真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
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2008年10月24日
昨年十月の旧本館よりの移行後、現行極めて稀でもある、時には純然たる繰言である。
改めて自己紹介がてらにいふが、当方ドロップアウトカウボーイズは、九州は福岡市在住のピンクスである、出身は別だ。ピンクスとは、“ピンク映画愛好の士”を意味する造語である。福岡市にはオーピー映画直営の福岡オークラ劇場(オークラ1で薔薇族、2でピンク)がかつては存したが、残念無念、2006年の五月末で既に閉館してゐる。尤も福岡市からピンクの小屋が完全に消滅してしまつたのかといふと、さうではなく、駅前ロマン―とパレス―といふ小屋が未だ残つてゐる。尤も、正確なタイミングは忘れた―上に今は調べ直す気力に欠く―が、福岡オークラが健在であつたかなり早い時点から、駅前ロマンはフィルム映写をやめプロジェク太上映に移行してをり、それに伴ひ三本立てのうち通常二本、時に一本、酷い時は三本ともがピンクでなくVシネといふ、当地に残存する最後の牙城とはいへ中々に切ない小屋ではある。ところで、この小屋かつてはエクセス系列館の筈で、新日本映像(エクセス母体)公式サイト内の劇場案内にも記載があつたのだが、今回再確認してみたところ、何時の間にやら消えてゐる。大人の事情、とやらと思しきところにつきおとなしくさて措くが、といふ訳で以前はエクセス新作がプロジェク太上映ながら結構早いタイミングで、それよりは若干遅れるものの福岡オークラよりは早く、新東宝の新作もかゝつてゐた。現在は大体同じやうな時間差で新東宝の新作と、平素はオーピーの2003年作を順次上映してゐる。色々な考へ方もあらうが、個人的にはプロジェク太上映であつたとて、三打数一安打であつたとて、それでもピンクはピンク、あくまでピンクはピンクである。といふ次第で、プロジェク太に移行後福岡オークラ健在時には正直足も遠のいてゐた駅前ロマンに、現在は再び頑強に通ひ続けてゐるものである。
さてそこで、先週
手放しで観たかつた関根和美の旧作
を楽しんだ、ところまでは良かつた。二週前からロビーに貼り出されてあつた、今週の番組予定は「義理の妹 いけない発情」(2005/ 脚本・監督:関根和美/主演:出雲千尋)、直截にいつて嫌な予感はした。何故藪から棒に2005年次に飛ぶのか、小川欽也の「
妻の妹 いけない欲情
」(2003)と間違へてね?といふ気がしたのだ。けふ、金曜から番組の変る駅前に仕事終りで一応足を運んでみたところ、表に貼り出されてあるポスターは依然「義理の妹 いけない発情」。「妻の妹 いけない欲情」ならば改めて観るつもりはなく、「義理の妹 いけない発情」ならば進んで観たいものであつたので、途中からではあるものの残り二本のVシネも丸々一周するつもりで券を買つた。さて劇場内に入ると、なかみつせいじとの情事の夢を見ながら、三上翔子が自慰に耽つてゐる。カット明けると、竹本泰志と佐々木基子も登場・・・・
案の定「妻の妹 いけない欲情」でやがる、本当に有難く御座いませんでした
。
一度財布から抜いた金を、返せといふつもりはひとまづない。さうはいつても流石に一言筋を通してはおかうと小屋の人間を捕まへてみると、こゝから先は、よくどころか殆ど全く理解出来てゐないため、文言としてそれほど正確ではない。大意である旨を、予めお断りする。小屋の人間が寄こした返答は、「いけない欲情」は「いけない欲情」で、それが「
義理
の妹」であるか「
妻
の妹」であるのかは、サブタイトルゆゑ取るに足らない瑣末であるとのこと。今気づいたが、片方は「いけない
発情
」でもう他方は「いけない
欲情
」である以上、その副題論すら実は成立してゐないのだが。何れにせよ、結果的な要点としては
表に貼り出したポスターと、実際に上映してゐる映画が食ひ違つてゐても構はない
といふのである。元々デフォルトで疲れ果ててゐるのに加へ、あんまりの斜め上を行く返答に最早腹を立てる気力も失ひ、その場はおめおめと引き下がりつつも、当然といふか何といふか、かうして決して断じて1mmも釈然とはしてゐないところである。これで釈然とさせられることが出来れば、任天堂法務部を相手に戦つても勝てるね。
そんな駅前ではあれ、来週の番組は傑作との誉れ高い池島ゆたかの「不倫妻の淫らな午後」。再来週は、確かリアルタイムで観落としてゐる筈の、国沢実の「悩殺天使 吸ひ尽くして」(何れも矢張り2003年作)。然様に無体な小屋でも足を運ばずにをれない己の業の深さといふか一種の弱さが、今は呪はしいばかりである。さうはいへ腹立たしさに任せて、こんな小屋何時潰れて呉れても構はんよ、とまでいふのは、全体の状況を鑑みれば、筆を滑らせるにも度が過ぎる放言であらうことは、頭では判つてゐるつもりである。元より、そもそもこの世界全部俺の敵、そこから始めたのではなかつたか。小屋にすら冷たくされたとて、この期に一々一人ぼつちで夜泣きするまでもなからう。
付記< 結局、現時点で最後に駅前ロマンで上映されたエクセス新作が何なのかといふと、昨年十月に観た、(2007年)
七月の山内大輔
。
更にもう一つ気がついたのは、実は今でも新日本映像公式サイト劇場案内中の、地図と住所とが記載された駅前ロマンのページ自体は生きてゐる。リストからは漏れてゐる以上、どうやつて辿り着くのだ、といふ話でもあるのだけれど。
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