うまくまとまらないので、思いつくままに。
私がユカリューシャに求めるのは、
ドロドロでウェットな情念。
それが観たくて行ったんだけど、
そういう点では、今日はちょっとあっさりめ。
前回のマラーホフとの「ジゼル」は、まさにそういった世界で、
なおかつ、アルブレヒト役のマラーホフとは、
お互いの存在感が拮抗していて、
話としては悲恋だけど、
ダンサー同士としては火花を散らしていて、
そこが面白かった。
けど、今日のアルブレヒトのフィーリンは
友佳理さんを、立てすぎている、というのかなあ、
ちょっと遠慮がちなような。
なので、悪くはないんだけど、
私が求めていたものとは違ったな。
これはこれでイイけどさ。
ああ、そうか。
前回はナルシストvsエキセントリック、だったから
面白かったのか。
今回はプレイボーイvs純愛、なので
全体のトーンが薄いのかもね。
そう思うのは、長旅の最後のイベントだからかも。
疲れていたから、受信がうまくいかなかったかな。
音楽がゆっくりめなこともあり、
ところどころで眠たくなってしまった。
22日にリベンジできると思うと、余計に。
友佳理さんは、フワフワのぬいぐるみみたい。
少女らしく可憐。
でも、前ほど、
「自分で抑えきれない感情が、自分の心臓を止める」
エキセントリックさが無かった(それが好きなんだけど)。
相手役との兼ね合いもあるんだろうけど。
2幕では空気に溶け込むような、重さを全く感じさせなかった。
狂乱の場面の花占い、
ずっと花をむしっていた。
アルブレヒトが彼女の身体を抱えて止めようとしたけれど
それを拒否。
この時、彼女は現実世界は見えていなかったんだな。
切なかった。
フィーリンは、アメリカンな遊び人だった。
「ホワーーーイ?」とか、台詞が英語で聞こえてきそうだった。
こういうプレイボーイ系はボッカ以来かも。
彼のアルブレヒトがコレ系だとは想像していなかったんで
ちょっとビックリ。
似合っていたけどね。
ジゼルとは全くの遊びで、でも彼女が死んだとき
初めてそれが真実の愛だったと気が付く。
後悔先に立たず。
このあたりで感情が爆発。
止めようとするウィルフリードを付き離すんだけど、
力が入りすぎて、
ウィルフリードがオケピに落っこちちゃうかと思ったわ。
でも、もうちょっと濃いとイイなあ・・・。
2幕で初めてウィリーになったジゼルを見たとき、
花を持ってくるため、一度ジゼルが捌けるところ、
マラーホフだと「いまのは夢か、幻か、いや、現実だったハズだ!」
みたいな逡巡があるのですが、
フィーリンだと、最初からジゼルが存在している、と
思っているようです。
もうちょっと、グルグルして欲しい。私の好み的には。
フィーリンは、友佳理さんと並ぶと大きく見える。
アレクサンドローワとの並びを観た後だと、余計に。
男らしいよ。
そして、さすがに「世界のボリショイ」のプリンシパルなのだ。
存在感が抜群なのだ。
ひとつひとつの動きに、なんていうのか、
「格」が感じられる。
シュピレフスキーには全くなかったアレだ。
彼の全幕は初めて観るのだと思うけれど
しっかりした演技だった。
でも、むかし観たヴァシチェンコでも感じたけど
相手役(プリマ)が出てくると、
自分の存在感を弱め(薄め)ているような気がする。
ボリショイの伝統なのか??
木村さんは張り切って踊っていた。
濃いめ仕様のヒラリオンなので
今回のように、主役二人が薄味仕様だと
ちょっとハイテンションに見えてしまう。
それも楽しんだけど。
うっとうしいヒラリオン、ってのもアリだわな。
井脇さんのバチルドは、縦ロール!縦ロールの髪!!
お姫様だーっ!
華やかです~~ 美しいです~~~
今回は、ジゼルとの身分違いを強調する演技。
「私のドレスが綺麗なんですって!」と
父に言うとき、呆れているような表情。
アルブレヒトの火遊びも、怒りというよりも
なんでそんなことをするのか理解できなーーい、ってカンジ?
なんか、バチルドも気の毒だわよ。
婚約者の考え無しの行動に振り回されて、
一人の村娘を死なせてしまうんだもんね。
後味が悪そうだ。
バチルド・パパの公爵は後藤君。
板に付いてきたな。
最初は、「なにかあったらこの笛を吹け」の笛が
なかなか腰から取り外せなくて、ドキドキしたもんよ。
ジゼルがバチルドに「私は踊りが好きで」と踊っているとき
全然、見ちゃいないのが、ナイス。
(注:見てないのは、後藤君ではなく公爵ね)
だんだん演技が深くなってきてるのは喜ばしいんだけど
本来なら、そろそろアルブレヒトを引き継いでもいいころだろう。
ちょっと勿体ないな。
ウィルフリードは森田さん。
忠実な部下なんだよね。
我が儘な主人を持つと、使用人は大変だ。
パ・ド・ユイットは、
高村順子-中島周、門西雅美-大嶋正樹、
小出領子-古川和則、長谷川智佳子-平野玲
いつものメンバー。
男性4人も、そろそろ分解すべきだろうなあ。
この辺からそろそろヒラリオンを出さないとねえ。
木村さんのヒラリオンはいついつまでも見ていたいけれど
いつかは終わりがやってくるんだから。
ミルタは大島さん。
首が長い。
背が高く手足も長い。
井脇さんのような「凄味」はまだ無いけれど
ウィリーを統率する女王の雰囲気はよく出ていた。
怖いぞ。
大柄な身体は舞台映えがする。
そして、自分の身体をうまく使いこなしている。
千春ちゃんは、ちょっと持て余し気味だったから。
ジャンプも音があまりせず、空中を滑っているようだった。
群舞も、揃っていたかな。
交差するところもバッチリ決めていた。
カーテンコールで、
フィーリンが群舞の女性の手を無理矢理取って
前に出した。
いい人だな~~
最後は手を振っていたわ。
とりあえず。