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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】ハーバーマスとの討論、過激派封じ込め ~バチカン世界戦略(6)~

2017年04月17日 | ●佐藤優
【佐藤コメント】
3-(2)
 教皇に選出される1年3ヵ月前の2004年1月19日にラッツィンガー枢機卿は、ドイツの著名な社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスと討論した。
 ラッツィンガーは、バチカンの教理聖省の長官を務めたカトリック保守思想の代表者で、ハーバーマスは左翼リベラル派の「知の巨人」なので、この最初で最後の討論会は、哲学、神学関係者のみならず広範な知識人の関心を集めた。これまで接点がなかった二人を接近させたのは、アルカイダをはじめとするイスラーム過激派の台頭だ。
 この討論会でラッツィンガーは、アルカイダの活動に強い関心を向けて次のように指摘し、キリスト教徒と欧米の世俗的合理主義を信奉する人々が連帯して、アルカイダのような過激派を封じ込める必要を説いている。
 <ところが最近では、われわれにとって不安の種は大戦争ではなく、むしろいつどこで襲ってくるか分からないテロの広がりである。今やわれわれに分かってきたことは、世界を人間の住めない場にするために人類は必ずしも大戦争を必要としないということである。いかなる場所にも偏在しうるテロの無名の力は、すべての人々の日常生活の場にまで襲いかかるだけの強さを持っている。また、それとは別に、こうした犯罪的な分子が、巨大な破壊の可能性を手に入れ、それによって政治秩序の外で、世界をカオスに陥れるのではないかという恐れがある。こうして法と倫理への問いの様相が変わってきた。問題は、〈テロ〉【注1】はどのような源泉からエネルギーを得ているのだろうか、人類のこの新たな病を内部から封じ込めるにはどうしたらいいのだろうか、という方向へと変質してきた。しかもその際、ショッキングなのは、テロは少なくとも部分的には自らを道徳的に正当化していることである。ビン・ラディンのメッセージは、テロを、力なき抑圧された諸民族からの強者の傲慢に対する答えである、としている。また、強者の高慢と、神を冒?する思い上がり、そして残虐に対する正義の刑罰である、としている。特定の社会的政治的状況にいる人々には、こうした動機はもっともだと思えるようである。またテロ行為は、神を失った西側社会の状況に対抗して宗教的伝統を擁護するものとして、部分的にであれ説明されている。>【注2】

 【注1】〈〉内は原文は傍点。
 【注2】ユルゲン・ハーバーマス/ヨーゼフ・ラッツィンガー(三島憲一・訳)『ポスト世俗化時代の哲学と宗教』(岩波書店、2007)

□佐藤優「ローマ教皇ベネディクト16世の生前退位」【「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」に対する分析メモ】『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】生前退位の理由(その2) ~バチカン世界戦略(5)~
【佐藤優】法王と教皇、その不可謬性 ~バチカン世界戦略(4)~
【佐藤優】対中国、対イスラーム過激派の論理 ~バチカン世界戦略(3)~
【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~


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【佐藤優】生前退位の理由(その2) ~バチカン世界戦略(5)~

2017年04月17日 | ●佐藤優
【佐藤コメント】
2-(1)~(2)
 2013年2月11日、ベネディクト16世(ヨゼフ・ラッツィンガー)は、高齢(85歳)による体力の衰えを理由に退位を発表した。
 バチカンの公式見解を伝える日刊紙オッセルバトーレ・ロマーノによれば、教皇の決断は前年の2012年3月にメキシコとキューバへ外遊した後になされた。2007年にはドイツ人ジャーナリストのインタビューに、「力が衰えたら退位すべきだ」と語っている。前教皇ヨハネ・パウロ2世の衰えを側近として見つめ、存命中の退位表明が念頭にあったらしい。
 同月28日、ベネディクト16世は正式に退位した。
 3月12日から、枢機卿による教皇を選出するコンクラーベ(ラテン語で「鍵がかかった」の意。秘密会のこと)が開催された。
 ローマ教皇の生前退位は、1415年のグレゴリウス12世以来、598年ぶりであった。このときは、3人の教皇が鼎立していた。1414~18年、ドイツのコンスタンツで教会分裂を解決するための公会議が開かれ、2015年7月、ボヘミア(チェコ)のヤン・フスを異端として火刑に処した。その後、フスの思想がマルティン・ルターに影響を与え、宗教改革が起きた。もっとも、宗教改革というのは、プロテスタント側の用語で、カトリック側は信仰分裂という。フスを始末した前後に鼎立していた教皇はすべて退位することになり、1417年11月に新教皇マルティヌス5世を選出し、教会の統一を回復した。

