真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「初恋のつぼみ ここから先はダメよ♡」(2014/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:宮原かおり・川口諒太郎・梅田裕多/効果:梅沢身知子/タイミング:安斎公一/協賛:GARAKU/出演:つぼみ・伊藤りな・津田篤・Kスケ・山本宗介・山口真里/愛情出演:朝倉まりあ・星優乃・夏井亜美・西藤尚)。
 輝く陽光を身に纏ふ、白い日傘を差した主演女優。景色のいい公園にて、スケッチブックに鉛筆を走らせタイトル・イン。英会話講師の立花丈二(津田)と、買物袋を提げた生徒で人妻の椎名美里(伊藤)に、雨宮奈緒美(つぼみ)がわざとらしく交錯する。何時も通り南酒々井の、丈二が事故死した両親(会話に上るのみ)から継いだ自宅。肉じやが後二人は不倫の逢瀬、伊藤りなが自慢の爆乳をガッツリ堪能させる先制で捥ぎ取つた緒戦の優勢を、結果的には終始維持する。ところが事後、俄然結婚生活を捨てる腹で突つ込んで来る美里に、丈二は引く。美里からの別居した旨のメールを受け取り、いよいよ本格的に頭を抱へる丈二の前に、奈緒美が再び姿を現す。自己紹介を済ませた後、奈緒美は肉じやが呼ばはりした美里をフェードさせる、恋のゲームを丈二に提示。赤い鉢巻で目隠しした丈二を馬に、奈緒美がプレイに興じるところに美里が来宅、首尾よく排除に成功する。その後騒ぎたてられた場合の、丈二の講師としての立場は気にするな。
 配役残りDQN造形が闇雲な山本宗介は、奈緒美がスケッチをダーリンと丈二には紹介する岳。Kスケ(ex.けーすけ)も同様に健吾で、山口真里は健吾の愛人・小春。登場順に夏井亜美と西藤尚は、丈二を飲みに誘ふもフラれる英会話の生徒AとB。朝倉まりあと星優乃は声も聞かせず見切れるばかりの、丈二の女AとB。但し特段絡むでもないゆゑ、生徒と女の別に実質的な意味はない。それはさて措き、御三方の変らず元気な御様子が、地味に琴線に触れるのは年の所為か。
 荒木(太郎)組共々準レギュラーの西藤尚は兎も角、2009年第一作「痴漢電車 しのび指は夢気分」以来となる夏井亜美と朝倉まりあ。2011年第二作「人妻旅行 しつとり乱れ貝」、の後に、竹洞哲也2012年第一作「義父の求愛 やは肌を這ふ舌」(脚本:小松公典・山口大輔/主演:つるのゆう)を挿みもする星優乃。フィルム最終作にこれまで数々の主演作を飾つたナベシネマズ・エンジェルが集つた、渡邊元嗣2014年第四作。要は2010年第二作「牝猫フェロモン 淫猥な唇」(主演:早川瀬里奈)を焼き直した豪快な物語に、息を吹き返して久しい難病ものが絡められる。おとなしく悲恋のまゝ振り抜けばいいものを、幾分でもなく調子のよさが否めないラストなり、無造作なミスリーディングが清々しいほどの齟齬を残す、奈緒美を連れ戻しに来る岳や健吾の造形は剥き出しの穴にせよ、この際些末とさて措くべき。渡邊元嗣の全力は陽気のみならず美しくそよぐ風にも恵まれた記録的に絶好のロケーションの中、主演女優のキュートさをエクストリームに銀幕に刻み込む、正調アイドル映画にあるのかと一旦思ひきや。つぼみ不在のまゝ渾身の真心を込めて撃ち抜かれる、健気な望みの綴られたスケッチブックの件は涙腺決壊必至。いい歳ブッこいたオッサンが、幾人となく涙の海に沈んだにさうゐない。村下孝蔵「初恋」が爆音で脳内再生される回想パートも一撃必殺、粗も見え、あるいは粗をものともせず、誠実に娯楽映画を信じ続けるナベの強さが如何なく発揮された一作。国沢実の愚直な革命映画「特務課の女豹 からみつく陰謀」で気を吐いた伊藤りなが仕掛ける三番手開巻奇襲も鮮やかに、山口真里は論を俟たずつぼみも決して小さいといふことはなく、三枚オッパイが並んだ布陣は当然裸映画的にも強い。


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 「本番・衝撃の果て」(1990/企画:サン企画/製作:Gプロダクション/配給:大蔵映画/演出:市村譲/脚本:夢野春雄/撮影:立花次郎/照明:高橋甚六/スチール撮影:最上義昌/助監督:高橋純/録音:銀座サウンド/編集:酒井正次/音楽:東京スクリーンサービス/効果:サウンドBOX/現像:東映化工/出演:川奈忍・香園寺忍・森みなみ・本郷猛・黒田武士・松本喜・岡本輝夫・鈴木富左夫・山本純)。
 タイトル開巻、俳優部限定のクレジットが続く。不甲斐なさを理由に、チンピラの光二(本郷)が女にヤサを追ひ出される。公園での光二の回想を通して、機嫌がよかつた頃の小夜子(香園寺)の濡れ場を暫し見せ、ビリングには違(たが)ひ香園寺忍の出番は最初で最後。といつて、後述する森みなみも二回戦までこなすといふだけで、何れも純然たる濡れ場要員であるのに変りはない。未練がましくマンションの部屋の前まで一旦戻り、結局当てもなく踵を返した光二は、凄まじく遠い画で隣のビルの屋上に、これ見よがしに―といつて殆ど見えないのだけれど―佇む女を発見。そのまゝ下りて来た階段を駆け上がつた光二が、どうやつてだから隣のビルの屋上に入つたのかは兎も角。スーサイドを止めようとした光二を痴漢扱ひし騒ぎ出した下田か霜田か志茂田陽子(川奈)は、光二がヤクザ者であるのを看て取ると報酬は一千万、期間は三ヶ月以内、手段は安楽死での殺人を出し抜けに依頼する。光二は兄貴分を介し、話を鬼頭興業の親分(黒田)に通す。金を受け取つた親分は光二に、実際に仕事をする気は一切ないことと、殺す相手といふのがほかならぬ陽子自身であることを告げる。居た堪れなくなり親分が出した百万も受け取らず陽子を追つた光二は、摩天楼に誘はれた後、陽子宅にて据膳を頂戴。事後、陽子は健康診断で発覚した、余命幾許もない旨を告白する。
 配役残り、三番手にしては十二分以上に美人な森みなみは、親分の情婦。問題が、松本喜以降の男優部に全く手も足も出ない。劇中登場するなり見切れるのは、旧居の玄関口で愚痴を垂れる光二に、文句をいふ隣家のパジャマ氏。そこそこいい男の光二の兄貴分と、将棋の相手。摩天楼のバーテンに光二をシメる四人組と、陽子を捜してゐた医師、と看護婦。そもそも頭数が合はないが、もしかするとパジャマ氏と医師は二役かも知れない。
 淡々と市村譲1990年第一作、心優しきアウトサイダーと、残り時間の限られた女が出会ふ。束の間白夜の如き蜜月を生きた二人は、瞬間的にせよ未来に向かつて動き出す。医師がお定まりの蓋を開けて以降も綺麗にテンプレ通り、よくある話が更によくある展開を辿る輝かしいまでに類型的な、ある意味実に量産型娯楽映画らしい一作ではある。尤も、本郷猛が何をいつてゐるのか方々で聞き取れない口跡はへべれけながら、ルックスがストレートな男前であるゆゑ川奈忍とのツー・ショットが綺麗に形になるキャスティングの勝利と、正直スッカスカの物語には六十分でも長過ぎる尺を、何れも余計な意匠を持ち込まず正攻法かつ丁寧に撮り上げた濡れ場で繋ぐ戦法は、ピンク映画のお家芸。一欠片の新味もないにせよ、何となくそれなりに見させる。冷静に検討してみると最初の光二・ミーツ・陽子の件の途轍もない遠さが僅かに、市村譲らしい紙一重を超えて前衛性の領域にすら突入しかねないバイオレントな無頓着。単に壊れてゐないに過ぎぬのではないかといふ疑問は強ひてさて措き、案外普通の映画であつたので当てが外れるといふのも、我ながら屈折するにもほどがある話ではある。

