きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「エリザベート 2022年版(愛希、山崎、田代、上山、甲斐、剣)

2022年10月28日 | 宝塚版以外の「エリザベート」




花總&古川も耽美な雰囲気がとても良いけど、
ミュージカルとしては今日のコンビの方が良い。
メイン3人の張りのある歌声に安定感がある。

山崎さんは歌っている時は良い意味で癖があり、
いままでの無味無臭を脱してた。
ブラボー。
台詞だけになると人の良いお兄さんになるのが惜しい。
かなり考えて作り込んだかんじ。
芝居だけでなく、動作一つ一つにこだわってる。

エリザベートが息絶えたのを見届けたトートは、
戦い抜いた強い魂こそ自分が愛したものだと、噛み締めているようだった。
エリザベートを逃してしまったショック(現在進行形)で幕の古川くん、
誰よりもエリザベートを肯定した、それが彼の愛だった的な山崎さん、
どちらも納得、どちらも良い。

ちゃぴは前回より芝居が進化、深化。
天真爛漫な子供から、王族の気品はちゃんとある皇后。
強いから戦ってしまい、傷つく。
それでも前進は止めない。
花ちゃんが出ない音域もスコーンと綺麗に出てる。
ダンサーなので動きも綺麗。

花ちゃんはもはや「花總さんのエリザベート」というジャンルなので、
どちらがなに、と、二人比べる必要はないと思いますが。

花總&古川は存在そのものがエリザベート&トートで、
愛希&山崎は生身の役者が作り込んでいて、違いが面白い。
シャッフルはどんなかんじなのかなあ。

フランツは、私は田代さんの方が芝居が好きだな。
上山さんのルキーニは狂気強め。
高音がちょい厳しいときがあるかな。

甲斐さんは情熱的で革命に突き進んでいて、
どういうルドルフを作りたいかわかりやすい芝居だった。
歌声が弱めなのが惜しい。

剣ゾフィー、歌はやはり厳しいけれど、芝居は好きだよ!
重臣を圧倒する威圧感が自然過ぎる。好き

マチネなのでカテコに子ルド。
今日は2ルド、いや田代さんも元ルドか!
ウタコさんがドレスの裾を持ってくれる男性陣にお礼をしていた。

今回はとても満足度が高い回でした。


今年は、花古佐黒立香のあとに、愛山田上甲剣で、
組み合わせも良く、後に見た方が濃いメンバーだったので、
上手く見れたな。
できれば11月後半も見たかったけど、
チケットもお金も時間もないわーん。
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「エリザベート 2022年版(花總、古川、佐藤、黒羽、立石、香寿)

2022年10月10日 | 宝塚版以外の「エリザベート」






帝劇に生オケ!
ドリボの前はなんで来たんだっけか。

古川くんは真ん中で演じることに慣れたかんじで
動きが滑らかで姿勢も美しい。
歌声は、線が細くはあるけど、
歌声自体はしっかり出ている。
蒼い血が滾っているトートだ。
前回の低温動物も良かったけど、
今回は、より、トート。
「死」よりは明らかに意思を持った個体で、
恋に一途な黄泉の帝王だけど、これも個性。
はなちゃんとも合ってる。

古川トートは、花總エリザベートを手に入れた、やった!
と思った瞬間に、
エリザベートが彼の手をすり抜けてしまって
愕然として終了だった。
初恋の終わり、みたいな。
死に掴まらない自由を手に入れたエリザベートでもあるので、
この終わり方も良いと思います。

古川君、ポスターより顔は丸みがあるかなあ。
胸板は厚めなかんじ。

佐藤フランツは、歌声は素晴らしいけど、
ビジュアルがあんまりイメージではなく。

黒羽ルキは台詞も歌声明瞭で聴き取りやすい。
はっきりした狂気があるけど、やり過ぎはなく、
狂言回しとしての舞台進行もスムーズ。
歌声の高低も自由自在。
喉に負担がありそう歌声ではある。

はなちゃんエリザ、たーたんゾフィーは、
ただただ素晴らしい、と。
はなちゃん、「私だけに」のラストは伸び切らず、
ちょい手前で切り上げたかんじ。
32回転を28回ぐらいで切り上げたイメージ。
まだ先が長いし。
2幕の芝居が深い。

立石ルドルフは歌声はわりとクリアで良く出ているけど、
張り上げるポイントがちょい弱いかな。
身体能力の高さ > ダンス、みたいな。
あと、トート相手の芝居は良いけど、
エリザベート相手の芝居は噛み合いが弱く、
エリザベートの鏡には見えない。
そこは残念。

ヴィンディッシュが綺麗なだけで狂気がものすごく薄いけど、
あそこはイケコが念入りに演出をつけるところだと思うので、
役者の力量とかではなく、
今回のイケコの気分はアレなんでしょうね。

どれみちゃんセンサーがまだ動いて我ながらびっくり。
主に女官チーム。
ルキーニからミルクを買っています。
やっぱり元ヅカはアンサンブルでも華やかな顔立ちだなあ。
チラシ写真はゾフィー(アランソン公爵夫人)だったのね。

ミルクの踊りは変わったかな。
結婚式も少し変わった?


1幕でヘレネの「変えます」のマイクが入ってなかったね。
皇太后様が迫力で押し切った。

カテコで、香寿ゾフィーとルドルフが出てくると、2ルドと思う。
昼公演だと子ルドが入って3ルドなんだよね。
今日は元ルドがトートだから、4ルド日。

今回のキスは宝塚方式?2.5界隈への配慮とか?
コロナ対策?


