きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ラ・バヤデール」アラシュ&フィーリン&シプリナ/ロシア国立ボリショイ・バレエ団

2006年05月04日 | バレエ・ダンス
 グリゴローヴィッチ版です。お話や演技は、マイムではなく、踊りで進めます。だから、ひたすら踊る。ニキヤvsガムザッティも踊りで表現。サクサクと話が進むので、見やすいっちゃ見やすいけれど、もっと余韻が欲しいよな、と、思うときもあります。男も女も、どこを観ても大柄。このラインを観ると、ああ、ボリショイだなあ、と思います。
 演出は従来の版とほぼ同じ。オチが、ソロル一人が寺院へ懺悔(仏教だが)に行き、そこで寺院崩壊。それが、ソロルの心象風景なのか、ソロルの肉体から魂が抜けニキヤと一緒になれるのか、罰が当たって孤独に死ぬのかは、それぞれのソロル役の解釈によるのかしら?

 と、偉そうに書いていますが。実はあんまり、しっかり観ていませんでした。だって、ステパネンコが出ないし~~。うっかり5時半に起きて寝不足だし。午前中は某所で買い物をしていたし。前の席の親子連れ、隣の席のおばさん達、後ろの席のおばさん達、みんな勝手に喋っていましたが、気が抜けていたので、もう、どうとでもなれ状態。好きにすればぁ、と、思ううちに睡魔がやってくる。自分では結構起きていたと思っていましたが、ソワレを観たら、ああ、昼間は半分ぐらい意識がなかったなあ、と。寝てた、と言うより、半覚醒の状態がずっと続いていた、っていうのかな。これなら5分熟睡した方が良かったかも。紗幕の向こうをずっと観ていた気分でした。

 そんな体調で観ていたので、記憶もあんまり定かではありませんで。アラシュとシプリナ、という並びは良かったと思います。寺院の踊り子と藩主の娘。控えめだけど芯が強いニキヤと、高慢なガムザッティ。その対比がしっかり出ていました。特にシプリナの脚の強さが印象に残りました。アラシュも良かった、と、思う・・・。フィーリンは、どうでしょう。ジャンプにミスがあったり、あんまり体調が良くないのかな?あと、私が座った席からでは、婚約式の上手座席が見えなかったので、ニキヤに対してソロルがどんな表情をしていたかもわからないんで、ちょっと彼のソロル像が掴みにくかった。少なくともヴァロージャのような「俺は悪くない」オーラは出ていなかったと思うんだけど。大柄の女性に挟まれると、ちょっと小さく見えるなあ。実は、時々ルジの幻影が現れていました。フィーリンに代わってルジが踊っている姿が見えるの。幻影を観るほど眠かったのね。
 ソロルに恋人がいる、と聞いたときのラジャが、「じゃ、殺す」と、あっさり言っていたのが印象深かった。彼にとってみれば、バヤデールの命なんてそんなもんなんだよね。ソロルが命令(娘と結婚しろ)に従うのも仕方がない。権力者の横暴、なんて、簡単な話じゃないんだよね。大僧正は生臭坊主だけど、ソロルやガムザッティからすると、「ニキヤのフィールド」の人なんだよなあ。本当はこっちとくっつくべきなんだけど、と、「ジゼル」的な構図も見えたりして。
 太鼓隊は大迫力。この迫力はボリショイだからこそだよなあ。女性の靴が黒だともっと嬉しいんだけど。個人的に。黄金の仏像は、素晴らしいの一言。彫像が踊っているようだった。これが本来の姿なんだよなあ。トルマチョフのような小柄な庶民顔じゃイカンのだよ。金のパンツに金のドーラン塗りたくり。臑毛を剃ってから塗ろうぜ。

 オケはイマイチだなあ。パリ・オペより安いのはオケのレベルを下げたから?とか思うけれど、聞き慣れたマールイと比較するのがイカンのか。指揮はクリニチェフ。彼の指揮で聞くと、ソトニコフさんは叙情的な方なんだな。


ニキヤ:マリーヤ・アラシュ
ドゥグマンタ:アレクセイ・ロパレヴィチ
ガムザッティ:エカテリーナ・シプリナ
ソロル:セルゲイ・フィーリン
大僧正:アンドレイ・スィトニコフ
トロラグワ:ヴィタリー・ミハイロフ
奴隷:キリール・ニキーチン
マグダヴェーヤ:ヤン・ゴドフスキー
アイヤ:エウゲニア・ヴォロチコワ
ジャンペ:
  ジュ・ユン・ペ、アリョーシャ・ボイコ、スヴェトラーナ・グニェドワ、
  スヴェトラーナ・パヴロワ、アナスタシア・クルコワ、アナスタシア・スタシケーヴィチ
パ・ダクシオン:
  ユリア・グレベンシュチコワ、オリガ・ステブレツォワ、ネリ・コバヒゼ、
  ヴィクトリア・オシポワ、パーヴェル・ドミトリチェンコ、エゴール・クロムシン
太鼓の踊り:アナスタシア・ヤツェンコ、ゲオルギー・ゲラスキン、セルゲイ・アントノフ
黄金の仏像の踊り:デニス・メドヴェージェフ
マヌー(壷の踊り):ダリア・グレーヴィチ
影の王国 第1ヴァリエーション:エレーナ・アンドリエンコ
     第2ヴァリエーション:ナターリヤ・オシポワ
     第3ヴァリエーション:アンナ・ニクーリナ

指揮:パーヴェル・クリニチェフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
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