 もう一点、一昨日な見所がエンド・クレジット。効果までは別におかしくも何ともないものの、以降がサン企画・夢野春雄・Gプロ・市村譲と来て最後に東映化工、なかなか見たことのない斬新な順番である。忘れてた、本郷猛が折角披露する階段落ちが、半分開いた、といふかこの場合正確には半分しか開いてゐないドアに遮られ殆ど見えないのは、俳優部の見せ場を見事に殺すあんまりなチャーミング。


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 「新人巨乳 はさんで三発!」(2014/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:城定秀夫/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/音楽:友愛学園音楽部/助監督:小関裕次郎/監督助手:清水大輔/撮影助手:吉川千園・三輪亮達/音響効果:山田案山子/協力:上野オークラ劇場・ゾンネンプロ・遠藤健介・香田晋・佐久間栄一/出演:めぐり・桜木郁・倖田李梨・川瀬陽太・津田篤・柳東史・なかみつせいじ・井尻鯛・和田光沙・山本宗介・紅森伐人・広瀬寛巳、他八名・牧村耕次・荒木太郎・佐倉萌《友情出演》)。出演者中、紅森伐人・広瀬寛巳、他八名と、何故か津田篤が本篇クレジットのみ。残りの十人は兎も角、津田篤がパブから漏れてるのはマズいだろ。
 ど頭とエンド・クレジット後のオーラスにて、今作がフィクションである旨を執拗に謳ふ。
 念願叶つて映画会社への就職を決めた桃井桃子(めぐり)が、初出社を翌日に控へ挨拶の練習をしてゐると、いい感じの後ろから居候の妹・ミドリ(桜木)が投げた枕が飛んで来る。事前に桜木郁を、桜木凛勘違ひし混乱してゐたのは内緒。それは昨今の女優部の通過性の所以か、単なる年の所為なのか。目覚まし時計を余裕を持つてセットしたはいいものの、勢ひよく置いた弾みで外れた電池には気付かずタイトル・イン。入社早々早速遅刻した桃子を、OPではなくOB映画の社長・大蔵でもなく大内(なかみつ)は暖かく迎へる。先輩社員・山田(柳)や三平(津田)の会話に上る“加藤組”なり“渡邊組”といつた単語に、加藤泰や渡辺文樹の映画を配給してゐるのかと桃子が猛烈に悩ましい胸をときめかせる一方、大内に桃子の指導を振られた玲子(倖田)は、三平に丸投げする。ひとまづ三平は桃子に、スチールの整理を支持。それがヌード(誰か判らない)ばかりであるのに脊髄反射で激昂、三平の頬をフルスイングで張つた桃子は、大内からオービーが“明るく楽しい”を社是とするピンク映画会社である事実を告げられ愕然とする。オチがついたところで、ヒャッヒャッヒャ~ララと長閑にOK劇伴が鳴り始める選曲が地味に完璧。
 バラエティ豊かに豪華な配役残り、佐倉萌はフジサク組新作「強姦オフィス 変態OLナマ調教」の主演、乳は見せるも劇中ポスターのみの登場。川瀬陽太は、出て来る毎に音楽性がコロッコロ変るミドリの彼氏・ハヤト。浜岡賢次スピリットを爆裂させる、デストローイッ!が捧腹絶倒。荒木太郎は、桃子が玲子に資料を届けさせられる上野オークラ旧館の支配人。その道すがら、出会ひ頭で桃子とぶつかり裸のスチールを散乱させるのは小関裕次郎。至高のTシャツ芸は封印した広瀬寛巳と、紅森伐人(=鎌田一利)は劇場ロビーにて桃子と交錯する無邪気に下卑た中年客。桃子は三平と、オービーのエース・加川欽一の現場の陣中見舞に繰り出す。井尻鯛(=江尻大)は加川組助監督のヒムセルフで、コップ酒片手に演出するワイルドな造形が弾ける牧村耕次が加川欽一。目出し帽の加川組男優は山本宗介と、紅森伐人の二役。大遅刻して現場に現れるバーター女優のしじみならぬあさりが和田光沙、初脱ぎを披露する。忘れてならない何気な名脇役、後に帰り道の桃子と三平を冷かすカットも絶品な、加川組カメラマンが佐久間栄一。もういつそ、この人はキャスト扱ひでいいやうな気がする。佐久間栄一のアシは、三輪亮達でない以上には不明。大体毎回何時も同じメンバーの他八名は、上野オークラ旧館の観客要員。思ひついたまゝ筆を滑らせてみて、果てしなく恥づかしくなつた。
 2010年第三作「多感な制服 むつちりな潤ひ肌」(主演:稲見亜矢・なかみつせいじ)以来、四年ぶり四度目となる脚本に城定秀夫を迎へた加藤義一2014年第四作。シネフィル新人巨乳女子社員がさうとは知らず入社したのは、玲子いはくチンポ汁で飯を食ふピンク映画会社。ポール・ルーベンスでもなからうに、今時小屋でデストロイするのは映画なんて観ちやゐないハッテン目的の紳士―と紳士の―淑女くらゐだ。とか何とか無粋なツッコミはさて措き、往々に仕出かしがちなダサさに堕する過剰なピンク映画愛―清水大敬がその道の大家―に淫することなく、ヒロインが仕事に恋に奮闘する、正攻法の娯楽映画として綺麗に形になつてゐる。何はともあれ、他媒体での活躍にまで手が回らないが、初陣にして初主演のめぐり(ex.藤浦めぐ)がムッチリ感が堪らない爆乳と案外正統派和風のルックスだけでなく、これはもしかすると自戒なのか、オーラス中のオーラスに際して念を押すやう結ぶ口元まで含め、結構自在に操る声色と表情とで多彩に感情を表現してみせるお芝居が拾ひもの。据わつた軸を損なふことなく、展開もつゝがなく進行。底抜けに大らかなOBの社風に翻弄される桃子の白日夢の形で主演女優の濡れ場を存分に堪能させ、節操の欠片もないハヤトの音楽的変遷のギャグ込みで、二番手の桜木郁もキュートに飛び回る。女の裸を既に十二分に楽しませた上での、牧村耕次に勝るとも劣らぬ井尻鯛のオーバーアクトも捨て難い加川組現場パート。桃子が加川の撮影中の飲酒を戒める件から続く夕景待ちに際しては、一篇のハイライトたる堂々としたエモーションを撃ち抜く。とりわけ決定的なのは、浴びたデストロイを洗ひ流す手元のカット以外、絡みの最中であつても終始一貫桃子がメガネを外さない天地の真理と書いて天地真理。もう何もいふことはあるまい、加藤義一に厳しい城定秀夫にいはせればそれでも何やかや不満が残るのかも知れないが、だつたら御自分で撮つて呉れといふ話である。私選2014年ベスト、最後に蛇に足を足す憎まれ口を叩くと、後生だから加藤義一はマトモな脚本家と組んで欲しい。今際の間際のこの期に及んで、何をトチ狂つたか座付をマイナスから育てるつもりであるならば、双方向、いや寧ろ三方からそのやうな場合か。


