真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「ザ・人妻性感帯 SEXドクターの告白」(1999『驚異! 勃起促進剤』の2015年旧作改題版/製作:IIZUMI Production/提供:Xces Film/監督:北沢幸雄/脚本:五代暁子/企画:稲山悌二《エクセスフィルム》・業沖球太/製作:北沢幸雄/撮影:小山田勝治/照明:渡波洋行/音楽:TAOKA/編集:北沢幸雄/助監督:城定秀夫・増野琢麿/撮影助手:鈴木慎二/照明助手:和田正宏/ヘアメイク:鷲野早苗/ネガ編集:酒井正次/タイトル:道川昭/音響効果:東京スクリーンサービス/出演:東城えみ・相沢知美・奈賀毬子・佐々木基子・杉本まこと・木立隆雅・熊本輝生・柴田敬介・村井智丸・野上正義)。
 何故か音は洋ピン風の影絵状の絡み(本体は東城えみと熊本輝生)が暫し続いた上で、勃起不全治療剤・バイアグラもといバイナグラの効能・効果なり用法・用量のクレジット。ここで用法・用量に関して、“25mg~50mgを性行為の役1時間前に口径投与する”。“口径投与”とは一体如何なる形の投与なのか、経口投与だろがよと草を生やしかけてゐると、唐突なタイミングでタイトル・イン。内科と婦人科の開業医、神崎医院。院長の神崎(杉本)を、旧友の小林(木立)が訪ねる。浮かない小林が何事か悩みを抱へてゐるらしき反面、看護組合の会合で鬼ならぬ女房の居ぬ間に、浮気相手と会ふ予定の神崎は完全に浮き足立つ。男二人の押し問答に結構長尺を費やした末、劇中用語ママでSEXドクターを新規展開する神崎に、小林は遂にインポを白状。気が急く神崎を再三再四押し止め、小林は神崎がバイナグラを処方した患者の逸話を聞き出す。
 さてそんなこんなで、旦那が弱いゆゑ膳を据ゑる気マンマンのパートの人妻(相沢)を、経年劣化で持て余すコンビニ店主(野上)。そもそもさういふ男がどうして結婚したのかも謎なのだが、ゲーム会社に勤務し家でも自社ゲームのプレイに夢中で、夫婦生活の気配すらない夫・ひでくん(柴田)をどうにかしたいリエちやん(奈賀)。素人インポ・慎二(熊本)のエピソードが、効果のほどに興味津々の小林に対し、それどころではない神崎が半分キレながらも渋々話し続ける格好で順々に連ねられる。配役残り、ビリングの頭に置かれる割に、さして重きを置かれる気配も窺へない東城えみは、慎二の彼女・愛子。女優部の扱ひは、全員均等に思へる。適材適所感を爆裂させる村井智丸は、勃たない慎二に一旦愛想を尽かせた愛子が、二股かけかけるオラついたヤリチン。クレジット上での役名はフリーター、実も蓋もない。
 何といふこともないまゝに、何となく見させる北沢幸雄1999年最終第二作、ENK薔薇族が一本先行する。杉本まことと木立隆雅の薔薇ならぬ絡みに結構な尺を割く割に、愛子と慎二篇が終つたところで、血圧を測るのと超絶簡略な問診のみでバイナグラを出して貰つた―大丈夫か、神崎―小林は喜び勇んで退場するや、綺麗サッパリ御役御免。ケロッとバレてのけるが実は神崎の火遊びに気付いてゐた、矢張り鬼の女房(佐々木)が潜んでゐた隣室から登場。無理からな夫婦生活に突入し、二回戦に際してバイナグラを投入するといふラストは、他人のオムニバスが話者当人に収斂する捻りが効いてゐるのか、単に裸映画のルーチンぶりが奮つてゐるだけなのかよく判らない。更に、あるいはそもそも。そこかしこで多用される影絵もザックリした見映えで、二十一世紀を目前に、全体何を狙つた基軸なのだか漫然とした釈然としなさを加速する。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 実体験リポー... 究極onanie ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。