3-(1)
 カトリック教会においては、今日、コンスタンツ公会議のときと同じくらいの危機が生じているので、異例の教皇生前退位を行って、組織の建て直しを図っている。カトリック教会の内部にも、聖職者による児童虐待に対する教会の責任、避妊容認、同性愛容認を求める信者の声にどう対処するかという問題があるが、これらの内部問題とともに見落としてはならないのがバチカンの世界戦略だ。
 ベネディクト16世は、2006年9月にイスラーム教の聖戦(ジハード)を批判したが、これは教皇の個人的発言ではなく、バチカンの世界戦略に基づくものだ。台頭するイスラーム教を封じ込め、巻き返すためには教皇が健康で、戦略を立て、実行する中心に立たなくてはならないという危機感から、異例の生前退位が行われたのだ。
 カトリックの世界戦略に関して、イスラーム世界に対する巻き返しを図るという点で、教皇候補となる枢機卿の間に見解の相違はない。

□佐藤優「ローマ教皇ベネディクト16世の生前退位」【「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」に対する分析メモ】『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】法王と教皇、その不可謬性 ~バチカン世界戦略(4)~
【佐藤優】対中国、対イスラーム過激派の論理 ~バチカン世界戦略(3)~
【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~
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【佐藤優】法王と教皇、その不可謬性 ~バチカン世界戦略(4)~

2017年04月17日 | ●佐藤優
【事実関係】
 2013年2月28日、ローマ教皇(法王)ベネディクト16世が生前退位した。
【重要ポイント】
 ①この生前退位は、健康な後継教皇の指導下で、カトリック教会がイスラーム世界に対する巻き返しを図ろうとする世界戦略に基づいている。
 ②新教皇の下で、カトリック教会は中国に対する攻勢をかけていくことになる。

【佐藤コメント】
1-(1)~(3)
 平均的日本人には、ローマ教皇が政治的、宗教的にどのような意義を持っているかがわかりにくい。この前提知識を欠いては、教皇の生前退位が今後の国際社会に与える影響を読み解けなくなる。
 「ローマ教皇」と「ローマ法王」について、日本のカトリック教会でも混在していたが、1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、カトリック中央協議会は「ローマ教皇」に統一することになった。「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表すからだ。
 そもそも法王とは、仏法の王や宗主を表す仏教用語なので、ローマ教皇を表す言葉としては不適切だ。
 ローマ教皇には、政治的な権力もある。バチカン市国という国家の長としての機能だ。
 日本政府や外務省は、ローマ法王、ローマ法王庁という言葉を現在も用いて切る。なぜか。日本とバチカンが外交関係を樹立した当時の定訳は「法王」だったため、ローマ教皇庁がその名称で日本政府に申請。そのまま「法王庁大使館」になった。日本政府に登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り、変更できないのだそうだ。