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 「ガッデム!!」(1991/製作:ジャパンホームビデオ株式会社/監督:神野太/原作・脚本:石井隆 竹書房刊『ガッデム!!』より/製作:升水惟雄/プロデューサー:田口和男・石井渉/プロデューサー補:森田豊/撮影:稲垣久夫/照明:金子雅勇/録音:米山英明/美術:田口和男/編集:田中政行/音楽:伊藤善之《SAKURA MUSIC》/助監督:押山敏/製作担当:大堀誠/監督助手:関根隆・伊藤嘉文/撮影助手:小山田勝治・茂呂高志・関谷和久/照明助手:白石正嗣・河野幸夫・町田修一・井上真吾・松本勝治・松村泰裕・里館統康・中川孝久・斉藤志伸/録音助手:徳永誠・柳屋文彦・得居正昭/美術助手:新潟哲也・木村明生/持道具:中田美雪/スタイリスト:木築聖穂/メイク:信澤理恵子/記録:三浦千秋/編集助手:門司康子/ネガ編集:三陽編集室/タイミング:安斉公一/整音:茶畑三男/選曲:中田裕章/効果:柴崎憲治/スペシャルエフェクト:ブロンコ・ビル横山・大宮敏明・中山照康/刺青:霞涼二/VTR撮影:茂呂高志/製作進行:森谷弘志・永野敏/車輛:龍勝義・藤枝茂・白川宏顕/製作宣伝:斉藤雄弘/スチール:六渡達郎/製作デスク:金秀一/協力:報映産業、東映化学工業、光映新社、映広、ハイライト、東洋照明、高津装飾、東京衣装、ハビッツ、東京オール・イフェクト、東宝特機、NK特機、スーパードライバーズ、坂本こころ《人形》、ティ・エフ・シー、赤帽 稲城運輸㈲、トライポット、エンゼルプロ、ラストショーカンパニー、竹書房/ロケ協力:《株》ジャスト・インターナショナル、ベル・フロークス《株》、シヅオカヤ、ペニーワイズ/衣裳協力:プレイロード・galamond・SHOWER・verdemonte・東京ファントム/出演:安原麗子・小沢仁志・岸加奈子・大杉漣・下元史朗・小野敦志・影山英俊・鈴木義男・森川いづみ・山本猛・大塚秀喜・山口健三・吉江芳成・豊田信行・山下真広・金丸和久・姫嶋りな・鈴木隆二郎・寺田農)。照明部の異様な大所帯。
 白キャメルが傍らに置かれた、十三時十分の目覚まし時計。その日は遅番のトルコ嬢・岸加奈子の声が岡本コースケ(小沢)を起こす。渋々起きた岡本の、彫り物を背負つた背中の凄い筋肉を抜いてタイトル・イン。㈲山東興業新規事業開発企画プロジェクトの事務所、岡本の舎弟・ケンジ(小野)が森川いづみを連れ込む。岡本がAV女優を起用した無修正裏ビデオの企画書をシコシコ打つ中、ケンジは森川いづみをギャラで言ひ包めビデオを撮影する。山東組の四天王が、卓を囲む。武闘派のカキザキ(下元)は、岡本の兄貴分・森谷(大杉)が仕切る“合法的経済活動”に反感を露に。カキザキと森谷が一触即発の空気にひとまづ土下座した岡本が、ガッデムの一発目を投げる。オーディションと称して、ケンジが集めたビデオに最初全く目を通す気のなかつた岡本は、裏ビデオ「イルミネーション」の女に目を留める。割と実直な段取りで探索開始、ハンドメイドの人形店に辿り着いた岡本は女主人の土屋名美(安原)と出会ふ。店のパトロン・滝沢(寺田)が現れ岡本は一旦退散、名美はイルミネーションに関しては心当たりがない反面、愛人関係にある滝沢が、常時二人の情事にカメラを回してゐることならば当然了解してゐた。
 配役残り特定可能なのは、岸加奈子が働く店「メンズ倶楽部 浪花」フロントの山口健三と、姫嶋りながカキザキ情婦くらゐ。この時点での付き合ひは不明ながら、後のスコア軍団の盟友・山下真広をロストしたのは口惜しい。
 DMMピンク映画chに紛れ込んでゐたのを、小沢仁志目当てでこの期に初見で見てみた名作Vシネ。実際にVシネ方面で名作と評価されてゐるのか否かは門外漢ゆゑ正直いふと知らないが、当時何処のレンタル店にも置いてあつたやうな気がする。因みに神野太的には、jmdb準拠で同年の「若奥様不倫 わいせつ名器」(エクセス/主演:寺崎泉?/激越に観たいけれども未見)に続く監督第二作となる。銃を構へる小沢のパケに躍るカッコいい惹句が、“糞つたれの世の中に片を付けてやる!”。とりあへず、勿論見せ場がなくはないものの、持てる破壊力の全てを解き放つた小沢仁志が死体と瓦礫の山を築き本当に浮世に方をつける、個人的に当初期待してゐた展開を採用する訳ではない。かといつて、無論見せるべき、あるいは見たいものも一通り披露するにせよ、安原麗子の扇情的な濡れ場を見せて見せてゲップが出るまで見せ倒す、といふ訳でも必ずしもない。脱いだ単純な物理的時間の比較でいふと、岸加奈子の方が尺の支配率は寧ろ高さうだ。かといつてかといつてまるで退屈であつたのかといへばそのやうなことは決してなく、やさぐれた純情男と何も知らなかつた女の屈折した悲恋物語は、アクション映画でなくとも裸映画でもなくともその上で見応へがある。要は演者目当てで見るといふよりは、神野太をも通り越して石井隆印が濃厚な一作と捉へるのが最も相当なのかも知れないが、シネフィルの食ひ物とロマポさへ食はず嫌ひするやうな偏屈につき、石井隆評価で今作が是とされるものか非とされるものかは判らない。ともあれ、漸く願ひが叶つた次の瞬間どん底に叩き落される。大槻ケンヂいふところのアメリカン・ニューシネマのスピリットを継ぐ、切ないストップ・モーションに大仰な主題歌が叩き込まれるラスト・ショットが真の鮮烈を発揮するには、何インチあつたとて自宅のモニターには些かならず荷が重いのではなからうか。


