真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「萌え盛るアイドル エクスタシーで犯れ!」(2016/製作:フリーク・アウト/提供:オーピー映画/監督:国沢実/脚本:高橋祐太/撮影・照明:海津真也/撮影助手:榮穰/照明助手:広瀬寛巳/録音:小林徹哉/助監督:夏湖・浅井康生/編集:酒井編集室/スチール:本田あきら/音楽:與語一平/整音:シネキャビン/タイトル:小関裕次郎/特殊造形:はきだめ造形/仕上げ:東映ラボ・テック/タイミング:石井良太/衣装協力:小平海美/協力:菊嶌稔章・《有》アシスト/出演:浅田結梨・夏目優希・桜木優希音・比佐仁・太三・豊川尚人・村田頼俊・生方哲・丘尚輝・鎌田一利・周摩要・電撃チャック・中村勝則、他大勢)。オープニングとエンディングとで主要キャストのビリングが異なる、オープニングはポスターと同じで太三がトメに来る。出演者中、五十音順で並べてみた生方哲以降は本篇クレジットのみ。
 のちにMC曰く“北半球に残された人類最後の正統派アイドル”なり“地上に舞ひ降りた天使”こと、アンダーグラウンドアイドル・熱音郁(浅田)のライブ開巻。曲は誰が書いたのか知らないが、浅田結梨の不安定な音程が爆裂する一節経て、郁がファンに「ありがとー☆」と手を振りタイトル・イン。とりあへず、きみと歩実とここまで2016年歌謡ピンクは豪快に二連敗、澁谷果歩のギターも大概御愛嬌ではあつたが。
 熱音郁大ファンの「スマイル警備」警備員・槍上亜久人(比佐)が、てれんこてれんこケミカルライト感覚で誘導灯を振つてゐると、通りがかつた高部万美(桜木)に当ててしまふ。当たり前も通り越し万美は口汚く激昂、ダメ人間・変態と罵られた槍上が万美を公衆便所に連れ込み手酷く犯すのは、ここでは勿論槍上の妄想。ここでピンク映画初陣の―三輪江一と同じ事務所所属の―比佐仁が、国沢実と田嶋謙一(ex.田崎潤一)を足して二で割つた俳優部、より正確にはダメ人間部のアルティメットウェポンたる逸材。国沢組次作には出て来ないやうだが、どうにか継戦して貰へないものか。話を戻して見るから怪しげな自称映画プロデューサー・須東寛二(豊川)に郁がまんまと捕獲される一方、帰宅した槍上の部屋に現れた謎の男・ディック(太三)は、“あなたのエロな妄想を実現するアプリ”なる「EROS NOTE」を槍上のスマホにダウンロードする。その時は真に受けなかつた槍上ではあつたが、後日同じやうな形で再会した万美を、EROS NOTEを使ひ実際に凌辱する。
 配役残り、凄腕がチュッパチャップスを咥へてゐるクリシェが清々しい夏目優希は、EROS NOTEの餌食となつた万美・郁の前に現れる謎の女・ユリアヌス。郁には性被害に遭つた女性を調査する探偵と名乗るも、一体その場合クライアントは誰なのよ?村田頼俊は、ラメラメのオレンジのジャケットで如何にもそれらしく務め上げる、イベントMC。生方哲以降は、十数人は擁したと思はれる、ライブ会場の客席要員。丘尚輝を又してもロストしたのは痛恨の極みながら菊りんも客席に見切れるほか、後述するマラ神を崇拝する群衆の中に、ひろぽんと国沢実も顔を出す。
 前々作「スケベ研究室 絶倫強化計画」(2015/主演:竹内真琴)・前作「陶酔妻 白濁に濡れる柔肌」(主演:美泉咲)と続く高橋祐太とのタッグで、それ以前からの好調を加速する国沢実2016年第二作。DEATHならぬEROS NOTEと来た日には、と草を生やさうとする態度は、今作を全然ナメてゐる。EROS NOTEの持つ力を認めた槍上は、ティアドロップのグラサンをキメるとその名も“地獄の警備員”に大変身、大暴走。槍上に須東から解放された郁は、感謝の気持ちと称して尺八を吹く。あるいは握手会会場で操られた郁がファンの手を乳に誘(いざな)ひ、ステージ上で諸乳を揉みしだき、果てにはゾンビ化した大勢のファンに輪姦される。高橋祐太はチンコでキーを叩いてゐるとしか思へない、神々しいまでに一撃必殺のシークエンスを連打する傍ら、EROS NOTEでエロスの神・ディック―因みに造形的には角の代りにチンコの生えた鬼―とロゴスの神・ユリアヌスの行動の自由をも手中に収めた槍上は、やがて自らをマラ神と成す。DEATH NOTE如き小賢しい推理か心理サスペンスどころか、神々の争ひが地球を丸ごと包む大ロマンに物語は大バースト。V.マドンナなプロテクターは殆ど全く機能しないともいへ、最終的に郁が槍上亜久人改め地獄の警備員改めマラ神と対峙。破滅の危機に瀕した、

 世界をオッパイが救ふ

 作劇的に最大級にして、同時に最も崇高なスペクタクルを臆することなく撃ち抜けるのは、ナベか国沢実しかゐない!これは2016年は国沢実がいよいよ天下を取る―監督賞だけなら二回獲つてるけど―のかと、海よりも深く感銘を受けた、のに。そこで救つたまゝおとなしく映画を畳めないのが、同時に国沢実の素直でない限界。


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