真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「恥ぢらひ女子大生 大胆舌戯」(1990『ザ・ONANIE倶楽部 女子大生篇』の2011年旧作改題版/製作:新映企画株式会社/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:池田正一/企画:伊能竜/撮影:千葉幸男/照明:鎌田靖男/編集:酒井正次/音楽:レインボー・サウンド/助監督:高島平/監督助手:四宮一志/撮影助手:彦川拓郎/照明助手:石井克男/出演:美穂由紀・早乙女宏美・吉本美奈子・青木リカ子・工藤正人・石神一・千代田一郎・久須美欽一)。企画の伊能竜は、向井寛の変名。クレジット終盤に力尽きる。
 女子大生の清美(美穂)と、彼氏で自称カメラマン助手の広岡健一(工藤)との情事にて開巻。ひとまづ新田栄映画らしからぬ、美女美男の組み合はせではある。健一は言葉巧みに、自慰させた清美のビデオ映像を撮影する。チャッチャと所変つて「ベスト人材バンク」、実はこの会社のスカウトマンとして働く健一が、女社長の亜伊(吉本)にビデオを基に清美を売り込みがてら、流れるやうに二人は一戦交へる。正しく矢継ぎ早に舞台移り、今度は安い関西弁の逆説的なポップ感が清々しい、亜伊のスポンサー・相沢(久須美)邸。亜伊は清美のビデオを手土産に追加の融資を引き出しつつ、既に勃たぬことにも関らない相沢の求めに応じオナニーを披露させられ、たかと思へばスイスイと張形も持ち出した早くも劇中都合三回戦。と、ここまで。殊に序盤戦に際して顕著な、正しく正しく立て板に水の如く三つの濡れ場を連ねる新田栄高速のメガホン捌きは、全く以て実に見事ではあつたのだが。結局清美は、肩書はコンパニオンながら実質的には半ば売春婦として、「ベスト人材バンク」でアルバイトする羽目に。要は「ベスト人材バンク」に売られるや、健一とすつかり連絡が取れなくなつてしまつたことに、素性を知らぬ清美は重ねて胸を痛める。そこに飛び込んで通り過ぎて行く、役柄に即した下衆さが堪らない石神一は、以前清美らを接待に使つたサラリーマン・三郎。清美が現役女子大生であることを知つた三郎は、後ろめたい弱味に乗じ、しかもホテル代さへ惜しみ清美の部屋にてほぼ無理矢理事に及ぶ。いよいよ傷つき、相変らず音信は普通のまま健一宅へフラフラと向かつた清美は、健一が新たなるカモ・リカ(青木)を誑し込まうとしてゐる現場を目撃、終に絶望する。また随分と、無造作なシークエンスであることはさて措き、道端で睡眠薬をオーバードーズし文字通り行き倒れた清美を、客を取らうとしてゐた売春婦・沙知(早乙女)が、客役の千代田一郎と共に助ける。ところで、正体不明な変名感がある意味誠実な千代田一郎の正体とは、二十年前ともなると当たり前でしかないが随分と若い、新田栄その人である。新版・旧版双方、ポスターに名前の記載も見られる。清美から顛末を聞いた沙知は、自身も過去に似たやうな体験を持つこともあり、俄然健一への代理復讐を期する。
 どうせ内容的には特段どころか全く連関はあるまいが、1990年に全三作が製作された、「ザ・ONANIE倶楽部」シリーズの第一作。因みに、絶妙に当てになたないjmdbを頼りに沿革をなぞつておくと一月公開の本作に続き、四月に「ザ・ONANIE倶楽部2 女医三姉妹篇」(主演:小林夏樹/水鳥川彩のデビュー作でもあるらしい)、ほぼ均等なペースで八月に「ザ・ONANIE倶楽部3 変態OL篇」(主演:高樹麗/監督と脚本は三作とも新田栄と池田正一)と続く。更に因みに、3の「変態OL篇」は、今新版の二ヶ月後に「ONANIE三昧 秘書もOLも貝いぢり」なる新題で矢張り新版公開されてゐるので、その内相見えることも叶ふだらう。ここはどうにか、2の「女医三姉妹篇」も是が非ともコンプしておきたいものである。話を戻すと、当代バリバリのAVアイドル・美穂由紀をビリングのトップに擁し、後に続篇企画を二本従へるところからも、当時それなり以上にヒットしたのではと思しき風情ならば、この期にとはいへ酌めぬでもない。とはいへ、かといつて歳月も越える然程の完成度を、感じさせる訳では必ずしもない。展開の要を成す復讐譚が、段取りの便法ぶりに関しては裸映画特権に免じれば差し引けなくないこともあり、過去を清算した―正確には“して貰つた”―清美が再び前を向いて歩き始めるラストまで、一部始終自体はそれなりに順当。それならば、一体この胸にどうにも残る物足りなさの所以は何なのか、と改めてよくよく考へてみたところ。リベンジの一切は、徹頭徹尾沙知のみにより執り行はれ、その為中盤から終盤にかけての一頻り、完全に蚊帳の外に押しやられた格好の清美はいよいよラスト・シーンまで登場すらしない。即ち美穂由紀の濡れ場が、起承転結でいふと承部の石神一戦で打ち止めとなつてしまふ構成は、明確に失敗と片付けて差し支へないのではなからうか。確かに、千代田一郎まで含め今作男優部の布陣からは、沙知が無理から百合でも仕掛けない限り、締めで清美の相手役を務める、適当な面子からそもそも見当たらないといふ駒不足もあるのだが。物語はそこそこには纏まつてをり、少なくとも量的には女の裸も十二分に潤沢。その割には、主演女優を蔑ろにして済ますだなどといふ致命的な大粗相を仕出かしてみせた、珍しい一作である。それとも、穿ち過ぎに過ぎぬやも知れぬが、当然多忙を容易に予想し得る美穂由紀の、よもや拘束の問題なのか?


