きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ロミオとジュリエット」岸本&後藤/東京バレエ団

2014年02月09日 | バレエ・ダンス
河谷さんの怪我による降板のため
岸本さんが主役デビューです。

岸本さんがすごく頑張っているのはわかるけど、
踊りで役を表現するにはまだまだ。
岸本さんが振付を踊っているな、と見える。
香奈子ちゃんやブシェはジュリエットだったけど
岸本さんは岸本さん。

1、2幕は堅さもあったけど
だんだんほぐれていったようで
踊りは後半に向けて良くなっていった。

ただやっぱり「演技」の経験値が圧倒的に足りないので
1階S席で見れば納得の表現かもしれないけれど
2階L席では届かなくて、
ラストの、ロミオが死んでいる→自殺までが
簡単すぎで、また、演技も小さかった。
もっと大きく動いて欲しいな。
金が無いのが悪いと言われそうだけど
実際には5階席までチケットを売っていて
そこに座るお客さんもいるのだから
そこまで届くように動いて欲しいな。
可愛かったけどね。

晴雄くんもやっぱり晴雄くんで、
恋に浮かれた演技はとても良いんだけど
踊りの詰めの甘さとリフトの不安定さが目に入った。
即席ペアだから仕方がないかね。
晴雄くんはジュリエットの唇にキスをするより、
ジュリエットの髪に自分の顔をすりすりするとか、
そういう表現の方が自然で絵になるな。
恋する気持ちがわき上がりすぎて
身体の外に出ちゃっているのがわかる。
情熱的だね。

沖&柄本のリフトは「ぎこちなさが残る」だけど
、岸本&後藤のリフトはデンジャラス。
不安定さにドキドキしっぱなし。
それを考慮しても、東バファンとしては、
ハンブルク組を2回にするのはなく、
アンダーの岸本さんを主役デビューさせてくれたことを
嬉しく思います。
ギャラとかいろんな大人の事情があったにせよ
若手にチャンスをくれたことに
ノイマイヤー氏をはじめ、スタッフ陣に大感謝。

松野くんは、ノイマイヤーの振付を
踊り慣れていないのがわかるけど、芝居は良い。
後藤&木村&松野の並びは、
年齢格差はあるけど
主演経験有りのダンサーの「格」は揃っている、と思わせる。
学年が上のみっきいベンより
若いまこっちゃんベンの方が
ちえロミオに釣り合っていたのを思い出した。
3人の音の取り方がマイルール過ぎるけど
それが彼らが「自由に生きている」ことに
説得力を与えていたような気がする。

和田さんティボルとのビジュアルは良い。
予想以上に髭も衣装も似合っていた。
やさぐれた雰囲気も良い。
ちょっと小物感があるけど、
彼なりのティボでいいと思うわ。
ただ、こうして比べると森川くんには
メインキャストの華があるんだな。

杉山さんの神父も良い演技。
ロミオのことを思いすぎだね。
岸本くんはもっと楽観的なかんじがあったけど
杉山さんはちょっと厳格なところがあったかな。

今日は前2回より舞台に近い席だったので
皆さんの表情もしっかり見ました。
木村さんの表情豊かな演技が楽しかった。
脚を痛めていたそうですが
見ている限りはそれは感じませんでした。
誰よりも美しく踊っていましたよね。

4回公演のうち、3回しか行けなかった。
近い時期の再演を期待しています。


【配役】
モンタギュー家
 モンタギュー夫人:山岸ゆかり
 モンタギュー公:森田雅順
 その息子、ロミオ:後藤晴雄
 ベンヴォーリオ、ロミオのいとこ:松野乃知
 バルサザール、ロミオの小姓:田中夏輝※

 [モンタギュー家の使用人]
 アブラハム:氷室友
 アンジェロ:安田峻介
 マルコ:岩村暁斗

 [モンタギュー家のメイド]
 シルヴィア:金子仁美
 フランチスカ:中川美雪
 マルガレータ:片岡千尋
 ポーリーナ:上田実歩
 リヴィア:浦由美子
 マリア:市村紗也華
 モンタギュー家の護衛:竹本悠一郎、山田眞央

キャピュレット家
 キャピュレット夫人:奈良春夏
 キャピュレット公:高岸直樹
 その娘、ジュリエット:岸本夏未


 [ジュリエットのいとこ]
 ロザリンデ:川島麻実子
 ヘレナ:吉川留衣
 エミーリア:二瓶加奈子

 ジュリエットの乳母:坂井直子
 その召使い、ピーター:佐藤文哉※
 ティボルト、ジュリエットのいとこ:和田康佑

 [キャピュレット家の使用人]
 サンプソン:吉田蓮
 グレゴリー:中村祐司
 ポットパン:上瀧達也

 [キャピュレット家のメイド]
 ルチェッタ:加茂雅子
 グラティアーナ:宮下加瑞
 カミーラ:古閑彩都貴
 ウルスラ:伝田陽美
 ネル:加藤くるみ
 スーザン:平松華子

