真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「和服ONANIE 濡れた腰巻」(1998/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:夏季忍/企画:稲山悌二[エクセスフィルム]/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/音楽:レインボー・サウンド/監督助手:竹洞哲也/撮影助手:池宮直弘/照明助手:大石政弘/効果:中村半次郎/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/出演:石堂亜依・七月もみじ・川島ゆき・竹本泰史・杉本まこと・久須美欽一)。脚本の夏季忍は、久須美欽一の変名。
 庭から縁側を抜いて、脱ぎ散らかした着物の先では、馬面の主演女優が腰巻を一人で濡らす。カメラが引いてのタイトル・インまで三十秒強、開巻直後に新田栄が誇るスピード感が心地よい、何気に強度さへ感じさせる繋ぎが完璧。俯せで尻をヘコヘコさせるのが思ひのほかエロい、愛川泉(石堂)が和服ONANIEを都合三分半費やし大完遂するのに続いて、正直身を入れてロケーションを希求したとは映り難い、何の変哲もないそこら辺の児童公園。今より痩せてはゐるものの、険しく不健康さうに見える竹本泰史(現:泰志)が呆然と黄昏てゐるのは、泉の夫・春樹(竹本)のリストラ後求職活動爆死。三日月の画を噛ませて、泉が縁側から綺麗な月に見惚れる愛川家に、くたびれ通り越しやさぐれ果てた春樹帰宅。泉が素直に愛でる蛾眉を、春樹はといふと「あんなにまん丸だつた月が」、「まるで今の俺みたいだ」。複雑な自虐をしやがる野郎だ、時に岡輝男がシュールの領域に突入しかねない、陳腐が珍奇への紙一重を突破するドラマを書いてのけると思ひかけて、ふと振り返つてみたら久須りんだつた
 配役残り、304号室「橘会」の扉を抜いて乳繰り合ながら飛び込んで来る杉本まことと七月もみじは、有料ボランティア―泉に対する説明ママ―橘会主宰・田所勇と、右腕兼情婦・工藤和江。田所の増員要求に従ひ、和江は和江目線では春樹をカッ攫はれた格好といふか因縁にもある泉を、和服を着て癒されない富裕層の心のケアをするとかいふ活動内容が正体不明の橘会に勧誘。久須美欽一と川島ゆきが、泉の橘会初陣先にして、ミサトニックな豪邸に住む江原勝則とその妻・智子。要は何だかんだな―とでもしかいひやうがない―出張売春である橘会事務所に、踏み込む刑事は流石に情報量不足で特定不能。
 気の所為かあるいは迷ひか、この人の映画を見ると何故だかホッとする新田栄1998年第八作。泉を何となく口説き落とした和江は、川原で相ッ変らず燻る春樹を急襲。ザクザク膳を据ゑて来るのに春樹が一旦戸惑つた、カット跨いで即ラブホ。泉の江原邸来訪二日目、初日で英気を取り戻した勝則が、庭にて諸肌脱いで木刀なんか振つてゐたりするのに、体が弱いアピールの智子は暫し勿体ぶる素振りを見せた上で、「主人の性欲を貴女に鎮めて貰へないかと」。「はあ!?」と泉が口をあんぐりしたカット跨いで即寝室、かつオン・ザ・ベッド。随所で火を噴き倒す、新田栄の神の速さ。それとこの期に及んで改めて気づいたのが、新田栄の濡れ場は体位移行が実は実に円滑、一欠片のストレスも感じさせない。反面、小屋の暗さの中では、快眠に誘はれかねないのかも知れないけれど。江原邸日参で生計の目処が立つたかと思ひきや、手入れを喰らつた橘会は壊滅。するや否や今度は春樹の再就職が決まる雪崩式のハッピー・エンドは御都合の塊でしかないにせよ、春樹の帰宅を待ち侘びての、夕茜に染まる愛川家和室。再度四分撃ち抜く和服ONANIEは、大股開きを遮るボカシも案外最小限に大団円完遂。霞よりも稀薄な物語を塗り潰す入念なラストが見事な、久須美欽一の裸映画にとつてある意味過不足ない脚本を、新田栄の妙手がサラッと捌いたさりげない佳品。これでビリング頭がもう少し美人であつたなら印象も全く違つて来たものを、だから、寧ろだからこそのエクセスだもの。

 今作単体でチャーミングなのが、和江が泉に目星をつけた流れでの愛川家応接間。ポストから回収して来たと思しき、封筒の束を手に泉がお金が全てぢやないは云々と能書を垂れてゐると、和江からの電話がかゝつて来る。結局電話かよ、郵便物どうしたいんだよ!ちぐはぐすぎて逆に面白い。


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和風旅館 若女将の赤襦袢」(1998/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:夏季忍/企画:稲山悌二[エクセスフィルム]/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/ヘヤーメイク:川辺久美子/音楽:レインボー・サウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/照明助手:原康二/効果:中村半次郎/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学[株]/出演:柿沼ゆう子・林由美香・杉原みさお・樹かず・田嶋謙一・久須美欽一)。出演者中田嶋謙一が、ポスターには田島謙一。脚本の夏季忍は、久須美欽一の変名。
 赤襦袢の畳紙を解き、「母さん、私は今夜、母さんの形見のこの赤い襦袢を着てあの人に抱かれます」、ヒロインが亡き母に報告だか宣言してタイトル・イン。久須美欽一の入念な舌戯が延々と火を噴く、亡母から温泉旅館「梅田屋」を継いだ若女将の叶涼子(柿沼)と、建設会社社長・岩田時三(久須美)の一戦。は後背位手マンの途中で一旦切り上げて、そこかしこにダム建設反対のビラが貼り散らかされる群馬の何処かの山町。涼子が梅田屋の板前・桜井清次(樹)と、母の墓を参る。先代大女将が死んで三年、は兎も角。梅田屋が存する一帯は、五年後にはダムの底に沈む計画が予定だか決定。桜井には今のうちにな好条件の転職を勧めつつ、涼子は最後まで梅田屋を守り抜く負け戦の腹を固めてゐた。
 配役残り林由美香は、落ち合ふ約束を反故にしたどうせ不倫相手辺り・哲夫(名前しか登場せず)にスーサイドする旨を匂はせる書き置きを残し、梅田屋から姿を消す野瀬珠子。涼子に報され、旅館のライトバンで慌てて山に飛び込んだ桜井が、身を投げようとしてゐた珠子をすんでで保護してからの一幕。気を失つた珠子をバンに運び込んだ桜井は、派手に肌蹴た裾から覗く太股とパンティにポップな生唾。を呑むまではいいとして、脊髄反射で手を出してんぢやねえよ。しつかり指挿れてんぢやねえよ、それから―バンの―ドアもきちんと閉めてんぢやねえよ、挙句ハモニカ吹いてんぢやねえよと、大草原広がるツッコミ処連打の一幕は、エロいといふよりも寧ろ清々しく可笑しい。田嶋謙一と杉原みさおは、ダム建設の地元の下請業者・山辺と、山辺懇意のパニオン・マリリン。ところで下請が山辺なら元請はといふと、それが大学時代、山岳部の合宿で当時は涼子の母・菊江(柿沼ゆう子の二役)が女将の梅田屋に宿泊した思ひ出もある岩田。町に入つた岩田は、涼子に菊江の面影を見る。もう三人、男三人が浸かる露天風呂を引きで抜く繋ぎの画、新田栄と加藤義一までは辛うじて判るけれど、もう一人は素性自体が謎の北村隆?
 岩田が涼子に菊江の面影を見て、ダイレクトに突入する回想パート。岩田が菊江の赤襦袢の中に上手いこと完全に潜り込んで、男優の姿は消したまゝ正常位に喜悦する女の裸だけを見せる斬新な絡みには感心させられた、新田栄1998年第六作。回想パートに引き続き、怪我の功名でデキた珠子と桜井が布団部屋にて致すのと、岩田が山辺からマリリンを宛がはれる件とが並走。林由美香V.S.樹かず戦では凝つた構図が目を引き、杉原みさおV.S.久須りん戦に於いては、臍酒ワカメ酒と畳みかけ「さ、今度は私のも頼むよ」と王道の切り返しで尺八を軽く吹かせた上で、机越しの後背位へと連なる流麗な展開が光る。一方、お話的には哲夫との希望駆け落ちに際し全てを捨てて来たゆゑ、岩田屋に転がり込んだ珠子と桜井とが、岩田屋を見切る見切らないのドラマを取つてつけた程度に開陳し、岩田屋は存亡の危機を、一つでも大概な超展開を二つ―大体公共事業が、一土建屋風情のその場の一存で引つ繰り返るものか―重ねて回避する。地味に完成度の高い濡れ場の合間合間を、霞の如き物語で埋めた一作と思へば、新田温泉映画のそれはそれで案外水準の高い佳篇と、首を縦に振つて振れなくもない。ところでは、あつたのだけれど。周囲の反対を押し切り私生児として涼子を産んだ菊江が、生前父親は岩田だと娘に言ひ残したのと、岩田はその他大勢と一緒に憧れてゐただけであると全否定する間に横たはる、看過能はざる齟齬が最後まで整理されずに残る。兎にも角にも、確かに岩田は菊江を抱いてゐた回想パートが邪魔なのだ。あれはリコレクションではなく実は単なるイマジンに過ぎないとする一手間を設けて呉れないでは、開巻がクライマックスで復活する涼子と岩田の情事が、禁忌が余計な枝葉の近親相姦になつてしまふ。立ち退きに抵抗する梅田屋へのカウンターにと、山辺は料理に陰毛が入つてゐたと難癖をつけ涼子を手篭めにする。方便のへべれけさに関しては主演女優の裸に免じてさて措くにせよ、事後庇ひ立てして貰つた風に涼子を気遣ひ涙を落とす珠子の姿を見てゐると、恐らく切つたものかと推定される珠子が山辺に配膳したカットでもないでは、犯されたのは涼子なのに、珠子が泣く意味が判らない。締めの濡れ場を完遂したドンピシャのタイミングで、“終”が叩き込まれるラストが完璧なだけに、なほ一層そこかしこに開いた大穴小穴が目立ちもするのは勿体ない。


