真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「真夜中の不倫妻」(2013/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/編集:有馬潜/助監督:江尻大・菊嶌稔章/撮影助手:石井宣之・榎本靖/効果:東京スクリーンサービス/選曲:山田案山子/出演:波多野結衣・藤北彩香・那波隆史・亜希いずみ・山科薫・森山翔悟・なかみつせいじ・佐々木麻由子・牧村耕次)。出演者中、森山翔悟は本篇クレジットのみ。
 タイトル開巻、露骨に肉体関係を言ひ寄るパート先・クイーンズ伊勢丹何処そこ店―劇中実店舗をノー・ガードで押さへるのだが、大丈夫か?―の店長・山井吾朗(牧村)を想起した上原真澄(波多野)が苦々しげにシャワーを浴びる。真澄の夫・武志(那波)は半年前にリストラされ求職中、勤務年数にもよるが会社理由にしては失業保険が早くも切れ、上原家の家計は真澄が支へてゐた。そんな最中、マンション三階―自宅は多分二階―から飛び降りた武志が昏睡状態に陥る。真澄が回した連絡を受け最初に病室に駆けつけたのは、武志とは高校のラグビー部からの長い付き合ひとなる村上徹(なかみつ)。後述する山科薫挿んで現れた、当のマンション三階の一室の住人・田部彩香(藤北)は、真澄に自らが武志と結婚以前からの長い男女の仲にある事実を叩きつける。
 配役残り、声のみ出演の2012年第一作「三十路妻 濃蜜な夜のご奉仕」(主演:白華ユリ)以来、カメラの前でのお芝居だと2009年第三作「喪服姉妹 熟女しびれ味」(主演:佐々木麻由子・酒井あずさ)、ポスターに名前が載るのなんて何時ぶりか判然としない亜希いずみは、真澄のパートの同僚・藤森敏江。キャリアが四本で止まつてゐなかつた森山翔悟は、武志を担当する三浦医院のイケメン医師。単なる日焼けならば構はないが、さうでなければ心配なほど顔がドス黒い山科薫は、武志が馘を切られた「バーニングテクノ」で上司であつた和田睦夫。見舞ひ金を持参し顔を出すもけんもほろゝに追ひ返される、関根組初参戦にしてはあんまりな役所。そして三番手にドッシリ座る佐々木麻由子が、間男を作つてゐた徹の元妻・冴子、もしかして劇中ではトモコだつた?
 結局、十年ぶりに帰港した黒船を誰も倒せなかつた2013年の締め括りは、関根和美第四作。パート先でのセクハラや亭主の失業を抱へる人妻に止めを刺す、当のダメ亭主が仕出かした自殺未遂。挙句現れた旦那の浮気相手に死人を鞭打たれたヒロインは、旦那の目下フリーである旧友によろめきかける。と書くとそれなりに盛り沢山のトピックにも見えて、実際はロケーションの貧しさにも加速された稀薄なドラマは、逆の意味で一体如何に転んでみせるのか予測不能。二番手の裸を二度目に見せる方便に火を噴く、正しく藪から棒なスピリチュアルには何気に度肝を抜かれる。それでゐて、個々の一幕一幕の語り口はお上品な劇伴の選曲込みで―変な物言ひだが―下手に丁寧で、いつそ映画の底を綺麗に抜いてみせるでもない。波多野結衣をのんびり満喫する分には満点ともいへるものの、何となく捻じ込まれたハッピー・エンドが煙に巻かれた感だけを残す、何とも釈然としない一作ではある。何度も登場する割には山井が真澄を手篭めにするでもないクイーンズ伊勢丹パートは、元気な亜希いずみが拝める―無論、それはそれでファンには断固として堪へられない―以外には特に何の意味があるのか殆ど判らない。但し、尤も、然れども。喪はれつつある35mmフィルムに、最後に愛妻の姿を刻んでおきたかつた。もしも仮に万が一、関根和美の今作に対する企図がそこにもあつたのだとしたら、俺はそのことはフォーエバーだと思ふ。商業映画の私的流用?野暮をいひない、それもひとつの作家性の発露ぢやないか。


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 「淫Dream まどろむ白衣」(2013/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影:飯岡聖英/照明:小川満/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手:江尻大/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:八木徹/編集助手:鷹野朋子/スチール:津田一郎/タイミング:安斎公一/現像:東映ラボ・テック/録音:シネ・キャビン/協賛:GARAKU/出演:大槻ひびき・小滝みい菜・岡田智宏・坂城君・津田篤・五十嵐しのぶ)。
 早くも四つ葉のクローバーが覗く、可愛らしいタイトルボードによる開巻。クローバー柄の栞が抜かれる自室にて、風車に溜息混じりの息を吹きかけた須崎加恋(大槻)はボードに留められたスナップ写真を破り、自らの特異を苦悩する。タワーマンション外景を一拍置いて、演出のトーンも一転何処ぞのガラキックな会社。宣材写真の撮影に深夜残業する婿養子で専務の悟郎(津田)に、アイスコーヒーを差し入れ社長の鈴鹿悠子(五十嵐)は先に帰宅。初陣でトメに座り、最終的に三番手にしては比較的以上に重きを成す役も与へられる五十嵐しのぶは、ガサッと譬へると山口真里と瀬戸恵子を足して二で割つた雰囲気、その意味ではナベシネマに自然にフィットする。正直覚束ない口跡は、持ちキャラの圧で寄り切る。悠子が捌けるや、よからぬお店に電話を入れる悟郎は、アイコに一服盛られたらしく激しい睡魔に襲はれる。悟郎の夢に、総務課の派遣OLである加恋が底の抜けた花魁コスで登場、GARAKU魂が迸るぜ。事後、本妻と別れる別れないで加恋は―「いひなり未亡人 後ろ狂ひ」(2010/主演:星優乃)で見覚えのある―巨大鋏を持ち出し、悟郎を阿部サダる。悪夢から悠子に助け起こされた悟郎が夫婦生活を通じ悔い改めるのは、他人の夢の中に入り込む特殊能力を買はれた加恋が、極秘裏に悠子に雇はれての一幕。当人がひけらかす筈のないスペックを、悠子が如何に知るに至つたのかに関してはカッ飛ばされる。それなりの報酬を得つつも失職した加恋は、異能に苦しんだ過去世話になつた、師堂メンタル・クリニックに転がり込む。この人はテレパスでこの人も元患者の看護婦・織部彩(小滝)と、超能力オタクの変人精神科医・師堂隼人(岡田)を巡る恋の鞘当を心中秘かに繰り広げる加恋の周囲に、謎のアンチャン・関本保(坂城)が現れる。適当な変名なり誤植ではなく、下の名前は君と書いて“なお”と読ませる坂城君は、森山翔悟と同じ事務所「シネマクト」所属。問題は、その兄貴分たる森山翔悟のキャリアが四本で止まつてゐる件。配役残り、他人の心が読める彩を苦しめる下卑た短パン二人連れは、空前のクオリティを爆裂させる永井卓爾と江尻大。くどいのと巨大な世話だが、永井卓爾は削る勢ひで絞らないと肥え方がヤバいぞ。
 PG×上野オークラ劇場共同主催の第26回ピンク大賞ではあの城定秀夫の「人妻セカンドバージン 私を襲つて下さい」(主演:七海なな・吉岡睦雄)をも押さへ、最優秀作品賞・脚本賞・主演女優賞の主要三冠と、飯岡聖英の技能賞も舐めた渡邊元嗣2013年第四作。形式的にそのこと自体は、個人的には望ましい結果である。十年ぶりに帰港した黒船に、軒並ノサれてしまふのは面白くないからである。国沢実や荒木太郎の沈滞、竹洞哲也や最早多くを望む気にもなれない加藤義一の伸び悩み、森山茂雄の沈黙等々周囲の状況もあるにせよ、今や大蔵エース格の渡邊元嗣が城定秀夫の前に立ちはだかる構図は頼もしく、痛快であつた。さうはいへ、実際に漸く着弾した淫Dreamの蓋を開けてみたところ、個別的具体性への関心といふ要素を除けば、今作がセカンドバージンを凌駕したとは残念ながら認め難い。
 眠る人間の心の中に侵入する能力者。潜在意識とその先の性的欲望の世界―ジャンル上実に清々しい―と更に奥底の深層心理と、階層化されたインナースペース。無限運動する独楽から風車、現と夢の彼我を区別する小道具の設定。小屋で観る映画以外の情報を一切入れないにしても、クストファー・ノーラン「インセプション」(2010)の翻案である主眼には容易に辿り着けよう。心的世界の表現を、ソフトフォーカスとスモーク、若干のエコーとフニャフニャした劇伴―だけ―で乗り切るローを通り越したノー・バジェット感に関しては、らしさ含めいつても詮ない野暮につき、ここはさて措く。彩と師堂が並べられたベッドに別々に眠る、正体不明のシチュエーションを筆頭に意図的に判りにくく断片を鏤める構成が、全てのピースが揃つたところで滞りなく繋がり流れ始める局面の一気呵成には熟練の地力が唸り、イマジンな理想を語る師堂の姿や、ハートフルなイラストや小物で丁寧に種を蒔く小学生時代の淡い初恋のエピソードは、愚直で一途な情熱―畢竟それは、渡邊元嗣自身のものでもあらう―を撃ち抜く。2012年第三作「おねだり狂艶 色情いうれい」と続く「悩殺セールス 癒しのエロ下着」、ここぞといふ時に大槻ひびきを起用する、渡邊元嗣の本気は大いに窺へる。反面、尺の限界もあつてか淫セp・・・もとい「インセプション」のトレースに結構汲々とする点も兎も角、要は誰かさんのチートな万能ぶりで万事を片付け済ます、豪快な終盤には疑問が残らぬでもない。完成された娯楽映画―別に映画でなくとも構はないが―にのみ許された、圧倒的な劣勢を引つ繰り返すアッと驚く逆転劇ならばまだしも、作劇のこの御都合的な粗さでは、繰り返すが今作がセカンドバージンの超絶を上回つてゐるとは、私には世辞にもどんな酔狂にしても呑み難い。城定秀夫最強論を唱へるつもりは、特にない、森山茂雄友松直之もゐる、松岡邦彦だつて復活するかも判らない。渡邊元嗣には城定秀夫は倒せないといつてゐる訳でも、勿論ない。一撃のエモーションは、ナベが城定秀夫を上回つてゐると思ふ。ただ、同じ2013ナベシネマに限つた上でも、ほかに優れた映画が幾らでもではなくともありさうな気がする。淫Dreamがセカンドバージンを斥け最優秀作品賞を受賞したといふのは、為にする結果でしかないのではあるまいか。