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 「痴女スチュワーデス 不道徳姉妹」(2001『美姉妹スチュワーデス 制服けいれん』の2011年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/監督:坂本太/脚本:有馬仟世/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:創優和/編集:《有》フィルム・クラフト/助監督:竹洞哲也/照明:小野弘文/監督助手:小松慎典・米村剛太/撮影助手:宮永昭典/照明助手:藤塚正行・平岡えり/メイク:《有》パルティール/選曲:コウワクリエイティブ/タイトル:道川昭/衣装協力:《株》フリービジョン/ロケ協力:《株》アートハウス/照明応援:高原賢一・原康二/出演:神谷麗子・ゆき・林由美香・千葉誠樹・竹本泰志・なかみつせいじ)。クレジットの位置からも窺へる、照明に関する錯綜は一体何があつたのか。実際の出来栄えからは、特段現場が混乱した状況は、少なくとも素人目には見受けられないのだが。
 二流航空会社「コウワ国内航空」―いふまでもなく、高橋講和の名前から採つたものであらう―No.1スチュワーデスの神崎美里(神谷)と、妹で補欠入社からどうにか客室常務に滑り込んだ香里(ゆき)とが、機内放送のマイクを取り合ふ。一フライト終へた二人、姉への敵対心も剥き出しに、トップの座を正しく虎視眈々と狙ふ香里は、恋人と会ふ約束の美里を尻目に、早速次の北海道便の搭乗へと向かふ。要は神谷麗子とゆきにしても同じことなのだが、パイロットのコスプレで、竹本泰志が颯爽と空港内に現れる。どうせ撮影もゲリラなので、数年に一度のペースでお縄を頂戴するのがニュースにもなる、マニア昂じた偽警官と実質的には似たやうな寸法であらうことに思ひを致すと、そこはかとなく微笑ましい。閑話休題、美里のお相手といふのが、コウワのライバル大手「大日空」機長の早見亮(竹本)。とはいへ互ひに、社内的には同業他社の人間との交際は御法度である故、美里は一度は入社試験に落ちた、「大日空」への移籍を目論んでゐた。綺麗に鎬を削る姉妹に、眼鏡といひ髭といひ、何故か田代まさしのやうな造形のコウワ管理官・徳田俊幸(千葉)は、相変らず美里が一位で香里が二位の、乗客アンケートの結果を告げる。その傍ら、ここは画面(ゑづら)的にも心情の上でも激越に呑み難いものの、兎も角矢張り乗客アンケートの結果地上勤務に格下げとなつた主任客室乗務員の遠山雅(林)は、昨今出没する制服マニアの変態による更衣室荒らしに注意するやう促す。雅が徳田を誑し込み、再び空へと飛び立つことを画策する一方、「大日空」がコウワNo.1スチュワーデスのヘッドハンティングを図つてゐるといふ噂が流れ、美里と香里は色めき立つ。そんな中、件の“制服マニアの変態”笠井祐二(なかみつ)が、噂される乗客に紛れたヘッドハンターに何故か偽装し、美里に接触する
 多分全三作でまづ間違ひあるまい、エクセスのささやかな連作“美姉妹スチュワーデス”シリーズの二作目である。第一作は、前年同じく坂本太の「美姉妹スチュワーデス~名器くらべ~」(2000/脚本:有田琉人/主演:麻宮淳子・時任歩)。三本目は製作年を前後して反則、いや変則的に、浜野佐知の「奴隷美姉妹 新人スチュワーデス」(1998/脚本:山邦紀/主演:桜ちより・風間今日子)の、2004年旧作改題版「美姉妹スチュワーデス 朝まで狂乱」。話を本作に戻すと、三番手で扇の要をガッチリ締める、林由美香の扱ひの軽さは重ね重ね納得が行かないところではありながら、姉妹がそれぞれの野望で豊かに膨らませた胸を、男達に惜し気もなく晒し奮闘する物語は、陽性のピンク映画として鉄板中の鉄板。美里と香里のそれぞれ次の一手といふ形で、矢継ぎ早に濡れ場が繰り出され続ける構成は、裸映画としての充実も越え、素といふ意味での裸の娯楽映画の展開としても素晴らしく快調。エクセスの常といふか何といふべきか、首から上は美人の田村亮子でしかない主演女優ではありつつ、ゆき(ex.横浜ゆき)に見劣らぬだけのタッパにも恵まれた、如何にもフカフカと抱き心地の堪らなさうな柔らかさを感じさせる神谷麗子の肢体は、ひとまづ大いにスクリーンに映える。一件のオチを成す、笠井が嘘ヘッドハンティングのからくりを知つた段取りにをも、雅の絡みを捻じ込む―その為裸の見納めが、林由美香といふのは逆に実に心憎い―頑丈な論理性も光る。決して偉ぶらない他愛なさが寧ろ量産型娯楽映画的ともいへよう、慎ましやかな良作。この水準のポップ・ピンクといふのが、個人的には最も心地良さを覚えるものである。
 三名見切れるその他乗客要員は、定石通り演出部からの増援部隊か。画面手前、座席右列で眠る竹洞哲也の姿は確認出来たが、最も目立つ、友松直之の毒を抜いた弟のやうなルックスが、小松慎典と米村剛太の何れかには辿り着けず。笠井を引つ立てる、強ひていふならばけーすけ似の、関西弁の若い警備員も不明。

 ところで、封切り当時年を跨いで三ヶ月後、今作がアンカー・ビジュアルネットワークよりVHSリリースされた際のビデオ題が、そのままズバリ「スチュワーデス物語」。幾ら何でも、度を越した臆面もなさぶりが最早白々もとい清々しい。


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 「和服姉妹 愛液かきまはす」(2011/製作:旦々舎/提供:オーピー映画/監督:浜野佐知/脚本:山邦紀/撮影・照明:小山田勝治/撮影助手:石田遼/照明助手:藤田朋則/助監督:金澤理奈絵/応援:田中康文・岡輝男・広瀬寛巳/編集:有馬潜/音楽:中空龍/着付:馬場明子/スチール:岡崎一隆/タイトル:道川昭/出演:浅井千尋・宮下ちはる・佐々木基子・津田篤・平川直大・牧村耕次)。クレジットのフォントが平素の明朝体とは異なり、幾分叙情的なものに。そこは悪くはないのだが。
 神父の正装で、「どうして、こんなことになつてしまつたんだらう」と悔恨する牧村耕次に、和装の浅井千尋の画を噛ませてタイトル・イン。
