真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「団地妻 肉欲の陶酔」(昭和54/製作・配給:株式会社にっかつ/監督:伊藤秀裕/脚本:中野顕彰/プロデューサー:中川好久/撮影:安藤庄平/照明:熊谷秀夫/録音:佐藤富士男/美術:渡辺平八郎/編集:西村豊治/音楽:高田信/助監督:川崎善広/色彩計測:森島章雄/現像:東洋現像所/製作担当者:岩見良二/出演:鹿沼えり・朝霧友香・梓ようこ・古尾谷雅人・丹古母鬼馬二・和田周・八代康二・大江徹・中村まり子・影山英俊・佐藤昇・町田政則・田口和政・赤石富和・吉野恒正・溜健二・マリア茉莉・橘雪子)。音楽の高田信が、各種資料に於いてはスペース・サーカスとされてゐる。
 天候に恵まれた砂浜から、左に暫しパンした先には別荘が。案外気の抜けた主演女優を窓越しに抜いて、夫の岡勝昭(和田)と当地を訪れた妙子(鹿沼)の前に、別荘の主で専務の海原(八代)が現れる。海原が現れるや、ウィスキーを買つて来るのを忘れただの、岡は不自然にそゝくさその場を一旦辞す。ところてん式に岡が捌けるや、「今度の人事異動で彼もいよいよ課長に昇進する筈だ」とか何だとか、脊髄で折り返す速さで海原は妙子のお胸に手を伸ばす。要は岡が出世を餌に、女房を上司に売つた格好の非道なアバン。改めて最後に一応再起動しこそすれ、含意のほどは率直なところまるで腑に落ちない、割とでなく寓話的な歌詞のボヘミア民謡「気のいゝあひる」を岡が口遊む波打ち際と、配偶者が他の男に抱かれる初戦を往き来する無慈悲なカットバック。岩の上で情けなく膝を抱へる、和田周の突き放した画が可笑しくて可笑しくて仕方ない。後背位の佳境で劇伴起動、喘ぐ妙子のストップモーションにタイトル・イン。タイトル明けは、課長昇進後の夫婦生活。従順な、裸映画ではある、この人等の関係が崩れてゐないのは不思議だけれど。「そのうちきつとこの団地から、脱け出してみせる」。何が斯くも現住居に不満があるのか外堀は終ぞ全く埋められない、正直正体不明の情熱を岡は燃やす、見た感じ一方的に。
 配役残り橘雪子は回転レシーブで文字通り飛び込んで来る、ママさんバレーにどうかした勢ひで打ち込む桃山夫人。尤も、ボールを拾ふといふより専ら、勝手に右往左往転がつてゐるといつた方が正解に近い気も。影山英俊はコーチの久保寺、適当なハンサムが団地妻に運動を指導する、この絶対的なまでの安定感。何事も起こらない筈がない、といふか適当とは何事か。梓ようこと中村まり子は桃山夫人の姿に性的な欲求不満を邪推する、赤木夫人と名なし夫人。練習後のシャワー、手前から梓ようこ・橘雪子・中村まり子・鹿沼えりと一番奥に、もう一人クレジットされぬまゝ花を添へる。演劇畑にゴッリゴリのキャリアを持つ、中村まり子が脱いで下さる僥倖クラスの眼福には軽く驚いた。朝霧友香と古尾谷雅人にマリア茉莉は、人目も憚らず往来でチュッチュチュッチュするミユキと青野修一に、傍で黙つて見てゐるルミ。本屋での万引きを目撃する形で青野と再会した妙子は、俄かに関心を覚え青野の跡を尾けて行く。ついて来た妙子を、青野は自身らの溜り場であるスナックに事実上招き入れる、大江徹がオカマのママ・お千代。佐藤昇から溜健二までは、ミユキやルミと既に店でたむろしてゐる青野の仲間。佐藤昇・田口和政・赤石富和の固有名詞はケン・ゴロー・トミー、トミーて。あと三人のうち誰かは不明な、コーイチもゐる。全員ヒャッハーな造形と扮装で、単車も転がすケンら六人―と同様にフラワーなミユキとルミ―を、カツオみたいな黄緑色のセーターを着た、パッと見ぼんぼんのセイガクにも映りかねない青野が束ねてゐる間柄が地味に謎。兎も角、こゝで如何なる伝手を機能させたのか町田政則以下五名は日活に、東映から連れて来た俳優部。町田政則は町田政則がゐるなあといふ程度で、絡みの恩恵に与るでなくどちらかといはずとも頭数稼ぎと賑やかしのワン・ノブ・ゼン。丹古母鬼馬二は結婚記念日の献立を妙子がぼんやり考へる、岡家のチャイムを鳴らす生活改善会の男・佐伯。生活改善会とは何ぞやといふと、腰を抜かす勿れ顎を外す勿れジョイトイの実演販売。生半可な想像力を易々と超えよ、大概な昭和のフリーダム。鍵を開けただけで、家に鬼馬二が上がり込んで来る状況は確かに恐ろしくもあれ、最終的には木に丹古母を接ぎに出て来た風の丹古母鬼馬二と、別にさしたる重きを置かれる訳でもない梓ようこの高位置が、何気にちぐはぐなビリングではある。その他主だつたノンクレとしては、青野に強ひられ選りにも選つて『刑法総論』(酒井書店刊)を万引きした妙子を、結構執拗に追ひ駆けて来る「待ち給へ」氏。
 軽く覘いてみようとしても今や公式サイトが開かない、エクセレントフィルムズを後(のち)に興す伊藤秀裕のデビュー作。その後結婚する鹿沼えりと古尾谷雅人の、初共演作でもある。あと日活公式サイトによると、団地妻シリーズ第二十二作。流石にこの辺りは、指折り数へてみるのも最早面倒臭い。ところで古尾谷雅人の倅が、何時の間にか二代目を世襲してゐるのは日本人の相当数が知らない知らなくて誰も何も困らない、琴線を甘く撫でる生温かいまめちしき。
