真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「カマキリ女秘書」(昭和59/製作:小川企画プロダクション/提供:オーピー映画/監督:小川和久/脚本:水谷一二三/撮影:柳田友春/照明:内田清/編集:金子編集室/助監督:細山智明/音楽:OK企画/効果:協立音響/録音:ニューメグロスタジオ/演出助手:石崎雅幸/撮影助手:古谷巧・柏原正夫/照明助手:出雲静二/現像:東映化学/出演:三条まゆみ・杉佳代子・南條碧・久須美欽一・末次真三郎・椙山拳一郎・姿良三)。クレジットには大蔵映画株式会社配給とあるものの、オーピー映画提供としたのは白黒オーピー開巻に従つた。脚本の水谷一二三と出演者中姿良三は、小川和久の変名。
 煙草を持つた左手を、口元に運んだ三条まゆみが煙を吹いてタイトル・イン。暫しマッタリ紫煙を燻らすタイトルバックは、まあまあ違ふ、何と。風呂の途中で白川玲子(杉)が電話に出ると、婿養子の貴司(久須美)は遅くなる旨一方的に言明、満足に返事も聞かずに切る。そんな貴司の傍らには、秘書兼愛人の水上光子(三条)が。三人の関係を整理すると元々は社長秘書であつた貴司が、令嬢である玲子に婿入り、東西商事社長の座に納まる。玲子の父親は既に故人、その死去と、貴司の社長就任の前後は不明。ところが貴司は病弱な玲子に不満を覚え、会話の隙間を窺ふに結婚前から続いてゐると思しき、肉感的な光子に溺れるとかいふ寸法。横着?してないしてない、してるけど。
 配役残り末次真三郎は、社長との仲を知りながら、積極的に光子を口説く今村圭志、矢張り所属は不明。南條碧は今村の彼女で東西銀行、ではなく大東銀行員の沢井マリ。杉佳代子の配偶者である椙山拳一郎は、貴司が妊娠四ヶ月の玲子を往診させる、光子に二度堕胎手術を施した産婦人科医・三田、固有名詞用意されてたんだ。こゝは明確に異なる姿良三は、玲子の自殺をまんまと真に受ける新宿警察署の刑事。もう一人刑事が背中だけ見切れるのは判る訳ないが、今村が光子と使ふ店「パピヨン」のバーテンダーは、石崎雅幸ではないゆゑもしかすると細山智明なのかも。
 あはよくばお気づき頂けたであらうか、ソクミルに見つけた和久名義の今上御大昭和59年第五作は、七年後の1991年第六作「牝獣」(脚本:池袋高介/主演:小川真実)に於いて限りなく完コピする焼き直しの親作である。牝獣に際して、池袋高介をクレジットするところのこゝろは皆目見当がつかないのと、もしも仮に万が一、更に遡る祖父作があつたとしてもそんなのもう知らん。
 初戦の光子と貴司の濡れ場を今作は完遂しない、最初に末次真三郎がパピヨンないし摩天楼でなく、東西商事社内に飛び込んで来る。といつた、先に触れた姿良三のポジション含めそこかしこ差異もなくはない―白川家物件も津田スタではない―にせよ、台詞の一言一句からカマキリ女秘書なり牝獣が概ねテイクス・オールする無体なラストまで、結構全くそのまんま。加へて、あるいは兎にも角にも。最も特筆すべきは欽也名義の1992年第六作かつ謎の最初で最後のエクセス作「ザ・変態ONANIE」(製作:新映企画株式会社/脚本:池袋高介/主演:藤崎あやか)と、1997年第一作「本気ONANIE ‐ひわいな中指‐」(脚本:後藤丈夫/主演:泉由紀子)の栗原一良。1996年第七作「人妻・愛人 連続暴行現場」(脚本:水谷一二三/主演:中島かづき)と、伊豆映画プロトゼロ「人妻・愛人 けいれん恥辱」(脚本:水谷一二三/主演:梅澤かほり)の杉本まこと=なかみつせいじに先行して、久須美欽一が二作で同じキャストに座る偉業を成し遂げてゐる。偉いのか如何なものなのかはこの際さて措き、まだ終らないんだな、話が。更に久須美欽一は平川直大を伴ひ、2000年第三作「いんらん民宿 激しすぎる夜」(脚本:清水いさお/主演:野村しおり)と、「湯けむりおつぱい注意報」(2017/脚本:水谷一二三/主演:篠田ゆう)で再び二作同じキャストに座つてゐる。掘れば掘るだけ出て来る、これで全部では、決してないにさうゐない。
 恐らく髪型がおかしい杉佳代子が妙に精彩を欠いて映る点まで込みで、俳優部の面子的には概ね五分。さうなると所詮トレースしてゐる以上、二作の優劣を論じる議論に霞ほどの重みもない。ただ一点牝獣では市村譲ばりに暗かつた玲子を殺害する件が、今回は通常の見せたいものはキチンと見える薄暗さで、現場に貴司と光子が各々ハンドルを握り二台の車で向かふ不可解も、貴司が運転してゐたのは、玲子の車である旨今回は十全に語られる。その癖、光子の車が夜の闇に消えるラスト・カットが、不用意に暗い辺りは逆の意味で隙がない。

 津田スタに話を戻すと、津田一郎は自著『ザ・ロケーション』(晩声社)で儲けた金で建てたさうで、原作とした森崎東の映画版が公開されたのが同年につき、あるいは撮影当時、未だ存在しなかつたのではなからうか。


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 「アナーキー・インじやぱんすけ」(1999/製作:国映株式会社・新東宝映画株式会社/配給:新東宝映画/監督・脚本:瀬々敬久/企画:朝倉大介・森田一人/プロデューサー:衣川仲人・福原彰/音楽:安川午朗/撮影:斉藤幸一/編集:酒井正次/助監督:菅沼隆/監督助手:吉田修/撮影助手:佐藤文男・田宮健彦/応援:坂本礼・堀禎一/録音:福島音響/タイミング:安斎公一/タイトル:道川昭/ポスター写真:佐藤初太郎/現像:東映化学/協力:中尾正人・横井有紀・羽生研司・松岡誠・ブロンコ/出演:佐々木ユメカ・佐野和宏・下元史朗・諏訪太朗・佐藤幹雄・奈賀毬子・飯田孝男・薊千露・沢田夏子・いずみゆきこ・七瀬ミオ・川瀬陽太・浅野忠・日野悦子・早川恭平・末広ゆい・上野俊哉・細谷隆広・梶野考・関根直人・坂本匠吾・港雄一・田中要次・飯島大介)。
 葉を落とした枝越しに煤けた空、卒倒するかの如くぐらんぐらん動いた画が佐野和宏に辿り着いて暗転、下の句“見られてイク女”はオミットしてのタイトル・イン。佐野が誰かしらに銃を向けるロング、震へながら、撃鉄を起こす。銃を向けられてゐるのは、薄笑ひの佐藤幹雄。佐野が撃ち佐藤幹雄が崩れると、ブレイクビーツの本格的な起動とともに車載のカメラがドカーンと引き、「ヒーローにはなり損ねた」。重低音と色気がバクチクする佐野の口跡でカッコよく聞かせなくもないものの、少年野球時代の他愛ないエピソードを語つた、別に大した中身もない佐野和宏によるモノローグ。略してサノローグを聞かせつつ、チャリンコを漕ぐコンビニ店員―シレッとミニストップが実店舗登場―のタツトシ(佐野)に新聞拡張員のグミョウジ(下元)、とベスパをブリブリ鳴らす、葬儀屋・ナカザト(諏訪)の不良中年スリーショットが何気に爆裂する。サノローグが一旦終るにつれ、車載は猛スピードで木に逆戻り、激突ぽく暗転して1981。悪い病気でも貰つたか余程の荒淫が祟つたのか、妊孕能を喪つた泡沫俳優部のミズキ(佐々木)は当てらしい当てもなく帰郷。再会した同級生のヨシムラ(後述)と偶さか寝た末、青姦夫婦・福田(飯田)と恵子(薊)の車に残された赤ちやんを攫ふ。こゝでこれからオッ始めようといふ福田夫妻が、山の中で先に停まつてゐたミズキの車のすぐ隣に停めるのは、些か不自然か不用意ではあるまいか。閑話休題、名義二題。この期に気づいたのが、薊千露が改名した恵千比絽から名義を戻してゐる。それとヨシムラ役はユメカと絡む点からそれなりのビリング上位も予想されるゆゑ、浅野忠かなあ?人様の芸名に巨大な世話の難癖をつけるが、検索して捜さうにも浅野忠信の影に埋れるほかない名義はどうにかして欲しい。