 なかなか抜かれぬ店名にやきもきさせられるが、表に書いてある「雑把亭」でいいのか、ビール箱を平然と店内什器に流用する安普請の居酒屋店内。姉妹で中古和服をネット販売する姉の方の月原夏希(浅井)が、「和服姉妹」と名付けたショップのサイトを、恋人で雑把亭店長の柴崎和也(津田)にお披露目する。机上の、型式までは判らぬがアップル社製のノートは、マカーである山邦紀の私物か。和也が事実上の求婚を切り出し二人が感激の接吻を交はしたところに、和也の父親で―現在は休職中ではあるのだが―神父の敏影(牧村)が店を訪れ、夏希と初対面を果たす。後日、河原をぼんやりと散歩する敏影は、その日は洋装でチャリンコに跨る夏希と再会する。よもや浜野佐知―と山邦紀―がナショナリズムを繰り出す訳もあるまいが、基本的に和の文化に傾倒し相撲も好きだとかいふ夏希の嗜好が、最終的には木に薮蛇を接ぐが如く投げられる。夏希の妹・冬美(宮下)と、「和服姉妹」のスポンサーの一人で、冬美と夏希には内緒で男女の仲にもある米倉信一(平川)の濡れ場挿んで、御馴染み浜野佐知宅の縁側にて微睡む敏影は、自身の顔の上で夏希が四股を踏む白日夢を見る。ここで、敏影の主観目線で捉へた四股を踏む浅井千尋の姿にかけられる、一昔前の、3D以前の“飛び出す映画”風のエフェクトは、結果的にはシークエンスの正体不明ぶりを加速させる。翌日、紹介されたての息子の恋人が登場した淫夢に依然動揺する敏影に、教会の信者を装つた夏希からの電話が入る。年長者を、しかも将来の義理の父親を捕まへて無造作な非常識にも思へるが、兎も角呼び出しに素直に応じ、敏影はホイホイと夏希のマンションを訪ねる。さうしたところが、俄にフルスイングで言ひ寄つて来る夏希と、敏影は忽ち体を重ねる。
 佐々木基子は、敏影の妻・典子。求める形で一応脱ぐが、夏希と昼間に第一戦を交へた夫からは生殺しにされる。
 ロケ地・静岡にて先行ロードショーされた一般映画第四作「百合子、ダスヴィダーニヤ」(後生だから早く来て欲しい)から一ヶ月先立ち、黄金週間後に封切られた浜野佐知2011年ピンク映画僅か唯一作。確かに公開後も含め、渾身を傾注した―より正確には傾注し続けてゐる―ことならば酌めぬではないものの、それにつけても今作に話を絞るならば、些かどころには止(とど)まらず浜野佐知は「百合子、ダスヴィダーニヤ」に執心し過ぎなのではないか。綺麗にお留守に済まされた節が窺へる、消極的な問題作である。山邦紀は何程かのテーマを込めたものやも知れぬが、例によつて浜野佐知には綺麗にスッ飛ばされた結果、唐突極まりない頓珍漢さだけが残された褌女の四股幻想といふメイン・モチーフと、正しく薮から棒に、会つたばかりの彼氏の父親に全速力で突つ込んで来る夏希のエモーションは共にまるで理解不能。夏希と敏影が謎の強度で結びつく以外には、何時まで経つても話の本筋は見えて来ず、キャラクターも立たない中、終には展開のメリハリすら欠く始末。最早起承転結の構成さへ覚束ないままに、典子いはくの“間抜けな腹上死”まで一直線の物語は、グルッと一周して感銘を錯覚しかねないほどに非感動的。全て主演のピンク映画三作目にして、本人がこなれたものか単に観る側が見慣れたものなのかは微妙ではあるが、大分灰汁の抜けて来た―和服に合はせアップにした、髪型も大きいのかも―主演女優はさて措き、浅井千尋と同じくバンビプロモーション所属である宮下ちはるの、馬面に綺麗に胡坐をかいた鼻とタラコ唇とを載せた清々しい不美人も、端的に苦しい。お話の体を成さない以上、文字通り話にならない支離滅裂には閉口すべきか、開いた口を塞ぐ余力を失ふべきものやら途方に暮れるほかはない一作ではあるが、それでゐて、豊かな色彩が超絶に美しい、小山田勝治の匠が火を噴くラスト・ショットは見事の一言。量産型娯楽映画の懐の深さを、大いに堪能させて呉れる。

 以下は再見後の付記< 多分、宮下ちはるは里見瑤子のアテレコ。


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 「熟練性技 疼き盛りの女たち」(1994『本番 恥知らずな下半身』の2006年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:稲吉雅志・小山田勝治/照明:秋山和夫・永井日出雄/音楽:藪中博章/編集:《有》フィルムクラフト/助監督:佐々木乃武良/制作:鈴木静夫/ヘアメイク:斉藤秀子/スチール:岡崎一隆/出演:西嶋綾香・草原すみれ・小川真実・杉本まこと・久須美欽一・山本竜二)。
 タイトル時から男女が争ふ音を絡めて、ヌードモデルの沢田美輪子(西嶋)が、顔見知りの高校教師・常見浩平(杉本)に犯される。カット明け、美輪子はそのショックを少なくとも表面上は特にどころか全く引き摺るでもなく、『月刊ECSESS』からのアンケートにテレコ片手の口述で答へつつ、のほほんと「KITA PHOTO STUDIO」へと向かふ。色んな意味で懇意のカメラマン・喜多啓司(山本)による撮影後、輝かしいまでの円滑さで二人は一戦交へる。中で出すことを許容する美輪子に対し、顔射好きの喜多は思はず顔にかける。かういつた粗忽さに際しては、山本竜二天下一品。喜多のスタジオを後に、ここの飛躍が少々では片付かず小さくなくもないのだが、さて措き薬局に立ち寄つた美輪子は、帰宅後市販キットによる妊娠検査。危惧は的中し、結果は陽性であつた。美輪子はそのことを、親友の稲葉真弓(草原)にひとまづ相談。頭が悪いのを自認するのが口癖で、実際偽らないやうに見える美輪子に、父親の心当たりは三人。三人も!?と自然に驚く真弓に、美輪子は詫びる。内一人で、街で偶々会ひ、少し酒を飲み酔はせた美輪子をレイプした、即ち開巻に遡る常見が、真弓の恋人であつたからだ。脊髄反射で激昂した真弓は、美輪子の頬を張りその場を立ち去る。一方、真弓に問ひ詰められた常見は、職業蔑視全開の苦しい抗弁の上、兎も角事に及ぶ。但し事後、紙に自筆で書く形の真弓のアドレス帳―時代性を感じさせる、アイテムではある―を探る常見の姿を、真弓は見逃さなかつた。喜多にも一応懐妊したらしき報告をした美輪子は、喜多との前後は不明―順序的に一番最後が常見なのは、ほぼ間違ひあるまい―ながら、三人目の父親候補でサラリーマンの半田光(久須美)と会ふ。妻帯者である半田は、いはゆる棹兄弟の三人で折半しての堕胎しか考へなかつたが、美輪子から誘はれるや、ホイホイと抱く。かういふ辺りは流石に、確かに美輪子も美輪子だ。
 小川真実は、何故か“コンドームの鬼”の半田妻・玲子。それゆゑ半田の情けない信条が、“生入れ中出しは男の夢”。尤も、対美輪子戦を経た夜玲子も抱いた半田は、最終的には危ない橋を忌避し安住の地を家庭に求める。この、半田の都合のよさが看過されたまゝ済まされる放置は、偏狭な作家主義に囚はれるならば、今作に於いて浜野佐知が画竜点晴を欠いた点か。