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 「巨乳2 はちきれさう」(昭和62/製作・配給:新東宝映画/監督:細山智明/脚本・美術:秋山未来/撮影:志賀葉一/照明:守田芳彦/編集:金子尚樹《金子編集室》/音楽:MAJIN STUDIO/助監督:鬼頭理三/監督助手:土屋尚彦・田村良夫/撮影助手:中松俊裕/照明助手:祖師ヶ谷大蔵/プロデュース:白石俊/スチール:田中欣一/録音:銀座サウンド/効果:工藤効果/現像:東映化学/撮影協力:ビデオクールミント/出演:黒沢ひとみ・志方いつみ・三沢亜也・池島ゆたか・おじじ・久須美欽一・山本竜二・中野D児・平地宏士・橋本杏子・津田まさごろ・秋山未来)。撮影の志賀葉一は、清水正二の変名。
 まさかの映画でなく新東宝ビデオ開巻、濡れ場に際しては巨大なモザイクが入る。女二人でオープンカフェにてお茶、同僚・いちご(橋本)の突然の結婚報告―相手は元客―に驚いた、ホテトル嬢・メロン(黒沢)のポケベルが被弾。いい加減な社長(久須美)は、常連客の予約が入つてゐるメロンを別の客の下に向かはせる。一旦席に戻つたメロンが、いちごに煽られ何時までも続けられる仕事でもないことを、何となく噛み締めてタイトル・イン。一見の影田(池島)と一戦交へたメロンは、改めて立川(おじじ)と二連戦。ここで現代の感覚では衝撃的なのが、当時も今も大定番のマーガリンのブランド名を堂々と出した上で、一物に塗らせた立川が尺八に喜悦する件。いふに事欠いて「矢張りラー○ソフトはいいなあ」と来たもんだ、流石にそこは、リーバ怒鳴り込んでいいぞ。立川から、あるいは立川も、客と嬢としてではない関係をメロンに求める。事務所に帰還、仲良しのりんご(志方)と飲みに行つたメロンは、二人が義務教育を受けてゐた頃からのベテラン・オレンジ(三沢亜也/現:しのざきさとみ)が、社長と男女の仲にある事実を耳にし目を丸くする。りんごもりんごで愛人オファーを受けてゐることに胸騒がされるメロンは、以来繰り返し指名して呉れるやうになる影田からも、結構ストレートに求婚される。浮き足立つ季節、自身の誕生日でもある十二月二十五日に、メロンは時間差で影田と立川にカマをかける。
 配役残り秋山未来は、メロンがよく使ふ―りんごやオレンジも行く―オープンバーのボーイッシュなバーテンダー。山本竜二は何と公園で事に及んだ挙句に、口唇性交から放尿しりんごを激怒させる変態客。原色ファッション含め、貫禄の山竜仕事ではある。津田まさごろは素頓狂なホテトル嬢・チェンジ、もといチェリー。仕方がないから風俗で筆を卸すかと嬢を呼んでみたところ、チェリーちやんが現れたといふシチュエーションは乙であるやうな気もせぬではない、何の話だ。フラワーな中野D児と禁煙トランクスの平地宏士はメロンとリンゴと、乱交に至るのではなくあくまで二つの一対一を併走させる二人客、中野D児が対メロン。
 関根和美や旦々舎にばかり偏つてゐるのも何なので、たまには違つた毛色をと選んだ細山智明昭和62年第一作。因みに結果的にはキャリアを考へる上でも問題の「レズビアンハーレム」の前作に当たり、“巨乳2”と唐突にナンバリングされるからにはファースト巨乳―何だそれ(´・ω・`)―は、三作前の「菊池エリ 巨乳」。無論、真綿色したシクラメンよりも清しくふたつの物語に、連関は一欠片たりとてない。周囲の影響込みで、あれやこれやと揺れ動く出張風俗嬢の女心。絡みは基本スタンダードなものであることと、丁寧に一幕一幕を積み重ねる始終の軸がしつかりしてゐるだけに、珍奇なロケーションや横断歩道に赤電話―しかも何気にワイヤレス―を置いてみたり、強烈に居住性の悪さうな自室にて召集のポケベルが鳴つたメロンが、階下を覗くとそこに影田が入つて来るやうな奇を衒つた演出も、印象的なスパイスの範疇に止(とど)まる。特筆すべきは、オレンジが社長との拗らせた腐れ縁を、滔々とメロンに語る長台詞。筆を滑らせるとしのざきさとみはこんなにお芝居上手かつたかなと面喰はされる、突発的な名場面。何より素晴らしいのは、クリスマスに正面戦を挑むピンクは案外少ない中、奇想天外なロマンティックを振り抜く、一撃必殺のラスト・シーン。寂しい夜に小屋で観て、人知れず憚ることなくダダ泣きしたくなる一作。嘘でいいんだ、今既にある現し世の臭ひが嗅ぎたくて、木戸銭を落とす訳ぢやない。

