真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「阿鼻叫喚! 熟女の三所責め」(1994『本番熟女 急所責め』の2014年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:稲吉雅志・小山田勝治/照明:秋山和夫・永井日出雄/音楽:藪中博章/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:佐々木乃武良/制作:鈴木静夫/ヘアメイク:森口美沙・宇野ひろみ/スチール:岡崎一隆/効果:時田滋/録音:ニューメグロスタジオ/現像:東映化学/出演:森田久恵・石原ゆり・小川真実・久須美欽一・荒木太郎・太田始・リョウ)。
 Tバックを脱ぐ尻の接写で開巻、バタ臭い主演女優が裸身を鏡に映しながらの自慰、股間を下から抜くダイナミックな画にタイトル・イン。明けて商店街、ステーキ・レストラン「Mister 肉」―凄くぞんざいな店名だ―から出前持ちの麻子功(荒木)がほてほて徒歩で出撃。出前先は、楠木晃(森口)が仕事らしい仕事もせずに暮らす高級マンション。但し内部は、何時も通り旦々舎ではある。ステーキに舌鼓を打つ晃はかといつて代金を支払ふでなく、ブリーフ越しに麻子を抜く。晃は毎度その手でタダ肉を喰らひ、麻子の給料の半分は、晃の出前の支払に飛んでゐた。今度は新山不動産に勤務する豊田誠(久須美)が、家賃の催促に晃宅を訪れる。麻子同様、晃は豊田に対しては本番行為の対価に、家賃を肩代りさせる。高級マンションの家賃はステーキとはいへ出前どころでは済まず、豊田は遂にサラ金にまで手を出してゐた。こゝまで序盤からふんだんに飛ばす濡れ場を通して、情けない―造形の―麻子と豊田が晃が振り回す高圧的な肉の欲望で支配する構図は、旦々舎一流のアクロバット。豊田が据膳を食はされた晃に食ひ物にされてゐるのを知つた、事務員の尾崎真奈美(小川)とは不倫関係にもある新山不動産社長・新山哲治(リョウ)が、自ら晃にこれまでの家賃を耳を揃へさせた上で追ひ出してやると息巻く一方、晃の妹・美樹(石原)は、婚約者で『週刊クラッシュ』の雑誌記者・大矢光弘(太田)を姉に紹介する。妹との待ち合はせに指定して以降晃が常用する店「ザボン」―本来はラーメン店―も、内部は別物件のバーだな、何でまたザボンが店名だけわざわざ台詞中に登場するのかは知らん。
 浜野佐知1994年最終第十作、量産型娯楽映画を現に量産し得た麗しき時代よ。これを文字通りといつてしまつてよいのか、裸一貫で逞しく凌いで行く今でいふニート女の物語。新山の攻勢に窮地に立たされる風を窺はせるでもなく、脛の傷を探るべく晃は大矢を篭絡。その事実が発覚し、美樹は大矢を一刀した返す刀で晃とも訣別。実の妹とも袂を分かち、表情が乏しいのを威風堂々と捉へることにした、ヒロインの行く末や如何に。と一応は、劇映画的な展開の盛り上りに期待してはみたものの。晃は大矢から得た、真奈美との不実を楯に婿養子の新山を迎撃、フィナーレは対麻子劇中第三戦。印象的なストップ・モーションで最低限の体裁を整へたとはいへ、要は晃の立ち位置が微動だにしないある意味豪快なラストには感心しはしないが驚いた。裸映画的には洗練度に欠きつつ反面迫力はなくもない森田久恵の裸が目一杯尺を喰ふのに対し、石原ゆりの絡みが一度きりなのは、滅多に小屋でお目にかゝれない点も踏まへれば尚更惜しい。反面、小川真実は矢張り一度きりの絡みではあれ、相手役のリョウ(a.k.a.栗原良 or ジョージ川崎 or 相原涼二)にも恵まれ貫禄のコッテリ感を刻み込む。

 然し“阿鼻叫喚!”て・・・・そこだけ切り取るととてもピンク映画のタイトルには思へない、最早エクセスはヤケクソなのか?


コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
Unknown (はる)
2017-10-08 05:50:45
荒木一郎ってその頃伊東勤に似てるようなw
今は井上ひさしなんだよなw
 
 
 
>荒木太郎 (ドロップアウト@管理人)
2017-10-08 07:22:28
 わははは、特に井上ひさしが判ります(笑
 あと山﨑邦紀監督曰くには昭和天皇。
 
 
 
>然し“阿鼻叫喚!”て (通りすがり)
2024-04-15 11:04:12
むしろ、男どものほうが阿鼻叫喚ですよね(真顔)。
 
 
 
>むしろ、男どものほうが阿鼻叫喚 (ドロップアウト@管理人)
2024-04-15 20:57:33
 いやあ、「もう勃ちません><」そんな泣き言なら、一度は垂れてみたい気も   >寝れ>>永遠に
 
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