北朝鮮は「制裁は宣戦布告とみなす」と何度か言っていたが、日本に攻撃を仕掛けてくる様子はなく、単なる恫喝らしいが、もうそのような恫喝に屈している訳には行かない。北朝鮮が核実験を強行したことで、安保理での決議を経て各国による制裁が強化されたことから、それに反発して、再実験を行うのではないかと思っていたが、なぜか6カ国協議に出てくると言い出しのだから、制裁の効果ありと言えるであろう。
6カ国協議が再開されたとしても、北朝鮮は核開発を中止することはないだろうが、この時期に復帰する考えを示したのは、今年の冬は極端な食料難で、果たして乗り切れるかどうかの瀬戸際だとも言われているからであり、そのために制裁解除を求めるだけを目的とする協議への復帰であると思われる。
韓国の聯合ニュースが伝えるところによれば、北朝鮮外務省のスポークスマンが4日、「日本が6カ国協議に参加しなければ、それは非常によいこと」「参加人員(参加国)が少なくなるのは会談の効率性を高めるうえでも決して悪くはない」と朝鮮中央通信の取材に際し述べたそうであるが、協議への日本の参加を拒否すれば、米国も拒否するであろうと予想されるからして、マカオにある北朝鮮関連の銀行口座の凍結など、金融制裁を実施している米国との協議が出来ないことになり、これではなんのための協議への復帰なのか分からなくなってくる。
北朝鮮が日本のみ参加を拒否するのは、日本が拉致問題を出すことは間違いないからして、参加させない方が良いとの安易な考えからなのだろう。日本も米国と同様に様々な制裁を行っており、その解除に向けた条件を協議する必要があるだろうから、参加を拒否することになれば、それも出来なくなる訳だが、それでも良いのあろうか。北朝鮮が拉致被害者を全員帰国させるなどの条件を示し、実際に実行されれば、制裁を解除することを検討しても良いだろうが、「日本は来るな」と言うことは、日本が行っている制裁はそのままで良く、さらに厳しくしても構わないと言っているに等しいと言えるだろう。
偽札や麻薬の製造は惚けることは出来ても、日本人拉致は金正日が自供し、現に拉致被害者の何人かが日本に帰国をし、その証言からも北朝鮮の拉致誘拐と言う国家犯罪を明らかになっている。今や世界中の国々が北朝鮮を批判していることからして、安倍内閣になって最初の6カ国協議となれば、今まで以上に拉致問題を出し、北朝鮮に解決を迫ることは予想されるとし、そのためにも日本を排除し、拉致問題を出させないように先手をうったのであろう。
また、6カ国協議は北朝鮮の核開発を阻止することも協議事項になっているからして、現在、麻生太郎外相や中川昭一政調会長が唱えている「核保有についての議論」は、北朝鮮が核放棄しなかった時を考えれば、敢えて避けることはなく、日本が6カ国協議に参加すれば、その場で、そのような論議が起こりつつあると牽制することも必要ではなかろうか。
「核保有についての議論することも認められない」として、麻生外相と中川政調会長の罷免を要求する声もあるが、論議することも近隣の核保有国に対する牽制となり、まったく効果がないとは言えないであろう。論議の課程で、「核保有は必要なく、米国の核抑止力の元に入る」となるかも知れないし、「核は保有しなくても、敵の核ミサイル発射基地を通常兵器で叩ける能力を持つ」と言う結論になるかも知れない。そのどちらでもないかも知れないが、論議しないことには始まらない。
核兵器は「使えない兵器」として、相互抑止力となっており、敵国が持っていて日本は持っていないとなると、「核ミサイルを撃ち込むぞ」との電話1本で日本は降伏せざるを得なくなる。現在はアメリカの核の傘の下に日本は入っているが、アメリカとしても、もし自国民が数百万人単位で死亡することが確実になった時、果たしても日本を核の脅威から守ってくれるかどうか分からない。
日本の核武装に関する論議は、憲法改正以上になかなかまとまらないであろう。ただ言えることは、日本が再び被爆国にならないようにするために、北朝鮮の核兵器保有という悪夢が現実のものとなりつつある点と、世界から核兵器がなくなることはまずあり得ないと考えた上での論議をすべきである。
