真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「色欲絵巻 千年の狂恋」(2015/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:当方ボーカル/撮影監督:創優和/録音:田邊茂男/編集:有馬潜/音楽:與語一平/整音:高島良太/助監督:小関裕次郎/撮影助手:西岡徹/特殊メイク:土肥良成/スチール:阿部真也/仕上げ:東映ラボ・テック/協力:河童洞・ドイ商店/出演:伊東紅・栗林里莉・和田光沙・倖田李梨・鶴田雄大・岡田智宏・山本宗介・森羅万象)。監督助手と河童造形をロストする。
 タイトル開巻、絵巻物が繙かれる。江戸時代末期、妖怪の隠れ里にて河童と座敷童が恋に落ち、鬼女が河童に横恋慕する。ところで話の発端が幕末となると、まだ精々百五十年程度しか経つてゐない件。
 深い山の中に、民俗学の教授で妖怪サークルを主宰する姫田零士(岡田)以下、サークル生の羽田聡美(栗林)と芝田要二(山本)が入る。一行は当地が同じくサークル生・浅野寿樹(鶴田)の実家であるのを頼りに、伝承で高僧が鬼を封印したとする塚を探しに来てゐた。塚発見に逸つた芝田が一人で捌けるや、実は不倫関係にある姫田と聡美は聡美主導で致しかけるものの、青姦に臆した姫田は勃たなかつた。浅野と合流した姫田と聡美が、浅野の育ての親・長田一樹(森羅)が妻の砂子(和田)と営む古民家の宿、長田家ではなく中野屋に到着する一方、立入禁止の札を越えなほも山を分け入つた芝田は、吐いた煙草の煙を吸ひ込む、不思議な石塚をディスカバーする。
 配役残り伊東紅は、一樹の口のきけない娘・綾。木にガンダリウム合金を接ぎに来た倖田李梨は、何か陰陽師みたいな人・中野竜梨。
 2013年に何時以来か俄かには判らないほど久し振りに「愛欲霊女 潮吹き淫魔」(監督・脚本:後藤大輔/主演:竹本泰志・北谷静香)で復活後、2014年の「怪談 女霊とろけ腰」(監督:加藤義一/脚本:鎌田一利/主演:水樹りさ)と続いて、大蔵の歴史を継ぐオーピー恒例夏の怪談映画枠を担ふ竹洞哲也2015年第四作。ひとまづ、人間の邪さを鬼に仮託したテーマ性ならば、寝落ちてさへしまはなければ最低限窺へなくもない。さうはいへ濡れ場の質量すら疎かに、従来より十分延びた尺をマッタリマッタリ消化する手数にも新味にも何もかにも欠いた物語は、サウンド・ヴィジュアル共々といふか要は共倒れのショボいエフェクトも失笑ものに、グルッと一周して逆に感動しかねないレベルで一ッ欠片たりとて面白くない。ベクトルの正否は問はず最も心が動いたのが、全くのレス・ザン・イントロダクションで倖田李梨が最たる修羅場の最中に九字を切りながら飛び込んで来る際の、地表の全てを大草原で覆ひ尽くさん勢ひの「誰なんだお前wwww」感。それ以外に、何はともあれ琴線に触れる件がまるで見当たらない、こともなかつた。押し倒された聡美が、塚で後頭部を強打するカットのプリミティブな酷さも凄まじい、そんなところしかないのか。それが本当にそんなツッコミ処しか琴線に触れる件がまるで見当たらない、百歩譲つて―本来譲れないが―裸を忘れるにせよ、素面の劇映画としてどうかしてるほどに清々しく詰まらない。それ以前に商業映画的に大問題なのが、竹洞組単体でも四戦目となる経験値は正しく何処吹く風。それとも、根本的に学習機能自体を持ち合はせないのかと訝しみたくなるくらゐにどうしやうもなく画面が暗い。田舎の夜が暗いのは蓋然性の範囲内ともいへ、商業映画が客に見えないものを撮つてどうする。フレームの中にゐるのが誰かは判る程度で、演者の表情なんて全然見えない。デジエクの超絶映写を見るに、そこそこの設備を備へてゐる筈の我等が前田有楽で斯くも壊滅的に見えないとなると、津々浦々的には本当に何にも見えない小屋が続出したのではなからうか。面白くない詰まらない以前にそもそもてんで見えやしない、デジタル・オーピー最暗の問題作である。