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 「ノーパン添乗員 あなたを握りたい!」(2004/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二《Xces Film》/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/スチール:佐藤初太郎/助監督:広瀬寛巳/音楽:レインボーサウンド/監督助手:茂木克仁/撮影助手:池宮直弘/選曲効果:梅沢身知子/録音:シネキャビン/製作進行:阿佐ヶ谷兄弟舎/現像:東映ラボ・テック/出演:Mew~ミュウ~《夏目衣織》・山口玲子・城春樹・柳東史・兵頭未来洋・丘尚輝・鏡麗子)。出演者中、目一杯盛つた主演女優の表記が、ポスターではMeWにミュウのふりがなと括弧夏目衣織。
 ガイドに耳も貸さず勝手に動く「東京グルメツアー」参加者を、「山手旅行」新宿支店のノーパン添乗員・井上みはる(Mew)が尻で掌握してタイトル・イン。ノーパン添乗員が一欠片のエクスキューズもなく初めから存在する、何て大らかな世界、底が抜けてゐるともいふ。ツアー参加者の面々はピースでポップに写真を撮られる加藤義一に、加藤義一の画面左手のイケメンが茂木克仁、右手に新田栄とニットのひろぽん。加藤義一と写真を撮つて撮られてする、サカエ企画地味に頻出の中年ナード風オッサンは全体誰なのか。
 大した物語もないのでサクサク配役残り、実も蓋もない。岡輝男と同一人物の丘尚輝は、山手旅行の新宿支店支店長・朝比奈陽二、みはるとは不倫関係にある。兵頭未来洋は新婚旅行の観光案内といふ思はぬ形での再会を果たす、みはるの元カレ・吉岡誠。鏡麗子が、水曜ドリフ―正式タイトルは「ドリフと女優の爆笑劇場」―感覚の新妻・由佳。m@stervision大哥が夏目衣織とは別撮りと踏んでをられるのが実際さうとしか見えない山口玲子は、劇中もう一人のノーパン添乗員・星川安子。柳東史は、安子が修学旅行の下見に随伴する大日高校教師・目黒幸彦。城春樹は子供宅を訪ね上京するも、邪険にされる鶴田圭造。仕方なく自力で東京見物に繰り出したはいいが道に迷つてゐたところ、干され気味にブラブラしてゐたみはると出会ふ。
 駅前ロマンか故福岡オークラで観てゐておかしくない筈にも関らず、清々しく初見の印象の新田栄2004年第二作は、二年後の復帰から改めて本格参戦するミュウのピンク映画初陣。この御方、AV女優のプロダクションを起業し目下も活躍中ではありつつ、何時頃か失念した数年前には腹が立つ云々よりも、当人のコンディションが心配になるレベルのピンクに対するヒステリックな呪詛をツイッター上にて撒き散らしてゐたりもした。この時ミュウに何があつたのかといふのと、果たして派手に臍を曲げさせたのはフィルハ勢なのか竹洞哲也なのか浜野佐知なのか、それとも池島ゆたかなのか。
 映画の中身に話を戻すと、新田栄に対し過剰に辛いm@stervision大哥はにべもなく匙を投げておいでだが、主演女優から全く独立した山口玲子パートに際しては、みはるが対吉岡新婚夫婦戦にて仕出かしたゆゑ、大日高校の修学旅行セールスといふ大一番に安子を起用する。といつた塩梅に、一応最低限の方便は踏んである。寧ろ、鶴田とのミーツを通して発案した「映画ゆかりの地を巡るツアー」でみはるが失地回復するラストに際して、安子も安子で―恐らく目黒相手に―爆死した顛末が、爆死したらしき旨が朝比奈に軽く触れられるだけでスッポリ抜けてゐる、ついでに吉岡のインスタント離婚についても。それもさて措き最大の問題は、問題といふのも何だがどストレートな「東京物語」feat.「君の名は」を繰り出す鶴田篇。九年前の前科も踏まへ邪気のないシネフィルぶりに触れるに、かう見えてといふとどう見えてなのか我ながらよく判らないが、新田栄も、若い頃は面白味に欠けるほど普通の映画青年であつたのだらうか。それにつけても、ただ単にど真ん中世代と片付けてしまへばそれまでの話に過ぎないのかも知れないにせよ、ナベ池島ゆたかと来て、そして元祖「君の縄」の片岡修二。ピンク映画界に、「君の名は」好きが何気に散見される件。

