きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「オネーギン」吉岡&高岸/東京バレエ団

2010年05月14日 | バレエ・ダンス
あんな鬱陶しい男は
振って大正解

ってのを、まず書いておいて。

不思議と、初演・初日の高揚感はありませんでした。
なんでしょう。
既視感、とでも言うのでしょうか。
なんだか見たことのあるような舞台、
まるで、練り込まれた再演を見ているよう気持ちでした。

それだけ、東バと、この作品は「しっくり」していました。
借り物の衣装・装置も、とても東バメンバーに合っていました。
最近の初演の舞台美術を観たときはー。
「ドナウ」では、無駄に豪華(白鳥をどうにかしろよ!)と思い
「真夏の夜の夢」や「シルヴィア」は
やっぱ日本人のセンスとは違うよなー、と思い
「バヤ」は豪華さに唸り、
マラーホフ版「眠り」は半分苦笑。
しかし、今回は、そんな気持ちは一切おこらず
とても自然なビジュアルでした。

かといって、地味とかではなく!
とてもドラマティックでした!!
いろんな感情の波がドドド~ンと打ち寄せてきて
圧倒されっぱなしでした。


ダンサーそれぞれも練り込まれた、
落ち着いた演技でした。
みな、演技がクリアでした。

高岸さんのオネーギンは、
まあ、イヤな男で。
尊大で、その自信はどこから来ているのか。
でもねー。
手紙を破くくだりはね。
あれくらいハッキリ振る方が
かえって親切だと思うんだよねー。

吉岡さんのタチヤーナは
田舎の、地味で控えめな女の子。
(ただし妄想癖有り)
1、2幕は、オネーギンに振られても仕方がないかなあ。
でも、自分の立ち位置を見出し、成長する。
彼女の成長する速度(とピーク)と
オネーギンの成長する速度(とピーク)が
噛み合わなかったんだよね。
噛み合っても、うまくいくもんでもないけどね。

小出さんのオリガは可愛かったー!
吉岡さんは地味だけどしっかりした姉、
小出さんは活発で陽気な妹、と
とてもバランスが良かったです。
踊りも軽やかで、完全復帰ですね。
姉のことを気遣い、恋人にも愛され、
なのに、なぜだか悲しい運命に。
彼女にも責任の一端はあるかもしれないけれど
それでもやりきれないよね。

長瀬さんのレンスキーは
ちょっと存在感が弱いかな。
一人で場面を保たせるには、もうちょっと。
でも、それがレンスキーの弱さに繋がっているかなあ。
くるりんと巻いた髪とメイクは
いまいち合っていないように思いました。

柄本(兄)は軍服が似合っていました。

いい作品だけど、役が少ないかなあ。


【配役等】
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディータ・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

◆主な配役◆
オネーギン:高岸直樹
レンスキー:長瀬直義
ラーリナ夫人:矢島まい
タチヤーナ:吉岡美佳
オリガ:小出領子
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:柄本武尊

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団

指揮: ジェームズ・タグル
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
コメント
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