新婚旅行でフランスのリゾートホテルに来たシヴィルとエリオット。若き新妻シヴィルが部屋を出て、1人バルコニーでくつろぐエリオットが耳にしたのは、前妻アマンダの歌声。なんとアマンダもプリン氏との再婚旅行中だったのだ。お互い、過去の事象を持ち出し罵り合うが、そのうち昔の恋心に火がつき、お互いの結婚相手を捨ててパリへ逃げる。
パリでの逃亡生活は甘く穏やかな日々だった。喧嘩する前に一呼吸おく。それを実践しているうちは良かったが、結局はまた、喧嘩(肉体的暴力を伴う)が始まる。逃亡生活に終止符を打とうとした矢先、現在の戸籍上のそれぞれの夫・妻が現れる。それぞれが相手をかばい合ううちに、シヴィルとプリン氏との喧嘩が始まる。それを見ながら、再びイチャイチャしだす、エリオットとアマンダでした。
円形劇場です。会場の真ん中に円形の舞台があり、客席はそれを取り囲むように配置されています。どちらが舞台前・奥、上手・下手ということなく、どこから見ても楽しめるように、芝居が作られています。台詞がポンポン、途切れることなく応酬されますが、うるさいということは決してなく、上質な「戯曲」でした。1人1人の役が際だっていましたが、それは決して「定型」ではありません。それぞれの個性がうまくぶつかりあっていました。出演者がみな滑舌が良く、声も通る。こういう生声芝居ではありがたいかぎり。惜しむらくはメイドさんかなあ。「仏語訛の英語」を日本語で表すのは難しいね(メイド役の詩梨さんは的確な演技なんですが)。それ以外は万事良し!コメディというの「間が命」ですが、みなさん息の合った「間」で、やりすぎず、のびすぎず、丁度ピッタリ!でした。「元の鞘」に収まりつつ、抜けつつ、また収まりつつ。人生それの繰りかえしさ!という、大人の芝居でした。
私は、久世さんは「エールの残照」で、葛山さんは「クウガ」(もう葛山さんの履歴から消えてるけどさ!)でファンになったのですが、まさか二人が共演する日が来るとは思いませんでしたよ!!う~ん、幸せ
久し振りに舞台で見た久世さん。通路際だったので、一幕冒頭での露出された背中がものすごく間近でドキドキしちゃいました。背筋が美しく、どの衣装も似合っていました。2幕でエリオットと喧嘩するところ。殴る蹴るのところ。本気でやったら久世さんが勝てそう!明らかに優位でしたよね。「ジェラシー」(だよね?)の一節を、生の歌声で聴けて、もうウハウハでした~~。久世さんの、キリッとしたところ、サバサバしたところ、顔を崩すときの思い切りの良さ、など、彼女の良い部分、ってか、私の好きな部分が、遺憾なく発揮されていました。いいな~~
特に良かったのは、3幕のお茶(コーヒー?)を勧める場面。エリオットをさりげなく確実にわざとらしく無視するところ。うふ。
葛山さんは、前回の「アンナ」での役どころがイマイチで(彼自身ではなく、役自体がね)、今回はどうかなあ、と、少々不安でしたが、もう、OK!GJ!!振り回しているようで振り回されている男。声も良く通っています。ちょっと腰回りが太いかな~~、と思ったけど、シャツの前を全開!の時は無駄な肉は見あたらなかったな。衣装のせいなのかな?髪がなんでパーマ?と思ったけど、もしかして羽毛を絡ませるため?
それぞれ別途に好きになった役者さんが舞台でイチャイチャするのって、もしかしていやにならないかしら?と、予想していましたが、結果は真逆。どっちかっていうと嬉しい、だったな。これからも舞台に出てくれないかしら>葛山さん。特に東宝系。
アマンダの夫ビクター・プリン氏は、キャラメル・ボックスの西川浩幸さん。もう、出てくるだけでおかしい。久世さんとの背の差もイカしている。いやぁ、本当に芝居の上手い人だ。
シヴィルのともさと衣さんは、実にキュート。可愛い
エリオットもさぁ、こっちにしておけよ!と、私の中のオヤジゴコロはそう思うのだった。ただのヒステリーにならないのは、的確な演技だからなんだよね。
登場人物がみな、自分の考えをしっかり持っていて、それは交差するけれど、だれかの考えに染まることはない。自分勝手とはまた違う4人(+1人)の関係は、とっても面白かったです。
ノンちゃんインタビュー記事
ENAK
URLが「Non」なのだな。さすがENAKなのだな。