 ミュウに闇を植ゑつけた元凶に関して、そもそもな新田栄を忘れてた。


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 「馬小舎の未亡人 異常興奮」(1997『馬と未亡人芸者』の2003年旧作改題版/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二《エクセス》/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/音楽:レインボーサウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/照明助手:田村崇/効果:中村半次郎/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/出演:速水千佳・しのざきさとみ・杉原みさお・久須美欽一・杉本まこと・丘尚輝・ビッグセイコー号《牡》8才)。ポスターは異常興奮にハイフンつきで、ビッグセイコー号の表記がビッグセイコー号《8才牡馬》。
 三味鳴る何処ぞの温泉旅館の一室、マザーならぬファザー牧場の誘致を目論む町長の不破(久須美)と、不破がファザー牧場関係者の接待、要は色仕掛け要員に招聘した未亡人芸者―不破曰くには枕芸者―の駒奴(速水千佳/九十年代中盤作でしばしば聞き覚えのあるアテレコ)。不破が駒奴を机に座らせ、何でも呑み込むとの観音様を検分してタイトル・イン。遺影のひとつ抜かれるでなく、駒奴の寡婦属性には過積載のタグづけといふ以外に、殆ど意味はない。
 不破がファザー牧場専務・京極(杉本)をもてなす座敷に、駒奴が上がる。軽く顔見せした上で、駒奴は一旦風呂に。エクセスライク迸る主演女優が、悠木あずみを更に縦に延ばしたやうなある意味綺麗な三日月顔ながら、手足は案外長くプロポーションは悪くない、トランジスタグラマなオッパイは詰め物だけど。駒奴が湯を浴びる間に、不破が京極の気分を盛り上げようと取り出したVHSの中身が、馬の交尾。目を白黒させる杉本まことのリアクションが、久須りんに対するこのオッサンは何を仕出かしやがるんだといふ観客のツッコミを代弁する。とまれ駒奴と京極の一戦、実は京極は相手を見つけるのに窮するほどの度外れた逸物の持ち主であつたのだが、だから何でも呑み込むらしい駒奴にはキッツキツで辛うじてフィットする。客でしかない京極に恋心を懐き始めた駒奴がぼんやり歩いてゐると、東京から『馬の生殖器の働きと機構に関する考察』―そこは“機能と機構”とかにならないか?―なるレポートの仕上げに当地を訪れた女子大生(杉原)が、お馬さん(ビッグセイコー号)の精液を採取するのに、わざわざ半裸にまでなり尺八をも吹く現場を目撃する。ビッグセイコー号の大巨根に、駒奴も心奪はれる。ところでビッグセイコー号は原野の中適当に繋がれてゐて、どんな掘立であれ馬小舎は登場しない。実に、エクセスだなあ。
 配役残り、丘尚輝が駒奴に向ける憧れの眼差しにも特に意味はない宿の番頭で、しのざきさとみが女将。杉原みさおの濡れ場はマッサージに呼ばれた番頭―何故番頭がマッサージに出張るのか?といふ疑問を持つのは禁物だ―が、何だかんだそのまゝ喰ふ形で、しのざきさとみのは女将が浸かる展望風呂に不破が現れての、悪代官と越後屋的に消化する。その他駒奴の蛤芸に拍手喝采する助平客に加藤義一と、もう一人。
 再び何のものの弾みかこの期に及んで小屋に飛び込んで来て呉れた、DMMでも見られない新田栄1997年最終第七作。2012年十月には1996年第四作「痴漢と覗き 未亡人と猫」、の2005年新版「四十路未亡人と猫 ねぶり責め」(脚本:岡輝男/主演:秋山ルナ)と、2003年第六作「黒犬と和服未亡人」の2010年新版「犬と後家さん -腰巻の中で-」(脚本:岡輝男/主演:高岡愛)と今作の三本立てで、「驚異の世界!新田栄のアニマル・セックス大会」なる今でいふパワーワード感爆裂する豪快な番組を組んでみせた新世界日活(大阪)は、2015年九月末に閉館、今はもうない。
 人間同士の絡みで新田栄らしいアクロバットな体位を結構貪欲に披露するほかは、お馬さんもの的にはお馬さんの御馬様に女優部が出来ることなど高が知れてゐる以上、特にも何も画期的なシークエンスを打ち出すでなく。駒奴のベクトルもビッグセイコー号よりも矢張りといふか何といふか、兎も角京極に向き、展開の主軸は取つてつけたが如き駒奴と京極の恋路が担ふ。正直お馬さんといふ飛び道具を有したことに胡坐をかいたといふ誹りも免れ得まい、常日頃に劣るとも勝らない薄いのも通り越しスッカスカの物語を兎に角通過した果てに、お約束の全裸乗馬ショットで締めてはみせるラストを前に、よしんば―個人的には理解に遠いが―観客の動員力はあつたにせよ、馬系の獣姦ピンクに何か一本でもマトモに面白い映画があつたのかと、今更にもほどがある根本的な疑問が胸中に去来する。

 付記< わざわざDMMでタマキュー(珠瑠美旧作の意)を見た怪我の功名で、漸く改めて確認した。主演女優アテレコの主は仲山みゆき、仲山みゆきが、自分でアフレコしたことが一度もないのでなければ


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 「愛人名器 ‐奥までイボイボ‐」(1998/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二《エクセス》/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/音楽:レインボー・サウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:弁田一郎/照明助手:大橋陽一郎/効果:中村半次郎/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/出演:葉賀みのり・葉月螢・林由美香・杉本まこと・田中あつし・丘尚輝・清水大敬)。出演者中、丘尚輝は本篇クレジットのみ。なのだけれど、後述する。
 愛人の山口留美(葉賀)宅にて、松岡隆博(杉本)が下になる顔面騎乗クンニ開巻。名器が売りのヒロイン像ながら、いはゆるロケット型の葉賀みのりのオッパイの破壊力も素晴らしい。カメラが一旦引いてタイトル・イン、改めて騎乗位。イボイボだらけの留美の名器に白旗を揚げ、隆博が再びクンニに逃げるとクレジット起動。エクセスライクが叩き出した類稀な逸材が、流麗な繋ぎを通して美しく輝く奇跡。
 対面騎乗位であつさり陥落させられた隆博は安穏と二回戦を望みつつ、関係の潮時感も滲ませる留美が食傷してゐると、隆博の携帯が鳴る。何事かポリス沙汰とやらで隆博はそゝくさ帰還した松岡家、妻・幸子(葉月)の兄に放逐された義父・城島竜造(清水)が、話を聞くにピンサロの勘定で揉めて菊の御紋の世話になつたとのこと。完全に臍を曲げる幸子に対し、隆博と城島は男同士のなあなあさでまあまあと茶を濁す。
 配役残り林由美香は友人である留美を夜分に訪ねる、昼間は普通のOLでもある「MEN'S CLUB 竜宮城」の嬢・長瀬えみり。えみりの第一の用件はヒリヒリする観音様を冷やすアイスノンを借りるといふもので、田中あつしがその原因たる客。由美香と田中あつしの濡れ場も流れるやうな体位移行を披露しつつ、結局田中あつしがえみり観音を損耗させたところの所以はてんで判らないでゐると、「何それ、それぢやえみりの方が激しかつたんぢやないの」と留美の的確なツッコミが入る地味なカタルシスは出色。その他、この人も昼間はまさかの実名登場あさひ銀行に勤める―怒られても知らんからな―留美が、金融商品を来宅セールスする初老の男はアフレコまで新田栄。問題は、今更でもあるがイコール岡輝男の丘尚輝が、何ッ処にも出て来ないぞ。父親に手を焼き追ひ出した幸子の兄なり、えみりが正妻から略奪した不倫相手なり、候補となるポジションは、幾つか見当たらなくもないものの。結局切つて、公開プリントには残つてゐないのでは?あるいは、どうせ出てんだろ程度のいい加減さで、脊髄反射的にクレジットしてみたのか。何れにせよ、如何にも量産型娯楽映画的な大らかさではある、肯定的に捉へるのかよ。
 絡みのみならず、否、寧ろ絡みを通して円滑に繋がる物語が思ひのほか秀逸な、新田栄1998年第二作。留美を訪ねたえみりの本題たる二つ目の要件は、不倫相手の出張に同行してゐる間の、会社の有給はサクッと取れたが竜宮城のシフト埋め。そんなこんなで留美が気晴らしがてら快諾した「MEN'S CLUB 竜宮城」に、娘のへそくりをくすねた城島が遊びに行く。留美の名器に惚れ込み、何気にでもなく幸子とは別れる腹を―留美の意向は問はずに―隆博が固める松岡家か娘の一大事が燻る中、城島が割つて入る形の展開は裸と映画を両立させて普通に面白い。加へてかといつて、そのまゝ素人にも読める落とし処にはすんなり行かず、折角纏まりかけた始終を徒に畳み損ねたかに見せかけて、実は“三ヶ月”は敷設済みの、清大の突破力も借りた力技の大団円が改めて振り抜かれる。コンドーム推奨を織り込んでみせるのも心憎い、えみりは寿引退した竜宮城に暫し留まる留美の下に、田中あつしが再登場する締めの濡れ場まで案外完璧。一見他愛ない御都合極まる作劇にも思はせて、女の裸があつて初めて起承転結が完成する。一欠片たりとて勿体ぶらないシレッとした仕上がりが“無冠の帝王”新田栄らしくスマートな、ピンクで映画なピンク映画のひとつの完成形である。