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 「痴漢電車OL篇 愛と性欲の日々」(1991/製作:?/配給:新東宝映画/監督:鈴木敬晴/脚本:谷中康子・鈴木敬晴/撮影:稲吉雅志/照明:斉藤久晃/音楽:雄龍舎/編集:酒井正次/助監督:森淳一/撮影助手:田中譲二・佐久間栄一・石岡直人/演出助手:田向宝史/照明助手:大藤健士/メイク:木村貴子/現像:東映化工/録音:ニュメグロスタジオ/効果:協立音響/協力:世田谷グループ/出演:岸加奈子・有栖川アリス・伊藤舞・植木かおり・小林節彦・川村青三・久須美欽一・池島ゆたか・山口賢二・落仮性一・児玉修)。録音のニュメグロスタジオが本篇から仕出かしてゐるのか否かと、jmdbに記載の見られる企画の田中岩夫がビデオ版―巨大なモザイクから類推―クレジットには見当たらないので、製作がメディアトップなのか新東宝なのかは不明。
 地下鉄ホームに下りるエスカレーター、メガネ美人が見切れてると目を引いたのはオーラを消した岸加奈子。赤く染まつたタンポンを抜くアップと、スポーツ紙の陰に、剃刀を構へた若い男(山口賢二以下の男優部に手も足も出ない)の目元のアップ。パンストが伝線してゐるのに気付いた岸加奈子は手洗いひに、一方汚物入れから使用済みタンポンを盗んでゐたマスクの久須美欽一は、ノックされ驚いた弾みにパクッとタンポンを口の中に放り込む、汚ねえな。化粧を直す岸加奈子の背後を、脱出する久須りんがシレッと通過。どうやつて撮つてゐるのかが謎の、運転席視点で地下鉄が駅に入る画にタイトル・イン。カメオらしいがビデオ版には特記のない伊藤舞―パケに皆騙されたのではなからうか―を、久須りんが電車痴漢。伊藤舞の傍ら、通勤途中の早坂洋子(岸)も別口を被弾する。若く明るい同僚・貴子(有栖川)と、大木運輸で事務員として溌剌とせずに働く洋子の、プライベートは別人のやうに一変。妖艶に女の武器を武装した上で、テレクラを介した一期一会に明け暮れてゐた。
 配役残り植木かおりは、伊藤舞と岸加奈子の電車痴漢がクロスする車内かと思ひきや、藪から棒にトリプルクロスであつた第三の女、ブスい。挙句に洋子に痴漢してゐるのは剃刀かと思ひきやきや、剃刀のターゲットが植木かおり。誰が誰に痴漢されてゐるのかよく判らないへべれけさは相変らず、といふか進歩なり学習せれ。池島ゆたかは、一度限りの―筈の―逢瀬の相手の洋子に惚れ込み、愛人契約を申し出る御仁。小林節彦と川村青三は大木の運転手コンビ、田所とナガサカ修二。貴子が好きな修二は洋子が好きで、年上の―見えないが―洋子を一見毛嫌ひするかに見せて、実は盗聴ストーキングしてもゐる田所が普段は貴子と仲がいいと、やゝこしい職場ではある。その他登場人物は久須りんアテレコの、手錠やクスコを持ち出した末にオナニーする洋子のポラも撮るギミック過積載の男と、洋子に痴漢した久須りんを突き出す男。因みに、何れにせよ落仮性一は広田性一とは別人。
 地味な事務員と、夜な夜な男を漁るセクシー美女。岸加奈子のキャスティングは完璧ともいへ、正直ヒロインの造形は類型的な鈴木敬晴1991年第二作。剃刀だ盗聴だ四角関係だと意匠も盛り沢山といふよりは寧ろ盛り過ぎ気味に、昼と夜とで対照的な女の日々を思はせぶりには描きつつ。兎にも角にも本気になるのは怖いが愛は欲しく、加へて父親との間柄にも何事か抱へてゐるらしき、洋子のバックボーンあるいは外堀が全く埋められずに放置されるゆゑ、とかく展開の腰が据わらない。アンニュイな雰囲気だけで見させるには、そもそも前述した誰が誰に痴漢してゐるのかよく判らない痴漢電車的には致命的なへべれけさのみならず、痴漢が原因で会社を馘になつた久須りんが自販機酒で荒れる一幕の直後に、洋子の部屋に―声が同じ―ポラ男から電話がかゝつて来る。洋子に逆恨みのリベンジを期す久須りんの、更に後から田所も追つて来るクライマックス。そこに特段満足に絡みもしない剃刀が割り込んでみたり、ある意味度肝を抜かれたのは時制を木端微塵に粉砕する、貴子を巡つて田所と修二が―大木で―喧嘩する謎インサート。本当にここだけは、そこにそのカットを挿み込む意味も理由も全然全く一欠片たりとて理解出来ない。等々ととかく、腰が据わらない展開は脇もユルユルに甘い。となると作品毎に作風がまちまちで捉へ処のない、鈴木敬晴にとつてある意味らしい漫然と生煮えた一作ながら、オーラスの、痴漢抜きのただの電車。今回は地下鉄ではなく、劇中初めて地上に出てゐた電車の外から差し込む暖かい陽光に包まれての、洋子がフッ切れた笑顔を見せるラスト・ショットは案外盤石。拡げることすらし損なつたかに思はせた風呂敷を、力技にせよ思ひのほか綺麗に畳んでみせた。


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 「OL 性の裏窓」(2001/製作:小川企画プロダクション/提供:オーピー映画/監督:小川欽也/脚本:池袋高介/撮影:図書紀芳/照明:岩崎豊/助監督:寺嶋亮/録音:シネキャビン/編集:フィルムクラフト/スチール:津田一郎/撮影助手:大嶋良教・吉田剛毅/照明助手:権田康典之/監督助手:村松健太郎/音楽:OK企画/効果:東京スクリーンサービス/現像:東映化学/タイトル:ハセガワタイトル/出演:時任歩・小山りかこ・風間今日子・平川直大・なかみつせいじ・開田あや・竹本泰史)。
 竹本泰史の息遣ひとともに、ダッチワイフのオッパイをベロンと捲る。緑介(竹本)がルミコと名前までつけて愛用する、ダッチワイフに挿入する背中にタイトル・イン。下手に入念に見せられても複雑な心境のダッチ戦事後、緑介の携帯が劇中本当に仲のいい佐伯からの電話を着弾。時機がら面倒臭げに取つた緑介も、ナンパの誘ひと知るや喜び勇んで出撃する。佐伯(平川)が秒殺した小山りかこと捌ける一方、緑介は何処ぞの軒先に干されたパンティを手土産にトボトボ敗走。佐伯V.S.りかこ(仮名)戦、ワン・カット如何にも不安げに小山りかこがカメラの方を見やるのと、絡みの最中演者から、ヘッドボード向かうの寝タバコを禁ずる注意書きにピントを送るのは謎。りかこに心を移した佐伯は、当初予定の島崎雪子(時任)とのデートを緑介に宛がふ。コロッと雪子に惚れる緑介に対し、自己中心的かつポップにキョドい緑介を雪子は完拒否。派手にフラれた緑介即ち竹本泰史は、階段ならぬ土手落ちも敢行する。挙句粘着質の緑介に以後付き纏はれてゐる件を、雪子は上司で課長の掛川(なかみつ)に相談。送り狼と化した掛川が雪子を犯す現場を、庭に忍び込んだ緑介は別に疑ひもせずに再び敗走。乱暴にルミコちやん一時改め雪子さあん(竹本泰史の声色で)を抱いた緑介は、射精後藪蛇に大きなアクションで体を離した勢ひ余つて後頭部を強打。するとどうしたことか、ルミコちやんが思つてゐることが音声として、緑介の頭の中に入つて来る。
 配役残り開田あやは、交差点にてぶつかつた、未だギフテッドな能力を自覚せず戸惑ふ緑介を―内心―罵る不機嫌な女。充実した濡れ場で中盤を支配する風間今日子は、緑介が初めから読心を自覚してオトす人妻。
 今上御大・小川欽也の2001年第三作は、山﨑邦紀最新作「変身人形 肢体を愛でる指先」で三年ぶりに古巣・旦々舎に復帰する、我等が“ナオヒーロー”こと平川直大(凄え今思ひついた)の、jmdb準拠でピンク映画第二戦。因みに初陣となる「性奴の宿 うごめく女尻」(2000/監督:池島ゆたか)が、何度か観てはゐるし河村栞の稚拙なレディコミで真相を開陳する、へべれけなハイライトだけならば覚えてもゐるものの、現状DMMピンク映画chには見当たらない。さて今作に於けるナオヒーローの戦ひぶりはといふと、文字に起こすだけで声が聞こえて来さうな「バーッカ」の発声を耳にするまでもなく、既に全然安定してゐる。事前には女にからつきし縁のないダメ男とその親友にして対照的なヤリチンが竹本泰史と平川直大といふと、一見役が逆ではないかと思ひかけつつ、ボサボサ頭に着たきり雀の鼠色のトレーナーと馬鹿デカいメタルフレームで巧みにキモメンに化ける竹本泰史(現:竹本泰志)を見るにつけ、デビュー間際のナオヒーローに元々のイケメンを殺す芸当が可能か否かと検討した場合、案外手堅い配役であつたのかも知れない。
 映画の中身に話を戻すと、頭を打つた正しくものの弾みで、女の心の声が聞こえるやうになつた主人公が忽ちモテモテになる。男の心は聞こえない器用な奇跡の所以の、説明の要も感じさせないし実際一切手をつけもしないお気楽なファンタジー。緑介・ミーツ・雪子のシークエンスは、サッカー観戦。撮影当日は試合日ではない以上、待ち合はせ場所となるスタジアム前は本来無人。であつたものを、一応歓声のSEを流し四人ばかり―に過ぎなくとも―走らせてみる。緑介のストーキングに悩む雪子は、掛川に空き巣被害を訴へる。序盤の下着ドロをそこに直結するのは流石に無理があるだらうと脊髄から折り返してツッコまうとした直後のカットで、佐伯が緑助の家に遊び行くと、雪子の心を理解したいと緑介は雪子の衣類で女装してゐた。電話では仕事と称して私服でりかことドライブに行く気満々の佐伯から、緑介が如何にサッカーのチケットを受け取つたのかに関しては華麗に等閑視しこそすれ、遣り口は貫禄のチープさなり出鱈目にせよ、開きかけた穴を、珍しくほぼ逐一塞ぐ。最低限の辻褄は合はせるらしからぬ細心にも支へられ、お手軽なラブ・ストーリーが、女の裸を連ねることを宗とするプログラミングと綺麗に融合。俳優部も安定し、何てこともない小一時間をそれなりにサクッと楽しませる、標準的な量産型娯楽映画。緑介と雪子が結ばれた事後、カメラが寄るのは無人の緑介自室のルミコちやん。「フフ、私はもう御用済みね」とおどけてみせるルミコちやんのカットが、何気にウェットな琴線に触れる。