1-(4)
 ローマ教皇は不可謬(ふかびゅう)性を持つ。これは、すべての事柄において、ローマ教皇が間違えないということではない。
 1870年に開催された第1回ヴァチカン会議において、教皇の不可謬性について激論が交わされたが、531票対2票でもってこれを教義とすることが決定された。少数の反対者は投票前に教皇の許可を得て帰国し、反対した2名の司教もまもなく賛成した。
 そこで教皇は自らの不可謬性に関する教義を朗読した。教皇が教皇の座から、換言すれば全キリスト教徒の牧者、教師としての最高使徒的権威に立って、教会によって守られるべき信仰または道徳に関する教理を定義する時、ペテロにおいて教皇に約束された神の助力によって彼は不可謬性を付与されている、云々。
 ローマ教皇の不可謬性は、信仰と道徳に関する教義に限定されるが、道徳の社会倫理に属する事項(〈例〉避妊の禁止。かつては政教分離、合理主義、プロテスタント系の世俗語で書かれた聖書を普及させる目的で結成された聖書協会も禁止)は、政治、社会、経済にも影響を与え得る。ローマ教皇がどのような道徳指針を示すかは、事実上、政治問題なのである。

□佐藤優「ローマ教皇ベネディクト16世の生前退位」【「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」に対する分析メモ】『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】対中国、対イスラーム過激派の論理 ~バチカン世界戦略(3)~
【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~
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【佐藤優】対中国、対イスラーム過激派の論理 ~バチカン世界戦略(3)~

2017年04月16日 | ●佐藤優
 (イスラーム過激派の訴えを見ていると、イスラエルという国は十字軍の再来だという。十字軍の遠征で中東はむちゃくちゃに虐げられた。今こそイスラームの声を上げよう、という勢力が存在する。)
 それは、社会的、経済的な矛盾をそういう壮大な物語によって吸収させてしまおうとするわけだ。その人たちから見ると、イスラエルは最後の十字軍、最後の植民地に見える。だから地上からイスラエルを抹殺する、という論理になっていく。イランのアフマディネジャド大統領は、それを公約にしている。
 これからの国際秩序は、暴力によって物事を変えていくという方向に変わる可能性が非常に高い。それを抑えるために、いろいろな工作をしなければならない。
 〈例〉中国も国際秩序を一方向に変えていこうとしている。中国の論理とイスラーム過激派の論理は似ているところがあるわけだ。尖閣だって、「先に見つけたほうの領土になるというのは帝国主義の論理だーっ。だから日本による尖閣奪取は中国侵略の第一歩だ。だから中国は力でこの状況を変えても構わない」なんていう論理は、イスラームの過激な考えの人と似ている。
 中国の過激な考えの人たちは、「レーザー照射はしていない。(軍艦でレーザー照射をしておいて)照射されたというのは日本がウソをついているのだ、こいつらは昔からウソつきの傾向があるからな」と、盧溝橋とか柳条湖とかそんな話まで持ち出して世界でプロパガンダをやっている。この面倒臭い中国をどうやって封じ込めていくか。これは、イスラームの過激な勢力を封じ込めていくということと同じ課題なのだ。今、世界はそっちに向かって動いている。

□佐藤優「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~
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【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~

2017年04月16日 | ●佐藤優
 今の枢機卿のなかから教皇に誰が選ばれるかということについても、実際は誰が選ばれてもあまり変わらない。要するに、ローマ教会というのは代表権を持っている代表取締役社長を兼任している人が一人だけいる。それ以外の執行役員が枢機卿の人たちだが、この人たちに議決権があるわけじゃない。だから、この会長兼社長が年齢とともに弱っていくと活躍できない。すると会社の活動が停滞しちゃう。だから若返りが昼等になるのだ。しかし、ボードはすでに全員が前のローマ教皇系で占められているわけだ。だから誰がなっても一緒なのだ。路線は変わらない。
 それではなぜ、若返りによる組織の引き締めが必要かというと、今、世界でイスラームの力が強くなり過ぎているからだ。ベネディクト16世がローマ教皇になる1年3ヵ月前の2004年に、有名な独逸の社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスと討論会をやっている。そこでも、ビン・ラディン以降、神様を信じている人も信じてない人も、ああいう勢力に対して戦っていかねばいけない。その戦い方は、上手にやる。イスラームのなかで対話ができる人たちと対話して、イスラームのなかに亀裂をつくり、われわれ西側文明の影響力を強化していこうと言っている。こうした路線を今後も続ける。そのための若返りだ。それは同時に、西側的な価値観を受け入れない中国に対しても圧力を強めていくということだ。