 一般映画みたいな頭数に頭を抱へた配役残り、ミズキが診察を受けた、画面奥に霞む医師は端から識別不能。川瀬陽太と七瀬ミオはミズキが子供を産めなくなつた恨み節を川瀬陽太に垂れに来た、いはゆるキメセク中のパンクス。1989、ミズキは攫つた男児をヨシキと名づけ、泡姫の女手ひとつで育ててゐた。ヨシキ子役は、消去法で早川恭平と関根直人だと、末広ゆいと並ぶ限界的ビリング推定で早川恭平かなあ??フリーダムなタツトシに手を焼くもう一人若いミニスト店員と、賭け卓球で爆殺されたタツトシが、グミョウジとナカザトの分も払ふ特殊浴場のフロントは判らん。沢田夏子といずみゆきこは、待合室にミズキと一緒に現れる、ソープ嬢のユキとハルカ。沢田夏子と佐々木ユメカにいずみゆきこが三人で出て来るなんて、どんな超ハイエンド最高級店なんだ。タツトシがヨシキの指導を受ける、卓球場に見切れるその他子役部四人は、本クレに載つてはゐなささう。日野悦子は旅行中に倒れて搬送されたタツトシ母、港雄一が父。上野俊哉は、公開題下の句を体現するミズキに乞はれタツトシが致す野外対面立位に、気を取られガン!と道路標識に傾けるほどぶつかる人。細谷隆広はグミョウジとナカザトを返り討ち調子に乗るタツトシが、対戦を挑む卓球クラスタ、練習相手の髭も判らん。最大の難問が、ヤクをキメたグミョウジに新聞拡張を装ひ犯される、五代尭子似の団地妻役に該当する名前がどうしても見当たらない、一応乳尻を拝ませるにも関らず。実子を失つた福田夫妻は、男の子でなく何故か女の子の養子を迎へてゐた、末広ゆいが施設から引き取られたマリの女児ver.。1999、何時の間にか回転式を手に入れてゐたヨシキ(佐藤)は、マリ(奈賀)が煙草を吸ふジャングルジムに車で乗りつけると、チャカッとチャカを向け狂言誘拐。田中要次と飯島大介が刑事部、福田家にて咥へ煙草で電話を待つ様に、軽く度肝を抜かれる坂本匠吾は逆探知担当。坂本匠吾が、現在は実家の珈琲屋を継いでゐる。見れば判る筈の、梶野考(a.k.a.征木愛造)が何処に出てゐたのか見切れなかつたのが無念。
 国映大戦第三十八戦はこれまでも別にバラ売り素のDMMで見られなくはなかつたが、最近再起動した俺達のインターフィルムさんがex.DMMのサブスクに放り込んで呉れた、瀬々敬久ピンク映画第十八作。外堀的には前々作「黒い下着の女 雷魚」(1997/井土紀州との共同脚本/主演:佐倉萌/75分)以降、ゼゼピンクは従来のフォーマットから限りなく外れ、今作の尺は標準的なロマポばりの68分、それでも前二作よりは短い。前作「汚れた女“マリア”」(1998/井土紀州との共同脚本/主演:吉野晶)に至つては「雷魚」よりも更に長い、横紙を破るどころか燃やす80分。アワード方面では田尻裕司第二作「OLの愛汁 ラブジュース」(脚本:武田浩介/主演:久保田あつみ)に、第十二回ピンク大賞に於けるベストテン一位の座を譲つてゐる。小屋で何度か観てはゐたが案外今回が一番面白かつたので、次作の「トーキョー×エロティカ」(2001)も近々攻めてみるとしよう。
 すつかり肥えた薊千露含め実は倍増の女優部が脱ぎこそすれ、一番マシなビリング頭でも濡れ場は何れも散発的か瞬間的に止(とど)まり、棹が勃つ勃たない、ないし勃てる勃てないの類の映画では、初めからないものと看做すなり諦めるのが相当だらう。となると、本来ならば当サイトの嗜好的にはふざけんなゼゼと怒髪冠も衝きかけるところが、さうはならないのが佐野和宏×下元史朗×諏訪太朗、三十を跨いでなほ信頼に足るオッサン三連星が轟音で撃ち抜き倒す、ジェット・ストリーム・アタック連打が兎にも角にも芳醇にして超絶。黙つて三人並んだ画だけで既に最高でしかないのだが、ヤク中のグミョウジとアル中のナカザトに対し、若干―でもないけれど―やさぐれただけのタツトシが寧ろ一番マトモな、遣り取りが全部アドリブに聞こえかねない息の合つたビート感が格別で濡れる、何処が。謎団地妻を犯したのち、商店街で屹立するグミョウジがやがて脱ぎ始めオムツ姿で駆け抜ける、表情は窺へない距離を、佇まひのみで完全に壊れた狂気を滾らせる長回しの途轍もない凄まじさには改めて感嘆した。反面ミズキが展開の動因に過ぎなくなるのは兎も角、佐藤幹雄が佐野と史朗と諏訪について行けてゐないのは流石にある意味仕方なく、ラストの失速は否めなくもない。終に時の輪が接して、時間の流れが1999年で止まるオーラスを如何に理解したものか桃色に煮染まつた脳にはこの期に及んでも矢張り手に余るが、キービジュアルを成す、一本道を割る形で生えた幻想的にフォトジェニックな木は、アバンを今際の夢に繋ぎがてら、衆生の生滅遷流を唯々見守る常世の視点をも感じさせる。
 蛇の足< この手の映画にしては珍しくといへるのか、リボルバーの装弾数が仮に五としてもギリ破綻してゐない


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 「発情物語 幼馴染はヤリ盛り」(2019/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小松公典/撮影監督:創優和/録音:丹雄二/編集:三田たけし/音楽:與語一平/整音:吉方淳二/助監督:江尻大/制作応援:泉知良/撮影助手:赤羽一真/スチール:阿部真也/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:川上奈々美・工藤翔子・辰巳ゆい・櫻井拓也・細川佳央・ささきまこと・モリマサ)。
 十和田湖(青森県十和田市)湖畔、波打ち際に川上奈々美が佇む。何を持ち出したのかよく判らないが兎も角何某かを水に浮かべ、沈むと願ひ事の叶ふおまじなひ。十和田湖と背景の山々に更にその奥抜けるやうな青空とを、ドローンでドーンとパノラマぽく捉へたショットにタイトル・イン。ぼんやりした風情でドローンを操る尾田道夫(細川)と、てくてく歩く池田輝雄(以下愛称のテル/櫻井拓也)の背中。道夫が操作を失したドローンが、テルを直撃。映像系の会社に就職し先に上京したものの、遅れて進学したテルと行違ひになる形で、挫折し青森に戻つてゐた道夫は思はぬ再会を果たす。テルはといふと就活に失敗後、自由度の高い何でも屋「自分レンタル」でまあまあ充実した日々を送つてゐたところ、父親の腰痛を機に、実家の農作業を手伝ふため一時的に里帰り。一方そんな池田家では、テルの父・正勝(ささき)と母・貴子(工藤)が、だから正勝は腰をいはした筈であるにも関らずな夫婦生活。こゝで軽く度肝を抜かれたのが2018年第三作「人情フェロモン もち肌わしづかみ」(脚本:当方ボーカル/主演:友田彩也香)ぶりの工藤翔子、ではなく然様な些細なブランクなんぞ霞ませるどころか容易く吹き飛ばす、渡邊元嗣2002年第四作「女スパイ 太股エロ仕掛け」(脚本:山崎浩治/主演:デヴィ)以来実に十七年ぶりとなる相当な大復帰を遂げたささきまこと。家庭の事情で帰郷後、郷里の青森でも俳優活動を続けてゐる旨は公式サイトで見知つてゐたが、目を疑ふくらゐ結構お爺ちやんになつてゐて驚いた。口を開くと、口跡に特段変りはないが、ちなみに公称昭和35年生。閑話休題、尾田家にて手当てされたテルがレトルト飯を振る舞はれてゐると、道夫の父親で役所の偉いさん的な義春(モリマサ)が帰宅。また補足し難い名義のモリマサは、見た感じ本職の俳優部。義春マターの移住者募集CM制作に加はる格好となつたテルは、道夫を交へ三人の仲良しで、地方公務員に就職し今は義春の部下である木元雅美(川上)とも再会。ソフトフォーカスで予め明示する、淫夢もしくはイマジンを雅美に対し随時爆裂させながらも、テルは持ち前の底抜けな熱量で転がり込んだ仕事に取り組む。
 配役残り、地道に七戦目の辰巳ゆいは風俗嬢を本業に、ニックネームはリバたんのローカルアイドル活動に精を出す川野光、本名で動いてゐるのかも。僅かに洩らす呻き声を聞くに、光―源氏名不詳―の客が多分EJD、孤高のラッパーはもう沈黙したまゝなのか。そんな一昨日な与太はさて措き、単独デビュー作を、当サイトは未だ忘れても諦めてもゐない。その他後述する第一作の面子が捕まらなかつた反面、テルと義春が何かしら達成したらしき祝杯を交す隣のテーブルに、竹洞哲也やささきまこと同様青森出身の折笠慎也はまだしも、安藤ヒロキオのNSPならぬLSP“ラスト・関根和美's・ピンク”では男主役を張つた贅沢なコンビが、二人のアガッた様子を冷やかし気味に見切れる。