 ところで、snailmind―“カタツムリの心”を意味する造語―なるユーザー名から御本人作成と思しき、凄いチャンネルに出くはした、一体九ヶ月前に何があつたのか。日芸映画学科の卒業制作が、小川欽也のラインで大蔵から配給されたデビュー作「実録・桃色家族性活」(昭和59)は見たいけれど、ディレクターズカットといへば聞こえがいいものの、要は上げられる尺に刈り込んだダイジェスト版だからなあ。


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 「白昼の女狩り」(昭和59/製作:株式会社にっかつ・㈱フィルムワーカーズ/配給:株式会社にっかつ/監督:曽根中生/脚本:森下馨/プロデューサー:鵜飼邦彦/撮影:水野尾信正/照明:金沢正夫/録音:東映仕上げセンター/編集:田中修/助監督:松本洋二/銃器:スペシャル・エフェクト・チーム てっぽうや/協力:シャルム・グループ、他/出演:加来見由佳・なぎら健壱・織本かおる・由利ひとみ・南伸坊《特別出演》・深見博・堀礼文・君嶋宣仁、他)。配給に関しては事実上“提供:Xces Film”か。
 ボレロ開巻、戦闘服のフル装備で双眼鏡を覗くなぎら健壱と、空港近くで撮影中の加来見由佳。促された加来見由佳が、両手を耳の脇に揃へたストップモーションに乗せてタイトル・イン。アヌビス“死神”(なぎら)は展開する部下(深見博とビリング推定で君嶋宣仁)に、標的を加来見由佳から野ションする織本かおるに変更することを指示。織本かおると不倫相手・長嶋(南)がカーセックス中の車を深見博と君嶋宣仁が襲撃、最終的に逃走する長嶋はアヌビスが拳銃三発で、織本かおるは深見博が強姦したのちに、観音様から重火器で撃ち抜き始末する。君嶋宣仁は、車の上でアホみたいに踊る。ラブホテル「シャルム」でのビニ本の撮影後カメラマン(堀)を撒き帰宅した推定女子大生・村松(加来見)に、監視するアヌビスが電話を入れる。深見博の本職は気の回らない蕎麦屋で、何でそんなに自由になる時間と金があるのかよく判らないアヌビスはスーパーの係長。君嶋宣仁は、多分足し算は出来る程度のアヌビスリアル部下。村松に贈りつけ続ける薔薇の花束を買ひがてら女子高生(由利)に目をつけたアヌビスは、チームを召集し自動車整備工場を営むと思しき由利家(仮称)を奇襲、父親とボーイフレンドの工員共々血祭りにあげる。電話局を偽り仕掛けた盗聴器により、村松が村松は望まぬ撮影旅行に出る情報を察知したアヌビス以下一同は、本格的な作戦を始動する。
 正確な事情は担当者が口を割らねば判るまいが、昭和59年当時公開されることなくお蔵入り。以来監督の消息不明もあり長く塩に漬かつたままであつたものが、2011年の第36回湯布院映画祭に於ける曽根中生の電撃生存確認を経て、翌年の日活創立100周年記念特集「生きつづけるロマンポルノ」での世紀を跨いだお披露目に漕ぎつけた話題作。局地的、あるいは極私的な文脈としては、前田有楽劇場にて「白昼の女狩り」と「淫Dream まどろむ白衣」とセカンドバージンが週替りで上映される、曾根中生×渡邊元嗣×城定秀夫、三大監督八幡最大の決戦のオープニングに当たる。さういふ次第で、気負つて小屋の敷居を跨いでみたところ。名ありの登場人物がほぼ全滅する死屍累々の果てに、狂気が連鎖するラストは確かに鮮烈ではあるものの、質量ともに貧しい女狩りチームが凶行を重ねる始終には脈略もメリハリも欠き、過激な描写ににっかつが度肝を抜かれるなり恐れをなしたといふよりも、不用意に危ない橋を渡るにしては、ただ単に然程面白くもなかつたんぢやね?といふ直截な邪推も禁じ得ない。名前や文脈に目を曇らされなければ、別にギャーギャー騒ぐほどでもない一作。大丈夫だナベ、セカンドバージンは淫Dreamの蓋を開けてみないと判らないけれど、ロマポなら全然倒せるぞ。


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 「濡れた愛人 グンと突きあげて」(2001『愛人物語 くはへてあげる』の2014年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:かわさきりぼん/企画:福俵満/撮影:清水正二/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/スチール:津田一郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:河村栞・若宮弥生・奈賀毬子・かわさきひろゆき・入江浩治・なかみつせいじ)。
 LPレコードやフォークギターの散らばる安アパートの一室、訪ねて来た河村栞と、目を丸くする部屋の主のかわさきひろゆき。佐藤徹(かわさき)は学生時代の友人・佐伯と自室にて待ち合はせたにも関らず、現れたのは佐伯と付き合つてゐるとかいふ黒木伸子(河村)であつた。佐伯は既婚者なのに、しかも斯くも若い娘と。まるで事態が呑み込めぬまゝ鳴つた佐藤の携帯を、伸子が奪ひ取り切つたところ―何で切るのかよく判らんが―でタイトル・イン。何事かヤバい状況になつてゐると思しき佐伯(なかみつ)は散発的にしか連絡を寄こさず、膠着する佐藤の部屋には三人仲良くギターを携へた佐伯と佐藤と、今は佐伯の妻・依子(若宮)のスナップ写真が飾られてゐた。
 配役残り入江浩治は、佐伯の所在を求め佐藤の部屋に乗り込むヤクザ。その場から兄貴分にかけた電話で、傍に佐藤がゐるといふのにチャカだ何だと無防備にベラベラ喋るのは、かわさきりぼんの書く脚本だから仕方がない。感動的なまでの三番手感を爆裂させつつ、三本柱唯一劇中現在時制の濡れ場をこなす奈賀毬子は、ヤクザの情婦・実夏。ヤクザと同じく佐伯を捜す刑事は、何故かjmdbではさとうおさむ(=佐藤吏)とされてゐるものの、実際には姿も声も広瀬寛巳。
 公開当時m@stervision大哥に木端微塵に酷評された、深町章2001年第五作。m@ster大哥が完結されたところにのこのここの期に遅れ馳せるのは気が重いどころか猛烈にしんどいのだけれど、それでも“ピンク映画は観ただけ全部感想を書く”。負け戦でも、戦はなければならない時もある、勝つた戦の記憶がある訳でもないんだけどな。火に油を注いでか傷口に塩を塗つてか、よもやかわさきひろゆきの自作曲なのか、窓枠に腰かけ耳を傾ける伸子の表情が、食傷のあまり白目を剥いてゐるやうに見えなくもない、夢を捨てきれぬ男を歌つた十八番を佐藤が浪々と、もとい朗々と披露するクライマックス。自らを青いと称することが許される歳でもないゆゑ、要は俺はバカだから、迸るが如くダサくて臭くてどうしやうもないシークエンスに、プリミティブさがグルッと一周したエモーションを感じた。毎度のこととはいへ出鱈目を吹くやうだが、これ深町章が撮つたと思ふから呆れるなり匙を投げかねないので、もしも仮に万が一一年早いがたとへば佐藤吏ないし森山茂雄の映画であつたならば、受ける感触も全く変つたものになつたのではなからうか。何れにせよ頑丈に残存する時代錯誤感と、来客が不自然に卓袱台に腰を下ろし続ける、無駄な上にクスリとも笑へない小ネタをさて措けば。


