きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「欲望のバージニア」

2013年06月29日 | 映画
禁酒法時代のアメリカ。
戦争を生き抜いた長男のハワード、
スペイン風邪でも死ななかった次男のフォレスト、
そして三男のジャックのボンデュラント三兄弟は
密造酒の製造、販売を行っていた。

商売を仕切るフォレストの手法は手堅いが、
派手な商売をしたいジャックは
ギャングのフロイド・バナーに取引を持ちかける。

同じ頃。
新しい特別補佐官レイクスが密造者たちに高額な賄賂を求めてきた。
仲間がみなレイクスに降るなか、三兄弟だけは自立を保つ。

あるとき、レイクスに雇われた男達が
フォレストの喉を掻き切る・・・。


邦題がイマイチだけど、
(欲望はあんまりギラギラしてない)
個性豊かな俳優達がイメージ通りの役をそのまま演じている。
寡黙で背中で語る男、お調子者の末弟、
純真な牧師の娘、悪徳役人、ダンディなギャング、
この人はこういう役が似合うよね!ってキャスティングなんだけど
どれもハマりすぎているので、「いかにも」感は薄い。

とにかく三兄弟のタフぶりに驚愕。
まだ死なないのか!
と思うところ多数。
たぶん、作品中にもあるように
「伝説」の部分もあるんだろうけど
それにしても、逞しすぎ。
(三兄弟は実在の人物です)

トム・ハーディがとにかく可愛い。
体型で吉原さんを思い出す。
ナルシストなガイ・ピアーズもたまらんよ!
ゲイリーのウィンクを見逃すな!!


おっさん好きにはおすすめ。


しかし、禁酒法って、なんだったんだろうね。
もとは清教徒の理念なんだろうけど
結果的にはギャングを蔓延らせたんだよね。
日本の「生類哀れみ」には負けるけどさ。
いまもこうして商売の種になるとは
制定した人は思わなかっただろうなあ。
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「カッコーの巣の上で」(新・午前十時の映画祭)

2013年06月29日 | 映画
刑務所の農作業から逃れるため
精神疾患のふりをし、
精神病院に入院したマクマーフィー。
婦長による統制や、病院の厳しい規則に逆らい
我が儘に自由に過ごす彼に
周りの患者達も次第に同調していき
人間らしい感情、表情を取り戻す。

あるとき彼は入院患者を誘い「遠足」に出る。
戻ったとき彼は知る。
拘置期限の68日(だったかな?)が過ぎれば退院できる
(=その期間だけ農作業をサボるつもりだった)
と思っていたのに、
入院期間は院長などで決定する、
つまり、一生ここから出られない、
ということもありえるのだ。

マクマーフィーは脱走を計画する。
患者の一人、チーフも誘うが
彼は「自分は小さい人間だから」と断る。

脱走決行日。クリスマス。
警備員を酒や女で懐柔し
マクマーフィー主催のパーティが始まる。

乱痴気騒ぎの終わりかけ、
患者の若者ビリーが
呼んだ中の「女友達」に気があることを知り
マクマーフィーは彼女にビリーと一晩過ごすことを頼む。

酔いがまわり、寝込むマクマーフィー。

夜が明け。
婦長が出勤。
心の自由を取り戻したかに見えた患者達は
婦長の命令にふたたび従うようになる。

「母に全てを知らせる」、
という婦長の言葉に絶望したビリーは自殺する。

それを知ったマクマーフィーは婦長に襲いかかり首を絞める。

そして、、、
ある夜、チーフはマクマーフィーと共に
脱走することを決意する。
しかしマクマーフィーはロボトミー手術を施されてしまった。


重苦しさとおちゃらけが混じり、
どう落ちるかと思ったら・・・。

羽ばたこうとした方が巣から落ち、
飛び出すのをためらっていた方が羽ばたくんだな。

ビリーの抑圧の原因とか、
ハッキリ書かなくてもいろいろわかるのが
巧い作りだなあ。

酒には飲まれるな!だね。

どんな状況でも自由を求めて戦うニコルソンの風貌は
なんだか狼男みたいだった。

人間はいついかなるときも自由である、とか
人権は守られなければならい、とか、
隔離するというシステムはどうなのか、とか
そういうメッセージもあると思う。

それでも。
鉄壁の婦長さんの強さには涙が出そうだった。
そりゃ、ビリーの母のように
患者への抑圧原因のひとつになってるとは思う。
でも、患者のために、病気を治したいという鉄の意志は
単純にすごいな、と思う。
誰もが就きたいと思うような仕事じゃないのに
すすんで試練を受け入れる聖女のようだ。
彼女の方法が間違っている、という部分があるにせよ
崇高であるのは確かだと思う。
悪意のない行動、純粋な心ほど
他者への支配力は強まるにせよ、ね。
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