あの、あの、帝劇エリザを見てて、
古川くんは前はルドルフで、
から思ったんだけど、
星組2順目エリザって、
新公トート経験者のありちゃん主演だったりする?る?
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「エリザベート 2019年版(花總、井上、平方、山崎、三浦、剣)

2019年08月21日 | 宝塚版以外の「エリザベート」


エリザ2019年版My楽。
ハナちゃんは天女様が間違って人間界に生まれてしまったので、
誰とも違う孤独の中にいる。
自然と「誰とも違う存在」で、生と死の葛藤はない。
﨟たけた魂として存在している。
天界の魂は黄泉の帝王は手に入れられない。
彼女は最後天界に帰る。
そんなイメージ。
さすがに声量が落ちたかな。

ハナちゃん相手だと井上くんは若さが目立つ。
異次元の存在に横恋慕の赤い血の悪魔。
対ちゃぴだと青い血が流れているイメージだけど
対ハナちゃんだと熱量が違いすぎるのかな。
彼にまったく靡かないシシィはこれはこれでありだけど、
ちゃぴとバトる方が私は好みだな。

ちゃぴのシシィは私の理想とするところとは違うけど、
生きることを熱く願うのと死への渇望が表裏一体なので、
最終的には納得する。
自由を求める人間の魂。
彼女には血が滾る井上トートとのガチンコバトルが合う。

見てないからたぶんなんだけど、
演技を越えてエリザそのもののハナちゃんには、
冷たい青い血が流れる謎の変温動物のような
古川トートの方が合うんだろうな。

歌の相性は愛希-井上が合うかなあ。

平方くんは、歌は上手いけど歌声は軽く、
1幕ラストも若いまま。髭のルドルフだ。
2幕中盤では多少老けたときもあったけど、
経年変化は足りない。
あと、シシィへの愛以外は
基本的には冷静であるのを含ませて欲しいんだけど
(だからルドルフに対しての怒りが際立つ)、
その辺が足りないかなあ。
いつも熱血。
髭は似合う。

育三郎は本人比では濃いけど
成河さん比では無味無臭。
私には全く足りない。
小鳥ちゃんは今期初めて見た。
育三郎用の演出なのかな?

三浦くんは、繊細というより、弱い子供だった。
体型も含めて。
大人には勝てない。
大人に叱られ折れるかんじ。
死との距離感がわからないな。

ウタコさんは歌、特に高音が弱いけど、
自然体で強い。
彼女に逆らえる人はいないよね。


今期は。
  エリザはどちらかなら、ちゃぴ。
  (気品溢れるハナちゃんもいいけど、死の存在は不要に見える。
   生と死の狭間でもがき、
   自由に生きたいという強欲の塊のちゃぴの方が好き。)
  トートはどちらもあり。
  (赤い血の魔物の井上くんと、青い血の変温動物の古川くん。
   それぞれの造型を堪能しました。)
  フランツは田代くん。
  (経年変化、皇帝の義務などが上手く出ていた。)
  ルキーニは成河さん。
  (ルキーニは濃くなきゃね。)
  ルドルフは木村くんと京本くん。
  (死に惹かれる木村くんと、繊細な精神の京本くん。)
  ゾフィーは3人とも。
が、私の好みでした。


言っても仕方がないけどさー。
花總エリザには一路トートだよねー。


私はやはり、あやか様至上主義。

今回イープラス、ならぬ、
エリザベートプラス貸切でした。
「【e】プラスにElisabethをかけている」とのこと
カテコ挨拶の井上くんから説明がありました。
(スペシウム光線的なeのポーズ付き)

パネルとうちわ。





エリザベート限りのパネルを作るなら
手数料を下げて欲しいよ・・・。
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「エリザベート 2019年版(愛希、井上、田代、成河、木村、香寿)

2019年07月09日 | 宝塚版以外の「エリザベート」


2019年版3回目は8月半ばの予定でしたが
姪の手持ちチケットと交換となり
本日行ってきました。

今年初めての井上トートは青い血が沸騰している。
井上くんは前回はおそらく自分でも
「ビジュアルがー!」とかあって
たぶん仕草とか外見から作っていって
見慣れないこちらも気恥ずかしさがあったけど、
今回は彼のトート像がしっかりあって、
それを伝えるための動きの作り込みで、
どこもかしこもすごく自然だった!
素晴らしい!

古川くんは青い血が流れる変温動物で、
人間と恋に落ちる人外なら
井上くんは「死」だった。
エリザベートの生命力が強いほど呼応して
その存在が近くなる。
エリザベートの自殺願望の具現化で、
彼女の分身、あるいは鏡。

最後にみせる表情も、
追い求めた魂が手に入るかと思っていたら、
すり抜けてしまったことを実感するトート、
というだけではなく、
「死んでしまった」と思う
エリザベートの表情でもあるんじゃないかなあ。

ちゃぴのエリザベートも強いだけではなく、
強いゆえに苦しみ孤独になる。
ビジュアルは違うけど、私が思う瀬奈シシィ、
そしてウィーン版に近いと思う。
耽美な世界ではないかもしれないけれど、
実に私好みのお話でした。
いやっほーい!

今日の二人だと、「私が踊る時とき」から
精神病院の流れがすごく納得。
勝ったからこそ、大勝利だったからこそ孤独になる。
諦めれば、あるいは、狂ってしまえば、
安らかになれるのに、
彼女はひとりきりの戦いから降りられない。
戦い続けることしかできない。
歌はさらに安定。

まだ花總さん比でないので
彼女の芝居には納得。
花總さん比だとどう感じるのかなあ。

田代くんのフランツがまた良いんだ。
義務を全うする皇帝が、
エリザベートへの愛を貫くときだけ熱血。
経年変化もいいけど、
息子の葬式のとき妻が深く悲しんでいるから支えようとまず動く。
悲しみを分かち合うためでなく、彼女のためにが先。
なのに拒絶される。
その辛さを一人で受け止める。
くうぅぅっ!

成河さんは今日も自由でした。

木村さんは少し姿勢が気になるかな。
厚い上着だと猫背気味に見えちゃうんだよね。
古川くん相手だと死に惹かれ、
井上くん相手だと死に飛び込むかんじかな。
こちらもトートに呼応しているかな。

香寿ゾフィーは誰よりも男。
彼女が戦い抜いて帝国を築いたんだよね。
彼女の信念があって帝国がある。

役者によって雰囲気も、
場合によっては主題も変わる芝居は好きだよん。
花總&古川だと美しいラブストーリーとか、
気高き魂の求め合いとか、
そんなかんじなのかなあ。

次回は花總・平方・三浦・山崎・剣で、
なんと子ルド含めて全キャスト制覇だ。たぶん。


芝ルキーニや濱めぐゾフィーだと、
「帝国」は「てえこく」なんだろうか。
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「エリザベート 2019年版(愛希、古川、田代、成河、京本、香寿)

2019年06月29日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
ちゃぴは「宝塚娘役」の枠から解き放たれたところが
今回の役に重なる。
自由にはなったけど、それで終わりではく
さらに歩み戦い続けなければならない。
皇妃、というほどではないけど、
そこそこ良い家柄の生命力溢れるお嬢さん。
﨟たけた魂ではないけど彼女らしいエリザベート。

