きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ジゼル」ペレン&ルジマトフ/レニングラード国立バレエ

2010年12月27日 | バレエ・ダンス
ルジのアルベルトは07年1月末以来。
そのころから既に、踊りは昔ほどじゃなく
顔の口元あたりに年齢を感じた。
ただ、躍り以外の、存在感とか、身体のラインの美しさとか、
一言で言うなら「オーラ」が半端なく凄くて
それにクラクラしてた。

今回もそんなカンジ。
顔全体に年齢を感じる。
昔ほど飛ばないし動かないけど
それでも、ひとつひとつの動き、仕草が美しい。
ウットリする。
アルベルトの演技としては、まあ、普通というか。
往年ほど「彼岸」とか「霊感」を感じないし、
かといって、上から目線のプレイボーイでもない。
ただ、存在感がひときわあるので
農村の人とは明らかに違う、のがまるわかり。
違う世界の人、それがわかるので
悲劇に繋がるのに説得力がある。
ジゼルとの関係は・・・
遊びではないけれど、命を賭すほどではない、
ラブラブでなにも見えなくなるほどではない、
でも、大切。
ひたすら愛おしい。
そんなかんじかな。
2幕は「あっち側」に行きかけていたけど
ジゼルの「人間的な愛」で押し戻された、
そんなふうに見えた。
1幕の衣装に合わせたのか、髪がちょっと茶色。

ペレンは、田舎で伸び伸び育ったお嬢さん。
いい意味で「姫」らしさが無かった。
以前は、身分は高いけど冷たくて、って
そんなかんじだったけど、
今日は暖かみがあった。
心臓に持病はあるけれど、
精一杯生きて、精一杯愛して、
最後は愛する人を救えた。
この一生に悔い無し、みたい、
って、言い過ぎかなー。
私のイメージする可憐さ儚さはあんまり感じられなかったけど
これはこれで良し。
あ、でも、狂乱の場面は、とても繊細でした。
徐々に心が虚ろになっていくのがわかりました。
2幕で、アルベルトが倒れ込んだとき
顔を両手で覆っていた。
見てられない、見るのが辛い。
だから、アルベルトが生きていることを
とても嬉しく思う。
その気持ちの流れは人間的で、とても自然。
アルベルトもジゼルに救われたけれど
ジゼルもまた、魔物になる前にアルベルトに救われたんだろうなあ。
1幕の衣装は色が濃く、短めのスカート、
2幕の衣装は純白で長いスカート。
その対比も役に合っていた。
足音もあまりしなかった。
踊りにキレがあり、
まさに大輪の花が咲くような、華やかさがとてもあった。
いい具合に育っているなあ。

明日はシェスタコワ&ルジ。
また違った関係になるのかな。

ハンスはオマール。
前回(09年1月)は、一人で舞台にいるときは
大きい空間を持て余しているようなところがあったけど
今回はバッチリ。
むしろ舞台が狭く感じられるくらい
大きめで濃い演技。
成長したなー。
ただ、キャラ設定は前と同じかな。
見かけはむさいんだけど、中身は若い。
若い男の子が精一杯背伸びしているように見える。
ジゼルに対する気持ちは、
前回は「憧れのお姉さん」だったけど
今回はちゃんと、女性として愛している。
でも、ジゼルは眼中に無し、だね。
気の毒に。
2幕も良く飛んでたよ。
胸元は開けすぎじゃ・・・
惜しむらくは舞台から退場するとき。
素に戻るのが早すぎ。
もうちょっと引っ込んでから素に戻ろう。
客席から、まだ見えるんだよ。

従者はペトゥホフ。
慇懃無礼で、本当にご主人様を大切に思っていたけど
最後の最後は自分大事で逃げだしちゃった。
それだけウィリーは恐いんだろうなあ。

公爵はマラーホフさん。
カッコイイです。ステキです。

ペザントはミリツェワ&プローム。
プローム君は、すごく脚のラインが綺麗になった。
ジャンプの着地も音がしない。素晴らしい。
ミリツェワちゃんは、踊りの最後のキメ、が決められないこと多し。
ちょっと荒いかな。
可愛いからいいんだけど。

ミルタはクテポワさん。
美人だし、腕は長い。
後半の演技は良かった・・・かな・・・・・・。
もっと凄みが欲しいけどね。
グルホワ、カミロワも綺麗だった。
2幕の群舞は迫力があった。

思う存分好きなように演技をしていた
お貴族様<緑>はヴェンシコフかなあ。
槍持ちにツァルがいたのはわかった。
3階5列からでも、村人最前列の金髪男子は眩しかった。

明日も楽しみ~。


【配役】
ジゼル:イリーナ・ペレン
アルベルト:ファルフ・ルジマトフ

ミルタ:ヴィクトリア・クテポワ
森番ハンス:アレクサンドル・オマール
ぺザント・パ・ド・ドゥ:タチアナ・ミリツェワ、アントン・プローム
ベルタ(ジゼルの母):アンナ・ノヴォショーロワ
バチルド(アルベルトの婚約者):オリガ・セミョーノワ
公爵:アレクセイ・マラーホフ
アルベルトの従者 ロマン・ペトゥホフ
ドゥ・ウィリ:マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ


指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
コメント
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