真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「大淫乱・欲情交尾」(1993『本番実技 裂けちやふ』の2008年旧作改題版/企画:セメントマッチ/製作:オフィス・バロウズ/提供:Xces Film/監督:池島ゆたか/脚本:五代響子/撮影:下元哲/照明:隅田浩行/編集:酒井正次/助監督:高田宝重・梶野考/撮影助手:中尾正人・釣崎清隆/照明助手:広瀬寛巳/出演:石原めぐみ・征木愛造・杉下なおみ・平賀勘一・山本竜二・神戸顕一・林由美香/特別出演:杉本まこと・山ノ手ぐり子・柴原光、他一名)。実際のビリングは、神戸顕一と林由美香の間にポスターには載らないカメオ勢を挿む。それにつけても、己のメモが読めなくて頭を抱へる。それは兎も角先に触れておくと、『女優 林由美香』によれば征木愛造は梶野考の別名義であるとのこと。
 タイトルとクレジットからイン、いきなり話が反れるが昨今、具体的には深町章の沈黙以来。オープニングにクレジットを持つて来る新作ピンクを、荒木太郎以外に随分と観てゐない気がする。エンド・ロールに残る余韻と同時に、始終を片付けるやスパッと振り逃げる鮮やかさも捨て難くはある。閑話休題、二人で家出して来た石原めぐみと林由美香は、さりとて先立つものもなく中年男・土屋(平賀)を相手に二対一の援助交際を仕掛ける。絶倫の土屋が、二開戦以降の戦意マンマンであるのに食傷した二人は、シャワーを浴びる隙に財布を盗み逃げる。自販機前で祝杯を挙げる石原めぐみと林由美香は、釣り銭を漁る征木愛造と出会ひ、征木愛造が寝泊りするガレージに転がり込む。ミドリと名乗つた征木愛造に対し、石原めぐみはコトリ、林由美香はアソビと名乗る。悪くはないが、女の子がその場で思ひつでいたにしてはリアリティーもない。ざこ寝の夜、傍らにアソビがゐるにも関らず、ミドリはコトリを抱く。翌朝、ミドリがカッパライで食料を調達して来る三人の新生活。懐かしの雪印乳業の名作アイスクリーム「バニラブルー」に舌鼓を打つてゐると、ガレージの大家(山ノ手ぐり子=五代響子/現:五代暁子)が家賃の催促に現れる。催促されたとて振る袖のないミドリを見かねたコトリは、土屋から奪つた―アソビと二人のものである筈の―金の中から家賃を払ふ。コトリの勝手に腹を立て、アソビはミドリのガレージを飛び出す。
 配役残り、登場順に山本竜二は独り、あるいは一人立ちしホテトル嬢になつたアソビの客・飛田。広瀬寛巳は、コトリの発案でミドリが仕掛ける美人局、ですらない子供染みたハッタリにひつかゝる助平男。カズオと本名で呼びかけギョッとさせる柴原光は、ミドリの高校の同級生・真一、目下嫌味な早大生。池島ゆたかは、家出したカズオを連れ戻しに来た父親、「母さん泣いてるぞ」の台詞も既に披露、征木愛造と柴原光が三貝豪と久保田泰也に相当する関係性同様、「ホテトル譲 悦楽とろけ乳」(2012/主演:周防ゆきこ)と限りなく殆ど同一の役柄であるのには軽く驚いた(注:末尾に付記あり)。池島ゆたかの運転手か執事・タカギは高田宝重、となると特別出演最後の一名が、共に台詞も与へられる広瀬寛巳と高田宝重のどちらになるのかは不明。確か何れの名前でもなく、その他に目立つた頭数は見当たらなかつた、と思ふ。神戸顕一は、神戸顕一もホテトル嬢になつたアソビの客・水野。今回初めてこの期に気づいたが、今作を観てゐるとサーモン鮭山の粘質的なメソッドは、実は神戸顕一がとうの昔に完成させてゐたものであるのがよく判る。杉下なおみは、公園で寝泊りするコトリを保護する梓。杉本まことは、空気を読み捌けるコトリといい感じで擦れ違ふ、梓のいい人、色男。「ハハーン」といふ風情のコトリと、怪訝な杉本まことが交錯する一幕はさりげない名場面。
 家出少女アンド家出少女・ミート・家出少年、池島ゆたか1993年全六作中第三作、薔薇族を入れると全七作中第三作。青森から華の大東京に飛び出した、コトリとアソビが謳歌する自由と、やがて否応なく直面する憂世。二人の少女を照らす光は元より呑み込む闇をも、ロマンティックに描き出した池島ゆたかと同時に、林由美香にとつても初期代表作。を期待して、小倉にまで足を伸ばしたものだが、一言でいふとさうでもなかつた。素材からファッションから何から何まで、ミドリのレス・ザン・魅力に関しては、演出部免責も加味してここは忘れる。コトリとミドリとアソビが、コトリとミドリ、とアソビに別れるまではひとまづ十全。ところがそこから、山竜や神戸顕一とコア客に縁のある点を除けば、アソビは案外ホテトル稼業に水を得たやうに見えなくもない。加へて激しく疑問なのが、ミドリも連れ戻された上でのコトリの去就。何の意味があるのかは尺の都合で削られたのか、残された本篇からは薮蛇であるやうにしか思へない梓のニューハーフ設定については、三番手特権も踏まへさて措く。我ながら理由になつてゐないがそれもさて措いて、扮装の酷似した別人ではなく、まさかのそのまんまなラスト・シーンには、あまりの間抜けさに逆の意味で吃驚した。首にかけられた縄の、締まる暇もない。結局、ある意味“衝撃のラスト”のプリミティブさにそれまでの全てがフッ飛ばされてしまひ、言葉を選ぶ労力も失へばいはゆる珍品といふ印象が最も強い一作である。

 付記< 一旦脱肛、もとい脱稿後、ツイッター上で池島ゆたか御自身が明らかにされたところによると、「ホテトル譲 悦楽とろけ乳」は、アソビのその後を描いた今作の続篇であるとのこと。となるとトレースしたかのやうなカズオ父親の役柄は、アソビが図らずしてコトリと同じ運命を辿る、明確に意識した趣向といふ次第なのであらうか
 再付記< カメオ隊のトメは、高田宝重変名の的場研磨かも
 ある意味“衝撃のラスト”< アソビを抜いた形の完コピで、コトリがミドリと再会


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 「小悪魔の欲望 暴行体験」(1991『制服暴行魔 放課後狩り』の2013年旧作改題版/製作:新映企画《株》/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:夏季忍/企画:伊能竜/撮影:千葉幸男/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/助監督:青柳一夫/音楽:レインボーサウンド/監督助手:毛利安孝/出演:冴木直・高樹麗・白戸好美・石神一・工藤正人・久須美欽一・一の瀬まみ)。千葉幸男と併記される、撮影部チーフをロストする、手前のメモが読めん。企画の伊能竜は向井寛の、脚本の夏季忍は久須美欽一の変名。
 句読点やてにをはの類はあやふやだが、“この映画は都内世田谷で起きた一連の事件を元に構成し製作したものです”とするコンセプトを、字幕で言明してタイトル・イン。今作に限らず、思ひ出したやうにわざわざ取つてつけるといふことは、この手の謳ひ文句により煽情性を惹起される観客の存在が、一定数想定されてゐるからなのであらうか。個人的には別に興奮しはしないけれども、如何にも心の込められてゐない感じが、量産型娯楽映画的である意味麗しくもある。
 夜道を歩く制服姿の女子高生・池山涼子(冴木)に、セドリックが忍び寄る。顔をサングラスとマスクで一応隠した工藤正人が、涼子を薬で眠らせ拉致、非情の中出しレイプする。新映物産に勤務する黒崎明夫(石神)が、涼子のバイト先に電話を入れる。休んでゐたため、自宅にかけてみる。涼子はレイプされたとも当然いへずに、気丈に茶を濁す。新映物産社内、上司の木田政道(久須美)が、黒崎とこの人も新映物産社員・本多梨沙(一の瀬)との仲を気にかける。一人になつた黒崎に、梨沙が詰め寄る。何処でどう捕まへたのか、黒崎が女子高生の小娘に心を移したのを、何処でどう辿り着いたのか梨沙は知つてゐた。
 配役残り高樹麗は、黒崎が木田の指示で会ふ、オリエント企画の河合美奈。二人が中にある喫茶店で話をしようとホテルに入るのを、黒崎を尾けてゐた梨沙が憎々しげに見やる。梨沙が河合美奈と名を書いた紙にダーツを投げる物騒な一幕挿んで、美奈に黒崎の使ひの者を装つた、髪を下ろすと印象がドラスティックに変る工藤正人が接触、矢張り薬で眠らせた後、山中で強姦する。白戸好美は、涼子の同級生・木田由貴。黒崎ほどではないにせよ、この人も彼氏は少し年上。東南薬科大学に通ひ、親に買つて貰つたセドリックを乗り回す平井透(工藤)と由貴は付き合つてゐた。
 久々の新映企画戦、新田栄1991年全十一作中第三作。車中にて美奈が平井から勧められる缶コーヒーが、ステイオンではなくプルタブ式なのが妙に新鮮に映る。器用に狭い劇中世間で、連鎖する暴力。黒崎が一息つく休憩室に、梨沙が一々ノックして入る―そこが黒崎のオフィスなのか―程度をピークに、ツッコミ処は爆発力に欠き、自分で脚本を書いておいて、木田が出て来る度に似たやうな会話しか交さないのと、ケビン・ベーコン風にいふと暴行魔ナンバーが最大の者でも2に止(とど)まる肝心要の梨沙と平井の繋がりがよく判らないこともあり、展開はキレを欠く。挙句に大らかな野外プレイを繰り広げる美奈は兎も角、涼子と梨沙に関しては清々しく同じ段取りを繰り返してみせる、裸映画としての構成すら逆の意味で綺麗に工夫を欠く。無い無い尽くしの一作ではありながら、面子のルックス含め、適度に古びた映像はそれなりに味はひ深く、終に喪はれてしまふ前に、その貧しいのか豊潤なのかよく判らない愉悦に身を浸す意義は、確かにある。