 小松公典が本名で脚本を担当するのは加藤義一2015年第一作「純情巨乳 谷間で歌ふ」(主演:めぐり)が二十日後には封切られつつ、竹洞組限定だと2015年第二作「四十路熟女 性処理はヒミツ」(主演:白木優子)以来の何れにしても五年ぶりとなる竹洞哲也2019年、この御時世何気に驚異の第六作。2017年第一作「レンタル女子大生 肉欲延滞中」(脚本:当方ボーカル/主演:彩城ゆりな)から連続する続篇かつ、この年夭逝した櫻井拓也にとつて、ラスト・ピンクにあたる。
 予告に目を通してみたところ、銘々悩みを抱へる田舎町に、絶対的にポジティブなバカが帰つて来る。判り易く趣向の酌めるよく出来たトレーラーで、個々の挿話が何一つ主軸を担ひ得ず、漫然とした「レンタル女子大生」を挽回する期待もそこはかとなく膨らんだ。何はともあれ、薄味な素の表情がもたらす印象からは意外と艶のある演技に長けた、ビリング頭の濡れ場はそれなりにエロく、完全に出来上がつた大人の女である辰巳ゆいが、タータンチェックに青い襟を大きくあしらつた、プリップリのピッチピチでおまけにスカートもキワッキワに短い、アイドル衣装に身を包むエクストリームな可愛らしさは比類ない。悔しがり歯噛みして呉れ、ナベ。側面的にはテルが自宅で風呂に入らうかとしたところ、リバたんver.―しかもノーブラ、ジャスティス!―の光が湯船に闖入して来るのに「これ明らかに夢ぢやん」。案外な斬新さを櫻井拓也の軽妙なビート感で加速する、明晰夢オチには普通にを通り越し大いに感心した。尤も、雅美が燻るのは道夫が塞ぎ込むいはば余波にほかならず、当の道夫の所以が、伝聞情報のみによる酷く苛められた―らしい―といふのは、漠然とか矢張り漫然とするにも度が過ぎる。寧ろ光の来し方の方が余程しつかりしてゐるのは、往々にして発生するちぐはぐ。雅美が今も抽斗に仕舞つてゐた、千切れた鞄の持ち手を鍵に、いはゆる日本一短い手紙で一撃必殺のエモーションを轟然と撃ち抜く、竹洞哲也がデビュー二本目に叩き出した最高傑作「美少女図鑑 汚された制服」(2004/脚本:小松公典/主演:吉沢明歩)と同趣向のシークエンスさへ繰り出す割に、要は女にも不自由しない出戻りニートを、総出で甘やかす他愛ない物語には噴飯するほどの片腹も痛まない。ヨシハル・エクス・マキナ頼みの子供も騙せない展開には都合のよさが否み難いといふか、凡そ否める訳もなく。テルと義春が飛び込みで戸々を回る謎行脚の目的と、光すなはち辰巳ゆいのそれもまた超絶なスーツ姿の意味がサッパリ腑に落ちないのは、どうせ一般映画版を見ないと通らない、例によつてふざけた相談だとしても。息子に向かつて、二言目にはバカバカ連呼するのをテルから難じられた貴子は、「子供つてのは、親にとつちやサイコウノバカヤロウなんだから」。OPP+題を上手く回収した、名台詞でも小松公典は書いたつもりなのかも知れないが、斯くも河島英五ばりにダサい文句を、この期に及んで工藤翔子に吐かせてどうするのよ。アホか、否、アホだ。もう一点、あれだけテルの彼女持ちを徒にフィーチャーするのならば、こゝは裸映画である以上、絡みのひとつも捻じ込んで然るべきではあるまいか。どうせ外様は概ね賑やかしのワン・ヒット・ワンダーと、括つた高があながち中らずとも遠からずであつた場合、本隊に新しい扉を抉じ開けて貰はないことには困る。といふか恐らく橋本杏子が最初に“最後のピンク女優”と称された時代からの、終る終る詐欺も性器を股に挿れて、もとい世紀を跨いでかれこれ幾星霜、遂にいよいよガチのマジで終(しま)へてしまふぞ。以下は間違つた認識を垂れてゐるつもりも毛頭ないが、世にいふ“閲覧注意”的な扱ひで、<若手男優部が決定的に不足し野村貴浩なり久保田泰也が煮ても焼いてもどうしやうもなかつた、一頃の惨状を櫻井拓也が細川佳央や山本宗介、可児正光らと劇的に改善した、未来をも覗かせる功績は当然当サイトも認めてゐる。さうは、いへ。申し訳ないが急逝した人間の結果的に最後の―ピンク―出演作などといふのは、決然と筆を滑らせてのけると偶さかな状況に過ぎず、当該映画単体の出来不出来とは、清々しいまでに全く別個の問題でしかない。>たとへばガミさんこと野上正義(2010年没)が、実際最後に撮影したのがどの映画になるのか判然としなくもあれ、工藤雅典の「お掃除女子 至れり、尽くせり」(主演:星野あかり)は論外。友松直之のメイドロイド第二作「最後のラブドール 私、大人のオモチャ止めました。」(石川二郎と共同脚本/主演:吉沢明歩)にせよ荒木太郎の非「映画館シリーズ」作「恋情乙女 ぐつしよりな薄毛」(主演:桜木凛)にせよ、だからといつて殊更ワーキャー涙を流して褒めそやすには、別に値しないのと同じである。ある、いは。敢へて積極的に構へるでなく、何時も通りの仕事ぶりが、偶々最期の作品となつた。大量生産大量消費を本質とするポップカルチャーの極北たる、量産型娯楽映画的には寧ろさういふフラットな態度の方が、より相応しくもあるのではなからうか。


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 「裏の後家さん 顔射シャワー」(1993『未亡人 シャワーonanie』の2006年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:河中金美・松本治樹・阿部二郎/照明:秋山和夫・石田政慶/音楽:藪中博章/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:女池充/制作:鈴木静夫/ヘアメイク:小川純子/スチール:岡崎一隆/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:YUKO・章文英・RAIRA・栗原良・平本一穂・池島ゆたか)。
 音効先行で肉感的な女がネグリジェを着たまゝシャワーを浴びる、早速、颯爽と走るジャスティス。濡れた薄布越しに透けるヤバいオッパイに俳優部からクレジット起動、乳尻を堪能させた上で、暗転タイトル・イン。明けて肌着も外した完全な裸を、スタクレが追ふ。ボガーンと威圧的な爆乳に対し、案外コンパクトにまとまつたおヒップ始め、締まるところは締まつてゐるのが素晴らしい。素晴らし、かつたのだけれど。結論を先走るとアバンからタイトルバックまで、実は女の頭部を頑なに抜かない不自然な態度ないし賢慮に、その時点で気づくか立ち止まるべきであつた模様。
 劇伴も起動してスーツケースを引く御々足から、上にティルトするとあれゝのれ?広大な面積のおかめ顔に、漆黒の暗雲が立ちこめる。結構画期的な大きさの巨乳よりも、顔面の方が更にデカい。多分新宿ら辺のビル群を見渡した苗字不詳の悠子(YUKO)が、「Hoo,What a fucking amazing!」と感嘆する―この人はどんな僻地から出て来たのか―のに“まあ、すごい…”と日本語字幕が入る予想外のギミックには、果たしてこの映画は大丈夫なのかと度肝を抜かれた。大丈夫では、なかつたのだけれど。一方旦々舎本丸、正確には当時、もしくは旧旦々舎本丸。垣原家家長の久伸(池島)と次男の陽一(平本)が碁を打ち、結婚し既に家を出てゐる長男の辰夫(栗原)は、一人縁側に離れ煙草と缶ビール。男の休日の、ステレオタイプが清々しい。兄弟と血の繋がりはない、久伸の後妻・啓子(故人)の親子ほど齢の離れた一番下の妹が、アメリカで結婚生活を送つてゐたものの、配偶者が交通事故死し帰国。暫く垣原家に置いては貰へまいかといふ相談を、受けてゐる旨久伸が息子達に切り出したタイミングで、当の悠子が現れる。後述するアキレス腱はさて措き、実は啓子に対する思慕を未だ引きずる辰夫は、父と弟が歓待する傍ら軽く苛立つて実家を辞す。ところで辰夫と陽一の母親に関しては、爪の垢ほども語られない。
 配役残りノンクレで飛び込んで来る鈴木静夫は、辰夫行きつけの店のバーテンダー。内装がえらいゴージャスなのだが、旦々舎本丸同様、借り賃の発生しないリアル店舗なのかな?栄の誤字でなく本クレ・ポスターとも章文英の章文英は、辰夫の妻・由峡江。辰夫の啓子に対する想ひをア・プリオリに、観客なり視聴者は余所に予め知る。YUKO共々、漠然とした名義のRAIRAは、陽一の彼女・宮島詩織。いつそ栗原良もリョウで出撃すればよかつたのに、何が望ましいのかよく判らんが。