古川くんは、アレだよ、シルフィード!
自分本位の発想も身のこなしも。
ミュージカル歌唱には歌声は軽いかもしれないけど、
どういうトート像かはちゃんと伝わってくるので、
あとは好みに合うかどうか。

それぞれ別の組み合わせの方がハマるらしいけど、
これはこれで合うと思うよ。

田代さんは前回より
抑えるところと熱血にメリハリ。
鏡の間の歌詞が危うかった?
タータンは宮廷でただ一人の「男」だった、強かった。
彼女が雄々しく帝国を築いたんだなあ。
京本くんは繊細なガラス細工。
歌とダンスはいいんだけど
芝居自体もいいんだけど、台詞声が子供。
惜しい。

今回のエリザって曲のテンポが緩くなった?
時々睡魔がやってきて困る。
緊張感が薄れちゃうわ。

今日のキャスト。元ルドルフの競演。


花ちゃんが初めてのエリザのとき
たーたんがルドルフで
ハマコはエーアンの歌手だったねよね。
それが今期は実母役と姑役。

今回はエリザベートおけぴ観劇会。

特別カテコ挨拶あり。
古川くん。
チケットは完売ですが、おけぴでチケットが手に入るかも。
止むを得ず手放した方のチケットなので
そのぶんも楽しんで。
ちゃぴ。
「ぱ行」を入れるとインパクトがあり
3文字が覚えやすたいので所長が「おけぴ」と命名とのこと、
自分も「ちゃぴ」です。
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「エリザベート 2019年版(愛希、古川、田代、成河、木村、涼風)

2019年06月15日 | 宝塚版以外の「エリザベート」





古川くんは無慈悲な天使ちゃんで、
黄泉の帝王とはちょい違うけど
体温が低そうな人外の存在。
長身で背筋が美しいので
衣装がよく似合っている。
指先まで気を使う動き。
歌は音域狭めで伸ばせないときもあるし、
歌声は軽いけど、
役としての気持ちを乗せて歌えている。
個人リサイタルでは無いのが好印象。
高音が抜けきらないけど、
内野トートを知ってれば、
どーってことないよ!
武田トートほど本人リサイタルじゃないし。
音響さんの頑張りもあるんだろうけど
歌声が広い劇場に負けてないよ!

2012年古川ルドルフについて、
「踊りも、なまじできるぶん、手
 足が伸びきらないのが目に付くかな。
 ビジュアルはいいんだけどねー。」
と書いていたわ。
今回は綺麗に伸びていたよ!

ちゃぴはヅカ時代よりのびのびとしている。
低音ばっちり。高音も出ている。
田舎娘は似合っているけど、
鏡の間がもう少し皇后らしいといいかな。
ハナちゃんとちゃぴのエリザベート役のキャリアって、
まさしくキヨミチと佐久間さんの差ぐらいだあねえ。

二人は2幕では火花バチバチの熱いバトルでした。
お互い帝劇では初役同士だからこその全力投球で見応えがありました。
それぞれで違う組み合わせも見たいけど、
こちらか、女帝&芳雄くんのチケットしかないわー。
慣れてきたらこの熱さはなくなるだろうな。
今期特典。

田代くんはますます芝居が深くなってる。
義務と愛の板挟み。
経年変化もばっちり。
ときおり出る熱血が良かった!
OPではマイクが入らず
見る側はドキドキだったけど、
落ち着いた演技だった。

成河さんは高嶋兄に近いぐらい振り切ってる。
歌声はクリア。
なんとなくスンラさんを思い出す。

木村ルドは熱さと脆さを兼ね備えていて、
中盤までは特筆することない若手かなと思っていたけど、
マイヤーリンクでは死に魅入られた感があって良かった。
上着の裾が長すぎな気がする。

涼風ゾフィーは圧巻だった。
圧はあるけど単純な悪役ではない。

娼婦たちがおとなしめかなー。
トートダンサーズの肌襦袢のシワがときどき気になる。

イープラス貸切公演で
終演後に主演二人の挨拶有り。
古川くん
「今回初めてミュージカルをご覧になった方も
 いるかと思います。
 残念ながらエリザベートのチケットは完売ですが
 帝国劇場ではさまざまな演目を上演していますので
 ぜひ他の作品にも足をお運びください。
 その際のチケットの購入はぜひイープラスで」
ちゃぴ
「ご観劇いただいた皆様の今日という日に
 イーことがプラスされますように」
二人とも胸の前でプラス印を作ってました。


起きてるけど言う寝言。
(1)キヨミチのルキーニを見たい!見たいよー!
(2)愛希トートに古川エリザベートもありなんじゃ・・・
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「エリザベート」(2016年版)

2016年07月07日 | 宝塚版以外の「エリザベート」









花ちゃんは一幕は鼻声気味が気になった。
調子が悪いかな?
2幕は落ち着いた声だったから
子供声が鼻声気味になるのかな。
ビジュアル、存在感、美しさは
やっぱり圧巻圧倒的。
花ちゃんのなにが良いかって、
皇后の気品があるのに、
魂がそこに収まりきらないのを表現できること。
変人でも庶民でも野生児でもなく、
品行方正な良い嫁でもない。
まさにエリザベート。
なのか、日本版エリザベートの原点が
彼女にあて書きされた結果なのか。
花ちゃんのシシィが拝めるだけで幸せ。

井上くんは低い音域は人外なかんじでいいんだけど
高音になると若僧露呈になるのが惜しい。
シシィの魅力に抗えず引き込まれているのがよくわかる。
すごく頑張っているし、
腕とか指の使い方にも気を使っているのはわかるんだけど、
なんというか、「歌の上手いタニちゃん」なんだな。
お歌が上手いのはタニちゃんじゃないというのはさておき、
それくらい本人の持ち味に合っていない。
けど、帝劇的には彼をキャスティングするしかないんだろうな。

田代くんは前回より芝居が進化。
皇帝の義務をわきまえつつ、
しかしシシィを深く愛している。
両極の気持ちが両立している。
特に晩年の芝居が深い。
ルドルフで初めて観たときは
歌は良いけど芝居はあんまり、、、
と思ったけど、
前回からは中の人をかんじさせず
フランツとして舞台に存在している。
素晴らしい!
髪は若いときからカツラかな?
悪夢のあたりでマイクトラブルがあり
声が聞こえなくなって残念。