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 「いんらんな女神たち」(2014/制作:セメントマッチ/提供:オーピー映画/脚本・監督:金沢勇大《第一話『さやうなら好きになつた人』》・中川大資《第二話『屋上』》・矢野泰寛《第三話『騒々しい来客』》・江尻大《第四話『ノリオのわくせい』》/音楽:石川真平《第一話》・小鷹裕《第二話》・與語一平《第四話》/製作総指揮:池島ゆたか/撮影:飯岡聖英/編集:酒井正次/助監督:田中康文/監督助手:菊嶌稔章/撮影助手:宮原かおり・浅倉茉里子/照明応援:広瀬寛巳/編集助手:鷹野朋子/協力:小川兄弟/出演:佳苗るか・森ななこ・円城ひとみ・上原亜衣・津田篤・明智半平太・郷志郎・なかみつせいじ・本多菊次朗・森羅万象・堀晃大・久保田泰也・岡田智宏)。クレジットの情容赦ない情報量に涙する、仕方がないのでビリングはポスターまま、実際にはその他そこそこ数登場する。第三話監督の矢野泰寛は、北川帯寛の変名。
 タイトル開巻、第一話「さやうなら好きになつた人」。第二話では実在するのか萬の字の社旗まで抜かれるよろずや商事株式会社、仕事の出来ないオタク社員・松村邦雄(明智)が小言を喰らひ、営業部主任の田畑ノリオ(津田)は、お目当ての新入社員・綾瀬結衣(佳苗)に鼻の下を伸ばす。一方、屋上ではノリオと同期で、係長と出世頭の才媛・野原マコト(森)が悩ましくしやがみ込む。飲みの席、遅れて現れた松村に実は同好であつた結衣をカッ浚はれ愕然とするノリオに、部長(なかみつ)は社内で掃き溜めと称される博多支社への―課長に昇進するゆゑ一応―栄転を言ひ渡し、火に油を注ぐ、あるいは止めを刺す。郷志郎は、イケイケの若手・阿部。
 第二話「屋上」、自身に続いて意気消沈し屋上に退避したノリオに、マコトは悩みを打ち明ける。美人の顔を曇らせる元凶は無職×借金×DV、挙句に趣味はハメ撮りといふろくでもなさが過積載の彼氏・ユウ(本多)であつた。
 第三話「騒々しい来客」、引越しの荷造りに追はれる最中、話の通らないピザ屋にノリオが声を荒げる雨の夜。同じアパートの内田奈美(円城)が、部屋に転がり込んで来る。五年ぶりに出所する元夫・英二(森羅)から逃れる為に、一晩恋人のふりをして呉れといふのだ。堀晃大は、態度の悪いピザの配達員。堀晃大の事故ネタ同様、限られた尺の中で無用な枝葉としか思へないチワワは、日高ゆりあの愛犬らしい。となると、ドアの隙間からお犬様を回収する殆ど映らない飼ひ主が順当に日高ゆりあか、何処に出て来たのか全く判らないがクレジットされる山口真里?
 第四話「ノリオのわくせい」、高校生時代(このノリオ役誰?/声は津田篤のアテレコ)、頻繁に自宅に久保田泰也や岡田智宏を連れ込む姉・麻里子(上原)の姿に青い性欲を拗らせたノリオは、近所の吉行由実のパンティを盗んで捕まる事件を起こす。そんな弟に、麻里子は自らのパンティを贈る。ノリオが吉行由実―ノーブラだよね―に詰め寄られる件、不自然なほど周囲には大勢が見切れる。
 ピンク映画最後の新人監督と悲しい称号も囁かれた小川隆史が、初陣でやらかした―目下はAVを撮つてゐるらしい―のも何時の間にか今や昔。十五分×四本の形で四監督が一挙にデビューする、豪快な企画の第一弾。今作の三ヶ月後に中川大資は目出度く一人立ちを果たし、更にその一月弱後には、今度は渡邊元嗣のプロデュースで小山悟と残された最後の大物助監督―何だそれ―永井吾一(=永井卓爾)が処女航海に出港する。因みにオムニバス企画自体だとエクセスの「白衣の痴態 -淫乱・巨乳・薄毛-」(2002/監督:坂本太・佐々木乃武良・羽生研司/脚本:佐々木乃武良)以来、更に遡ると「人妻不倫痴態 義母・未亡人・不倫妻」(2001/監督:しのざきさとみ・小川真実・佐倉萌/脚本:有馬仟世)で三人官女が、「痴漢エロ恥態 電車・便所・公園」(1998/監督:勝利一・坂本太・佐々木乃武良/脚本:有馬仟世)では勝利一と佐々木乃武良が、今回の四人と同じく合同デビューを果たしてゐる。あくまで最終的には一本の統一された物語になる形で、十五分づつリレーを繋げる。案外困難なミッションに思へるのは素人目なのか、無難に纏めた第一話と第二話。塀の中で仕込まれたと思しき、薔薇の花香るオチに落とす第三話。銘々が拡げたあれやこれやを、無理から走馬灯に捻じ込んだ第四話。当然四本柱の裸は潤沢に見せなくてはならず、制約も決して少なくなからう中、総じてよくいへば手堅いともいへ、反面初々しい覇気なり才気には欠いた印象も弱くはない。特に目についたのは、金沢勇大が乱打する師匠・関根和美譲りの妄想ネタと、逆に池島ゆたかの下で長く修行を積んだ割には、覚束なくセンシティブな中川大資の叙情性。小娘小娘する佳苗るかと上原亜衣に対し、森ななこと、スチールでは間の抜けた馬面に見え、動いてるところの方が断然いい円城ひとみの濡れ場が―即物的に―クッソエロかつたゆゑ、ひとまづは楽しめた。四篇からなる一篇を、力づくにせよ何にせよ畳んでみせた江尻大の単独作を早く観たいが、関根和美と感動的に変り映えしない金沢勇大に、頭なり腹を抱へてみるのも悪くはない気がする。北川帯寛は・・・・傍目に過ぎないけどなかろ?