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 「痴漢電車 ちんちん発車」(昭和59/製作:獅子プロダクション/配給:新東宝映画/監督:滝田洋二郎/脚本:高木功/製作:伊能竜/撮影:志賀葉一/照明:金沢正夫/編集:酒井正次/音楽:ロス・ギーワック/助監督:片岡修二/監督助手:笠井雅裕/撮影助手:乙守隆男、他一名/照明助手:吉角荘介/録音:銀座サウンド/効果:中村半次郎/現像:東映化学工業/出演:竹村祐佳・松原冷・甲斐よしみ・長友達也・池島ゆたか・立川世之介・藤田悦子・高橋宏美・周知安・笠松夢路・久保新二・堺勝朗・螢雪次朗)。撮影の志賀葉一が、頑ななまでにポスターには清水正二。出演者中、立川世之介から笠松夢路までは本篇クレジットのみ。
 この物語はフィクションであり云々と、登場する人物・団体名等が架空のものである旨を、末尾は“ださうです”―原文珍仮名―と適当に謳ふ開巻。単なる緩めのギャグかと思ひきや、中身を観てみたらとんでもなかつた。昭和のおほらかさが、せゝこまさばかりが募るきのふけふとなつては無性に麗しい、後述する。
 黒田一平(螢)が家電製品か何かの機械を修理する、黒田一平探偵事務所。助手の竹村浜子(竹村)は郷里の許嫁から届いた、迎へに行くとの巻手紙を受け取り頭を抱へる。浜子の里では女は二十三までに結婚しないと一族郎党晒首となる上、浜子は東京で金持ちと婚約したと嘘をついてゐた。作業に夢中で、まるで意に介さない黒田に腹を立てた浜子が事務所を飛び出すと、電車の画に(仮称)「痴漢電車のテーマ」がジャジャジャジャージャジャージャジャンジャン―これで伝はるのかよ―と起動してタイトル・イン。車中で指揮棒を振る二角帽子の久保チン―振りきれた造形だ―と出くはした浜子は、逆電車痴漢を仕掛け接近。そのまゝ作曲家・大野銀一(久保)の家だか常宿とするホテルに転がり込んだ浜子は、銀一に二日間限定の婚約を持ちかける。片や、右翼大物・大野大吉(堺)に呼び出された黒田は、さうも見えないけど兎に角大吉が余命幾許もないゆゑ遺産相続人たる、銀一ともう一人の子供で行方不明の宏美(甲斐)捜しを依頼される、松原冷は大吉秘書の糸井。銀一がイッパツ致した事後、眠る浜子の拇印を捺し婚約どころか婚姻届を勝手に提出してしまふ一方、大吉から与へられた、奥歯にダイヤモンドを詰めてゐるとの正直藪蛇気味な特徴を手掛かりに、黒田は歯医者に扮し「ハイ、行つてみよう!」と御馴染の痴漢電車宏美捜索を敢行。2代目快楽亭ブラックの十一番目の名前である―2代目快楽亭ブラックは十七番目―立川世之介と藤田悦子・高橋宏美が、その件の車内要員。ところが、ロサンゼルスから医療雑貨を輸入する会社を潰した、一本足りない二浦義和(長友)と結婚した宏美が昼間から夜の営み明けの散歩中、二浦共々暴漢の襲撃を受け、のちに搬送先の病院で死亡する。何か、何処かで聞いた話だな・・・・といふか“ださうです”ぢやねえだろ!“ださうです”ぢや。どうして斯くもフリーダムであれたのか、昭和、音楽担当もロス・ギーワックだぜ。
 配役残り、イコール笠井雅裕の笠松夢路とイコール片岡修二の周知安は、テレビを見てゐた黒田の度肝を抜く宏美襲撃事件に関して二浦にインタビューするテレビリポーターと、黒田が話を訊きに行く週刊立春編集部の人。池島ゆたかが、新潟から四十八時間かけてトラクターで東京にやつて来る浜子の許嫁、愛称熊ちやんこと職業マタギ。
 滝田洋二郎昭和59年第二作は滝田痴漢電車通算第七作にして、私立探偵黒田一平シリーズ第五作。ベッタベタな浜子の縁談狂想曲と、文春が疑惑の銃弾を撃ち抜いた直後といふタイミングも踏まへればなほさら、大胆不敵どころでは済まないロス疑惑のド直球フィーチャーで味つけされた、遺産相続絡みのミステリーとが見事に上手いこと十字の火花を散らす。滝田滝田と無闇に称揚するつもりは毛頭ないが、成程面白い。トリック的には小道具が見え見えの、ついでに微妙に回りくどいダイイング・メッセージ解きよりも、棚から三十億個の牡丹餅が雪崩を起こす死亡時刻時間差の方が、バタフライ・エフェクトじみた伏線回収の妙まで含め断然貫通力は高い。何気に驚いたのが、黒田一平シリーズが今作で明確に完結してゐるとは不勉強にして知らなかつた。考へてみれば以降も面子が変らないだけに一見連続してゐるやうに勘違ひしかねないものの、あくまで螢雪次朗が私立探偵黒田一平ではなく、猿飛佐助であつたりチンドン屋であつたりゴルゴ17であつたりする訳である。改めて振り返つてみると、全然別物ではないか。これでは単なる馬鹿自慢だ、何を今更。とまれ、スレッスレの残り尺で黒田と浜子が滑り込む、ピンク映画史上最大級のハッピー・エンドのゴキゲンさ加減が賑々しく始終を駆け抜けた末に爽やかな後味を残す、盤石の娯楽映画である。

 喧嘩別れした浜子の危険を察知、慌てて追ふ黒田と、浜子with怪人物が―黒田が乗る―エレベーター越しに交錯するのは、あれ何の映画のオマージュだつけ、「ミッドナイト・クロス」?


