きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「LIVE-RED & BLACK」小山卓治/本田恭章

2005年07月02日 | 小山卓治
  (kenyaちゃん、写真サンキュー!)

 オープニングアクトは福井大輔さん。OAって「プロになりきっていない若人が自分の頭の中を垂れ流す」ことが多いけど、そういった意味で福井さんは「プロ」でした。「『自分の言葉』を『他人』へ伝える」ことをちゃんと考えている歌でした。まあ、私はアメリカに憧れを持たない世代なので、福井さんの歌に入っていくことはできませんでしたが。最後の曲、「飛行機」が飛んでいた「空」の色を思い出しました。

 続いては本田君の登場。姿を見るのは「ハカイダー」以来だけど、変わっていない。それなりに口元には年齢を重ねているけど全体的な印象は昔と同じ。7月後半のライブ用かもしれないけれど、髪型も80年代なJAPAN系だった。歌は昔よりずっとうまくなっていた。ギターのテクはそれについていっていないのでピアノだけでもイイ気がする。客席を見ることなく譜面台に向かって歌っていた。それが他の歌手なら別なことを思うかもしれないけれど、本田君だから。あえて客との距離を作っているのかな?その距離感が「王子」の雰囲気を醸し出すのかな、と思った。MCは殆ど無く、演奏した曲は、どれも同じような曲調。だけど、友人によると「最後から2番目の曲は20年間の曲だと思う」とのこと。今も昔も同じような曲を歌っているということかな。いろいろ遠回りしているように見えたけど、ずっと同じ場所で、同じスタンスで歌い続けいているんだね。それはそれで素晴らしいことだ。浮き世名離れした雰囲気を持ちつつも、「ずっと」歌ってきた重みも同時に感じた。
 ファンも持ち上がりみたいなんだけど、静かだよね。声援も野次もツッコミもなく(←当たり前か・・・)、拍手もおとなしい。拍手はファンに先導して欲しいんだけど、曲が終わってもなかなか入れてくれないので、どうしていいかわからないのよ。「なにか飲み物を・・・」って言われて、すかさずビールを差し入れる、なんてことは絶対にないのね。
 曲の歌詞も「本田君」ってカンジだったなあ。卓治が「Baby」とか歌ったら即刻ライブハウス出るよな~、と思いながら聴いていました。ロックを歌いながら「女の子」をウットリさせる、そんな「王子」振りは健在なのね。

 本田君の演奏が終わると、客席の、普段見ない女性陣も退場。いきなり「粗野な雰囲気」200%アップ。卓治が出てきてホッとした。自分の知っている世界に戻ってきたようだった。
 一曲目は「微熱夜」。本田君との違いを意識させるためなのか。いつものように荒めのギターに乗せて歌われると、やっぱり、私は卓治だよな~、としみじみ思う。「手首」も、いつもより鋭いように思う。続く「オリオンのティアラ」と「花を育てたことがあるかい」は、女性向けの曲なのかな。優しいメロディーだし、「愛の歌」だし。コワイだけじゃないですよ~、ってアピールなのかな。そして「ユリエ」。来ると思った。似たような事件があったから。今までは乗り切れない曲だったけど、あの事件のことを思出すと、卓治の「逃げてくれ、逃げ切ってくれ」という気持ちが伝わってくる。これに「負けないで」を繋げるのは、彼に、ユリエに、そう思っているんだろうなあ。私も同じ思いです。最初の「負けないで」がすごく大きい音でした。マーキーのスタッフがあわててボリュームを調整していた。そんな大声になってしまうくらい強く思っているんだろうなあ。で、「種の歌」。彼もユリエも、皆が幸せになりますように、ということ?「ジオラマ」で一回締め。
 アンコールは「Soulmate」。「歌い続けている」福井さんと本田君にも向けて。続けるって、偉大なことだよなあ。ラストは「Show Time」。

 今回は「卓治のライブを楽しむ」ってカンジじゃなかったです。本田君を見た後だから、もう、卓治であればなんでもありがたいっていうのかなあ。他の誰でもなく、自分は卓治の世界が好きなんだよなあ、と再認識しました。好きな曲もあれば嫌いな曲もあるんだけど、それは、歌(表現、伝え方)の間口が広いっていうか、バリエーションに富んでいることでもあるというか。そんなことをしみじみ思いました。比較対象があると、そんなことを考えちゃんだよねえ。そんなわけで、内容自体は不問。「Soulmate」で演奏が一部怪しかったとか、このさい全然OKです。ハードル低すぎるぞ自分、と思うけど、こういう日があってもいいわな。
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「Dear フランキー」