 別に狙つた訳でも何でもないのだが、最新作を前に振り返つてみたナオヒーロー作が、趣向は全く異なれど人形ピンクであつた純然たる単なる偶然に、牽強付会気味にいひやうのない感興を覚える。

 自力で辿り着いた事実誤認を訂正する付記< 平川直大のフィルモグラフィーに関して、ナオヒを忘れてた!ナオヒーローのピンク映画デビュー作は、ナオヒ名義での「若妻覗き 穴場の匂ひ」(1998/監督:小川欽也/脚本:八神徳馬/主演:川島ゆき)。今作は、仮にjmdbに幾らか抜けがあつたとしても四捨五入すれば二十に、即ち既に十二分に場数を踏んでゐる


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 「誘惑遊女の貝遊び」(2015/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小松公典/撮影:ザオパン・ツェン/照明:ホンゴウタケシ/録音:日高成幸/編集:有馬潜/助監督:小山悟/音楽:與語一平/音響効果・整音:高島良太/カラリスト:中沢雅人/テクニカルプロデューサー:泉知良/監督助手:根本隆彦/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:かすみ果穂・RiKA・倖田李梨・ダーリン石川・津田篤・服部竜三郎・小林節彦)。初見のセカンド勢に惨敗する。
 カンパニー・ロゴから新調したタイトル開巻、キャリーバッグを引くかすみ果穂がヒッチハイクの車を捕まへるべく元気に突き出した右手は、親指を中指と人差し指の間に挟んでゐた。何処ぞの海に近い町のちよんの間「どれみ」、住み込みのパン女・椎名志渡(RiKA)が、旅に出ると称して一日で出戻つて来た同じく宅間空(かすみ)を朗らかに笑ひ倒してゐると、どれみの主人・土岐要(ダーリン石川/ex.石川ゆうや/ex.石川雄也)がガールズトークを冷かしながら顔を出す。そこに名実ともに三番手の轟麗(倖田)が、表に死体があると飛び込んで来る。車に乗せた空に―志渡に教へられた―ボディ・サイン上当然迫つて来た音野楽一(服部)を、空は半殺しにしてゐた。カット跨ぐどさくさ紛れに車を売り払はれた楽一は、どれみで働く羽目に、一体こんなの社会生活はどうなつとるんだ。翌朝、入院中の病室を抜け出した要の父・三波(小林)も参戦し賑やかなどれみに、要の後輩で、町役場に勤める不破尊志(津田)が現れる。筆卸はどれみにて馬場ちやん相手に済ませた尊志ではあつたが、浄化運動を進める町に、どれみは狙はれてゐた。
 35mmフィルム映写とプロジェク太、主砲二門態勢だなんて所詮は浅墓な素人の浮世離れした夢物語。結局サクッとデジタルに完全移行した八幡は前田有楽に早速やつて来た、竹洞哲也2015年第一作。因みに上映環境の概観としては、新東宝とオーピーは―地元駅前ロマンや故天珍よりは全然マシなレベルで―そこそこ。但しオーピーが殊に、暗めの画が厳しい。一方順番通り第一弾「人妻禁猟区 屈辱的な月曜日」(2013/音楽・脚本・監督:清水大敬/主演:北条麻妃)が着弾したデジエクはといふと、清々しいまでのビデオ画面ながら、結構な大きさのスクリーンに家の液晶感覚で馬鹿みたいにクリアに映る。映画ぽいかぽくないのかはこの際兎も角、それはそれで衝撃的。デジタルカメラに35mmフィルム用のレンズをブチ込んだ、浜野佐知作がどのやうに見えるのかが今から凄く楽しみ。
 映画の中身に話を戻すと、義理と人情の狭間で揺れる売春宿を舞台に、空×要、志渡×尊志の二つの恋路が家族の問題も絡めて並走する。といふ粗筋自体に問題は何らないものの、尺が―何故か―十分伸びたにしてはなほさら、万事の最終的な明示を避けた上で、且つ麗がとんでもない酒乱である濡れ場らしからぬ一幕以降、わざわざストレンジャーを転がり込ませておいて音野が―麗もだが―ほぼ退場したまゝと、何となく思はせぶりな遣り取りを連ねるばかりで悉く痒いところに手を届かせずに済ます作劇にはある意味吃驚した。初見の服部竜三郎の、印象が残る余地もない。となると一点立ち止まつてみたくもなるのが、オーピーが立ち上げた新プロジェクト「OP PICTUERS+」。一つの企画をR18+とR15+の2バージョンで制作、従来通りピンクの小屋でかけるR18+版に対し、濡れ場をオミットしドラマ部分を分厚くしたR15+版を、「OP PICTUERS+」の看板で一般劇場公開するとのこと。よもやとは思ふが、もしも仮に万が一。まさかプラスで片をつけた―つもりの―物語が、無印ピンクに於いてはお留守になつただなどとふざけた相談ではあるまいな。さうだとするならば本末転倒ここに極まれり、それほど小屋の観客を馬鹿にした話もなからう。よしんば無印プラス何れも去就を最後までは描かずに、余白を残した戦法を採用したにせよ、風呂敷を拡げるまでが十全であつただけに、性懲りもなく些末な小ネタを隈なく鏤めるに終始する以外にもつとほかに挑む正面戦もあつたのではないかと、相ッ変らず首を傾げざるを得ない次第。それとも、この期に及ぶにもほどがありつつ、開巻近辺の超速を誇る新田栄とは対照的に、竹洞哲也といふ人は異様に語り口が遅いのか?個人的な嗜好と片付けてしまへば元も子もないが、せめて強力に色つぽいRiKAの、裸をもう少し―どころでなく―お腹一杯に見たかつた。