成河さんは、陽気だけどあきらかな狂気で、
わりと好みのルキーニなんたけど、
小芝居の多さも含め、やり過ぎ感はある。
真ん中芝居過ぎるというのかな。
高嶋兄以上に前に出過ぎ。
全てはルキーニの妄想説、を納得しそうになる。
育三郎にはもっとやれ!と思うのにねえ。
個性と受け取れれば面白くかんじるし、
作品クラッシャーと思う人もいるだろう。
ルキーニは難しいね。

かなめさんは美しすぎる姑だけど、素晴らしい迫力。
特に低温域に凄みがある。
あの人に逆らうことはできないよね。
確かに宮廷の誰より「男」。
元男役トップ、そして大劇場公演で現役はさすがに違う。
シシィ役よりずっと合っている。

ハマコは変わらぬ美声。
そうだ、成河さんは春麗の頃のハマコのやり過ぎ感を思い出したんだった。

古川くんは芝居は良いんだけど、
歌の技術が芝居に追いついていないかんじ。

悪夢のアランソン公爵夫人ゾフィーのセリフが「逃げて」だった。
前からだっけか?
バザー会場の火災で若い人から逃がしているうちに亡くなったんだよね。
トートダンサーは前回は踊りのための踊りだったけど
今回はちゃんとコロスだった。


いろいろ書きましたが、大満足です。
エリザベートが娘役だと周囲がデカくなくても成り立つからいいね。
内野さんがジャイアンと言われていた頃からをいろいろ思い出しながら、
マイベストはやっぱり星組と再認識。
あやかこそ私のシシィ。
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「エリザベート2015」

2015年07月12日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
今日は
花總-城田-田代-山崎-古川-香寿


田代フランツは若さが目立つとはいえ
芝居がすごくいい!
エリザベートを深く愛しているのが端々でわかる。
エリザベートの自由さを愛し、
自分がそれを制限してしまう罪深さを自覚し、
それでも彼女にそばにいて欲しいと願う。
エゴではない。
愛。
例えて言うならノルさん系。
皇帝の義務を受け入れている、
ただ唯一エリザベートを伴侶とすることだけは譲れなかった。
彼の愛が深いからこそ話が成り立つんだよね。
髭は寝室から。

城田トートは熱い赤い血が流れる人狼の王みたいな。
人外だけど「死」とは違う。
生々しい生命力に溢れている。
違う理に生きている者が人間世界を掻き回す。
そのためか、横恋慕感が深い。
彼に対するエリザベートの気持ちが見えない。

シシィの「死に惹かれる」部分の投影でもなく、
「死」がいないから、「生」に惹かれるシシィも存在せず、
かなり単純なプリンセス物語になっちゃった印象。
城田君はエリザベートIIでありルドルフIIでもあるような?
シシィは、バトラーへの愛に気がつく前に死んじゃったスカーレットみたいなかんじ?

城田君は歌が弱いのを自覚しているのか、
そのぶん仕草の細かいところまで作りこんでいて
すごく見映えが良い。
麻路トートに近い。
最後のダンスのパンチが弱すぎるのが惜しい。
姿勢ももうちょい。

育三郎は予想どおり過ぎて笑っちゃうぐらい。
真面目な好青年が頑張って芝居しています感が否めない。
そういう役作りにしちゃってもいいぐらいだけど、
それにしても物語を引っ張る力が弱すぎて、
狂言回しの役を果たしていない。

古川くんは皇太子としての悩みも、
死に惹かれてしまう部分も、よく表していた。
一度演じているので芝居が深い。
ダンスも良い。
歌をもう少々ってかんじ。
京本くんは意外に歌えていたんだな。
ビジュアル的はどちらもいいね。

たーたんは冷徹に国を運営している雰囲気。
「ルドルフだったのに」の気持ちが抜けない。
そんちゃんと並ぶとサザクロ2を思い出したり。

はなちゃんは今日も素晴らしいです。
正確な田代くん相手だと音程の揺らぎが目立つけど気にしない!



城田君のビジュアルは素晴らしく美しく
それを見るだけでも行ったかいは充分にあったけど
私が思う「エリザベート」ては無かったな。
井上君は耽美にしようと頑張っているけど、
やっぱり井上君で微笑ましいと思っていたけど、
城田君に比べれば濃厚に確実に「死」で話を紡いでいた。



ということで。
2回の観劇でエリザベート以外のWキャストを網羅した私の好みは、
花總、井上、田代、尾上、古川、剣、です。
あくまでも好みね。
(繰り返しますが、私のエリザベートの基本は星組版です)
蘭はなちゃんは花組で3回見た経験から東宝版はパスと決めてました。

もう1回ぐらい見たいけど
もうチケットは取れないよね~。
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「エリザベート2015」

2015年06月25日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
花ちゃんに対するイケコの畏敬の念がひしひしと感じられた。
オリジナルがあって、日本初演の主役は一路さんでも、
小池版のエリザベートという役は
花ちゃん用に宛書きで組み替えられたんだから、
花ちゃんがエリザベートそのものなのは当然のことなのかも。
自分の中の原型も花ちゃんなので(一番好きなのはあやかだけど)、
見ていて安定感というか、安心感がある。
「嵐も怖くない」のこちらのアレンジは
ガラでも歌っていないのになぜだか既視感。
ずっとこの役を演じてきたかのよう。
歌がどうとか芝居がどうとかではなく、
エリザベートなのだ。
まさにレジェンド。ひれ伏す。
鏡の間の振り返りは神々しさに失神しそうだった。
宝塚版より地声で歌うことが多かったような気がする。
女同士だと娘役は高い音に設定されるのかな。

井上君はかなり頑張っていて、人外の少年ってかんじ。
動き、仕草をかなり作っていて
オペラグラス無しで1階後方から見ると
わりと耽美な雰囲気。
オペラグラスで見ちゃうと白塗りの井上君だけどー。
若僧が花ちゃんに並ぶなんて恐れ多いというこの感覚は、
アレだな、タニハナを見たときのアレだ。
花ちゃん相手だと若手が食らいついて頑張っている以上の感想は出ないけど、
ルドルフ相手だとちゃんと話を引っ張っていた。