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 「極楽昇天風呂 ‐カキ回して!‐」(2000/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:夏季忍/企画:稲山悌二《エクセスフィルム》/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/スチール:佐藤初太郎/音楽:レインボー・サウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/照明助手:大橋陽一郎/効果:中村半次郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:麻木涼子・林由美香・佐々木基子・なかみつせいじ・熊谷孝文・久須美欽一)。脚本の夏季忍は、久須美欽一の変名。
 灯籠からカメラが適当に引くと、主演女優が浸かる露天風呂でサクッとタイトル・イン。クレジットが俳優部に差しかゝるところで女の裸に寄り、「さうだ」と始めたいい加減な腕立て伏せに、監督クレジット。ある意味順調に走る、メリハリのメリのみで構成された開巻が堪らない。
 本篇に突入しても依然、めりめり音を立てんばかりにメリ続ける。リチャード・クレイダーマン風の適当な劇伴鳴る中、温泉企画の取材で老神温泉を訪れた雑誌編集者の山瀬薫(麻木)がてれてれ写真を撮り撮りほつゝき歩く様子に、漫然と尺を費やす。全体何を狙つてゐるのだか甚だぼんやりしたロングから、わざわざ老神温泉の立て看をアップで抜いてみせる意味が判らない、別に見切れる程度でええぢやろ。薫が逆ナン的に声をかけた金城(なかみつ)は、大手旅行代理店の台湾支店長まで上り詰めたもののリストラされ、挙句女房にも逃げられてゐた。商用で来たにも関らず、宿を取つてゐなかつた薫は、金城に連れられ懇意の老神観光ホテル「観山荘」に。女将の郁代(佐々木)は金城を見るやすは商機と色めきたち、ついでに薫が入つてゐた露天風呂に遅れて現れた金城は、豪快なイマジンを膨らませる。郁代も交へ三人で痛飲したその夜、郁代がガンッガン膳を据ゑる金城の部屋に、頭痛薬でも求め訪ねた薫がアテられ自慰に耽つてゐると、何時の間にか薫の傍らには支配人の細井(久須美)が。「いいはこの際」と、薫は細井を喰ふ。抜いた底の数々でドミノ倒しを戯れるが如く、一昨日から明後日へと流れる展開は新田栄映画の真骨頂。褒めてゐるのか貶してゐるのだか我ながらよく判らないが、好き嫌ひならばさして迷ひもせずに好きだといはう。血迷ふたか?さうかもな。
 編集長の田辺に電話一本で企画をキャンセル(電話越しの声は少し声色を変へた久須りん)され、梯子を外されたか凧の糸の切れた薫は、二度目の「さうだ」でズンドコ仲居デビュー。何が「さうだ」なのか、細かいことは気にしないで。配役残り、薫の温泉卵を股の下で被弾する助平客は、中盤と終盤の順に新田栄と加藤義一。二幕共用される、連れの若い男は不明。林由美香が金城の逃げた女房かと思ひきや、観山荘で細井と再会する、細井東京時代の愛人・ユミ。この期にだが今は何処でどうされてゐるのか熊谷孝文は、ユミの人の好い婚約者・北野小路彦摩呂。
 都会暮らしに疲れたかどうかした女が、温泉宿にて仲居かコンパニオンに転身、破廉恥サービスで好評を博す。新田栄―と弟子の加藤義一―が果たして同じ話の中身の映画を全部で何本撮つたのか、わざわざ改めて数へてみる気にも別にならない2000年第五作。何時か凄く時間にゆとりがあつて、機嫌もいい日にでも恵まれれば。
 いい湯加減の幸福感が案外満更でもない、新田栄の温泉映画に対しては常々もう少し評価されても罰は当たらないのではあるまいかとも思ひつつ、今作の出来は決して芳しくない。そもそも幾ら派手に、あるいはそんざいにとはいへ、精々一回掌を返された程度の薫は何も完全にドロップアウトした訳ではなく、金城に関しては何気に心配な去就も姿を消した嫁も見事に等閑視。再会後は細井とヨリを戻す気満々のユミが、薫が仕掛けた小芝居にコロッと再び北野小路に乗り換へるのも粗雑に過ぎる。あれもこれもスッ飛ばしたスットコドッコイな裸映画ではあれど、ビリング頭が華麗にエクセスライクを回避した女優部は十二分に盤石で、首の皮一枚繋がる。


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 「変態盗み撮り ‐生々しいSEX‐」(1992『盗撮《生》ラブホテル』の1999年旧作改題版/製作:新映企画株式会社/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:亀井よし子/企画:伊能竜/撮影:千葉幸男/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/助監督:高田宝重/撮影助手:新川四郎/照明助手:石井克男/監督助手:高橋ルナ/音楽:レインボー・サウンド/効果:時田グループ/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:北野まりも・水沢亜美・須藤静香・坂入正三・吉岡市郎・石神一)。企画の伊能竜は、向井寛の変名。
 アトラスと並んで御用達のラブホテル「アラン・ド」の看板抜いて、301号室。ホテトルを呼んだ常連客の野村(坂入)がイメージ・トレーニング風に腰をヘコヘコ振つてゐると、嬢到着。ホテトル「ニャンニャン」に入つて一週間との源氏名エル(北野)に野村は狂喜、気前よく弾みつつ、プレイの方は有無もいはさず手篭めにする。その模様、カット跨ぐやガラッと画面のルックが変るのが、また無頓着な映画だなあと呆れかけてゐると、隣室の覗き窓視点、すまなんだ。フロント係の佐川ミサオ(石神)が、社長の趣味で盗撮カメラを回し始めてタイトル・イン。幾分焦点のボケた新題に対し、直球勝負の旧題はピシャッとハマる開巻に、新田栄の馬鹿にならないシャープな手腕が光る。この際だから―どの際だ―どエラい筆禍をしでかしてのけると、m@stervision大哥の功罪最大の後者は、新田栄の過小評価だと思ふ。
 エルこと典子(改めて北野まりも)はニャンニャンの同僚兼、一軒家を二人で借りる同居人の金井ミミ(終盤幾許かのドラマも担ふクレジット序列推定で水沢亜美)に男が出来たと出て行かれ、一人では家賃を払へぬと頭を抱へる。ところが帰宅したところ、人の気配に典子が一室のドアを開けてみると、「今日からここに住むんだヨロシク」と超絶気軽に佐川がゐた。ミミの代りに―多分不動産屋が―捕まへて来たのが佐川で、ホテトル日勤の典子と、フロント夜勤の佐川とは生活が被らないだとか何とか、ミミには適当に言ひ包められる。因みにエルと佐川が既に覗き窓越しに交錯してゐる点に関しては、典子はエル時にはショートのウィッグで変装してゐるとかいふ大らかな方便。徹頭徹尾、髪が短いだけなんだけど。
 配役残り不完全消去法で須藤静香と吉岡市郎は、見られてゐないと興奮しないとエルを呼ぶ、面倒臭い不倫カップル。「最近変つたのは撮れたか?」とザックリした電話を佐川に寄こす、社長の声は新田栄。
 物の弾みで始まる男女の共同生活、と掻い摘むと案外どストレートなラブコメにも思へて来る新田栄1992年第四作。どストレートなラブコメがとてもさうは見えないのは、ラスト十分に突入するまで満足に本筋らしい本筋が起動すらしないのんびり屋さんの展開に加へ、専ら俳優部の面子。男優部が否応もない量産型娯楽映画スメルを爆裂させるのはまだしも、折角北野まりもがプリップリの肢体で、正体不明奇々怪々な主演女優が木に馬の骨を接ぐ、エクセスのよくある悲劇を華麗に回避したかと安堵しかけたのは、正しく束の間。縦に長いブスと横に広いブスの二番手三番手は、幾ら初頭とはいへ九十年代の商業映画でこれはない。逆からいふと、ビリング頭だけで油断するな、エクセスライクは何処からでも撃てるんだぜ的な、ボクシング漫画の如き例証ともいへるのかも知れないが。何れにせよ、終盤に至つて漸く重い腰を上げた物語をアバン同様手際よく捌き、一度は別れた恋人達が、再び巡り会ふ。煙に巻かれてゐるやうな気もしないではないにせよ、意外と正攻法のラブストーリーをそれはそれとしてそれなりに形にしてみせる辺りに、改めて新田栄の何気な堅実さが窺へる。