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 「森尾歩衣 聖水折檻」(1993/企画:吉満屋功/プロデューサー:久保新二/配給:新東宝映画/監督:若月美廣/脚本:田辺満・若月美廣/撮影:中本憲政/照明:隅田浩行/音楽:遠藤浩一/編集:酒井正次/助監督:四宮一志/監督助手:森木正己・藤原健一/撮影助手:鬼頭信行・岡宮裕/照明助手:渡部和成/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/効果:東京スクリーンサービス/スチール:田中欣一/協力:モルフェス・川村真一・梅原淑行・佐藤睦・小川純子・劇団『火の鳥』・歩衣ちやんのファン/特殊緊縛:濡木痴夢男/出演:森尾歩衣・伊藤猛・佐野和宏・斉藤桃華・荒木太郎・伊藤舞・遠藤由紀・久保新二《友情出演》・津崎公平・港雄一)。
 森尾歩衣(終に役名は呼称されない)宅をチンピラじみた若い衆(火の鳥の皆さん)がガサ入れし、一味を率ゐる、太陽か大洋運送社長秘書・角田ハルヒコ(伊藤猛)は我関せずとばかりに、花瓶に挿された薔薇を愛でる、トーダイモトクラシー。探し物は出て来ず、埒が開かないので森尾歩衣を拉致、角田は落ちてゐた佐野和宏のスナップ写真を拾ふ。角田がスナップを胸の内ポケットに納めたタイミングで、薔薇の花束にタイトル・イン。そのまま、連続したカットで伊藤舞女王様が隷女(遠藤)を薔薇束で打つ一幕に移行する繋ぎ―だけ―は、画期的に洒落てゐる。SMショーを大洋か太陽運送社長・瀬川エイジ(港)と、広瀬隆の『最後の話 死の灰と世紀末』を常時手放さないその息子(荒木)、若い衆が楽しむ席に、遅れて角田も顔を出す。すると瀬川の娘でもある婚約者・ユミ(斉藤)から婚前交渉ヤル気満々の呼び出しの電話―携帯が鬼のやうにデカい―が入り、角田はそこそこに中座。ユミが知つてゐた佐野和宏の正体は、鶴になつた瀬川の元秘書・岸川リョースケ。恋人である岸川が盗んだ裏帳簿の所在を求め、森尾歩衣は囚はれたものだつた。
 配役残り、秋山駿名義でピンク監督作もあるとの津崎公平(1995年没)は、瀬川とよからぬ遣り取りを交す大物国会議員・角丸先生。久保新二はクレーンの現場に目立つ白ジャケット姿で花を添へる、瀬川の太鼓持ち的ポジション。
 早過ぎる急な訃報が強い衝撃と深い悲しみとを呼んだ、伊藤猛を偲んで何か出演作を見るかとDMMを漁つてみた、久保チン御当人のブログによると「ザ・妊婦」(1992/監督:川村真一/脚本:友松直之・川村真一/主演:竹村祐佳)に続くプロデュース第二弾。全く馴染みのない若月美廣といふ名前に関しては同じく、シネマジックを主戦場にSMものを得意とするAV監督とのこと。さうしてみたところ、伊藤猛が何の毒なり闇も含まぬ堅気の役で片翼捥がれた印象が否めないのと、80年代の残滓を色濃く引き摺る、レス・ザン・シャープネスなスーツのダサさは如何ともし難く厳しい。息子に促された角田が、縛られ横たはる森尾歩衣を鞭打つ件。ピンク映画は女優の裸が映つてあればそれで事足りると一面に於いてはいへるものの、荒木太郎には問題ないフレームに伊藤猛の尺が収まりきらず、葛藤してゐる筈のハルヒコの表情が暫し切れる、間抜けな悲運にも見舞はれる。兎にも角にも、もしくはそれどころではなく。要は裏帳簿は何処だの一点張りで女を責める地点から殆ど動かない稀薄な物語以前に、今作の致命傷は主演の森尾歩衣。鞭以外にも熱ロウを受けクレーンに吊られ聖水を浴びる、当時的にはそれだけのプレイを実際にこなすだけで重宝されたのかも知れないが、キーキー耳障りな声で泣き喚くのが正しく関の山の貧しいお芝居にはせめてアテレコにして呉れよと匙を投げるほかはなく、乳も確かにある程度は太いともいへ、腰周りはなほ一層紛ふことなく太い。リアルタイマーならばメモリー補正でまだ見られたのかも知れないが、正直この期に及んで蓋を開けて、あるいは踏んでみる素材ではない。堂々とバレてのけると、変心した角田は、息子から森尾歩衣を奪還し逃走。「どうしてアタシを・・・?」といふ問ひに対しては、「俺にだつて判らない」。心配するな、斉藤桃華と約束された将来を捨て森尾歩衣を選んだ理由が観客には尚更判らない。挙句に続けて、「ただアンタが美しく見えただけだ」などといふに至つて完全にチェック・メイト。闇献金が露見したにも関らず、瀬川と舞女王様の相変らずな劇中第二戦で締める謎のラストが、全篇を貫くマッタリ乃至はモッサリ感を別の意味で完成させる。淀川長治先生いはく、どんな映画にも一箇所くらゐはチャーミングなところがある。映画丸ごとチャーミングだとでも思はなければ最早やつてゐられない、お茶目さんな一作である。
 タイトルにまで謳ふ聖水折檻―主は瀬川―に際して、さういふ演出でもあるのであらうが普通に嫌々浴びる森尾歩衣よりも、自らもビショ濡れになることを厭はず森尾歩衣を固定した上に、最終的には尿塗れの顔をベロンベロン舐め回す猛ハッスルを披露する荒木太郎の方が、余程筋金入りの変態に見える。

 結局、全く追悼になつてゐない件。佐々木麻由子と共演の、緑色のジャケットを着た伊藤猛が本当に実写版ルパンに見えたピンクを探したのだけれど、見当たらなんだ。


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 「色欲怪談 発情女いうれい」(1995/製作・配給:大蔵映画/監督:小林悟/脚本:如月吹雪・小林悟/撮影:柳田友貴/照明:荻久保則男/編集:㈲フィルム・クラフト/音楽:竹村次郎/助監督:佐藤吏/特撮:キクフィルム/スチール:佐藤初太郎/録音:シネキャビン/タイトル:ハセガワプロ/フィルム:AGFA/現像:東映化学/出演:冴島奈緒・貴奈子・桃井良子・白都翔一・樹かず・港雄一・吉行由実)。照明の荻久保則男―胎内記憶を扱つたドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」が目下上映中―は、a.k.a.まんたのりお。
 神崎クリニックの表を抜いて、暗い診察室に聞こえよがしな水ポチャ音。父親が事故死して二十年、自宅兼医院を改装し神崎クリニックを―再開する形で―開業した神崎雄一(白都)と、妻にして看護婦でもある秋枝(貴奈子)の夫婦生活。一方診察室には冴島奈緒が出現、ファンファーレ的に仰々しい劇伴が起動しタイトル・イン。事後、雄一の父・建造(港)と母・静香(吉行)の在りし日のスナップ写真に見守つてて下さいねと語りかけた秋枝は、鏡の中に冴島奈緒の姿を認め悲鳴を上げる。以来、昼となく夜となく、冴島奈緒が出現しては秋枝の在不在に関らず雄一に跨り、そのことを一切覚えてゐない雄一は、精気を吸ひ取られみるみる消耗して行つた。窮した秋枝は雄一の後輩で、「高橋雑誌編集工房」主幹の高橋正也(樹)を頼る。元々好きだつたとやらで、先輩の嫁を喰つた高橋―さして抵抗もしない秋枝も秋枝ではある―高橋は最初てんで幽霊話を取り合はなかつたものの、試しに回してみたビデオに冴島奈緒がこれ見よがしに見切れることに商売気込みで発奮。建造の神埼医院に勤めてゐた、現在も看護婦の相田裕子に話を訊きに行く。
 配役残り桃井良子が、裕子の若い頃。婿養子の建造は静香の目を盗み看護婦のアベナツミ(漢字が全く判らん/冴島奈緒)と、最終的には妊娠させた上で駆け落ちを約束までする深い関係を持ちながら、裕子にもケロッと手を出してゐた。ラスト間際の神崎クリニックの診察風景、患者役の若い男は佐藤吏ではないゆゑ不明。
 小林悟1995年全十二作―内二本が薔薇族―中第八作は、約二十年ぶりとの大蔵怪談映画。約二十年前といふのは、小川卓寛(=小川欽也)の「新怪談色欲外道 お岩の怨霊四谷怪談」(昭和51/脚本:津川京一/撮影:柳田友春《=柳田友貴》/主演:乱孝寿)のことなのか?それにしても凄く盛つたタイトルだ。今作に話を戻すと、故福岡オークラで何かの特集上映で観た記憶はあるが、何の特集であつたのかと、映画の中身は全く覚えてゐない。幽霊が透けて見えるオプチカル合成が妙に丁寧な辺りに、久方振りの怪談映画に際しての、復興も目論んだのか大御大のらしからぬヤル気を感じかけたのは、例によつて間抜けな小生の勇み足。高々六十分そこらの尺の中で、ノン・ストップの過去パートを二十分ぶち抜く豪快極まりない構成や、口止め料を元手にするのは兎も角、看護婦が副業で寿司屋なんて経営出来るのかといふフリーダムさは、流石とでもしかこの際いひやうがない御大仕事。ブツ切れとまではいはないが、投げ放したオーラスの乾いた感じも如何にも小林悟的。但し、要はさんざ弄ばれた挙句にナツミが捨てられる夜。茶店で待ち惚けを喰らはされるナツミと、飲み屋からバスルームに移行して裕子とイチャつく建造の様子とを交互に差し挿む冷徹な演出は、ナツミの憐れさを正しく補つて余りある建造こと港雄一貫禄の非道さがケッ作。本来因縁ある土地に固定される筈の、幽霊映画の狭いセオリーを易々と無視して済ますのはさて措き、劇中締めとなるナツミが高橋をも―高橋雑誌編集工房に出張つて―捕食する濡れ場。ユッサユッサと充実した質感を以て揺れる冴島奈緒大先生のオッパイを、色んな角度から執拗に文字通り舐めるショットが爆発的に素晴らしい。トメの吉行由実が脱がないことも何時しか忘れ、お腹一杯に満足させて呉れる。

 恨みを持つてではない場合まで含め、幽霊が出て来るものは結構数あれど、タイトルから怪談を謳つた生粋の怪談ピンクは、以降三本しかない。その中で今上御大・小川欽也の“監督40周年記念作品”「淫欲怪談 美肉ハメしびれ」(2004/脚本:関根和美・清水雅美/主演:三上翔子)は実は怪談映画ではないらしく、今年の「怪談 女霊とろけ腰」(監督:加藤義一/脚本:鎌田一利/主演:水樹りさ)は、先月初頭に封切られたばかりで当然未見。外様感が爆裂する、「色欲怪談 江戸の淫霊」(1997/監督:酒井信人/脚本:山田誠二)がDMMのDVDレンタルでならば見られるのだが、これも押さへておかないといけないのかな?