 何はともあれ、何処までも軽い主演女優の全方位的に覚束ないギャルぶりには、微妙にゴージャスさも醸し出す名義に反して、直截な印象としては時代の移り変りはおろか、リアルタイムでの通用性にすら疑はしさを否めない。とはいへ、ヒロインの如何ともし難い弱さを、全体的な構成が救ふ様は本篇自体以上に面白い。改めて整理すると、予定外の子を授かつた―かも知れない―ヒロインが、思ひ当たる節がある三人の男を訪ね歩く。そしてその中の二人には、各々既にパートナーが居た。女優・男優それぞれ三名づつの3×3“スリー・バイ・スリー”体制をデフォルトとするピンク映画にあつて、正にうつてつけといはんばかりの物語である。よしんば父親が誰であれ、お腹の子供の母親は紛れもなく自分であるとする、美輪子の雄々しいまでの母性に、力を与へるに足るだけの質ないしは熱量が西嶋綾香に具はつてさへゐて呉れれば、更なる強いエモーションへの道が開けても来たところなのであらうが、騒動が収束する段の、爽やかな安定感は実に心地良い。エピローグたる締めの美輪子VS.喜田第二戦を、穏やか且つ温かく包み込む。そこかしこの不安定さを基本プロットの磐石さが全て挽回してみせた、意外と手堅い一作である。
 桃色の決戦兵器としては、マッシブな桃井桜子ともいふべき―何をいつてゐやがるのだかサッパリ判らない―草原すみれ。着衣時には、一歩間違ふとバランスを失しさへしかねないものの、中身がギッシリ詰まつた感が窺へる文字通りの爆乳は、全く眼福眼福   >無造作に筆を滑らせるにも程がある

 然し元題にせよ新題にせよ、よくいへば汎用性の高さが堪らない。逆からいへば実際の映画の内容には、概ね掠りもしないのだが。


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 「喪明け妻 一周忌の情事にて…」(1992『喪服妻 生贄地獄』の2011年旧作改題版/製作:飯泉プロダクション/提供:Xces Film/監督:北沢幸雄/脚本:笠原克三/企画:業沖九太/製作:北沢幸雄/撮影:千葉幸男/照明:隅田浩行/音楽:T2/編集:フィルムクラフト/助監督:増野琢磨・岩波均/効果:東京スクリーンサービス/出演:荒木美操・水鳥川彩・千秋誠・上田耕造・平賀勘一・芳田正浩・小林節彦・伊藤猛)。“球太”ではなく企画の業沖九太は、本篇クレジットまゝ、撮影部セカンドその他諸々に力尽きる。
 一年前に事故死―よもや航空機事故ではあるまいな― した亡夫・桜庭コージ(上田)の墓を、喪服姿の寡婦・紀美子(荒木)が参る。手前に一輪の菊の花を置き、画面遠く奥に紀美子を捉へたロング・ショットが極端に青味を上げた画調に変るや、フレーム・インした男の手が花弁を摘み潰しタイトル・イン。
 桜庭在りし日の夫婦生活の回想を挿んで、ひとまづ墓参を終へた紀美子に、桜庭とは趣味のラジコン仲間であつたといふ、久世トシオ(伊藤)が接触する。ここで、繋ぎの遣り取りに一々躓かざるを得ないのが、喪装の女をしかも墓前で捕まへて、褒めるにしても黒い服装が似合ふだなどといふのは、初対面の男と女の社交辞令以前に、大人の会話として些かならず見識を欠きはしないか。兎も角、桜庭のラジコン操縦の腕前に憧れる久世が、今でも生前に撮影したビデオを見ては研究するとの発言に、紀美子は喰ひつく。急死後桜庭家には空巣が入り、ここは正直不自然に思へなくもないが、その時桜庭ゆかりの品々は持ち去られてしまつてゐた。とかいふ流れで、紀美子は久世とともに、同好の士が投資目的も込みで購入したマンションの一室に向かふ。そこはかつて、紀美子が桜庭に連れられ訪れたこともある場所であつた。久世撮影による、桜庭がラジコンを操る映像を紀美子は素直に懐かしむが、ビデオは何時しか、矢張り久世が撮影した、その部屋にて紀美子が桜庭に抱かれる盗撮映像にと切り替る。当然気色を変へる紀美子ではあつたが、久世に薬を盛られた、体の自由は既に利かなかつた。久世は挨拶代りに軽く嬲つた紀美子を再び愛車のランドクルーザーに乗せると、今度は空き地の一角が入り口となる秘密の地下室へと運ぶ。そこでは、平賀勘一と小林節彦が久世の所有物であるノリコ(水鳥川)を二人がかりで責め、更に千秋誠が、芳田正浩に奉仕してゐた。紀美子登場に色めき立つと同時に、何をされても喜ぶやうになつたノリコに見切りをつけた男達は、その夜を最後に、ノリコを解放しはしないが手放すことにする。
 慰み飽きた女は平然と、行く末をトレースすることもなく闇ルートに卸す。正しく鬼畜の所業といふに相応しい秘密クラブに囚はれた未亡人が、陵辱の限りを受ける。即ち、元題の額面通りに“喪服妻”が、“生贄地獄”に堕ちる。凶悪なればこそ強力な物語を、前半を丸々費やし入念にあつらへたまではいいものの、今作が映画的な、あるいは反映画的な真の牙を剥くのはここから。紀美子が地下室に入つたところで、少々勿体なさも残しつつ水鳥川彩と千秋誠は、“生贄地獄”のイントロダクションをほぼ唯一の任務に僅かな出番でそそくさと退場。主演の荒木美操は華のある容姿も適度に的確な肢体も、裸映画を一人で支へ抜くに十二分な威力に近い魅力を誇りながらも、それにしても、このまま紀美子が徹頭徹尾延々とヤリ倒されるだけでは、流石に劇映画として何ぼ何でもあんまりだよな、とも不安になりかけた終盤。地下室の入り口に、謎のカーキのロング・コートの後姿が現れる。来た来た来た遂に来た漸く来た!殆ど尺も残されてはゐないが、女の裸のみに支配された始終を裸の劇映画としての充実に力技で引つこ抜く、急展開の期待が俄に膨らむ。冷静に考へてみれば振り逃げに近いやうな形であつたとて、観客をアッと驚かせそのまま有無もいはさず映画を畳み込んでみせるのも、れつきとした娯楽映画のひとつの主砲、もとい手法に違ひあるまい。ところが、カーキ・コートの主こと、桜庭がどうやらピンピン生きてゐるのは兎も角、別の意味で見事にそこで話が終つてしまふのには逆方向に度肝を抜かれた。四人に蹂躙される紀美子を地上から窺ひ、高笑ふ桜庭の姿からは、クラブのメンバーをも欺く徒に手間のかゝつた邪欲が透けて来ぬでもないとはいへ、そこは桜庭には地下室に下りて、一同を驚愕させて貰はないと。これでは単なる、自己満足に小躍りする不審者でしかない。黙つて品性下劣なポルノらしいポルノを愉しんでゐてもいいものを、下手に鑑賞眼気取りの節穴をひけらかし余計な色気を出すや、超豪快なフェイントに打ちのめされる。「馬鹿野郎、ピンクを観るのに首から上は耳目以外使ふな。腰から下だ、腰から下で観ろ!」とでもいはんばかりの、北沢幸雄からのエモーショナルなメッセージの込められた一作。さういふことに、この際しておいては如何だらう?


