きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「危険な関係」

2014年01月11日 | 映画
1930年代の上海。
戦争前の華やかな世界。
女性実業家として名を売るモー・ジユは
自分を捨てた愛人が女学生ベイベイと婚約したことを知り
昔の愛人であり、現在も友人であるプレイボーイ、
シエ・イーファンに
ベイベイを落とすように依頼する。
「簡単すぎてゲームにならない」と断ると
ジユは別のゲームを提案する。
貞淑な未亡人ドゥ・フェンユーを落とす。
褒美は自分自身、というジユに了承するイーファン。
手練手管を用いフェンユーに迫るイーファン。
ベイベイの母は「イーファンに気をつけろ」と警告する。
それを知ったイーファンは、
ベイベイが恋する絵画教師ダイ・ウェンジョウを使い
彼女を落とす。


9割良かったのにオチがちょっと弱い。
ジユ→イーファンの伏線が弱いので
「これで終わりかい!」感満載!
もっと破滅的なラストを見たかったなあ。
残念。

セシリア・チャンはすごく良かった!
メルトゥイユ(=ジユ)が美人なのは良いことだ。
「怒りの未亡人軍団」の黒歴史が払拭できそう。
なにもかも手に入れてきたジユが
イーファンから送られたドレスに包まれて一人で泣く。
誰にも見せない、これからも見せない、
彼女の本当の気持ちなんだなあ。

チャン・ツィイーは予想通りの演技だけど、
やっぱりこういう役が合うわー。
頑なで、餃子を作る地に足が付いた生活をおくる未亡人の
心の揺れを上手く表現してました。
イーファンの奥底の優しさに気がついたんだよね。

チャン・ドンゴンは角度によってはオダジョー。
プレイボーイ振りに嫌みがなくすごく自然。
激情を抑えているとき、
でっかい白目部分が赤くなるのがたまらんです。
監督がインタビューでも言っているけど
泣き落としの後に笑うのが、すごくいい。
台詞の中国語は吹き替え無し。
すごいなー。

それぞれが自分を偽り、
自分自身の本当の気持ちを知ったとき
大事な物を失うのが、
見ていてとても辛いけど
実に見応えのある作品でした。
アジアの3人のスターによる演技バトルも見事でした。

1931年の上海はとてもゴージャスでした。
いい翻案だね。


「危険な関係」の映画版を見るのはこれで5本目。
今まで見たのは
 ・59年版(主演 ジェラール・フィリップ)
 ・88年版(主演 ジョン・マルコビッチ)
 ・「クルーエル・インテンションズ」(現代アメリカの若者に翻案)
 ・「スキャンダル」(主演:ペ・ヨンジュン)
起点になったのは宝塚の「仮面のロマネスク」。
柴田先生の上手いところは、
娘1にメルトゥイユを宛てたことですね。
私が見たのは上記の映画は、
概ねヴァルモンとトーゥルベル夫人の純愛がメインでした。
メルトゥイユを描き込んでいるから物語に深みが出たんだなあ。
今回の映画版もメルトゥイユを
「本当は良い人なんですよ」
なんて安っぽい言い訳なんかせずに
深く描き込んでいるので、
見応えがあったんだと思います。
コメント
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