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 「巨乳露出 たわわ搾り」(2012/製作:多呂プロ/提供:オーピー映画/監督・脚本:荒木太郎/原題:『ポンコツヒロイン』/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/音楽:宮川透/助監督:金沢勇大/撮影助手:下垣外純・佐藤光/編集助手:鷹野朋子/タイミング:安斎公一/協力:小林徹哉・上野オークラ劇場/出演:初見果梨奈・愛田奈々・水沢真樹・野村貴浩・小林節彦・牧村耕次・那波隆史)。演出助手をロストする、今回はクレジットに問題があるのではなく、小生が素直に情報量とスピードに屈した。
 初見果梨奈の白黒スチールに乗せて、スタッフ・キャストの順に先にクレジット。最後に、アッカンベーでタイトル・イン。ジュン(初見)はヒモの兼松俊樹(野村)に客(荒木太郎/声だけ)を取らされる生活に嫌気が差し、何時まで残すのか上野オークラ旧館を飛び出す。兼松に追はれ車に轢かれかけたジュンを、通りがかつた作家―但し目下大絶賛リタイア中―の立杉和平(那波)が、頭を抱へたくなるカット割で助ける。和平に一目惚れしたジュンは、兼松を車に突き飛ばし和平の後をついて行く。御礼の一戦交へた事後、和平に宇都宮で親から地盤を継いだ町会議員の兄・勇平(小林)の妻・かなえ(水沢)から電話が入る。因みにピンク第六戦となりいよいよ安定感を増す水沢真樹は、初めての関根組からの外征。観念した和平は、ひとまづ宇都宮に帰る。但し、兄宅の屋上に寝泊りする和平の生活空間のロケーションは、相変らず旧館屋上。この手の不自然を詩情と履き違へる荒木調ならぬ荒木臭も兎も角、宇都宮には雨が一滴も降らないのか。下腹の肉が正直キツい愛田奈々は、和平の小説に興味を持ち、パトロンを申し出る大学準教授・三浦千歳。劇中では頑なに“準教師”といふ珍用語を使ふのが、“殉教師”に聞こえて実に居心地が悪い。準教師て何だ、実習生か?牧村耕次は、和平と懇意の画廊オーナー・木島啓介。少し今作の方が狭く見えるけれども画廊の物件は、映画の力を信じてゐない「義父相姦 半熟乳むさぼる」(2010/脚本:荒木太郎・三上紗恵子/主演:早乙女ルイ)に於ける、岡田智宏と吉岡睦雄が同居する居室と同じ物件?千歳の色香に点火された和平が、禁酒も断行し新作の執筆に取りかゝる中、和平の旧作に登場する木島のギャラリーを頼りに、ジュンも宇都宮に入る。そこまでしたなら、宇都宮オークラにも顔を出せばいいのに。撮影で営業に皺が寄るのを渋つたのか、初めから声をかけてゐないのか。
 2012年第四作「乱交白衣 暴淫くはへ責め」(主演:愛田奈々)・2013年第一作「熟女どスケベ不倫」(主演:綾乃さえ)に遅れて漸く着弾した、荒木太郎2012年第三作。「暴淫くはへ責め」と「熟女どスケベ不倫」で一皮剥けた感が何となくあるだけに、注目して小屋の敷居を跨いだものである。和平の帰郷後、殆ど忘れかねない勢ひの暫し退場。適当な相手が見当たらない以上仕方もないのか、ジュン宇都宮上陸後、適当なタイミングで放り込まれる矢張り声のみ聞かせる荒木太郎をクライアントに、公開題には即してゐる反面物語的には唐突極まりない野外撮影。主演女優のぞんざいな扱ひに目を瞑れば、和平は突つ込む千歳との恋路の行方に、ジュンが干渉する本筋の骨格はひとまづ安定してゐなくはない。今回何故か、妙に那波隆史の口跡が軽快で、更にそれを牧村耕次が巧みに加速する和平と木島の遣り取りは、有効なアクセントとして展開と女の裸の合間を繋ぐ。これは荒木太郎の快調は、今作が起点なのかと喜びかけたのも束の間、木端微塵に仕出かすのは例によつて三番手起用法に関して、逆の意味で流石とでもしかいひやうがない。三上紗恵子が居ても居なくても、要は関係ないのか。和平の新作は出版にまで漕ぎつけるものの、元々その気はない千歳との蜜月は終る。そこからジュンを挿んでおいて、浮気の現場を目撃したかなえ(不倫相手の金髪不明)と和平の絡みを、選りにも選つてこの期ならぬ終盤に及んだこんなところに置く理由が全方位的に判らない。一息にジュンと和平を片付けてしまへばいいものを、那波隆史に女優部三冠を無駄に達成させる意味が何処にある。水沢真樹の濡れ場はおとなしく小林節彦を介錯役に、もつと早い時点でどうにでも消化出来た筈だ。大体が兄夫婦の不仲設定は、展開上特にも何も機能してゐない。そんなに始終の円滑な進行と、それによつて喚起される観客のエモーションとを妨げるのが楽しいか。腹立ち紛れに截然と筆を荒げるが、荒木太郎は何年ピンク映画を撮つてゐるのだ?オーラスを車を新調したキャラバン野郎風に仕上げてみせるのは、正しく木に接いだ竹といふか、そもそも林由美香を知らない世代のニュー・エイジ・ピンクスに、湖畔に停まるライトバンのショットなんて効かないぞ。