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 「特命シスター ねつとりエロ仕置き」(2007/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影:飯岡聖英/照明:小川満/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手:田山雅也/撮影助手:桑原正祀・松川聡/照明助手:八木徹/タイミング:安斎公一/下着協賛:ウィズコレクション/出演:らいむ・平沢里菜子・吉岡睦雄・岡田智宏・西岡秀記・大貫あずさ)。クレジット後半あちこち力尽きる。
 開口もとい開巻一番、北川明花と桜田さくらを足しで二で割つたやうな主演女優の、女王様ショットをビッシビシかましてタイトル・イン。
 SMクラブ「おしおきクラブ」女王様の伊集院アリサ(らいむ)が、店にまで押しかけた借金取り・竹本(西岡)の望まぬ来訪を受ける。利子代りにといふ方便で女王様プレイを披露しつつ、竹本から海外に売り飛ばされさうになつたアリサは金的で撃退、その場を逃げ出す。アリサが足を踏み入れたのは、恐らくロケーション物件から同一と思しき聖オーピー教会。アリサの前に、地毛を隠さうといふ誠意のまるで窺へぬ頓珍漢な金髪鬘に、浜野佐知から借りて来た―超嘘―丸グラサンを胡散臭く合はせた、とてもさうは見えないが兎も角奇天烈な神父のドク・ダミアン・タナカ(吉岡)が現れる。タナカはアリサを、溢れるフェロモンで迷へる子羊を救ふ、特命シスターに任命。どうでもいいのかよかないのか、レンタルお姉さんよりも、特命シスターや新田栄の尼寺映画の方が、余程爆発力の大きなキナ臭い火薬であるのではなからうか。話を戻すと、当然一旦は取り合はないアリサではあつたが、娑婆に戻ると、怖い借金取りに海外に売られるぞといふ、説得力があるのか無いのかよく判らないタナカの一点張り―ある意味宗教的な、恫喝ではある―に屈し、ひとまづ特命シスターとして聖オーピー教会に身を置くことに。そんなある日、信者の竹本美優(大貫)が教会を相談に訪れる。夫とはセックスレスの美優は、心と体の隙間を突かれホストの白崎(岡田)から強姦、以来その際に撮られた写真を出汁に関係を強要され続けてゐた。ところで美優の旦那といふのは、誰あらう竹本であつた。
 女の敵とばかりに、結構颯爽と出撃したアリサは白崎をチョロッと撃破。白崎の、美優を犯したのは借金の棒引きを条件に正体不明の何者かから指示を受けてのことだつた、といふ証言を得たアリサは、白崎の影に竹本の存在を嗅ぎつける。竹本の尾行をアリサが始めたところでリングならぬフレーム・インする、純然たる三番手濡れ場要員ぶりをそれでも輝かせる平沢里菜子は、竹本の不倫相手・真琴。真琴も真琴で竹本から金を借りてをり、家庭内別居の状態にある妻との関係を清算した竹本との、矢張り借金を帳消しにしての結婚を互ひに考へてゐた。その他劇中に見切れるのは終盤、クレジットの有無は見落とした広瀬寛巳が、正体の露見したアリサが竹本の追跡を撒く際に利用する、覇気どころかてんで生気すら感じさせないレス・ザン・ホームの人。竹本手下のチンピラ二人組は、永井卓爾と田山雅也か。永井卓爾(多分太つた方)を、そろそろ固定出来さうな気がする。
 故福岡オークラ閉館の長い余波に伴なひ、当時は今ほど苛烈な遠征活動を展開してはゐなかつたこともあり観落としてゐた、渡邊元嗣2007年最終第四作は、2010年第一作「聖乱シスター もれちやふ淫水」(主演:夏川亜咲)に二年強先んじた、風俗嬢が聖オーピー教会に転がり込む物語である。以降は、良くも悪くもナベシネマ・オブ・ナベシネマとでもしかいひやうのない、マキシマムによくいへば安寧な出来栄え。スケバン刑事ならぬ女王様シスターがそれはそれとして華麗に登場するほかは、ビリング・トップの曲り気味の馬面にも妨げられ、映画自体にこれといつた点は俄には見当たらない。強ひていふならば、中途半端などんでん返しは木に竹を接ぐ効果がより顕著で、最終的にこの流れだと、多少慰謝料をふんだくられるとしても、竹本は当初の望み通りに真琴と再婚出来るよな、といふのは、娯楽映画の落とし処としては一円の値引き分も残さうか。素人考へでしかないが、美優に身包み剥がされた竹本が、平沢里菜子持ち前のアグレッシヴネスを活かした真琴からも華麗に見切りをつけられる。といつた短い一幕も、設けられてあつてよかつたのでは。
 対して側面的に特筆すべきは、今回が初見につき素通りして来ざるを得なかつた点ではあるが、美優役の大貫あずさが小山てるみ名義による「喪服の女 熟れ肌のめまひ」(2008/主演:真田ゆかり)から実は更に一年先駆ける、プリミティブな名作「美人姉妹の愛液」(2002)以来五年ぶりの電撃銀幕復帰を果たしたex.美波輝海であるサプライズ。因みに小山てるみは、続いて「愛液ドールズ 悩殺いかせ上手」(2009/主演:クリス・小澤)にも出演する。繰り返しに過ぎないことは恐縮ながら、美波輝海時代の過信も感じさせるバタ臭さの抜けた、カンバック後の方がこの人より好印象である。


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 「家庭教師と未亡人義母 ~まさぐり狂宴~」(2011/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:江尻大/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/助監督:江尻大/撮影助手:平林真実・吉川千園/監督助手:布施直輔/音楽:與語一平/協力:しじみ・羽生研司・宮永昭典、他一者/出演:鮎川なお・有沢実紗・藍山みなみ・津田篤・柳東史・北川帯寛・なかみつせいじ)。妙に情報量の多いクレジット後半に惨敗する・・・・羽生研司!?久々に見た名前だ。
 みさと市立亜成高等学校野球部、コーチから昇格した現監督・上原達也(柳)と、同校の女子生徒・永作寛子(藍山)の情事。それを上原宅の隣に住む、野球部出身で、現在は非絶賛大学受験五浪生の田中克巳(津田)が覗く双眼鏡のショットを挿み、外から抜いた画で後ろから突く上原にベランダのガラス戸に押しつけられた、寛子のオッパイを押さへるのは全く麗しい論理。出歯亀に熱中する克巳がフと気がつくと、部屋には野球部の同期で、今は保険外高マンの富田ヒロシ(北川)が勝手に上がり込んでゐた。本来は俳優部ではなく演出部と思しき北川帯寛は、快活なルックスは申し分ないと同時に、お芝居はといふと清々しく心許ない。克巳は、高三の夏を回想する。父親で当時監督―上原がコーチ―の幸造(なかみつ)のサインを克巳が見誤り、結果チームは負けた。後日父子のキャッチボール、幸造は克巳に、大学に入つても野球を続けることを希望する。その二ヶ月後、幸造が死去したことを克巳のモノローグで告げてタイトル・イン。