2005年07月02日 | 映画
 時間の都合で「ダニー」とこれをハシゴしたのですが、偶然にも、ふたつとも舞台はグラスゴーでした。アッチョンブリケ!前者はグラスゴーである必要はあまり無かったのですが、こちらは大有リ。グラスゴーの景色が、映画を成立させる一つの要素になっていました。美しい景色は人の心を穏やかにさせてくれます。
 シングルマザーのリジーは難聴の息子フランキーと母と3人暮らし。DVの夫から息子を連れ出し逃げているため、転々と引っ越しする。今度はグラスゴー。夫の話を詳しく正確に子供に伝えたくないリジーは息子に、「お父さんは船乗り」と嘘を付く。フランキーは父宛に日常の様々なことを手紙を書くが、受け取り、返事を書くのは母親だった。ある日、父が乗っているとされる船がグラスゴーに寄港する。父と会えるのを楽しみにしている息子のため、リジーは「一日だけの父親役」をしてくれる男性を捜す。
 おおげさな場面・演技はいっさいありません。全体的に台詞が少なめなのですが、表情とか「間」とかで、充分伝わります。それも、役者に寄りかかる、のではなく、ちゃんと演出・脚本の段階でそれを計算しているのがわかります。「父親役」のジェラルド・バトラーも、一見、金のためだけにそれを引き受けたように思いますが、フランキーに本を送る場面で、彼が「息子」の手紙をキチンと読んできたのがわかります。これがハリウッド映画なら「本当の息子のように思えてきた!彼の『父』はオレだ!!」となるでしょう。でも、この映画は違います。「父」と「子」ではなく、「対等の人間」として描かれます。もともと無口(だと思われる)男でも、手話と表情で語るフランキーの気持ちを実に正確に受け取っています。それがわかるから、フランキーは自分の「言葉」で、「父」に話しかけるのです。
 母が嘘の手紙を止められなかったのは、それが息子から聴ける「声」だったから。たとえニセの父宛の声でも、それを聴きたかった。夫(フランキーの実の父)が病気で死んだため、それも止めることになった。最後に受け取った手紙の内容には、泣かされます。男の子って、母親を守るものなんだねえ。。。この手紙で、明るい将来を感じることができます。「ニセの『父』」が「本当の『父』」になる可能性を示唆していると思いました。

 余談ながら。私の隣に座ったのは、若いカップルの男性の方。二人とも「オペラ座の怪人」を見て、コレに来た、ってカンジでした。だって最初はダレダレ~~、って雰囲気で、バトラーが出たときに「出たよ!」って気合いが入ったんだもん。そんな彼も、「最後の手紙」でボロボロ泣いていましたよ。男性もハンカチ必需っすよ!
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「ダニー・ザ・ドッグ」

2005年07月02日 | 映画
だにー・ざ・もんきー
と、予告を見たとき思いました。実際映画を見ていても、お猿さんだよね~。子犬の目を持つお猿さん。

 取り立て屋のボスに育てられたダニー。首輪を付けているときは誰からも馬鹿にされるなにもできない男、ボスが首輪を外し「殺せ!」と命令されると、ボスが止めるまで人を殴り続ける。「人」として扱われることなく「道具」としてのみ扱われる。ある日、盲目のピアノ調律師と知り合ったことから、ダニーの生活は変わり始め、ダニーの過去も明らかになる。
 と、話自体は、その辺に出ている粗筋通りなんですが、それに深みを持たせているのが、ジェト・リーの演技です。タイトル通り「犬」として扱われている時、「闘犬」として人を傷つけるとき、そして、徐々に人間らしさを取り戻すときの笑顔。この笑顔が純真無垢で、たまらなく良いです。人が初めて「幸福」に接したときに出るのではないか?と思われる「笑顔」。こんな表情ができる人だったんだー。私達が日常生活でなにも感じなくなったことでも、それを「幸福」と感じる人もいる。それをひとつひとつ発見していく彼の表情は微笑ましくも、痛々しい。映画前半では、いくら東洋人が若く見えるからって、この役をやるには老けすぎでは(42歳だって??)?と思ったけど、ピアノ調律師の娘との関係が「恋愛」ではなく、「3人が家族になる」という話に落ち着いたので、まあ、良いかな~、と。
 まあ、アクションは、ちょっと「付け足し」っぽいところがあるかなあ。みどころはダニーのボスです。不死身です。殺しても殺しても死なないのよ~。ラストも、彼が出てきて機関銃乱射でみんな死ぬ、ってオチになったらどうしよう、とドキドキしちゃいました。上品とは言えない彼が身だしなみにはこだわるのが良いアクセントですわな。
 ピアノ調律師のモーガン・フリーマンの演技も素晴らしいモノの、話自体は単調です。展開も思ったこと以上のことはないし。ジェット・リーを「カワイイ」と思えない人にはつまらない映画かもしれません。カワイイと思う人は見てね~。
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