「ミンタルの虎」と呼ばれた山田少佐へ宛てた妻の書簡。
少佐は115通の手紙を持って生き延びた。
という予備知識があったため
てっきり夫婦の会話を軸にした朗読劇だと思ったら
かなり違いました。
東京から補充兵としてフィリピンに送られた石橋と澤田。
二人とももう少し早く志願して入れば内地に配属されていた。
それが時期を逸したため最も激しい戦地へ赴くことになる。
最初は早く戦いたい、お国のために尽くしたい、
と行っていた石橋だったが
激戦と飢えと病魔に苦しみ、
生き延びる、ただそれだけを希望するようになる。
彼らの心の支えは、石橋の夢の中に出てくる女性。
しかしその女性は実在していた。
偉そうに命令する藤田少佐に反感を持ち
石橋はふと、彼宛の手紙を盗む。
その手紙の差出人、藤田少佐の妻こそ
石橋の夢の中に出てくる女性だったのだ。
というかんじで。
メインは男性兵士2人の行軍。
イケイケの男が、だんだん欲が削がれ
生きる、その単純なことだけ目的とするようになる。
その過程を木ノ本くんは見事に表現していました。
複数の役を演じ分けるイッセー尾形の芸が素晴らしい。
最初は、イケイケの木ノ本くんと
お上品な奥様なリカちゃんとは雰囲気が違いすぎ
これが夫婦?と思ったけど、それは仕掛けだったんだね。
なにが生きる支えとなるのか、
そして
愛情に身分の違いはないのだと
考えさせられる。
とは、いうものの、平和への祈念はともかく
反戦の雰囲気は、こういう話とは思わなかったので・・・。
希望を盗んじゃいけないよね。
戦地で生きる支えとなった115通の恋文 / 稲垣麻由美 【単行本】価格:1404円(税込、送料別) |