きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「眠れる森の美女」コレゴワ&コルプ/牧阿佐美バレヱ団

2013年03月09日 | バレエ・ダンス
コルプの眠り全幕が今回で最後だと聞き、
行ってきました!


コルプの王子は、
ナルシストでもなく、自分に酔いしれるのでもなく、
騎士道精神のような高潔な気持ちから姫を救い出すように思える。
イケイケになりすぎない、
ほどよく抑制がきいた踊りは品がある。
プロフィール写真とかソロ作品ではアヤシイ系なんだけど
古典全幕だと端正な王子まさになるんだよね。
さすがだわー。

長身をきれいにコントロールして
手足もすっきり動いていました。

ただこの版は、幻影、目覚め、グラン・パ・ド・ドゥの
3つの踊りが休憩無しの1時間に詰まっているので、
後半はちょっとお疲れ気味だったかも。
舞台が狭めのせいか、ジャンプのキメが
幕ギリギリになって
このまま袖に入っちゃうんじゃないかと思ったよ!

グラン・パ・ド・ドゥの衣装は
紫のベスト、紫のタイツ?でも生地はベルベットっぽい?に
青紫?のベルトなような布に、
腹まわりはゆったりとしたブラウスと、
なんともいえない衣装だった。
牧バの?
それともコルプの?
どちらにせよ、彼らしい。
白い衣装が見たかったけどなー!

コレゴワはマールイの「ドン・キ」のゲストで見たことがある。
前半はそのときのとおり、威勢は良いが情緒のかけらもなかった。
顔は可愛いのに全体的に美しく見えないんだよなあ。
脚のラインもイマイチだし。
目覚めの踊り後半からは
綺麗に音楽に乗れるようになった。

ここの版は、王子のキスで姫が目覚めた後に踊り有り。
音楽はマールイの「パノラマ」のところ。
指揮がアニハーノフさんで。
前半はやっぱり打楽器爆裂系で。
でもこの「パノラマ」は、
実に、優雅で雄弁で美しかった!
この音色が聞けて涙が出て来たよ。
バーミンガム・ロイヤルも同じ踊り・曲があったけど
情感が足りなかったんだよね。
今回はマールイのオケではないけど
アニハーノフさんらしい豊かな音が聞けて良かった!!


牧バはかなり久しぶり。
衣装が豪華でイイねえ。
群舞は揃っているけど、小さくまとまり過ぎかなあ。
妖精ちゃん達は個性があまり見えず、インパクトが薄い。

その中で、ブルーバードの清瀧さんが素晴らしく良かった!
軽々と、重力を感じさせないジャンプ。

リラの精の吉岡さんは妖精をまとめる役職のような求心力があった。
オーロラをはじめ、人間達に対する暖かい愛情も感じられました。
カラボス役はドレスを着た男性で
今回の保坂さんは1幕の登場等は迫力があるのに
最後はどうしてあんなにあっさり退場するんだ?
(眠り全般にいつも思う疑問)


それにしても。
時間配分が悪い気がする。
休憩を増やせないのなら、2幕は目覚めまでにするとか。
主演ダンサーはキツいんじゃないかなあ。
私が他の版に慣れすぎているだけかもだけど。


【主な配役】
オーロラ姫:アナスタシア・コレゴワ
フロリモンド王子:イーゴリ・コルプ

リラの精:吉岡まな美
カラボス:保坂アントン慶
フロレスタン王:森田健太郎
王妃:坂西麻美

水晶の泉の精(美):茂田絵美子
魅惑の庭の精(強さ):佐藤かんな
森の聖地の精(優雅):三宅理奈
歌い鳥の精(雄弁):中川 郁
黄金のぶどうの木の精(活気):久保茉莉恵

フランスの王子:逸見智彦 
スペインの王子:菊地 研
インドの王子:中家正博
ロシアの王子:ラグワスレン・オトゴンニャム

宝 石:中川 郁
宝 石:坂本春香
宝 石:今 勇也
宝 石:坂爪智来
白 猫:日有梨
長靴をはいた猫:ラグワスレン・オトゴンニャム
フロリン王女:青山季可
ブルーバード:清瀧千晴
赤ずきん:安部里奈
狼:塚田 渉


指 揮:アンドレイ・アニハーノフ
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団
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「ジャンゴ 繋がれざる者」

2013年03月09日 | 映画
奴隷制度が残るアメリカで。
元歯医者・現賞金稼ぎのシュルツは
高額の賞金を得るために
標的の顔知るジャンゴを奴隷商人から買い取り
「自由人」とした。

ジャンゴには妻ブルームヒルダがいたが
2人で逃亡したため
離ればなれにされ
いまはどこにいるかわからない。
妻の捜索を条件に
ジャンゴはシュルツに協力する。

シュルツは標的を倒し、
2人は賞金を稼ぎながら
ブルームヒルダの後を追う。
彼女は南部の富豪ムッシュ・キャンディの元にいることが判明する。
奴隷女を買い取りたい、と直接交渉しても
断られたらそれで終わり。
シュルツとジャンゴは、ある計画を考える。


タランティーノ作品はあんまり見ないんだけど
びっくりするぐらい面白かった!
娯楽で、映画マニア向けで、社会派で、、、
とにかくいろんな要素が詰まっているけど
全部を知らなくても充分楽しめる。
165分が長く感じられない。
中だるみする部分もない。
これで終わり、かと思っても、
話は2転3転4転・・・、とにかく転がる。
伏線とその回収の仕方など
構成がとてもしっかりしている。

当時の黒人の地位、
例えば馬に乗ることが許されない、とか
今から見ると理不尽に思えることも
さりげなく上手く出している。

悪辣に見えるムッシュ・キャンディが
(ごく一部の)黒人の知性を認めているのが面白い。
単純に「善良な黒人vs悪の白人」ではないのが良いね。

ジャンゴの妻(黒人)が
北欧神話の女神と同じ名前というのもニヤリ。

ジャンゴの相棒となるシュルツはドイツ系で
アメリカ独特の奴隷制度には違和感がある。
公正とは微妙に違うのが
なんとも良いバランス。
息子の目の前で賞金首を殺すなど
彼なりの正義はあるけど、
ついに我慢できなくなって迎える状況は
なんともいえない。
そこでそうなるか、でも納得、みたいな。
わざとらしい慇懃な言葉遣いも
外国人だから、だという設定なんだろうけど
クリストフ・ヴァルツ演ずるシュルツに
実に深い味わいを与えている。
立派な紳士に見えるのに胡散臭い。

ジャンゴも旅で成長する。
その過程も見応えあり。


ララの退場が、笑えたというかなんというか。


血飛沫が舞い、肉片は飛ぶなど
アクション場面は豪快で派手だけど、
室内のライティングとかは、とても繊細。
画面構成も良かったなー。


これぞ映画!という一品でした。
コメント (2)
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