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 「痴漢の指 背徳の美人秘書」(1998/製作:ジャパンホームビデオ株式会社・新東宝映画株式会社/配給:新東宝映画/監督:神野太/脚本:竹橋民也/プロデューサー:衣川仲人・黒須功/撮影:中間政治/照明:斉城優/録音:福島音響/美術:ウエスト・ビレッジ/編集:酒井正次/助監督:広田幹夫・石川二郎/撮影助手:岩崎智之/衣裳:小谷幸子/メイク:中谷圭子/スチール:澤田豊/音楽:中西龍夫/制作主任:高木厚太郎/制作進行:大西裕・中村和樹/制作協力:東映化学・報映産業・日本映機・亀有名画座・ラストショーカンパニー・黒須功商店/出演:里見瑶子、江端英久、新納敏久、佐々木ユメカ、七瀬ミオ、宇佐美博、ダニエル・ラッソン、野呂瀬初美、西将司、松木良方、荻原賢三)。出演者中、新納敏久は本篇ママ、げにフリーダムな世界よ。
 タイトルからイン、早朝の東亜商事社長室。社長秘書兼愛人の柏木美保(里見)が、社長(暫く声しか聞かせない荻原賢三)に米企業トライスター・コンピューターと契約が纏まりさうな旨を報告する。ホテホテ歩く、婦女暴行で五年喰らひ出所したばかりの有田研(江端)。五年お勤めして、御上から頂戴した小銭は四千百十六円。「アホか」と研が呆れる台詞で、この映画を過去に小屋で観てゐたことを思ひ出したが、その後の展開は全く覚えてゐなかつた、寝てたのかも。また値上がりしたことに文句を垂れつつ研が買ふタバコはショッポ、これは神野太のこだはりなのか。その日は帰宅を許された美保と、研が同じ電車に乗り合はせる。混雑に押され美保に密着する格好となつた研は、「女!」と叫び射精する。一旦下車、手洗ひに退避した美保が再び揺られる電車に、研が乗つて来る―しかも美保が座る座席直近のドアから―間抜けで不自然なシークエンスが、以降全篇を貫き倒す無造作の初手。研はマンションまで美保を尾行、したかと思へば、美保の部屋に二人組の刑事がやつて来る、そんなに竹を接ぐのが楽しくて楽しくて仕方がないのか。
 松木良方は、二年前に綾瀬で強盗殺人を犯し逃亡中の大貫道夫(敏正ではなく新納敏久?)を追ふ刑事、ニックネームは“山さん”。何だその、コントばりのクリシェは。金髪ならぬ金八ヘアーの、連れの若い刑事は不明、宇佐美博と西将司が特定出来ない。山さんと金八が美保を訪ねた理由は、大貫が美保の部屋の上階に住んでゐたから。住所まで掴んでおいて、どうして人一人捕まへられない、大貫は範馬勇次郎なのか?山さん金八来訪後、外出した美保の、後を尾ける研に、ほかでもない大貫が車から声をかける。大貫は、研の兄貴分であつた。山さん曰くの、大貫は慎重な男だとかいふ属性は何処の一昨日にケシ飛んだんだよ。昨日の今日どころの騒ぎではない、正しく舌の根も乾かぬ今し方だ。とかく過密に、ツッコミ処だけには事欠かない。頼むから、欠いて呉れ。
 隈ないへべれけ禍を唯一免れ、自分の出番は全うした感のある佐々木ユメカは、大貫の情婦・小百合。小金井で自身と同じ名のスナックを営むが、因みに物件的には仮称摩天楼。終盤に飛び込んで来る七瀬ミオは、テレクラを介して大貫に十五万で雇はれる、両刀使ひのJK。造形は適当ながら、濡れ場要員の用兵としては悪くない。ダニエル・ラッソンは、仮契約を結ぶ為に来日するトライスター・コンピューター社の、ジョブズならぬジョーンズ社長。ところで、「甦へる金狼」(昭和54/監督:村川透/主演:松田優作)のサントラ、一曲作詞にクレジットされるダニエル・ラッソンは、この人と同一人物なのか?野呂瀬初美は、萩原社長と美保が、ジョーンズ―と通訳のオッサン―を招く料亭といふよりは温泉旅館か、「柳」の女将。オーラスに登場するDKは、金八と同じ理由で西将司か宇佐美博?
 1991年エクセスからデビュー(『若奥様不倫 わいせつ名器』/未見)後、四年空いた第三作「本気汁たれ流し」(1995/脚本:上野由比/主演:宏岡みらい)から更に三年ぶりとなる、神野太の新東宝全三作初戦。少なくとも新東宝に限定しては、神野太が新作ピンク映画を撮る可能性はないと断定しても問題あるまい。電車の中で男が女に痴漢する以外には一欠片も物語は連関しないものの、本作にはナンバリングされた第二作「痴漢の指2 不倫妻みだらな挑発」(1999/脚本:竹橋民也/主演:勝虎未来/裏主演:小沢仁志)が存在する。ピンク映画史上最強のシークレット・カメオが大暴れするにしても、本筋本体は平凡な出来栄えの2に劣るとも勝らず、無印ワンは大雑把に次ぐ大雑把の合間合間に、ダッサい遣り取りが火にガソリンを注ぐのも通り越し止めを刺す、逆の意味で妥協知らずの木端微塵作。お願ひだから、そのベクトルに関してはどうぞ妥協して下さい。スーツも着ずに東亜商事に侵入―警備員仕事しろ―した研は、二度目に急襲した美保を、ボイラー室系のありがちなロケーションに連れ込む。“痴漢は姿を見せない”―その時点で既に黙れ―と目隠しして事に及んだ事後、チャッチャと離脱しようとする研に、美保が言葉を投げる。「何処へ行くの?」、「痴漢は謎めいてた方がいい」。「私の体だけなの?」、「それより確かなものなんてあるのかい?」。「貴方つて悲しい男なのね」、「だから痴漢なのさ」。うるせえよ、クッサい台詞を練る前に、整へないかん段取りが唸るほどあるだろがよ。スナック「小百合」にまで山さん―と金八―に押しかけられ、捜査の網の目が迫るのを実感した大貫は高飛びを決意。纏まつた金が要ると、研発美保経由で東亜商事に狙ひを絞る。三番手が裸だけ見せると退場する姿はある意味麗しい、変則ハニー・トラップを経て、無理矢理脅迫されたものかと思ひきや、よもやのヘアピン大翻意。粗雑が頂点に―底だ―達する無体なクライマックスを強行突破、尺が一割増の六十七分あるのをいいことに、この期に叩き込まれるナイーブなラストが、観客ないしは見る者の尻子玉を抜く一作。「だから痴漢なのさ」の決まらない決め台詞はウッスラ記憶の片隅にあるやうな気もしないではないが、大部屋外人が出て来る辺りからは完全に初見の感触なので、恐らく当時小屋では寝落ちてゐたにさうゐない。寧ろさうあるのが、せめてもの最たる次善策であつたのだ。


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 「SEXドリーム 24時」(1990/企画・製作:NTP/配給:大蔵映画/監督:西川卓/脚本:北町一平/撮影:小林啓次/照明:N・K・Fグループ/編集:酒井正次/助監督:夏季忍/音楽:ド・ビンボ/撮影助手:福島香/監督助手:調布太郎/録音:銀座サウンド/効果:東京スクリーンサービス/現像:東映化学/出演:秋本ちえみ・橋本杏子・工藤正人・牧村耕治・朝田淳史・久須美欽一・山科薫・ゲンゴロウ)。助監督の夏季忍は、久須美欽一の変名。製作のNTPがニシカワ・タク・ピクチャーの略だとすると、照明のN・K・FグループのFはフィルム―フラッシュ?―として、Kが判らん。
 工藤正人が、秋本ちえみの臍を舐める。危険日ではないことを確認した上で開戦、女が二人の関係性を問ふ、他愛ない遣り取りを経てタイトル・イン。新宿歌舞伎町、チンピラの昌平(工藤)とカノジョの舞子(秋本)が、昌平の兄貴分・タツオ(牧村)、タツオとはほぼ同格と思はれる朝田淳史、それに便意を訴へてばかりで概ね役立たずのゲンゴロウの三人に追はれる。ひとまづ物陰に隠れると、舞子はククククッと笑ひ出す。残りの面子はほぼ全滅にせよ、秋本ちえみの表情を魅力的に切り取ることには、確かに成功してゐる。怪訝な昌平に対し、二人で人の車に忍び込んでシンナーを吸つてゐたところ、タツオにバイを手伝へと半ば因縁をつけられる回想を挿んで、昌平が囮に飛び出すと舞子再回想。ここでキヨシローのやうな傾(かぶ)いた扮装の久須美欽一は、二人が滑り台の上から見やる、電信柱が赤いのも、郵便ポストが高いのも社会が悪い系の泥酔ルンペン。
 改めて後述する理由で粗筋のトレースもそつちのけにその他配役、プリップリに若い橋本杏子は、昌平が舞子に公言した上で抱きに行くエイコ、喘ぐ以外には一言も喋らない。声は朝田淳史がアテる山科薫は、一方舞子が抱かれる、昌平よりもセックスが上手いトオル。
 ピンク映画chで橋本杏子を検索してみたところ、予想外の大蔵作が頭に出て来たことに驚きついでに辿り着いた、全く未知の監督・西川卓の1990年全五作中第四作、元々はカメラマンぽいことしか判らない。百聞もしてはゐないけれども、何はともあれ一見に如かず。昌平と舞子がタツオらから追はれる顛末が、何時まで経つても語られない中、特段の脈略もなければ、各々異常に長い回想の嵐が吹き荒れる、画期的に奇妙な作劇には激しく困惑した。何れも導入は丁寧なので、辛うじて劇中時系列が粉砕されないのが寧ろ不思議なくらゐだ。久須美欽一は賑やかし以外には何しに出て来たのか狂ほしく理解に苦しく、一緒に暮らす昌平が、「ただいま」と素直に帰宅したことに舞子が喰ひつくだけの件に、本筋の進行もホッぽらかして二分半を費やす匙加減にも呆れかけたが、匙を投げるのは些か早い。尺も折り返し地点を跨いだ後半、エイコとトオルの、純然たる大絶賛濡れ場要員たる二人と、昌平と舞子がそれぞれ一戦交へるだけの二幕に、計十五分を注ぎ込む怒涛の配分には度肝を抜かれた。それでゐて、何れもエモーショナルな劇伴の効果的な選曲。二人手と手を取り車道を走つて逃げる舞子と昌平を、無音のスローモーションで追ふ荒業。更には舞子がゴミ捨て場から拾つた動かない時計を無理からな鍵に、右往左往に終始する薄い始終を、何故か最終的にはそれなりのロマンティックに落とし込むラストはある意味離れ業。ただ単に物凄く下手なだけに思へぬでもないが、ルーチンなのか意外とアーティスティックなのか一本だけだととてもではないが判別しかねる。全部で五作―DMMのピンク映画chに―入つてゐるやうなので、もう少し見てみよう。


