きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「別離」

2012年05月04日 | 映画
イランの、ある家族。
夫は銀行員、妻は学校の英語教師。
(エリートに分類されるのかな?)
その一人娘と、
アルツハイマーを患う夫の父。

妻は政情不安定な国を家族で出ることを願い、
移住先の国から許可が出た。
あと40日以内に移住しないと権利を消失する。
しかし夫は父を残していけないため移住を拒否。
妻は離婚を申請し、実家へ戻る。(←同じ市内ぐらい?)
夫は父のために介護の女性を雇う。
あるとき、父がベットから落ちていた。
介護の女性は外出していた。
責める夫は彼女を屋外に追い出しドアをきつく閉める。
(アパートのようなところで玄関から階段が近い)
その衝撃のためか、女性は階段から落ち流産する。
責任の所在をめぐって争いが起きる。

中東の映画であっても
描かれているのは共通のことが多い。
老いる親、世話をする子供、
世話はどこまでするのか、
他人任せではいけないか、
子供の将来を憂えてはいけないか、
善意のささいな嘘はいけないか。
いろんな思いが交錯するが
極東の者でもすごく理解できる。

他に方法はないのかなあ。
いろいろと考えちゃうね。

登場人物のささやかな感情の流れがとてもクリアなのに
描き方は冷静で理論的なので
すごくわかりやすい作品だった。
伏線、というのかな、
この行動の結果がアレだったのか、
みたいな流れも上手かった。

といいつつも。
イランの諸制度や暮らしも興味深かった。
女性の権利がけっこう守られているみたい。
もともと結婚時に離婚時のとりきめ
(共通財産をどのようにわけるのか、とか)
をハッキリ決めるのが中東らしいけど、
裁判所?警察署は、夫・妻の言い分を
冷静に、公正に聞いている。
子供がどちらの親につくかも
子供の意見を尊重する。
女も子供も「言える」場所がちゃんとあるんだね。
出された判断が妥当なのかはともかく、
そういう姿勢はちゃんとあるんだな。

あと、「サラーム」を必ず口にする。
礼儀正しいなあ。
そして、行動の基盤は宗教なんだな。
神に対して正しい行いをちゃんとしているか、
それがとても重要で、
それに対して疑問を持たれるのは侮辱である、と。
精神的な支柱があるのは良いことだな、と思った。

最後、娘はどういった決断をするのか。
それは見ている側の想像に委ねるのね。
どっちかなー。
コメント
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