 ソクミルに残された僅かなフロンティア、浜野佐知1993年第二作。待つてるぜ、エク動。
 悠子が風呂に入る度エクストリームなシャワーonanieに耽るのが、夫と死別して以降の癖と新日本映像公式サイトのストーリー紹介にはありつつ、劇中さういふ描写は一滴(ひとしづく)たりとてなく。辰夫がハードに肉感的な義母に拗らせる劣情も、濡れ場がてらイマジンのひとつでも放り込んでおけばいゝものを、外堀を満足に埋めようともしないまゝ、適当に始終は進行して行く。のが、先に触れた今作のアキレス腱。致命傷については、改めて後述する。悠子が順に陽一に辰夫、そして久伸とも寝る逆ジェット・ストリーム・アタックの果て、陽一は勃起不全。辰夫は由峡江と向き合ふ障碍となる、疑似近親相姦的な横恋慕。当然、久伸の場合は啓子との記憶、ないしは喪失。男三人が抱へる各々の問題を解消したところで、流れ的には何となくまとまつてゐなくもないとはいへ、垣原邸にやつて来た時と同様、藪から棒に悠子は再びアメリカに戻ることにする。そもそも何しに来たのか知らないが、木に竹を接ぎに帰国したのかこの女。一応男衆を煙に巻く程度に自由ではあれ、結局も何も要は端から、悠子の主体性は曖昧模糊どころか五里霧中に覚束ない仕舞ひ。少なくとも、フランク―もしくは無節操―に男好きであるのは酌める。由峡江と詩織もそれぞれ辰夫と陽一に寄り添ふだけの従順な女に過ぎず、浜野佐知が今なほ頑強に吠え続ける、ミサンドリーと紙一重といふか、概ね表裏一体の攻撃的な女性主義は何故か珍しく影を潜める。さうなると物理的な意味に於ける造形のクオリティが、首から下と上とで綺麗に反比例する主演女優が親子三人、男優部を喰ひ散らかすだけの映画が関の山。栗原良十八番の徒な難渋さも稀薄な展開の中さほどでなく活きて来ず、垣原家のロケーションを旦々舎本丸で撮影してゐる点を除けば、旦々舎らしさといつても轟音の煽情性くらゐしか見当たらない。にも関らず、カメラがYUKOのある意味豪快な面相を捉へてしまつたが最後、画が木端微塵に砕け散るのは不可避。となるとビリング頭の顎のラインが、文字通り生死を分つ境界線として機能する、稀有な形でスリリングな一作。YUKOの御尊顔は地雷の起爆装置か、といふのが改めて後述するとした致命傷。まるで悪魔と契約してルックスと引き換へにボディを手に入れたかのやうな、エクセスライクの極北をもブチ抜くYUKOが再び新日本映像公式に拠ると、高校を出て語学留学後、アメリカのポルノ業界に飛び込んだとか雲を掴むやうなイントロが書かれてあるが、如何せん兎にも角にも灰汁が強い。ブルータルな乳の暴力さへあるならば、ほかには何も要らない。針に糸を通す覚悟でエモーションをその一点に集中するか、YUKOのどすこいな力士面の反照で殊更に光り輝いて映る、扱ひに然程差のない二番手三番手を束の間愛でるかの二者択一。取りつく島は、その辺りにしかないのではなからうか。

 最早どうでもいゝツッコミ処ですらないが、新題上の句いはく“裏の後家さん”の裏とは、全体何処の何方(どちら)さん視点なのよ。そもそも旦々舎の裏に誰が住んでゐるのか以前に何があるのか、描かれてゐた例なんて覚えがない。幾らエクセス仕事とはいへ、適当にもほどがある。


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 「団地の奥さん、同窓会に行く」(2004/製作:国映株式会社・新東宝映画株式会社/製作協力:Vシアター/配給:新東宝映画/監督:サトウトシキ/脚本:小林政広/企画:朝倉大介/プロデューサー:衣川仲人・森田一人・増子恭一/協力プロデューサー:岩田治樹/音楽:山田勳生/撮影:広中康人/照明:高田賢/録音:瀬谷満/編集:金子尚樹/助監督:堀禎一/監督助手:躰中洋蔵・伊藤一平・朝生賀子/撮影助手:小宮由紀夫・田宮健彦・邊母木伸治/照明助手:岩渕康/制作:永井卓爾・坂本礼/録音助手:西岡正己/編集助手:張本征治/ネガ編集:小田島悦子/タイトル:道川昭/音響効果:福島行朗/タイミング:安斎公一/録音スタジオ:福島音響/現像:東映ラボ・テック/協力:岩越留美・白石香織・上井努・菅沼隆一・海上操子・杉山規子・江尻健司・滝野みち子・榎本敏郎・竹洞哲也・大西裕・田尻裕司・鏡早智・友松直之・加藤遼子・中村幸雄・金森保・新里猛作・鎌田義孝・絹谷隆広・小泉剛・松江哲明・佐々木靖之・松本唯史・三和映材・東洋照明・NK特機・不二技術研究所・コダック株式会社・フィルムクラフト・㈲キリシマ・高津装飾美術・ホテルたてしな・わび助・鳥はる・ビートウェーブ・ベストワン・ホテルコンツェルト/出演:川瀬陽太・佐々木ユメカ・向井新悟・風間今日子・古館寛治・小林節彦・伊藤猛・間宮結・本多菊次朗・女池充・華沢レモン・清水大敬・下元史朗/劇中撮影スタッフ:上野俊哉・橋本彩子・坂本礼・宇野寛之・河西由歩・櫻井雅章)。劇中撮影スタッフの六人が、正確には華沢レモンと清水大敬の間に入る。
 タイトル開巻、団地の画を噛ませて、にしては内装がよすぎるやうに思へなくもない寝室。寝てゐる祐司(川瀬)と明子(佐々木)の川瀬夫婦、祐司が催すも、明子は生理を偽り断る。台所に逃げミネラルウォーターを喇叭飲みする明子に、祐司はなほも纏はりつく。ピンク映画俳優部の祐司は久し振りの現場で、さういふ日は何時も滾つてゐた。ピンクの仕事が金にならないとバッサリ斬つて捨てる明子に対し、祐司は夢だのピンクだつて映画だからだの力ない抗弁に茶を濁すものの、「ちやんとした映画館にかゝらないやうな映画なんて、屁みたいなもんよ」とかぞんざいに止めを刺される。立位後背位の、腰を振りもせず。斯くも血も涙も一滴(ひとしづく)の潤ひすらない無体な遣り取りを通して、この二人の関係が終息してしまはないのが不思議で仕方ないが、さて措き漸く満足に腰を振り始め、朝つぱらから夜の営み本起動。依然乳尻は器用に拝ませないまゝに、ひとまづ完遂に至る。祐司が出撃支度を整へる傍ら、粧し込む明子もその日は高校か大学か、あるいは謎の同窓会だつた、後述する。
 配役残り、祐司が遅刻した、これが多分新宿駅西口のスバルビル(2018年解体)付近の定番集合場所なのか。ビリング順に古館寛治と小林節彦に河西由歩は、助監督の村上と氏名不詳の監督に、普通に可愛い推定演出部。櫻井雅章と橋本彩子の間に祐司が割り込んで、車は出発。全く予想外の形で駆け抜けて行く下元史朗は、余所行きの装ひでエレベーターに乗つた明子を冷やかす下卑た御近所・角川。バカアホと罵られ蹴りを喰らつた挙句、「あばよリストラ」なる情け容赦ない捨て台詞を放られる、何てレス・ザン・慈悲な映画なんだ。一方仮称コバタケ組の撮影現場、最初で最後の国映参戦で、別に普段と変らない風間今日子が祐司の相手役を務める愛子。女池充は愛子のマネージャー・佐伯で、宇野寛之が撮影部。片やホテルたてしなの同窓会会場、十時の方向から時計並びで本多菊次朗と伊藤猛に、清水大敬と矢張り最初で最後の国映参戦となる間宮結は、名なしの同窓生と明子挿んで幹事に、幹事の対面に座る風間と、ひとつ空けて本多菊次朗の対面に登喜子、伊藤猛が割と髪が長い。といふか、声を発するまで画面奥の伊藤猛が誰なのか判然としない、バラ売り素のDMMのゴミ画質はもう少しどうにかならないのか、金取つてるんだぞ。向井新悟はたてしなに遅れて、しかも思くそカジュアルな格好で現れる明子の元カレ・久保真悟。華沢レモンも後述するとして問題が、上野俊哉と坂本礼は何処にも見切れてゐた気がしないのだが、特に上野俊哉。村上組に、一人識別不能のキャップがゐるのはゐる。