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 「ザ・ペッティング」(昭和61/製作:日本シネマ?/配給:新東宝映画/監督:新田栄/脚本:北里近一/製作:伊能竜/撮影:国立二郎/照明:鈴木伸夫/編集:酒井正次/助監督:半沢高弘/音楽:レイボーサウンド/効果:中村企画/録音:銀座サウンド/現像:ハイラボセンター)。レイボーサウンドの衝撃以前に、驚く勿れ、今作には出演者クレジットが存在しない。
 新東宝ビデオ株式会社開巻、諸々のペッティング映像に速攻タイトル・イン。以降全員本篇字幕ママで杉田風(女子高生)登場、全篇を通して、声は聞かせど姿は絶対に見切れすらさせない新田栄が「可愛いね」と渾身の世辞をいふものの、正直一欠片たりとて可愛くはない。人の話を満足に聞いてゐるのかゐないのか、甚だ微妙な杉田風相手に他愛ないインタビューで結構尺を喰つた末に、漸く助監督の大坪君(ヒムセルフ?)投入。新田栄があれやこれや指示を飛ばす一戦に、ザクザク突入する。首から上は不細工な杉田風も、脱がせてみるとラック感のあるいいオッパイ。仁丹クンニの荒業と指とで、終に本番には至らぬまゝ杉田風が果ててフェード。
 続いては上下併記で風見怜香(女優)と小野寺由美(女子大生)、まづは志村けんとジュリーを足して二で割つたやうな面相の小野寺由美にインタビュー。「ところでレズやつたことある?」とところでぶりが凄まじいザックリした切り口で、女優の風見怜香さん参戦。ここでは助監督の松尾君(ヒムセルフ??)に小野寺由美にバイブを挿入させてみたりしながら、パートを通り越し一作全体のハイライトが、風見怜香と小野寺由美によるオッパイの大きな女同士ド迫力の貝合はせ。
 三番手にして、最強の美人が鈴木美子(O.L)。Officeだけでなく当然Ladyも略してゐるにも関らず、わざわざOにつけたピリオドがLにはつかないのがそこはかとなくも確実に居心地が悪い。鈴木美子は森の中に連れ出して、オナニーから大坪君に移行する青姦といふ寸法。一点さりげなく興味深いのが、彼氏と一度だけポルノ映画を観に行つた鈴木美子がその夜は激しかつたといふ逸話を引き出した新田栄いはく、「それがきつかけでこの映画に出る気になつたのかな?」。映画であることは、あくまで当然の前提として認めてゐる様子。
 四番手五人目が今作どころか裸映画史に残る大ミステリー、小林ひとみ(SMクラブ勤務)。は?小林ひとみ!?といふか現れた女は目と目の間が広いプロポーションも別に十人並の女で、よもやまさか万が一、整形前といふ可能性も脳裏を過りつつ、そもそも声も違ふ。挙句に背には一面の立派な和彫り、一体この小林ひとみは誰なんだ。とまれ、趣向は大坪君と松尾君を二人とも差し向けての巴戦。
 新田栄昭和61年第十二作は十作後、翌昭和62年第二作の「ザ・ペッティング2 秘戯」・第十二作「ザ・ペッティング3 ハードテクニック」・最終第二十二作「ザ・ペッティング4 舌戯」と全四作連なる、「ザ・ペッティング」シリーズ“ファースト・ワン”こと第一作。第十二作の十作後が翌年第二作といふことは、新田栄は昭和61年も全今となつては驚異の二十作を発表してゐた格好となり、量産型娯楽映画が本当にどうかした勢ひで量産されてゐた時代の眩さに、とりあへずクラクラ来る。シリーズの沿革に話を戻すと少なくとも2の「秘戯」にも出演者クレジットはなく、jmdbを参考に、鈴木美子は栄えある皆勤賞を果たしてゐる。「ハードテクニック」と「舌戯」も叶ふならば全然観るなり見たいけれど、この期に今からどうにかなるもんなんかいな。
 「ザ・ペッティング」なる、それは一通り絡む中でペッティングは確かにあらうにせよ、ペッティングにヒューチャーして何がどうなるのかはサッパリ判らない掴み処に欠けるタイトルはこの際さて措き、全体的な体裁としては各々職業の異なる女々に新田栄が適当にインタビューした上で、一濡れ場こなしてハイ次の女。らしからうとらしからぬと物語が全く存在しない構成のみの一篇は、手を抜くにも度が過ぎたのか、グルッと一周して逆に斬新なのかは―もしも仮に存在するとして―議論の分かれようところとはいへ、謎の小林ひとみといふ飛び道具込みで、五人中オッパイの大きな女を四人揃へた厚みのある強みと、寄つたり引いたり狙つてみたり、それなり以上に意欲的に動くカメラにも支へられ、案外退屈な時間に苦痛を覚えるでもなく普通に見てゐられる。とりわけ、ビニールシートを敷きオナニーする鈴木美子を、少し離れて捉へる覗き風の視点が、グルーッと大きく回り込む画はオープンの特性を活かしたダイナミックな名カット。一方、あるいは反面、殊に杉田風相手の心許ないことこの上ない遣り取りを聞くにつけ、物語のみならず一体脚本は何処まで存在してゐるのかといふ疑問は、最終的に残らぬでもない。


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 「近親義母 息子でおもらし」(2004『欲情義母 息子を喰ふ』の2015年旧作改題版/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二《Xces Film》/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/スチール:佐藤初太郎/助監督:加藤義一/音楽:レインボーサウンド/監督助手:茂木孝幸/撮影助手:池宮直弘/選曲効果:梅沢身知子/録音:シネキャビン/製作進行:阿佐ヶ谷兄弟舎/現像:東映ラボ・テック/出演:香取じゅん・山口玲子・中村英児・松田正信・丘尚輝・酒井あずさ)。
 荒れる東野家の夜、浮気の発覚した和也(中村)が、寝室から締め出される。悪びれるでもなく居間のソファーで不貞寝する、和也のモノローグ「その夜、俺は夢を見た」に続いてタイトル・イン。開巻をシャープに駆け抜ける、新田栄の神速がシレッと発揮される。
 「それは、見知らぬ女《ひと》だつた」。夢の中、和也は河川敷で面識のない和服女と出会ふ。そのまゝ女と一戦交へ、目覚めた和也は度肝を抜かれる。居間に、当の和服の女(香取)がゐたからだ。夢に出て来ようと出て来まいと、朝起きると家に知らない人が入つて来てたらそれは仰天するよな。当然和也が目を丸くする中、居間に現れた妻・こずえ(山口)曰く、和服女は和也には死んだとすら偽つてゐた、音信不通の母・筒井ゆかりであつた。豪快なキャスティングは、ゆかりが十六の時にこずえを産んだとする方便もとい設定の一点突破で押し通す。ともあれ、教職に就くこずえと和也が一緒に出勤し、ゆかりが家に残る正体不明の新生活がスタートする。
 配役一部残り、酒井あずさは和也の浮気相手・小池洋子。別れ際和也の背広のポケットに自身のイヤリングを忍び込ませる、性質の悪い女。水商売の女手ひとつで娘を育てるゆかりに男の影は常に絶えず、こずえはそんな母を嫌悪してゐた。丘尚輝は、こずえ高校時代の担任・杉村順一。家庭訪問当日、部活で遅れて帰宅したところ、ダイナミックな体位で杉村先生に跨る母の姿を目撃してしまつた瞬間、こずえは卒業後家を出る決意を固める。ゆかりが娘夫婦の住所探しを依頼する、背中しか見せない興信所職員は新田栄、ではなく加藤義一。
 未見の新田栄2004年第三作と、リアルタイム新版の形で駅前にて邂逅。別にDMMでも見られるにせよ、小屋で観るに越したことはない。時折重病フラグを立てつつ、娘夫婦の不仲を解消するために、フットワークが抜群過ぎる母親が文字通り一肌脱ぐ。確かに“欲情義母”が“息子を喰”つてしまふのは―寧ろ、欠片たりとて当該シークエンスが見当たらない“おもらし”要素は一体何処から湧いて来たのか―ここはさて措くとして、何はどうあれヨリを戻したこずえと和也の夫婦生活がそれなりにエモーショナルなものであつただけに、案外いい映画を観た、と首を縦に振りかけたのも束の間。男優部二番手―実質三番手―が締めの濡れ場のためだけに飛び込んで来る、おまけにこずえが産気づいた顛末も放り投げる豪快なラストには腰が抜けた。心が込められてゐるのか込められてゐないのだかよく判らない辺りが、逆に量産型娯楽映画的には清々しくなくもない一作である。
 備忘録< 松田正信はゆかりが子宮の良性腫瘍摘出手術の際に捕まへた、若手医師・安田克夫