 平凡な人妻が、偶さか出会つた無軌道な色男に、如何なる風の吹き回しか箍の外れた熱量で入れ揚げる。ありがちな話が例によつて、振り幅ないし絶対値以前にベクトルから、ヒロインの心情を俄かには測り難いまゝ何となく進行。最初は突発的に、展開がフルテンで弾けるのがまづ中盤。青野に会はせると騙つたケンが、妙子をノーヘル二尻で連れて行くのがよもやまさか、東映テイストのなほ一層狂ひ咲く岩船山採石場跡地(栃木県栃木市)。挙句、町政以下五人も各々のバイクで勢揃ひ。いはば一人欠けたワイルド6が集結しての、正対座位の体勢で妙子を載せたまゝケンが愛車を駆る、単純な下心を加減を忘れた発破で弾き飛ばす盛大なスペクタクルが圧巻。微妙に羊頭狗肉な本家が実はドライバーの、これぞ正しくセックス★ライダー。セクライで火の点いた、終盤は更に猛加速。先のことしか、しかも口にするのみの夫と、今を刹那的に駆け抜ける青野の対照を構築した、その果てで。アバンに関する恨み節も回収がてら、壮絶に激情を撃ち合ふ妙子と岡が、ある意味二人仲良くブッ壊れての背面立位で挿したまゝ、玄関突破はおろか団地の階段を本当に上へ下へする、締めの濡れ場は一撃必殺の惨事もとい讃辞に足る怒涛のクライマックス。誤魔化し含め、流石に寄つては撮り辛かつたのか隣接する別棟から狙ふ―それとも足場組んだ?―距離を保ち、女の乳尻と劇映画とを秤にかけ、後者を選んだきらひは否めないものの。晴れて手に入れた戸建二階のベランダにて、妙子が晴れ晴れと洗濯物を干すラスト。夢が目出度く叶つたのだらうが、御近所を仰天させる大粗相を仕出かした岡夫婦が団地にゐられなくなつた可能性も、「気のいゝあひる」のシニックに気触れると見えて来なくはない。
 純然たる枝葉ながら、唖然としたのが万引きさせた妙子と、青野が遊びに行く遊園地。汚い手洗の個室で致す青野が、妙子が落とした『刑法総論』を足で汲み取り式の便器に落とすカットには、小僧何て真似しやがると怒髪冠を衝いた。元号と世紀も跨いだ二十四年後、非業の死はテミスの逆鱗に触れたにさうゐない、恐ろしいな法学

 偉さうに仕切るばかりで、青野は劇中投げない若者たちの“ゲーム”にアテられたのか。桃山夫人の如くバレーに過熱する、妙子が遂に昏倒。介抱するプリテンドで久保寺すなはち影英が、フレームの中には二人しかゐないのをいゝことに、単なる壁際のベンチ―当然衆人環視―で剥いた妙子の乳を揉む。全く音沙汰ないのが何気に気懸りな、今上御大・小川欽也ばりの無頓着な大らかさ、イズイズム爆裂するへべれけなシークエンスにも確かに引つ繰り返りつつ、裏、もとい真の見せ場はそこでなく。ミユキとルミの二人で妙子を唆す、画面左から朝霧友香・鹿沼えり・マリア茉莉の順―背の低い順ともいふ―で並ぶ歩道橋のロング。スリムのジーンズに膝下のブーツを合はせた、マリア茉莉の足の長さが途方もない。90cmの大台にも爪先が届きさうな、全体朝霧友香と何十センチ違ふのか目を疑ふ股下には度肝を抜かれた。マリア茉莉の股の位置が、朝霧友香の臍より高い一種の壮観に、もう遣り取りの中身なんて全然入つて来ない。惜しむらくは、これでマリア茉莉が芸事に長けてゐれば、といふ絶望的なり壊滅的な天は二物を与へずぶり。もしも仮に、万が一。この人がせめて十人並にさへ達してゐて呉れたなら、歴史は普通に変つてゐたのかも知れない。


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 「若熟女と家出娘 たつぷりハメて」(2022/制作:鯨屋商店/提供:オーピー映画/監督:小関裕次郎/原案:関根和美/脚本:小松公典/撮影監督:創優和/録音・整音:大塚学/音楽:與語一平/編集:鷹野朋子/助監督:可児正光/監督助手:高木翔/撮影協力:夏之夢庭/スチール:本田あきら/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:根尾あかり・竹内有紀・成宮いろは・山本宗介・佐々木麻由子・市川洋・広瀬寛巳・ケイチャン・並木塔子・森羅万象)、撮影助手は何者の変名なのか。
 深夜の公園に、部屋着の主演女優がプラーッと現れるロング。に一旦女優部三本柱と関根和美、小松公典・小関裕次郎までクレジットした上でタイトル・イン。淡白なアバンが、結局脆弱な全篇の基調を成す。
 「何処よ、こゝ・・・・」、着の身着のまゝ財布も持たず飛び出して来た、小柳聖子(根尾)が途方に暮れる。とりあへず喉でも湿らせるかとした水飲み場、の先を争ふかの如く、殴られた傷を洗ふ菅原剛(山本)が聖子の気勢を制して割り込む。序盤中の序盤から、絵に描いたやうに不自然か不格好な二人の出会ひはどうにかならなかつたのか。最終的に、それどころの話ですらないんだけど。腹を空かせてゐる風情の聖子を、剛改め通称・つーさんは自宅に招き手料理を振る舞ふ。素頓狂の火にニトログリセリンをくべる不条理に近い超展開は、カット跨ぎの豪快な詐術もとい魔術で切り抜ける。切り抜け得たとは、いふてない。兎に角とかくそんな調子で、そこかしこからの援助に頼るのと深夜バイトで遣り繰りしつつ、つーさんは老若男女問はず困つた人間を見捨てて措けない人間だつた。端から底の抜けた絵空事の、外堀をどうにか埋めんと試みた一幕。だから、埋められたとはいふてない。深夜に見知らぬ男の家に連れ込まれ、脊髄で折り返し身を固くする聖子に対し、筋金入りの熟女専ゆゑ家出娘には関心のない旨示すべく、つーさんは段ボール一杯のDVDコレクションを開陳。その一番上にある「高速ベロ回転パート20」の、出来は正直ショボいパケを飾るのが並木塔子。軒並みSNSを畳んでゐる点を窺ふに、この人完全に活動を停止した?