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 「おやぢ男優Z」(2014/制作:月の石・セメントマッチ/監督:池島ゆたか/脚本:五代暁子/原作:有末剛『緊縛亭日常外伝・おやぢ男優ズ』より/エグゼクティブプロデューサー:空乃雲之・大池潤/プロデューサー:池島ゆたか・森口あゆみ/撮影監督:清水正二/撮影:海津真也/編集:山内大輔/音楽:大場一魅/助監督:田中康文/録音:小林徹哉/制作担当:藤井理代/監督助手:小川隆史・菊島稔章/撮影助手:矢澤直子/照明助手:広瀬寛巳/ヘアメイク:ビューティ佐口/スチール:津田一郎・山口雅也・中江大助・杉本晋一/メイキング:山内大輔/演出部応援:森山茂雄・佐藤吏・江尻大・中川大資/協力:株式会社アシスト・飯岡聖英・宇野寛之・上野オークラ劇場・シネキャビン・酒井編集室/出演:なかみつせいじ・牧村耕次・竹本泰志・坂ノ上朝美・竹下かおり・星野ゆず・世志男・日高ゆりあ・倖田李梨・衣緒菜・野村貴浩・三貝豪・柳東史・平川直大・樹カズ・松井理子・紅那由多・田中康文・津田篤・久保田泰也・吉行由実・那波隆史・沢村麻耶・国沢実・小松公典・江尻大・佐藤吏、他多数/エキストラ:中川大輔・森山茂雄・桜井明弘・桜井パパ・かわさきひろゆき・細山智明、他大勢)。
 波止場からなかみつせいじが海に釣糸を垂れる、「人間は一生に一度のある時期、愚かなる寄り道をしたくなるのではないだらうか?」云々と山邦紀にも通底する視座を投げた上で、手荷物の中のAVを抜いてタイトル・イン。タイトル明けるとエターナル閉店したステージ・ドアー、豆田満男(なかみつ)は早期退職制度に乗つかり脱サラ、念願のスナックを開店するものの一年ともたずにあへなく頓挫。借金を抱へ、妻・知恵(竹下)と娘のあかり(星野)にも逃げられる。田中康文が店長の居酒屋で皿を磨きながらネカフェ暮らしを送る豆田は、スポーツ紙アダルト面のAV女優(衣緒菜)のグラビアに垂涎、男優募集の新聞広告に目を留める。豆田が訪ねた先は、廃墟の筈の上野オークラ旧館。そこを根城とする謎のオカマ・熊さん(世志男)に喰はれつつも、豆田は一山幾らの汁男優の道に入る。初仕事後同業の蜂谷岩男(牧村)・大前静夫(竹本)と知り合つた豆田は、親分肌の蜂谷に誘はれ、蜂谷と大前が共同生活する古びた一軒家、その名も「どん底ハウス」に厄介になることに。そんなある日、一度仕事で一緒になつただけの人気AV女優・夏目ゆりあ(坂ノ上)が、自宅周辺に出没するストーカーから逃れどん底ハウスに転がり込んで来る。
 一般映画ばりに膨大な配役―だから一般映画なんだよ―の中から主だつたところを抜粋すると、山邦紀最新作「変身人形 肢体を愛でる指先」で三年ぶりに古巣・旦々舎に復帰する我等が平川直大は、AV女優・サキ(日高)の相手役の男優。倖田李梨は、ゆりあのマネージャー・ミズキ。売れつ子男優・加藤たかお(野村)に平然と喧嘩腰で絡む、AD役の津田篤の造形の意味がよく判らない。国沢実はキレッキレぷりが愉快なAV監督、この人自分の現場でも同じやうなノリであつたならば、出来上がつた映画の湿つぽさとのギャップに笑ふ、久保田泰也が国沢組のAD。吉行由実は、松井理子が取材した新聞記事を通して失踪した夫に辿り着く、蜂谷の妻・幸子。那波隆史と沢村麻耶は余命幾許もない高岡敦也と、その妻・あおい。大前が家族からのメールかと、皆に背を向けあおいからであつた訃報を受け取る件。涙を堪えきれぬ大前の異変を、ピントの遥か彼方であつても十全に察してのけるなかみつせいじの地味な名演が捨て難い。一番大事な人を忘れてた、Tシャツ芸を解禁したピンク映画の精霊・広瀬寛巳が、当然の如く照明部に見切れる。
 全国各地のゲリラ戦を経て漸く九州に着弾した、自主製作による池島ゆたか一般映画第一作。まづいの一番に目を引いたのが、事前の勝手な予想を大幅に上回る画の美しさ。これは確かに、そこら辺の映画に全然引けを取らない。スタッフは概ねどころか、完全に一致するゆゑ、デジタル・オーピーも今作の水準を望めるものかと意を決してお尋ねしてみたところ、仕上げにかける金の額といふいはゆる大人の事情で、さうは問屋が卸さぬとの清々しき御回答。なかなかどうして、事が望んだやうには上手く運ばない。外見(そとみ)から映画の中身に話を進めると、何はともあれ見所は坂ノ上朝美の超絶巨乳。撮影中男優(樹)に揉まれる形で文字通り飛び込んで来る、エポック・メイキングなまでの存在感は圧巻。とりあへず木戸銭の元は取れると一旦狂喜しこそすれ、ガンッガン尺も費やし坂ノ上朝美の濡れ場を見せ尽くすとまでは行かず、笑顔と泣き顔の区別も判然としないやうなお芝居はといふとエクセスライクに近い御愛嬌。場数と履いたドラマの下駄込みで、作中最も訴求力の高い絡みは、沢村麻耶のものではあるまいか。だから一般映画だといつてんだろが、ピンクぢやねえんだよといふツッコミが聞こえてきかねないのでお話本体に相対すると、“おやぢ達はどん底で“天使”に出会つた・・・”。簡潔にして秀逸なキャッチが、全てを物語る。鎮西尚一十五年ぶりのピンク映画第五作―厳密には一本目は買取系ロマポ―「熟女淫らに乱れて」(2009/監督:鎮西尚一/脚本:尾上史高/主演:伊藤猛)を対極に位置する引合として出すと、今回池島ゆたかが選んだ趣向なり主眼は、100パーセント正しいと支持する。流石にここが底かと思ひきや、ますます悪くなるばかりの底抜けに底の見えないクソ以下の昨今、時代に求められてゐるのは冷たい北風ではなく、偶さかの慰撫にせよ怠惰な現実逃避に過ぎなくとも、暖かい南風なのではなからうか、私は常々さう思ふ。絶望的な状況下にあつて、凍えた体に氷をくべる、絶望的に暗い映画なんぞ撮る方からどうかしてゐる。ましてやそれを観て喜んでゐやがる手合は、拗らせた下衆が勘繰るに他人の絶望を高見から見物してゐられる、恵まれた連中に恐らくさうゐない。ドロップアウトした者、まゝならぬ困難の中必死に足掻く者、そしてほぼほぼ人生を詰んだ者の前に、オッパイが大きくて―そこそこ―可愛くておまけに気立てもよい、のんべんだらりとした男目線は認めた上で正しく天使のやうな若い娘が現れる。ゆりあの溢れ弾ける色香にどん底ハウスの三馬鹿が鼻の下をポップに伸ばす、束の間の描写は他愛ない一幕ながら、師匠・深町章や無冠の帝王・新田栄らの如何にも量産型娯楽映画的な艶笑譚の系譜を池島ゆたかが引き継ぐ、何てこともないのに、何故だか穏やかな幸福感が胸に染み入る名場面。とりわけ、坂ノ上朝美がオッパイでなかみつせいじの肩を揉むショットは天才、的ではなく紛ふことなき天才。けれども楽しかつた日々は、何時までもは続かない。銘々が各々の新しい道を歩み始める中、唯一人どうすることも出来ずその場に立ち尽くすほかない豆田が、次第に取り残されて行く展開も迫るものがある。尤も、ハッピー・エンド以外の選択肢は初めからなかつたのか、あるいは原作通りともいへ、如何せん都合のいいラストには拍子を抜かた。わざわざ土砂降りの雨に打たれ仰々しく豆田が苦悩してみせる、理由がそもそもないではないか、逃げ場があるのに。考へてみると、最終的には銀幕に映し出される映画を、現し世の出汁としてしか捉へなかつた「いんび快楽園 感じて」(監督:池島ゆたか/脚本:五代暁子/主演:琥珀うた)と、孤独なオタク青年が、誰も知らない女優とピリオドの向かう側で添ひ遂げる「囚はれの淫獣」(脚本・監督:友松直之/主演:柚本紗希・津田篤)がオーピーのラインナップに並んだ2011年。虫ケラのやうに儚く潰えたダメ人間の魂に、目一杯のロマンティックで精一杯のレクイエムを奏でる。現状の池島ゆたかがさういふ類の演出家ではない、よくて地に足を着けた、もしくは夜の夢を誠と成す飛翔力を欠く諸刃の剣は、よくよく思ひ返せば既に明らかであつた。北風よりも南風をと吐いた筆の根も乾かぬ内の与太を吹くやうだが、個人的にどうしても躓かざるを得ないのは、帰るところすら持たぬ人間なんて、世の中には幾らも居るといふ情容赦ない事実である。