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 「巨乳はさんで咥へる」(1995/製作:国沢プロ?/提供:オーピー映画/脚本監督:国沢実/撮影:村上聡/照明:荻久保則男/音楽:佐藤俊雄/編集:松木朗/助監督:瀧島弘義・広瀬寛巳/撮影助手:真塩隆英/スチール:佐藤初太郎/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/効果:東京スクリーンサービス/タイトル:道川昭/協力:金子ボクシングジム、スタジオARAKI、喫茶プチ・アミ、小林プロ/キャスト:殿山麻衣・貴奈子・七重八絵・頂哲夫・いか八郎・小川真実・港雄一《特別出演》・吉行由実・荒木太郎・最上義昌・岩橋哲夫・山崎邦紀・田嶋謙一・勝山茂雄・丘尚輝)。キャスト中、最上義昌以降は本篇クレジットのみ。照明の荻久保則男―胎内記憶を扱つたドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」が目下上映中―は、a.k.a.まんたのりお。配給を大蔵映画ではなくオーピー映画提供としたのは、七色と金の王冠ではない、白黒OP開巻に従つた。
 薄暗い一室、下着姿で椅子に座るサングラスの女・亜紀(貴奈子)の胸を、拳にバンテージを巻いた洞口卓郎(頂)が弄る。のは意外にも風俗ではなく、いふなればオッパイ占ひ。なほも先に進まうとする手を制し、泣きだした亜紀に、洞口が手を焼いてタイトル・イン。そこそこ名の売れたプロボクサーながら、試合が近づくと失踪する癖のある洞口は、ハッパをかけようとする所属ジム会長(いか)を右フックでKOした上で例によつてランナウェイ。カタカタ執筆中の小説家の同棲相手・紀子(七重)と強引に暫しの別れの一発を済ませた洞口が、隠れ家に借りてゐた一軒家(スタジオARAKIこと荒木太郎自宅)に駆け込むと、そこには見知らぬ女・美津(殿山)が。脊髄反射で洞口がKOした美津は、洞口が三ヶ月家賃を滞納した物件の、新しい借主だつた。洞口はそのまゝ今は美津宅に居つき、のみならず縛り上げた美津を抱く。
 配役残り荒木太郎は、一応ロードワーク中の洞口に声をかけ、KOされるファン。とかく洞口といふ男が職業拳闘家の割に、男女問はず一般人もガンガン殴るは挙句女は犯すはと出鱈目放題である。吉行由実は、洞口がコーヒーのお替りで延々と粘る喫茶プチ・アミの女主人。多分最上義昌が、吉行由実が洞口を追ひ出しかけたタイミングで来店する常連客。洞口が常連客を倒した後吉行由実を手篭めにするのは、恐らく小林プロこと―国沢実にとつて―師匠筋の小林悟邸。小川真実は、洞口に逃げられ自棄酒を呷る会長と夫婦生活を営む女房。ジムを畳まうかと弱音を吐く会長に、小川真実はタコ焼き屋を勧める。すると会長が吐いてのけるアテ書きが、「冗談いふなよ、タコよりイカの方が旨いんだぞ」。シレッと飛び込んで来る国沢実は夜の公園、酔つた洞口をKOするホームレス。港雄一はシニア向けのトレーナーに転身を図つた洞口を、教へ方が悪いとシメる強面。その際のお爺ちやんもう二人の片方がキャリア的に高齢が予想される岩橋哲夫であらうところまでは攻め込めるにせよ、問題が山崎邦紀以降の残り四名が、見れば判る面子であるにも関らず何処に見切れてゐるのだか手も足も出せずに不明。その他劇中に見当たるのは国沢実の連れが二人にお爺ちやんもう一人と、頭数自体から合はない。
 jmdb準拠で三十本、公開日を基準とする期間としては二十ヶ月の助監督修行を経ての、国沢実デビュー作。但し、神代弓子ピンク初陣の珠瑠美1992年第二作に、クレジットは一切ないものの既に参加を確認出来る。物語的には惰弱な主人公が、女達に持て余されたり匙を投げられたりする。その癖何故か器用にセックスには不自由しない都合のよさまで含めて、よくいへばよくあるダメ人間譚。と同時に、陰々滅々としてゐないだけまだしもマシだとすらいへるのか、モゾモゾするばかりで多義的に抜けなさ加減が、監督第一作の時点で確立してゐるのはある意味感興深い、物はいひやうにもほどがある。御祝儀布陣か豪華五枚も濡れ場のある女優を揃へておいて、絡みの最中も洞口がああだかうだと自分探しな能書を垂れ続けるのは女の裸の邪魔でしかなく、終盤港雄一の露を払ふ以外には木に竹を接ぐ、出し抜けな展望のレス・ザン・突破力は地味に致命傷。絶対に結合不可能な謎体位が散見される以外には、国沢実の演出が新人監督にしては正しく下手に纏まつてゐる分、派手に仕出かしさへせずよくなくも悪くも弾みもしない。オーラスは文字通り取つてつけたかのやうに真つ直ぐ真つ直ぐと締め括りつつ、そもそも真つ直ぐなのが非常に悪くないピシャッと決まる頂哲夫のパンチの軌道―もしかすると経験者なのか―くらゐしか見当たらない、清々しいほどにスカッとしない青春映画である。

