妻 生しやぶ名器めぐり』)
痴漢電車 秘貝いたづら指技」(2006)
ワイセツ和尚 女体筆いぢり」(2007)
好きもの家系 とろけて濡れる」(2008)
肉体婚活 寝てみて味見」(2010)
あぶない美乳 悩殺ヒッチハイク」(2011)


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 「新妻奥さん 背徳の匂ひ」(1990『若奥様の生下着 いかせて!』の2008年旧作改題版/製作:シネマアイランド/提供:Xces Film/監督:光石冨士朗/脚本:永麻美/プロデューサー:千葉好ニ/撮影:福沢正典/照明:才木勝/美術:石毛朗/編集:菊池純一・田中小鈴/音楽:坂田白鬼/助監督:金田敬/監督助手:松岡邦彦・安藤尋/撮影助手:石山稔/照明助手:石田重/メイク:永江三千子/スタイリスト:星輝明/協力:大工原正樹、他八名/出演:五島めぐ・徳井優・伊藤猛・岡田以蔵・アマツヒロシ・中田礼美・藤ひろ子・佐野和宏・坂手洋二・小川美那子)。出演者中アマツヒロシは、ポスターには天津比呂志。
 午後八時、渋谷トップのホテトル嬢・麻子(五島)は目覚まし時計に起こされると、相棒のオカマ・五郎(徳井)の運転するライトバンで客の下へと向かふ。五郎が急ブレーキを踏み、麻子の口紅は曲がつてしまつたところで、ブルースハープが鳴り始めタイトル・イン。その日の麻子の客は、右翼趣味の葬儀屋社長・加藤(アマツ)。その夜の麻子と加藤の情事に、以前麻子が客を装つた両肩に刺青のある男(岡田)に撮影された、強姦ビデオが重なる。定点ビデオ映像と通常撮影とを巧みに組み合はせた強姦シーンは、大きく動かせた演者が力強く捉へられてあり、開巻掴みの濡れ場としては迫力満点。監督第一作ながら、確かに培はれた光石冨士朗の地力がここでは光る。
 風紀課刑事・織田(坂手)が、麻子の強姦ビデオを注視する。織田の妻・真由美(小川)も元ホテトル嬢で、同じく過去に強姦ビデオを撮られてゐた。真由美と織田はその裏ビデオの捜査が縁で知り合ひ、結婚した。真由美は、実は麻子の姉でもあつた。夫の様子に妹の異変を感じ取つた真由美は、昔の男・立花(佐野)のバーを訪ねる。立花に抱かれつつ、真由美は麻子が現在ホテトル嬢である事実を知る。それにしても、所々で目につく小川美那子の、清々しく時代に遅れたメソッドは果たして如何なものか。名前も美貌も申し分ないとはいへ、映画の背中を押すのか足を引張るのかといふと、些か微妙なところでもある。立花に大して抵抗も見せないのだが半ば手篭めにされながら、真由美がまるで白目でも剥くかのやうに、終始異常に上方の一点を見詰め続ける演技には途方に暮れさせられた。それとも、それは現代の目でみるからさう見えるだけであつて、1990年当時としては別にこれで問題もなかつたのであらうか。
 その日は金曜日、目印のバラの花を手に街々に立つ男達の中から、麻子がその夜の客を選ぶ。バラを手にした真由美を見つけた麻子は、五郎に車を停めさせる。信号待ちで停車したところで、織田が麻子らの車に近付く。刑事の出現に、麻子は窓から逃げる。真由美は夫を激しく詰ると、妹を追ふ。程なく再び五郎と合流した真由美は、姉妹の故郷の、基地の町へと向かふ。
 松岡邦彦金田敬らの同時代の戦友・光石冨士朗のデビュー作。都度の繰り返しになるのは我ながら芸が無いが、新版公開に際しての、柔軟で強靭なエクセスの姿勢は大いに買ふところである。大雑把に一言で纏めると、姉妹のロードムービーとでもいつた風情にならうか。ひとつひとつの場面には丹念に力が込められ、濡れ場のある女優陣の粒も抜群に揃ひ、桃色の満足度も全く申し分ない。とはいへ、核となる姉妹の心情の描き込みがまるで不十分な為、最終的には物語に背骨が通らない。六十分をそれなり以上に満足して眺めてはゐられるものの、結果的には、どういふ映画かと問はれたならば、何だか判らない内にお姉さんと妹とが仲直りするお話、とでもしかいひやうがない。姉妹の関係が修復される件には、何となくの雰囲気だけならば兎も角何らの説得力は無く、続けての麻子と五郎の濡れ場にも、如何せんそれまでに二人の間に積み重ねられたものが特にある訳でもないので、どうにもクライマックスたり得ない。挙句に、姉が自分のことは棚に上げホテトル嬢の妹に説教でもする気かと思ひきや、相変らずのラストでは<主人公は米兵相手に自由闊達な売春婦稼業に精を出す>、などといふのは些かインモラルに過ぎる、といへば尻の穴の小さきといふ謗りを免れ得ないとしても、煙に巻かれたやうな気分にもなつてしまふのは無理からぬところであらう。昨今はバイプレーヤーのエキスパートとしてそこかしこで活躍する徳井優や、劇団「燐光群」主催の坂手洋二が登場する辺りは側面的な見所といへなくもないが、悪くは決してないものの、強くも一切ない一作である。

 濡れ場を見せる訳ではない大ベテラン藤ひろ子は、姉妹の旧知の飲み屋のママ。中田礼美は、真由美の昔のホテトル仲間で、現在も現職の真樹。伊藤猛は、以前は真由美のヒモで、今は真樹のヒモといふゴキゲンなポジションの友成。
 画面のそこかしこに見切れる恐らく協力勢は。織田の部下の若い巡査。金曜日の花・バラを手に、麻子からのコンタクトを待つ男が四人。立花のバーを訪れた真由美が、店先で擦れ違ふ男。基地の町の歓楽街で、(オカマの)五郎に声をかけ狼狽させるパン女、は普通にハクい。そして台詞も出番も十二分にある割には、出演者としてクレジットしては貰へない、結果的に姉妹をそれとは知らずそれぞれ軽トラに乗せる畠中養鶏所のウェスタン男が、これ江藤保徳か?


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