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 「一度はしたい隣の女房」(1996/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:高橋定二/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/音楽:レインボーサウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:島内誠/照明助手:原良一/録音:シネ・キャビン/効果:中村半次郎/現像:東映化学/出演:芦田ミキ・杉本まこと・河名麻衣・神坂広志・丘尚輝・風見怜香)。
 失敗した目玉焼きを、誤魔化してスクランブル・エッグに移行。新婚二週間にして、明日からアメリカに短期の単身赴任で発つ酒井元春(サカイの漢字は適当/神坂広志)は、卵ひとつまともに割れぬ妻・みつき(芦田ミキ/新田栄映画でよく聞く声のアテレコ)の料理に匙を投げる。匙を投げつつ、朝つぱらから夜の営み。片や、酒井家左隣の石川家。亭主の出世を見込んでマイホームを買つたものの、当ての外れた看護婦の朋美(河名)が、石川八三(杉本)に共働きをボヤきながら先に出勤。トボトボ家を出た八三が、表を掃除する憧れの隣の女房に挨拶してタイトル・イン。クレジットを通して、八三は遠目過ぎて判別も不可能な風見怜香からチラシを受け取る。“男性の方大歓迎”との料理教室のチラシと、先に出たのに遅く帰つて来た朋美に、八三が跨られる石川家の夜を経て、満啓子(改めて風見怜香)の料理教室の門を叩いた八三は、渡米中の料理修行を元春から厳命された、みつきと一緒になる。
 配役残り丘尚輝は、三人ばかりの料理教室生徒もう一人・隅田川。濡れ場の恩恵に与るどころか、台詞ひとつ与へられない純然たる頭数要員。
 新田栄1966年第三作は、二作後「何度もせがむ隣の女房」(主演:小山美里)の、新日本映像いはく“日本全国津々浦々で大ヒット”したとの前作。朋美役が河名麻衣から杉原みさおに正直清々しくダウングレードした以外には、二作を通しての主人公たる八三の造形のみならず、石川家・隣家の物件も全く同じ。売家の札の掲げられた―因みに何度もせがむで登場する不動産屋は新田栄―旧酒井家に、“今度はどんな奥さんが越して来るかなあ”と八三のモノローグが被さる今作のラスト・ショットを見るにつけ、ことによると初めから続篇ありきの企画であつたのやも知れない。
 物語の基本構造は何度もせがむ同様、隣の女房が赤く見えるだけの他愛ない一作。丘尚輝の占ひを軸に、両家と三番手をもがダイナミックに交錯する何度もせがむに対し、一度はしたいは八三が隣の女房と料理教室にてミーツするといふ寸法。亭主が匙を投げるほどの料理下手であるみつきは兎も角、八三が料理教室に通はうとした理由が、最近朋美が料理作つて呉れないといふのを、最初に通しておかない明確な疑問手は一旦さて措き。中盤を完全に支配する風見怜香が、特別レッスンと称して居残りさせた八三とみつきを交互に喰ふ二連戦に際して、家庭教師ものに類似した料理教室ピンクなる新機軸を撃ち抜いてみせるのが地味に出色。満啓子V.S.八三戦がそれなりに―事後ケーキが完成する―料理の真似事をしなくもない一方、適当に百合しか咲かせてゐないV.S.みつき戦の事後にも、何時の間にかドーナツが出来上がつてゐたりするのが禅問答みたいでジワジワ来る。そこまではいいとして、みつきが教室に通つた成果のハヤシライスを八三に振る舞つた直後に、ノー・モーションで突入する八三と一度はしてみたかつた隣の女房との一戦が、結局八三のイマジンに過ぎなかつたのか、よもやの劇中現実であつたのかが結局満足に白黒つけられぬまゝに何となく通り過ぎられるのは、映画の背骨をヘシ折る致命傷。主演女優は佇まひとお芝居こそエクセスライクにせよ、俳優部最長のタッパを誇る正しくモデルばりのプロポーションは何気に超絶。三本柱は何れも圧勝の三連勝、抑へ目の照明が激しくエロい、両家の夫婦生活と風見怜香のオッパイとで裸映画的には一度はしたいに軍配が上がる反面、お話的には案外深いテーマの何度もせがむの方が断然面白いといふのが、新田栄による隣の女房二部作の概評である。

 因みに、粒の小さな1999年正月映画、深町章版の隣の女房が「隣の女房 濡れた白い太股」(1998/脚本:深町章/隣の女房は相沢知美、久保チンが八三ポジ)。


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 「痴漢温泉 変態露天風呂」(1993『痴漢と覗き ‐盗撮女湯‐』の1999年旧作改題版/製作:新映企画株式会社/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:夏季忍/企画:伊能竜/撮影:千葉幸男/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/助監督:広瀬寛巳/監督助手:長谷健一/撮影助手:佐久間栄一/照明助手:新井克夫/メーク:岡本佳代子/スチール:田中スタジオ/効果:時田グループ/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:児島理乃・芹沢里緒・月岡雪乃・野沢明宏・石神一・久須美欽一)。企画の伊能竜は向井寛の、脚本の夏季忍は久須美欽一の変名。
 七沢温泉の現存する温泉旅館、その名も七沢荘の表を抜いて、露天風呂女湯「子宝の湯」。茂みに潜んで覗く久須りんの目を挿み、観音様を洗ふ主演女優にタイトル・イン。一旦気付かれかけつつ、お見合ツアーの添乗員・良介(久須美)は出歯亀を堪能、柔らかげに膨らんだツアー参加者・片桐礼子(児島)のオッパイが素晴らしい。一方、同じく西田(野沢)と芹沢里緒がカップル形成、捌ける二人の後を標的を変更した良介が追ふ。狐と狸の化かし合ひ、医者と令嬢と偽る西田と芹沢里緒の青姦も良介はスネーク、クンニする西田が芹沢里緒の股座に顔を埋める隙に、オッパイに手を出す大胆な荒業を敢行する。風呂上がりの礼子は、月岡雪乃と秘かにお目当ての林(石神)と、誰なのか完全に判らない若い男―七沢荘動員かも―が歓談する様子に、蚊帳の外感を拗らせる。
 新田栄1993年第一作は新版公開に際しての二次系でもなければ余所が勝手に看板を拝借した傍流でもない、純正「痴漢と覗き」シリーズの全十三作中第十一作。時期的な障壁にも阻まれ、何のかんのいひながら純正は観るなり見てゐるのが今作で五本目でしかなく、現状残る八本もDMMピンク映画chに見当たらない。映画の中身はシリーズ中珍しく、久須りんが覗きだけでなく痴漢もクリアするのはいいとして、物語らしい物語が起動することもないまゝに、ひたすら絡みを連ねる逆説的なストイシズムに終始。互ひにツアー敗戦模様の礼子と林が、礼子から混浴に誘ふ超大胆アタックで結ばれる一方、こちらも双方西田に騙された二番手と三番手が意気投合。当然良介が覗く、礼子と林が致す子宝の湯に遅れて現れた芹沢里緒と月岡雪乃が、二人に負けてゐられないとばかり出し抜けに百合を開花させるのはシークエンスとしては無茶苦茶ながら、三本柱の濡れ場を一堂に揃へたラスト・ショットはそれでも圧倒的に正しい。誠腰の据わつた裸映画ぶりが、万事を些末と捻じ伏せる。

 但し一点、藪から棒に旧題に紛れ込む盗撮要素は、一欠片たりとて見当たらず。劇中誰一人カメラを手にするカットすらないし、この時代、未だ携帯電話に撮影機能は実装されてゐない。


