きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ベガーズ・オペラ」

2006年01月26日 | 宝塚・劇団四季以外の舞台(落語含む)
 18世紀ロンドン。普段は上層階級が作った上品な作品しか上演されないドルリー・レーン劇場が、一日のみ、乞食達に使用を許可した。初日にして千秋楽に演じられるのは、若い乞食が書いた、彼らの物語。内容は・・・

 ロンドンの悪党を取り仕切るピーチャムは盗品故買屋。部下が盗んできた物を妻が現金化し、その上前をハネる。役に立たなくなった者は警察に密告する。そうすると、役立たずはお上が絞首刑にし、彼の懐には密告料の40ポンドが入るという寸法だ。彼が慈しみ貴族の令嬢のように育てた娘のポリーは、親の目を盗み、部下の悪党、追い剥ぎのキャプテン・マクフィースと結婚してしまった。このマクヒースという男、働きは良いのだが、名うての女ったらしで、愛人が何人もいるのだ。怒ったピーチャムはマクヒースを牢獄送りにしようとする。ポリーに涙の別れを告げ、ロンドンを出ようとするマクヒース。だったが、淫売宿に寄り道。愛人の一人、ジェニーとよろしく楽しもうとするが、ジェニーに売られロキットが看守を務めるニューゲート牢獄に繋がれる。絶体絶命に見えたが、これまた愛人の一人、ロキットの娘ルーシーに脱獄を手伝わせ自由の身に。なったように見えたが、やっぱり淫売宿(ジェニーの所とは別)に寄り道し、その女将に売られてしまう。もはや絞首刑は免れない!
マクヒースを吊せ!!

 ここで、劇場支配人から物言いがつく。「オペラというのはハッピーエンドでなければ!!」。貧乏人は貧乏人のまま、金持ち・上層階級のみが甘い汁を吸う、そんな風刺劇を上演したかったのに、、、。しかし、金持ちには逆らえない。作家の乞食は仲間の役者に言う、「恩赦が出たので死刑は中止と叫ぶんだ!」。

 初演は1727年、ジョン・ゲイ作。世界最初のミュージカルと言われる作品です。休憩2回を挟んで3時間30分の上演時間は長いんだけれど、削れないし巻けないので、仕方がないでしょう。ゆったりめに進む芝居、ゆったりめの音楽は、やっぱり少々古くさいけれど、このテンポだからこそ生きる芝居なのかもね。
 かと言って。内容はゆったりじゃありません。テンション、バカ高。猥雑でエネルギッシュ!舞台上にまで客席を作り、3階席から観ていても、演者と客が一体となり、臨場感たっぷり。幕間には役者さん達が客席に来て、芸を見せてお菓子(等)をねだったり、「望遠鏡でマクヒース『だけ』観るのは止めろ!」と注意されたり。自分を「ドルリー・レーン劇場で乞食達の芝居を観る客」と錯覚しそうでした。1日のみの、1回だけのお祭りに、自分も参加した気分。
 内容もねえ。悪人ばっかり出る話なんだけど。マクヒースも、もう、どうしようもな男なんだけど。女が群がるのがわかるよなあ。そういう説得力を見せてくれたウッチーでした。歌自体はね
歌い慣れていない曲は
ちょっと厳しいかもね・・・

でも、建前は「素人芝居」なので、まあ、良いでしょう。それよりも、女にだらしないのに、女が離さない、そういう色気がある方が大事で。フェロモン放出、ってワケではないんだけど、なんか、こう、女が放っておかないよ!って雰囲気は、とっても素晴らしいと思います。ポーリー、ジェニー、ルーシー等とキスをしまくり。役得に見えるけど、ヒゲのおっちゃんとのキスもあったのでプラマイゼロかね。
 女優陣の中で印象深いのは森さんと島田さん。ピーチャム夫人の森さんは可愛いソプラノの歌声で、あらまあ、こんな声は初めて聞いたわ!でもこれはこれで似合っている、と思ったら、後半の二役目はいつものアルト系の声で。その演じ分けがうまいですね。島田さんの歌は心に響きます。一番、「歌」で伝えていましたね。2幕終わりの「牝狐は、牡狐が猟犬から逃げられるのを祈るだけ」の歌が泣けました。笹本さんもハジけていて面白かった。
 それから、橋本さんだよねーーー、うまいねーーー、声も演技も、なにもかもが。客の引き込み方がとってもうまい。彼の語りで、劇場があっというまに21世紀の日本から18世紀のロンドンになっちゃいましたよ。
 その他のアンサンブルもハズれなし。舞台(美術・装置)の作り方もよく考えられていて、すべてに渡って高レベルな内容で、とってもとっても見応えがありました。3千円で観て、申し訳ないわ。


 さて。ここで。ヅカ版の「スピーク・イージー」についても少々。以前どこかで、「『スピク』は『ジョン・ゲイのベガーズ・オペラ』を元にしたと断りがあるが、『ブレヒト版』を下敷きにしていないか?なんで『ブレヒト版』のクレジットを入れないのか?」という記事を目にしたことがありまして、その時は両版とも知らなかったのでよくわからなかったのですが、数年前の蜷川演出ブレヒト版と、今回の「ベガーズ」を観て、合点しました。
ヅカ版は、あきらかに
ブレヒト版がモトネタです

