きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「最終目的地」

2012年10月10日 | 映画
生涯でただ一作書いた作品が大ヒットしたものの
次作を書かず自殺した小説家がいた。
その小説の伝記を書くことを遺族に願い出た教師の青年。
しかし却下された。
遺族の公認が与えられなければ
研究費が出ず論文は書けず
最終的には失職するかもしれない。
恋人に背中を押され、直談判するために
彼は遺族が住むウルグアイに行く。
そこには、
 作家の妻
 作家の愛人とその娘
 作家の兄とそのパートナーの男性
がいた。
家族の内情を外に出したくない妻、
伝記は弟の作品が注目される良い機会だという兄、
遺族の思惑は食い違うが・・・。


死んだ作家(と兄)と両親はドイツからの亡命者。
母がユダヤ人だったので(たぶん父はドイツ人)
ナチの迫害を逃れるため
「地球の裏へ」移住した。
教師の青年はアラブ系でアメリカへ移住。
両親はテヘランで死亡。
作家の愛人も天涯孤独で
兄のパートナーは徳之島の日本人だが
14歳の時「ある人」について英国に渡り
「ピーター」という英名でその後の人生を過ごしている。
妻は画家だが、自分の気持ちが絵に表れるのを恐れ
模写ばかり書き続け、家から出て行きたいが、資金がない。

誰もがどこかから流れてきて
世界の果てに住み着き
グダグダして先に進めない、
という話だと思ったら
最後はすっきりみんな進んじゃった。
映画としてはそれで正しいけど、
なんとも言えぬ閉塞感を、
もうちょい堪能したかったな。

アンソニー・ホプキンスと真田広之が男夫婦なんですが、
生活苦から外人のお稚児さんになり、
15歳の時に作家の兄と出会い、
そこから25年という設定のわりに
真田さんが筋肉質的で少々アンバランスかも。
胸板厚いし。
アジア系の役者で、ひょろっと細い
「いかにも」な役者ってもっといるんじゃないか、
と思っていたら、現在40歳と言っててびっくり。
やっぱ若く見られるんだなー。
あの体型でも、
ホプキンスとは恋愛期間を経てすでに家族、
という雰囲気は良く出ていたけど・・・。
ホプキンス→真田のキスは性愛を漂わせるけど
逆は色気が無かったわ。ちょい残念。

妻役のローラ・リニーが
なんともいえず良かった。
地の果てで、夫の愛人を哀れに思う。
しかし夫の「次作」にあった光景は
彼女が望んでいた本心なのかも。
芸術家気質でありながら
職業にできるほどの芸術家でもなく、
ささくれだったような、諦めきったような
いろんな種類の感情が伝わってきた。
コメント
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