 配役残り竹内有紀は元々つーさんとは離婚を手助けして貰つた縁で、現在はセフレ且つ女パトロン的な役割も担ふ杉貴子。最高ではないかといふ与太は与太でもキラキラと輝く寝言はよしとするにせよ、前作「夜の研修生 彼女の秘めごと」(2021/深澤浩子と共同脚本/主演:美谷朱里)と限りなく全く同じキャラクターは流石に如何なものか。といふ根本的な疑問に重ねてそもそも、“若熟女”とかいふ途轍もない語義矛盾、賛成の反対か。大体竹内有紀と根尾あかりなんて、公称は三つしか違はない、見た目もそんな変らない。ツッコみ出したら止まらないぜ、土曜の夜のピンクスさ。気を取り直して先に進む、森羅万象は頻繁につーさん宅に出没するアル中の松宮英二。アル中以外に、現況に関する描写はなされず。同じやうな齢のとり方をしてゐるのか、バンダナを巻いてゐると工藤翔子に似て映る佐々木麻由子は、つーさんから家賃を取らない大家、お姉さんと呼ばないと怒る。キャリア的には工藤翔子の方が長いけれど、齢は佐々木麻由子が二つ上。こゝで、案外間の空いた山本宗介と佐々木麻由子のフィルモグラフィを整理すると、山本宗介はもしかしてピンク版には見切れない可能性も留保する、竹洞哲也2022年第一作「はまぐり三景 吸つていぢつて」(脚本:小松公典/トメ:倖田李梨)のスチール出演をサッ引いた場合、山内大輔2021年第一作「淫靡な女たち イキたいとこでイク!」(主演:加藤ツバキ)での、轟然と復活を遂げた佐倉絆の介錯役以来。佐々木麻由子は、脱ぎ納めとなるのか工藤雅典大蔵第二作「爛れた関係 猫股のオンナ」(2019/主演:並木塔子)まで遡る。広瀬寛巳とケイチャンは、つーさんが―無論無償で―身の回りの細々(こまごま)した世話をする老人部。ケイチャンが純然たる端役で大人しく茶を濁す一方、ひろぽんは“ポンコツ”と“只今休憩中”、十八番のTシャツ芸を披露、殊にポンコツの切れ味たるや。背景のハンガーには、“運動不足”Tもかゝつてゐる。全体、この手の愉快T何枚あるんだ。そして、小癪な裸映画名義なのか平をオミットした市川洋が、聖子と結婚も見据ゑ同棲してゐた吉岡拓海。劇中聖子は職業不詳―つーさんを半ば養ふ貴子も―ながら、吉岡は普通のホワイトカラー。結論を一部先走ると、ヒロインの出奔事由が悲惨は確かに悲惨ではある、過去を勝手に拗らせてゐただけといふのはとんだ一杯案件。陰鬱な面持ちの勘違ひミスリーディングに引つかゝつたのか、実は吉岡に非は一切ない。といふか、勘違ひにミスリーディングもクソもねえ。閑話休題、往来でつーさんに来し方を思ひ起こさせる、悪戦苦闘する建築系の営業は不明。可児正光でも大将出陣KSUでもないとなると、高木翔なのかな。最後に成宮いろはが、痴漢の冤罪で全てを失つた、菅原の元妻・太田淳美。ちなみに松宮は、酒で身を持ち崩した口。別に成宮いろはと根尾あかりならば、熟女と家出娘の対照が無理なく成立する、並木塔子ないし佐々木麻由子でも。佐々木麻由子だと一番重低音―の説得力―がバクチクする、うん、マーケティング的な妥当性は知らん。
 果たして生前何処まで練つてゐたのか、関根和美の痕跡が節穴には見つけられなかつた原案を、弟子筋の小松公典が形にした小関裕次郎第五作。何時の間にか、文字通りの急逝から四年も経つタイム・ゴーズ・バイにプチ隔世の感、何せ大御大・小林悟に至つてはもう二十三回忌だし。
 いはずと知れた「おくりびと」を軽やかに拝借した、OPP+題が「たすけびと」。「おくりびと」ももう十五年前なのか、最早元ネタの届かない層も一定数ゐさうだ。話を、戻せ。つーさんがたすけびとの活動に身を投じた、発端から逆の意味で律儀にへべれけ。前述した理由で、菅原が荒んでゐたロスト時代。行き倒れの松宮を偶さか助け―てしまつ―たところ、意識を完全に喪つてはゐなかつた松宮の「ありがとな」が嬉しくて、以上。えー!と思はず声が出た、一人の人間の人生を変へる、契機にしては心許ないにもほどがある。要は「熟女と家出娘」に「たすけびと」、裸映画と劇映画が、ある意味仲良く共倒れた格好、総崩れともいふ。木に乳尻を接ぐ聖子の出し抜けな全裸告白といひ、溢れ零れる無尽蔵のツッコミ処に、寧ろ関根和美の遺した魂を酌めばいゝのかしらん。松宮の卒倒時、聖子とつーさんが、正しく矢継ぎ早に帰宅するドンピシャなタイミングも。
 「今日の一秒が明日の一分」、説教臭い娯楽映画ほど忌しいものもないが、つーさんが二言目には「気楽に行かうぜ」。云十年昔にキムタクが完成させた、ぞんざいな色男メソッドもとうに賞味期限が切れたのか。あるいは単に、封切り当時既にエフジュー代に突入した山宗が臆面もなく使はうとする、蛮勇に土台無理があつたのかは兎も角。粗野なジェントルを気取るつーさんの姿には、些かならず痛々しさ―あるいは薄つぺらさ―も否み難い。一方、根尾あかりも根尾あかりでホームグラウンドのAV畑では、演技派とやらで通つてゐるらしい。尤も、個性のない美人顔で総じて目の表情に乏しく、吉岡が結婚の単語を口にした途端、聖子がみるみる表情を曇らせる静かに鮮烈なカット以外、大した煌きは感じなかつた。
 貴子を伴ひ、つーさんが過去にケジメをつけに行く、一応の方便も設けられてゐるとはいへ。早めの締めかと思へた根尾あかり2.5回戦のあとに、驚く勿れ一時間も突破した土壇場に飛び込んで来る成宮いろはの絡みには、小関裕次郎は荒木太郎に劣るとも勝らないつもりかと度肝を抜かれかけた。尤もなほそののちに、つーさんと貴子も、聖子と吉岡に続き改めて結ばれる。即ち、最終盤に畳みかける怒涛の濡れ場・ストリーム・アタックを、①ビリング頭②三番手③二番手といふ超変則的な順序で仕掛けつつ、それが展開の流れにも沿つてゐる。といふ、三番手を緩衝材に挿む実際は極めて秀逸な構成込みで、それはそれとしてその限りに於いての見事な離れ業をやつてのけてはゐる、ものの。そのセンを狙ふには、脚本含め演出部の手数と自身の地力不足で、ビリング頭を喰ひきれなかつた二番手の限界が、最終的な致命傷となる画竜点睛の欠如。

 加藤義一とタメの当サイトは、己に太るのを許してをらずBMIほゞ20を未だ維持してゐる。なのでいはせて貰ふが、十も若い山本宗介の体が緩み膨らんで来てゐるのは全く以て頂けない。今なほ十分バッキバキな、平川直大―は当サイトの一個上―ことみんな大好きナオヒーローを見倣つて欲しい。

 付記< 23フェスのテア新檀上にて、塩出太志の口から伝聞形式ながら、並木塔子の復帰報告が為された模様