 際限がなくなるゆゑ、登場順に配役の形で整理すると、有沢実紗は、克巳の入浴中にも平然と風呂に入つて来たりする、羨ましい限りのフランクな幸造寡婦・康子。幸造の後妻にあたり、克巳と血の繋がりはない。実は何時の間にか富田と男と女の仲にあり、後々実は実は、そのことを克巳には勘付かれてゐた。克巳の道ならぬ恋情ないしは劣情が、描かれることは特にはない。怠惰極まりない浪人生活を送る、克巳に引き摺られる格好の袋小路に積もらせた鬱屈を、康子は終に露にする。
 協力勢から見切れるしじみは、劇中TVニュースに登場する、頻出する女子高生失踪事件の被害者・山田志染、そこはせめて詩染にでもしてやれよ。矢張り亜成高校の生徒で、女子高生ユニット・JKS69のメンバーでもある。
 申し訳ないが、何度観ても動画だとどうにも目つきに難の感じられる鮎川なおは、康子が克巳の家庭教師に招聘した、克巳らの同級生で、現役大学院生の砂原里美。見違へるほど美人になつたが高校当時は激しく不細工であつた、といふ無理のある設定を説明する為に、わざとボサボサのおさげ髪は兎も角、露悪的な瓶底メガネを使用するのは今更なクリシェに閉口する以前に、世界の摂理に唾する大罪である。里美が初めて克巳の部屋に足を踏み入れた際、折悪しく克巳は自慰の最中であつた。表情としては喜んでゐる風にしか見えないが、「イヤ~ン」といふ声とともに里美に銀の紙吹雪を舞はせてみせるのは、鈴木則文から継承した加藤義一爆裂するポップ・センス。
 何のかんのといひながらもジョギングと素振りは続けてゐたりする克巳は、里美来訪に少し先駆けて、腰を痛め車椅子の生活にあつた。女体といふ人参をぶら提げられ、ひとまづは受験勉強の進む日々。克巳は里美が居る中でも、上原家を窺ふことは止めないでゐた。そんなある日、ただならぬ刃傷沙汰の雰囲気に、克巳と里美は緊張する。尤も、直ぐに何事もなかつたかのやうに、事後服を着る寛子の後姿が窓越しに見えた。とはいへ更に後日、JKS69の代表曲「女装子のキモチ」―何て曲なんだ―を聞き、観客目線では見え見えの上原のトリックに漸く辿り着いた克巳は、自身は身動きが取れない以上里美と富田の力を借り、上原の正体を暴くべく“上原達也の、女子高生失踪事件の真相は何処ぢやろな作戦”を敢行する。
 動きの封じられた主人公が覗く、隣人に重要事件への関与が疑はれるところから風呂敷が拡がるサスペンス。といふと世間一般的に記憶に新しく、個人的にも一般映画なのに奇跡的に観てゐた「ディスタービア」(2007/米/監督:D・J・カルーソ/主演:シャイア・ラブーフ)の、とりあへずは翻案ピンク映画といふ寸法となる。とはいへ、といふか兎にも角にもといふべきか、元展開に基本的に忠実な後半部分と、闇雲なトッピングの全部乗せの如く、イントロダクションに無理から家庭教師×未亡人×義母要素をてんこ盛り―未亡人に関しては、有沢実紗が喪服の一枚も着るではなく、概ね義母属性に収斂されもするのだが―してみせる前半部分とは完全にガッチャガチャ。逆の意味で綺麗に纏まらない物語を、別の意味で堪能させて呉れる、呉れなくて別に構はない。殆どディスタービアのクライマックス以降に話を絞つたところで、あちらこちらに至らない作劇が散見される。最後の甲子園予選、克巳が仕出かしたサイン違ひは、ヒッティングとバントとの間違ひであつたことまでは辿り着けるものの、それでは何れが正解であつたのかは、単なる節穴の読解力不足やも知れぬが、繋ぎがゴチャゴチャしてゐて甚だ判り辛い。最終的に、一件の結末を上原ではない人物に求めるのも、ノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則を持ち出すまでもなく、井尻鯛(=江尻大)を画面に載せる、端的にどうでもいいギャグに供する目的しか見当たらない。無論、蛇足でしかなからう。挙句に挙句に、締めの濡れ場で克巳が里美と終に―現実的にも―結ばれるのは全く順当な流れとしても、当初の約束は違へ、最終的に克巳は大学入試には失敗してゐるといふ二重の落とし処には、激しく理解に苦しむほかはない。話のへべれけさにスカッとしない以前に、それでは康子が抱へる焦燥が半分は抜けはしないではないか。全篇を貫く中途半端さが、極大に達した感が強い。幾ら江尻大にとつては初脚本作とはいへども、そのやうなことは商業のフィールドにあつては免罪符の写しにすらならないことなど、改めていふまでもあるまい。前作「淫乱Wナース パイズリ治療」(2010/脚本:蒼井ひろ/主演:稲見亜矢)に引き続き、加藤義一が直截には脚本の不出来に足を引かれる現況を見るにつけ、実は我々は、徒に岡輝男を過小評価してゐたのではないか。といふ思ひが、この期に胸を過ぎらぬでもない。


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 「夏の愛人 おいしい男の作り方」(2011/制作:ネクストワン/提供:Xces Film/監督・脚本:工藤雅典/企画:亀井戸粋人/プロデューサー:秋山兼定/撮影:井上明夫/照明:小川満/助監督:高田宝重/監督助手:楊友明/撮影助手:河戸浩一郎/照明助手:八木徹/編集:渋谷陽一/ポスター:MAYA/音楽:たつのすけ/出演:星野あかり・那波隆史・酒井あずさ・美咲レイラ・深澤和明・平川直大)。
 不用意に暗い照明―その悪弊は、以降に於いても散見される―の下での、「城南出版」事務員の若林夏子(星野)と、編集者の大場洋介(深澤和明/ex.暴威)との社内情事。夏子は日曜日の遊覧船観光に大場を誘ふが、家庭サービスを理由に断られる。一時の勢ひを完全に失した作家・津田健一(那波)が自ら持ち込んだ新作原稿を、若い頃の志村けんのやうな髪型の阿部邦彦(平川)がチェックする場に、先輩の大場も現れる。時間差で夏子が「どうぞ」と、お茶を出したところでタイトル・イン。
 タイトル挿んでの転調に、着物の赤も鮮やかに飛び込んで来る美咲レイラが、津田が一人で暮らす一軒家を訪ねる。一戦交へた事後、三浦紗季(美咲)は夫の欧州支社からの帰国に伴なひ、十年来ともなる肉体込み込みの援助関係の終了を、正しく寝耳に水とばかりに津田に告げる。「につぽん淫欲伝 姫狩り」(2002/新東宝/監督・脚本:藤原健一)以来、凡そ十年ぶりに銀幕電撃復帰(復帰作は今作の二ヶ月先に封切られた、渡邊元嗣の『母娘《秘》痴情 快感メロメロ』、もう少し未見)を果たした美咲レイラに、事前には正直なところ、残酷な時の神に嘲笑はれる一抹の不安も覚えたものである。ところが、表情には幾分油の乗り過ぎた険しさも窺はせるものの、元プレイメイト・ジャパンの肩書は全く伊達ではない、超絶肢体は感動的に衰へず。美神復活に、愚息と諸手で計三本の万歳三唱だ、俺は速やかにデスればいいのにな。それは兎も角、画中の口の動きと全く合はせる気のない、自由気儘なアフレコはもう少しどうにかならないものか。話を戻すと、大絶賛三番手濡れ場要員を津田の命綱を断つ形で、序盤に消化すると同時に本筋の外堀を埋めさせる工夫は、さりげないが実に秀逸である。
