きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ロミオとジュリエット」沖&柄本/東京バレエ団

2014年02月06日 | バレエ・ダンス
公演期間も配役の変更もありましたが、
無事に幕が開きました。

初演初日はゲストでは無く、
若手で迎えることができました。

それぞれ初役ではありますが
すでに主演経験があるため
踊りはとても落ち着いて、丁寧で
すごく自然体でした。
ノイマイヤー独特の動きも綺麗でした。

香菜子ちゃんは頭が小さく手足が長く
とてもスタイルが良いですね。
身体のコントロールも上手く
手先足先まですっきり伸びていました。
若さ、生命力が溢れていて、
実にのびのびと生き生きと踊っていました。
登場時は男女に分かれる前の「子供」。
やんちゃ、どころではない、
木登りとかしていそうな元気いっぱいな子供。
母親に「もっと女の子らしくしなさい」と言われても聞き流す。
でも、貴婦人への憧れはほんのり持っている。
パリスと初めて会ったときも、
大人に扱われて嬉しいぐらい。
それがロミオと出会い、恋をして
「女の子」になる。
大人、ではなく、まだまだ子供の範囲なんだけど
でも「女性」の部分が加わる。
後半のパリスを拒否するのは
少女らしい潔癖さだと思います。
その成長の過程がよく見えました。

弾くんも感情豊かな若者でした。
ロザリンデからジュリエットに気持ちが切り替わったあたりが
もうちょっと明確だといいかな。
恋に恋して、それがいつの間にか本当の恋になったのかな。
ジュリエット好き好きになってからは一直線でした。
浮かれっぷりが可愛かった。

2人とも難しいリフトを上手く決めていました。

1、2幕は群衆がいたし、急上昇の恋に、決闘の場面と
2人を取り巻く状況がドラマティックで盛り上がりましたが
3幕は2人で話を回して行くので、
若い2人にはちょっと重荷だったかな。
元々ノイマイヤー版自体がドラマティックではないので、
なんとなくオチが弱く感じられました。
ロミオが毒薬で死なないから
「唇に毒が!」も無く、
あっさり自分の腹にナイフを立てるジュリエット。
この辺が好きなので、もっと「たっぷり!」と思うんだけど
きっとノイマイヤーはこれぐらいのスピードで
良いと思っているんだろうね。

2人の踊り自体は合っていると思います。
香菜子ちゃんに比べると、
弾くんは身長はあるけど
全体的に子供体型かなあ。
芝居は上手く絡んでいるので
これから上演を重ねて深めて行ってくれればと思います。

木村さんのマキューシオは踊りまくり。
一番運動量が多いのでは?
お調子者で女好きでやりたい放題のくせに
踊りは一番綺麗でした。(欲目モード)
キャリアもあるし、ノイマイヤー慣れもしているにしても
細かいステップのキレも良く、
やっぱり他のダンサーとは違う輝きがありますね。(欲目モード)
これを4回シングルって大変そう。
マントのみとはいえ衣装替えもたくさんあるし
死ぬ場面とか見せ場も多いし、
ファンとしてはとても嬉しいです。

森川くんのティボルトは髭付き。
ちょっと中村獅童みたい。
睨むと凄みがあるので雑魚は逃げるのに説得力有り。
意外と踊らない。
けど、ビジュアルばっちり、芝居も上手い。
飲んだくれで女好きで、
ジュリエットに対しては「兄」だね。
俺が守らなきゃ、みたいな。
マキューシオに対しては「殺すつもりじゃなかった」系。
そこまでするつもりではなかったのに、
という後悔でいっぱいなのが可哀想だった。

梅澤くんのパリスは育ちの良い善人。
ジュリエットの子供っぽさも暖かく見守っている。
後半で拒否られても「従兄が死んだばかりだし」と
一歩引いて認めてあげているかんじで怒らない。
いい人なのになー。
ジュリエット、こっちにしておけよー。

杉山くんのベンヴォーリオは
ロミオの弟分としてはバランスが良いけど
群衆に溶け込みすぎ。
せっかくの役付なんだから頭一つ抜けて欲しい。
それはベンヴォーリオの役割を
ローレンスが担っちゃったのもあるのかも。
この版ではローレンスは若い僧でロミオの親友。
ロミオは他の2人より、ローレンスと一番仲よさそうに見えた。
ノイマイヤーは若いダンサーに役を振りたかったんだろうけど
ちょっとバランスが悪いように思います。
この若さで薬草マニアってどうなのか、と。
しかし若くて経験値が無いから失敗も多いということなのかね。
ロミオに伝えに行くのもローレンス。
間に合わない描写は、理論的だけど
オマヌケ感100倍になるのが辛いね。

高岸さんのキャピュレット公も
奈良さんのキャピュレット夫人(白塗り)も迫力がありました。
モンタギュー公は森田さん!
すごく久し振り!嬉しい!
大公の飯田さんはモジャ髭有りだけど帽子着用。
後ろに控える街の重鎮も渋いおじさま達で
すごく絵になっていました。

