きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ジーザス・クライスト=スーパースター」[エルサレム・バージョン](2024年版 東京3回目)

2024年03月09日 | 劇団四季


JCS3月9日16時半回。
かみさくは2月17日以来。
神永さんのジーザスは、前回はまだ顔の輪郭に柔らかさがあっけど
今回は頬がこけ厳しい線の輪郭に。

今回は諦念よりも虚無。
神に割り振られた救世主の道は死への道でもあるのに進むしかない。
民衆を見る顔も虚しさしかない。
誰も彼を見ていない。
自分が「こう見たい」と思っている偶像を重ねているだけ。
彼を見ているのはユダとマリアだけ。
それは彼もわかっている。

捕らえられた時のジーザスは
魂がすでに消えかけているぐらいの虚無な表情で辛すぎる。

神永さんの歌声は2月半ばより自然なかんじ。
喉への負担はなさそう。

佐久間ユダがスンラさん寄りで嘆きむ強く
ジーザスへの執着がさらに強くなった。
以前の「俺を見てくれ」の雰囲気はなくなった。
なぜなら、ジーザスが自分を見ているのがわかっているから。

晩餐のところ、
「俺に裏切らせるのか、あなたは」と
ユダの心の叫びが伝わる。
「思ったとおりに行け」と言うけど、
そうさせているのは、あなただ、と。

スパスタのユダは、役割から解放された安堵では。

なんだか、最初から2人が強く結びついていて、
その上で反発し合う。
いつからそうなった、そこに落ち着いた、
いや、到達したのか。
2人ともすでに狂気の域だ。
いいぞ!

キリスト教においては自殺は神が決めた寿命を全うしない→神に逆らう、
だから地獄に堕ちる、ような考えだ、あるいは、
自殺は自分を殺す、で、「汝、殺すなかれ」に背くから地獄行きだったか
どちらかうろ覚えで恐縮ですが、どちらにせよ神に逆らう行為の結果で
地獄に堕ちるかと思うのですが、
この作品においては、ユダは神から与えられた役割を果たしたのに、
地獄行きは理不尽じゃないか、とか思っちゃうね。


守山さんに比べると江畑さんは主演経験が豊富なので、
話を引っ張る一角になってる。
ジーザス、ユダ、マリアの三角形ができてる。
生々しい女の部分がありつつ、ジーザスが死に向かうのを見守る。
ユダはジーザスがいないと生きていけないので一緒に滅ぶが、
マリアはジーザスの死を見届けることを選ぶ、というかんじかなあ。
ジーザスにはふたりとも必要。

やなぴーだとユダに辛い思いをさせてごめん、で、
ユダとは違う位置にいるところ、
かみさくは同じ位置で共に狂気で、
マリアの強い眼差しがジーザスをときどき正気に戻すような印象でした。

柴田シモンは歌声自体は少し軽いけど
マイクバランスがおかしくなるぐらいの大音量。
辻ペテロの袖は非対称。剣を取れの音程は前回よりしっかり。
一和さんのカヤパ、声がひっくり返るところは
もう少し「意識してやってます」感が出る方が好みかな。

田島さんピラトは後世の人から非難されることを予兆しているような?
前はもっと小者感があったような。
北澤ヘロデは馬鹿殿系ね。
劉ヘロデはイロモノ系。
違うのが良い。

今回は群衆が熱かった。
イントロから動きが大きくなっていた。

カテコの復活から、徐々にジーザスから神永さんに戻るのをオペラグラスでガン見。

2階席からあらためて見ると、自殺穴が大きくなったように思いました。
ユダが畳まれなくても吸い込まれる。

作詞家か作曲家か、あるいは両方の
「ユダは言われているような悪人ではない」という若さ故の義憤が
JCS制作のきっかけだったとどこかで見た気がするんで、
金田ジーザスがユダを見る視線が「汚らわしい裏切り者め」なのは原作準拠というか。
ユダ改変には改変無しのジーザスが際立つ。
ジーザスがユダに寄り添わないから、ユダの言い分が客に伝わる、みたいな。
あのパターンもありだけど、
金田さんは歌声の素晴らしさと芝居の深さは別だったからな。

佐久間さんは若いから、強さが狂気を生み、自身が飲み込まれる。
スンラさんの繊細なガラスのユダとはタイプが違うのに、結果は一緒。


うーんと、少し時間をおいて考えたら、
ユダの狂気というか、ユダが正しくジーザスを見ているがために、
ジーザスの虚無に引き摺り込まれ、飲み込まれちゃったとも思えるかな。
正しく見えるのは狂気ゆえだからか。
スパスタは自我を取り戻したユダ。
でも彼はやはりジーザスを見る。

全然どうでもいいんだけど、
市場のうさちゃん、死体なのにおめめぱっちり。


【配役】
ジーザス・クライスト 神永 東吾
イスカリオテのユダ 佐久間 仁
マグダラのマリア 江畑 晶慧
カヤパ(大司教) 高井 治
アンナス(カヤパの義父) 一和 洋輔
司祭1 正木 棟馬
司祭2 中橋 耕平
司祭3 真田 司
シモン(使徒) 柴田 鴻洋
ペテロ(使徒) 辻 雄飛
ピラト(ローマの総督) 田島 亨祐
ヘロデ王 北澤 裕輔

【男性アンサンブル】
鈴木 貴雅
下平 尚輝
磯江 拓也
姜 大舜
佐々木 玲旺
木谷 光
鈴木 智之
松尾 篤
安斎 恵太
愛染 洸一
橋岡 未浪
寺内 淳

【女性アンサンブル】
小島 光葉
黒田 果穂
小野 実咲季
林 美菜子
安宅 小百合
大石 眞由
立川 真衣
濵嶋 紗穂里
森下 薫
佐田 遥香
北中 芹佳
立花 梨奈
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