きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ロング・エンゲージメント」

2005年03月13日 | 映画
ロング・エンゲージメント 特別版

 私は「アメリ」は見ていないので、オドレイ・トトゥは初めて見ました。まさに「フランス美人」ですね。エスプリが利いた表情が似合うっていうか。時々オレリー・デュポンを思い出す顔。

 内容は、ジャンル分けするのがとても難しい。第一次世界大戦中に、自傷により戦場から逃れようとした罪により死刑判決を受けた婚約者が行方不明になる。婚約者は生きていると信じているマチルドは、婚約者と共に有罪になり行方不明になった男達を捜し、手がかりを得ようとする。人捜し、と言う点ではミステリ。わずかな手がかりを次ぎに繋げて新しい「事実」を発見する。一面では、婚約者を必至で捜す女性の恋愛話。厳しい戦場の風景は戦争映画でもある。リストから一人づつ訊ねるところは「舞踏会の手帳」を思い出した。そのいくつもの面を、複雑に織り込みながら、ちゃんと1本の話になっているところが面白い。謎解きの部分も、「あれがそうだったのか」と何回も思った。なんでもないように見えた事柄が伏線になっていて、その活かし方がとてもウマイ。ネタバレなので詳しくは書けないけれど「『天使』という名」の使い方がとても良かった。ここは泣けたなあ・・・。大ドンデン返しではなく、淡々と進むところが実に良い。フランス映画は、日常の積み重ね話が多くて盛り上がる場面が少ない&男が愛のために泣く、ってのが私の偏見なのですが、その二つのポイントが、この話の描き方には非常にマッチしていました。ヘンに抑揚をつけていたらつまらない話になっていたでしょう。

 画面は全般的にセピア色。戦場の場面は灰色が基調。その使い分けもイイ。ビデオを借りてTVで見たら、TVが故障したと思っただろうな、と思う色合い。それが「第一次世界大戦」当時、という物語を、かえってリアルにしている。場面の転換の仕方も面白いね。スパッと切り替える。それがイヤミじゃない。郵便配達の自転車などの小ネタも、「さすがフランス!」と思う使い方。

 主演のトトゥは面白い女優さんですね。複数の感情を出すのがとてもうまい。ただ20歳という設定は・・・。婚約者が若々しいだけに。フランス映画なのにジョディ・フォスターが自然に出ていてビックリしたよ。亭主の願いで、亭主以外の男の子供を身籠もろうとするんだけれど、その男との出会いのぎこちなさがとても良かった。

 見る前のイメージは「コールド・マウンテン」でしたが、それよりも、ずっと複雑で、ずっと見応えのある作品です。迷っている方はゼヒ見てね。最初の人物紹介は気合い入れて見てください。後々必要になります。


【追記】
いま、いろいろ検索してみたら、原作の小説があって、フランスでは大ベストセラーなんだって。だから話自体がしっかりしているんだね。
「アメリ」を見ていなくて、「コールド・マウンテン」が好きじゃない私がなぜこれを見に行ったかというと、日経新聞の映画評に載っていたからです。誰が書いているのか忘れたけれど、結構イイ視点で書いているので、つい見に行きたくなっちゃうのよね。「ドット・ジ・アイ」とかも、そうだったなあ。
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1 コメント

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自転車 (kossy)
2005-04-15 18:25:47
あの郵便配達夫がポイントごとに登場したおかげでピリリと締まった映画になりましたよね。

なぜかフランス映画、イタリア映画には自転車が多い。中国映画もか・・・



最初の人物紹介は覚えなくてもいいのかな・・・くらいに考えてたから慌てちゃいました(汗)
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