佐藤さんは歌の豊かな表現力と台詞の凡庸さの落差が激しい。
後半の老けてからは良かった。

松也くんは狂言廻しというより道化だね。
「高音が厳しい」のではなく「高音が全く出ない」だったけど、
高音部は3箇所ぐらいしかないので、それほど気にならない。

京本ルドルフは、ときどき歌も踊りも芝居もジャニーズになっちゃうけど、
歌声の張りもあり、なかなかいいよ。
闇広は主旋律をルドルフが歌っていました。
キスはルドルフから。
あれはイケコの趣味120%だけど、
ルドルフが積極的に「死を求めた」ということなんだろうな。
ラストもエリザからトートへのキスだった。

ウタコさんは雄々しかった!男だ!顔が小さい!
すごく存在感があって目を引く。
ハマコも朗々と歌っていたよ。
宮廷チームも革命家たちも良かったけど、
エーアンの歌手はいまみっつ。

トートダンサーは帝劇版初演のように
踊りのための踊りでコロスでもトートの心情でもなく
ただの賑やかし。
リフトして振り回す振付が多いので、
ただでさえ狭い舞台がごちゃごちゃしちゃう。
でも賑やかし隊がいたから、
畑違いな耽美な井上くんのコレジャナイ感が薄れて良かったかもね。

そんちゃんは新公のリヒテンシュタインが本役になったんだなあ。
そんちゃん新公時代に花ちゃんはすでにエリザベート済み。
二人が並ぶ日が来るとはなあ。
そんちゃんにも娘1の可能性が少しはあったんだよなあ。
しみじみ。

子ルドは気張って歌いすぎて大音量になっていました。


セットは階段付きの大きい台がいくつかあって、
出演者はいたるところで重たい衣装で昇り降り。
怪我の無いように祈るだけ。
その台に付いている中途半端な滑り台はなにをどうしたいんだか。
ウィーン版(だっけ?)の巨大V字セットを想像していたので拍子抜け。

今日はe+貸切公演で終演後のご挨拶付き。
井上くんは今日でエリザベート出演300回目だって。
そのうち290回はルドルフ。


花ちゃんは「姫」とか「高貴」とか「王族」とかより、
「やんごとなき」ってかんじなのよね。
気高き孤高の魂の漂流の物語で、
ぶっちゃけトートはどうでもいい。
それが我儘のエゴイストに見えないのが素晴らしい。
本来の物語からは外れまくりだけど、
イケコストーリーではこれが理想のエリザベートなんだろうな。

う~ん、でも、あれか、強いゆえに自分を追い込むという点では
ゲルマン版エリザに近いのは月組版あさこちゃんだけど、
そもそもトートはエリザベートの自殺願望の幻影でもあるから、
トートとのラブストーリーである必要はなく、
そういう点では花ちゃんエリザはオリジナルに近いとか?

月組版あさこちゃんは生を強く望むと死が身近になる
二律背反が面白かった。
帝劇版ではかなり変わっちゃったけど。
今日の花ちゃんは生と死の狭間をさすらっているかんじ。
どちらにも所属してない。
してない自由さであって、所属できない、ではない。

それにしても、声楽出身者に囲まれても
歌声が埋まらない花ちゃんすごい。
帝劇の音響さんの本気を見た。
歌に厳しい方々でも鏡の間の後ろ姿の美しさを見れば
花總エリザベートは認めざるを得ないだろうな。ふふん。
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「エリザベート 2012年版」(瀬奈、石丸、石川、杜、古川、加藤)

2012年06月08日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
前回の組み合わせの芝居がとても薄く
なんだか不完全燃焼になっちゃったので
1回だけでいいや、と思っていたのに
他の組み合わせをどーーーーしても見たくなりました。
どうせなら極力違う組み合わせで、と
しみじみキャストスケジュールを見たら
直近でほどよい組み合わせは今回なのがわかり
有給を取っちゃいました!

今日の組み合わせは熱い!!
石丸トートと瀬奈シシィの間には緊張と安寧、
2つの相反する感情が常に流れている。
反発し惹かれあい、敵でありながら同士。
対極な存在で、とてもいいバランスだ。

瀬奈シシィは前回より進化。
強いから戦ってしまい、結果苦しむ。
弱ければ、そもそも参戦せず、戦うことがないので
楽な人生が送れるのに、それができない。
私の好きなシシィだ。
「私が踊るとき」→「精神病院」の流れも納得。
苦しい戦いに勝利して、得たものはあったが
それは求めていたものでないことに気が付く。
勝利したからこそ、追いつめられるんだな。
息子を失った後悔、悲しみも深く、
だからこそ最後に解放された感が深い。

動きのひとつひとつが「シシィ」の感情と連動している。
前回見た春野シシィは、その当たり前のことができていなかった。
感情抜きで、演出家の指示通り動いている感があった。
(いまはそうじゃないらしいけど、
 私が見たときはそうだった)

一幕冒頭の「パパみたいに」で
すでに涙が出てきてしまう。
深い親子愛、それは自分の家庭では育まれなかった。
それを含めた今後の運命を思うと・・・。
もちろん二幕の方でも泣いた。
「パパみたいに なれない・・・」

石丸トートはねちっこく暑苦しい。
朗々と歌い上げる声が心地よい。
マテさんを見るのが後だったら
いろいろ不満が残っただろうなあ。
それぐらい、素晴らしい歌声。
演技も前回より余裕がある。
楽しんでるなー。
手を広げる動作とか、
ハッタリ、様式美、型芝居も似合っている。
こういうキャラだったのか。
ベルばらのフェルゼンもいけるんじゃないか。
シュテファン人形を抱きしめながら
「王妃様ーーーーーっ」とセリ下がるのが
似合うんじゃあないかなー。

禅フランツも熱く、義務と愛の狭間で苦しむ。
最後の、ルキーニがナイフを受け取るのを阻もうとする
その激しさに泣ける。
どれほど妻を愛してきたのか。
「この世では、ありとあらゆる不幸が私を襲う」
だっけか。
あの言葉がとても似合う。
その情熱を愛だけに傾けるには
責任感がありすぎたんだなあ。

古川ルドは台詞が無いときの雰囲気は良いけど
声を出すと一本調子で、起伏が無さ過ぎ。
歌も音程は合っているけど無難なカラオケ歌唱で
ドラマは無い。
踊りも、なまじできるぶん、
手足が伸びきらないのが目に付くかな。
ビジュアルはいいんだけどねー。
これだけのビジュアルがあると
いろいろ期待しちゃうんだなー。