初演から200年後に作られたブレヒト版の改訂点。っても、私は蜷川演出しか観ていませんが・・・
  ・マクヒースを、ピーチャム手下の追い剥ぎから
   ピーチャムと敵対するギャングのボスに
   (マック・ザ・ナイフ(の独語)の別名を持たせる)
  ・ロキットは看守から警視総監に。
   マクヒースとロキットを、かつて戦争で一緒に闘った仲間とする
   (その戦友にさえ裏切られるマクヒース)
  ・新たに作曲
    ♪お聞かせ~ しましょう~ 悪党の~ はなし~~
    ♪いまでは 懐かしい 日々
    ♪この商売は賢くなけりゃ 生きているうちに頭を使え
   などの曲はブレヒト版で登場。
ただね~、オチを覚えていないんだよな。恩赦が出て、それは確実なんだけど。母が言うには「当時のナチを風刺した」って言うんだけど、わからんかったよ。全然。それにしても、なぜ、「ブレヒト」をクレジットに入れなかったんでしょうな>宝塚歌劇団。著作権とか、そのあたりの関係?
 で、今回の「ベガーズ」を観て、わかったこともありました。ヅカ版のマクヒースの最後が、絞首刑が中止になり、みなで歌って終わるってのが、なんとなく不自然だなあ、サヨナラ公演だからかなあ、と思っていたのですが、たんにモトネタ通りだったんですね。長年のつかえが取れました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロモーション終了?と、・・・

2006年01月26日 | その他イロイロ
 すご録ちゃんに設定していた「細川茂樹」の件数が、昨日の「笑ってこらえて」&「お笑いLIVE10」の後、0件になっちゃいました。もうちょっとしたら「バリューナイトフィーバー」が入ると思うけど、それ以降しばらくは「火消し屋小町」などの出演ドラマの再放送ぐらいになっちゃうのかな。毎週のように細川さんが供給されていたのに、ちょっと寂しい・・・。タケデンによると、細川さんはヒビキの宣伝の一環としてバラエティ(等)に進んで出られていたようですね。一時的に知名度が上がるとはいえ、「特定の色が付く」というのは、役者としてのリスクはかなり大きいことだったと思います。それをおして出ていただいて本当に大感謝です。私は、かつてこれほどまでに、一人の役者さんの出演番組を録画したことはないですよ。何枚あるんだろう、録画DVDが・・・。この先どういう方向にお仕事を展開されるか、最近から細川さんを見始めた私には想像がつきませんが、ご活躍を祈るばかりです。
 でも、お願い。できればDVD最終巻が出る頃に、またプロモーションをしていただけないかなあ。「最終巻は内容的に買う価値があるのだろうか?」と友人が言っていたので、「『細川さんの和服と二の腕』の巻だよ!」と勧めているところなのです。彼女の気が変わらないように、ゼヒゼヒ最後に今一度のプロモーションを!
 
 と、書くと大ファンのようですが、どうなのかしら。大ファンってのは、コンサート・ライブの予定が出たとき、「どこが行けないかしら(←行けない日以外は全て行く)」と思うぐらい好きな人のことだよねえ(「XX―SPLASH!」は何回行けばイイんだーーー!)。細川さんはそこまででは無いような。とりあえず関西のイベントは行かなかったし。29日も1回目しか行かないし。でも、それは15時渋谷開演のルジの「バヤデルカ」が先に入っていたからだしなあ(チケット購入は昨年8月末だよ)。もしこれが無ければ、(チケットが取れる取れないは別として)3回とも行ったかもなあ。いやいや、無ければ大阪のRFMに行くために一日費やしていたわ。そう思うとナマの細川さんを見ることができるのはルジのおかげなのか。
 って理屈は、どこかが間違っている気がする・・・。それは、「29日の1回目を見た後、新幹線に乗れば『17時半受付開始@ ザ・リッツ・カールトン大阪』に間に合う」ってことではない・・・よね・・・?
*松田さん目当てに全5回制覇を一瞬検討したことは内緒だ

 そう、その前日の28日ね。この日も中野→渋谷コースなんですが、パリ・オペの一般発日でもあるのよね。中野開演前にチケットを買わなきゃならんのだけど、どこで押さえるか。ローソンは配席が悪いしなあ。さあ、どうしましょう。こうして遊びの予定が増えていく~~~。

 
 あ、プロモーションといえば。春に公開予定の「ダイヤモンド・イン・パラダイス」のチラシ。「サルマ・ハエックが見事な『プロモーション』を惜しげもなく披露している」って書いてありました。一瞬なんのことだかわからなかったよ!
 

 本日は「ベガーズ・オペラ」を観に行く予定です。1時間40分バージョン(笑)に慣れているもんで、数年前に観た蜷川版(→その時の感想)は長くて辛くて盛り上がらなくて、帰宅してからすぐ「スピク」を再生しちゃったんだよなあ。今回はどうなるかしら。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする