いやーーー、なんちゅうか。結果的には面白かったというか。予告で見たときの印象は、もっと繊細なサスペンスだったんですが、う~んと、なんとなく「火スペ」とか、そんな言葉が思い浮かびました。そこそこの予算(だってノキアが全面バックアップでしょ?)、そこそこの役者、そこそこの脚本で、そこそこに当たってそこそこの収益、な作品。だからと言って、つまらん、ということは全然ありません。読めすぎる展開・オチながらも、最後まで飽きさせることなく、一気に見ちゃいました。本来なら、公開3年後ぐらいに、ジェイソン・ステイサムが出てるからって理由で300円ぐらいでビデオを借りて見たら、結構当たりだったぜ!って見方が正しいんだろうなあ。ただ、イマドキの携帯電話を使ったネタなので、いま見ておかなければイカンでしょうな。アカデミー賞女優キム・ベイシンガーが出演していながら、決して「大作」にしようなんて思っていないのが素晴らしいっす。
なにがなんだかわからないうちに拉致・監禁された主婦。犯人が壊した電話から必死に助けを求めようとし、偶然携帯電話(セルラー)が繋がった若い男性に助けを求める。この子が、もうヘタレなお調子者なんだけど、頑張るのよ、エライのよ、健気なのよ。学校に行っている子供まで誘拐されそうなので助けてくれと頼まれれば目の前で攫われ、旦那にも危険が迫っていると指示された場所に向かえば、これまた目の前で・・・、とダメダメ君なんだけど、彼なりに努力するのよ。もともとが底の浅い子なんで、やるとなったら考え無しの「手段を選ばず」ってのが、暗く重くなりがちな作品に、明るさとテンポの良さをもたらしています。「笑いの場面」の小ネタが本当に面白いの!そして、いちばん美味しいところはチョイ役だと思っていたポンセ、じゃなくて、スーパー・マリオ似のおじちゃんが持って行っちゃうのもいいんです!まさか、こんなに活躍するとは!!いくつかの山場を途切れることなく繋いでいく手法がとにかくウマイのです。
悪者がヤクの売人を「ブツと売り上げは貰ったぜ」と言ってから殺しているけど実際はすぐ殺すよな~、などの、「2時間ドラマにおいては崖っぷちに犯人を追いつめる」的なお約束事項は、リアリティは失われるけど、どこか安心感のある芝居運びとなっていて、コレはコレでありよね~、と思いました。ちょっとベタな予定調和ながらもドキドキ感は持続する、なかなか見応えのある作品でした。言いたいこと、表現したいことがきっちり「絵」にして表しているのが良いです。ここまでちゃんと出すべきコトを出している作品は最近は少ないので、ちょっと嬉しいっす。1000円ならお得でしょう。