□佐藤優「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~

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【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~

2017年04月15日 | ●佐藤優
 カトリック教会は非常に幅広い。2013年にローマ教皇に選ばれた初の中南米出身のフランシスコも、前任のベネディクト16世も、その前のヨハネ・パウロ2世も全員、保守系だ。
 保守系か改革系かというのは、1960年代に第2バチカン公会議があったが、そのときのヨハネ23世は大変な改革派のローマ教皇だった。このときカトリック教会は大きく変わって、対話路線、つまりイスラームとの対話、プロテスタントとの対話、宗教を信じていない人との対話、共産系との対話を通じて皆が仲良くしていこうという方向に行った。それが1978年にヨハネ・パウロ2世というポーランド出身の教皇が就いたことで変わった。共産主義とは対決する、共産主義を叩き潰していくんだと。それを理論的に支えたのが、2013年2月に退位したヨゼフ・ラッツィンガー=ベネディクト16世だ。
 昔、異端審問所があった。異端かどうか、魔女裁判にかける、あの異端審問所は現在、教理聖省という。
 ベネディクト16世は、この教理聖省の長官、つまり異端審問長官だった人だ。そして、長官のときにキュンク教授とシーレベック教授という神学者を呼び出した。二人とも改革派の神学者だ。ところが、聴聞した結果、シーレベックのほうはお咎めなし。キュンクのほうはカトリックの神学者ではない、したがって、大学で押してはいけないということで、事実上の破門にした。これで皆、怯えあがった。同じことをやっても、片方はペナルティ、もう片方はOKだ。ある線できちんと分けていれば、そこを守ればいいんだなという形でみんなやるのだが、そうじゃない。ここで教皇庁の権威がすごく強くなる。そういうこともあって、次のローマ教皇になった。

□佐藤優「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
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【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
 ★『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』目次はこちら
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【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~
【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~
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【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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【週刊金曜日】テレビ報道の危機/現場からの告発 ~見出し~

2017年04月14日 | 社会
 これが忖度と萎縮の実態だ!
  このところ森友学園の話題でやたら耳にする「忖度」という言葉。何も同事件の専売特許ではない。テレビ報道の現場ではすでにここ数年、「権力への忖度による萎縮」が深刻な状況として指摘されている。結果として骨太のキャスターやコメンテーターは淘汰され、代わってその関を占めるのはタレントばかり。一体、現場では何が起きているのか。4月の番組改編を機に、ますます“バラエティ化”する「日本のテレビニュース」の裏側を探ってみた。

(1)NHK ~NHKを憂う有志の会~
 籠池証人喚問も危うく中継見送りに?!/華やかな「ニュース一新」の陰で/依然続く政権との一体化
  いくらキャスター交代で路線転換を目指しても/肝心の報道局幹部の姿勢は依然として/視聴者よりも首相官邸の方を向いているとしか思えない。
 二つのスクープ
  岩田記者が得意なのは/単純に早くゴールに着けばいいという「100メートル競走」。
 一矢報いた「日報」問題
 新生NHKはどこに?
  とにかく安倍に都合の悪いことはなるべく目立たないようにしろと/21階(会長・副会長室のあるフロア)から指示が下りたのだろう。

(2)TBS ~本誌取材班~
 『NEWS23』の看板が泣いている/「報道のTBS」の体らく
 筑紫哲也の/精神は/何処へ--?
 加計学園の取材はしない
 〈コラム〉「朝鮮人は去れ」フェイスブックでヘイト発言をして平気な幹部 ~編集部~

(3)テレビ朝日 ~小石川シンイチ(ライター)~
 早河会長とは昵懇の仲、放送番組審議会では“独壇場”/テレ朝と幻冬舎・見城氏の深い関係
 芸能界とのパイプ
  「幹部さんたちが会議室の入り口で/見城さんを列をなしてお出迎えするそうです」
 株主総会で追求も
 次の狙いは『報ステ』!?