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 「女浮世風呂」(昭和43/製作:青山プロダクション/配給:日活株式会社/監督:井田探/脚本:山崎巌/製作:児井英生/撮影:岩崎秀光/美術:黒沢治安/編集:金子半三郎/音楽:大森盛太郎/ 考証:小川欽也/照明:石田清三郎/助監督: 森河内長康/録音:アオイスタジオ/製作担当:永野保徳/スチール:花沢正治/出演:葉山良二、二本柳敏恵、内田高子、岡崎二朗、名和宏、谷村昌彦、二本柳寛、火鳥こずえ、美矢かほる、谷ナオミ、清水世津、林美樹 辰巳典子、大月麗子、乱孝寿、S・クリケット、泉田洋志、冬木京三、大原譲二、鶴岡八郎、国創典、美舟洋子、椙山拳一郎、二階堂浩、種村正、里見浩二、新井麗子、福田トヨ、大塚弘二、久本由紀)。配給に関しては、事実上“提供:Xces Film”。
 今回、公開当時のタイトルロール原版が現存しない、とかいふぞんざいな理由で、上映素材のタイトル表示とクレジットを、海外公開版から持つて来る豪快仕様。尤も、打ち慣れないアルファベットを叩くのが面倒ゆゑ、その点に関しては平然と胡坐をかいて済ます。挙句、俳優部は林美樹で打ち止め、スタッフもスタッフでポスターにも載つてゐる考証の小川欽也―時代には非ず―以下、派手に端折つてのける断裁クレジットではある。ちなみに国内版ポスターに、名前が載るのはS・クリケットまで。
 荘厳なおピアノを鳴らし、堀からの上ティルトで江戸城を望む。「徳川五代将軍綱吉の頃」、都健二に匹敵する手堅い名調子でナレーション起動。士農工商の堅守を目論む幕府が、台頭する商工階級を抑へ込まうと娯楽を禁ずる法度を濫発。鬱積した町人の間で、湯女と呼ばれる女流三助が最終的には春をも鬻ぐ、湯屋が流行した背景を述べた流れで江戸時代のピンサロ的なロングに、「GAMES FOR LOVERS」の洋題でタイトル・イン。元来向かうでは案外さういふもの、といつてしまへばそれまでながら、グルッと一周してポップカルチャー的に一種の真理にでも到達しかねない、霞より薄いタイトルの無意味さが清々しい。あと、英題が「TOKYO BATH HAREM」ゆゑ、「GAMES FOR LOVERS」は米題なのかも、「TOKYO BATH HAREM」の方が十万億倍カッコいゝ。
 参拝する武家の娘・初瀬(二本柳敏恵)が、黒兵衛(鶴岡八郎/赤)と勘太(椙山拳一郎/黄)に六助(二階堂浩a.k.a.伊海田弘/青)、三人組の町奴に拉致される。続けて門付芸人のとよ(美矢)と、巫女のしゅん(林)も信号機三連星の餌食に。攫ふだけならまだしも、境内で巫女を犯すのは不味いだろ、“まだしも”ぢやねえ。一方、大奥中臈の初瀬(内田)が、翠光院に尼僧の妙照尼(火鳥)を訪ね百合の花を咲かす。ヅカの男役ばりの、パッキパキにソリッドな火鳥こずえの美貌には軽く驚いた。ところが百合を咲かせてゐる最中に、寺社奉行の藤枝外記(名和)が出し抜けか豪快に闖入。その時この御仁は其処で何を探つてゐたのか、隠密の梶野新三郎(葉山)も天井裏に潜んでゐた。あのさ、あんたら、そもそも尼寺なんだけど。
 気を取り直して、配役残り。冬木京三と大原譲二に泉田洋志は、金貸しの大和屋と廻船問屋の備前屋に、設定上は藤枝邸隣家の御家人―当人の自称だと“直参旗本”―とされつつ、傾(かぶ)いた着流しの造形的には浪人の用心棒くらゐにしか見えない神林半三郎。往時は抜け荷と呼ばれたオランダ相手の密貿易に、湯女を人身売買しようといふのが藤枝らの随分な悪巧み、ズイブン・ブン・ブン。S・クリケットは、何処から連れて来たのか備前屋が藤枝に献上する白人娘・クリスティーナ。如何にも拾つて来られた馬の骨ぶりを発揮しながらも、一応爆乳、全体的もとい全身的に過積載ともいふ。大塚弘二は、新三郎が遊び人の新三と素性を偽り、潜伏する長屋に暮らす按摩・宅一。里見浩二も長屋の住人で矢鱈色男のトギ安、新井麗子がトギ安の女房。谷村昌彦と福田トヨも、同じく悟道軒とその女房。悟道軒は講談師かね、好男子ではない。岡崎二朗が、新三にとつて相棒格の大工・太吉。清水世津は、初江ら同様湯女の補充に拐かされたひで。国創典は、藤枝一派が根城もしくは養成所とする、長屋近くの湯屋「さくらゆ」の主人・嘉助、美舟洋子が多分嘉助の女房・かね。久本由紀は、「さくらゆ」での入浴中藤枝に目をつけられる小間物屋の若嫁。南蛮渡来のギヤマンと称した、マジックミラーで覗ゐてゐるのが微笑ましい御愛嬌。更に、藤枝らが女体に垂涎してゐると、混浴の湯船に太吉が入つて来るネタは普通に可笑しい。乱孝寿・辰巳典子・谷ナオミ・大月麗子もカッ攫はれたみなさん、順につる・なつ・きよ・ちせ、なつは経産婦できよは妊婦。二本柳敏恵の実父である二本柳寛は、新三郎を指揮下に置く目付役・秋本加賀守。秀役とされる種村正が、どの人を指すのかどうしても判らない、ヒデなのかシュウなのかも知らん。
 ロマンポルノの産声に遡ること三年、日活が量産型裸映画を摸索してゐたその名も“日活本能路線”の第一弾、ブランド名から奮つてゐる。“本能路線”、それこそ根源的な欲求に、敢然とフルコンタクトで当てに来る姿勢が雄々しい。ロマポ第1.5作「色暦 大奥秘話」(昭和46/監督:林功/脚本:新関次郎=大工原正泰+松本孝二/主演:小川節子)の次の番組で、地元駅前ロマンに着弾したものである。話を戻すと日活本能路線は全て児井英生率ゐる青山プロダクションの製作で、一月後の第二弾「ある色魔の告白 色欲の果て」(監督:江崎実生)、更にその二ヶ月後の第三弾「秘帳 女浮世草紙」(監督:井田探)まで続く。国外にも売れただけあり結構当たつた模様、こゝでの時代劇ポルノの成功がのちの「色暦 大奥秘話」に繋がつた沿革を踏まへると、前後が逆とはいへ二作の連続上映とは、駅前にしてはなかなか味な真似をといつた趣。何せ平素はコロナ禍にあつても無防備な性愛が苛烈に火花を散らす、ゴッリゴリのハッテン場につき。考へてみれば性病上等の命知らずが、たかゞCOVID-19を懼れる道理もないのか。どがな世界なら、映画館は戦場だ。