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 「スケベ女の太股 濡れて奥まで!」(1991『究極onanie 奥まで丸見え』の1998年旧作改題版/製作:新映企画株式会社/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:亀井よし子/企画:伊能竜/撮影:千葉幸夫/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/音楽:レインボー・サウンド/助監督:石崎雅幸/撮影助手:池宮直弘/照明助手:渡部康史/録音:銀座サウンド/効果:時田グループ/現像:東映化学/スチール:佐藤弘伸/タイトル:ハセガワプロ/車輛:野澤昌弘/出演:麻生まみ・大滝ゆり《新人》・大橋美加子・坂入正三・岡竜太郎・石神一)。
 双眼鏡越しのマンション外景、双眼鏡を覗く主演女優を抜いてチャッチャとタイトル・イン。双眼鏡視点は暫しウロウロした末に、俳優部クレジットの辺りでとある一室に辿り着く。指南役と思しき所長(坂入)見守る中、田中ショウタロウ(岡)が後々語られる職業はソープのお姉さん(大橋)に手マンする。所長がチラシ貼りに席を外した隙に、田中は目隠しした上でバイブと偽り、何時も鍛へてるとの自らのイチモツを大橋美加子に挿入する。のと並行して、双眼鏡の主・麗子(麻生)も自室にて自慰。ここまで話は全く見えないが、麻生まみも大橋美加子も共にそこそこの美人でプロポーションは手放しで美しく―特に麻生まみの尻―ひとまづ見応へはある。格好が下手に華美な割に金欠気味の麗子は、所長が貼つたバナナクラブが女性モニターを募集するチラシに目を留める。麗子が訪ねてみたバナナクラブは、麗子にとつてはこないだ覗いてゐた既知の部屋。「どんなモニター?」と問ふ麗子に対し、所長の答へは「オナニー」、どんな会話だよ。ともあれ1テスト二万円といふ風俗感覚の高級に釣られ、麗子はサクサク快諾。玉を作つた紐や、模型も駆使した地味に超絶の撮影により本当に膣内に入つて来てゐるやうに見える、泥鰌を用ゐたオナニー?に喜悦する。
 配役残り石神一は、麗子がバナナクラブから帰宅すると部屋に上がり込んでゐた彼氏。そのまゝ麻生まみの二連戦が執り行はれるのはいいとして、石神一が今夜は感度のいい麗子の観音様がヌメヌメするところまでは手が届けど、もう一声、何か生臭いなあ―石神一の声色で―とか欲しかつた気もする。ビリング上は二番手の割に絡みが一度きりの大滝ゆりは、バナナクラブに駆け込む課長に捨てられた女。加へて、田中がポップな送り狼と化す夜間の青姦が、新田栄らしからず下手に暗くて結構見えない。大滝ゆりと順番を前後して、後述する爆弾を抱へた所長に、非情な診断をサクッと下す医者の声は新田栄。
 前回のDMM戦で見た岡柳太郎がウッスラ頭に残る岡竜太郎とあまりに別人につき、岡竜太郎の出演作を探してみた新田栄1991年最終第十一作。さうしたところ岡柳太郎の改名後が岡竜太郎であるとするリストも見受けられるものの、矢張り二枚目と三枚目とで全ッ然違ふ、因みに柳が色男の方。オカリュー問題に関しては解決したとして、ところで今作本体はといふとこれがまたここまで来ると器用さすら錯覚しかねないくらゐに、逐一ちぐはぐな一作。そもそも双眼鏡を用ゐた出歯亀が趣味の女子大生、といふヒロインの大概珍奇な造形も、バナナクラブが全体如何なる業態の―性的―サービス業なのかといつた、劇中世界を成立させる上での基本的な情報を天衣無縫に等閑視。即ち、開巻まるで見えなかつた物語は、結局最後まで見えはしない。ついでにセックスしたら客は来ないと、田中に頑なに本番を禁ずる所長の論理も、清々しく不鮮明で何がいひたいのかサッパリ判らない。そんな所長は酒にお溺れ度々苦しげに腹に手を当て、判り易い重病フラグを立てると同時に、なかなか観るなり見た覚えのない、影のある渋さがなかなか画になる。となると、都会の片隅でチンケな男がチンケに命を落とす。たつたそれだけの他愛なさを無様にせよ精一杯ロマンティックの下駄を履かせてカッコよく描く、あの―どのだ―サカショーが「真夜中のカーボーイ」のダスティン・ホフマンばりの死に様を撃ち抜く、歴史に埋もれた新田栄百本に一本の映画と遂に邂逅するのかと色めきたつたのは、我ながら早とちりにもほどがある。大滝ゆりを喰つたお痛が発覚し、叱責された田中がバナナクラブを飛び出した弾みで昏倒した所長は全治二ヶ月の入院、要は死に損なふ。細腕繁盛記よろしく、一人でバナナクラブを切り盛りする麗子は、大橋美加子と大輪の百合を咲かせついでに新ガジェット製作を依頼され、帰つて来た田中に運ばせた―盗んだ―マネキンでワイフならぬダッチハズバンドの開発に走り出す。といふのは終盤に際して覚束なかつた始終が力強く盛り返す、順当な展開に思へたものを。ケロッとバレてのけるが所長のイマジンも繰り出しつつの、麗子のダッチ試運転で規定の尺を駆け抜けるラストには軽く度肝を抜かれた。そこはダッチハズバンドのロールアウトが成功を収めたバナナクラブに、大将たる所長も帰還し万事目出度く大団円。となるのが娯楽映画の定石なのではなからうか、などといふ素人の浅知恵に砂をかけるどころか後ろ回し蹴りが飛んで来る、最終的には豪快な一作である。


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 「密室凌辱18人」(昭和60/製作:日本シネマ/配給:新東宝映画/監督:新田栄/脚本:中良江/企画:伊能竜/撮影:国立二郎/照明:ライトハウス/編集:酒井正次/助監督:岩永俊明/音楽:レインボー・サウンド/効果:中村企画/録音:銀座サウンド/現像:ハイラボセンター/スチール:津田一郎/出演:早乙女宏美・姫川京子・相原ユミ・高橋樹里・久須美欽一・山倉峻・水戸康之・岡柳太郎・滝川昌良)。
 懐中電灯で足元を照らしながらの、白いハイヒールの夜道。家が見え、安堵した姫川京子が灯りを落とすや、何者かの足音が。家が見えたにしては暫しの追跡劇の末、姫川京子が襲撃されたタイミングでタイトル・イン、クレジット画は在りものの緊縛写真。姫川京子が連れ込まれたのは何処ぞの物置、新田栄の的確なカット割り込みで滝川昌良が手際よく縛り上げると、姫川京子は失禁。したといふのは、全部で十八人をレイプしたと豪語する強姦魔・清原純一(滝川)の、刑事A(久須美)に対する七人目の供述内容。パクられてんのかよといふのは、確かな手応へのズッコケ処。順々に十八人分の武勇伝を嬉々と話す清原に対し、警察が受理した被害届は二件だけ。清原が提供する、結構詳細な個人情報に基き刑事Bが接触を試みた―清原いはく犯した―女達は何れも口を噤み、お縄を頂戴したのも棚に上げ妙に得意満面な清原とは対照的に、久須りんと岡刑事(岡竜太郎とは別人)は手詰まつた捜査と、清原の相手に往生する。
 配役残り高橋樹里は、八人目の人妻・弥生、山倉峻が昼間から夫婦生活の最中の亭主。清原が忍び込んだ上薬で二人とも眠らせ凶行に及ぶ現場が、今もナベシネマを中心に御馴染の南酒々井のハウススタジオ、一体何時からある物件なんだ。結構可愛くてオッパイも大きい相原ユミは、十四人目の城南大学付属高女子高生・小倉マユコ、水戸康之がカーセックス中に襲はれるマユコの彼氏・シンゴ。そして早乙女宏美が、予想通りの性癖を持つ人妻・池田麻美。
 異常に詳細なウィキ―但し記述はあちこち正確とは限らない―が軽く狂気じみて見えなくもない、新田栄昭和60年第十作。「密室凌辱18人」といふのは2007年に発売されたDVD題で、元題は「緊縛 縄の陶酔」とのこと。更に今度はjmdbに行つてみると、新田栄の昭和60年が全十八作といふ闇雲さに圧倒に近い感興を覚える。量産型娯楽映画が、実際に量産された麗しき時代よとロマンを酌めば済む話でもなく、シンプルに体力的にも大概しんどかつたのではなからうか。ところで映画の中身に話を戻すと、あくまで十八といふ人数は裏が取れない以上、刑事ABも半信半疑の清原が拡げた風呂敷に過ぎず、現に野球チーム二つ分の大軍勢が投入される訳ではないのはある意味仕方もない。それにしても何でまたわざわざ今世紀に及んでDVD化されたのだか、一体新東宝が今作のリリースで何をフィーチャーしようとしたのか清々しく解せない平板な出来栄えの一作。始終は概ねも何も終始、濡れ場と取調べ室とを単調に往復。津田篤の劣化レプリカ程度の滝川昌良を逆の意味での筆頭に、俳優部もそれなりに脆弱、三十年の歳月に耐え得る強度には乏しい。初恋相手に裏切られて以来、清原が拗らせた憎悪が、早乙女宏美が登場した時点で見え見えのオチに呑み込まれ―かけ―る展開は一瞬物語的な深化を覗かせたものの、結局綺麗に等閑視し通り過ぎたところで万事休す。刑事ドラマ風に表面上の体裁だけあつらへた心ないラストが、隙間風のやうに吹き抜ける。


