きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

フランス招聘版 ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

2012年10月17日 | 宝塚・劇団四季以外の舞台(落語含む)
仏映画の起伏の無さが苦手の私には
なんとも辛いテンポだった。
原語で聞くところに価値はあるけど、
思っていたより単調だった。
来日版エリザは、
「ゲルマン女性の肉体が基本の作品なんだ!」
と、えらく感銘を受けたけど、
こちらはオリジナルだからこその感銘はあまり無かった。

曲のメロディは良い。
ただ、歌詞は短めの同じフレーズが
クドいほど繰り返されるので、
仏語がわからない私でも飽きてくる。

仏語は歌い上げ系に向かないのかもね。
キャストの歌そのもので感動するところは無かった。
でもこのノリやテンポが好きな人もいると思うよ!
仏版のクリスティ映画を見てダメだった人は
こっちはオススメしないね。

クリスティの映画もそうだったけど
筋を理詰めにどうこうではなく、
そこから派生する恋愛模様の方が
フランス人には大切なのかなあ。

ロミオは遊び人だし、
ジェリエットも処女には見えない。
ジュリママがパパに求婚されたのは
パパがママの「一糸まとわぬ裸を見たかったから」。
で、ママは「紋章のために売られた」けれど
ヤッたら興味は無くなった、と。
そういう話を嫁入り前の娘にし、
しょせん男はそういうものと諭す。
だから、誰と結婚しても同じってことなのかなー。

ティボルトは粗野で粗暴で、それゆえに
キャピレットの仲間達からも敬遠されるぼっち君。
マーキューシオは壊れっぱなし。
ベンヴォーリオがお調子者。
パリスが一番イケメンで誠実そうだった。
赤チームのバイトみたいだけど。

大公様はマッチョハゲでセクスィ。
ヅカで歌われるところの「雲の上の王様」は
まさしく彼のこと。
ちょいとルキーニが入っているかも。

「死」は、ムチムチの腿の女性ダンサー。
トート並みに意思を持ち、
気になった人をどんどん手中に収めていくみたいだ。
街全体が死に魅入られているのかなあ。

前後するけど。
舞台装置は、奥に1層から2層に
右上がりに大きくなっていく回廊。
左右に円柱があり、バルコニーになったり
寝室になったり。
で、結婚式の処などで回廊の窓に
たぶんロミジュリの影なんだろうけど
青い衣装の人と赤い衣装の人が寄り添うんで、
最後の和解の場面がイマイチ盛り上がらない気が。
青と赤が混じっているのはもう見たよ、と。

マブの女王はマーキューシオのソロだけど
内容は違った。もっと普通の歌だった。
ティボルトが死んだ後の
「責任は大人達にある」のベンヴォーリオの歌は
内容は同じだけど、ロミオが歌っていた。
バルコニーの歌はWSSのトゥナイトのように
原典とは無関係の歌詞だった。

1幕が終わったときは、
フランス人にシェイクスピアは向かない?
フランス仕様だとこうなるの?
わからん。
と、思った、
2幕が終わったときには、
自己主張の強いフランス人が
ロックでポップで現代的に感覚的に作ったんだな、
と思った。
それを、わざわざ古典寄りに、理詰め寄りに
イケコが日本向けに作り直したんだなあ、と。
私は断然ヅカ版の方が好きだけど、
逆に言うと日本人はそれだけ
シェイクスピアの呪縛からは逃れられないのかもね。

とりあえずイケコと有村先生は
よく頑張ったと思いました。


カーテンコールのとき、
客席に「ヴェローナ」を歌わせたい大公様が
歌詞を一部日本語で歌っていました。
「ここはヴェローナ 愛しいヴェローーナ」みたいな。


余談だけど、男性ダンサーが女性ダンサーを
肩の上にリフトするのを見て
「まだまだ2段」と思っちゃった。
ひげ中毒だわ。

オーブはオーチャードホールのイメージがあったけど、
3階からの景色は新国立劇場に近いかも。
3階は列ごとに柵があるのでとても見辛い。
なんであんなに高い柵があるんだろう。
コメント
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