 エキストラの中に見付けた、細山智明の名前には驚いた。となると逆に、高田宝重が見当たらないのは少し寂しい、神戸顕一に思ひ至ると更に凄く寂しい。


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 「人妻痴漢教習 バックからOK!」(1998『痴漢教習所 握つて!』の2015年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/脚本・監督:坂本太/企画:稲山悌二《エクセス・フィルム》/プロデューサー:伍代俊介/撮影:創優和/撮影助手:ジョナ・バベラ/照明:小峯睦男/照明助手:野田友行/助監督:羽生研司・加藤義一/ヘアメイク:松本貴恵子/製作担当:真弓学/スチール:本田あきら/編集:金子尚樹《フィルム・クラフト》/効果:東京スクリーンサービス/出演:高橋真祐美・林由美香・村上ゆう・久須美欽一・前川勝典・山本清彦)。
 大郊外のマイホーム新居での、常盤雛子(高橋)と何だか元気のない夫・耕作(山本)の夫婦生活。雛子はあれこれ積極的に手を尽くすも、往復三時間の通勤とローン返済目的の残業に屈し、終に勃たない耕作は面目なささうに断念。ポップに雛子が悲鳴を上げると場面が昼間にと時制から一変、雛子の姉・小泉美沙(林)が一人で運転する、「大山パーソナルドライビングスクール」(以下OPDS)の教習車。喘いでゐるのか、明らかに尋常でない美沙の様子を抜いてタイトル・イン。美沙が教官の指を求めるや、OPDSの校長・大山(久須美)が潜めてゐた身を起こす。再教習と称して美沙と大山が車中で致す一方、耕作から心因性勃起不全の診断書を突きつけられた雛子は一念発起。耕作を送り迎へするための、免許所得を決意する。後述する村上ゆうと前川勝典の顔見せと一仕事挿んで、雛子は相談した美沙に紹介された、OPDSの門を叩く。玄関にさりげなく掲げられた、“無認可”の文言が気が利いてゐる。
 改めて配役残り村上ゆうと前川勝典は、OPDSの痴女教官・永野と教習生の、組で唯一人免許を持つてゐないヤクザ。学科は免除の最終検定試験、ガッチガチの強面に扮した前川勝典に村上ゆうが投げる、「行くぞチンピラ」の名台詞が笑かせる。
 工藤雅典の最高傑作、「美人おしやぶり教官 肉体《秘》教習」(2001/橘満八と共脚/主演:岩下由里香)くらゐしか探してみると案外見当たらない、運転教習所ピンクの先陣たる坂本太1998年第二作、何気に久須美欽一と前川勝典が両作に皆勤してゐるのが偉い。何はともあれ、台車にマルッと載せた車を引つ張りつつの撮影で、運転しながらの濡れ場をガンッガン繰り出す度量が素晴らしい。坂本太の些末に脇目もふらぬ逆説的にストイックな演出は、例によつてセックスと運転教習とが直結した底の抜けた世界観に、僅かなりとて疑問を感じさせることもなく。フットワーク抜群の林由美香と村上ゆうに、超絶美乳を誇るエクセスライクな主演女優は、正直作り物臭いところまで含めて御愛嬌。手堅い男優部にも穴はなく、六十分面白可笑しく女の裸を楽しませて、後には何にも残さない。これはこれでこれでもピンク映画のひとつの完成形、量産型娯楽映画の大山の中にあつて、慎ましやかに輝く宝玉の如き一作である。


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 「怪談 女霊とろけ腰」(2014/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:鎌田一利/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/音楽:友愛学園音楽部/録音:シネキャビン/助監督:櫻井信太郎/撮影助手:酒村多緒・高橋草太/スチール:本田あきら/応援:江尻大/現像:東映ラボ・テック/出演:水樹りさ・星野ゆず・佐倉萌・山本宗介・井尻鯛・岡田智宏・電撃チャック・中村勝則・GON・東京JOE・紅森伐人/語り:小川真実)。出演者中井尻鯛と、電撃チャックから紅森伐人までは本篇クレジットのみ。
 主演女優の体を、男達の手が這ふスチールを何枚か連ねタイトル・イン。ノートPCをチマチマ触るカメラマン・井川公次(岡田)宅を、デリヘル「夢チュッパ」の嬢・千穂(星野)が訪ねる。一戦交へた事後、千穂がしげしげ手に取る写真の中から、心霊写真が出て来ると井川は千穂を風呂に促し、最終的に小川真実を連れて来るほどのこともない、終始中身の薄い語りが入る、“この物語は二十年前彼が体験した、不思議な出来事から始まる”。誰に読ませたところで、文面から殺風景ではある。当時大学生の井川は、コンテスト応募用の写真を撮るべく深い山の中に入る。沢で足を滑らせ、軽く滑落し意識を失つた井川が目を覚ますと、家に担ぎ込み手当てして呉れてゐた蓮(水樹)が、騎乗位で跨つてゐた。何といふか、この上ない至れり尽くせり感。そのまゝ井川は蓮と愛欲に溺れる日々を過ごすも、蓮は頑なに、肌を晒しはしなかつた。ある時終に、嫌がる蓮をヒン剥いてみた井川は驚愕する。蓮の全身は、おどろおどろしい人面瘡で覆はれてゐた。結局その時、恐怖に駆られた井川は蓮を捨て逃げて来たものだつた。劇中時制現在復帰、湯に浸かる千穂が、鮮血に染まる怪現象に見舞はれる。風呂場に飛び込むと恨めしい蓮の声を聞いた井川は、再び入山を決意。トンネルの深い闇の中から超絶のカットで浮かび上がる、蓮の侍女・彩(佐倉)が井川を出迎へる。
 配役残り山本宗介・井尻鯛(=江尻大)と、電撃チャックから紅森伐人(=鎌田一利)までは、ゾンビみたいな造形の亡霊要員。ODZのパンフレットを読んでゐて、内藤忠司と竹洞哲也を足して二で割つたやうなのが、東京JOE(a.k.a.大池潤)であると判明した。
 幽霊映画ならば昨年のお盆映画「愛欲霊女 潮吹き淫魔」(監督・脚本:後藤大輔/主演:竹本泰志・北谷静香)もあれ、タイトルに怪談を冠するのは今上御大・小川欽也の監督40周年記念作品「淫欲怪談 美肉ハメしびれ」(2004/脚本:関根和美・清水雅美/主演:三上翔子)以来。小川真実の新作参加はといふと、若御大・加藤義一のこちらは監督10周年記念作品「どスケベ検査 ナース爆乳責め」(2012/脚本:小松公典/主演:あずみ恋・Hitomi)以来。地味に興味深く思へなくもない外堀は兎も角、本丸はツッコミ処があるのかないのかすら最早よく判らない加藤義一2014年第三作。まづは表面的ゆゑ御し易い、小川真実のナレーション起動前の序盤戦。井川が来宅した千穂を居間に招き入れる際、机上のノートと井川の座り位置が画面向かつて右から左に移つてゐるのは、千穂が靴でも脱いでる間に井川が動かした―何故さうしたのかは知らん―といふ言ひ逃れの余地を残すにつき百歩譲つてさて措くにしても、さて措けないのは挿入前に千穂が口で装着したにも関らず、フィニッシュ胸射の段になると消滅してゐるコンドーム。わざわざ星野ゆずが尺八を吹くカットを選択した以上、濡れ場が疎かになるのは頂けない。一方、舞台が山中に移るや、兎にも角にも圧倒的なまでの画の美しさに感嘆させられる。陽気にも恵まれ、美しく輝く木々の中に水樹りさと岡田智宏、フォトジェニックな二人を置いたショットの数々は悉く一撃必殺、35mm主砲の威力を心おきなく満喫出来る。反面、わざわざ下手な知恵を絞つて頓珍漢極まりないシークエンスに辿り着いた、彩の死に様もグルッと一周して感動しかねないくらゐに酷いが、他愛ない方便で呪ひが解けた筈なのに、バッド・エンドのためだけのバッド・エンドに至る物語本体は、スカスカなのかボロボロなのか豆腐か暖簾相手に喧嘩を仕掛けてゐるかのやうな、手応へさへ感じられない脱力する仕上り。怪談としては論外、女の裸をもいつそ等閑視してしまへ。雨の日にもションベン臭い場末であつても、清々しい森林浴感覚が味はへるフォレスト映画と捉へるならば文句なく一級品。今作に於ける仕事の一点突破で、紀野正人が飯岡聖英を押さへピンク大賞撮影賞―正確には技術賞―を強奪するのは、流石に映画トータルに足を引かれ厳しいか。
 彩の最期の備忘録< 山本宗介に犯された彩は、操られたのか井川を殺さうとする。鎌を振りかぶり井川を追ひ詰めるも蓮に制止され、我に返り放り投げる形で手を離れた鎌が、ブーメラン式に首チョンパ