(4)全局 ~不二峰子(ライター)~
 なぜか重宝されるタレントたち/ 芸能事務所とニュース番組 
 政治色が付かないよう/「守られている」
 制作も抱え込み/報道に「食い込む」
  「アイドルキャスターは、政治の話題を振られることはまずありませんから。/カンペを見て進行しているだけです。」

□特集「テレビ報道の危機/現場からの告発」(「週刊金曜日」2017年4月7日号)
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【南雲つぐみ】電動歯ブラシ ~大事なことは~

2017年04月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 電動歯ブラシは電気で自動的に動く歯ブラシ、1秒間に20~2万ヘルツで振動・回転する音波式電動歯ブラシ、2万ヘルツ以上の音波を発生し、振動しないタイプの超音波電動歯ブラシの3種類に分かれる。価格も数百~数万円までいろいろ。手で磨く歯ブラシよりも、短時間で効果的に歯垢(しこう)を取り除くといわれているが、実際はどうなのだろうか。
 世界的なヘルスケア情報の評価を行っている「コクラン共同計画」という国際プロジェクトが、2014年に電動歯ブラシの有用性についての報告を行った。これによれば、検討を行った7種類の電動歯ブラシ技術のうち、振動、回転するタイプの1種類をのぞいて、どの電動歯ブラシも歯垢や歯肉炎の低減について、手動の歯ブラシと比べて有効性が高いとはいえないと結論づけている。
 機械で磨いているからという安心感で、磨く時間が短くなったり、磨き方が雑になったりすると、かえって磨き残しが多くなる可能性もある。どんな歯ブラシでも、やはり「磨き方」が大切なようだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「電動歯ブラシ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月13日)を引用
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【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~

2017年04月13日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)飽食、活動量の低下、有害物質への曝露と、現代の生活は「健康的」とは言いがたい。
 不健康生活の最先端をひた走る米国からは、時々思い出したように「原始的だが、健康的な生活を営む民族に学ぼう」という類いの研究報告が発表される。

 (2)先日、世界五大医学雑誌のランセットに「ボリビアのアマン損で狩猟・採集、農業で自給自足生活を営む“チマネ”の冠動脈疾患の有病率は、わずか3%にすぎない」という調査結果が報告された。
 調査対象は、40歳以上のチマネの人々705人で、CT検査で冠動脈の動脈硬化(石灰化)の有無を調べた。
 その結果、85%の人は石灰化を全く認めなかったのだ。わずかなりとも石灰化の兆しがあった13%は、石灰化の指標であるCACスコア(以下、CAC)が100未満だった。つまり、心臓発作を起こす確率は年に0.4%以下で、心臓に病気を抱えている可能性は極めて低い。残る3%でCACが100を超えたため、冠動脈疾患だと判断されたわけだ。
 75歳以上の高齢者でも、65%はCACがゼロ。わずか4人(8%)がCAC100以上だった。
 ちなみに、米国でCACがゼロの成人は14%にすぎず、2人に1人は100を超えている。
 研究者は、「米国人とチマネの人々との血管年齢には24~28歳もの開きがある」と嘆き節だ。

 (3)冠動脈の石灰化を促進する因子である「悪玉コレステロール(LDL-C)」をみると、チマネの平均LDL-Cは90mg/dLだった。そして石灰化を抑える働きがある「善玉コレステロール(HDL-C)」は39.5mg/dLだった。

 (4)肥満、高血圧、高血糖が極めて稀であったことは言うまでもない。チマネの人々はごく自然に、大切な血管を老化させない生活を営んでいるのである。
 とはいえ、都市生活者が狩猟・採集生活に戻るなんて、まず不可能。若々しい血管を維持するには、美味しいものの誘惑に耐え、思いきり身体を動かすしかない。 

□井出ゆきえ(医学ライター)「現代的な生活は健康リスク/狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.345~」(「週刊ダイヤモンド」2017年4月15日号)
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 【参考】
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~
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【南雲つぐみ】家電の省エネ ~冷蔵庫ほか~