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 「叔母と甥 溺れた恥縁」(2006/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:茂木孝幸/音楽:レインボーサウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/音響効果:梅沢身知子/製作進行:阿佐ヶ谷兄弟舎/出演:青山怜加・しのざきさとみ・風間今日子・津田篤・丘尚輝・本多菊次朗)。
 大学生の尾崎直也(津田)が三日前に胃潰瘍で入院した母親の見舞ひから帰宅すると、玄関には見慣れぬ女物の靴が。居間では父親の和也(本多)と、母親の妹、即ち直也からは叔母に当たる島谷由美子(青山)とが歓談してゐた、男所帯を見かねて手伝ひに来たといふ。実は秘かに、由美子は直也にとつて“特別な人”であつた。未だ就学にも至らぬ十五年前、叔母宅に泊まつた直也は、由美子と夫・紀彦(丘)の夫婦生活を覗き見る。以来直也は由美子に魅せられ続け、精通後はオナペット―劇中独白ママ―にしてゐたのだ。とかくこの手のピンク映画には、ペタジーニばりの頑丈な特殊性癖の持ち主が実に平然と登場する。紀彦は出張中、職場に自宅よりも近いといふことで、由美子は暫く尾崎家に留まることに。妙に嬉しげな和也も兎も角、直也が心中秘かに驚喜したのも束の間、母・千賀子(しのざき)が強制退院。どうも何事か因縁があるらしき由美子を放逐、直也を落胆させる。
 三番手が何時まで経つても出て来ないことにハラハラさせられる風間今日子は、共稼ぎをいいことに、紀彦が自宅に連れ込む不倫相手・沢井みどり。恋人を寝取つた姉の息子を誑し込む、ややこしい修羅場を迎撃する告白。徒に深刻な青山怜加の傍ら、津田篤としのざきさとみがボサッと座つてゐる弛緩したカットが別の意味で堪らない。
 リアルタイムでは取り零してゐた、新田栄2006年全七作中第三作。寝ても形状を記憶するプリップリのオッパイは絶妙にシリコソ臭く、綺麗な森羅万象といつた程度で決して美人ではないものの、風情は振り切れてエロい主演女優を擁し、熟女に若い男が溺れる即物的な煽情性の面に於いては何ら不足はない、実に安定した裸映画。反面、下手に纏まつた展開が派手に仕出かすこともないゆゑ、何処からツッコんだものか途方に暮れる楽しさには欠くともいへる。無闇な由美子の不幸自慢も、オーラス出し抜けに腹を括る地獄の業火にその身を焼かれる覚悟も、重さなり凄味には清々しく無縁の新田栄にはらしくない。良きにつけ悪しきにつけ軽く薄いのが新田栄の持ち味とするならば、この人の真骨頂は、尼寺映画の類の卓袱台木端微塵系を除けば、矢張り適度な微温湯加減が時には心地良い、温泉映画であるのではないかと、力説するほどではなく何となく感ずる次第。


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 「美人捜査官 中までさはる」(2000『女痴漢捜査官3 恥情のテクニック』の2013年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:渡邊元嗣/脚本:武田浩介/企画:福俵満/撮影:飯岡聖英/照明:伊和手健/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/監督助手:田中康文/撮影助手:岡宮裕/照明助手:広瀬寛巳/スチール:佐藤初太郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学工業/出演:蒼生侑香里・山﨑信・十日市秀悦・ささきまこと・中出一漏・飯田まさと・木村崇・西藤尚《SPECIAL THANKS》・佐々木麻由子)。出演者中山﨑信と木村崇が、ポスターには山崎信と木村まさと。だから、そこでまさとが二人並ぶのは不自然だろ。
 背中から強い光を当てられた影に沈み指開きグローブを装着した蒼生侑香里が、ルポライター・桑原(飯田)の車に乗り込む。ジャンヌなるハンドルでパソコン通信を介し桑原に接近した蒼生侑香里は、体を寄せる桑原の首筋にアイスピック的な得物を突き立て刺殺する。正しくヒット・アンド・アウェイと、蒼生侑香里が桑原の車を離脱してタイトル・イン。女痴漢捜査官のマキ(蒼生)と先輩の時子(佐々木)が、時子を餌に痴漢(不明)をトッ捕まへる。前作に引き続き、実際の痴漢捜査シークエンスは序盤ここでの一幕限り。恋人の矢口(中出)が捜査中に再起不能にされて以来囮痴漢捜査に身を投じたマキを、矢口とは同期でもある時子は心配さうに見守る。矢口は闇社会の顔役・伊勢(山﨑)をリーダーに、金貸しの油谷(十日市)、カウンセラーの初山(ささき)、そして桑原の四人が強姦裏ビデオを撮影し、その過程で一人のOL(死体スチールの女が判らん)を殺害した事件を追つてゐた。桑原に続き、マキは診察を受けるフリで半年前から通院してゐた初山も絞殺。時子との出会ひ等挿んで、五百万の借金をこさへた油谷の事務所に乗り込む。マキに追ひ詰められた、油谷の携帯に伊勢から電話が入る。すると激しく狼狽した油谷は暴れて逃走、すつたもんだの末に屋上から墜落死する。最終的に明らかになるその際の伊勢の一言が、単に気をつけろである点には画期的に拍子を抜かれる。
 配役残り、昨今の宮﨑あおい似の西藤尚は、定時になると中途の作業もホッぽらかして帰る初山医院の看護婦。巨漢×スキンヘッド×黒服サングラスの木村崇は、意識を取り戻したマキに大雑把な顛末を語る警視庁の人。
 m@stervision大哥が、“現時点で本年度の日本映画ベストワン”とまで絶賛しておいでの女痴漢捜査官シリーズ第三作。リアルタイムで観てゐておかしくない筈だがまるで記憶にない―結果的にも全く覚えてゐなかつた―ゆゑ、激しく期待して小屋の敷居を跨いだものである。さうしたところが、要は小生にとつての淫行タクシーみたいなものなのか、そこまでの衝撃は感じなかつた。蒼生侑香里は頑丈な目力は買へるものの、口跡はそれなりに心許なく、アクション的にも女松田優作を思はせる、第二作「バストで御用!」のピンク映画界の工藤ちやんこと工藤翔子を、完全に凌駕してみせるほどでもない。始末する相手に一々律儀に身を任せるマキが、伊勢に対し―女痴漢捜査官に志願したのは―「こんなことされても何も感じなくなるためよ!」と叫ぶ台詞は裸映画的には殊更魅力的である反面、それならば、時子だけでなく、マキが痴漢を誘き寄せる囮となる一幕も設けておいて然るべきではなからうか。ラスボスである伊勢の、更に向かうに居るもう一人はピンクの安普請の中では容易に透けて見え、マキを首尾よく眠らせておいて、そこからガッチャガチャにブレる行動は御都合的に解せない。ハード志向の全篇に清々しく親和しない、適当な劇伴の選曲も地味に響く。同じシリアス路線に於いても「バストで御用!」の方が面白くはないかと思へぬでもなく、如何にも陽性なナベシネマ・オブ・ナベシネマといへる第一作「女痴漢捜査官 お尻で勝負!」(1998/脚本:波路遙/主演:工藤翔子)こそを女痴漢捜査官のベストと推す立場に、当サイトは与するものである。え、「とろける下半身」て何それ、4まであるの?(´・ω・`)


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 「熟女の痴格 ピンク肌の色情」(1997『スキモノ熟女 ぬめり下半身』の2008年旧作改題版/製作:プロダクション鷹/提供:Xces Film/脚本・監督:珠瑠美/撮影:伊東英男/照明:矢竹正知/音楽:MRG/美術:衣恭介/編集:井上和夫/助監督:近藤英総/出演:平松ケイ・朝倉麻里・燕りか・鈴木秀和・樹かず・竹田雅則)。出演者中、それぞれ英和と正則ではなく鈴木秀和と竹田雅則は、ポスター・本篇ともママ。一方、朝倉麻里と燕りかは、ポスターには浅倉麻里と燕リカ、どうしてそんなに自由なのか。
 重役にしては随分と若い、アメイジングに若過ぎる山川証券常務の香取弦作(樹)と、秘書、兼愛人である木村綾子(燕)の不倫の逢瀬で開巻。綾子から本妻の清算を求められた香取は、既に話はついてゐると今でいふドヤ顔で電話、寝てゐる一応妻・衿子(平松)を叩き起こす。すると屋敷と株券、所定の条件に満ち足りず衿子は一千万を上乗せして要求。呆れる香取に対し、綾子が自らが管理する裏帳簿から工面することをシレッと提案してタイトル・イン、何処の個人商店だ。それとも、世の中案外そんなものなのか?
 オープニング・ロール通して公園で待ち合はせた衿子と綾子が対面、一千万の小切手と、判を押した離婚届とを交換する。劇映画としての体を成してゐたのは、精々この辺りまでか。出演者残り登場順に、実際のビリングが男優部先頭に来ることに地味に驚いた鈴木秀和は、衿子御用達のオートクチュール下着メーカー「クレセント」の営業・松川六郎。朝倉麻里は衿子の母方の従姉妹・吉井百合で、竹田雅則はその彼氏・逢坂義雄。今作最大のミステリーは、逢坂を伴つた百合がサクサク通り過ぎようとする衿子に目を留める件の直前の、「アルファ」とかいふ店にて、平松ケイでも朝倉麻里でも燕りかでもない美人―敢て誰かの名前を出すならば早乙女ルイ似―がタバコを吸ひながらカクテルを傾け、従業員がルーレットを回す謎の2カット。だから誰なんだそれ、妙に周到にフィーチャーされるアルファがどうしたのよ。その疑問が、解消されることなど終ぞ勿論ある訳がない。百合が出て来た時点で、アルファの女は居る筈のない頭数なのだ、どうしてそんなに奔放なのか。
 最終作一本前となる、珠瑠美1997年第一作。闇雲にグレードの高い劇伴を本篇とは掠らせもせずに放り込み続ける魔選曲、異常に長尺を浪費するロンゲスト・フェードの乱打、そして満足どころか全く成立しない起承転結。相変らず正体不明の領域から何時も通り微動だにしない、珠瑠美の不可思議な安定感。頼むから、あの珠瑠美が!と一度くらゐ驚かせて貰つて全然結構なのだが。中盤終電を逃したと衿子邸に転がり込んだ百合は兎も角、連れの逢坂が序盤に街中で偶然顔を合はせてゐる筈なのに、衿子と初対面の如く会釈を交すカットには別の意味でクラクラ来た。それと、今回通算十七戦目にして初めて気付いた更なる珠瑠美作の特徴は、本はおろか粗くすらない筋でさへ清々しく存在しないその癖、ヒロインのモノローグ中に“その”だの“あの”だの代名詞が矢鱈と多い。“あの”といはれてもどのことなのだかまるで見当がつかないので、そもそもの五里霧中が、更に一層煙幕の向かうに霞む。といふか、殆どジャミングである。改めていふが、そこだけ注視すると裸映画的には決して悪くはない仕上がりゆゑ、この人の映画は、日本語が判らない人が観た方が寧ろ楽しめるのではなからうか。超長フェードには、矢張り面喰ふにしても。