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 「発情夜這ひ未亡人」(1996/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督・脚本:関根和美/企画:桜井文昭/撮影:三原好男/照明:秋山和夫/編集:《有》フィルム・クラフト/音楽:リハビリテーションズ/助監督:加藤義一/監督助手:小谷内郁代/撮影助手:伊藤琢也/効果:協立音響/出演:有賀美雪・吉行由実・林田ちなみ・杉本まこと・樹かず・真央元)。出演者中吉行由実が、ポスターには吉行由美。“配給:大蔵映画”ではなくオーピー映画提供としたのは、白黒のOP開巻に従つた。
 ところはデフォルトのやうに南酒々井、下宿屋「コーポ後藤」。店子の大学生・武男(樹)と未亡人―亡夫に関しては一切触れられない―の大家・裕子(有賀)が一緒に風呂に入る。金銭の授受込みでトルコ紛ひ、といふかそのもののスペシャル・サービスに突入。尺八から武男が点火し後背位、フィニッシュまでには至らず朝―か昼―のハウススタジオ全景を抜いてタイトル・イン。朝から何杯もお替りする会社員の健治(杉本)に裕子が匙を投げつつ、女子大生・恵子(林田)はダイエット中とのことで朝食を抜く、以上四名がコーポ後藤に暮らす面々。その夜かどうかは厳密には判らないし別にどうでもいいのだが、健治が一階で眠る―店子の部屋は全員二階―裕子に夜這ひを敢行するのは、武男に対するものとは別の形での有料サービス。
 配役残り、真央元は最終的には捕獲された裕子にいはゆる逆レイプで喰はれる下着ドロ。実質的には三番手の吉行由実は、劇中御歳三十五といふのは若干逆サバの、ノルマの達成に汲々とする保険屋・鈴木。鈴木のファースト・カット、後方を通り過ぎる加藤義一が薮蛇気味に見切れる。
 通算二作前「女子寮潜入 覗きとレイプ」(1995/監督:川井健二《=関根和美》/脚本:川井健二・如月吹雪/主演:有賀美雪)の予習を経ての、関根和美1996年第一作。三年間使用した川井健二からの、名義戻し作に当たる。裕子との一戦の最中、健治が上げた「堪んねえぜ、こりやあ」といふ咆哮に、恵子が女子高生時代田舎でのレイプ被害を想起する瞬間に何某かの物語なり伏線の起動を認めかけたのは、概ね早とちり。無造作あるいは豪快な吉行由実の放り込みやうが寧ろ潔い、諸々の組み合はせの絡み絡みをなだらかに連ねるに終始する始終に、起承転結らしい起承転結は存在しない。裕子の恵子いはくの“自由奔放”は若くして亭主に先立たれた寂しさの一言で片付けられ、恵子の―オナニーは大好きだけれど―男性恐怖症も、樹かずのイケメンの前に容易く氷解する。但し、恵子の短い回想を除けば前半を男優部三冠を達成する有賀美雪で費やし、以降十分ごとに林田ちなみと吉行由実を完璧なタイミングで投入、裕子と恵子がタッグを組み武男を昇天させる―本当に武男もデスる訳ではない―締めの濡れ場へと繋げる構成は案外磐石。快晴の白夜の如き中身のなさが最早清々しく、何処から観ても何処で観るのをやめても全然困らない穏やかな裸映画として、これはこれとしてこれでも、量産型娯楽映画のひとつの然るべき姿と思へなくもないやうな、矢張り思へるかと叱るべきなのか。


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 「女子研修寮 暴行の洗礼」(1995『女子寮潜入 覗きとレイプ』の1998年旧作改題版/製作:関根プロダクション/配給:大蔵映画/監督:川井健二/脚本:川井健二・如月吹雪/撮影・伊東英男/照明・秋山和夫/録音・ニューメグロスタジオ/編集・フィルム・クラフト/助監督・森満康巳/音楽・藤本淳&リハビリテーションズ/撮影助手・倉田昇/照明助手・瀬川英一/効果・協立音響/現像・東映化学《株》/スチール・津田一郎/出演:有賀美雪・浅野桃里・栞野ありな・杉本まこと・樹かず・真央元)。
 軽快な劇伴とともに、一台のライトバンが通過。と思ひきや、主人公が乗つた車は結構遅れて来る、見た目が殆ど変らない二台目のライトバンといふプリミティブなのか単なる無作為の結果に過ぎないのかグルッと一周してシュールなのか、よく判らない映像マジック。開巻正しく秒殺で、映画の女神が微笑んだ、とでもいふことにしてしまへ。
 車内はハンドルを握る役名・ポジション不明の真央元と、助手席に教育係の山際(樹)。後部座席には画面向かつて左から短大卒の中島みなみ(有賀)と、名門らしいセイウン―青雲?―大卒の沢木ゆかり(栞野)。僅か二名といふのが些か不自然な最強製薬新入社員の、研修寮に向かふ道中といふ寸法。研修はハードとの方便で、山際から渡された―当然最強製の―ビタミン剤を飲んだ二人は寝落ちる。急に選曲が民族音楽風に、体が動かないみなみが、黒手袋とスキーマスクを着用した男にセクハラされるのは、貫禄の夢オチ。結局目的地は何のことはない、毎度毎度御馴染み南酒々井の一軒屋。表で寮長・イカルギ(杉本)とその妻・トキエ(浅野)が、旅館感覚で緩やかに手を振り一行を迎へてタイトル・イン。自衛隊出身とのイカルギがスパルタンに豹変、やをら竹刀をブン回しつつ兎も角研修生活スタート。汚れたやうな色の入浴剤―無論最強製―の風呂に二人で浸かるみなみとゆかりは出し抜けに百合の花を咲かせ、睡眠薬だの食後薬―だから最強製―をいはれるままに服用しては、黒手袋とスキーマスクのマオストロイヤーやスギモトロイヤーに陵辱される、夢とも現とも知れぬヴィジョンに度々苛まされる。
 主演には同じく有賀美雪を据ゑた関根和美への名義戻し作を観に行く、予習がてら見ておいた川井健二1995年第五作。改めて整理すると川井健二とは関根和美が―jmdbによると―1993年から1995年にかけて使用した変名で、今作は当該名義戻し作「発情夜這ひ未亡人」(1996)の通算二作前に当たる。有賀美雪的には第二作―川井健二二作前の初陣「いけにへ個人授業 ‐バイブ責め‐」には手も足も出ない―に当たり、「発情夜這ひ未亡人」から六年空いた第四作「イヴの衝撃 不貞妻の疼き」(2002/脚本:林真由美・関根和美/主演:イヴ)・第五作「悩殺OL 舌先筋責め」の記憶と比較した場合、首から下は全然さういふこともないのに、顔がブタマンのやうにパンッパンに丸く、同一人物とは思へないほど随分と未完成といふ印象が強い。それと、どうも吉行由実のアテレコに聞こえるのは気の所為か?映画の中身に話を戻すと、製薬会社の新入女子社員が研修中に見舞はれる、謎の投薬疑惑。結構スキャンダラスな大風呂敷を拡げてみせたに見えて、結局舞台の大半は何時もの南酒々井のハウススタジオ。スケールが案外大きいのか矢張り小さいのか判断に苦しむ物語は、基本みなみの思ひ込みを軸に進行する。軸にといふか何といふか、要はそこだけは確かに正体が意外な大ボスが得意気にベラベラ開陳しなければ、みなみは自力で具体的証拠なり根拠の欠片に辿り着く訳でもない。凡そ二十年前の映画に食指を伸ばしたにも関らず、新鮮味に欠いたサスペンスの脇の甘さは、今も昔も変らぬ関根和美と生温かく肯定的に捉へるべきなのか、まるで進歩してゐないと直截に難じるべきなのか。但しタブー知らずの豪快なラストには、驚くことは驚いた。そこで湧き起こるエモーションの、意味なり方向性はこの際問はん。
 演出部に歩調を合はせてか、撮影部もお茶目なシューティング。森の中でのみなみと山際の野外プレイ、回り込んでみたりカット跨ぐとグンと引いてみたりと、アクティブなカメラワークには一見意欲も感じさせて、下手に動い―て停止し―た結果、フレーム内の一箇所に余光が暫し固定される不自然で間抜けな画は初めて見た気がする。純然たる素人考へでしかないのだが、お天道様との位置関係で、ある程度容易に予見ないしは回避可能なのではなからうか。