娼婦達とか街の人たちも
細かい芝居をたくさんしていました。
目が6つぐらい欲しかったです。


デンマーク・ロイヤルで見た時は
イマイチと思ったけど、
今日はとてもワクワクドキドキ!
ただ、短い2幕に比べて、
3幕が長いから
最後まで緊張感が持続するのが難しいかな。
(いま確認したら1幕の方が長いんだね。
 感覚的には3幕は2幕の倍ぐらいの時間に思えました)

バレエ学校の生徒さんも多数出演。
旅芝居にいた子が上手かった。


初日なのでカーテンコールにはノイマイヤー氏登場。
花束贈呈は私服に着替えた飯田芸術監督から。
高岸さんが舞台にいるので
客席からのブラボーの声は控えめ。


舞台セットも衣装も素敵だった。
バヤ、オネーギン、そして今回のロミジュリのように、
全幕物の新作は、衣装&舞台セットを
いちから作って保管するより借りる方が安いのかな。
それはドナウの教訓なのかなあ。
あれらは今どうなっているんだろう。
衣装なんかはリメイクして白鳥に使えばいいのに。
(バレエではそういのは無理なの?)
「うちでしかできないもの」を作りたかったのはわかるけど
ドナウは大失敗だったよなあ。
ラコットさんに言いくるめられたのかなあ。
バーターのファラオもパキータもつまらなくて辛かった。
あの時期にバヤやロミジュリをやってくれれば。
(中堅ダンサーもたくさんいたのに)
ただ、若手で初演初日を迎えられたのは嬉しいけどね。
ノイマイヤー作品のバーターはそれほど辛くないし。


私は土曜日は行かないけれど
それでも木村さんのマキューシオが3回見られるのは嬉しい。
後藤さんにこの難しいリフトができるのかな。
オネーギンでドキッとしたことがあるので
ちょっと不安。


【配役】
モンタギュー家
 モンタギュー夫人:山岸ゆかり
 モンタギュー公:森田雅順
 その息子、ロミオ:柄本弾
 ベンヴォーリオ、ロミオのいとこ:杉山優一
 バルサザール、ロミオの小姓:田中夏輝※

 [モンタギュー家の使用人]
 アブラハム:氷室友
 アンジェロ:安田峻介
 マルコ:岩村暁斗

 [モンタギュー家のメイド]
 シルヴィア:金子仁美
 フランチスカ:中川美雪
 マルガレータ:片岡千尋
 ポーリーナ:上田実歩
 リヴィア:浦由美子
 マリア:市村紗也華
 モンタギュー家の護衛:竹本悠一郎、山田眞央

エスカラス、ヴェローナ大公:飯田宗孝
マキューシオ、ロミオの友人:木村和夫
パリス伯爵:梅澤紘貴
僧ローレンス:岸本秀雄

イモーガン、娼婦:矢島まい
ヴィオレンタ、娼婦:高木綾

旅芸人の一座
イザベラ:河合眞里
ヴァレンティン:永田雄大
セバスティアン、その息子、曲芸師:神崎開※
ルチアーナ:川島麻実子
ラヴィニア:吉川留衣
アントーニオ:岡崎隼也

キャピュレット家
 キャピュレット夫人:奈良春夏
 キャピュレット公:高岸直樹
 その娘、ジュリエット:沖香菜子

 [ジュリエットのいとこ]
 ロザリンデ:渡辺理恵
 ヘレナ:村上美香
 エミーリア:二瓶加奈子

 ジュリエットの乳母:坂井直子
 その召使い、ピーター:佐藤文哉※
 ティボルト、ジュリエットのいとこ:森川茉央

 [キャピュレット家の使用人]
 サンプソン:吉田蓮
 グレゴリー:中村祐司
 ポットパン:上瀧達也

 [キャピュレット家のメイド]
 ルチェッタ:加茂雅子
 グラティアーナ:宮下加瑞
 カミーラ:古閑彩都貴
 ウルスラ:伝田陽美
 ネル:加藤くるみ
 スーザン:三雲友里加

 キャピュレット家の護衛:和田康佑、宮崎大樹、原田祥博、入戸野伊織
 ロザリンデの召使い:升本有姫、中島理子、平松華子

 キャピュレット家の舞踏会の客:
 乾友子-岡崎隼也-三雲友里加
 政本絵美-安田峻介-小川ふみ
 矢島まい-永田雄大-河合眞里
 伝田陽美-和田康佑-崔美実
 上田実歩-宮崎大樹-加藤くるみ
 浦由美子-吉田蓮-青山萌美
 安西くるみ-入戸野伊織-福田真理子
 大森晶絵-原田祥博-小島千代

 ジュリエットのいとこの護衛:上瀧達也、竹本悠一郎、山田眞央

ほか、兵士、守衛、修道士、商人、花娘、元老議員、ヴェローナの市民など:
東京バレエ団、東京バレエ学校(Sクラス・少年科)の生徒※

指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:ジョン・ノイマイヤー、ケヴィン・ヘイゲン、エドゥアルド・ベルティーニ、大石裕香

◆上演時間◆
【第1幕】 18:30-19:35
休憩 20分
【第2幕】 19:55-20:25
休憩 20分
【第3幕】 20:45-21:30
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