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 「ねつとり妻 おねだり妻」(1997/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:江戸去里晩/企画:福俵満/撮影:下元哲/照明:伊和手健/編集:酒井正次/録音:シネキャビン/出演:林由美香・青木こずえ・扇まや・樹かず・杉本まこと・池島ゆたか)。脚本の江戸去里晩てのは、一体誰の変名なのか。助監督も現像も割愛する豪快なクレジットは、本篇ママ。
 タイトルからイン、団地の外観を一拍抜いて、自販機とテーブルと椅子が殺風景に並ぶ、待合室の如き正体不明のロケーション。親友同士で、結婚四年共働きの中島久美(林)と、結婚三年こちらは専業主婦の植原か上原美沙(青木)がああだかうだと―元―ガールズ・トークに花を咲かせる。初めて気付いた、もしくは今の今まで素通りしてゐた己の迂闊さは一旦棚に上げ、何てこともない遣り取りでしかない筈なのに、林由美香と青木こずえの2ショットの磐石さが尋常ではない。この二人がキャイキャイ世間話してゐるだけで、丸々一時間全然イケる。
 開巻の締めに、久美が次の連休に向かふ予定の山梨温泉旅行に美沙夫婦も誘ひ、美沙と夫・コージ(樹)の夫婦生活挿んで、カット明けると久美の夫・シンイチ(杉本)運転するヒッチバック・セダンは一路山梨に。道中妙に思はせぶりなコージは立ち寄つた時折見かける果樹園にて、理想の人生とはマンガみたいなものだと薮から棒なメイン・テーマを投げる、メイン・テーマ?今回の宿は、御馴染み水上荘、ではなく廣友館。但し実際の撮影には、水上荘も併用してゐるやうな気がする。一行が適当に一息ついた頃合で、勝手に勃発する泥棒騒ぎ。アユミ(登場せず)のパンティばかり狙ふ下着ドロ・ひろぽん(まさかのヒムセルフ)を、廣友館の仲居にしては私服の従業員(扇)がトッ捕まへる。扇まやがひろぽんを喰ひかける現場に、騒ぎを聞きつけ顔を出した廣友館社長(池島)は、ひろぽんはチャッチャと追い払ひ扇まやを喰ふ。何が凄いといつて、この二人ともう一名が、メインのカルテットと絡むどころか一切擦れ違ひもしない、純粋無垢な濡れ場要員具合、別の映画をインサートしてみるのと何ら変らない。
 深町章1997年全八作中第三作にして、まづ小屋でⅡを観て、その後DMMのピンク映画chに入つてゐるのを知りⅢから見た後に、同じくDMM戦で漸く辿り着いた同年概ね三ヶ月毎に封切られた「ねつとり妻おねだり妻」全三作の第一作。ねつとり妻とおねだり妻の間にスペースが空くのは、本篇タイトルに従ふ。予習がてら紐解いた洋泉社の『女優 林由美香』には今作に関して、“林由美香が演じるのはセックスにはおとなしい「おねだり妻」の方”なる記述が見られる。となると元々は、“ねつとり妻”と“おねだり妻”がそれぞれ別個に出て来る趣向なのかと、改めてといふか今更ながら驚くと同時に、Ⅱ・Ⅲの再検討の要にも迫られかねないのかと幾分身構へた。いはれてみれば確かに、「ねつとり妻おねだり妻Ⅱ 夫に見られながら」(監督:的場ちせ=浜野佐知/脚本:山邦紀/主演:柏木瞳)に際しては“ねつとり妻”が柏木瞳で、“おねだり妻”は篠原さゆりの担当かと誘導され得なくもない。かといつて、現に本作の蓋を開けてみたところ、林由美香が“おねだり妻”で、“ねつとり妻”は青木こずえ。さういふ厳密な峻別が、図られてゐるやうには特にでもなく感じられない。冷静に考へてみれば、妻が夜の営みをおねだりする時は大概ねつとりしてゐるもので、同様にねつとりしてゐれば、自動的におねだりする風にも見えるものであらう。“ねつとり妻”と“おねだり妻”を分けて考へることに、然程の意味はあるまいと思はれる。そもそも、「ねつとり妻おねだり妻Ⅲ 不倫妻またがる」(監督脚本:珠瑠美/主演:風間今日子)には、現状原田なつみは未亡人につき妻は風間今日子の一人しか出て来ない。珠瑠美が福俵満の説明する企画意図をてんで聞いてゐなかつた可能性も、出来上がつた映画から窺ふ分には当然否定し得ないが。無印Ⅰ単体に話を戻すと、全篇を貫き繰り出され続ける他愛ない冗談の数々が、一幕一幕を特に豊かに彩りもしない中。何となく穏やかな濡れ場が連ねられた末に、そこに至る心的な推移は清々しくスッ飛ばした上で、コージの思ひつきも受けたねつとりとおねだりする妻二人が藪から棒に乱婚的な新生活に墜落ばりのハード・ランディングを敢行する結末は、扇まや+池島ゆたかwith広瀬寛巳のパート以上だか以下に、木に竹を接いだ大雑把さは比類ない。その癖、あるいは加へて。総尺も五十七分と六十分に三分余裕を残し、小家主を地味に喜ばせる割に、それでゐて尻切れた印象は不思議と残さない辺りは、何だかんだで深町章侮るなかれといふべきなのか。結果的に、物語的には最も意欲を見せた第二作にしても、心許ない主演女優に阻まれ開花し損ねたとあつては、わざわざナンバリングまでしておいて、直截に片付けると実に漫然としたシリーズではある。キジも鳴かずばではないが、どうせ各作中身は一切連関しないのだから、寧ろ連作になどしなければ下手に際立つ薮蛇もなかつたものを。とはいへ、量産型娯楽映画を本当に量産してゐた時代なればこその、余計な作為が生温かく微笑ましいとも、この期に及んではいへようか。

 何故か各種資料に於いては青木こずえの名前が先に置かれるやうだが、実際のビリングは、林由美香が頭に来る。尤も何れにせよ、扇まやの大絶賛三番手ぶりについてはいはずもがなとしても、二機編隊を組み華麗に舞ふ林由美香と青木こずえの扱ひに、些かなりとて格差が見受けられる訳では全くない。


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 「母と娘 よがり比べ」(2001『いんらん母娘 ~ナマで愛して~』の2013年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:武田浩介/企画:福俵満/撮影:清水正二/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/スチール:津田一郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:河村栞・佐々木ユメカ・佐々木麻由子・かわさきひろゆき・佐藤幹雄・なかみつせいじ)。
 元刑事の西村(なかみつ)は、丸腰のヤクザ者・尾崎(影も形も現さず)を殺害した罪で四年間服役。尾崎の情婦であつたのを事実上寝取つた格好の美雪(佐々木ユメカ)を伴ひ、出所した西村は死に場所を探し求めるつもりで故郷の山町に戻り、旧家民宿「水上荘」に逗留する。一方同じ山梨県甲州市は塩山、女遊びに明け暮れる夫に愛想を尽かし、平野直子(佐々木麻由子)は娘の亜弓(河村)を連れ帰郷。田舎の高校に馴染めず中退してしまつた亜弓は、夜の街で働き、父親と同じやうに客の男と遊んでゐる風にしか見えない直子の一見自堕落な姿にも思春期加速で過剰に反発、家を飛び出す。実は尾崎の敵討ちをする腹であつた美雪を一旦斥けた西村は山中、好きなだけ飲み食ひした後に首を吊るつもりであつた、亜弓と出会ふ。
 配役残り登場順にかわさきひろゆきは、直子懇意の客・斉木。いはゆるよくある話といふ奴で、直子は二人で開く店の資金にと、預金通帳を斉木に渡す。普段通りの佐藤幹雄なのに案外田舎町にも馴染む佐藤幹雄は、亜弓の―退学したゆゑ元―同級生・和也。
 深町章2001年全六作中第二作、最終的には袂を分かつた武田浩介を脚本家に擁し、各々居場所を失ひ偶さか巡り合つた少女と男に、思はぬ運命が悪戯する、新旧共々ヌルいタイトルには反し―といふか、公開題が反するな―正攻法のシリアスな一作。開巻最初の濡れ場直前に美雪が投げる、「ここがアンタの生まれ故郷か、誰か会ひたい人でも居るの?」といふ台詞が、ズバッと利いて来る終盤の大技は絶品。超絶の投球を放り込んだ、見逃し三振にも似た極上のカタルシスを味はへる。直子と西村がそれぞれ背負ふ人生の重さは、清水正二の熟練を借り一幕一幕に深みを与へる。そこまではよしとして、佐々木麻由子となかみつせいじ、脇を固めるのも佐々木ユメカや佐藤幹雄らを向かうに回し映画の看板を担はせるには、未完は未完にせよ大器の名には値しなかつた河村栞には、些か荷が重からう。やさぐれ少女気取りが、佐藤幹雄のメソッドに引き摺られてゐるやうにしか見えない。ラスト・シーンも娯楽映画に於ける拳銃信仰が、流石に無造作ですらある。それと地味なのか派手なのかもう一点、和也二度目の登場時が、最初とは別の日であることを示す手続きが亜弓の若干違ふ服装以外に存在せず、一手間足らぬ繋ぎは結構判り辛い。同年四ヶ月後の「トーキョー×エロティカ 痺れる快楽」(監督・脚本:瀬々敬久)を思ひ切つてピンク映画には含めないとすると、小川隆史が積年の若気を拗らせた「社宅妻 ねつとり不倫漬け」(2009/主演:小池絵美子)を除けば意外にも唯一となる麻由子×ユメカのツイン佐々木共演作は、それなりには攻め込めどそこそこのところで立ち止まりもする。

 尤も、麻由子×ユメカ初共演作とはいへ、劇中直子と美雪が顔を合はせるカットはない。リアルタイムに小屋で一度観たきりの「トーキョー×エロティカ」のことは忘れたが、もしかすると基子も加へたトリプル佐々木が開巻にてジェット・ストリーム・アタックを敢行する「社宅妻 ねつとり不倫漬け」が、佐々木麻由子と佐々木ユメカが同一フレーム内に納まる唯一の作品となるのかも知れない。
 もうひとつ今回、初物トピックを有した今作を佐々木麻由子映画出演100本記念作品と同じ三本立てで観た。有楽め、乙な番組を組みよる。もう一本のエクセス枠は高密度エロ映画、山内大輔の「厚顔無恥な恥母 紫の下着で…」(2007/主演:花野真衣)。


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 「熟妻と愛人 絶妙すけべ舌」(2012/制作:セメントマッチ・光の帝国/提供:オーピー映画/監督・脚本:後藤大輔/プロデューサー:クリント池島/原題:『ドしやぶり女・貸間あり』ver7.7/録音・効果:シネキャビン/シネマトグラファー:飯岡聖英/音楽:大場一魅/編集:酒井正次/助監督:北川帯寛/監督助手:菊嶌稔章/撮影助手:下垣外純・佐藤光/編集助手:鷹野朋子/スチール津田一郎現場応援:田中康文・永井卓爾/タイミング:安斎公一/現像東映ラボ・テック出演:春日野結衣・佐々木麻由子・池島ゆたか・千川彩菜・小滝正大・村田頼俊・Peach & Takahiro・牧村耕次)。出演者中、Peach & Takahiroは本篇クレジットのみ。“佐々木麻由子映画出演100本記念作品”である旨が、エンドロール時キャストとスタッフの間に謳はれる。
 南酒々井の二階建て一軒家にて営まれる、加藤、今回は時雨は放棄し加藤愛子整骨院。単なる偶然に過ぎないのかも知れないが、何処かで見覚えのある名前ではある。常連客の守本葉月(千川)が、愛子(佐々木)の施術に悲鳴を上げる。そのまゝ百合の花を咲かせるのはひとまづいいとして、まあ千川彩菜(ex.谷川彩)が、更に一層振り切れて肥えたなあ、顎が殆ど存在しないぞ。赤い傘を差した女が、玄関に貼られた貸間ありのチラシに目を留めタイトル・イン。あれ?こんな開巻見たことあるぞ。
 下宿を求め現れたのは、美人と不美人の境界線上をガッチリ死守する絶妙に微妙な容姿に加へ、火に油を注ぐ―さういふ娘がさういふ衣服を好むのは、実際まゝある例ともいへる―ロリ衣装、挙句に愛子から職業を尋ねられると旅人だなどと答へる足が地面から浮いた石井瞳(春日野)。そんな訳の判らん女に俺なら絶対部屋は貸さないが、懐具合の苦しい愛子は店子の確保に喰ひつく。一方、御馴染みの録音スタジオ「シネキャビン」。オーナーの録音技師・加藤伸輔(池島)と弟子格の鴨成正人(小滝)が、ピンク映画の濡れ場に音入れする。ここで劇中使用されるのは後藤大輔二作前の「多淫な人妻 ねつとり蜜月の夜」(2011)、となるとPeach & Takahiroは、桃井早苗と野村貴浩を指すといふ寸法。作業中に伸輔の携帯電話が、以降繰り返し多用されるエモーショナルなイントロの大場一魅の着うたで鳴り、鴨成を呆れさせる。伸輔に―妊娠―二ヶ月であることを報告した瞳は、元々失恋し荒れてゐたところを伸輔が拾ひ、以来シネキャビンの一室に住まはせながら愛人関係にあつたものだつた。動揺しつつ帰宅した伸輔は、瞳が家に居るどころか住んでゐることに度肝を抜かれる。それは確かに仰天する、卒倒してもおかしくない。
 配役残り牧村耕次は、今だお盛んな整骨院の常連老人。国沢組からの外征は二度目となる村田頼俊は、葉月の息子・リョータ(子役登場せず)が所属するサッカーチームのコーチ・修二。葉月と昼下がりの情事を繰り広げるのは兎も角、この二人体型が殆ど変らん。
 五年ぶりのピンク帰還から順調に三作を発表した2011年に対し、今作限りに止(とど)まつた後藤大輔2012年唯一作。同じロケ物件と大体似たやうなオープニング・シークエンスとから、関根和美の「びしよ濡れ下宿 母娘のぞき」(1997/主演:悠木あずみ・林由美香)のリメイクに実は相当する、といふのは全く吹く必要の本当に一切ない純然たる与太である。一秒でも早くデスればいいのにな、俺。話を戻して―戻せ―シネキャビンが主要な舞台のひとつとされるだけに、この期に及んでといふかこの期に及んだからなのか、繰言じみたピンク映画愛を女々しく語り始めた日にはどうしたものかと事前には危惧したところだが、流石に荒木太郎ならばまだしも、後藤大輔がさういふ仕方のない真似を仕出かしはしなかつた。尤も、それならばといふか逆からいへばといふか、わざわざ伸輔がシネキャビンのオーナーであるドラマ上の必然性は、伸輔と愛子の馴れ初め以外には特に見当たらない。加へてそれにしても、意地の悪いいひ方をすればどちらが先かといふ話である。展開的にも、愛人が自宅に乗り込むのを通り越し移住する鮮烈にして激越な三角関係に、愛子の救済も図るべく鴨成が参戦する。そこまでは酌めるものの、詰めには手数と盛り上がりに欠いた物足りなさを覚えるのも禁じ難い。ミスターピンクの名が伊達ではない、業界の最重要人物を捕まへて截然と筆禍を仕出かしてのけるが、そもそも、伸輔役のキャスティングが致命傷に思へる。池島ゆたかといふ大物に対する当サイトの節穴な評価は、演技者としても演出家としても基本的には大根とするヘテロドキシーで、実在するどちら様かを模したギミックなのか、形にならぬ伸輔のシシシ笑ひは耳か癪に障るばかり。「参つた」を連呼しながら伸輔が河原を駆け最終的には川に飛び込む中盤の間の抜けた見せ場で、完全に映画の底が抜けてしまつた感は強い。見事な復帰作からそれなりに乗り切つた2011年を通過し、体力不足なのか、後藤大輔は早くもくたびれて来たのかと思はせなくもない。