 国映大戦第三十七戦は、それどころでない状況の収束した仮定で、昨年石川欣に「SEXYダイナマイト マドンナのしづく」(昭和63/買取系ロマンポルノ/脚本:吉本昌弘/主演:菊池エリ)以来実に三十二年ぶり、純然たるピンクに限定すると「痴漢バス バックもオーライ」(昭和62/脚本:吉本昌弘/主演:長谷川かおり)以来更に一年増えて三十三年ぶりとなる新作の場を提供した―連れて来たのは髙原秀和―大蔵が、驚天動地の超召喚でも仕出かさなければサトウトシキにとつてピンク映画最終作。如何せんいまおかしんじの名前も脳裏を掠めると、この辺りの面子は厳しいか。といふか実際のところサトウトシキ云々よりも、通算第八作「双子姉妹 淫芯突きまくり」(2002/主演:安西ゆみこ)から第九作「愛人熟女 肉隷従縄責め」(2008/主演:沙羅樹)まで六年ほぼほぼ戦線から撤退してゐた時期の、清水大敬を改めて見ておきたかつた志向性の方が実は強い。
 団地の奥さんが同窓会に行く一方、宿六の撮影は明子との濡れ場にコバタケ監督が頑なにオッケーを出さないどころか、村上が苦し紛れの打開案に本番を提案し火に油を注いで膠着する。例によつてで恐縮、といふのも失礼極まりない話か、偉大なる先達を避けて通る訳に行くものか。m@stervision大哥が呆れ返つてをられる、裸映画を丸裸にする一見ラディカルなやうでゐて、その実は精々他愛ないか自堕落な自嘲かブーメランも兎も角、東京都庁第一本庁舎の如く屹立する二本柱を成すツッコミ処の片割れが、佐々木ユメカと清水大敬が全体何の同窓生なのかといふ強大な疑問。向井新悟が少し下でも、佐々木ユメカと間宮結の三人はザックリ同世代。十個くらゐ上の、伊藤猛と本多菊次朗も大体同世代。その時点で既にな年齢差を遥か遠く大概にオーバーラン、清大とユメカなんて、普通に父娘で全然おかしかないぞ。挙句応援団的なヒエラルキーで、久保が風間を顎で使ふのが不完全無欠に意味不明。そんな口跡から覚束ないナメたガキ、シメッちまへよ清大。尤も今の世では甚だ通り難いシークエンスながら、久保に何某か余興を強ひられた風間が「僕、やります!」。「何をやるんだ」、「旧姓今井明子さんと、この場でヤリます!」と犯し始める無茶苦茶を、力づくで固定するのが清水大敬の突破力。ただ同時に不思議なのが、その唯一無二な人外の馬力を、自らの監督作に於いてはあまりでなく活かせられてゐないやうな気がするのは・・・・別に不思議でもないのか。
 貧相な同窓会に泣きだしその場を離脱、往来に飛び出した明子がちやうど同じタイミングでたてしなに辿り着いた久保と鼻尖を鉢合はせる、不調法なカット割りは十年前から限りなく全く進歩してゐない反面、本番撮影を巡る悶着に、当然の如くキレた愛子のカザキョンキックに文字通り蹴り飛ばされた佐伯が、窓を突き破つて宙に舞ふロング―もしかして上野俊哉か坂本礼が落下スタントしてる!?―は、とてもそんなサトウトシキが撮つたとは思へない見事な出来栄え。風間今日子の何時も通り不遜な佇まひとオッパイ以外に、この映画が輝いたのは精々そこ程度かな。明子と久保の焼けぼつくひは、伊藤猛よりも朴訥とした、無頼気取りの久保が最終的には無様な保身に走り、端から行き詰まつたピンク映画残酷物語はこの際忘れ、コバタケの新作を降りたか降ろされた祐司と、久保と別れた明子が、各々の帰途偶さかに遭遇。消沈する祐司に対し、明子が「夢つて大きい方がいゝと思ふ」、あれ?「現実とか想像より、もつともつと遥か大きい方がいゝと思ふ」、あれれれれ?よもやまさかの、力技で逆転サヨナラエモーションをカッ飛ばすのか、と思ひきや。結局な着地点は、アタシが働くからアンタは夢を追つて。あのさ、財布に金が入りきらなくて困つてゐるやうな人間が、その手の四畳半臭い物語を、綺麗に仕立て上げる分にはまだしも芸になるか知れないけどさ。直截か端的に筆を滑らせると、見てるこつちの方が恥づかしいんだよ。女に食はせて貰つて、金にはならない仕事をしたい。然様な惰弱な願望を臆面もなく形にするくらゐなら、三枚目のダメ男に何故か美人か巨乳か女子高生が次々膳を据ゑて下さるチープな商業ポルノの方が全然マシで、といふか量産型娯楽映画的には寧ろ大正道にしてジャスティス。華沢レモンを村上監督デビュー作のヒロイン・礼子に、相変らず乳尻も満足に拝ませもせず、要はエピローグで使ひ捨てる不誠実な態度は根本的に如何なものか。三番手がアバンに飛び込んで来る、まゝある奇襲戦法の変型と考へればなかなかユニークな手法ではあれ、何れにせよ女の裸を十全に愉しませてからの話。礼子相手に案外淡々とした風情でエッサカホイサカしながら、祐司は自らに言ひ聞かせる。「コツコツと、ただひたすらに、コツコツと」。しみつたれてんだよ、ナニを勃たせて欲しいといふのは百歩譲つて諦める―本来それを放棄しては駄目なのだが―にせよ、せめてスカッとさせて呉れないか。


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 「暴走レイプ魔」(昭和61/製作:N・T・P/配給:大蔵映画/監督:西川卓/脚本:北町一平/音楽:ド・ビンボ/編集:鈴木健一/照明:桜井正行/編集:酒井正次/助監督:佐藤俊㐂・勝山茂雄/撮影助手:福島佳紀/照明助手:上野雄一/現像:東映化工/録音:銀座サウンド/スチール:石塚和保/車輌:西川憲/出演:野口優子・炎上寺由羅・井上真愉見・水野さおり・酒入正三・矢田栄一郎・勝田雄・久須美欽一)。撮影の筈の鈴木健一が、酒井正次のみならず編集になつてゐるのは本篇クレジットまゝ。クレから豪快なのかよ、徹底するにもほどがある。チーフ助監督の佐藤俊㐂は、㐂の字が略字の佐藤俊喜、即ちサトウトシキ。
 パイオニアのカーステから、謎のバンド(日)の案外カッコいい曲が鳴る。謎バンドでは流石にあんまりなのでもう少し説明を加へると、総体としては古典的なハードロックで、ヴォーカルはダグ・フィーガー似。閑話休題クレジットが先行、フロントガラスに、ハンドルを避ける形で斜めに入る斬新なタイトル・イン、公開題そのものは随分なんだが。男女二尻の単車が、セダンを抜く。セダンを運転するのは久須美欽一で、助手席に酒入正三。何処かで見たやうな名前の酒入正三が、要はa.k.a.坂入正三。nfajとjmdbを照合してみると、今作に先行する坂入正三名義での出演作も存在する―小林悟同年第六作「露天風呂 探りさぐられ」―点から、必ずしも単純にex.酒入正三で坂入正三となる訳ではないのかも知れないが、何れにしても最初期の活動にさうゐない。尤も久須りんにせよサカショーにせよ実に三十五年前の時点で既に顔が出来上がつてゐるため、そんな二人が久須りんはバンダナにグラサンを合はせてタンクトップ。サカショーに至つてはヘアバンドで銀ラメのアイシャドウを入れ、素肌にデニムベスト。挙句首には、“超獣”ブルーザ・ブロディがブン回す太さの鎖。昭和末期の素頓狂さを歴史的補正で差し引いてなほ、存分にカッ飛んだ扮装でヒャッハーしてゐる―清々しく似合はない―風情には最早微笑ましさしかない。女に目をつけた二人は画に描いたやうな煽り運転で単車を停めると、男(多分矢田栄一郎)はシメて水野さおりを拉致る。
 物語といふほどの物語もない一作につき配役残り、井上真愉見は駐車場で地図を見る、一人でツーリング中のマユミ、単車乗るんだ。交錯した久須りんのセダンが、脊髄で折り返すUターンで追走。幅寄せして停めさせるロングを、省力化に傾注するピンクは下手にカットなんて割らないゆゑ、普通に久須美欽一と井上真愉見にそのまゝ運転させてゐるのに軽くビビる。炎上寺由羅は暴走レイプ魔の三人目の被害者となる女で、二人目の女ライダー・ナオミ。消去法で恐らく勝田雄が、ナオミの彼氏でこの人も単車乗りのトシヤ。意外にも、二人がOLとホワイトカラーの職場カップル。そしてナオミが放置された場に通りがかり、観音様をコーラで洗つてあげる―神の水を勿体ない、飲めよ―野口優子が、三人目の女ライダー・マキ、ゼロ番目の被害者。ナオミとミーツした経緯は当然判るが何時の間にかマユミとも面識があり、三人で“ピンクレディースツーリングクラブ”を結成する。河島英五の次の次の次くらゐにダセえ、河島英五はダサさの基準なのか。
 ソクミルに西川卓が転がつてゐるのを見つけて、早速飛びついた昭和61年第四作。残念ながら、五十音順に市村譲や矢竹正知の、ex.DMMを出し抜く未見作は見当たらない模様。いや、正気は保つてゐる、つもりではあるのだけれど。