 続けて画面に花を咲かせる酒井あずさは、夏子の叔母・土屋美津江。自身が経営するマンションに住まはせた姪つ子を、温かく見守る。これだけ製作本数が絶望的に激減してゐる中では当然ともいへ、魑魅魍魎のレベルに達した主演女優を、芸達者の二番手以降が必死にカバーするもしばしば一蓮托生の大爆死を遂げる。かつて幾度と繰り返されたエクセスの惨劇も、今となつては過去の残酷物語。尤も、それもこの期に及んでは懐かしささへ覚えかねないセンチメンタリズムに対しては、埒の明かぬ懐古趣味と難じられるであらうか。
 阿部は評価する反面、大場は無体な一存で津田が持ち込んだ新作を没にする。大場に命ぜられ津田宅に原稿を返しに向かつた夏子は、その場の流れで居酒屋に飲みに行くことに。大場との不倫の煮詰まりもあつてか、夏子は立場も弁へず大荒れする大泥酔。仕方なく送り届けた大場と夏子は、後述する悪しき段取りに加速された勢ひにも任せ、忽ち体を重ねる。翌日、早速辞表を提出し大場との交際も解消した夏子が、矢継ぎ早に津田との仲を深める一方で、津田の小説家としての資質を諦めきれない阿部は、単独で津田に接触。編集と作家二人三脚での、復帰作の執筆を目指す。
 明けて正月に松岡邦彦が再び登板するとはいへ、2011年はゴールデン・ウィークの「罰当たり親子 義父も娘も下品で結構。」(監督:松岡邦彦/脚本:今西守/主演:舞野まや)と、僅か二本の公開に止まつたか止まらざるを得なかつた、工藤雅典にメガホンを委ねたエクセスのお盆映画。因みに今回は、昨今の闇雲エクストリーム路線を一時的に脱却し、一人の人死にも出なければ、殴打はあれど一滴の血も流れない。主演は、「THEレイパー 暴行の餌食」(2007/監督・共同脚本:国沢☆実)・「お掃除女子 至れり、尽くせり」(2010/監督・脚本:工藤雅典)二作に劣るとも勝らない、何れも主演の第三作にして投げ放し式の頓珍漢エマニエルこと、「淑女の裏顔 暴かれた恥唇」(2011/監督・出演:荒木太郎/脚本:西村晋也)も一応記憶に新しい、頑なに作品に恵まれぬ悲運のヒロイン・星野あかり。星野エフェクトを考慮に入れれば壊れてゐないだけマシといへるのかも知れないが、工藤雅典がデビュー当時、エクセス次代のエースと目された―そもそも、その頃のエクセスのエースといふのは一体誰なんだ?といふのも、分かれる以前に成立するのかどうかも怪しい議論ではあるのだが―のも今や昔か、端的な印象としてはどうにもかうにも覚束ない一作ではある。夏子の恋模様と、津田の再起。最低限話の軸はひとまづ十全に誂へられる一方で、展開の悉くが概ね平板で頼りない。夏子が大場とは乗ることの叶はなかつた遊覧船に、俄に筆の乗つた津田にもすつぽかされる一幕は、ヒロインの待ち惚けといふ恋愛映画鉄板のシークエンスにも関らず、理解に苦しむほどに力ない。大場を腰の入らないパンチで殴り倒した津田が駆けつけると、当人は深呼吸するだけのつもりであつた夏子が、如何にも危なつかしくビル屋上の縁(へり)に立つてゐたりするショットは、最早笑かせたいのかとしか思へない間抜けさである。兎にも角にも致命的も通り越し壊滅的なのが、3.11後の状況を、男女がイイ雰囲気になつたところで都合よく停電する。即ち、濡れ場の出汁に使ふロマンティックな呼び水程度にしか捉へてゐない、白痴的な認識は些かどころでは到底済まない大問題。斯様な惰弱さでは撃つなどおろか、時代と寝ることすら叶ふまい。塞がらぬまで開けさせた、観客の顎を外すつもりか。もしも仮に万が一、とかく皆で同じ方向を向きたがる、世間に対してもう少し肩の力を抜けよと促す間接的なメッセージであるのだとしても、実際の出来栄えからは、どうしやうもない自堕落さばかりが映る。わざわざ工藤雅典を連れて来ておいてこの体たらくであるならば、新田栄の温泉映画や尼僧映画では何故いかぬ。甚だしいお門違ひは承知の上で、さういふ思ひも強い。


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 「高校教師 ‐引き裂かれた下着‐」(2003/製作:シネマアーク/提供:Xces Film/監督:下元哲/脚本:金田敬/企画:稲山悌二・奥田幸一/撮影:アライタケシ/照明:代田橋男/編集:酒井正次/助監督:高田宝重/撮影助手:海津真也/出演:橘瑠璃・酒井あずさ・佐倉萌・柘植亮二・竹本泰志・佐々木基子)。撮影のアライタケシは、新井毅の片仮名表記。
 何処そこの高校、古文教師・坂本美咲(橘)のとりあへず溌剌とした授業風景。生徒要員は僅か三名、一番窓に近い高田宝重は絶妙に老けた高校生に見えなくもないが、真ん中―珍しく登校時は、後述する柘植亮二にスイッチ―の、どう転んでもオッサンにしか見えないことを諦めたかのやうにくすんだ表情が、何者なのかは不明。カメラに捉へられるのは背中からだけの、黒板向かつて一番右に至つてはオーバーオールにTシャツ姿だ。ヤル気の殆ど感じられない内トラ相手に、美咲が「判りましたか?」と豆腐に鎹を打つかの如く念を押したタイミングでタイトル・イン。
 タイトル明け、薄暗い階段を上る、実際問題短過ぎに思へなくもないタイト・スカートが有難く悩ましい、美咲の後姿。掃除婦が清掃中の男子トイレ前を通り過ぎ、放課後の教室に忘れ物の筆箱を取りに戻つた美咲は、女の悲鳴に身を固くする。美咲が恐々駆けつけてみると、あらうことか、男子トイレでは目出し帽の怪人物に、掃除婦(佐倉)が襲はれてゐた。当然衝撃を受けた美咲は、思はず犯される佐倉萌の姿に見入る。それはそれとしても、あらうことかあらうことか、その場を放置し自宅に逃げ帰つた美咲も、何者かの襲撃を受ける。合鍵を持つてゐるのか、同僚教師兼恋人の、斉藤(竹本)であつた。当然それどころではない気分―社会的にもそれどころではないのだが―の美咲ではありつつ、少し執拗に迫られると案外素直に事に及ぶ。翌朝登場する酒井あずさは、なほも動揺覚めやらぬ美咲に接触する、こちらも同僚兼、こちらは学生時代からの付き合ひともなる― た、タメ設定?―友人・伊藤緑子。酒井あずさと橘瑠璃を二枚並べた画面の、華やかさは尋常ではない。その夜緑子と飲みに行つた美咲は、奥歯に物の挟まつたやうなレイプ談義に茶を濁す。結果論的な贅沢をいふと、ここで酒井あずさにもう一発魚雷を撃つてゐて欲しかつた、希望は残らぬでもない。カット変り、清々しく同じロケーションでしかないのだが、表の看板を挿むところから窺ふに別の店のつもりなのか、バー「BON'S」、緑子はママの山崎小夜子(佐々木)と相対する。酔ひではなく、俄に欲情に潤む緑子を小夜子があしらふ状況の中、深い時間にも関らず、小夜子の息子・拓也(柘植)が外出する。拓也は美咲のクラスの、不登校生徒であつた。
