きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「眠れる森の美女(マラーホフ版)」東京バレエ団(初日)

2006年02月18日 | バレエ・ダンス


 古典改訂とはいえ、一応「初演」なのに、なんでこんなに緊張感がないのでしょうか。いや、ダンサー自体は皆さん素晴らしいパフォーマンスだったんですよ。なのに
眠い
なぜだか、眠い。テンションが上がりきらない。やっぱ、演出のせいなのかな~~。

 昨年秋にベルリンで初演されたマラーホフ版を東京バレエ団が日本で初めての上演。従来の古典と違うところは
 ・オーロラが眠りに付くキッカケは糸車ではなく薔薇のトゲ
 ・オーロラ誕生場面で妖精の群舞無し
 ・狩猟の場面無し
 ・パノラマの群舞無し
 ・幻影の場面はかろうじてあり
 ・結婚式に招かれるのは、フロリナ&青い鳥、、牡猫と子猫、
  シンデレラとフォーチュン王子、赤ずきん(狼無し)
って、あたり?短縮版と言われた東バ版より、さらに短く、オーロラ誕生から眠るまでが1幕60分、25分の休憩を挟み、王子が城に迷い込む(?)から結婚式までが70分。従来の古典版に比べると、結婚式までをかなり端折ったので、結婚式が異様に長く感じられました。
全体を見て感じたのは、「いかにも群舞経験無しのプリンシパルが作った舞台」。あ~、彼にとっては群舞とかその辺はあんまり興味がないのね~~、と。いや、向こうの群舞の実力に合わせたのか?とかも思ったり。少ないセット、変わった色遣いの衣装・舞台美術、最小限の群舞、見せ場のあるソリスト、と、ある意味、海外公演仕様ですね。それにしても盛り上げ方がよろしくない。あくまでも、観客が「眠り」を見たことがあるのを前提に、見せたい場面だけ見せ、踊りたいところだけ踊った、みたいな、そんな印象です。やっぱ植田巨匠に弟子入りした方が良いな。

 話題になった衣装・舞台美術は、3階正面から見ると、そんなに「ヘンテコリン」ではなかったです。細かい柄は生地に溶け込んで、そんなに目立たないしさ。ただ、幕開け。薔薇の花たくさんとか、紫とピンクが氾濫する衣装とか、いかにも
マラーホフが好きそう・・・
ってな絵面だったので、心の中で (´,_ゝ`)プッ
(これで緊張感が途切れたのかも・・・)。
なんちゅーーーか、マラーホフの頭の中を覗いた気分でした。友人とは別の席(ってか席種)だったんで、声は出せませんでしたが、並んで座っていたら絶対声に出して笑っていたよ!フリルやヒラヒラ多様で、もーねーーー、フフフ、ってカンジよ。求婚者4人の衣装が地味だったので、見ている瞬間はウ~~ン、と思いましたが、フリルが使えない貧乏な国の王子だからこそ金持ち国の姫の婿になりたいんだと脳内補完しましたわい。

 美佳さんは、完璧と言ってもいいんじゃないかな。技術的には安定し、1幕では可愛く、2幕では美しく。1幕登場直前に舞台中央を覗き込む姿は実に少女らしかったです。小顔でマラーホフとも合っているし。でも、やっぱり、ピンクを着て欲しいよなあ。それはダンサーの責任じゃないんだけどね。
 マラーホフは、(最近にしては)踊りのキレも良く、ガンガン跳んでブンブン回っていました。ここまで「ダンサー」だったのは久しぶりじゃないかなあ。最近はずっと「営業部長」だったから。演技はねえ、、、もう「地」が王子様だからさあ・・・・・・。
 リラは上野さん。スーツっぽい上半身に大きいスカートの衣装がよく似合っています。化粧もナチュラルで良いのでは。ただ、演技面は・・・。暖かみとか包容力とかは皆無。もう演技することは止めたのかな?振付られたステップを真摯に踊っています、って風情。いかなる時も。
 カラボスのは芝岡さん特出。良かったよ~~。衣装もよく似合っていたし、やりすぎ寸前ぐらいの演技は、リラをも良く見せていました。これは男性の役ですね。最後までネチネチとオーロラを呪うのイイですね。
 井脇さんシンデレラと木村さんフォーチュン王子は、二人とも好きなので、踊ってくれること自体はすごく嬉しいのですが、構成的にはいらないよねえ。衣装もそんな派手でもないし、音楽も地味め。素直に赤ずきん&狼でよかったんじゃないかな。でも、こういったタイプのソリストを踊らせる部分を作りたかったんだね、きっと、と、これまた脳内補完。 フロリナ&青い鳥、牡猫&子猫、は、いつもの衣装の方がいいよ~~、の気持ちが先に立つので集中できず。ダンサー自体は良いのですが。
 他の妖精ちゃん達は、衣装は違えどメンバーは前版と似たようなもんなので割愛。4人の王子は高岸、木村、後藤、平野、と、なっていたけど、後藤さんじゃなかったような気がする(2/20訂正 長瀬さんでした)。
 特筆すべきは、「妖精のお付きの騎士」。妖精のサポート役ですが、この衣装がカッコイイんだわ!求婚者達よりずっと素敵に見えるのだ。特に大嶋さんが似合っていました~。うっとり~~。もしかして王子よりこっちの方が踊っていたかな。

 とりあえず初日はこんなところ。正直言うと、演出面では旧東バ版の方が良いです。「群舞」という、ある意味無駄な部分があってこそ、グランド・バレエなんですわ。背景の幕だけでも変えてくれれば、マラーホフ版より上演する価値はあると思います。それが正直な感想です。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「キャッツ」劇団四季 | トップ | 「フライトプラン」 »

コメントを投稿