きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ジゼル」ムッサン&ペッシュ/パリ・オペラ座バレエ団

2010年03月20日 | バレエ・ダンス
素晴らしい舞台でした。

ムッサンのジゼル。
1幕は、か弱い女性。
神経は細く繊細。
身体も繊細。
恋の喜びはあるのに、
どこか不安げな表情が不吉。
時々、心が、「ここじゃないところ」へ行っている。
すでに、ウィリ達に誘われていたのか。
アルブレヒトの裏切りは、
徐々に彼女の心を蝕み、
そして、壊れる。
繊細なガラス細工が砕け散ったようでした。

2幕はまさに「幽玄」。
オペラグラスで顔を見ると無表情に近いのに
オペラグラス無しで見ると
(*今日も3階B席だよーん)
身体は実に雄弁。
アルブレヒトへの愛が伝わってきました。

踊りは、全般的に、美しいフォルム。
ベテランの「円熟味」というより
「底力」って思いました。


まあ、でも、ムッサンはもともとが
「ジゼル」のイメージだから。
「期待以上に」とは思っても
イメージ通りではあったんだけど。

ペッシュのアルブレヒトが想像できなかったんで
どうなるもんかドキドキでしたよ!

アルブレヒトは、出だしは尊大。
上から目線。
貴族というより、支配階級だね。
気付よ、村人達。
なんだかねー、女関係については
前科10犯ぐらいありそう。
絶対、お屋敷の小間使いに手を出していたって!!
最初は、それと同じだと思ったんだろうなあ。
そんな彼が、ときどきマジ顔になるのが
かえって切ない、っていうか。
根っからの遊び人にも
真心があったんだねえ。
だから、ベルタがウィリの説明をしているときあたりから
徐々に自分が間違ったことをしていると
感じだしているようだった。
たぶん、そんな罪悪感は初めてだったんだろうなあ、って。
よく「ジゼルによって真実の愛を云々」
って言われるけれど
こういう流れで到達することもあるんだなあ。
新鮮。
2幕は後悔から始まり・・・で、
演技としては王道。
でも、ペッシュはある意味「生臭い」人なので
ムッサンの「ジゼル」とは
二人並ぶだけで、お互い相容れない別世界の人、
って雰囲気になる。

なんだかね。
ムッサンは浄化されつつあるのに
すでに8割ぐらいは天国に行きかけているのに
「アルブレヒトへの愛」のためだけに
アルブレヒトを守るだけに、
一部、現世に留まっているみたい。
ふらふらとジゼルの墓に来なければ
ジセルはさっさと成仏できたのでは、
と、チラッと思った。
まあ、それはともかく。
この人のジークフリートも見てみたいと思った。
アルブレヒトより、もっと濃厚に役を作り込めるからさ。
案外、古典の主役が似合うんだなあ、
ってのが最終結論。
踊りは・・・あれが彼の基本なのか、
膝を痛めているかなのかは、よくわからんです。


いつも以上に支離滅裂だけど
雰囲気を汲み取っていただければ・・・


ニコラ・ポールのヒラリオンは、
特に印象に残らず。
典型的な役作り。

コゼットのミルタは、
それなりに迫力はあるんだけど
ジローを見ちゃうと物足りないかも。

ペザントは、パリエロとカルボネ。
パリエロの踊りが柔らかい、と思うのはユレル比だからか。
カルボネの顔が小さいと思うのはペッシュ比だからか。
カルボネは「シンデレラ」のプロデューサーとは
うってかわって爽やかな笑顔だった。

ヤン・サイズの公爵様は髭無し。
バチルドのパパには見えないなあ。
公爵(当主)だけど、バチルドの弟、
アルブレヒトとも友人、でもいいか、このさい。
 ・姉ちゃんを頼むよ ← アルブレヒトに
 ・あいつは女好きだけど根はいいヤツなんだ ← バチルドに
と、橋渡しする弟。
ジゼルとの身分差があればOKだよね。
この版では、ジゼルは公爵の落とし胤って裏設定があるようだけど
ヤン・サイズだと年齢差がないから
先代の・・・ってカンジになるね。


今回の来日公演は、両演目とも充実していたわー。
前回は、コゼットとベランガールだったし・・・


2幕の冒頭、ゲネプロで墓堀人夫と思った人達は
配役表によると「さいころ遊びをする人たち」。
なに?クラップ?
ジョーイに千ドルを払えなくてガレージを借りられなかった?
ネイサンはゲーブル風マチューだね。


【配役】
ジゼル:デルフィーヌ・ムッサン
アルブレヒト:バンジャマン・ペッシュ
ヒラリオン:ニコラ・ポール

ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル

ペザント・パ・ド・ドゥ:リュドミラ・パリエロ、アレッシオ・カルボネ
ミルタ:エミリー・コゼット
ドゥ・ウィリ:マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ


演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル
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「シャーロック・ホームズ」

2010年03月20日 | 映画
「ナショナル・トレジジャー」の登場人物を
「シャーロック・ホームズ」に置き換えてみました、
ってカンジだった。
怪しげ宗教ネタに見立て殺人。
高所でのアクションはハリウッドだからだよねー。
いらんわー。
冒頭の場面、雷蔵の「眠狂四郎」の黒ミサだべさー。

