きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ロシア・バレエのスター達 ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ 合同ガラ公演 2010」Aプロ

2010年10月26日 | バレエ・ダンス
今日は4階L1列。
前回より1階下がって1列前に出たら
チケット代は倍。
やっぱりそれだけの値打ちはあったけどね。


≪第1部≫
《パ・ド・カトル》( 振付:ドーリン、音楽:プーニ)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ルシール・グラーン) /
アンナ・ニクーリナ(カルロッタ・グリジ) /
ガリーナ・ステパネンコ(ファニー・チェリート) /
ウリヤーナ・ロパートキナ(マリー・タリオーニ)

今回もっとも見たかった演目。
ザハロワ降板により、ステパネンコがここに入り
まさに女王競演で楽しゅうございました。
東京ならではの実現だね。
「フローラ」より対決風味があって面白かった。
ありがとう、ジャパン・アーツ!


《眠れる森の美女》 第3幕のパ・ド・ドゥ 
(振付:プティパ、音楽:チャイコフスキー)
アリーナ・ソーモワ / レオニード・サラファーノフ

これも、「ザ・王道」って感じで
とても素晴らしかった。
ソーモワもサラファーノフも、実に端正。
白く光り輝いていた。
残念なのはオケ。
オケは全般的に悪かったんだけど
ここが最高に悪かった。
チャイコフスキーだよ!
コンテの現代作曲家の音楽じゃないんだ!
なのになんでこんなにヒドいんだ!


《海賊》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:チェクルィギン / チャブキアーニ、音楽:ドリゴ)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

ふたりとも、スパスパ技が決まって気持ちいい。
それでいて、やり過ぎ感はなく、
土曜日のBプロほど崩れてはいなかった。
ボリショイはスポーツになっちゃイカンからね。
ワシーリエフくんは、出始めた頃に見た写真は
まだまだ子供だったけど、
今回しっかり見たら、ちゃんと大人だった。
若いけど、中身はちゃんと詰まっている。


《愛の伝説》よりモノローグとアダージョ 
(振付:グリゴローヴィチ、音楽:メーリコフ)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / イーゴリ・コールプ

技で沸かせた前の組と、うって変わった情念の世界。
テリョーシキナは、身体がとてもシャープに動くけど
その動きの中に濃厚な感情があった。
短い時間だったけど、ちゃんとドラマを感じられた。
彼女の踊りは好きだな~。
ワガノワの系譜が感じられる。
コルプは、ほんのちょろっとした出番だし、
トルコブルーの衣装も衝撃的だったけど、
ひとつひとつのポーズが実に美しく、
テリョーシキナが作る物語をさらに深くしていた。
存在感がすごすぎる。
跳んだり回ったりも見たいけれど、
これだけの芸術性を見せつけられると、
もう、なにも言えない。平伏するだけ。


《ジゼル》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ペロー / プティパ、音楽:アダン)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

う~ん・・・
地味だ・・・


≪第2部≫
《ナルシスへのレクイエム》 
(振付:スメカーロフ、音楽:マンセル)
ウラジーミル・シクリャローフ

伸びる金属素材が主役のような作品。
ナルシスっていうより厨二病だな。


《ライモンダ》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / グリゴローヴィチ、音楽:グラズノーフ)
ガリーナ・ステパネンコ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

姐さんのライモンダ!
ありがたい!
拝む。
「ドン・キ」の時に感じた「年齢」はあまりなかった。
ほんとに、美しいんだ。
動きの全ては。
でもなんで、ライトが暗いんだ。
もっとはっきり見せてくれよー!
ヴォルチコフは、Bプロのロブーヒンよりずっと洗練されていて
マント捌きも良かった。
ステパネンコの強さにも良く対応していた。


《別れ》( 振付:スメカーロフ、音楽:パウエル)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ

背中合わせに座っていた男女が動き出し・・・
「ナルシス」より、ずっと面白かった。
二人の踊りは実に雄弁だった。
オブラスツォーワは赤いドレスが似合っていた。


《タリスマン》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / グーセフ、音楽:ドリゴ)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

そこそこいいんだけど、
「風」はあんまり感じなかったなあ・・・


《タランテラ》 (振付:バランシン、音楽:ガチョーク / ケイ)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / レオニード・サラファーノフ

細かい動きを精密に正確に。
感嘆。その一言。


≪第3部≫
《黄昏のヴェニス》
(振付:ヴィスクベンコ、音楽:ニンファ、フレーム、ヘーフェルフィンガー)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アンドレイ・メルクーリエフ

男は切ない表情をし
女が無表情なのは、
振付なのか、ダンサーの個性なのか。
ドラマが薄いなあ。


《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》 
(振付:バランシン、音楽:チャイコフスキー)
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ

ソーモワは、「眠り」は抑制のきいた動きで
とても良かったのに、
こちらは、ものすごく「やりすぎ」。
ガラだから、いいんだろうけどさ。
やりすぎると、彼女の場合、品が損なわれるので
もうちょっとキチッとした踊りの方が良いと思うんだけどなあ。
バランシンじゃまったくないんだけど、
でも、なんだか、引きつけられる要素はある。
シクリャローフは、最初はソーモワの陰になって
ぜんぜん目に入らないよ、と思っていたのに
ヴァリエーションの最初の横飛びが
笑っちゃうくらい爽やかだった。
いい個性だ。
なんちゅーか。
バランシンにならないなら、
これだけ噛み合わない方が、かえって面白いかもね。


《スパルタクス》よりデュエット 
(振付:グリゴローヴィチ、音楽:ハチャトゥリャン)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

ニクーリナは可愛いんだけど、
スパルタクスの「物語」は全くない。皆無。
ロブーヒンも同じ。
リフトだけしか見所がなかった。


《シンデレラ》よりデュエット 
(振付:ラトマンスキー、音楽:プロコフィエフ)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ

清々しい世界だった。


《カルメン組曲》より
(振付:アロンソ、音楽:ビゼー / シチェドリン)
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ

ステパネンコは、本人比では妖艶だけど
ファ・ムファタルかと問われると、難しいなあ。
メルクーリエフも弱いかなあ。
役柄上ではなく、存在感が。
ステパネンコの隣って、
ウヴァーロフが基準なもんでねえ。


《ジュエルズ》より〈ダイヤモンド〉のパ・ド・ドゥ
(振付:バランシン、音楽:チャイコフスキー)
ウリヤーナ・ロパートキナ / イーゴリ・コールプ

芸術の極みだね。
息を飲む、というより、息をするのを忘れるくらい。
この世とは別世界。
ロパートキナがこういう世界の人なのはわかってたけど
コルプも、ここ所属だったんだなあ。
あらためて思った。


《ドン・キホーテ》よりパ・ド・ドゥ 
(振付:プティパ / ゴールスキー、音楽:ミンクス)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

ガラのトリのドン・キにふさわしい盛り上がりでした。
ここでの二人も崩れすぎることが無く
ほどよく自制が利いた素晴らしい舞台でした。
コメント
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