 殿山麻衣は左の二の腕に本格的な刺青を彫り込んでゐるのだが、ポスターでは肌着を引つ掛け上手いこと隠してあるので、劇中目にした際は軽く驚いた。


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 「女忍者 潮吹き忍法帖」(2015/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:波路遥/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:宮原かおり・小西楊太・樋口覚/編集助手:鷹野朋子/スチール:津田一郎/効果:梅沢身知子/録音:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック/タイミング:安斎公一・阿久津亮太/協力:株式会社アシスト/協賛:GARAKU/出演:つぼみ・五十嵐しのぶ・津田篤・ケイチャン・西藤尚《愛情出演》・横山みれい)。
 何処ぞの山奥、蜩牛一族の里。くノ一・伊武(つぼみ)と、師匠・蜩牛珍宝斉(ケイチャン/a.k.a.けーすけ)の―普通の―忍術の修行。一汗かいた後、夜の稽古の支度を言ひ渡された伊武が、溜息ひとつついてタイトル・イン。珍宝斉が到着するのを待ちきれない伊武が秘裂に宛がつた横笛を破砕すらする、お定まりのくノ一夜の稽古。“もみ”と“ツボ”のチープな応酬を経て伊武が達するや、地震の如く周囲は轟き里の山を紫色の光芒が貫いた。チンコ型の道祖神上空に出現した、マンコ風の時空の裂け目を前に珍宝斉が「また現れよつた」と固唾を呑む一方、数百年の時を越え二十一世紀に彷徨ひ込んだ伊武は、消えゆく風景をカメラに収める、本多雅人(津田)と出会ふ。蜩牛の山は、デベロッパーである雅人の父親が仕掛ける再開発によつて、消滅の危機に瀕してゐた。
 配役残り、2013年第四作「淫Dream まどろむ白衣」(主演:大槻ひびき)から、ぼちぼちしたペースでキャリアを積み重ねるピンク第四戦の五十嵐しのぶは、後妻の雅人義母・ゆたか。考古学者といふ設定にかつて蜩牛が忍者の里であつた歴史を投げる意味しかないのはいいとして、下手にプロにしてしまつた以上、山で見つけた道祖神を自宅に持ち帰つてゐるのが地味に藪蛇な大問題。今やトメの座が完全にサマになる横山みれいは、本多開発の社長秘書にして、社長即ち雅人の父・与志郎(珍宝斉と遺伝情報を共有する所以は軽やかにスッ飛ばして済ますケイチャンの二役)の浮気相手・山川あかね。結構際どい衣装で登場する西藤尚は、おてもやんなメイクで出オチを滑らせるデリヘル嬢。
 渡邊元嗣2015年第二作は、手間がかゝるのかそもそも安普請が通さない無理なのか、案外珍しいくノ一ピンク。ここで近年の女忍者ものの歴史を今世紀分からザックリ振り返つてみると、PINK‐Xプロジェクト第三弾「につぽん淫欲伝 姫狩り」(2002/監督・脚本:藤原健一/主演:西村萌)には、舞台は戦国時代なれど厳密あるいは明確には忍びの者は出て来ない。した場合最新もしくは事実上最後の本格時代劇「好色くノ一 愛液責め」(2003/監督:かわさきひろゆき/脚本:かわさきりぼん/主演:麻白)以外となると、今作同様くノ一が時空を超えて飛び込んで来る現代劇、「くノ一淫法! おつぴろげ桜貝」(2004/監督:国沢実/脚本:樫原辰郎/主演:美咲江梨)くらゐしか見当たらない。あともう一本、純然たるピンクよりは幾分バジェットも大きいと思しき、艶剣客第二作「艶剣客2 くノ一色洗脳」(2011/監督:藤原健一/脚本:能登秀美/主演:吉沢明歩)も一応書き添へておく。
 一度目の現代行は夢で片付けた上で、珍宝斉の命を受けた伊武は一族の存亡を賭け、雅人の待つ蜩牛の山を目指し改めて時空の裂け目を潜り抜ける。如何にもな大人のジュブナイルが最も弾け―かけ―るのは、与志郎の所在を求め雅人があかね宅に突入するパート。あかねが自ら下着をチラ見させながらの―社長は―「秘書の秘所が大好き」なる駄ギャグに、雅人があかねのワインに蜩牛秘伝の自白剤を仕込む隙を生じさせる地味な妙手と、伊武が雅人に渡したのが自白剤ではなく媚薬で、あかねが口を割るどころかみるみる悶え始める、つぼみにテヘペロさせないのが寧ろ不思議なほどのジャスティス展開には、一旦ナベの天才を確信しかけた。ところが、デジタル化の恩恵が、今回は諸刃の剣。あかね籠絡のために雅人をアシストする伊武が、蜩牛流忍法と称した要は種々の淫技を繰り出す毎に、テッテレー♪と判り易く鳴るアタック音自体は必ずしもデジタル化自体とは関係ないとしても、一々わざとらしく入るテロップが完全にテレビ感覚で、残念ながら履き違へたポップ・センスの限界に興を削がれる。そもそも代り映えしない物語は以降もGARAKU魂が迸る以外には一欠片の捻りにも工夫にも欠き、演出部と撮影部と主演女優が三位一体で一撃必殺の可憐さを撃ち抜くラスト・シーンで大幅に持ち直すものの、ゴールデン・エイジの第二章を長く軽快に走り続ける渡邊元嗣にしては、この程度で首を縦には振りかねる単調な一作である。

 凄いスパンの返り咲きづいてゐる2015年ピンクにあつて、当初誤植かと目を疑つた脚本の波路遥は、女痴漢捜査官シリーズ最終作「女痴漢捜査官4 とろける下半身」(2001/主演:美波輝海/a.k.a.大貫あずさ・小山てるみ)以来のこれまた結構な超復帰。他の脚本家との併用で1997年から四年間のナベシネマ脚本の約半分を担当、目下長く座付を務める山崎浩治のデビュー二作「痴漢海水浴 ビキニ泥棒」(1999/主演:黒田詩織)・「派遣OL 深夜の不倫」(2000/主演:黒田詩織)に際しては共同脚本の形で支へた波路遥といふのは、この期に及ぶのもほどがありつつ渡邊元嗣の変名?