 風来坊ぶつた正義の味方が、非道な巨悪と果敢に対峙するありがちな活劇。台詞の形でも二度明示される、新三郎の正体は御庭番。と、ころで。御庭番といふのは八代吉宗が創設した役職であつて、綱吉の治世下には未だ存在してゐない旨、半ば脊髄で折り返すツッコミも巷間には散見されなくない。尤も、野良犬一匹殺しても死罪の町人に対し、侍ならば如何なる悪行も許されるのか。太吉が振り絞る、明確に政治的なプロテストを成立させるためには、綱吉の制定した天下の悪法と名高い、生類憐みの令が必要であつたのにさうゐない、高かねえだろ。劇映画が最も弾む太吉のエモーションと秤にかけた上で、この頃御庭番はゐなかつた類のぞんざいに片づけると些末な史実には、囚はれるべきでは必ずしもないとする南風を当サイトは吹かす。何れにしても、猥らに御庭番なんぞ持ち出さず、単に隠密で事済むではないかといふならば、全く以て御尤も。
 女の裸的にはわざわざ今上御大を要は特技ならぬ濡れ場監督で招いたにしては、時期的な限界か絡みの訴求力は決して高くはない。どころか、ナンジャコリャの範疇にすら俵を割る。結局叶ひはしないものの、神林の篭絡を試みたとよが、自らが燃えたら逃がす謎ルールで事に及ぶ一種の据膳。神林がとよの首を絞め喜悦させるメソッドは理解に難く、幾ら奉行とはいへ、といふか奉行風情が大奥の中臈を手篭めにする、大概言語道断な一幕。よもやそこは江戸城―のつもり―なのか、本格的な日本庭園にて初瀬と再び接触した藤枝が、そのまゝ屋外で独楽のやうに女の帯を解く所謂「あ~れ~」を敢行、流石に「あ~れ~」とはいはんがな。ロケ地の制約か内田高子を満足に剥きもせず、苦悶がてら喜悦する初瀬のアップ。と諸肌までは脱ぐ妙照尼の凛々しいイメージ、に名和宏の悪党面。を連ねる破天荒なカットバックは煽情性の喪失ないし忘却も通り越し、前衛性の領域に易々と突入する。そ、れ以前に。何某か大人の事情でもあつたのか、紙一重ないし薄皮一枚の回避で、実は内田高子が脱ぐといふほど脱いではゐない。ついでで二本柳敏恵は、元々裸仕事の人ではないので脱がない。不発気味の入れポン出しポンよりも、浴場で気前よくか無造作に放り出す乳尻の方が、見せ方はプレーンにせよ寧ろ潤沢。あと当サイト的には、オッパイを持ち上げ却つて強調するかの如く隠す、辰巳典子の神々しいカットに琴線を激弾きぴんぴん丸。息するのやめればいゝのにな、俺。
 一応クライマックスに足るそこそこの大立ち回りも経て、憎き藤枝は無事処断。賑々しい日常を長屋は取り戻しました、目出度し目出度し。とはならないんだな、これが。初瀬を篭絡した藤枝が、上様相手に糸を引く荒業が逆の意味で見事に爆裂。大したダメージも負はず、藤枝こと名和宏が名悪役らしい憎々しさで高笑ふのと対照的に、一件を落着させ損ねた格好の新三郎はまるで敗れ去つた体でしんみり長屋を去る、物悲しいラストは勧善懲悪を完全否定。雅な色気をさて措くと、娯楽映画としては相当な変化球である反面、上手く勘違ひか下手に曲解した場合、虚無に片足突つ込んだ、冷酷な現実主義の可能性を残すのかも知れない。


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 「透明人間 犯せ!」(昭和53/製作:日活株式会社/監督:林功/脚本:桂千穂/原案:中野顕彰/プロデューサー:八巻晶彦/撮影:高村倉太郎/照明:新川真/録音:紅谷愃一/美術:渡辺平八郎/音楽:高田信/編集:山田真司/助監督:上垣保朗/色彩計測:森島章雄/現像:東洋現像所/イラスト:市村章/操演:㈱特効センター/製作担当者:天野勝正/出演:宮井えりな、マリア茉莉⦅新スター⦆、佐藤輝昭、青木奈美、吉沢由起、あき・じゅん、小山源喜、木島一郎、古今亭朝次、浜口竜哉、織田俊彦、司千四郎、梨沙ゆり、森みどり、飯田紅子、水木京一、小宮山玉樹、影山英俊、志麻いづみ、飛鳥裕子)。出演者中、マリア茉莉の新スター特記がポスターには新人で、飯田紅子から影山英俊までは本篇クレジットのみ。水京×コミタマ×影英のジェット・ストリーム・アタックがビシッとキマる、格調高いビリングに襟を正す。
 TV番組のレディーならぬ、「ピンクベビィ ヒットパレード」で意表を突く開巻。向かつて左からメイ(青木)とフウ(あき)の二人で披露する、少しは弄れよとツッコみたくなるほどそのまんま「透明人間」に、城南大学理学部の万年助手・中村一平(佐藤)が安穏とうつゝを抜かす。ところが歌詞の“消えますよ”で順に消失したメイとフウが、一平が目を白黒させる居間に要は貞子式に出現。ブラウン管の中では、司会者ぽい影山英俊がディレクターみたいな誰かしらから怒られてゐる、テレビをメイが後手に消す。“透明になる薬”と記載された薬瓶を、やをらノーイントロで取り出した一平はグビリと一服。メイが剥かれると何故かフウも連動して自ら脱ぐピンクベビィを、インビジブルになつた一平が抱く。光学合成と、プリミティブな正攻法を蛮行もとい断行する、演者のエア演技を駆使して。一平の「俺は透明人間だ」豪語に続き、ブリーフ一丁男の、人体部分が徐々に消える市村章のマンガにタイトル・イン。ち、なみに。太上天皇誕生日封切りの今作に対し、ピンクレディーの9thシングル「透明人間」の発売日は3.5ヶ月前の九月九日。脊髄で、折り返せ、電撃のロマンポルノが真綿色したシクラメンより清しい。
 タイトルバックも、市村章が一手に引き受ける。明けてファンタなアバンを一平の淫夢で片づけるのは、容易に想定の範囲内。配役残り志麻いづみは、一平とは大学時代から付き合つてゐた妻の桃子。夫の稼ぎだけでは足りないらしく、兼店舗の自宅でありがちな屋号のレストラン&喫茶「炉談」を営む。化粧の厚さが目につくマリア茉莉が、仔細は綺麗にスッ飛ばした上で姉夫婦と同居する、桃子の妹・風早真知子。司千四郎は一平を勝手にやきもきさせる、桃子の彼氏・青山佳夫。修士博士は知らんが院生で、目下取り組んでゐるのが米をガソリンに変へる研究。錬成でもするつもりか、ドルトン激おこ。小山源喜は一平の恩師、城南大を定年退職する理学博士・松山郁造。『物質透明化現象と光の屈折率について』なる劇中用語ママで資料を著し、装置の故障に伴ふ偶然の産物でしかないとはいへ、飲んだ者を透明にする―松山理論に基くと人体の屈折率を空気に近づける―赤い液剤と、元に戻す黄色い液剤も手にする。要は、上手いこと両面棚から降り注いだ模様の御都合世界観。そして宮井えりなが、松山の後任にMITから呼び戻される、城南大出身の才媛・黒川晶。現:七代目桂才賀の古今亭朝次は、桃子目当てで「炉談」に入り浸る男。ジャケットの上に食み出させた襟が、肩にも届きさうな途方もないドレスシャツを着てゐる。実際、正直邪魔だろ、それ。水木京一はクリアVer.