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 「太股愛撫 悶えるナマ尻」(1992『ボディコンミニスカ onanie秘書』の1998年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:河中金美・田中譲二・松本弘樹/照明:秋山和夫・上妻敏厚/音楽:藪中博章/編集:《有》フィルム・クラフト/助監督:森山茂雄/制作:鈴木静夫/ヘアメイク:小川純子/スチール:岡崎一隆/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/ビデオ提供:ダイヤモンド映像《株》/出演:藤小雪・朝霧恵梨華・乱子・栗原良・杉本まこと・椿寿仁/声の出演:芳田正浩)。
 ダイヤモンド映像提供による藤小雪のビデオ映像に乗せて、二番手と芳田正浩の会話。劇中設定では藤小雪は、アダルトビデオに出演後失踪したスキャンダル女優・藤城由貴。二人の関心は、当然藤城由貴の行方。意外な事実を掴めさうと自信を覗かせる女いはく、「木の葉を隠す時は森に隠せ、女を隠す時は・・・・!」、上手い事謎を投げてタイトル・イン。ここまでは、抜群に綺麗に風呂敷を拡げてみせたのに。
 毎度御馴染東映化学(現:東映ラボ・テック)こと風間産業株式会社に、営業部本部長秘書の藤代雪子(藤)が颯爽と出社。メガネが伊達ではなく度が入つてゐるやうに見える、杉本まことが本部長の川崎。一方、週刊『モーニン』の記者・小栗満ちる(朝霧)が、俯瞰で風間産業に鋭い視線を送る。同居してゐるのか、恋人・本田浩一(浜野佐知前作のENK薔薇族『男街行き快速急行』でデビューした椿寿仁)とのセックス。最近感度が良くなつたと水を向けられた雪子は、公私とも順調である旨を窺はせる。ところで藤小雪の濡れ場、豪快にリップシンクがへべれけ。何故か秘書だけ外出してゐる隙に、満ちるが川崎を急襲。満ちるの要件は、序盤でいきなり投げる藤代雪子=藤城由貴ではないかとする本題。満ちるに藤城由貴のAVを見せられた川崎は、まるで取り合はない風を装ひながらもしつかり動揺、ザクザク高速展開は加速、返す刀で満ちるは本田にも接触する。満ちるの来訪に関して、川崎から聞かされた雪子は脊髄反射で自身が藤城由貴であることを否定しつつ、地味に御馴染割烹「富士乃」にて。川崎に口止めされたにも関らず、ポジションが不鮮明な風間産業女子社員(社長秘書?/乱子)から藤代雪子=藤城由貴?の件を耳にした社長の多分風間(栗原)は、重厚に浮き足立つ。
 配役残り、といふほど残りもしないが風間の運転手は、柳ジョージでも江藤保徳でもなく浜野佐知の配偶者・鈴木静夫。何処かで何回か観たやうで誰だか判らないTVリポーターの、声は芳田正浩のアテレコ、開巻氏との関係は不明。記者会見場では質問者の二人目に、山邦紀の声も聞こえる。
 見事な梯子の外しぷりがある意味で鮮やかな、浜野佐知1992年第九作。そもそも風間産業の藤代雪子に辿り着いた顛末から清々しくスッ飛ばしてのけた、小栗満ちるの藤代雪子=藤城由貴説の論拠は結局同じ顔と名前のアナグラムの二点張り。大体、女を隠す時は秘書だなどと一体どういふ発想だ。このまゝでは、あるいはそれだけでは映画の底が抜けかねないかと思ひきや、周囲の信用を得られない雪子が、満ちる経由で本田が残して行つたビデオを通して、藤城由貴と対話する大胆な一幕で見事なV字回復を果たす。“女だからつてして貰ふだけぢや嫌”、“藤城由貴には藤城由貴のセックスがある”と浜野佐知映画のヒロインらしく主体的な藤城由貴に、藤代雪子が次第に感化。雪子が半ば藤城由貴と同化しての、グイングイン藤小雪の凄い腰使ひが火を噴くエクストリームなオナニーが、天井から捉へる奮闘を見せる撮影部のアシストも受け今作最大最強の見所。ところが、ところがである。悪びれもせずにスカッとバレてのけるが藤代雪子は完全に藤城由貴気取り、我が意を得たりと満ちるが発表した記事で雪子との情事を告発された、風間も川崎も、こちらもこちらで浜野映画の男衆らしく呆然と意気消沈。したところで、当の藤城由貴が半年間の南米行からケロッと帰国する卓袱台返しには確かに驚いたといへば驚いた。冷笑する山邦紀の顔が透けて見えるやうな、アイロニーといふべきなのか満ちる・風間・川崎纏めて、映画ごと煙に巻かれるあつけらかんとしたラストは逆の意味で圧巻。結局締めのシークエンスは、目を白黒させる―しかない―栗原良と杉本まことを前に、藤小雪のボディコンミニスカ大股開きonanie二回戦。公開題を回収するフィニッシュは天晴ともいへ、切り札を切るのが二度目であるのと、収拾が全くつかない中終に尺さへ持て余し、明確に間延びしてしまふのはこの人の映画にしては珍しい。


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