 キャピュレット家の護衛:原田祥博、宮崎大樹、石田悠馬、入戸野伊織
 ロザリンデの召使い:升本有姫、中島理子、石川希

 キャピュレット家の舞踏会の客:
 乾友子-岡崎隼也-村上美香
 政本絵美-安田峻介-小川ふみ
 矢島まい-永田雄大-河合眞里
 伝田陽美-和田康佑-崔美実
 上田実歩-宮崎大樹-加藤くるみ
 浦由美子-吉田蓮-青山萌美
 安西くるみ-入戸野伊織-福田真理子
 大森晶絵-原田祥博-小島千代

 ジュリエットのいとこの護衛:上瀧達也、竹本悠一郎、山田眞央

エスカラス、ヴェローナ大公:飯田宗孝
マキューシオ、ロミオの友人:木村和夫
パリス伯爵:梅澤紘貴
僧ローレンス:杉山優一

イモーガン、娼婦:矢島まい
ヴィオレンタ、娼婦:高木綾

旅芸人の一座
イザベラ:河合眞里
ヴァレンティン:永田雄大
セバスティアン、その息子、曲芸師:竹下虎志
ルチアーナ:渡辺理恵
ラヴィニア:三雲友里加
アントーニオ:岡崎隼也

ほか、兵士、守衛、修道士、商人、花娘、元老議員、ヴェローナの市民など:
東京バレエ団、東京バレエ学校(Sクラス・少年科)の生徒※

指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:ジョン・ノイマイヤー、ケヴィン・ヘイゲン、エドゥアルド・ベルティーニ、大石裕香

◆上演時間◆
【第1幕】 14:00-15:05
休憩 20分
【第2幕】 15:25-15:55
休憩 20分
【第3幕】 16:15-17:00
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「オテサーネク 妄想の子供」

2014年02月09日 | 映画
子供に恵まれない悩むホラーク夫妻。
数度の流産でノイローゼ気味になった妻に対し
夫は木の根を赤ん坊に模し妻に渡す。
妻はいつしか本当の自分の赤ん坊だと思い込みはじめ
妊娠した振りをし、8ヶ月後に出産したと周囲に言う。
別荘に隔離していた妻に週末会いに行った夫は
オティークと名付けた木の根に命が宿ったのを見る。
しかし木の根は貪欲な食欲を持つ化け物だった。
夫妻が与える食事だけでは満足せず
猫を、ついには人間をも食べ始めるのだった。

大雪により帰宅難民になってしまったので
新文芸座のオールナイトに行ってきました。
新文芸座は清潔で女性にも安全な映画館です。
いつもオールナイトをやっているわけでもないし
オールナイトに空席があるとは限らないけど
今回はラッキーなことに座れました。
暖かい映画館、最高!
特集内容は全くわからず、
監督の名前と序盤の映像から前衛チックかな
それならぐっすり眠れるぜ!と思っていたのに
だんだん怪奇ホラー系になっていったので
ついつい見ちゃいましたよ!

途中までは夫妻の嘘が「いつ」「どうやって」ばれるのかが
主な話なのかなあ、と思っていたので
だんだん違う方向になっていってびっくり。
どこに話が落ちるかわからなくてドキドキしちゃいましたよ。

監督さんはアニメーション作家でもあるらしく
オティークの動きがいかにも東欧の人形アニメでしたね。
絵本の方のアニメーションも独特な色彩で面白かった。

チェコには実際「オテサーネク」という
食人木の話があるそうです。

動物を食べる、というところ、
肉だけ食べるところに驚いた。
そのこと自体では無く
「食べた」という表現が
「少々肉が付いた骨だけ転がる」というところに。
向こうの人は「食べる」は骨までではないのね。

この監督さんは「食事をする場面が多いけど、
すごく不味そうな食事で見ていて気分が悪くなる」のが特徴らしく
確かに煮込み料理はゲロもどきなビジュアルでした。
人間がそういうものを食べているのに
化け物はフレッシュな肉を食べるのね。

夫妻の周囲の人間がどんどん食べられることについて
妻が正当化しようとする。
「いなくなっても誰も気にしない人たちよ。
 食べられて当然な人たちよ。」
彼らのアパートの管理人は嘆く。
「子供を産まれたのにその姿が見えないことを誰も気にしない。
 自分の持ち物が消えても誰も気にしない。」
そんなあたりにも寓意が隠されていそうだけど
疲れて眠い頭では深く考えられなかった。

少女の視点で話が進むところもあるけれど
この子のビジュアルがまた「純真無垢」とは
ものすごくかけ離れていて。

なんとも不思議な映画でした。

オールナイトはこれ以外も上映されましたが
感想が書けるぐらい見ていたのはこれだけでした。
(短編はぐっすり寝ちゃいました。ごめんなさい)
普段は見ないジャンルなので貴重な体験でした。
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