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 「わたしのSEX白書 絶頂度」(昭和51/製作:日活株式会社/監督:曽根中生/脚本:白鳥あかね/プロデューサー:伊地智啓/企画:栗林茂/撮影:萩原憲治/照明:木村誠作/録音:木村瑛二/美術:坂口武玄/編集:鍋島惇/音楽:コスモスファクトリー/助監督:中川好久/色彩計測:米田実/現像:東洋現像所/製作担当者:青木勝彦/出演:三井マリア、芹明香、益富信孝、村國守平、桑山正一、花上晃、五條博、梓ようこ、浜口竜哉、神坂ゆずる、伊豆見英輔、影山英俊、コスモス・ファクトリィ《東芝・EMIレコード》)。出演者中、伊豆見英輔と影山英俊は本篇クレジットのみ。クレジットはスッ飛ばす配給に関しては事実上“提供:Xces Film”。
 夜明けの町、トレンチを肩に引つかけ帰宅するヤクザ者の坂西か阪西隼人(益富)は、洗濯物を取り込む国立附属病院採決係の江藤あけみ(三井)と目を合はせる。麻雀でこつ酷く負けた隼人が情婦のストリッパー・リリィ(芹)に九州での一仕事を頼み込む一方、あけみは同居する予備校生のキヨシ(村國)と出勤。唐突に叩き込まれる、あけみが伊豆見英輔に電車痴漢される白黒スチールで意表を突くタイトル・イン。俯瞰の写真で伊豆見英輔に矢印を入れ―この人が―“チカン”、この辺りは、成程イカしてゐる。
 隼人とリリィの絡み初戦を経て、予備校にも行かず、隼人の運び屋的な稼業に憂き身をやつすキヨシの弟分・雅美(神坂)が何事か重病で卒倒、無理を通してあけみの病院に担ぎ込まれる。隼人は自宅からも覗けるあけみ宅にキヨシを訪ね、あけみに封筒を託ける。あけみが薬缶の蒸気で糊を剥がし開けてみると、中には隼人自演のエロ写真が入つてゐた。採血を装ひあけみに接触した隼人は、如何にも映画的な飛躍で売春を持ちかける。
 配役残り浜口竜哉は、緊急手術を受けた雅美の執刀医・丹野。花上晃は病院に出入りする弁当業者の次期社長にして、あけみの一応婚約者・大石。あけみを訪ねて大石が顔を出した雅美の病室に、看護婦(梓)が現れる一幕。立体映画風の時間差合成で、梓ようこの裸を軽く見せる凝つたカットが出し抜けに激しく洒落てゐる。五條博は初陣のあけみと、かつて隆盛を極めた新宿の映画街でランデブーするセールスマン。桑山正一と影山英俊は、雅美の死と並行してあけみが巴戦を戦ふ馬主の城山と、配下の入江。あとコスモス・ファクトリィの皆さんも、あけみが丹野と入る店にバンドセルフで登場。正確にはコスモスファクトリーみたいなので、中黒ファクトリィは俳優部名義なのかも。
 何か知らんが世評は高いらしい、曽根中生昭和51年第一作。因みに珠瑠美主演のロマポをもう一本挿んで、残り二本は花の応援団。何気に昭和51年がもう四十年も前なのかと思ふと、軽く眩暈がする。凄い勢ひで閑話休題、“何か知らんが”だの“世評は高いらしい”だのと常にも増してぞんざいな物言ひを放り投げたのは、何を隠さう何も隠さぬ何処がそんなに面白いのかサッパリ判らなかつたのだ。かんらかんら、笑ふてどうする。個々採りあげると確かに印象的なシークエンスなりショットを積み重ねて、銘々が好き勝手にセックスしたり死んでみたり出て行つたりなんかする。誰か一人か何か一つくらゐどうにかなつて呉れればまだしも取つかゝりの欠片でも見つけられ、ようかも知れないものの、目的地なり着地点どころか、そもそも出発点、物語らしい物語が存在しない。となると果てしのない上映時間に気の遠くなる無間地獄に突入しかけてもおかしくないところが、そこはある意味量産型娯楽映画の強み、予め規定された尺が満ちた以上、妙な安定感で終るものは案外自然に終る。牽強付会を迸らせると、今作の実相に到達するための鍵は、実は既に劇中に。あけみが丹野に口説かれる店にてライブ演奏を披露―音はレコードだと思ふけど―する、コスモスファクトリーの音楽とこの映画自体が結構近い地平に存するのではなからうか。一聴高尚でコンセプチュアルな音楽性に思はせて、よくよく耳を傾けてみると歌詞の中身は殆どない。禅問答に二三本毛を生やしたか抜いたセンス・オブ・ワンダーを、無冠の、あるいは無言の帝王・新田栄の温泉映画や今上御大・小川欽也の伊豆映画で喜んでばかりゐる内に、脳がすつかり煮しめられてしまつた愚生が理解し難いとて無理はあるまい。かんらかんら、だから笑ふてどうする。


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 「妻たちの性態 なぶり、なぶられ」(1992『人妻不倫 夫にばれなければ!』の1997年旧作改題版/製作:プロダクション鷹/提供:Xces Film/脚本・監督:珠瑠美/撮影:伊東英男/照明:隅田裕行/美術:衣恭介/編集:井上編集室/音楽:映像新音楽/効果:協立音響/現像:東映化学/録音:ニューメグロスタジオ/出演:神代弓子《イブ》・一の樹愛・秋川典子・牧村耕次・野澤明弘・古山忠良)。美術の衣恭介は、珠瑠美の夫・木俣堯喬の変名。は頻出として、出演者中我等がノジーこと野澤明弘が、ポスターには野澤明宏。なのも未体験の事柄ではないとして、問題が、ポスターでは本篇クレジットと同じビリングの最後に沢京子なる謎の名前が。そもそも劇中にそれらしき頭数すら見当たらないのだが、一体沢京子は何処から降つて来た。
 イブちやんの喘ぎ顔を軽く見せて、チャッチャとタイトル・イン。ケイコ(神代)は夫・的場(野澤)の大阪出張中、結婚以来二年ぶりに再会した元カレ(古山)と焼けぼくゝひに火を点ける。
 配役残り―え、もう残り配役!?―さりげなく絶対美人・秋川典子は、全然ケイコが出ない自宅電話にやきもきしながらも帰京した的場が、出張報告の休日出社するかとした道すがら見かける同僚・飯塚、牧村耕次が報告相手のアサノ部長。実のところアサノは飯塚と不倫関係にあり、的場の出社時間を読み違へたアサノが、大胆にも部長室で事を致すために飯塚を呼んでゐたものだつた。さりげなくない絶対巨乳・一の樹愛は、年の離れたアサノ後妻。ほかに土曜日の丸越商事にもう一人見切れるその他社員が国沢実、珠組では何故かクレジットがオミットされることが多い助監督か、アフレコまで自分で務めてゐるのに。
 珠瑠美1992年第二作は、ロマポ四本と一般映画三本を経てのイブちやんピンク映画デビュー作。そこで晴れてイブちやんのピンク初陣の成否なり中身はといふと、これが短く且つ適当な繋ぎの一幕一幕で各濡れ場を連ねるに終始、凡そ物語らしい物語が一切存在しない実に珠瑠美的な腰が据わつたか、あるいは砕け散つた一作。そんな中、開巻こそ自身も積極的に楽しんだものの、以降は一方的にヤラれるばかりのケイコに対し、クライマックスに際しては豪快に、もしくは強引に大輪の百合の花をも狂ひ咲かせてみせるアサノ夫人こと一の樹愛が、主演女優を完全に喰ふ大活躍を見せる。一旦イブちやんの美乳を褒めた上で、自らの大巨乳を誇示するシークエンスは今作俳優部随一の貫禄を撃ち抜く、予想外の名場面。夫にばれなければいいとする―旧―表題を、アンアン悶えるだけのケイコに代り、提出するのがアサノ夫人である点もポイントが高い。

 イブちやんの妹が家永翔子名義で、珠瑠美四作前「巨尻 ぶち抜く!」(1991)で先にピンク初土俵を踏んでゐる事実は、妹がゐるところから知らなかつた。DMMに1999年新版が入つてゐるゆゑ、近々に見る予定。


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 「入れ喰ひOL ~大人のオモチャ開発課~」(1997/製作:大蔵映画/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:波路遥/プロデューサー:大蔵雅彦/撮影:下元哲/照明:伊和手健/編集:酒井正次/助監督:榎本敏郎/監督助手:小泉剛/撮影助手:横田彰司・山本寛久/照明助手:小田求/出演:水乃麻亜子・竹村祐佳・しのざきさとみ・木下敦仁・久保新二)。クレジット終盤に力尽きる、配給とも大蔵映画ではなくオーピー映画提供としたのは、七色と金の王冠ではない、白黒OP開巻に従つた。
 街景を適当に舐めてタイトル・イン、創業六十年の玩具会社「運天堂」にボガーンとポップな爆発音が轟く。激怒した社長の藤木(久保)に遣はされ専務の星ゆかり(竹村)が向かつた商品開発部では、久保明夫(木下)とケイ(水乃)がイレイザーヘッドに顔は煤けさせる要はドリフの爆破オチ。藤木に厳命された十倍長持ちする充電器の開発に取り組んだ二人は、運天堂を文字通り揺るがす大粗相を通算二度目に仕出かしてゐた。実は藤木とは男女の仲にもあるゆかりに釘を刺されつつ、久保はケイのいぢらしい視線も余所に、美人専務?に手放しの憧憬を捧げる。
 配役残り、ゆかり役が明らかとなつた時点でポジションが全く読めなかつたしのざきさとみは、久保が暮らす下宿屋の未亡人女将・あけみ。久保チンと竹村祐佳による色々濃い濡れ場初戦を経て、亡夫を偲んでの自慰であけみが飛び込んで来る奇襲は鮮やかに決まる。三番手―主人公が暮らす―未亡人下宿、これ、案外定石たり得てゐてもおかしくない妙手ではなからうか。しのざきさとみの裸を一頻り見せた上で、結局あけみは達する前に、久保の部屋からガンッガン洩れて来るケイの嬌声に遮られる。久保は自己進化するマスコット・ロボット「はまるっち」を自室にて開発中、どう見てもチンコにしか見えないはまるっちがケイの胸元に忍び込み、悪戯をしてゐたものだつた。その他人影は欠片たりとて出て来ないけれど、身を引く形で運天堂を退職したケイが、ウェイトレス募集の貼紙を見て敷居を跨ぐ喫茶店「葡萄の木」の、担当者の名前が榎本と小泉を足して二で割つて榎泉。
 渡邊元嗣1997年第一作は、デビュー十四年にして、2002年以降、殊に近年はエースとして常駐する大蔵上陸作。因みに残りは二本で新東宝×国映の一般映画に片足突つ込んだくノ一映画と、ENK薔薇族。
 久保を間に挟んだケイとゆかりの三角関係を絡み込みの軸に、未完成のはまるっちを起死回生の新商品にと狙ふ藤木の姦計が発端となる大騒動。あけみが事後久保に授ける積極臭い人間観含め、一応王道娯楽映画的な枠組が出来上がつてゐなくもない。ものの、時折起死回生のエモーションを撃ち抜きながらも長くマッタリしてゐた時期のナベらしく、全般的には漫然とした仕上がり。兎にも角にも、憧れの高嶺の花が竹村祐佳で、気がつくと何時も傍にゐて呉れたヒロインが水乃麻亜子といふキャスティングが如何せん画的に厳しい。しのざきさとみの濃厚な色香と、単騎でシークエンスを如何様にも転がし得る久保チン十八番の大暴れが見所ともいへつつ、歴史的な位置づけ以外には、正直あまりパッとしない一作ではある。

 ところで、今作の約二週間後に封切られた関根和美の「痴漢電車 即乗りOKスケベ妻」(脚本:関根和美・樹かず・片山圭太/主演:冴月汐)では、即乗りOKスケベ妻の旦那(樹かず)が開発中の携帯ゲーム機―とエンディング曲―として「おさわりっち」が登場、脊髄から折り返してブームに便乗した感が清々しい。
 重ねてところで、ついうつかりフェードしたのかと思ひきや、木下敦仁が本名から木下順介に改名、目下は占ひ師と並行してロシアに活動の拠点を移してゐる現況には軽く驚いた。


