きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「清風明月」

2005年04月09日 | 映画
本日4コマめ。いい加減こんな生活は・・・(以下略)

 チラシとかでの印象は「痛快時代劇」だったんですが、韓国の「重い『男の友情』モノ」でした。もっと娯楽作だと思ったんだけどなあ。その割には友情の書き込みが弱いので、話の練りがイマイチ。かつての彼らの「絆」が強ければ強いほど、敵同士になってしまった「現在」が生きてくるのになあ。オチの台詞は割といいんだけど、前振りが弱いだけに、「あ~~、まあ、つまりはぁ、そういうことだったんですねえ。はあ・・・。」みたいな、これでいいような悪いような、見ている気持ちに決着がつかないラストでした。
 
 お話は17世紀半ばの朝鮮。反乱によって仁祖が王座についた。新王朝の高官が次々と刺客に襲われる。王の護衛官ギュヨプは、刺客がかつての友人ジファンなのを知る。彼らは前王朝時代の武官養成所「清風明月」で技を磨き合った仲。「おだやかな風が吹き、明るい月が世を照らす」その言葉通りの平和な世をもたらすことを目的にした機関「清風明月」を卒業し、ジファンは王都の護衛に、ギョヨプは国境警備へ赴く。精鋭の武官に目を付けた反乱軍は、国境警備隊を傘下に納めようとする。従わなければ部下を殺すと脅されたギュヨプは、部下の命のために仁祖に「生涯の忠誠」を誓わされ、王都攻撃の先陣となり、王都守護のジファンと切り結ぶ。ギュヨプによりジファンは斃された、と思われていた。そのジファンが刺客だったのだ。己の信念とは違うものに心ならずも忠誠を誓い新王を護るギュヨプ、復讐のために新王を狙うジファン。二人はどうなるのか・・・。というのがあらすじ。
 ギュヨプの苦しみは強く伝わってきます。ジファンの、生きる目的はただ一つというのもよくわかります。市川雷蔵と天知茂でやったらすごく似合いそうです。それだけに、もうちょっと、話を練り込んでくれたらなあ、と思います。ついでに言うなら女は必要ないです。役者じゃなくストーリー的に。
 1500人のエキストラを使った合戦場面は迫力があります。しかしながら夜に、同じ軍装なので、どっちが敵だか味方だかわかりづらいです。見所の一つ、風景はなかなか美しかったですし、皆さん甲冑の着こなしもよくすごく自然でした。そういった細部は非常に良いんですがね・・・。ギュヨプ役のチョ・ジェヒョンの「目」の力が凄かった。この「目」は大画面で見ておいて正解。
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マシュー・ボーン「白鳥の湖」

2005年04月09日 | バレエ・ダンス
存在自体はかなり前から知っていた「マシュー・ボーン 白鳥の湖」。初演時の頃はダンマガを定期購読していたからね。前回の来日公演は、行こうかどうか迷ったけど、結局行きませんでした。古典版が好きな私は、こちらをそれなりに面白いと思っても、やっぱり古典よねえ、と思いそうだな、と考えたもんで。それでも今回は、やっぱり見ておくべきかと去年11月に文化村会員予約で取ってみたのですが、卓治のライブが重なりまして。縁がないわね~、というところに得チケが出てので行くことにしました。
 基本的に、古典版の音楽を使っての舞台。マザコンの王子が、白鳥の幻想を見て、いろいろあって、結局は狂気の中、死んでしまう、という話。たぶん10年前に見たら、衝撃的だったんでしょうね。男性による白鳥とか、作品に潜むゲイテイストとか。私は見るのが遅すぎたなあ、というのが第一印象。2005年ともなると、両者とも珍しくはない。特に
バレ・フェスでアムール

を観ちゃった私にはインパクト薄。「マザコン男」も、いまやメジャーだし。試みは面白いと思うけど、やっぱり私は古典版がいいなあ。音楽を聴くと、古典版が目に浮かんじゃうのよね。(←そういう人間を笑っているのが1幕の『古典バレエ』とわかりつつ・・・)
 首藤君が出ていなくて少し残念、と思ったけど、かえって良かったかも。「これの『王子』じゃなくて、古典版の『王子』を一度でいいから観たかったよ~」と、きっと悶絶したことでしょう。

★これはメモ代わりで、後日ゆっくり加筆を・・・と思ったけど、書きたいことを忘れてしまったわ。3幕の「ストレンジャー」の存在が面白かったことだけは書いておかなければ。「マザコン」は単なる親離れできない子供ではなく、母親への肉体的な欲望を伴った気持ちであり、2幕では自分の幻想の中の恋人だった白鳥が、3幕では「ストレンジャー」で母の肉欲の相手であり自分の敵であり、この点においては母も敵であるという設定が面白かった。あとは・・・。王妃(役)のペチコート。あんなペチコートを付けてよく踊れるなあ。と。。。。うんとねえ、2幕のような雰囲気への期待が大きかったので、1幕でかなり気を削がれた気分でした。「退廃」を目当てに来たら、まず「風刺」を見させられたような、そんな気分。
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レスリー・チャンの映画を観る

2005年04月09日 | 映画
欲望の翼 ブエノスアイレス

 オーチャードホールに「白鳥の湖」を見に行くついでに、ル・シネマの「ウォン・カーウァイ」の世界を見てきました。未見の「欲望の翼」と、ビデオで見たことがある「ブエノス・アイレス」。レスリーを大画面で見るのは96年の「花の影」以来だから・・・9年振り?やはりこの人は
姫キャラ
だよな~。ワガママで、周囲の人に迷惑をかけて、他人の愛など受け入れず、自分の感情にのみ忠実で、そのダメ度が高ければ高いほど、魅力もアップ。血縁者・友人にいたら迷惑なだけかもしれないけれど、ちょっと離れているところで見る分には、これほど心惹かれる人はいない。それは演技で作られるモノではなく、「地」なんだよねえ。トニーは演技力で、振り回しキャラと振り回されキャラを行ったり来たりできるんだけど、レスリーは、もう、脚本だの演出だのなんだの枠で固めるのが惜しい人。彼の魅力をひたすらフィルムに焼き付けるだけで作品ができあがるのよね。昔の西洋の女優さんにはそういうタイプの人がいたけれど、それが最近のアジアの男性、っていうのが、たまらんね。奇跡のようだよ。飛び降り自殺、というのは、ある意味彼らしい最後だったかもしれない。沖雅也を思い出したワタシ。でも、この人は、トシ取って、ハゲても太っても(あるいは鶏ガラのように痩せても)永遠の姫キャラができたような気がする。綺麗なままで退場、というのは、それはそれで納得なんだけど、でも惜しいよな~。まあ、このテのロクデナシキャラに魅力を感じる人の方が少ないかもしれないんだけどさあ。
 「欲望の翼」は6人の男女の巡り会い、すれ違い。どの話も切ない。アンディがまだ若いわ~。カリーナがイイわ!こういう女が似合うんだよなあ。トニーが羨ますいぃ。「4月16日3時」が最後まで意味を持つとは思わなかった。あちこちに話が飛んでいたように見えて、ちゃんとまとまったのが面白かった。「ブエノスアイレス」は、トニーが気の毒。彼の料理を食べたいよねぇぇぇ。レスリーの「やりなおそう」に逆らえないのはよくわかるよ。両作品ともレスリーの「周囲を振り回す」姿が愛おしいっす。髪を櫛で梳かす時の「目」がたまらないのだよね。
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