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 「熟女どスケベ不倫」(2013/製作:多呂プロ/提供:オーピー映画/監督・脚本・出演:荒木太郎/撮影照明:飯岡聖英/編集:酒井昭次/音楽:宮川透/助監督:金沢勇大/演出助手:三上紗恵子/撮影助手:宇野寛之・末松祐紀/編集助手:鷹野朋子/ポスター:本田あきら/主題歌:『もぬけの殻』作詞:宮川舞・作曲:宮川透/協力:映像機器システム社・佐藤選人/脚本協力:小谷香織/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック/タイミング:安斎公一/出演:綾乃さえ・今井涼・佐々木基子・野村貴浩・太田始・小林節彦・今泉浩一・久保田泰也・津田篤・淡島小鞠・別所万伸・西村晋也・鵜飼邦彦・こぽんち・佐藤選人・遠藤さん・安藤さん・那波隆史/ゲスト出演:牧村耕次・里見瑤子)。実際のビリングは、今泉浩一と久保田泰也の間に、ゲスト出演の二人を挿む。出演者中、今泉浩一・久保田泰也と別所万伸から安藤さんまで、それと牧村耕次は本篇クレジットのみ。珍しく、荒木太郎映画のクレジットが読める。が、編集の正次でなく酒井昭次は、本篇クレジットまゝ、惜しかつた。
 金曜日、以降一週間を順々する曜日のトレースは、後述する一点を除けば物語的な意味合は特に見当たらないゆゑ端折る。カラオケ教室「歌謡道場ぶるーすかい」経営者の三筋國丸(那波)が戯れにピアノを弾き、三年前「ぶるーすかい」に転がり込んだ阿南響子(綾乃)が、“ネオンが誘ひ出すのは、空の体だけ”とピアノに合はせ主題歌を口遊みタイトル・イン。夫・雄大(野村)との生活に響子は不満はなかつたが、同時に退屈だつた。ある日、路チューする里見瑤子(相方不明)の姿に胸を騒がされた響子は、政見演説を聞く人ごみの中、鵜飼邦彦の軽い痴漢に点火される。もう一人見切れる女が、遠藤さんか安藤さん?シャドーボクシングに汗を流す、超絶に切り取られ異常に若く見える牧村耕次に半ば自ら犯された響子は、次の日も別の男(こぽんち?)や別所万伸を求める。グラサンの津田篤と西村晋也は、妻の異変に困惑する雄大を余所に、響子が捕まへるも匙を投げられる二人組。平素当方は首を縦に振るものではないが、荒木太郎のギミック臭満載の演出が響子の男漁りの過程に於いては、適度な挿入感が効果的に作用する。何故か日本語が片言の今井涼は、響子が家を出苦しむ雄大に、寄り添ふ事務の同僚・春江。そして、後々まで語られない響子と三筋の出会ひは、荒淫の末に半ば行き倒れた響子を、三筋が拾つた格好。
 配役その他大体登場順、久保田泰也は、響子に喰はれる男。鵜飼邦彦をナンバーワンに数へて三筋は別格とすると、劇中ナンバーセブンに相当。因みに、ナンバーゼロたる雄大との夫婦生活は描かれない。絡み込みのチョイ出演で一旦退場し「え、これだけ!?」と慌てさせる佐々木基子は、「ぶるーすかい」の生徒・みゆき、三筋と関係を持つ。荒木太郎2011年第二作「発情花嫁 おねだりは後ろから」(主演:早乙女ルイ)以来、二年六作ぶりに電撃復帰を果たした淡島小鞠(=三上紗恵子)は、「ぶるーすかい」に暮らす三筋とは別居する妻、まさかの赤子連れで現れたのには仰天した。かつて教師であつた三筋がレイプした、ことになつてゐる元教へ子と同じ人物であるのか否かは触れられない。今泉浩一は「ぶるーすかい」生徒と、響子が内藤(荒木)を連れ込む暴力バーのバーテンダーを兼務。生徒要員は計四人、左から今泉浩一・佐藤選人一番右にみゆきで、もう一人の若い男が安藤さんか遠藤さんなのか。随分肥えた小林節彦は、ぼつたくられた響子に復讐すべく拉致する内藤の友軍・太田。そして、何時出て来るのか観てゐる側としては不安にさせられるほどギリギリまで温存される太田始は、「ぶるーすかい」に怒鳴り込むみゆきの夫。
 上旬・中旬・下旬の三旬換算で、三月下旬の頭に封切られたものが、六月上旬の尻には関門海峡を越え小倉に着弾する訳の判らない勢ひが正直怖い、それは兎も角荒木太郎2013年第一作。荒木太郎的には、2012年第三作を依然飛ばしてゐる、再来週に八幡に来るが。だから頼むから、ナベの「おねだり狂艶 色情いうれい」を早くどうにかして呉れ、来月次の「悩殺セールス 癒しのエロ下着」が先に来るといふのは嫌がらせか何かか?話を戻すと、日々互ひに“淫乱”・“変態”と罵り合ふ三筋と響子が仲良く喧嘩する姿を縦糸に、春江V.S.雄大戦、三筋V.S.みゆき戦を折に触れ二度づつ差し挟みつつ、後はひたすらに響子がヤッてヤッてヤリ倒す、物理的にも重量級な誠清々しいまでの裸映画。律儀な日めくり―現に捲る訳ではないが―は、要は濡れ場を連ねることに終始する始終に適宜アクセントをつける目的の、的確な便法なのであらう。最後の最後に飛び込んで来る太田始が天秤を調整し、各々ボロボロの響子と三筋が出会つた時と同じやうに再会する完璧な構成のラストは、腐れ縁が腐れたまゝで安定する、力強いエモーションに予想外に着地する。予想外といつたが、映画的にはより体裁の整つた形で二作続いたといふことは、ここに来てといふかこの期に及んでといふか、何れにしても荒木太郎に対する認識を根本的に改めるべきなのか。惜しむらくは、確かに熟女でどスケベな風は濃厚に窺はせるものの、如何せん過積載で華も欠く主演女優。ここに浅井舞香がゐて呉れれば、結果は更に劇的に違ふものになつてゐたのではあるまいか。それと、今作に限つた話でもないのかも知れないが、好意的な意味で新しくはない荒木太郎映画の肌触りには、宮川透の劇伴は些か洗練され過ぎてゐるやうにも今回聞こえた。OK的な何十年一日な在りもの音源からセレクトするのが、案外一番フィットする気がする。


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 「ねつとり妻おねだり妻Ⅲ 不倫妻またがる」(1997/製作:プロダクション鷹/配給:新東宝映画/監督脚本:珠瑠美/企画:福俵満/撮影:伊東英男/照明:矢竹正知/美術:衣恭介/音楽:KG音響/編集:井上和夫/監督補:近藤英聡/現像:東映化学工業/録音:シネキャビン/出演:風間今日子・原田なつみ・真純まこ・竹田正則・鈴木英和・水野和人)。
 不用意に細かく刻むカットが、水族館のエイと喜悦する原田なつみとを往き来する。開巻即謎イメージ、この悠然と泳ぐエイの意味が全く判らない辺りは早速流石だ。原田なつみの股座には、健気に奉仕する鈴木英和が。凶暴にムカつかせる巻き舌で原田なつみがベラベラ開陳する設定を、後々の情報まで纏めて整理すると、有田希美(原田)は社長であつた夫が腹上死した後専務に就任。今でいふパワハラ全開で喰ふ社員の村越英司(鈴木)を企画課課長に昇進させるに止(とど)まらず、社長秘書であつた玲子(風間)と見合結婚させ、挙句に自宅隣にミサトニックな家を買ひ住まはせてゐた。清々しい女王様風を吹かせた希美が、凶悪に高笑ひタイトル・イン。遅く帰宅した英司に、玲子がゲランの匂ひを嗅ぎつける一夜も当然夫婦生活込みで通過した上で、ある日英司と外飲みする為に街に出た玲子は、学生時代の彼氏(竹田)と再会する。真純まこは、現在の竹田正則彼女。妻との約束があることを知つた上で、希美は英司を強奪。クラブ「バセロン」でスッぽかされた格好の玲子は、都合のいいタイミングで真純まこと一戦終へたタイミングの竹田正則に改めて会ふ。
 配役残り水野和人は、本篇ママで週刊誌レポーターである竹田正則の所在を、玲子が電話で尋ねる編集部の人。
 第二作「ねつとり妻おねだり妻Ⅱ 夫に見られながら」(監督:的場ちせ=浜野佐知/脚本:山邦紀/主演:柏木瞳)を先に観たきり、フと思ひ出してみると残りの二本が小屋に来る気配がケロッとないゆゑ、DMMに頼つた珠瑠美による最終第三作。jmdbの記述を鵜呑みにすると、今作は珠瑠美のキャリア的にも最終作に当たる。依然新版公開の網に何もかゝらないところを見るに、間違ひなからうと思はれる。それと同年、概ね三ヶ月毎に封切られた無印第一作「ねつとり妻おねだり妻」(脚本:江戸去里晩/主演:青木こずえ)の監督は、深町章。深町章といふ聖域は兎も角ないしは当然として、Ⅱが苛烈な女性主義の闘士としてピンク映画のフィールドで戦ひ続ける浜野佐知で、Ⅲが平板な商業ポルノを、ついでにほぼ確実に作り損ねる珠瑠美。深くどころか新東宝が何も考へずに仕出かしたお茶目にさうゐないとはいへ、呉越同舟感が爆裂するシリーズ構成ではある。本作単体の中身―といふほどのものは殆どない―に話を戻すと、木にPCBを接ぐ魔クレジットも、映写事故かと不安になりかねない闇を叩き込むロンゲスト・フェードも、それぞれ一度きりづつ繰り出されるのみで、全篇を貫く薮蛇な劇伴の選曲を除けば、特徴的ないしは形式的な珠印は然程顕著ではない。それでゐて、ことごとく意味のない遣り取りで漫然と尺を浪費し倒した末に、結局ガッチャガチャにお話―といふほどの物語は限りなくゼロに近く存在しない―をまるで収束しきらないままに、濡れ場でザックリ振り逃げてしまふ結末のぞんさいさはげんなりと衝撃的、逆の意味で曲芸のやうな一作である。本当に唯一の見所は、ピッチピチに若い風間今日子。原田なつみ、もしくはあの手の肉々しい女が好みの御仁にとつては、何はともあれ堪らない御馳走であるのかも知れないが。

 ただ、せめて贅沢をいふと、青木こずえは珠組では観た覚えがないけれども、それならば珠瑠美には杉本まことを起用して全作制覇を達成させて欲しかつた。


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 「びしよ濡れ下宿 母娘のぞき」(1997/製作:関根プロダクション/配給:大蔵映画/監督:関根和美/脚本:如月吹雪・関根和美・小松公典/撮影:小山田勝治/照明:秋山和夫/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:加藤義一/音楽:リハビリテーションズ/監督助手:紀伊正志/撮影助手:中川克也/照明助手:草篤/スチール:津田一郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学㈱/出演:悠木あずみ・祇樹優可・下川おさむ・江島克昌・林由美香)。
 ウルトラ御馴染み南酒々井のハウススタジオ、恐らくちやんとした記録は残つてゐまいが、これまで一体この家で何百本のピンク映画が撮影され、今際の間際の今なほ撮り続けられてゐるのであらうか。それは兎も角、玄関には“空室有ります”の札が提げられる。新鮮な奴に御無沙汰ゆゑと、増えた小皺を悩む母・真耶(林)に娘の亜沙美(悠木)が63年ものの、小瓶に入つた白濁液を持つて来る。二人で小瓶を飲み干し、風呂屋のコーヒー牛乳感覚で「アー」と一息ついたところに、タイミングよく若い男の声で「御免下さい」。声の主は、会社の近くに下宿を求めた中西夏彦(下川)。亜沙美と真耶が姉妹かと至極自然に錯覚した夏彦に対し、二人は何気なくもなく大股開きの御開帳アピール。挙句に、茶を換へる真耶が不自然極まりなく膝を立てた股間に夏彦が釘付けとなる、ガチョ~ンと前後する主観カメラは、往々にして臆面もなくありさうで、意外と初めて見たやうな気がする。あまりに下らなくて、元々容量不足の記憶媒体を右から一昨日に通り過ぎたのかも知れないが。そしてその画を、撮つたのが小山田勝治といふのはさりげない衝撃。さて措き夏彦は卒倒、小悪魔ぽく亜沙美が、玄関の札を下げてタイトル・イン。無理を承知でいふが、関根和美も気が利かないな、そこは札を裏返すとタイトルだろ。
 下宿初日、早速の母娘丼は夏彦の淫夢でつつがなく片付け、翌朝中西は買物に行くといふ亜沙美と一緒に出勤。ぎこちない美人の祇樹優可は、オフィスを用意する労を端折つたにさうゐなく、都合三度公園にて中西と朝食を摂る、同僚兼幼馴染の美由紀。同僚はいいとして幼馴染といふのは、中盤に至らないと判らない、普通に彼女だと思つてた。最初の公園飯時、手前に日陰に沈んで見切れるのは加藤義一。尤も、そこにもう一人を置いておく実質的な意義は、清々しいまでに感じられない。その夜、夏彦に夜這ひを敢行した、真耶が繰り出す決め台詞「きれいなおねえさんは、好きですか」。因みに公開当時松下の公式は、二代目の松嶋菜々子。何代目でも同じことだが、林由美香なら全然負けてないぞ。更に翌日には、今度は亜沙美も夜這ひを敢行。常にフィニッシュは精飲で終る母娘との情事の末に、みるみる消耗し会社も三日間無断欠勤した夏彦を、美由紀は一応しをらしく案じる。
 隠れた名女優・悠木あずみ目当てで選んでみた、関根和美1997年全六作中第三作、薔薇族入れると七の三。お目当てにしておいて何だが、悠木あずみが林由美香を差し置きビリングの頭に来てゐることには少し驚いた。ガチョ~ンカメラともうひとつ、これまで観た覚えがない。美人母娘の営む下宿屋に転がり込んだ若い男が過ごす、ウハウハでムハムハな夢の日々を描いた。微笑ましいと同義の他愛ない艶笑譚かと勝手に思ひきや、開巻で懇切丁寧に起爆装置が地表に露出する物語は、ピクリとも怖かないホラー演出も交へつつ、関根和美らしくマッタリと進行する。それでゐて、余計な枝葉には余念がない辺りも関根和美が関根和美たる所以。最初に辿り着いたのは美由紀な“入室禁止”の開かずの間に、真耶は夏彦を監禁する。救出に訪れた亜沙美に夏彦が閉所恐怖症を訴へるのは、元々の自室と広さはさう変らないやうにしか見えない。それもこれも、といふか直截にはほぼ万事に目を瞑り、定番展開に従ひ翻意した亜沙美と夏彦の、尺もタップリと費やすクライマックスの濡れ場。の最中に、“アレを飲むのはママの勝手な思ひ込みだから”と亜沙美が投げた重要な筈の鍵には、すはここから予想外の結末に畳み込むのかと、スクランブルで緊張した。のに、夏彦は天国に一番近い地獄から解放されたものの、最終的には何処の何者なのだか感動的に判らない江島克昌が、新たなる餌食・信行として真耶と亜沙美の御開帳にしどろもどろ鼻の下を伸ばす。要は、母娘の秘密の種明かしを中途で完全に放棄するルーズなラストには、別の意味で度肝を抜かれた。夏彦がポケットに忍ばせた、“昭和元年”の使ひ方なども子供騙しにすら至らず、逆の意味で流石だとでもしかいひやうのない一作である。


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 「老人のSEX 人妻折檻」(1998/製作:フィルムハウスの筈/提供:Xces Film/監督:大門通/脚本:有馬仟世/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:原田清一/照明:小野弘文/編集:金子尚樹《フィルムクラフト》/助監督:高田宝重/制作担当:真弓学/監督助手:栗原淳一郎・田中俊彦/撮影助手:織田猛/照明助手:池田義郎/ヘアーメイク:住吉美加子/スチール:本田あきら/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:橘真帆・真純まこ・吉行由実・白都翔一・柳東史・野上正義)。出演者中、柳東史の史の字が、正確には左から右のはらひが髭付き、明朝体でないと出せん。
 画面左から右に通過する電車と、マンション外観。天候に恵まれなければ意欲もあまり感じられない、正直パッとしない2カットに続いて手短に、“人妻折檻”が何故か腕白なフォントのタイトル・イン。三人暮らしの植原家、不良債権に揺れる都市銀行勤めの守(白都)と妻・有佳(橘)。守の父親で入り婿の徳三郎(野上)は、植原家の親族が経営する生命保険会社は一昨年定年退職し、同じ年に妻・ミサコ(遺影すら見切れず)とも死別してゐた。ここで清々しく本質を宿さない瑣末、前髪を下ろした白都翔一が、しばしば別人に見えて何度も我が目を疑ふ。何かにつけて仕事にかこつける守に女が居ることを、有佳は知つてゐた。結婚三年目となる去年の夏、不審を懐いた有佳が会社の前で張り込んでみたところ、守は児童公園で待ち合はせた有川奈美(真純)とホテルに消える。洗練度の低いヒラメ顔が時代を超えられない、その癖後述する吉行由実をさし措いて濡れ場を定石通り二度消化する、小癪な二番手が今作唯一の瑕疵。例によつて守は帰らず、美味しいらしい山芋が、大きいのをまだ二本残す秀逸な伏線を投げつつの息子嫁と義父二人きりの夕食。浮気性は自身を蔑ろにしたミサコ譲りであるとする徳三郎も、守の不貞を勘付いてゐた。一人寝の寂しさかついつい自ら慰める有佳の痴態を、出歯亀するかと思ひきや飛び込んだ徳三郎は、どさくさ紛れに―ミサコが外で仕込んで来た―守は自分の息子ではない衝撃の真実をも大告白。挙句に既に打ち止めの自身に代り、何時の間にか精巧に男性自身を模して彫り込んだ山芋を持ち出し有佳を責める、今宵はここまで。気を取り直し、近所に越して来たと事前に電話も入れた、守のことも相談出来る間柄の旧友・木下則子(吉行)の新居に有佳は遊びに行く。捌けた風情で則子がテレクラ遊びなんぞ勧めてゐると、当のセフレで個人輸入した怪しげな薬物を売り歩く盛岡信二(柳)が、無造作なグッド・タイミングで現れる。“エクスタシーの三倍効く”だとかいふ、おいその薬は依存性はないんだらうなと思はず心配な催淫剤に、コロッと点火された則子が盛岡とオッ始めたため木下家を慌てて飛び出した有佳が帰宅すると、前門の虎後門の狼とでもいふべきか、今度は本格的な貞操帯―携帯電話で操作するリモコン機能つき―を調達した徳三郎が待ち受ける。義理の娘を捕まへて“人妻”と称するのは少し違ふやうな気もしつつ、兎も角本格的な折檻がスタートする。
 大門通1998年全三作中最終作、ピンク通算第九作は期待した実は精緻な構成美が煌く何気ない完成形、といふほどのことはないものの、綺麗な綺麗な裸映画。何はともあれ、エクセスライクが微笑んだ奇跡の主演女優が最大の勝因。橘真帆は適度に成熟したプロポーションが抜群に美しく、初めは十人並程度にしか感じられなかつた造作が、展開の進行とともに次第に堪らなく見えて来る映像の魔術には、殆ど差し出すかの如くおとなしく心を持つて行かれる。心なしか、有佳をいたぶる徳三郎ことガミさんも、妙にノリノリに見える。低劣なエモーションがされどもエクストリームな頂点に達する昼間の羞恥裸エプロン、晩に風呂で体を洗ふと称して嬲るところに守が帰宅するスリリング。そのままハード系のエロ映画に落とし込んで別に構はないものを、残り五分のタイミングで盛岡戦を捻じ込むのは無理気味にも思へたが、長閑な劇伴に乗せ有佳が用立てたバイアグラで徳三郎が回春する予想外のハッピー・エンドには、逆に驚かされた。とはいへ素直な絶頂フィニッシュは、貫禄の磐石さで一篇を締め括る。


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