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 「愛獣 悪の華」(昭和56/製作・配給:株式会社にっかつ/監督:加藤彰/脚本:桂千穂/プロデューサー:細越省吾/撮影:森勝/照明:木村誠作/録音:福島信雅/美術:渡辺平八郎/編集:川島章正/音楽:甲斐八郎/助監督:上垣保朗/色彩計測:森島章雄/現像:東洋現像所/製作進行:桜井潤一/出演:泉じゅん・山地美貴《新人》・高村美千子《新人》・庄司三郎・内藤剛志・松風敏勝・黒田光秀・北川レミ・林ゆたか・宇南山宏)。配給に関しては事実上“提供:Xces Film”。各種資料に見られる企画の進藤貴美男と製作補の櫻井潤一が、本篇クレジットには見当たらない。
 並木道を疾走するタクシー、判り易く譬へると遊戯シリーズみたいな感触の開巻。路地裏のスナック「マノン」に泥酔した店主の柴崎正(内藤)と、横浜から付馬の北原ミツ子(山地)が到着する。勘定を適当に済ませると午前六時、ミツ子が帰りは電車で帰らうかとするところに、漢字が判らんミサキ組若頭・淵上広之(林)が帰つてんのかナオミは?と飛び込んで来る。本当に知らない柴崎に対し、当の大津ナオミ(泉)はマノンの兼住居に帰つて来てたりしてゐてタイトル・イン。細身のパンツにブーツを合はせた、この時代の男達の足の長さが何時観ても痺れる。
 柴崎をシメた淵上がナオミを再び連れ去る一方、ミツ子は横浜には帰らず、恋女房気取りでマノンに居つく。柴崎が回想する、ナオミが消えた夜。客は常連の藤本啓一(松風)一人の、柴崎と結婚間近のナオミで切り盛りするマノンに、電話での遣り取りを聞くに交通事故で車を失つた淵上が来店。ナオミの成熟した肢体に目をつけた淵上は、ナオミ言値の百万をポンと寄こしナオミを強奪。煮えたぎるコーヒーに指を浸しても何ともない不死身ぶりをアピールする割に、実は不能の淵上は度々逃げられつつ、ナオミに口唇性行の淫技を仕込む。
 配役残り本篇クレジットのみの黒田光秀は、多分マノンに現れる淵上の迎へ。庄司三郎は、度々淵上のヤサに顔を出すサブ。何とこのビリングで脱がなければ、以降の活動の状況も窺へない謎の高村美千子は、淵上から逃げ出したナオミを拾ふ竜村巴絵。巴絵がコールガール組織の元締めといふのは兎も角、ミサキ組組長とは夫婦同然の仲との出来合ひな世間の狭さを迸らせる。宇南山宏は巴絵経由でナオミのパパさんとなる財界大物・小栗丈平で、北川レミが巴絵とナオミが訪ねた小栗の社長室にチラッとだけ姿を見せる女秘書。
 加藤彰昭和56年第一作は、前作「百恵の唇 愛獣」(昭和55/主演:日向明子)から最新作「欲望に狂つた愛獣たち」(2014/脚本・監督:山内大輔/主演:みづなれい)まで、都合七作製作された愛獣シリーズの第二作、与太を吹くにもほどがある。泉じゅんの一旦引退や復帰、どうやらタイトルに“愛獣”と冠しただけの、痴漢と覗きばりに緩やかなシリーズ構成に関しては、この際門外漢を臆面もなく通り過ぎる。物語の中身はといふと、咲かせた華に、手を噛み千切られる一篇。やがて華麗に咲き誇る泉じゅんの妖艶と、林ゆたかのシャープな獣性とで惹きつけさせるものの、物語的には逃げられたナオミを淵上が捕まへてはまた逃げられて、柴崎も柴崎で結局手も足も出せぬまゝと、展開自体は案外工夫にも捻りにも欠く。幾分かの飛躍はさて措きナオミを連れ返した車のナンバーを頼りに、柴崎は巴絵宅に直談判。巴絵がナオミを小栗に引き合はせた回想パートに突入してゐる内に、何時の間にか劇中現在が粛々と進行、巴絵宅の柴崎は何処かに消えてゐると、何気に我等が関根和美ばりに時制移動がグダグダであつたりもする。確かに血糊ワイパーがショットとしては鮮烈ながら、出し抜けなラストはこの時代のありがちな形といふ意味である種の定型ともいへ、すつかりほとぼりも冷めた節穴で観てしまへばやつゝけた印象も決して拭ひきれぬではない。画面(ゑづら)だけ眺める分には如何にもロマポに触れる充実感を味はへるにせよ、特段ワーキャー騒ぐには当たらない一作である。

 ところで、世紀の境目前後に活動した形跡が見られるスチール・カメラマンの加藤彰は、単なる純然たる同姓同名?それと監督デビュー直前の助監督の上垣保朗は、a.k.a.佐々木尚


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 「桃尻娘のエッチな大冒険」(2015/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:吉行良介/スチール:小櫃亘弘/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/監督助手:大竹修平/撮影助手:大友徳三/照明助手:榎本靖/選曲:山田案山子/効果:東京スクリーンサービス/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:青山未来・緒川凛・円城ひとみ・竹本泰志・柳東史・山本宗介・なかみつせいじ)。吉行良介のピンク映画参加は、2005年第三作「しつとり熟女 三十路の昼下がり」(主演:松雪令奈)以来と結構な久方振り。
 適当に表から撮つた画に音声情報のみで、粗相ばかりのヒロインが、スーパーのアルバイト(店長の声は吉行良介?)を馘になる。学費込みの一切を自力でどうにかする条件で上京した、女子大生の真木紗彩(青山)が家賃を滞納する自宅にトボトボ帰り着くと、正しく死人に鞭打ち、三百万の借金をこさへた父親が蒸発したとの母親からの電話(電話越しの声は多分亜希いずみ/a.k.a.関根靖子)を着弾する。無責任にも債権者に娘の連絡先を教へたとの母電話を切り、東北弁で「わたすが死にて」と紗彩が薄暗い自室でベッドに倒れ込みタイトル・イン。タイトル明けるやデリヘル「ゴールデンメンバー」事務所、紗彩は社長・佐伯浩輔(なかみつ)に当然軽く脱がされる面接を受ける。
 配役残り、贅沢にも二番手で大蔵初上陸の緒川凛は、源氏名はクリステル―紗彩が頂戴する適当な源氏名はラブ―の先輩デリ嬢・横山愛美。この人のデリは副業で、本業はフリーの公認会計士といふ設定の欠片も意味もなさは、幾ら何でもあまりにも関根和美過ぎて流石に吃驚する。関根組初登場の山本宗介は、出会ひは客としての愛美彼氏・高瀬次男、加藤義一2015年第二作「巨乳狩人 幻妖の微笑」(脚本:筆鬼一=鎌田一利・加藤義一/主演:めぐり)とまるで同じやうな造形の、イケメンを笠に着た性質の悪いヒモ。一方こちらは何時ものサーモン鮭山のやうな造形の竹本泰志は、紗彩の初陣客・後藤健一。いんらんな女神たち第一弾「いんらんな女神たち」(2014/監督:金沢勇大・中川大資・矢野泰寛=北川帯寛・江尻大)・関根和美2014年第三作「奥様は18歳 超どきどき保健室」(脚本:金沢勇大/主演:きみの歩美)に続きぼちぼちしたペースでピンク第三戦の円城ひとみは、浩輔の妻・妙子。妙子が元泡姫で、浩輔が元文学青年のヒモといふ関係。何と十六年ぶりの関根組帰還後三作連続参戦の柳東史は、紗彩を酷い目に遭はせる変態客・山崎徹。
 サイケデリックではない方のNSP(ニュー・関根和美・ピンク)こと関根和美2015年第三作は、前作「不倫美姉妹 白衣のあへぎ」(主演:倉沢いちは/ex.菅野いちは)に於いて主演女優を喰ふ輝きを披露した、青山未来を主演に据ゑた待望作。ところがこれが、まんじりともせずに最後まで観通せた己が不思議になるほどの、漫然とした出来栄え。青山未来が一体どんな大冒険を繰り広げて呉れるものかと思ひきや、竹本泰志相手に水揚げ。これ見よがしに悪い男に騙される緒川凛挿んで、柳東史に痛い目に遭つた挙句に家賃を滞納した家を閉め出される。転がり込んだ先で夫婦生活をアテられたなかみつせいじと遂に関係を持ちつつ、手切金を渡され何となく放逐、されるだけのロケーションから貧しい粒の小さな物語は、腰骨を砕く破壊力にも欠く始末。とりあへず借金苦を発端に不用意にウェットな人情ドラマが、青山未来に眉根に皺を寄せさせるばかりで、若々しい魅力を削ぐ方向にしか概ね機能してゐないのが厳しい。加へて、そんなショッパイ映画の中身もさて措かせる勢ひで、兎にも角にも暗い!何がといつてお話よりも画面が。山本宗介と二戦戦ふ緒川凛は、的確に当てられる照明に辛うじて救はれぬでもないものの、隣で家を閉め出された紗彩が寝てゐるにも関らず、浩輔主導で夫婦生活をオッ始める佐伯家寝室が、カメラ位置が円城ひとみ視点で左から右に変るまでがどうしやうもなく暗い。デジタル・オーピーも公開順に十九作目にして、それなりに経験値も蓄積されてゐよう筈なのに、ここまで暗くすると小屋で上映しても何も見えない見本かと見紛ふくらゐに暗い。キャッキャキャッキャ青山未来が弾ける、ナベや絶好調時の国沢実とも互角に殴り合へるキュートな一篇を期待したのは当方の勝手にせよ、キャッチ―な公開題も清々しく期待を裏切る、全方位的に改めてあまりにも関根和美過ぎる一作ではある。