杜ゾフィーが前回よりとても良かった。
初風さんや寿さんのような貫禄がないぶん、
「女性」であることが強く感じられる。
あんな小柄な(←あくまでもイメージなんだけどね)女性が
帝国を支えてきたんだなあ、と思えてくる。
彼女こそ作られた皇太后を懸命に演じ、戦い続け、しかも負けた。
もう一人のエリザベートでもあるのでは?
そんなふうに思ったのは東宝エリザでは初めてだ。
台詞がないときの威圧感や演技も素晴らしく、
元トップの底力を見た。
高音も前より出ている、というか
上手く処理できるようになったというか。

今回のメンバーだと芝居も良く噛み合っていて
いろんな面で納得できる。
充実した、良い舞台でした。

ここまでくればトリプルの残りも・・・
と思うけど、もうお金がないんだなー。


オケがちょっとなあ・・・
「パパみたいに」のところは
花組のチター並みにリズムがボロボロ。
シシィが刺されたあとの
「エリーザベーーーート」の金管も
やっぱり外してた。
もうなんともならないのかなあ。。。


今回はトークショー付き。
髭フランツ、バートイシュルのシシィ、ルドルフの親子3人。
場慣れしているあさこちゃん、可笑しすぎる禅さん、緊張の古川くん。
場内からの質問で。
あさこちゃんへ。
「登場人物でなりたい人は」
答えはマックス。
自由だから。
自由でいるために苦労はあったは思うけど。
「パパみたいになりたい」
禅ちゃんへ。
「ハプニングとかは?」
まさに昨日、戴冠式で。
エリザベートに場所を譲るために後ずさったらバランスを崩し、
頭の王冠がずれた。
倒れなくてホッとしたら
馬車のところで鬘の隙間から脂汗が吹き出した。
二筋(両脇から一筋ずつ)タラーーーっと流れた。
それを見た春野さんが笑いを堪えるのが大変みたいだった。
古川くんへ。
「今回のルドルフ3人は髪の色が違うけど
 古川さんが金髪に決まったのは?」
衣装合わせの時に、すでに決まっていたみたい。
(衣装さんから「貴方が明るい髪になりそう」と言われた)
ずっと髪を染めているので痛んでくる。
瀬奈「だいじょうぶ?お母さん、心配」
石川「まだ(毛髪の)予備軍があるからいいじゃないか」
3人へ。
袖から見るツボは?
禅さんは最後のダンス。
各トートの個性の違いが出て面白い。
あとの2人は「撃たれるツェップス」。

退場のとき、父母が客席に手を振りながら捌けているのに
息子は(緊張のためか)さっさと袖に入ったので、
母が「ゆうちゃん、ゆうちゃん」と呼び、
舞台に戻してました。


さらに今回は。
セディナのお弁当+お土産付きプラン。
お弁当。

無難な幕の内。
好き嫌いが多い私には嬉しい内容。

お土産は京都の蜂蜜屋「ミール・ミィ」の詰め合わせ。

普段買わないので嬉しいお土産だったけど
重かった。。。
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「エリザベート 2012年版」(春野、カマラス、岡田、寿、大野、山田)

2012年05月25日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
東宝版のエリザを見るのも何回目になるんでしょうか。
初役3人が揃う本日夜の回に行ってきました。

オサちゃんのエリザベートは、
全般的に歌声が思っていたより弱い。
高音はそこそこ出ているけど、
声量はあまりなく、息継ぎもちょっと不自然。
もっと朗々と歌うのを予想していたので
正直なところ、期待はずれ。
演技面でも、存在感が薄すぎる。
「自我」があまり感じられないので
「私だけに」がとても不自然。
エリザベートを演じるプランが全く感じられない。
歌が壊滅的だったコムちゃんの方が
彼女なりの「エリザベート」が作られていた。
オサは、どういう人物を作りたいのかが
最後まで見えてこなかった。
宮廷という鳥かごの中で自由を欲する、
そういった「規格外」のところはまったく見えない。
「息子を自分の手で育てたい」ってあたりで
自分の意思らしきものは持ったみたいだけど
それにしても、流されるままだけだったお嬢様が、
人並みになにか判断し始めたぐらいのレベルで
精神病院に行って自分の身を嘆いたり
「作られた皇后を演じている」なんて話とは
100万光年ぐらいかけ離れている。
そういった部分がないので
「死」に惹かれる部分が見えないので
トートの存在意義すらも危うくなる。
淡々と演じる、ではなく、
オサちゃんが無難に歌っているだけ、
みたいなかんじだった。
一路さんも「いい嫁」になりそうなエリザで
精神病院の場面など納得いかなかったけど
オサちゃんはそれ以上に、芝居が弱かった。
ビジュアルも、うーん。。。
もっと顔を描き込んでもいいんじゃないか。
首に年齢が出ていたのもちょっとビックリだった。

マテさん、1幕は芝居に薄いエリザが相手なので
マテさんのトートも薄めだった。
来日版の時に感じた迫力は無かった。
台詞(だけの場面)は殆どないので
片言っぽい日本語はそれほど気にならなかった。
2幕は圧巻だった。
子ルド、ルドルフ、フランツなどが相手になるので
芝居も熱くなってきた。
ロックスターなビジュアルは、
なにをやっても、いちいち絵になって
とてもゾクゾクする。
子ルドに拳銃を向けてみたり
その銃身にキスをして手渡したり
(それが後のマイヤリンクに繋がるんだな、
 このときすでにルドルフは魅入られていたんだな、
 と思った)
とにかく美しい。
エリザベートを棺桶に戻すときの姫抱っことか
カーテンコールでのオサの手の甲へのキスとか
すべての動作が自然すぎる。
イケコが目指していたことを
具現化していた。
そして、生にも死にも関係が無さそうなエリザベート以外との芝居は
濃厚に「人外の魔物」の雰囲気が出ていた。
ルドルフへのキスも、腐女子サービス、ではなく
「死に神の接吻」だった。
オペラの場面も、フランツが老けたのに、トートは変わらない外見で、
初めてトートが「不老不死」なのを実感した。
ラストのルキーニの首のロープを引っ張るのも
トートなんだな。
自分が命じ、エリザベート殺人を実行させたのに、
愛する女の生を断ったのが許せない。
そんな相反する感情を持つトートは
エゴイストでもあり、
人には理解できない存在なんだなあ、と
いままでのキャストでは感じなかったことを思った。
そんなふうに、細かい点で「なるほど」と思うことが多々あった。
彼自身が細かい演技をしているというよりは、
もとの台本のエッセンスが染み付いた演技、とでもいうのかな。
声量は他の二人ほどないかもしれないけれど
機会があれば是非一度見ていただきたいトート様です。