 琴線に触れる女を発見するや、追ひ駆け捕まへて犯す。無機質なドライブと上手く馴染む乾いた画調と、全篇を通して数曲使用される、そこそこサマになる謎バンド劇伴とに上手いこと加速され、寧ろストーリーなりテーマを不用意に構築しようとはしなかつたのが怪我の功名的に作用してか、久須りん×サカショーの対水野さおりからナオミまで、動物的な展開の蒸し返しもとい繰り返しが、西川卓的には思ひのほかつゝがなく見させる。反面、ナオミがマキと出会つて以降暫し一切のエンジンが止まつてゐる間、途端にマッタリしてしまふのは御愛嬌。更に壮絶なのが、車の中でサカショーに犯され、ハコ乗り的な要領で窓から車外に仰け反つたナオミに、久須りんがいはゆる二穴責めで咥へさせようとしたのが、よもやまさかサカショーの口に捻じ込む出鱈目な誤爆。の、しかもオチを全く回収しない破滅的なぞんざいさには、幾ら敵が西川卓とはいへ度肝を抜かれた。同じやつゝけはやつゝけでも、並のやつゝけでは斯くも心のこもつてゐないシークエンスはさうさう撮れまい。良くなくも悪くも、一昨日なベクトルの絶対値が図抜けてゐる。抜けてゐるのは、あるいは底か。ともあれ、女と男と車に、拳銃をも用意したといふのにまるで映画を成立させられなかつた大西裕と比べれば、単車と四つ輪と女の裸で、サクッと見られる量産型裸映画をひとまづ仕上げてみせた、西川卓の方が千兆倍マシ。比較の対象が低すぎる、地を穿つて対蹠点まで貫くぞ。登場順がビリングを綺麗に逆流する女優部が、水野さおりと井上真愉見はほぼ五分―オッパイ勝負なら水野さおりの爆勝―としても、実は一直線に先細つてゐるやうに映らなくもない、倒錯した用兵に関してはこの期に及んで気にするな。


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 「港町の人妻 ~豊満美女~」(2003『豊満美女 したくて堪らない!』のVシネ題/製作:国映株式会社・新東宝映画株式会社/製作協力:Vシアター/配給:新東宝映画/監督:坂本礼/脚本:らもんなか/企画:朝倉大介/プロデューサー:衣川仲人・森田一人・増子恭一/撮影:鏡早智/助監督:伊藤一平/編集:蛭田智子/録音:西岡正己/監督助手:河西由歩/撮影助手:中島美緒・池田直矢/ネガ編集:松村由紀/現像:東映ラボ・テック/協力:小水一男・勝山茂雄・国府達矢・榎本敏郎・堀禎一・大西裕・躰中洋蔵・永井卓爾・森元修一・石川寛・貝原亮・曽我理恵・Kim Min Soo・加藤義一・フィルムクラフト・福島音響・ベースボールマガジン社・カラーリングワークズ・㈱ワールドパワースポーツ・館山日東バス・エデンの園・新宿女学院・パブ シャレード・ナイトL・慶徳寺/出演:石川裕一・田村尚久・川瀬陽太・西野美緒・AZUSA・Rika・あ子・飯島大介・上野俊哉・今岡信治・堀禎一・森田一人・佐藤啓子・佐野和宏)。脚本のらもんなか(a.k.a.羅門中)は、今岡信治の変名。
 製作と製協クレに続いて、Vシネ題でのタイトル・イン。映画を小屋で上映してゐた時には、配給クレジットもあつたのかな。ジャンボ鶴田が「オー!」をするフィギュアを中心に、画面右にエルガイムMk-Ⅱ。左袖にアーマードバルキリーが見切れ、その手前にはアイアン・ギアーが寝そべつてゐたりするオタク部屋。マスクマンに扮した亀井実(川瀬)が、女子プロレスラーに扮した?モー子(AZUSA)とミクスドマッチぽくセックロス。矢張りマスクを被つた、鈴木賢一(石川)に実がタッチして交替したりする巴戦、実にフランクな関係ではある。一方三人と同級生の細井、各種資料には禎之とあるけれどあくまで劇中タダシ(田村)は、モー子宅の表に停めた単車に腰かけ週プロの鶴田別冊を読む。千葉のファッションヘルス「ナイトL」のサイトに、高校の同級生・渡辺嘉子の写真があるとかないとかいふ話になり、当時嘉子と付き合つてゐた賢一は、“三十歳になつたら、結婚してあげる”なる河辺のスナップ裏に添へられたメッセージを真に受けて。嘉子のことがずつと好きで、三十路目前にして未だ童貞のタダシは積年の拗らせた、もとい募らせた想ひの告白を期し。嘉子に対して特にこれといつたテーマもない実も、二人に追随して何となく。実はタダシの単車に二尻で、三馬鹿は一路南房総を目指す。ところで賢一の単車の、リアボックスに“KHC”と素人仕事風のロゴが入つてゐるのが何かと思へば、“Kokuei Haitatsu Center”、他愛ない。
 配役残りRikaは、サイトに住所くらゐ載つてゐさうな気しかしないのだが、「ナイトL」の場所が判らず途方に暮れる三人の前を「ナイトL」ジャンパーを着てチャリンコで通過する、英語の通じない外国人ヘルス嬢・ベロニカ。どうググッても捕まへられない厄介な名義のあ子は、「ナイトL」に関しては雇はれかも知れない、愛想のない受付・白鳥あかね。屋号不詳のスナック―パブでシャレードかも―を営み、源氏名なのか何で苗字が違ふのかは知らないが、実は嘉子の祖母。そして浜野佐知1993年第十一作「失神OL 婦人科検診2」(脚本:山崎邦紀)、藤原健一のデビュー作「痴漢ストーカー 狙はれた美人モデル」(2001/主演:沢木まゆみ)を経てピンク最終第三戦となる西野美緒が、件の渡辺嘉子、目下渡辺ではない模様。佐野和宏と上野俊哉・今岡信治・堀禎一・森田一人は、嘉子の夫で鯨漁師の黒政和義と、黒政率ゐる勇魚会の面々。国から特別に鯨漁を許可され幅を利かせてゐる、といふ設定ではあるものの。運転手以外の四人は荷台でヒャッハーする軽トラを乗り回しては、息を吐くが如く刃傷沙汰を仕出かす単なる愚連隊のやうな造形。黒政以下勇魚会に対抗心を燃やし、三羽烏は鯨を獲る腹を固める。漁業許可以前に、舟の一艘もないのに。飯島大介はそんな三人のためにあかねが手配した、釣舟の親方・中島。そして今日の雨どころでない問題が、残る名前の佐藤啓子こと、御存知a.k.a.朝倉大介。それらしき人影さへ見当たらず、自在に操れる配信動画のフレキシビリティを利し相当探してみたが、「賢ちやん御飯は?」の声のみ聞かせる、賢一お母さんでは恐らくなからうか。
 前回のデビュー作に続く坂本礼第三作で、国映大戦第三十六戦。モノにもよるのか、バラ売り素のDMMの画質が相変らず言葉を選ぶとクソで、勇魚会軽トラのハンドルを誰が握つてゐるのかすらよく判らない。
 フレーム内に女の裸が映つてゐる尺よりも、正体不明のひたすらさで単車が走つてゐる尺の方が余程長く、何はともあれリアタイでm@stervision大哥が痛罵なさつてをられる通り、裸映画的には限りなく零点。初戦で火を噴く、攻め方も見せ方も何もかもな生温さは、川瀬陽太とRikaの二戦に於いても大して変りはしない。嘉子を巡り激しく争ふ、ウェーイなヤリチン野郎の賢一と、ある意味一途にチェリーを守り通すタダシ君。別に守つてた訳ぢやねえ、多分。最終的に、嘉子を射止めるのがタダシになる展開はカタルシスの徳俵を割らず辛うじて踏み止まり、つつ。西野美緒のオッパイを満足に抜きもせず、鏡早智のカメラにはまたしても根が生える、フィックスのまゝでもせめてズームで寄れよ。鯨獲りの決意をあかねに訴へる賢一いはく、「俺達何やつても中途半端で」云々。だ、か、ら、中途半端なのは量産型裸映画に対する坂本礼の姿勢だ。何も坂本礼に、限つた話でもないが。反面、m@ster大哥は今岡信治脚本との親和性を難じておいでだが、そもそも今岡信治との相性も悪い当サイトにとつてはその点が然程の瑕疵とはならず、燻つてゐた馬鹿共が、藪から棒に走り始める青臭いドラマは、自分でも不思議なほど案外普通に見てゐられる。嘉子的には蚊帳の外に置かれた実を、ベロニカで無理から救済する力技のサルベージなんて、寧ろブッ千切りに一番ダサくてなればこそなほ一層グッと来る。正方向なのか明後日なのかは兎も角、最も可笑しかつたのがタダシ君は外で待つ、賢一と実の「ナイトL」戦。ベロニカを指名した実の楽しさうな様子に、ウキウキして待つ賢一の前に現れたのは、タオルを巻いた半裸で用具一式携へたあかね嬢。お前も前線に立つのか!なオチは、まあ事前に読める想定内。川瀬陽太とRikaの絡みに並走して、賢一は固まつたまゝ、ただ時が過ぎるのを淡々と待つ。待つてゐたところ、隙を狙つてあかね嬢が遂にタオルを外さうとするのを、賢一が「動くな!」と脊髄で折り返す速さで制するカットには実際声を出して笑つた。そんな一退一進の攻防も、ラスト「行くぞ」の清水大敬病―と改めて生煮えるオーラスと―で、まんまと水泡に帰してはしまふのだが。