2017年04月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 20年使用した冷蔵庫をやっと買い替えた。冷凍庫には霜がつき、異音があまりにも激しくなっていた。それでも「まだ冷えるのに」と、もったいない気がしていたが、家電製品の省エネ化から見れば、むしろ遅すぎたといえるかもしれない。
 資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2016年冬版」によれば、4人家族に標準的な400~450リットルクラスの冷蔵庫の年間電気料金は、2007年製では1万5,230円に対して15年製では6,700円で、8,530円の節約になる。わが家では、冷蔵庫を買い替えた翌月から電気代が千円も安くなった。
 また、年間CO2 排出量やエネルギー使用量を原油換算した数値なども、2分の1以下に減少するという。家電の省エネ化は刻々と進んでいるようだ。同じサイズの冷蔵庫なら年間消費電力量が小さいほうが省エネになり、その数値は冷凍室の大きさに影響される。
 ここ10年で電気代やCO2 排出量が大幅に減っているのは液晶テレビやエアコンとのこと。こちらも買い替えたいところだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「家電の省エネ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月24日)を引用
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【南雲つぐみ】平熱は一定でない~年齢、一日の時刻~

2017年04月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 春は、気温の変化のせいか、微熱やだるさを感じることがある。105歳の現役医師、日野原重明さん(東京・聖路加病院名誉院長)が、発熱についてこう語っていた。「発熱が37度以上というのは誤解です。私の体温は朝起きたら35.3度ぐらいなので、36度以上になったら発熱。36.5度といえば、子どもの38度に匹敵する。老人の無熱性肺炎というのは間違いで、ほとんどの肺炎患者は平熱から考えると発熱しているのです」(徳田安春著「バイタルサインでここまでわかる!OKとNG」カイ書林、3,024円)。
 たしかに、平熱の高い子供は、38度あっても平気で遊んでいるものだ。逆に、体温計で熱がないと思っても、普段の体温を知らないと発熱を見逃すこともある。
 体温は一日のうちで変動する。朝は低め、夕方になるにつれてやや上がり、就寝時に下がるという生体リズムがほとんどだ。健康を保つために、起床時、午前10時ごろ、午後4時ごろ、就寝時の4回を測ってみて、平熱を知っておくことが必要だろう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「平熱を知る ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月6日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】桃源郷へ ~山梨県、福島県~
【南雲つぐみ】家電の省エネ ~冷蔵庫ほか~
【南雲つぐみ】スナップエンドウ
【南雲つぐみ】出会いはストレス? ~4月~
【南雲つぐみ】面倒でも試みよう ~認知症防止の第一歩~
【南雲つぐみ】軽度認知障害 ~その予防法~
【南雲つぐみ】あんぱんの日 ~4月4日~
【南雲つぐみ】散歩しながら会議
【南雲つぐみ】立って仕事 ~座り過ぎは喫煙と同じほど体に悪い~
【南雲つぐみ】カテキンの効果 ~殺菌・消臭・口内の衛生~
【南雲つぐみ】健康にいい食べ方
【南雲つぐみ】春休みの時差ぼけ
【南雲つぐみ】菜種梅雨 ~春雨、催花雨~
【南雲つぐみ】お花見 ~3月27日は「さくらの日」~
【南雲つぐみ】カテキンの効果 ~殺菌・消臭・口内の衛生~
【南雲つぐみ】冷えのぼせに注意 ~血行不良~
【南雲つぐみ】栄養はバランスよく ~若者より高齢者の方が健康的~
【南雲つぐみ】クロロゲン酸の効用 ~珈琲~
【南雲つぐみ】潮干狩り ~アサリの旬~
【南雲つぐみ】風が吹けば桶屋が儲かり、歯の数が減ると医療費がかさむ
【南雲つぐみ】春は突風に注意 ~飛来物・落下物・転倒事故~
【南雲つぐみ】春苗の植えどき ~ハーブ、青菜、花~
【南雲つぐみ】お彼岸 ~その心~
【南雲つぐみ】せきを抑えるツボ ~自衛法~
【南雲つぐみ】加齢黄斑変性とその治療法
【南雲つぐみ】頭痛が続く時 ~「気象病」~
【南雲つぐみ】クラゲの癒やし ~ストレス解消~
【南雲つぐみ】アレルギー性結膜炎 ~目の花粉症~
【南雲つぐみ】遺伝子検査と生活習慣
【南雲つぐみ】早春の香り ~匂いとセラピー~ 
【南雲つぐみ】白酒と甘酒 ~甘酒は栄養豊富~
【南雲つぐみ】背骨の新しい治療法
【南雲つぐみ】ビーナスベルトと地球影 ~西の空~
【南雲つぐみ】火災を防ぐ ~春季全国火災予防運動~
【南雲つぐみ】温泉かれい ~北陸~
【南雲つぐみ】がんと就労 ~仕事と治療の両立~
【南雲つぐみ】富士の笠雲
【南雲つぐみ】歩き方いろいろ ~室内でできるスロージョギング~
【南雲つぐみ】飲酒のメカニズム ~前頭葉を刺激~
【南雲つぐみ】ハリーアップ症候群 ~時間に追われると~
【南雲つぐみ】おでんの日 ~車麩~
【南雲つぐみ】フローズンショルダー ~肩関節周囲炎~
【南雲つぐみ】更年期女性と心疾患 ~微小血管狭心症~
【南雲つぐみ】梅の季節
【南雲つぐみ】皮膚の乾燥やかゆみ ~傾向と対策~
【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
【南雲つぐみ】午の時刻、方位、初午の名物料理
【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~
【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~
【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
【南雲つぐみ】目の温浴 ~蒸しタオル~
【南雲つぐみ】海苔の日 ~「海の緑黄色野菜」~
【南雲つぐみ】大豆とエクオールは女性にとって健康の秘訣 ~今日は節分~
【南雲つぐみ】体の痛みが示すもの ~臓器の健康~
【南雲つぐみ】飲む乳酸菌の役割 ~明日2月3日は「乳酸菌の日」~
【南雲つぐみ】マスクで花粉症の予防 ~ダイエットにもなる~
【南雲つぐみ】寒灸の習慣 ~関節の痛みやこりを和らげる~
【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
【南雲つぐみ】ナマコとコノワタ ~三河湾では今が旬~
【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~
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【南雲つぐみ】桃源郷へ ~山梨県、福島県~