岡田くんのフランツは、全般的に線が細く、繊細。
エリザベートより細やかな神経をもっていそう。
マテトートも、オサエリザより岡田フランツの方を
誘惑する方が良いんじゃないかー、と思った。
そんな彼だから、母に押さえつけられると逆らえないんだろうな。
でも妻への愛は心の奥底には常にあって、
時々強い感情が噴出する。
一貫性のある芝居だった。
気弱すぎるけど。
歌は、まあ、悪くないかな。
歌い上げる系じゃないけど
彼自身のキャラには合っている。
台詞が早口すぎて聞き取りづらいのが難点。

大野くんのルドルフは、
言われているほど最低ではないような。
音が外れるのではなく、
めちゃくちゃ狭い音域に、無理やり全部の音を入れようとして
不自然になっちゃっているような気がする。
タニちゃんやゆりやよりは外れてはいないよ。
歌よりも、動きに美しさが微塵もないのが私としては大減点。
せっかくの長身がもったいない。手足も長いのに。
アキラ先輩と一緒にラジオ体操から初めて欲しいぐらい。
もう少し滑らかに動いてくれたらなあ。
芝居的には、なに不自由ないボンボンの贅沢な悩み系かな。
国を憂う皇太子系じゃないけど、
これはこれでいい、、、と、思う。
僕はママの鏡だから・・・は、
いかんせんエリザベートが弱いので
場面が成立していないのは
彼の演技のせいではないと思うな。

高嶋兄はいつもより控えめ。
これぐらいでいいとも思うし、
こうくると物足りない、と思わなくもないし。

寿ゾフィーは相変わらず大迫力。
岡田フランツが弱っちいので
確かにゾフィーが踏ん張らないと大帝国は・・・、
と、とても納得しちゃった。
いじわるな姑、冷酷な皇太后、ってだけじゃないんだよね。
嫁も頼りにならないしさー。

今井パパも、オサが・・・(以下略)

とにかく、オサちゃんのエリザベートがはっきりしないので
それ以外のキャストの一部の場面が良くても
全般的に芝居が噛み合っていないなあ、
と思うことが多かった。

あと、指揮が西野先生で、いまいち音に深みがない。
やっぱソルティ、すごいんだなあ、と改めて感じた。


本日2階には学生さんの団体が入っていて、
私の後の席にも女子高生が固まっていました。
幕間の会話では、岡田くんが一番人気でした。
マイヤリンクの場面で、

トートダンサー達が上半身裸になって
ドッキり

トートとルドルフの生チューで
キャ~

ルドルフが自分の頭を撃ち抜いて
ひえええぇぇっ!

と、決して言葉は発せず静かでしたけど、
心の動揺はモロバレで、
新鮮な反応がとても楽しかったです。
宝塚版より大人の世界だけど
先生方、説明できたのかな~。
お隣の「ドン・カルロス」の方が
教育上は良い気がするよ。
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東宝エリザ配役と、「ルドルフ」配役

2011年12月22日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
東宝版「エリザベート」(2012年)の配役が出ました。

エリザベート
 春野寿美礼
 瀬奈じゅん
トート(死の帝王)
 山口祐一郎
 石丸幹二
 マテ・カマラス
ルイジ・ルキーニ(皇后暗殺者)
 嶋政宏
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝)
 石川 禅
 岡田浩暉
ゾフィー(皇太后)
 寿ひずる
 杜けあき
マックス(エリザベートの父)
 今井清隆
ルドルフ(オーストリア皇太子)
 大野拓朗
 平方元基
 古川雄大
ルドヴィカ(エリザベートの母)
 春風ひとみ
エルマー
 岸 祐二
マダム・ヴォルフ
 伊東弘美
リヒテンシュタイン伯爵夫人
 小笠原みち子
ヴィンデッシュ
 河合篤子
ツェップス
 大谷美智浩
グリュンネ伯爵
 治田 敦
シュヴァルツェンベルク伯爵
 阿部 裕


<男性アンサンブル>
奥山 寛/川口竜也/近藤大介/さけもとあきら/
白石拓也/砂川直人/武内 耕/谷口浩久/
田村雄一/俵 和也/中山 昇/橋本好弘/横沢健司

<女性アンサンブル>
石田佳名子/石原絵理/碓氷マキ/柏木ナオミ/
木村晶子/久路あかり/首藤萌美/園田弥生/
谷合香子/中山旦子/樋口 綾/水谷祐紀/南海まり

<トートダンサー>
飯田一徳/加賀谷一肇/佐々木信彦/柴 一平/
白髭真二/西田健二/東山竜彦/千田真司


とにかく、マテさんの登板にビックリ。
台詞は日本語なのかしら。
いっそドイツ語でも・・・・・・
でも、マツケンサンバは大丈夫だったか。
ルキーニはシングル。
ダブルにしても弟さんが入るのかなあ。
新フランツに岡田くん。
若いイメージがあるけど、どうかしら。
ルドルフは3人とも新キャスト。
みんな若いね。
マックスパパは今井パパ。


「ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~」の
配役も発表されました。
ルドルフ:井上芳雄
マリー・ヴェッツェラ:和音美桜
ステファニー:吉沢梨絵
オーストリア首相ターフェ:坂本健児
ラリッシュ:一路万輝
フランツ・ヨーゼフ:村井国夫


村井さんがエリザに出ないのは
こっちでフランツだからなのね。
マリーはたっちん。
可愛いだろうなあ。
ラリッシュは一路さん。
初演はたーたんだっけ?
エリザベートの、貴賤結婚した兄の娘で
(エリザベートの姪でルドルフの従姉妹)
その出自からエリザベートが目をかけてあげていたのに
ルドルフ心中の元を作ったので
エリザベートが激怒して
オーストリアを追放になったかして
国外からエリザベートの悪口を喧伝していたとか
そんな人だったような。
この作品では、二人の仲介をしつつ
かつてはルドルフとも関係があったことを匂わせる、と。
初演は、民主主義万歳、
親の決めた妻とは別れて
愛する人と結婚するよ!
それで万事OK!!
な流れで、
さすがアメリカ人、
王制を理解していないなあ、
と思ったもんです。
その考えに宮本さんの考えが
どこまで乗せられていたのかな。
演出家が変わると、
この辺も変わるかなあ。
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東宝版「エリザベート」(2012年)のシシィ役はおさあさ