 辟易のガンタンク・ピンク次作となる下元哲2003年第二作を、プロジェク太上映の地元駅前ロマンにて、コンマビジョンから2011年にリリースされたDVD版、「高校性教師 全裸の課外授業」の形で―ど頭に、新東宝のカンパニー・ロゴが入るのは何故なのか―不意に観戦したものである。純然たる私事ではあるが、全く油断してをり下拵へも何もしてをらず、すつかり忘れたのでなければ未見のピンクが始まつた瞬間には、すは緊急出撃と激しく面喰つた。何はともあれ、正方向のサプライズ。明後日のサプライズ―ハッテンともいふ―に関しては、駅前では寧ろ茶飯事だ。閑話休題、佐々木基子を扇の要に橘瑠璃×酒井あずさといふ史上最強級に強力な2トップ。そこに、恐ろしいほどに無体な濡れ場要員扱ひが爆裂する佐倉萌まで飛び込んで来る女優陣は、正しく百花繚乱。ひとまづは、下元哲にとつてもエクセスにしても共に十八番の、重量級エロ映画ではある。さうはいへ、全く頑丈な裸映画であると同時に、裸の劇映画としては、直截に木端微塵。小夜子が、緑子と美咲にそれぞれ狂ひ咲かせる百合の花の途轍もない長さに、冒頭の佐倉萌レイプ事件が一旦は完全に霞んでしまふ勢ひには、正直途方に暮れざるを得ない。謎の強姦魔の正体を軸に、漸く女の裸のみに支配された始終が、展開としての求心力を取り戻しかけた最終盤。酒井あずさが二度目の濡れ場の締めにさりげなく投げた、その時点に於いては正体不明の台詞を、見事に回収してみせる大胆かつ精緻なな妙技に大感心したのも束の間、最終的には卓袱台を床板ごと引つ繰り返してみせる。緑子が淫靡に、助けもせずに呆然と立ち尽くす斉藤の股間に手を這はす瞬間が、今作のチェック・メイト。救ひのないヒロインの境遇と、放り投げられた映画自体の処遇。二重の意味でのバッド・エンドに愕然とさせられる、別の意味での豪快さが苦笑気味に微笑ましい。

 冷酷極まりないラスト< レイプ魔ンは斉藤、ではなく筆卸して貰つた緑子にセックスを滅茶苦茶にされた拓也。ボコられた美咲が無惨に犯される傍ら、斉藤は緑子にNTR


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 「韓国の人妻たち 激しく、淫らに」(2002/製作:IIZUMI Production/提供:Xces Film/監督:北沢幸雄/脚本:北沢幸雄/企画:稲山悌二《エクセスフィルム》/製作:北沢幸雄/撮影監督:下元哲/録音:田村亥次/助監督:城定秀夫/照明:Kim Sun Gu/メイク:Kong Yun Ju/コーディネーター:Kang Moon Seak/効果・選曲:藤本淳/ネガ編集:酒井編集室/現像:東映化工/協力:SOCIO ENTERPRISE/出演:Min Ji Min・Ses Ha Na・Sha Rin・Ro I Ri・Kim Won Bok)。出演者は、全てポスターではミン・ジミン、ハナ、ロ・イリ、キム・ウォンボクと片仮名表記に。Sha Rinが、何故かヒョンスと名前が変る。各種資料にある編集の北沢幸雄は、確か本篇クレジットには見られなかつた。各部のセカンド乃至サードは、初めからクレジットされず。
 ソウルでいいのかな?韓国の繁華街、後に抜かれる店名は「CLUB E・Z」。マスターのキム・プシク(金富軾/Ro I Ri)が、仕方なく酔ひ潰れた常連客のチェ・ジハ(催芝河/Kim Won Bok)をそろそろ帰さうとする。Ro I Riが、遠目には中田英寿に酷似してゐる―正面から見ると全然違ふ―のが何となく琴線に触れる。因みに会話は全篇韓国語でなされ、親切設計の馬鹿デカい字幕が入る。なほも呑み足りないチェは、キムにも酒を勧める。何事か悩みの種を抱へてゐるのであらうと踏んだキムは、チェに話すことを促す。ある日、妻への誕生日プレゼントを手にしたチェがコッソリ帰宅したところ、細君のチェ・ソニ(催仙姫/Min Ji Min)は自慰の真最中。自分といふものがありながら、加へて自分に抱かれる時よりもいい声で泣くソニの姿に衝撃を受けたチェは、それから酒に逃げる日々を送つてゐた。ところが、チェの告白を聞いたキムは、一笑に付しまるで深刻に取り合はない。気色ばんだチェに、キムは自身が知るオナニー好きな女達の話を始める。五年程前にキムが付き合つてゐた旅行添乗員のパク・ボンミ(朴福美/Sha Rin)は、不倫相手との電話での別離がてら、その場でオナニーを始め以来味を覚える。続いて、女子大生当時「CLUB E・Z」でアルバイトしてゐた、チェも知るイ・ヨンミ(李泳美/Ses Ha Na)は、キムいはく“消極的”なボンミの更に先を行く、ビアンではないと同時に男とのセックスにも興味を持たない、“積極的”な一人遊び愛好者。自ら下着の中にローターを仕込んでの羞恥散歩に戯れるほどのヨンミは、ある時閉店後の「CLUB E・Z」にて、オナニーするのをキムに見てゐて呉れるやう求める。結局は、模擬戦から本戦に突入してみたりもするのだが。因みに因みに、濡れ場に突入すると基本女が一人で喘いでゐるだけなので、巨大な字幕に妨げられることは概ねない。
 壮絶なキネコ画質と、お話が出鱈目以前に満足に成立すらしてゐなかつたのはウッスラと無内容を覚えてもゐる、洋ピンならぬ韓ピン「白い肌の韓国美女 熟れごろ」(2001/監督・脚本:ポン・マンデ)の流れを受けたのだか迎へ撃つ形で、北沢幸雄が数名のスタッフを引き連れ半島に乗り込んだ―今作の助監督を務める城定秀夫も、つい先日伊藤一平一人をお供に渡韓したばかり―コリアン・ピンクの、更に旧題ママによる2011年新版である。とりあへず原版に関しては、矢張りといふか何といふか、兎も角ビデオ撮影。そこはそれ、撮影監督の座に下元哲が納まるだけに、エクセスの大罪作「犬小屋の妻 発情しました」(2004ではなく1999/監督・脚本:川崎軍二/主演:小林しのぶだか新城蘭)よりは幾分以上にマシかとも思へるものの、今回も目が痛くなるやうな、最後まで慣れることなど断じてあり得まいキネコ画質には、閉口させられるほかない。当時と比較すると映画・TVドラマから、音楽に主軸を移した点を筆頭に諸々ニュアンスを違へてもゐるとはいへ、依然いはゆる韓流ブームとやらがひとまづ続く昨今ではある。尤も、敵は世間一般的な宣伝活動が殆ど全く存在しないピンク映画といふフィールドにあつて、この期には何処の誰とも知れぬ韓国女の裸に釣られた、一体何人の観客が小屋の敷居を跨ぐのか、といつた実も蓋もない疑問も清々しく残る。詰まるところはチェとキムの短い遣り取りの合間合間を、延々延々ひたすらに延々オナニー・シーンが繋ぐといふよりも埋め尽くす勢ひのスッカスカの物語が、それでは素直に詰まらないのかといふと、案外さうでもない辺りが非常に面白い。最終的にはチェ夫妻の壊れかけた夫婦関係を修復し、始終を然るべき落とし処に軟着陸せしめてみせる結末には、長いキャリアは決して伊達ではない北沢幸雄の貫禄が何気なく轟く。久方振りの、夫婦生活一回戦を終へた低いベッドの傍ら、リモコン式なのか、チェが改めての誕生日プレゼントにとソニに贈つたバイブが、勝手にウネウネ動き始めるラスト・ショットが妙に抜群の強度で、立て直された娯楽映画を締め括る。事前には、四年後に下元哲がこちらは35mm主砲を無事にフィリピンで放つた、「淫婦義母 エマニエル夫人」(2006/脚本:関根和美・水上晃太/主演:サンドラ・ジュリア)と同様の代物かとも思へたものだが、それは流石に北沢幸雄に対して失礼であつたやうだ。


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