真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「純潔を破る!」(昭和57/製作・配給:新東宝映画/監督:増田俊光/脚本:真木信介・増田俊光/企画:藤枝三郎/撮影:熊田英明/照明:石部肇/音楽:東一郎/録音:渡辺基/編集:竹村峻司/効果:小針誠一/助監督:日垣一博/監督助手:山口行治/撮影助手:岡部文明・平沢智/照明助手:佐藤才輔/録音:ニューメグロスタジオ/タイトル:ハセガワプロ/現像:東映化学㈱/出演:杉本未央・南條碧・高中流水・外波山文明・田村寛・杉浦春二・椙山拳一郎・今泉厚)。
 尺八かと思へばハモニカだつたりするほど画面の暗い開巻、一分四十秒、少女の台詞で男女が兄妹である旨が判る。事後暗転、兄の矢崎透(今泉)が禁忌に触れた覚悟を問ふと、白痴の妹・ユミエ(杉本)は唯々諾々と承服する。ヒシとユミエを抱きしめた透の背中から、ピントを送つた手前には薬瓶が。眠剤をオーバードーズしたとかいふ寸法か、青暗い照明の中、並んで眠る二人。ところが透は目覚めると、単独で当初目的を達成したユミエを揺り起こさうとする、ウサギさんを抱へたユミエのスナップにタイトル・イン。一年後、死に損なひ工員として陰鬱な日々を送る透が、銭湯帰り自販機ビールを飲み飲み歩いてゐると女の悲鳴。現場に駆けつけると二人組(不明)に、杉本未央が輪姦されてゐた。ユミエ!と見紛つた透は介入するも、役に立たず秒殺で返り討ち。代る代る犯され意識を失つた杉本未央を、透は自宅アパートに連れ帰る。
 配役残りビリング推定で南條碧は、手紙だけ目を通すと包みも開けずゴミ箱に捨てられる、誕生日プレゼントを透に贈る事務員・ヨーコ。外波山文明と、大杉漣に結構似てないか?な田村寛は、とつゝきにくい透をからかふ昭和ウェーイな同僚工員。椙山拳一郎は後述するユミコ(杉本未央の二役)のバイト先、PUB HOUSE「LUPE」のマスターで、不完全消去法による高中流水がもう一人のLUPE店員にして、椙拳不倫相手。杉浦春二は恐らく矢崎家夏の帰省先、浴衣のユミエに悪戯する近所のをぢさん。「をぢさんが涼しくしてあげようか」と襟元を軽く肌蹴け、「こつちも上げようか」と裾を捲り「パンツも取らうか」と畳みかける華麗なコンボから、「今度は気持ちよくしてあげようか」とフィニッシュを撃ち抜きかけたところで、学生服の透が駆けつける。
 配信開始の古い順に、未見作を詰めて行く「Viva Pinks!」殲滅戦。第九戦は二月に上野オークラにも来てゐた、増田俊光昭和57年第二作。殲滅戦三戦後、増田俊光的には五作後となるjmdbだとキャリア最終年、昭和59年第一作「ONANIE24時間」も去年の十月矢張り上野に来てゐる。
 滅法ダークとの評判を見聞きしてゐたものだが、行くアテもないゆゑ透宅に居ついた存命の方の杉本未央が、自ら矢崎ユミコを名乗り透にお兄ちやんと懐き、おまけに家事まで嬉々とこなして呉れる。牡丹餅どころか棚からキッラキラ金貨が降り注ぐドリーミンな中盤は、案外底抜けに明るい。とはいへ過去を払拭出来ない―ケロッと喉元過ぎられても困るけど―透が自縄自縛に陥り、徐々にたち込める破滅のスメル。輪姦される毎に、今でいふとUSBメモリ感覚で記憶が出入りするメグミのある意味便利なポルノ体質はさて措き、無体なラストに完成する如何にもな因果は、綺麗に出来上がつたカタルシスがそれはそれとして清々しい。丁寧な成就を果たす外波文ズを筆頭に、俳優部全員が濡れ場に参加する布陣は裸映画的に強靭。かつ一昼夜の経過を語らない雑な繋ぎに、潔く三番手に徹するものかと思ひきや、椙拳との不倫関係に関して、愛があれば云々と他愛ない能書を垂れ―図らずも―ユミコの背中を押す形で、高中流水もギリッギリ展開に組み込まうとする一手間を踏んでみせてゐる点は好印象。逆に、ヨーコは透に岡惚れするばかりでユミコと掠りもしない南條碧が、寧ろ濡れ場要員といつていへなくもないものの。

 付記< 今上御大のソクミル旧作で南條碧に辿り着いた。南條碧が椙拳の不倫相手で、ヨーコ役は高中流水


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