(2006/11/05)
この記事は「今日のコラム」
「6カ国協議への日本の参加を拒否した北朝鮮」
としてHPに掲載されていたものです。
6カ国協議が再開されたとしても、北朝鮮は核開発を中止することはないだろうが、この時期に復帰する考えを示したのは、今年の冬は極端な食料難で、果たして乗り切れるかどうかの瀬戸際だとも言われているからであり、そのために制裁解除を求めるだけを目的とする協議への復帰であると思われる。
韓国の聯合ニュースが伝えるところによれば、北朝鮮外務省のスポークスマンが4日、「日本が6カ国協議に参加しなければ、それは非常によいこと」「参加人員(参加国)が少なくなるのは会談の効率性を高めるうえでも決して悪くはない」と朝鮮中央通信の取材に際し述べたそうであるが、協議への日本の参加を拒否すれば、米国も拒否するであろうと予想されるからして、マカオにある北朝鮮関連の銀行口座の凍結など、金融制裁を実施している米国との協議が出来ないことになり、これではなんのための協議への復帰なのか分からなくなってくる。
北朝鮮が日本のみ参加を拒否するのは、日本が拉致問題を出すことは間違いないからして、参加させない方が良いとの安易な考えからなのだろう。日本も米国と同様に様々な制裁を行っており、その解除に向けた条件を協議する必要があるだろうから、参加を拒否することになれば、それも出来なくなる訳だが、それでも良いのあろうか。北朝鮮が拉致被害者を全員帰国させるなどの条件を示し、実際に実行されれば、制裁を解除することを検討しても良いだろうが、「日本は来るな」と言うことは、日本が行っている制裁はそのままで良く、さらに厳しくしても構わないと言っているに等しいと言えるだろう。
偽札や麻薬の製造は惚けることは出来ても、日本人拉致は金正日が自供し、現に拉致被害者の何人かが日本に帰国をし、その証言からも北朝鮮の拉致誘拐と言う国家犯罪を明らかになっている。今や世界中の国々が北朝鮮を批判していることからして、安倍内閣になって最初の6カ国協議となれば、今まで以上に拉致問題を出し、北朝鮮に解決を迫ることは予想されるとし、そのためにも日本を排除し、拉致問題を出させないように先手をうったのであろう。
また、6カ国協議は北朝鮮の核開発を阻止することも協議事項になっているからして、現在、麻生太郎外相や中川昭一政調会長が唱えている「核保有についての議論」は、北朝鮮が核放棄しなかった時を考えれば、敢えて避けることはなく、日本が6カ国協議に参加すれば、その場で、そのような論議が起こりつつあると牽制することも必要ではなかろうか。
「核保有についての議論することも認められない」として、麻生外相と中川政調会長の罷免を要求する声もあるが、論議することも近隣の核保有国に対する牽制となり、まったく効果がないとは言えないであろう。論議の課程で、「核保有は必要なく、米国の核抑止力の元に入る」となるかも知れないし、「核は保有しなくても、敵の核ミサイル発射基地を通常兵器で叩ける能力を持つ」と言う結論になるかも知れない。そのどちらでもないかも知れないが、論議しないことには始まらない。
核兵器は「使えない兵器」として、相互抑止力となっており、敵国が持っていて日本は持っていないとなると、「核ミサイルを撃ち込むぞ」との電話1本で日本は降伏せざるを得なくなる。現在はアメリカの核の傘の下に日本は入っているが、アメリカとしても、もし自国民が数百万人単位で死亡することが確実になった時、果たしても日本を核の脅威から守ってくれるかどうか分からない。
日本の核武装に関する論議は、憲法改正以上になかなかまとまらないであろう。ただ言えることは、日本が再び被爆国にならないようにするために、北朝鮮の核兵器保有という悪夢が現実のものとなりつつある点と、世界から核兵器がなくなることはまずあり得ないと考えた上での論議をすべきである。
(2006/11/05)
この記事は「今日のコラム」
「6カ国協議への日本の参加を拒否した北朝鮮」
としてHPに掲載されていたものです。