の一平が忍び込む銭湯の番台で、飯田紅子が浴場にて犯される女。案外個別にも抜かれる女湯要員が、若干名気前よく花を添へる。忘れてた、梨沙ゆりと小宮山玉樹は一平が銭湯に赴く道すがら、覗きと痴漢を敢行するベンチで致してゐるお二人。飛鳥裕子は、ピンクベビィがステージに立つクラブを開店した、ex.ミクロネシア大統領夫人のその名もビデ夫人。百歩譲つて思ひつくのは仕方ないにせよ、思ひ止(とど)まれ。それとも、寧ろ形にしてのけた覚悟をこそ、言祝ぐべきなのか。閑話休題、こゝで影山英俊が、振付師的な男で再登場を果たす。浜口竜哉は、ビデ夫人にインタビューする推定芸能リポーター。アメリカで百合を覚えて帰国した晶に、劇中桃子に続き喰はれる女学生は吉沢由起。木島一郎と森みどりは、駐禁男と婦警。またしても尺の尽きる間際に滑り込んで来る織田俊彦は、真知子と青山の式場に、ヘテロにも目覚めた晶が連れて来るパートナー氏、下の名前はトシヒコさん。その他そこかしこに、数十名単位の頭数が潤沢に投入される。
 中村幻児をぼちぼち見進めて行く、楽天TVの支払がデビットカードだと通らないゆゑ、ポイントが貯まる間をマリア茉莉出演作で繋ぐことにした林功昭和53年第六作。宮井えりなの名前が、最初に来るのは軽く予想外。尤も、トメは飛鳥裕子に譲りつつ、実際の活躍度でいふと締めの濡れ場も務める志麻いづみが、最も大きい風に見受けられるところではある。あちらこちらから主演の座を狙へる質的のみならず、脱いで絡む人間限定でも畏れる勿れ怒涛の九番手まで揃へた、何気に超攻撃的な女優部。オールスター級のバイプレーヤー隊含め、分厚い布陣で敢然と正月映画戦線に臨んだにさうゐない、パシュートな前傾ぶりは圧巻、ひとまづ。
 透明人間になれたら何をする?といふ邪気のない問ひに対し。我等がアンチエシックス大将・バーホーベンの場合嫌な奴をブチ殺すのも加はるのはさて措き、裸映画の回答としては女に如何はしい行為に及ぶに決まつてゐる、薔薇族であるなら男に。一平が梨沙ゆりを犯す際律儀に装着したコンドームが、画面上は虚空に浮く神々しいショットから、中村家の風呂が壊れてゐる、十全な布石も踏まへての銭湯突入。タッパと乳尻に恵まれた、マリア茉莉のエモい裸に鼻の下を伸ばす番台役で、水木京一が飛び込んで来るカットなんてもう超絶にして完璧。この映画は完成されてゐる、としか讃へやうがなかつた、のだけれど。透明薬を有する一平以外に、新たなる透明人間をしかも男女で、当然姿こそ現しはしないものの登場させて、おきながら。正真正銘登場させただけで、広げた風呂敷を一切畳みもせず放り投げて済ますオチないラストに最も象徴的な、ぞんざいな作劇が全篇の基調を成すアキレス腱。主人公の姿が見えない視覚的劣勢の挽回でも図つたつもりか、一平が挿す毎にスッポンスポン馬鹿みたいな擬音を鳴らす友松直之ばりの過剰な音効は、大人の娯楽映画で子供騙しの興を殺ぎ続ける。そもそも元々決してクリアではない佐藤輝昭の口跡が、下手な処理を施された結果、結構何をいつてゐるのかヘッドフォンでも聞き取れないのは地味でない致命傷。騒動ないし起承転結をおざなりに茶を濁すのは十万億歩譲つて兎も角、青山をも拒み続けた真知子の破瓜を一平が適当に散らした挙句、以降処女性を事もなげに等閑視してのけるのは流石に考へもの。せめて裸映画くらゐ真面目に作つて欲しい気もするが、逆にそのくらゐのいゝ加減さへべれけさで、量産型娯楽映画はちやうどいゝやうな気もしなくはない。大分健闘する操演ほか、見所なり琴線の触れ処にそこそこ富む反面、最終的には面白くないのか詰まらないのかよく判らない一作、一択ぢやねえか。


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 「女子学生SEXレポート 実地研究」(昭和51/製作・企画:幻児プロダクション/配給:ミリオンフィルム株式会社/監督:中村幻児/脚本:荒井青・才賀忍/撮影:小水一男/照明:磯貝一/編集:田中一/音楽:山崎箱夫/助監督:草間宏之/撮影助手:遠藤正夫/効果:秋山効果団/記録:岩崎宏子/演出助手:旦雄二/録音:東音スタジオ/現像:ハイラボセンター/協力:ホテル シャンティ赤坂/出演したひと:小川恵、北洋子、仁科鳩美、安田清美、青山涼子、笹木ルミ、野口美沙、峰瀨里加、夏陽子、岡田良、深野達夫、大島𧙗二、三重街竜、林光男、山根一男、草間宏司、石田大介、渋谷凡太郎、ガイラ・チャン、矢野口健、団十郎、堺勝朗、竜谷誠)。俳優部のみならず、小水一男から始まるスタッフ陣も“創つたひと”で括られる。二人がかり脚本の荒井青と才賀忍は、それぞれ荒井晴彦と中村幻児の変名。
 「たとへばフリーセックス時代といはれてる一方で」云々、ビリング頭が終始いふほどの意味もない、能書の口火を切る。曰く許すふりして相手の舌を噛めだ睾丸を両手で思ひきり引つ張れだのと、欧州の性教育本に書いてあるとの実戦的な強姦対策法を開陳した上で、繁華街を闊歩するホットパンツの御々尻にタイトル・イン。寡聞にしてそんな小ネタ聞いたこともないが、音楽の山崎箱夫といふのはすは山崎ハコの変名かと脊髄で折り返しかけた、ものの。どうにも裏が取れないのと、普通にズンチャカ鳴らしてみたり、聴き覚えのある在物劇伴を耳にするに、どうやら単なる紛らはしいか人の悪い変名に過ぎない模様。前年世界中で大ヒットを飛ばした、ヴァン・マッコイの「ハッスル」も無断拝借してみせる。ついでといつては何だが、jmdbとnfaj検索にグーグル先生の助太刀を仰いでも、今作以外で山箱名義が使用されてゐる形跡は今のところ見当たらない。山崎箱夫、割とコロンブスの卵みある、二番煎じで石川芹男とか。三番煎じで荒井弓雄、キリがねえ。
 閑話休題、原つぱを逃げる野口美沙を、アテレコ臭いガイラ・チャン(=小水一男)が追ひ駆け、犯す。「イメージの中の婦女暴行に登場する男と女は」、「突如として狼と化した男と、やをら不条理の世界に巻き込まれた可愛い女であります」。肩に提げたテレコからマイクを向ける小川恵に、荒井晴彦がどうでもいゝ講釈を垂れる。大学名不詳の文学部心理学科所属、『強姦されないために』なる散文的な題目のレポート―まさか卒論!?―に取りかゝる広瀨ユカ(小川)の女子寮七号室に、ルームメイトのヨーコ(仁科)がまづ帰宅。夜道で謎のグラサンに襲はれながらも、金的で撃退したルミ(北洋子/a.k.a.中野リエ)もからがら帰還。何気にこの部屋、住人三人全員馬面、瓜実といへ。