2017年04月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 桜前線が北上していく中、各地でさまざまな春の花が開花を迎えていることと思う。山梨県では、4月上旬から中旬にかけて、甲府盆地に広がる果樹畑のモモがいっせいに花を咲かせる。
 山梨県笛吹市の八代ふるさと公園の小高い山から見下ろすと、辺り一帯はピンクのじゅうたんを敷き詰めたようだ。所々白いのはスモモの花。あちらこちらでやや満開の頃を過ぎた桜やモクレン、菜の花との競演が楽しめ、一日中写真を撮って歩いても飽きない。
 農林水産統計によれば平成28年産の全国のモモの果樹面積は9,710ヘクタール。山梨県は3,190ヘクタールで全国1位。スモモと合わせると、約4千ヘクタールになる。ちなみに桃の果樹面積の2位は福島県。こちらも素晴らしい景色が広がる。
 福島市の“桃源郷”といえば、花見山公園が知られる。この公園は花木生産農家の方が雑木林を開墾し、長い年月をかけて広大な花畑を作ったものだ。毎年5月ごろまで数種類のウメやサクラ、ハナモモ、レンギョウ、モクレン、サツキなどの競演が楽しめる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「桃源郷へ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月2日)を引用
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【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」

2017年04月11日 | ●佐藤優
 ①岩波明『発達障害』(文春新書 820円)
 ②服部健二『アドルノ的唯物論との対話 石の上悟り切ったと石頭』(こぶし書房 3,400円)
 ③澤康臣『グローバル・ジャーナリズム 国際スクープの舞台裏』(岩波新書 860円)

