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きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ジゼル」ヴォロンツォーワ&サラファーノフ/ミハイロフスキー劇場バレエ

2016年01月06日 | バレエ・ダンス
初めて観るヴォロンツォーワのジゼルは素晴らしかった。
慎ましやかで素朴で純粋で超小顔。
技術レベルは高いけどそれが前面に出ず、
控えめなジゼルとして舞台に存在している。
ジャンプは滞空時間が長いふわりとしている。
狂乱は静かに壊れていくタイプ。
精霊感たっぷりだった。
最後はアルベルトに健気な愛を残しつつも消えていく。
雰囲気がシェスタコワのジゼルに似てるかな。
顔が小さいからかな。
(楽屋口でシェスタコワを見た人が
 「顔が小さい。タマネギぐらいの大きさしかない!」
 と驚いたとの話を見たことあるけど、
 ヴォロンツォーワの顔(頭)もタマネギサイズだと思う)
ヴォロンツォーワのなにが良いって、
マールイのバチルド姫より身分が低く見えることだ。
ヴィシがゲストの時は、バチルドより格上の姫にしか見えなかった。
衣装の生地からして全く違ったもんな~。
(ジバンシーだったっけ。)

サラファーノフはいつものパツパツ短髪じゃなく
長めにして固めている。
ジゼルとは違う身分なのが雰囲気でわかる。
いつもは余裕があるにこやかな表情だけど、
時々ジゼルを見る視線が熱くて一直線で
本気がうかがえた。
常にウィルフリードを平伏させていたけど
一幕最後は彼に頼らるしかないほど辛かったんだね。
公爵だけなら騙そうと思っていたのに
バチルドを見て絶望したにがよくわかった。
ジゼルが息絶えた後は、
俺が悪いのか、俺じゃない!と言っているようだった。
一幕衣装の上着の裾が長くてスカートに見えるのはどうかと思うけど
踊りも体型も全く崩れていない。
昨日のイワンを見た後だと奇跡に思える。
しかし、私ならツァル一択だ!(ごめん)

狂乱の花占いのあと、
冒頭のように腕を組んで踊ろうとするアルベルトだけど、
すり抜けて一人で踊るジゼルがなんとも言えなかった。

二人とも素晴らしかったけど、
「単独でそれぞれ感」はちょいあったかな。
私の理想が高すぎるのかもしれないけど。

ツァルのハンスは言うことないっす!
好きでっす!
あんなにジゼルのことを思っているのに!
とばっちりで!!
他日のロットバルト様なので
1人でただ舞台を走る回るだけでも間が持てるんだよね~。
存在感があるよね~。
姿勢が、顔がちょいと前に出ている系かなあ。
首が長いからだと思うけど。
脚も長いけど!!

ザパスニコワのミルタはもう少し怖くてもいいかなあ。
他者を寄せつけない冷たい雰囲気や
長い手足が映える踊りは良いと思うけど
もうちょいなにか欲しいかな。

ペザントの二人は絶好調。
イグナツェワの揺るぎのない脚に惚れ惚れ。
ヤフニュークも決めポイントがピシッとしてた。
ツインウィリーも綺麗だった。
いつも思うけど、ミリツェワの音の取り方がすごく好み。
たおやかな雰囲気なのに技術はしっかりしているのも好き。

ペトゥホフは小芝居たくさん!
特にサラファーノフとの掛け合いは
台詞が聞こえてくるようだった。
あんなにご主人様のことを思いやっているのに
報われなくて可哀想だわ。
ジゼルの墓場ではそのご主人様を気にしつつ去るんだから
どれだけあの場所が怖いか、ということよね。
ジゼルについては良い子と思っているみたいだよね。
切り捨てるかんじはしない。
だからこそご主人様、早くお戻りに、ってかんじかなあ。

セミョーノワのバチルドは、
ジゼルから「この人は私の婚約者です」と言われても、
「なにを勘違いしているの?」というかんじの
明るい疑いのない笑顔で取り合おうとしなかったけど、
アルベルトのマジ顔を見て、全てを悟ってしまった。
我を失ったジゼルを気にする自然な動きが良かった。

公爵様はベルタの手をにぎにぎ、
ベルタはそれを避けるも、なにか思いついたよう。
公爵は今も昔も村娘と遊ぶのは貴族の嗜み、
若き日のベルタは遊びには付き合うもの、
という考えを持ち実行していたんではないかと思うけど、
今日の二人のかんじだと、
ジゼルは公爵のご落胤というほど深い仲ではなさそう?
1~2回は遊んで、今までお互い忘れていたけど、
ベルタだけ思い出したかんじ?

貴族隊にヴェンシコフはいなかったと思う。たぶん。
貴族(緑)ペアのお戯れ芝居はあり。

コールドはバラけ気味で、
ピシッと揃いはしないけど
ウィリーの凄味はあった。

オケは音がやや乱れるけど、
指揮者が決めの音のタイミングをばっちり合わせてくれる。
さすが座付き!


ヴォロンツォーワは素晴らしいダンサーだけど、
それこそシェスタコワのレベルで、
ボリショイの看板を背負って白鳥を踊るのはどうなんかなあ。
アレクサンドロワと同格では決してないよね。
若手マチネ公演の時ならともかく。


【配役】
ジゼル:アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
アルベルト:レオニード・サラファーノフ
ミルタ:ワレーリア・ザパスニコワ
森番ハンス:ウラジーミル・ツァル
ぺザント・パ・ド・ドゥ:
 ヴェロニカ・イグナツェワ、アンドレイ・ヤフニューク
ベルタ(ジゼルの母) :アンナ・ノヴォショーロワ
バチルド(アルベルトの婚約者): オリガ・セミョーノワ
公爵:アレクセイ・マラーホフ
アルベルトの従者:ロマン・ペトゥホフ
ドゥ・ウィリ:タチアナ・ミリツェワ、アスティク・オガンネシアン
農民、貴族、ウィリたち:ミハイロフスキー劇場バレエ

指揮:ヴァレンティン・ボグダーノフ
管弦楽:ミハイロフスキー劇場管弦楽団
コメント
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