 辿り着ける限りの、配役残り。集団強姦の取り調べを受ける、きれいな岡村隆史みたいな一応色男は、馬鹿に髪を短くした深野達夫、暫し判らなんだ。友人のタカシ・コーイチ(何れも不明)と深達が輪姦に及ぶ、タカシの知人・ケイコは青山涼子、のちの“塾長”愛染恭子である。安田清美は、未遂含め四十数回の犯行に及んだ超ベテラン・ある暴行魔(三重街)に自宅で暴行される小塚美沙子(仮名)、職業はインテリアデザイナー。乳よりも尻よりも、ミニスカから伸びる足の美しさが際立つ笹木ルミは、バカボンのパパみたいな酔つ払ひ(だから不明)に河原で手籠めにされる高橋靖子(仮名)、職業O.L。安田清美・青山涼子・笹木ルミの三人が、本クレに於いては“襲はれたひと”の一纏め。話の流れで構成要件的な議論にも触れ、グレーゾーンの紹介に用立てられる泥酔中、係長(手も足も出ないんだつてば)にヤラれてしまふこちらもO.Lのモリヤマ君は峰瀨里加。といふか要はこの件、後述する夏陽子パートと実は同工異曲。とまれ係長がモリヤマ君を形だけ介抱する往来のロングから、跨ぎで“605 赤坂”のドアプレートに繋げる鮮やかな編集がさりげなく出色。量産型裸映画にのみ許された、この清々しいスピード感よ。今度は準強姦(現:準強制性交)の解説で、覗きからの痴漢に及ぶある暴行魔を、寝惚けて配偶者と勘違ひする若妻は夏陽子。若旦那は無理、知らん。最後に竜谷誠と堺勝朗は、ルミとヨーコの二人が卒論指導コンパに繰り出す―ユカは彼氏・シゲオ(にも白旗)との逢瀬を優先―後藤教授と助教授。居酒屋の画面手前に、荒井晴彦がシレッと見切れる。連れの、パッと見南ゆき似の女は岩崎宏子?忘れてた、映画館の客席に、馬津天三(a.k.a.掛川正幸)潜り込んでないかな。
 中村幻児昭和51年第五作は、女子学生のSEXに関するレポートでこそあれ、別に実地研究する訳ではないマイルドあるいはハーフ有名無実。ピンクの公開題に於いて、極めてまゝ見られる恒例ではある、それをいふては実も蓋もない。詰まるところ、頭にセミを載せたり尻にポルノを敷いてみたりする所謂ドキュメント系の、最低限統一的ではあるテーマを追求―今回の場合は強姦―する体で、単発的な濡れ場を漫然と連ねるに明け暮れるルーズな裸映画。全員脱いで絡む頭数を、驚く勿れ三割増しどころか三倍増の九番手まで並べてみせる、豪奢な女優部がそれなり以上面子にも恵まれる一方、三重竜や堺勝朗らオッサン連が芳醇な気を吐く反面、シゲオを筆頭にタカシ・コーイチ辺りのヤング隊が役不足の青二才ぶりを遺憾なく発揮する、男優部の脆弱性は如何せん否み難い。この際面白くない詰まらないは面白ければ寧ろ儲けもの、くらゐに割り切るか開き直つてみせるにせよ、ビリング頭三人を五十分の長きに亘り温存する、箆棒な匙加減には流石に肝を冷やした。結局、ユカとシゲオが漸く結ばれる絡みと、酔ひ潰れたプリテンドで三番手が堺勝朗を、二番手はトメを篭絡する乱交にはハッテンしない4P。を、カットバックの乱撃で並走させるですらないまゝに、小川恵は不在のラストがあつけらかんと底を抜く空気のやうな一作、屁かも。煮え切らない踏み込んで来ないシゲオに業を煮やしたユカが、「男だつたら奪ひなさいよ」とぞんざいなミソジニーを振りかざし詰つた挙句、“性行為において、男が女に対して主体性を確立し得るのは、男が女を強姦する場合である”。オーラスには懐かしのエオン・エキスを引いてのけるに至つては、現在の鑑賞に堪へ得る得るかボケ以前に、タイム・ゴーズ・バイの渦の藻屑と消えるに如くはない積もれば山も成す塵。たゞその消費上等レッツ・ファゲット、グルグル何周かすると最早色即是空と紙一重の無常観さへ漂ふ姿勢は、ポップ・カルチャーの極北たる量産型娯楽映画にとつて一種のらしさなり、潔さと強弁出来なくも決してない、のではなからうか。どうなんだろ、堅白同異も度を越すと歯切れが悪い。

 戯れにググッてみて、古城を模したシャンティ赤坂(昭和48年開業)が一旦の営業停止(2012年頃らしい)と改築を経て2015年に再オープン、今なほランドマークとして現存する息の長さには軽く吃驚した。空白期間を挿んでゐるゆゑ、今年が半世紀の節目にはあたらないのかも知れないけれど。


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 「色暦 大奥秘話」(昭和46/製作:日活株式会社/監督:林功/脚本:新関次郎/企画:三浦朗/撮影:松原芳男/美術:土屋伊豆夫/録音:福島信雅/照明:川島晴雄/編集:辻井正則/音楽:月見里太一/助監督: 八巻晶彦/色彩計測:前田米造/現像:東洋現像所/製作担当者:松田文夫/出演:小川節子⦅新人⦆・西川洋一・松井康子・藤めぐみ・南輝久・乱孝壽・森みどり・神山勝・熱海弘到・雪丘恵介・堺美紀子・橘田良江・五月由美・原田千枝子・大谷木洋子・森田蘭子・佐藤八千代・水木京一・玉井謙介・伊豆見英輔)。出演者中、小川節子の新人特記がポスターでは新スター。あと乱孝壽がポスターには乱孝寿で、堺美紀子以降は本篇クレジットのみ。そして、あるいはさあて、盛り沢山。脚本の新関次郎は大工原正泰と松本孝二の共作、撮影の松原芳男は萩原憲治、音楽も月見里太一といふのは鏑木創のそれぞれ変名。である旨、日活公式サイトが馬鹿正直に教へて呉れる。クレジットがスッ飛ばす配給に関しては、事実上“提供:Xces Film”。
 タイトル開巻、適当な浮世絵に、ズンチャカ鳴らすタイトルバック。後述する神山勝の生年月日が判らないので自信を持つてはいへないが、見た感じグレゴリオ暦1800年前後の、多分寛政か享和か文化の江戸、それだけ雑に撃てばどれか当たる。往来で気色ばむ部屋住みの勝田進之助(西川)を、同じ境遇の友人・岡井十三郎(熱海)が制止する。旗本・跡見平右衛門(雪丘)の娘で、勝田と恋仲の八重(小川)が大奥にあがる今生の別れ的な、所謂よくある話、幾ら粗筋にせよ粗すぎるだろ。
