全国各地で「無防備平和条例」の制定を目指す運動が行われているそうだが、運動を盛り上げ賛同者を1人でも多く獲得し、そのためにカンパを集め、街頭など で署名運動を行うなどして関心を持ってもらいたいと考えていることであろう。数日前に、神奈川県内の某市で行われている本条例制定の直接請求署名運動に協 力を求めるビラを入手したので読んでみたが、唖然とするばかりであり、これは単なる思想を越えて、ほとんど宗教と言って良く、現に請求代表人になっている 者の中に牧師がいるからして何となく納得してしまう。
そのビラには「署名運動にご協力ください」とし、署名期間が書かれ、「請求代表人」「呼びかけ人」「私たちが賛同しています」の個人名があり、また会の連 絡先、条例案の趣旨、集会の案内なども掲載されている。裏面は「いちばん大切なこと それは戦争をしないこと」「平和憲法・憲法9条を活かし、平和を守り 育てるまちづくりを進めよう」が見出しになっているビラだが、憲法9条がここにも出ていることは、例の「九条の会」と同じような連中が行っている運動かも しれない。
「いちばん大切なこと それは戦争をしないこと」と主張していることは確かに正しいが、支那や北朝鮮以外のほとんどの国は戦争をしないための抑止力として 軍隊を保有しているのであろう。だが、それでも戦争と言うものは、こちらにその気がなくとも相手が仕掛けてきて戦争になることもあり得るし、その時にいか に被害を少なくするかを平時において様々な法整備を行い、国民がとるべき行動や義務、また制限される権利をあらかじめ認識しておくことも必要であり、わが 国でも有事法制に基づき「国民保護計画」を各自治体が作成し、戦時における国民がとるべき行動として既に訓練も行われている。
「無防備平和条例」が制定されると、「国民保護計画」による「自衛隊と自治体との連携した訓練」は行わないこととなるようで、その代わりに「日頃から自治 体独自の平和外交・平和施策を積み重ねることで平和を守り育てて、もし万が一戦争という事態になっても、国際人道法に基づく『無防備地域宣言』をして市民 の命と財産、重要な文化財を守るべきだと考えます。」とのことであり、これは国の世話にはならず、平和を守り育てている自治体に任せておけば良いと言うこ となのであろう。
「自治体独自の平和外交・平和施策」とは具体的に何をするのか良く理解出来ないが、自治体であれば外国のある都市と姉妹都市の提携することがあるが、それ が「平和外交・平和施策」などであろうか。それと「無防備平和条例」を制定した自治体に観光に訪れる外国人を暖かくもてなすことも含むかも知れない。
この条例の制定を目指している連中でも、平和を守り育てているだけでは戦争という事態は避けられないと考えているようで、その点が「九条の会」のように憲 法第九条を守っていれば戦争は起こらないと考えている連中と少し異なるような気がするが、それでも「無防備地域宣言」をすれば少なくとも市民に被害が及ぶ ことはないと考えているようであるからして、「九条の会」より一歩先に進んだ考えに至ったようである。
であるから、「憲法第九条を守っていれば戦争は起こらない」と主張していることに対して、「それでも万が一戦争が起きたら」と反論された際に、「あらかじめ『無防備地域宣言』をしておけば戦争が起きても市民だけは安心なのです」と言いたいのであろう。
このビラの中に「無防備で住民の安全は守れるの?」との質問に「武力紛争時においては、攻撃は軍事施設や戦闘員に向けて行われます。ですから私たち丸腰の 民間人が戦闘に巻き込まれないためには、それから離れる必要があります。『軍隊といるから安全』なのではなく『むしろ危険』なのです。」と書かれている。
万が一戦争が起きても攻撃を受けるのは自衛隊の基地や自衛隊員に対してだけで、民間人が攻撃されることはないと言う訳であろうが、これは戦争になっても自 衛隊員が戦死するのは当然で、民間人の近くに自衛隊がいるとかえって攻撃を受けるおそれがあるとしており、この思想を越えた宗教は国家として無防備宣言を すれば、軍事施設が廃止され戦闘員もいなくなり、民間人だけになれば国際人道法に「無防備地域を攻撃してはならない」と定めているから、戦争が起こること もないと言う訳なのであろうか。
このような妄想が書かれてビラは読まずにほとんど棄ててしまうのだが、どのようなこと書かれているか参考のために読んでみたものの、賛同したり、カンパに 応じたり、署名に協力しようとは絶対に思わない。この条例の制定を全国では21の自治体が目指しているそうだが、「戦争はしない、させない協力しない」と の意思表示のために「無防備平和条例」の制定を目指している連中は憲法第九条は国として武力を保有しないことを謳ったものであるとして「反軍反戦」「反自 衛隊」の考えを持つことは勿論だが、世界でわが国が戦争を起こす最も危険な国家だとの認識を持っている反日日本人であることは論を俟たない。
(2007/12/28)
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