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 「若妻 むつちりした肉体」(2002『探偵物語 甘く淫らな罠』の2014年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:橋口卓明/脚本:五代暁子/企画:福俵満/撮影:田宮健彦/照明:小川満/編集:酒井正次/録音:シネキャビン/助監督:佐藤吏/監督助手:田中康文/撮影助手:山本宙/照明助手:石井拓也/タイトル:道川昭/現像:東映化学/協力:ブリッジビルダー・セメントマッチ・渡邊元嗣・広瀬寛巳・松岡誠・真由美/出演:ゆき・奈賀毬子・工藤翔子・ささきまこと・なかみつせいじ・田嶋謙一・伊藤猛)。道川昭の前にスチールの元永斉。
 元警官の探偵・園辺亜門(伊藤)と腐れ縁のホステス・宮前晶子(工藤)のルーチンな情事の事後、亜門の昔の恋人・久美(ゆき)から電話が入る。曰くありげな女が連絡を寄こしたと思しき様子に、恋女房気取りの晶子は脊髄で折り返して臍を曲げる。亜門は五年前の警官時代、馴染みの喫茶店のウェイトレスであつた久美と深い仲となる。ところが代議士のドラ息子―しかも未成年―の飲酒運転を揉み消す揉み消さないで、警察組織と袂を分つた亜門はドロップアウト。菊の御紋と、久美も捨てる。その後、亜門の大学の同期で警官時代も同僚・江藤(ささき)が刑事に昇進後久美に求婚、二人は結婚したものであつたが、何とその江藤が浮気をしてゐるといふのだ。江藤を知る亜門は半信半疑のまゝ兎も角調査開始、現に、江藤は二十三歳のOL・菊島さやか(奈賀)とスタバで会つてゐた。家を出た久美は亜門の事務所兼住居に転がり込み、晶子をポップにやきもきさせる。ものの、実際にはさやかは亜門と江藤の更に同期で象牙の塔に残りミジンコを研究する、賀川(なかみつ)と蜜の罠の匂ひをプンプンさせつつ婚前交渉に励む婚約状態にあつた。
 出演者残り、田嶋謙一はさやかが江藤に売り込むミルキーファンドを仕掛ける、「アセントビジネス研究所」社長・松阪。退勤する賀川を見送る、警察署の門番は広瀬寛巳。江藤の部屋にカチ込む、サラ金の強面二人が判らない、あれ佐藤吏と田中康文ではないだろ?
 開巻晶子とセックスしてゐると―滅多にかゝらない―調査依頼の電話が着弾、「信頼と実績の愛情調査、園部興信事務所です」で御馴染みの園辺亜門シリーズ第三作。全作コンプの機会に改めて整理すると第一作「人妻家政婦 情事のあへぎ」(2000/脚本:福俵満/主演:佐々木麻由子)、第二作「人妻浮気調査 主人では満足できない」(2001/脚本:武田浩介/主演:時任歩)、今作挿んで最終作「真昼の不倫妻 ~美女の快楽~」(2003/脚本:福俵満/主演:岡崎美女/晶子役が酒井あずさに交代)と、一年に一本づつ計四作が製作された。今回唯一亜門がクライアントに―劇中現在時制では―手をつけない反面、濡れ場は回想でタップリと消化される。それではドラマが全く発生しない点を等閑視するならば、これ要は変に勿体つけず賀川が初めから久美にキチンと説明しておけば別にやゝこしくなりもしない話でしかないのだが、不用意に入り組んでゐないだけに、無闇に仕出かすこともない物語は堅い出演陣にも恵まれシリーズ唯一、もとい随一の纏まりを見せる。伊藤猛と工藤翔子の両義的な絡みは円熟味を増し、枯れ木の季節に、伊藤猛の長身は映える。普段はクール・ビューティー的な役所が多い分気づかされにくい、内緒で夫婦の貯へを溶かした賀川を久美が問ひ詰める際の、ゆき(ex.横浜ゆき)の張つた発声は予想外の聴き処。逆に、劇伴の終始適当な選曲は些か耳に障る。m@stervision大哥はささきまこととなかみつせいじの配役が逆であつた場合を論じておいでだが、小娘にチョロ負かされる初心なチョンガー研究者に、サバ缶をおかずに食パンを齧るディテールも超絶のなかみつせいじが綺麗にフィット。江藤がさやかに遺した遺書の内容は泣かせ、さやかにも、さやかなりの言ひ分が用意される。下手な謎解きがトッ散らかる前二作に、兎にも角にもカチンコチンの主演女優と素直に命運をともにする最終作。残りが仲良く漫然とする中では、頭ひとつ抜けた印象を持つものである。