 ザックリ配役残り、物理的にも安定感の比類ない、堺美紀子が八重の母親。平右衛門が口にする妻の名が、“りき”と聞こえたのは両方で人生通算三度メスを入れた目のみならず、耳も当サイトは節穴なのか。玉井謙介は、迎への御駕籠到着を平右衛門らに告げる武士階級。伊豆見英輔は八重を乗せた御駕籠が跡見邸を発つ際、「では」の一言台詞も与へられる一行の代表。玉謙共々、結構な端役にしては妙にキッチリ抜いて貰へてゐる優遇には、そこはかとない不自然さも否めない。重貫禄がバクチクする松井康子が、大奥最高権力者たる御年寄・稲葉の局。公称は二つしか違はない割に、松井康子と並ぶと随分若く細く映る、乱孝壽は八重が仕へる御客会釈・音羽。橘田良江も大奥重職、役職不詳ながら劇中の立ち位置を窺ふに、中年寄辺りか。“アシヨ”と稲葉の局から呼ばれる固有名詞がよく判らん、芦代か葦代?藤めぐみは将軍と一夜をともにする、御夜伽に指名されるアシヨ直属の中臈・おみよ。御年寄に閨房の様子を報告する、御添寝には八重が選ばれる。そして神山勝が、小隊規模の子沢山で知られた十一代将軍徳川家斉。大谷木洋子は稲葉の局の従者ポジ、もう一人ゐる。恐らく森田蘭子と佐藤八千代の何れかが、葵の御紋相手に八重を諦めきれず忘れきれず、往生際悪く酒に溺れる勝田から相手にされない飲み屋の女か。案外活躍する森みどりは、見かねた岡井が、勝田に宛がふ女郎・おせん。本格的に脱いで絡む、堂々とした五番手ぶりには軽く驚いた、驚かなくても。病気平癒祈願を方便に、大奥の面々が江戸城の外に出る源隆寺。原田千枝子もアシヨの部屋の中臈、南輝久が源隆寺の住職・日照。水木京一は稲葉の局が呼んでゐると偽り、八重を誘ひだす変ににやけた納所坊主。その所以が、八重との密会を図り源隆寺に忍び込んだ、勝田に買収されてゐたからであつた。とかいふ地味に周到な論理性と、元々禿げてゐる水京が、剃髪のヅラを被つてゐるのがじわじわ琴線を撫でる。おみよ・原田千枝子と八重の噂に花を咲かせてゐたところ、橘田良江に聞き咎められる―噂自体御法度につき―ワン・ノブ・中臈の五月由美が、ノンクレで飛び込んで来る小宮山玉樹に匹敵する、日活ならではな役者層の厚さを感じさせるダークホース。十余日後に封切られた「女高生レポート 夕子の白い胸」(監督:近藤幸彦/脚本:中野顕彰)に主演、そのまゝ役名に改名した、誰あらうのちといふほどのちでもない時間差の片桐夕子。
 「団地妻 昼下りの情事」(監督:西村昭五郎/脚本:西田一夫/主演:白川和子)と二本立てで封切られた、半ば歴史に埋もれた要はロマポ第1.5作。以後、大奥シリーズが全九作制作されたといふのでさうなのかと探してみると。公開順に第二作が林功昭和47年第四作「続・色暦大奥秘話 ‐淫の舞‐」(脚本:新関次郎/主演:小川節子)、第三作の近藤幸彦昭和47年第二作「色暦大奥秘話 刺青百人競べ」(脚本:久保田圭司/主演:小川節子)に、第四作は林功昭和47年第八作「新・色暦大奥秘話 ‐やは肌献上‐」(脚本:新関次郎/主演:小川節子)、第八作といふのも何気にでなく凄い。ロマポそんな撮れるんだといふレベルの、林功にとつて当然キャリアハイ。全体での最多記録は知らない、買取系まで射程に入れるならなほさら。話を戻して第五作は近藤幸彦昭和48年第一作「新・色暦大奥秘話 花吹雪をんな事始め」(脚本:西田一夫/主演:小川節子)、第六作で漸く三人目の監督。藤井克彦の、昭和48年第一作「《秘》大奥外伝 尼寺淫の門」(脚本:中島丈博/主演:小川節子)。第七作・近藤幸彦昭和48年第二作「《秘》大奥外伝 淫薬をんな狂乱」(脚本:藤浦敦/主演:続圭子)と、第八作の藤井克彦昭和48年第二作「新色暦大奥秘話 ‐愛戯お仕込処‐」(脚本:新関次郎/主演:小川節子)に、掉尾を飾るのは、矢張りこの人しかゐなかつたにさうゐない。最終第九作が、林功の昭和48年第一作「大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻」(脚本:中沢昭二/主演:小川節子)。寧ろ「淫薬をんな狂乱」に小川節子が出てゐないのが何かの間違ひかとでも思へかねない、映画祭感覚の小川節子無双が清々しい。量産型娯楽映画が正真正銘量産されてゐた、時代の麗しさよ。ついでといつては何だが今作と「続・色暦大奥秘話」の間に、曽根中生のデビュー作「色暦女浮世絵師」(昭和46/脚本:新関次郎/主演:小川節子)が大奥映画でこそないものの、短期間に同じやうな公開題の映画が一杯入り乱れる混乱の火に油を注いでゐる。といふか、そこでまた小川節子かよ。往時の日活社長は、小川節子主演の裸時代劇を作らないと死ぬ呪ひでもかけられてゐたのか。
 八重がいよいよ御駕籠に乗り込む段、勝田の情けない半泣きを押さへた上でよゝと引き。おみよに覆ひ被さる家斉の、背中に雪崩れ込まんばかりの勢ひでグワーッと縦方向に回り込む。順調にオッ始めてゐるおみよ・家斉と、手前の床でもぢもぢしてゐる八重を捉へたカットからズズズイーッと寄る。まるでオノマトペが実音で聞こえて来さうな、仰々しいカメラワークが出色。古き良き撮影所の地力が火を噴く、画調込みで今やロスト・カルチャーないしピクチャーに近い時代劇らしい時代劇を、オーソドキシーの真向勝負を挑む劇伴と麗しく彩る。だからといつて、文芸的にお高くとまるでは決してなく。濡れ場を悪びれもせず中途で端折る、私見では甚だ据わりの悪い完遂率の低ささへさて措けば、裸映画的にも全然充実してゐたのは申し訳ないけれど予想外。七十分に満たない標準的な尺の中で、女の乳尻も十全に愉しませる。ロマポ終焉後はエクセスにも転戦してゐた林功は、最初から林功であつた模様。枝葉に咲く花で忘れてならないのが、八重の動静を勝田に伝へる、展開上の重責を都合二度担ふ森みどり(a.k.a.小森道子)。おせんが岡井から勝田を預かる件、「あいよ」の粋な軽やかさも絶品。ロマポに於いて当初も当初のど初端から、細部に神を宿してゐた脇役部の芳醇な活躍に軽く胸が熱くなる。反面、メーサクだケッサクだと褒めそやすには些かならず遠いのが、大時代的、且つそもそも封建的な悲恋物語を支へさせるには、如何せん心許ないビリング頭二人。求められた役柄が優男にせよ、べそをかく以外満足なメソッドの持ち合はせもない西川洋一は流石に惰弱極まりなく、2023年に及んで改めて度肝を抜かれるくらゐ、エターナルな絶対美人を輝かせる小川節子も、未だ表情は硬く口跡は覚束ない。最終的に、親心を文字通り水泡に帰す、入水しか思はせない無体なラストは虚無と紙一重の、大御大・小林悟のドライなビートに一脈通ずる。

 八重が御添寝を務めた、恐らく翌日。脳裏に赤々と刻まれた、おみよと上様の睦事にアテられ自慰に耽つてゐると音羽の訪問を受けた八重が、障子の開く正しく一瞬で完全に諸肌脱いだ襦袢を直す、神業には「凄え」と声が出た。


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