きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ラ・バヤデール」クリサノワ&チュージン&チホミロワ/ボリショイ・バレエ

2014年12月04日 | バレエ・ダンス
2013年改訂版は始めて見るけど
情緒なく踊りまくるのね。
ひたすら飛んで飛んで回って。
愛憎劇なんだからもっと芝居部分が欲しいなあ。
いまいちドラマが足りないなあ。
振付家が、自分の頭の中にあって当たり前すぎることを
省いて作っているようなかんじ?
90年代もマイムの代わりに踊りで表現だったけど、
最近の版はさらに物語を表す踊りを省いて
ひたすら踊らせているだけのように感じる。
本拠地ではこの方が受けるとか?
確かに「ご贔屓」のダンサーなら
ただ歩くよりは、少しでも踊りながら移動する方が
嬉しいとは思うけど。

クリサノワはほっそりした美人だけど最初から気が強すぎる。
大僧正に迫られての後、困ってからがすでに強い拒絶。
もう少し儚さが欲しいなあ。
嘆きの踊りは美しかった。

対するチホミロワの力強い踊りは
自分に自信を持っている地位の高い姫君にぴったり。
強い脚はザ・ボリショイ!
ゾクゾクするわ~。
どこの踊りもきっちり踊っていて、
軽々と簡単に回っていてスカッとする。
スパルタクスで見たい子だ。

チュージンは周りが大きいのでちょいと小さくかんじ。
ちょっぴり乙女テイスト。
サポートが弱いかなあ。

有髪の大僧正はシトニコフ。
絵に描いたような生臭坊主。
周囲を気にしつつ自分の気持ちを無理矢理押し通そうとする俗物ぶり。

ロパレーヴィチの藩主は娘ラブで
ソロルの意見は聞く気なし。いいねえ。

婚約式。(ここは結婚式なのかな?)
ソロルの葛藤がない。
チュージンの役作りというより、演出的に省いているのかなあ。
ガムザは父の計略を知らなかったパターン。
賢明な彼女はニキヤが倒れたときに、
ソロルが自分を愛することは一生無いのを悟る。
それが天罰なのかもね。
コールドの人数が少ないような気がする。
太鼓も以前ほどの迫力がないかなあ。
女性4人の踊りは不揃い。
ブロンズは最後にバランスを崩したけど、
綺麗に踊っていて大満足。
やはり全身塗らないと!

寺院崩壊は無く、影の王国で終わる版。
さすがにこの場面はいじれないんだね。
最後が二人とも飛んで飛んでひたすら飛んでなので、
2人とも尻上がりに芝居が良くなってきたというより
ラストスパートのために体力を温存しているのかなあ、と思う。
その前まで芝居している余裕は無いよね。
最後はソロルが息絶える、のかな?

それでも満足できたのは、
一段の距離が短いといえども、
スロープが4段あったから!
床を入れれば5段の、折り返し4回のスロープ。
最近は2段が多かったのでとても嬉しい。
群舞も32人の時があったし。
もう、それだけでもいいや。

ソロルが影の王国に行く前は、奴隷達の踊り。
あれは死んだニキヤに祈りを捧げているとかなのかなあ。
ソロルはすでに力なく生きる屍。
マールイではアヘン前にスネークカモンがあるけど、
あれって「ご主人様が落ち込んでいる!」→「お慰め」の時の
鉄板ネタなんだろうな。
ニキヤの死はそれでは乗り越えられなかったけど、
普段ならソロルは大笑いで気分上昇だったんだろうな。
そんなに楽しいのか、スネークカモン。


【配役等】
ニキヤ(寺院の舞姫):エカテリーナ・クリサノワ
ソロル(戦士、ニキヤの恋人):セミョーン・チュージン
ドゥグマンタ(藩主):アレクセイ・ロパレーヴィチ
ガムザッティ(ドゥグマンタの娘):アンナ・チホミロワ
大僧正:アンドレイ・シトニコフ
トロラグワ(戦士):イワン・アレクセーエフ
奴隷:デニス・ロヂキン
マグダヴェヤ(托鉢僧):アントン・サーヴィチェフ
アイヤ(奴隷の娘):アンナ・バルコワ
ジャンペの踊り:ユリア・ルンキナ、スヴェトラーナ・パヴロワ
パ・ダクション:ダリア・ボチコーワ、エリザヴェータ・クルテリョーワ
 スヴェトラーナ・パヴロワ、マルガリータ・シュライネル
 ネッリ・コバヒーゼ、オルガ・マルチェンコワ、
 ヤニーナ・パリエンコ、アナ・トゥラザシヴィリ
 アルテミー・ベリャコフ、ドミトリー・エフレーモフ
太鼓の踊り:
 クリスティーナ・カラショーワ、ヴィタリー・ヴィクティミロフ
 アレクサンドル・スモリャニノフ
青銅の仏像:ミハイル・コーチャン
マヌー(壷の踊り):アンナ・レベツカヤ
精霊たち
 第一ヴァリエーション:エリザヴェータ・クルテリョーワ
 第二ヴァリエーション:スヴェトラーナ・パヴロワ
 第三ヴァリエーション:チナーラ・アリザーデ
子役:日本ジュニアバレヱ(指導:鈴木理奈)

指揮:パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団
コメント
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