 以下は再見に際しての付記< 賀川宅に突入する二人組、少なくとも片方は佐藤吏


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 「巨乳三姉妹 肉あさり」(1999/製作:旦々舎/配給:新東宝映画/監督:的場ちせ/脚本:山邦紀/企画:福俵満/撮影:小山田勝治・岩崎智之/照明:上妻敏厚・河内大輔/編集:《有》フィルム・クラフト/音楽:中空龍/助監督:松岡誠・増田庄吾/制作:鈴木静夫・小川隆史/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:水原かなえ・風間今日子・河野綾子・杉本まこと・やまきよ・花倉宏典・吉田祐健)。
 繊細なピアノの旋律起動、フランス書院なフォントのタイトル・イン。新都庁を一拍抜いて、特製肉団子弁当のライトバンが歩道で営業開始。早速弁当を求める客を捌く暮川三姉妹の長女・刀子(風間)と次女・珠子(河野)は一旦兎も角、三女の鏡子(水原)に、三兄弟で父親(オフィスの肖像写真は白髪の祐健)から継いだ「須藤商事」を経営する須藤三兄弟の長兄・太一(吉田)が、歩道橋の上から視線を注ぐ。太一に命ぜられ三人分の肉団子弁当を買ひに来た須藤三兄弟の末弟・参太(やまきよ)に刀子は、鏡子の制止も聞かず“夜の仕事”とやらの謎の店「モンナ・リーサ」の二割引券を手渡す。いい加減にもほどがある作りの割引券には地図も電話番号も何にも書いてゐないにも関らず、モンナ・リーサを訪れた太一と付き合はされた参太を、三姉妹は扇情的なチャイナドレスでお出迎へ。そのまま珠子お勧めのスペシャル・コースと称して、刀子と珠子は二対一のいはゆる本番行為で参太を圧倒、俺もこの二人に圧倒されたい。寝言はさて措き、鏡子と太一は微妙極まりない雰囲気でカウンターでグラスを傾ける。後日、鏡子は太一に、孤児院育ちの三姉妹が肉団子弁当とモンナ・リーサで稼いだ金で、大人に虐待される子供達の為の施設を建設する夢を語る。是非出資をと俄然入れ込む太一を半ば持て余した三兄弟の次兄にして須藤商事社長の次春(杉本)は、モンナ・リーサには乗り込まず割烹「富士乃」にて刀子とサシで相見える一席を設ける。
 配役残り汚いオダギリジョーみたいな花倉宏典は、刀子との会談後、次春が三姉妹の身許と目処がついてゐるといふ施設予定地について調べさせる、平成調査事務所の調査員。存在を全く忘れてゐたのと、要は、この探偵役立たずだつたといふことだね。
 余程評判がよかつたのか、当時地元駅前ロマンと故福岡オークラで繰り返し繰り返し、浸かるやうに観た覚えのある的場ちせ(=浜野佐知)1999年第三作。ひとつどうでもいい瑣末なのに記憶に残つてゐたのが、重大な要件の電話に出もせずに祐健が携帯をプルンと放り捨てる、気の抜けたピッチング・フォームを何故か覚えてゐた。三姉妹と三兄弟の恋と夢と打算と下心の複雑な交錯を、三姉妹が揃ひ踏みするオッパイのジェット・ストリーム・アタックが結局敢行されなかつた点に関しては重ね重ね残念にせよ、何れも重量級の濡れ場で貫く。三対三の構図以外物語の中身は殆ど頭にはなかつたものの、改めて見てみると成程面白い。小屋の好評を博したのだとしたらそれも肯ける、娯楽映画的にも裸映画的にも実に充実してゐる。正確には、中盤までは充実してゐた。松岡邦彦映画ではまづ与へられない役の、吉田祐健の初心で一途な純情。風間今日子と河野綾子、四峰連なる巨大なオッパイ山脈にやまきよが狭殺される、爆裂怒涛のモンナ・リーサ戦。絶品なのが富士乃で繰り広げられる、濡れ場に突入する前段の風間今日子と杉本まことによる大人の丁々発止。観音様に強い光を当てるボカシの形式も、久方振りに目にすると案外新鮮。逆に、水原かなえがこの面子の中でビリングの頭を張るには流石に些かにでもなく早いといふか物足りなく、最終的に、鏡子の造形を致命傷に始終は脱力する。己は手を汚さずに、モンナ・リーサに於ける“夜の仕事”に疑問を呈してみせるのは大概な方便に聞こえ、刀子と珠子を出し抜き、なほかつ金は誑し込んだ太一から引張ておきながら、完全に結ばれる気の太一の随伴は拒み「私の夢は私一人の力で実現したい」だなどとは一体何なんだこの女。歴史に残る量産型娯楽映画の傑作も狙へかけてゐたのに、自堕落といふ言葉しか見当たらないヒロインの姿に、味噌をつけられた格好の惜しい一作。大体、土地は確定されてある筈だから、鏡子が都合よく高飛べる道理が判らない。

 最後に、因みにとところで。二度の風間今日子V.S.杉本まこと戦の舞台となる、割烹「富士乃」。最初に看板だけ抜いて内部は旧旦々舎和室といふ遣り口まで含め、「いんらん秘書 スペシャルONANIE」(1993/監督:山崎邦紀/主演:田中虹子)内、主人公を同席させた藤原(矢張り杉本まこと)が君塚(山本竜二)と会席を持つのも同じ富士乃。この年の浜野佐知の戦歴を振り返ると、一般映画第一作「尾崎翠を探して 第七官界彷徨」、「女修道院 バイブ折檻」・今作と続いて、締めは「平成版阿部定」。何て一年だ、漲るにもほどがある。


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 「義父の愛撫 くひ込む舌先」(2013/製作:オフィス吉行/提供:オーピー映画/脚本・監督:吉行由実/撮影:小山田勝治/編集:酒井正次/助監督:江尻大/監督助手:菊島稔章/撮影助手:海津真也・玉田詠空/選曲:山田案山子/出演:羽月希・加納綾子・菊川麻里・竹本泰志・佐藤良洋・白石雅彦・さらだたまこ・吉行由実)。オープニングCG担当の、南米系(?)の綴りの外国人の名前に力尽きる。
 風が吹き抜ける青空の中を、下手糞なイラストによる女の目が不自然に瞬きするオープニングCGにて開巻。何だこれ?あるいは、前の―トコトコ歩きのブタさんの―方がよくね(´・ω・`)
 羽月希の体を隠した泡を、シャワーが丁寧に舐めてタイトル・イン。母親(娘に宛てた手紙以外登場せず)の三回忌を目前に控へ、麻美(羽月)の父親・真司(竹本)は、近所のアパートに新居を構へたことを娘に報告する。麻美の同棲するマスコミ系の婚約者・直樹(オーピー初参戦の佐藤良洋、これで三社制覇)は名古屋での取材につき欠席する中、法事当日。真司が社長の会社のパート従業員にしては、異常に親しげな様子の玲子(菊川)に、麻美と没母の親友・妙子(吉行)は首を傾げる。玲子の立ち位置をイントロダクションしておきたい気持ちは判らぬでもないが、玲子が妙子も兎も角麻美に参列の礼を述べるのは、間違ひ探しよりも不自然だ、ツッコミもせずに聞いてゐる真司が間抜けにすら見える。
 配役残り加納綾子は、仕事といふのは嘘で、麻美が帰省してゐる隙に直樹が自宅に連れ込む―せめてホテルに行けよ―ネットで捕まへた浮気相手・理恵。どういふメソッドなのか上手くイマジン出来ないが、洗ふ時には気付かない形で下着を洗濯物に紛れ込ませる、凶悪な魚雷を放つ。本業は映画評論家の白石雅彦は、取引先の麻美に食指を伸ばす、エロ社長・坂田。こちらは本業は放送作家で、なほかつ目下日本放送作家協会理事長といふ要職に就くさらだたまこは、坂田の下心にレス・ザン・呵責で同調する、麻美の勤務先「中川設備」社長・中川。商業娯楽映画の演者として最低限の華の欠片もないものの、好色漢のアイコンとして機能し得なくもない白石雅彦には百歩譲れなくもないにせよ、憤慨紛れに筆を滑らせるが純然たる醜悪なBBAでしかないさらだたまこは論外。こんな人間に35mmカメラを向けるのは本当に残り少ない、貴重な資源なり機会の無駄遣ひではあるまいか。
 薔薇族の最新作「真夜中きみはキバをむく」がBL映画として先に一般映画の劇場で封切られ、過去作の特集上映も組まれたりと脚光を浴びる吉行由実の、塩漬けのデジタル作があるのかも知れないが、意外にも2013年唯一作。と、したところが。嘘みたいに可愛くておまけにオッパイも大きい主演女優の超絶グッド・ルッキングと、自然の風景を撮らせると無類の強さを発揮する小山田勝治のカメラとに助けられつつも、何だかんだ濡れ場を連ねた末に、更に一層何だかんだな締めの濡れ場に到達する。寧ろ吉行由実がこの期に及んでルーチンルーチンした裸映画に開眼したとでもいふのならばまだしも清々しいけれども、それにしては全般のセンシティブさが否応なくちぐはぐ。羽月希にウットリしてゐるだけで十二分どころか十五分くらゐまで元は取れるとはいへ、一旦吉行由実は一体何を考へてこの映画を撮つたのかなどと素人考へ始めてしまふと大いに釈然としない一作。いつそファザコンなのかと下衆に勘繰れば、話は早いのか。


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