推理は、なんとなく後付けっぽい。
その場で「絵」でわかんなきゃ
「推理ドラマ」にならないよ。
「推理ドラマ」は目指しちゃいないんだろうけど。

トンデモ冒険活劇自体は嫌いじゃないんだけど、
陰謀の主体が「テンプル騎士団」
(映画では「テンプル修道会」)が
そんなに好きなのか、アメリカ。
夢を持ちすぎだよ。

ホームズとワトソンの関係も、
そこまで描かなくても、と思う。
ホームズの一方的な恋心。
でもー、原作通りの
「変人の友情」の方が
もっと深いと思うんだー。

ラスト、モリアーティの名前が出てきた。
続編、作る気か?

役者とか衣装はいいんだけどね。
ロバート・ダウニー・Jr.は可愛くてセクシーだ。
ジュード・ロウも厚い生地の衣装が似合っている。

内務大臣役に人が
誰かを思い出させる。
まりこさんとか、男役系の誰か。
誰だろ。


ジェレミー・ブレットよ、
永遠なれ!
と心の中で叫ぶ人、多数だろうなあ。


ホームズ、にせずに
普通のトンデモ話にすれば
こんだけ、けっ!とは思わなかったけど
それだと、そもそも見なかったかもしれないしなあ。
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今日のこと

2010年03月20日 | その他イロイロ
デジカメを母に貸したので
今日の記事は写真無し。

12時頃湯島到着。
前から気になっていた
トンカツ屋「双葉」に行く。
とんかつ定食2940円。
(給料日直後なので贅沢してみました)
とんかつは大きく柔らかい。
衣に脂っぽさは無く
サッパリしていて食べやすい。
しかし3千円弱はどうなのか。

13時10分頃、東京文化会館入口で
F氏とチケット受け渡し。
ヴァレンタインのお返しをもらっちゃった。
ありがとう!

東京都美術館へ。
来月から改装のため2年の休館なので
いまのうちに行かないと!
企画展は「ボルゲーゼ美術館展」。
イタリアの名門貴族のコレクションが元らしい。
ラファエロ、ボッティチェリ、カラヴァッジョの絵など。
カラヴァッジョの絵はマルタでも見たなあ。
今回出ていたのは「洗礼者ヨハネ」。
無意識に媚びを売っているような表情で
目の前にいたら殴りたくなるだろうなあ、と思った。
目玉はラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」。
間近で見ると、胸元の宝石の光り具合が絶妙だった。
どれもこれも「エロイカ」の伯爵が好きそうだよなあ
と思いながら見てました。

ついでなので、他も見てみる。
「いけばな池坊展」は
「ボルゲーゼ美術館展」の半券提示で入場料300円。
B2階とB3階に展示フロアが別れていて
B2の方が、たぶんエライ人の作品。
枝や茎を切っているのに、
根がないのに、
生けることによって、
もっと濃厚な生命力を宿したような草木。
器の力と合わさると、
ガツン!と心に響く。
剣山には(剣山を使っていないのもあるけれどね。たぶん)
刺すところは無限にあるのに、
上手い人の作品は、
「ここ以外にあり得ない」って場所に刺すんだよね。
一つの完璧な世界。
B3の方は、それほどでもない人の作品だと思うので
(言い方が悪くて申し訳ありません)
「花を器に入れているな」とだけ思うものもあった。
あと、「ここにこう刺してこういうふうに見せる」
の意図が伝わっちゃうものもあった。
やっぱり「道」なんだなあ。
「極めて到達」する世界なんだなあ。

もういっこ無料の展示会へ。
「ガラス教育機関合同作品展」。
ガラス造形している学生さん達?の作品展。
ガラスそのものの作品もあったし、
素材がガラスの美術作品もあった。
タイトルが抽象的、哲学的な作品もあったけど、
もっとハッキリ!とか思っちゃって
そんな自分は、もう若くないなあ、と思った。
あやふやな状態こそが若者なのにねえ。
ガラス破片を繋いだような動物(ネコ科?)と
四角い透明な硝子を積み重ねた中に
桜の木がある作品が印象に残った。

なんだか足腰が痛くなったよ。
次の予定までマックで時間潰し。

15時55分から上野東急で
映画「シャーロック・ホームズ」。
ああ、ハリウッドめ・・・・。
予告から思ったイメージと内容の落差が
これだけ激しいのは「ジェヴォーダンの野獣」以来だ。
役者はいいと思うんだけど。

モヤモヤしながら坂を登り東京文化会館へ。
ムッサン&ペッシュの「ジゼル」。
素晴らしい舞台だった。
集中していたようで、
すごく身体に力を入れて見ていたようで
終わったら肩のあたりが弛緩した。

夕食は、湯島に最近できたみたいのラーメン屋。
つけ麺を食べたけど、
普通のラーメンと同じ麺のようだった。
それは私の好むところではない。


お墓参りは先週前倒しで行きました。
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