 ひとつ気になるのが、当然九州着弾するのはまだ当分先の関根和美次作ことNNSP(ネクスト・ニュー・関根和美・ピンク)の助監督も、今作同様吉行良介である件。もしかして、金沢勇大は足を洗つたのか?


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 「団地妻 W ONANIE」(昭和60/製作:U-production/配給:株式会社にっかつ/構成・監督:奥出哲雄/企画:半沢浩/プロデューサー:石川均/撮影:柳晃二/照明:John Macdonald/助監督:高橋秀和/監督助手:長田浩一/製作助手:日比野達郎・旗雄介/現像:東洋現像所/メイク:オフィス・MoMo/Special thanks to HELLO'S “I'm so happy” オムニバスアルバムOlympic《BOX RECORDS》より)。なほ、キャストのクレジットは存在しない。
 開巻即、飛び込んで来る壮絶なビデオ画像に目を覆ふ。斯様な代物をキネコにして小屋にかけてゐたのか、どうかしてやがるぜ買取系。といつてしまへば、十文字そこらで話は終る。大将の奥出哲雄以下、実名登場順に日比野達郎・長田浩一・旗雄介ら―高橋秀和は見切れない―撮影隊が多摩ニュータウンに神崎恭介・真弓夫妻(何れも変名?)を訪問、性生活ドキュメンタリーの撮影に着手する、といつた方便の緩々な劇映画。いはゆるセミドキュメントよりも明確に作為性の薄い、純然たるモキュメンタリーの範疇に殆ど首まで浸かる一作ではある。
 出演者残り恭介が見学に行く撮影現場に、ハーセルフのきさらぎ詩子と相原ユミ、二人とも絵に描いたやうにブスくて草も生えない。真弓に宛がはれる男優にヒムセルフの金箱そうじと、あつてなきが如き物語を粉砕する勢ひで終盤を支配する、名古屋から来た人妻・石川江梨子役が菊池エリ。石川江梨子といふのが、今作限定で適当にでつち上げた変名なのか、菊池エリが当時ほかでも使用してゐた名義であるのかは知らない。小道具を持つて来させられるだけの長田浩一に対し、日比やんはきさらぎ詩子と相原ユミ、申し訳程度の締まらない締めの濡れ場では恭子と、旗雄介―と奥出哲雄―は石川江梨子と絡む。
 今となつては当時のにっかつの疲弊ぶりが偲ばれるとでもいへばいいのか、箸にも棒にもかゝらないキネコ買取系。強ひて気持ちを奮ひ立たせ―最低限の形式的には―映画の中身に相対すると、真弓はそこそこ以上の美人である一方、そのまんま東の劣化レプリカ程度と清々しいほど魅力に乏しく、女優部に総スカンを喰ふ己のことは棚に上げ不平不満ばかり垂れ、挙句態度も妙にデカい恭介の造形が、カットの境目に一々フェードを多用するのも異常に腹が立つ奥出哲雄のレス・ザン・演出力以上だか以下に致命傷。石川江梨子に予想外の尺を費やした結果、神崎夫妻の抱へる微妙な齟齬といふ、本来ならば主要である筈のテーマを軽やかに放り投げて済ますルーズなラストは、ある意味不完全無欠。繰り返すが、幾ら添へ物の買取系とはいへ、どうかしてやがつたとしかいひやうがない。何より、「ミス20才 快感!百合子の本番」(昭和61/ミリオン/監督:細山智明/脚本:鴎街人=細山智明/主演:橋本杏子/未見)と「菊池エリ 巨乳」(昭和61/監督:細山智明/脚本:鴎街人)に先行する、あの菊池エリの銀幕初陣が単に詰まらないのは百万歩譲るにせよ、斯くも無残な画質であるのは歴史的悲劇といふほかないのではなからうか。奥出哲雄前作の「団地妻・ONANIE」もDMMの中にあるにはあるが、とてもわざわざ手を出す気にはなれない。


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