 とこ、ろで。三人組を子供扱ひする黒政が、二言目には「ボーイ」を連呼するのは如何にも佐野らしいビート感が最高でしかないものの、そんなソリッドな漁師ゐんのかよ。と、いはずもがななツッコミ処を覚えなくもない。


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 「渡る世間は欲ばかり」(2019『おねだり、たちまち、どスケベ三昧』のDVD題/制作:《有》大敬オフィス/提供:オーピー映画/音楽・脚本・監督:清水大敬/撮影・照明:大久保礼司/照明:ジョニー行方・石塚光/録音:村田萌・荒木俊一/撮影助手:菅田貴弘・吉井夢人/ポスター・現場スチール:中江大助/助監督:郡司博史・山梨太郎/仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:愛原れの・今井まい・長谷川千紗・中村京子・三橋理絵・大山魔子・海空花・森羅万象・山科薫・フランキー岡村・安藤ヒロキオ・折笠慎也・郡司博史・中野剣友会)。出演者中、郡司博史と中野剣友会は本篇クレジットのみ。
 下着姿の愛原れのが更に脱ぎはしないストリップもどきをてれんてれん踊り、唐突か漫然としたタイミングで止めた画にタイトル・イン。ぼんやりしたアバンに、危惧を覚えてゐればよかつたのか。明けてガウンで飛び込んで来るのは、相変らず血色の悪い山科薫。岡野武男(山科)が愛人の山口裕子(愛原)に買ひ与へた―名義は岡野―マンション、にしては、何か会議室みたいな一室、何気にベッドもないんだけど。大敬オフィス的には思ひのほかあつさりした初戦の果て、岡野は裕子の腹の上で死ぬ。清水大敬には、野口四郎の尻の上で死んだ偉大でない戦歴もあるがな。カット跨いで裕子が悄然と手にする岡野のスナップに、お鈴を鳴らす雑なスピード感が堪らない。未亡人ならぬ未亡愛人といふのも、案外斬新なジャンルなのかも。「とつとと出て行けこの売女!」、完膚なきまでに酒で焼けたのか、ズッタボロの発声で岡野の妻・明美(中村)が、清水大敬をも凌駕せん勢ひの凶暴な圧で轟然と大登場。結論を先走ると、その時点でこの映画は詰んでゐたんだ。明美が、といふか中村京子がまるで妖怪のやうな面相で「アタシの主人を腹の上で腹上死させやがつてー!」とか、史上空前に清々しい畳語をカッスカスの金切り声で喚き散らし、下着を拝ませる取つ組み合ひも無駄に仕出かして裕子を―自分が相続したマンションから―放逐する。愛原れのも初めての映画の現場で、相当面喰つたにさうゐない。かと思ふと、微塵も有難くはない、肉がダッブダブの黒下着姿で明美はツバメの山根健二(折笠)を電話で呼びつける。大学院の後期授業料なのか母親の入院費用なのか、結局何のために必要だつたのか真の用途が実は謎な、健二が関係各位に無心する三十万に対し、明美は十発ヤッて呉れたらだなどと非人道的な条件を提示。引き攣つた折笠慎也の表情が、生命の危機にさへ慄いてゐるやうに映るのは気の所為か。折慎にとつても、かつてなく過酷な現場であつたにさうゐない。転がり込む当てはさて措き、ネカフェに一旦避難する小銭にも欠くのか公園で寝る裕子は、岡野の遺影スナも挿したトートを無闇な健脚を誇るレス・ザン・ホームの人(郡司)に奪はれ、まだキャリーケースがある割には全財産を失ふ。一方遂に、終に地獄の蓋が開く。明美が健二を貪る凄惨な正しく地獄絵図に突入、中村京子のガチ濡れ場は、清水大敬の六年途絶えた監督キャリアの復帰作「愛人熟女 肉隷従縄責め」(2008/主演:沙羅樹)以来。といふか中村京子の濡れ場は、CWCでもBWCでもこの際何でもいゝから、兵器禁止条約に追加して国際的に禁じて欲しい。前者を主に深刻な打撃を心身に与へる、残虐極まりない精神兵器である。禁忌に触れた、といふか禁忌そのものの恐ろしい映画が観たいか見たいのなら、こゝにあるぞ。
 基本的にツッコミ処だけで始終が埋め尽くされてゐる以上、際限がなくなるばかりにつき配役残り。改めて途方に暮れる裕子は、“救世主は弱き者に現金を与へる!”なる怪しみ全開の貼紙に誘はれ、雑居ビル地下の「救ひの家」を訪ねる。清水大敬前作の未亡人下宿?第三作から継戦する正体不明の巨漢女・大山魔子が、要は貧困女子を嬢に仕立て上げる出張風俗の非情な女主人・三原山葉子。安藤ヒロキオはチラシ印刷の件で「救ひの家」に出入りする、グンジもとい「新山印刷」社長の新山正義。「救ひの家」にも救はれなかつた裕子を、自らの会社に招き入れる。森羅万象とフランキー岡村は、何屋さんなのか明示はされないが肩書は会長の鮫島権蔵と、鮫島に常時付き従ふ運転手の高橋元伸。高橋が呼びに行かされモサーッと現れる今井まいが、鮫島の娘・美由紀。年が明けると大学受験を控へ、帝都大学入学―学部不明―を切望する鮫島に対し、本人の志望は東南かキョウナン大の教育学部。そして美由紀の家庭教師を健二が務めてゐたりする辺りが、とかくありがちな世間の狭さ。三橋理絵は、明美が二つ折りの古式ゆかしくは別にないフィーチャーフォンを借りる友人・三浦江利子。ゴミみたいな茶髪始め、文字通り上から下まであまりにも汚いゆゑ断言はしかねるが、国沢実1999年第一作「レイプマン 尻軽女を仕置きせよ」(脚本:ブルセラマン/主演:原淳子?)ぶりとなつたのかも知れない、酷似した名義の三橋里絵とは多分別人。帝都大入試問題の入手を目論む鮫島は、銃刀法にガッチガチ触れる得物も用ゐての非合法活動を生業とする癖に、平然と看板を掲げてゐるナンダコリャ組織「機密文書研究所」に赴く。長谷川千紗が簡単な英会話の直後自ら日本語に訳す、「共犯者」(1999/脚本・監督:きうちかずひろ)に於けるギリヤーク兄(内田裕也)のやうな造形の機文研所長・紅満子。心なしか顔が出来上がつて来た気がする海空花が、機文研一の腕利き、ぽい扱ひの銀粉蝶子。とはいへ寮もあるといふ割に、新山と裕子以外劇中猫一匹見切れはしない新山印刷同様、満子と蝶子以外のその他機文研所員は人影すら覗かせない。ポスターにも本クレにも載らない清水大敬は、正義の父の代から新山印刷とは付き合ひのある、帝都大学の中の人・石部金吉。今回三人ぽつちの中野剣友会は、クライマックスの殴り込みに際し、新山が助太刀を乞ふ印刷組合の皆さん。さういふぞんざいな物言ひも語弊しかないが、黙つて立つてゐるだけの頭数でも新山印刷なり機文研に放り込んで最低限の体裁を整へるのが、中野剣友会なり内トラ隊の正しい用兵なのではあるまいか。
 千代の富士の引退会見風にいふと、体力の、限界。否応ない経年劣化であちこちガタも来た、草臥れ倒す痩躯に鞭打ち仕方ないから小倉に出撃するかと駅に向かつたところ、定例イベントの人身事故で鹿児島本線が壊滅。もう一日なくもない―平日の―休日に仕切り直して攻めるつもりでゐたものの、日常の些末なあれやこれやに火に油を注がれムッシャクシャした末、外王で借りて来て済ますDVD戦に切り替へた清水大敬2019年第三作。日曜日の電車を止めるクソは息するのやめて欲しい、実際やめたみたいだが。
 俳優部的には中居ちはるとの出会ひを契機に、清水大敬が監督デビュー実に十六年を経て漸く辿り着いた昨今のそれはそれとしての王道娯楽映画路線を、当サイトはそれなりに生温かい目で見守つてゐる、ものではあれ。流石に、流石にこれは酷い。普通に酷い通り越して、結構酷い。羽勝のヤクザがジョン・カサベテスを知らない女にキレて犯す、カサベテてた時期の唯一無二といへば唯一無二ではある魔術的な破壊力は依然封印したまゝに、通常の範囲内で大概酷い、納まつてるか?