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 「ザ・アダルト 性告白実話」(1993/製作:多分サカエ企画か新東宝/配給:新東宝映画/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:田中岩男/撮影:千葉幸男/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/助監督:久須美欽一・広瀬寛巳/撮影助手:池宮直弘/照明助手:上別府創/音楽:レインボー・サウンド/効果:時田グループ/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:花井かおる・神山尚輝・沢田文也)。変名の夏季忍でなく、久須美欽一名義の助監督クレジットは初めて見た。今回ダウンロード視聴したのは新東宝ビデオからリリースされたAV版につき―モザイク処理に連動してかつけ換へられた―クレジットの若干の改変も考へられたが、弘前大学映研のブログにも助監督は久須美欽一とある。
 並んだ線路と道路をロングで抜いて、今回終に声しか聞かせない久須美欽一によるモノローグ“この物語は女達の赤裸々な性体験、本人達の告白を基に忠実に再現したものである”。淡白に主眼を開陳したところで適当なテーマ起動、いはゆる貝合はせに狂ふ麻田めぐみと長谷川いづみの画に乗せて、ビデオ題「THE ADULT 性告白実話」がタイトル・イン。天童京子(風見玲香)の生花教室、生徒は主婦の沢田静子(麻田めぐみと長谷川いづみの柄本明に似てる方)と、エステティシャンの大森あかね(長谷川いづみと麻田めぐみの森永奈緒美に似てる方)。先生が若い男とホテルから出て来た、真偽不確定な目撃情報をぶつけられた京子は一旦話を濁すかに見せかけて、ケロッと白状する。“天童京子[40才]生花○○流・名取”とのサブ・タイトルで、欠片も登場しない旦那が単身赴任一週間目の夜、一人寝の火照りを持て余した京子は、ホストクラブ「トキオ」(電話越しの店長の声も久須美欽一、素晴らしく安定する)からナオキ(神山)をホテルに呼ぶ。ここで、神山尚輝だなどと何処かで見たやうで何処にも居なさが絶妙な名義の正体は、何のことはないアテレコですらない神坂広志。酔狂に、意味如き求めてどうする。
 “沢田静子[30才]主婦”、煮詰まつたシナリオライターの夫(沢田)が求める衝動的な夫婦生活に、台所に立つ静子は喜悦する。ここでも、旦那役は沢田文也と称して本人アフレコの山科薫。それと、要は静子パートは一幕丸々、岡輝の願望と解してよろしいか?jmdbを鵜呑みにするならば、今作が岡輝男の初脚本作。因みに別館にも、より遡るものは見当たらない。
 “大森あかね[22才]都内エステックサロン勤務”、ミステイクな脱字に関しては、本篇の方は抜けてゐないかも知れないので一旦さて措く。“女の体の美しさが好き”でエステティシャンの職を選んだあかねは、自宅に招いた客のカオル(花井)と本格的に意気投合、互ひに初めての百合の花を咲き誇らせる。神山尚輝と沢田文也同様、花井かおるといふのも恐らく風花か。俳優部の正確な名義は、映画ポスターは判らぬがVHSのジャケには記載される。
 御当人出演といふ雰囲気作りと思しき、クレジットから女優部三本柱をオミットしてみせる荒業含め、全く同じく体験告白ピンクの姉妹作「性告白実話 ハイミスOL篇」(1994/主演:田口あゆみ・西原知香・早瀬美奈)の正しく姉作ともいふべき新田栄1993年全七作中第六作。クレジットしたらしたで俳優部の名義を弄る不用意なギミックは、佐々木恭輔が“恭輔(ホスト)”になる「女性専用 出張性感ホスト」(1995/主演:しのざき・さとみ、キャンディーちゃん、神永未都、美里流季)を先行する。何れも今作が最初ではなからうが、量産型娯楽映画が本当に量産されてゐた時代の途方もない物量を相手に、まづ元祖の特定は叶ふまい。ほんで映画の中身はといへばイイ感じの穏やかな劇伴流れる中、濡れ場をうつらうつら、もといつらつらと連ねるに終始する、のんびりした裸映画。京子パートまでで二十分、静子パートは十分で片付けて、女優が二人登場するあかねパートに改めて十五分。漸く残り尺が劇中現在時制に腰を据ゑる終盤、あかねが静子を誘惑し百合畑開墾。その為に、机を挟んでゐた静子の座り位置が何時の間にかあかねの隣に変つてゐるのが微笑ましい。一方京子はナオキを再召喚、三対一の乱交に突入するクライマックスはそれはそれとしてそれなりに磐石。真性ビアンの筈のあかねが、何故かナオキを普通に受け容れてゐる懐の広さは気にするな。三人の裸の下に、神坂広志が隠れるラスト・ショットの構図は地味に超絶、新田栄の案外侮れぬ地力が窺へる。


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 「痴漢と覗き 丸見え診察台」(1993『婦人科診察室3 ‐よく見せて!‐』の1999年旧作改題版/製作:新映企画株式会社/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:亀井よし子/企画:伊能竜/撮影:千葉幸男/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/助監督:広瀬寛巳/監督助手:三木修/撮影助手:新川四郎/照明助手:石井克男/スチール:田中スタジオ/音楽:レインボーサウンド/効果:時田グループ/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:青山ゆう・月丘雪乃・深田みき・芹沢砂城・坂入正三・神坂広志・久須美欽一)。企画の伊能竜は、向井寛の変名。
 何処ぞの産婦人科医院の外景と診察室の画に乗せて、白衣の天使も生身の人間、白衣の下は一人の女とする主演女優のモノローグ、色んな図解に打ち込み系の劇伴がズンチャカ鳴つてタイトル・イン。津村産婦人科医院の看護婦・小山リエ(青山)が、“今日の診察はウフフの日”とほくそ笑む。“ウフフの日”とは一体何ぞや、院長の津山ではなく津村健三(久須美)が不妊治療に訪れた大野夫人(月丘)を診察してゐる間に、リエは別室にて旦那(神坂)の精液を採取。緊張して自家発電が上手く行かない大野に、お手伝ひと称してオナニー見せするのがリエの大好きな“ザーメン検査”―劇中津村もこの用語を使用する―といふ次第。診察後、津村は日頃の慰労にとリエに十八金のネックレスをプレゼントする。
 配役残り、深田みきは異物挿入が大好きで、結果津村に度々お世話になる海野、職業は教師。坂入正三は人妻と偽つた海野とホテルに入る、行きずりの男。人気シリーズ効果か、潤沢にも四番手にして女優部一番の美人の芹沢砂城は、この人も津村医院の常連、津村を明確にオトす目的の笹村。
 「痴漢と覗き」未見作どころか、何のことはない「産婦人科診察室」シリーズ―“婦人科診察室3”といふのは、jmdbの脱字かも―第三作、羊頭を懸げて狗肉を売るにもほどがある。痴漢と覗きが羊で産婦人科診察室は犬なのか、ここでの冷静な検討は割愛する。患者のバラエティを軸に、濡れ場を連ねることに全てを賭ける。誠潔い裸映画に思はせて、海野先生の貪欲に女性不信に陥りかけた津村に気を揉むリエが、笹村のへべれけな据膳を食ふだか喰はれる津村の姿に、逆に男性不信に。器用な離れ業で物語を立て直すと、リエと津村の雨降つて地固まる型のラブ・ストーリーに案外見事に収束してみせる。津村をロック・オンした笹村からリエを引き離す方便に、子宝目指して夫婦生活の最中の、小山夫妻の電話相談をぶつける一手も、力技といふとそれまでだがクレバーといへばクレバー。テクニカルな脚本に支へられた、決して馬鹿には出来ぬ一作。因みに、次回作に色気を見せる爽やかなモノローグで締め括つておいて、当の次作は全然違ふお話であつたりもする。

 最後に、改題に際しわざわざ別シリーズの「痴漢と覗き」を冠しておいて、痴漢要素も覗き要素もともに全く一切綺麗に皆無な迸るエクセスライク。


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