2011年10月29日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
ずいぶん前からネットでは噂になっていましたが
東宝から正式発表がありました。
来年の「エリザベート」のシシィ役は
春野寿美礼と瀬奈じゅんのダブルキャストです。

プロモーション映像も公開されました。



思っていたよりは
おさちゃんの女性役は合う・・かな・・・・

おさあさ二人してTCAのイベントで
アフロを被っていたのが
つい昨日のことに思えるんだけどねえ。

トート役は誰かな。
山口さんは来るよね。
今度こそルキーニはWにして欲しい。
だからと言って、弟じゃ困るけど。

おさあさで、トートとエリザをWとか。どうでしょうか。
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「2010年版 エリザベート」(瀬奈、城田、伊礼、杜)

2010年09月21日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
2010年版のトート様、コンプです。
いちばん最初に今日の回を取って、
一般売り初日ぐらいに、8月の瀬奈-石丸を取ったので、
10月の朝海-山口-浦井を取れば
全キャスト制覇!と考えていたのに、
先日、ちょいお安めの券が出たので
瀬奈-山口も行っちゃったのです。
あとから考えて、馬鹿だな私、とか思ったけど
瀬奈シシィに対して3パターンのトート様、ってのは
それぞれの個性がわかって
見比べると楽しかったです。

最初に見た石丸トートは、
「生」のエリザベートに対し
「死」のトートで、対極にいる存在。
本来、交わらない者達が、お互いを欲する。
山口トートは、肉体のある黄泉の帝王で
シシィとは、常にガチンコ勝負。
(がっぷり四つに組むイメージね)
あさこちゃんが強く出れば出るほど、
山口さんも強く返す。
だから、あさこちゃんは、一番男役っぽく見えた。

城田トートは、シシィの影、みたいな。
石丸トートのように「正反対」ではなく、
もっと一体化している。
ヅカファンには
スカーレットIIと言うとわかるかしら。
二人で一人の存在のような。

城田くんは、目指したいトートはすごくわかる。
氷のように、出てきただけで冷気が漂うな、
まさに青い血が流れているような妖しい存在。
たとえていうなら、まりこさん系のトート。
わかるんだけど、そこに到達するには
経験値がまったく足りない。
佇む、のつもりだろうけど、
ただ立っている、になっちゃっているとか。
腕、指の動きも、もっと細部まで気を張らないと。
1階前方で見れば美しいかもしれないけれど
2階L列までは、その美しさは届かない。
もうちょっと姿勢が良いといいなあ。

歌は、音程は外れないけど、
発声はミュージカル向きじゃない。
上手いカラオケ系。
その辺も含めて、
周りの役者さんとはちょっと違った雰囲気。
それが「人外」にリンクするには、もうちょっとかなあ。
決定的に「真ん中に立つ」キャリアが足りないので
せっかくの長身でも、なんとなく舞台に埋もれ気味になる。
だから、スカIIと思っちゃうのかな。

城田トート相手だと、
あさこちゃんは思っていたより女っぽかった。
台詞の声も歌声も、
vs山口さんの時の方が低く感じました。
「パパみたいに なれなかった・・・」は泣けるわー。

伊礼ルドは、やっぱり熱血系で。
「ママは僕の鏡だから・・・」では
私としては、もっと繊細に、
二人に共通するのはヴィッテルスバッハの血、
というのが垣間見える方が好き。
なんだけど。
こんだけ熱く語っている息子を無視する、ってのは
エリザベートのエゴイストな面が良く出てる、
とも言えるかな。それはそれであり、かな。

高嶋兄は、先日ほどじゃなかった。
もしかして、(慣れている)山口さんの日だと
あんなふうになっちゃうのかなあ。

禅ちゃんのフランツは、
どこをとっても素晴らしい。
トートがルキーニにナイフを投げるのを
阻止しようとするところは
悲しく、辛い。
コメント (2)
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「2010年版 エリザベート」(瀬奈、山口、伊礼、寿)

2010年09月18日 | 宝塚版以外の「エリザベート」
8月9日に開幕した2010年版も
公演期間の中日(なかび)だそうです。
折り返し地点だそうです。

キャストの皆さんも慣れてきたのでしょうか。

あさこちゃんが、すっかり男役の「地」が出てました。
その部分は、本来持っている個性だから
強く出てしまっても仕方がないと思いますし。
ウィーン版の「強いゲルマン女性」のマヤさんを
ナマで見ていると、まあ、これもありかと思いますが。
私はもともと、同じ演出でも、
キャストの個性が出る方が好きです。
今回のあさこちゃんは、不作法な田舎娘。
今回まだ見ていないけど、前回のコムちゃんは
高貴な身分に生まれついちゃった野生児。
どちらも、もともとのシシィのイメージのひとつです。
どの部分を切り出して、どの部分を強く押し出すか。
それは役者によって違ってもいい、
というより、その方が良いと思います。

まあ、そうだとしても、
あさこちゃんの声は低すぎて、
いろんな面が逞しいかも。

どの部分を切り出すか、は
ルドルフも同じ。
田代ルドは繊細さだったけど、
伊礼ルドは、国を、世界を変えようとする
強い情熱が一番出ていた。
絶望後は、すぐ自殺。
こういうルドもいいじゃあないか。
歌は、悪くないと思うけど、
田代ルドの後だと・・・

山口トートは、前回とか、前々回は、
トートではなく、
山口さん本人が、
自分の歌声に酔っているようで
ちょっと苦手だったけど、
今回は、ちゃんとシシィを見つめるトートでした。
ドラマにちゃんと加わっていました。
体格も存在感もあるので、
あさこちゃんが男役演技で強く出ても
どーん、と、揺らぐことなく
ちゃんと受け止めてくれます。
こういう関係もありかー。
最後は、なんともいえない苦しげな顔だった。
あさこシシィは、この世とおさらばが、
イコール、トートの手を取ることじゃなく、
トートと別の次元に行っちゃたのだろうか。
手に入れたと思ったものが
あっというまに手から離れてしまったのか。
いろいろ考えられるトートだった。
動きは、意外とキレがあります。
「ルドルフ戴冠」のあたりは
伊礼君より、いい動きをしていた。

寿ゾフィーは迫力がある。
高嶋兄はクドい。
開けたばかりの頃は、それほどでもなかったのに。
もうちょっと控えて欲しいなあ。
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