 数少ない、といふか絡みに入ればまだしも安定する、覚束ない二番手の案外豊かなオッパイ以外唯一の見所は、面従腹背の高橋が鮫島に上げ底の腹を常に嗅ぎつけられ、フラ岡らしいマンガ的なメソッドで泣きさうになるのがオチのコント。の、打率自体は決して高くない中、鮫島の風貌をイボイノシシと罵つたのを満面の笑みを浮かべた鮫島こと森羅万象に聞きつけられた高橋は、蛇に睨まれた蛙の風情で「釈明のための論理を整理させて下さい」。わはははは、どうしたのよ清大、気の利いた台詞書くぢやない。ナポレオン所有の辞書が不可能の項目が落丁してるのは知つてゐたが、清水大敬の辞書に論理なんて単語があるのは予想外、御見逸れ致した。ハイ、褒めるの終り。あと高橋が美由紀の志望に理解を示す件に関しては、意見―といふより同意―を求められた高橋がキョウナン大と答へた時点で、鮫島を即激昂させた方がテンポ的によかつたのではなからうか、なんて素人考へ。そこでグジャグジャ余計に右往左往してみせるのが清水大敬、といつそ認めてしまへば完結する議論にせよ。
 執拗に撃ち続ける信長とポスターまで抜く「忠次御用篇」に実質的な意味はまるでない「兵隊やくざ」の、藪蛇なフィーチャリングはこの際等閑視、キリがない。解約に親でも殺されたのか、蝶子が仕事のキャンセルを絶対に許さない一点張りで、大雑把な地図が草を生やす倉庫にて他愛なく繰り広げられる、牧歌的な大立回りに是非は果敢にスッ飛ばして遮二無二突入する頑強な構成は、それでもまだ御愛嬌。帝都大入試問題を巡る子供じみた攻防戦が気がつくと物語の主軸を担つてゐるうちに、覚束ない二番手に劣るとも勝らず心許ない主演―の筈の―女優が、何時しか忘却の遥か遠い彼方に蚊帳の外。時折思ひだしたかのやうに、美しいアンダースローのフォームにも似た、地面を掠めて観音様を仰ぐミニスカ×ローアングルの必殺画角を散発的に叩き込むのは兎も角、裕子が出し抜けなヨガで木に竹を接ぐのには頭を抱へた。ビリング頭に木に竹を接がせる、そんな画期的な映画見たことがない、忘れてゐるだけだとしても。紙一重で激越に惜しい御仁でないのなら、清水大敬の天才に疑問を差し挟む余地はない、あくまで紙一重の御仁でないのなら。
 それ、でも。まだまだこゝまでは、愉快にツッコんでゐられる安全圏。これからが地雷原、あるいは永遠に浄化されはしない絶対の汚染地帯。序盤で蓋の開いた地獄の底をも抜くのが、中盤の明美と江利子のギャットファイト。女同士で争ふキャットファイト、ではない、触れたか踏んだ者の悲鳴がギャーッと上がるファイトである。携帯を投げ壊された江利子が、明美に掴みかゝる。活性酸素の塊の肉塊が組んづ解れつする大激突改め点を足して太激突は、筆舌に尽くし難い醜悪さ。といふか、中村京子と三橋理絵のゴアな争ひに言葉を費やすのも最早馬鹿馬鹿しい。常々いつてゐるが、当サイトは今既にあるこの世界が素晴らしいとも、あるがまゝの人生が美しいとも一欠片たりとて認識してゐない。江戸川乱歩いはく、「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」。現し世が現にゴミ以下であるからこそ、夜の夢とそれに準ずる創作物ないし思想の類に、清純な真実を求めるものである、汚らはしい映画を見せるなドアホ。おぞましい映画が見たいか観たいのなら、こゝにあるぞ。もう中村京子が服を着てゐてもムチャクチャで、幾ら清大のブルータル演技指導の存在も幾分は予想され得るとはいへ、へッべれけなハイテンションは泥酔を疑ふどころか、もしかしてこのBBAキマるか壊れてねえかと首を傾げるレベル。そもそもオーピーもオーピー、荒木太郎の梯子を外す暇があるのなら、斯くも悪い意味で攻撃的な代物買取拒否してしまへ。ついでで、相思相愛ながら健二が高校生の美由紀を妊娠させてゐるのは、それは大蔵レイティングには抵触しないのか。てつきり加藤義一が雌雄を決したものかと思ひきや、2019裏ランキングが群雄割拠すぎて眩暈がする。交通費込みで身銭を切り、KMZには悪いが木戸銭を落としてゐなくて寧ろよかつた、怪我の功名とは正しくこのことである。

 先に軽く触れた、通算第八作「双子姉妹 淫芯突きまくり」(2002/主演:安西ゆみこ)から「肉隷従縄責め」まで六年空いた、監督キャリアの空白期間。清水大敬はその間演者としての活動も、「団地の奥さん、同窓会に行く」(2004/監督:サトウトシキ/脚本:小林政広/主演:佐々木ユメカ)くらゐしか見当たらない、何か別の仕事でもされてたのかな。
 もう一点、専ら照明部の印象が強い大久保礼司の撮影部は、確認出来る範囲で国沢実2001年第二作「プライベート・レッスン ~家庭教師の胸元~」(脚本:樫原辰郎/主演:南あみ)での撮影部セカンド、の後に、一般映画「ストーンエイジ」(2006/監督:白鳥哲)の撮影監督があつた。元々は撮影部志望から、照明部に転向したとの来歴。


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 「やらしいボディー 穴が性感帯」(1992『巨乳 くらひつく』の2006年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀・藤村薫/撮影:河中金美・青木克彦・三木貴文/照明:秋山和夫・石田政慶・上妻敏厚/助監督:青柳一夫・高田宝重/制作:鈴木静夫/音楽:藪中博章/編集:㈲フィルム・クラフト/ヘアメイク:木下浩美/スチール:岡崎一隆/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/挿入歌:『愛人形になりたくて』作詞・作曲:西本浩士 編曲:青山しおり 歌:吉沢あかね プロデュース:芳井修《フリー・ビー》/出演:吉沢あかね・今井聖子・千明誠・杉本まこと・久須美欽一・芳田正浩・山本竜二・稲吉雅志)。出演者中何故か久須美欽一と、稲吉雅志は本篇クレジットのみ。稲吉雅志は兎も角、久須美欽一の名前が元版ポスターには載るのに。しかし殺風景な元題に劣るとも勝らず、ぞんざいな新題は流石にどうにかならないのか、即物性とへべれけさを履き違へてゐる。
 ぎこちない面相の主演女優が、縞馬柄のビキニで心許なく撮影中。スタジオにはカメラマン・鈴木仁(久須美)のほか、業態不詳の「ナチュール」社偉いさんぽい鍋田英一(何か日焼けしてる杉本まこと)と、もう一人ナチュール社員の中原あけみ(千明)が現場の様子を見守る。女子大生の吉沢あかね(ハーセルフ)はナチュールグループが総力をあげ展開する「ナチュラルセクシーキャンペーン」で優勝、ポスター撮影に続き写真集とレコーディングまで既定であつたが、当の本人は未だ自信を持てずにゐた。鍋田から適当に励まされ、照れ笑ひをぼんやり浮かべるあけみの、巨乳にくらひついた画を止めてタイトル・イン。
 サクサク配役残り、「ナチュラルセクシーキャンペーン」決勝のテレビ放送、を録画したもの―実況の主不明―を見る芳田正浩があかねには無断で、キャンペーンに応募した彼氏・藤原宏。シャワーを浴びたあかねの乳を揉みつつ、「このオッパイがテレビに映ると思ふと興奮しちやふな」。底の浅さまで含め、清々しい名台詞。限りなく水着に近いボディコンの今井聖子と山本竜二は、あかねのルームメイトで日々奔放な男遊びに耽る野村美香と、そのセフレ・梶原洋一。朝帰りをあかねに難じられた美香が、「自分を売つてゐる訳ぢやないもん」とド正面から性の商品化批判。ボサッとした表情をしてゐるかに見せて、剛球火の玉ストレートを常時どかんどかん放り込む。基本男優部絡み要員の山竜も、美香に“男の本音”とやらを開陳する形で、「大人しくて自分のいふことを何でも聞いて呉れて」、「体がよくてオッパイに顔を埋めたくなるやうな女が一番いゝんだよ」なる大真理をサラッと撃ち抜く、生きよ堕ちよ。そして純然たる繋ぎのカットに飛び込んで来る稲吉雅志が、美香のセフレ弐号機。体型から表情から髪型から服装から、何ッから何まで頑強に百発百中外さないアイコニックなおたく風貌。
 ごそごそしてゐた物の弾みで、ソクミルに浜野佐知の未見作が二本眠つてゐるのに辿り着き、すは色めきたつた1992年第一作。ザッと見渡してみて佐藤寿保や、西村卓もあるのにはときめき通り越して轟きを禁じ得ない。あと今上御大も二本、随時出撃する、ドロップアウト・ゴーズ・オン。
 自失するあかねに軽く手を焼き、鍋田とあけみに鈴木も交へての四者面談。鍋田と目配せを交したあけみがやをら尺八を吹き始め、当然度肝を抜かれるあかねに対し、鍋田いはく「人並みの羞恥心は捨てないと一流にはなれないんだよ」。何の一流かといふ底の抜けた方便を有無もいはさず畳みかけ、「女のセクシーさは、一度奴隷として男に仕へないと出て来ないもんだよ」。とかいふ流れで突入する一週間の奴隷合宿に当然あけみも加はるのは、力任せの超展開に、三番手を思ひのほか自然に回収してみせるどさくさ紛れの妙手。前後して、あかねが自分だけのものでなくなりさうな流れに動揺する宏を、美香は―男が女を―“励ましてるうちは手の中”、“そこから本当に飛び立たうとすると男は反対”すると、諭すやうな顔で何気に叩きのめすのも地味な見所。黙つてゐるとまだ漫然としてゐるだけで済むものの、一度(ひとたび)能動的に起動するや下品さが爆ぜる以前に、隈が酷くとかく表情の覚束ないビリング頭を余所に、何れもパッと見垢抜けない、二三番手が寧ろ安定。当サイト選日本一の濡れ場師・久須美欽一を温存した上でなほ、裸映画的には終始強靭なテンションを保ち続ける。宏との事後、再び風呂場に立つたあかねがしやがみ込んでフローバックを流し観音様を洗ひ清める、案外見ないショットなど激越にエロくて素晴らしい。最終的に、あかねは鍋田らの思惑を超え明後日に開花。水着グラビアで十分なのに自ら片乳放り出すに及んで、匙を投げたナチュールはあかねをプロジェクトの途中で放逐する。解き放たれたあかねが、劇中用語ママで“四十八手のマドンナ”として世に討つて出る爽快なラストは、アタシの主体性を断固としてアンタ達になんか明け渡しはしない、鉄の志向に支へられた天文学的な試行の果て強靭に鍛へ抜かれた、旦々舎の絶対にして磐石の着地点。だ、か、ら。これがガールズ・ムービーでなくして果たして何なのかと常々首を傾げるものだが、全体世間は何時まで浜野佐知に追ひ着かぬつもりなのか。方法論の全く異なる、MTV文化とのいはば異種格闘技戦ゆゑある意味仕方のない負け戦ともいへ、吉沢あかねがれつきとした持ち歌を披露する、最早伝統的に映画の急所たる言葉を選べば牧歌的なライブ・シークエンスはこの際あばた、もといえくぼみたいなものだと、生温かく迎へる方向で。

 愛人形を“アイドル”と読ませる挿入歌は、今作封切りの五ヶ月後に発売された、同タイトルAV(監督:いとうまさお)の主題歌。トラック自体のダサさはさて措き割と形になつてゐなくもないのが、吉沢あかねはデビュー前の高校在学中に、レトロニムで地上アイドルのオーディションに合格してゐたとの来歴。


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