 (1)①は、発達障害とどう向き合うかについて丁寧に書かれた好著だ。
 <(親は)、症状が軽症の際には、なかなか発達障害という考えに至らないようだ。単に「落ち着きのない子供」あるいは「おとなしく人付き合いが苦手な子供」とみなして納得していることもよくみられる。
 しかし、親が発達障害をきちんと認識できているかどうかは、養育態度という面で決定的な違いを生む。子供の状態を「症状」によるものと考えるか、あるいは「気持の持ち方次第のもの」とみなすかで、子供に対する評価が大きく変わるからである。発達障害について認識していない親は、不必要に子供を叱責しかねない。このような意味で、早期の発見は重要であろう>
 子どもが発達障害ではないかとの合理的な疑いを持つ親が、きちんと検査を受け、専門家の助言を受けることが何よりも重要だ。

 (2)②は、強い知的刺激を与える。服部氏は京都哲学左派の研究で業績を残しているが、本訴では社会哲学者のアドルノについて詳細に考察している。
 <ブロッホにとっては、希望は暗闇の相関者であり、暗闇で手探りして動き始める有限な人間が思い描くユートピア的空想の相関者ですから、それになぞらえていうと、アドルノの「憂鬱のまなざし」は、一方において空想という主観的相関者をもち、他方では「到達されない」で「やつれていく」「仮象」としての「約束」、「有限な和解」を客観的相関者としてもっていることになります>
 という指摘が面白い。アドルノにも、幾つかのねじれを経た上でではあるが、「希望の原理」が存在することがよく分かる。

 (3)③では、インターネットの普及がマスメディアに与えた影響を功罪ともにバランスよく論じている。
 <(2016年の)11月から12月には、大手ネット企業のDeNAが、運営する10の情報サイト全てを休止するという事件も起きた。(中略)例えばその一つ、医療健康情報サイト「WELQ」では事実に反する疑いがある内容がいくつも見つかった。それも、たまたま変な記事が紛れ込んだのではなく、組織的にそうした記事を量産していた疑いが強まったのである。記事を提供するライターに対し、既に存在しているネット上の別の記事を下敷きにして記事を焼き直し、しかも剽窃を疑われないよううまく書き換えることを推奨するような手引きがされていたことが明らかになった>
 澤氏は、こう指摘する。本件は、インターネットの普及につけ込んだ「情報犯罪」の性格を帯びている。嫌な時代になった。

□佐藤優「アドルノ哲学の知的刺激 ~知を磨く読書 第194回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年4月15日号)
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 【参考】
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【南雲つぐみ】スナップエンドウ

2017年04月10日 | 医療・保健・福祉・介護
 筋を取って、さっとゆでるだけ。サヤも甘く、シャキシャキとして、お弁当にも手頃なスナップエンドウ。インゲン豆やグリーンピースの苦手な子どもたちにも好評だ。
 アメリカで作られたグリーンピースの改良品種で、成長してもサヤが堅くならないから、サヤごと食べられるのが特徴。ベータカロテンやビタミンC、カリウム、食物繊維などの栄養素のほか、体の成長や修復に不可欠な必須アミノ酸のリジンも多く含んでいる。リジンは脳の神経伝達物質の素材にもなるとされるので、集中力を高め、心の安定を維持するために取りたい成分だ。
 店頭では「スナックエンドウ」という札がついていることもあるかもしれない。日本に入ってきたのは1970年代のことで、80年代に入って農林水産省が統一名称を「スナップエンドウ」としたが、今でも種は「スナック」、「スナック753」などの名前で売られているようだ。
 スナップエンドウは4月から6月が旬。同じく旬を迎えるソラマメのように焼いてもおいしい。

□南雲つぐみ(医学ライター)「スナップエンドウ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月7日)を引用
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【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考

2017年04月09日 | ●佐藤優
 ★綱野善彦『異形の王権』(平凡社、1986/後に平凡社ライブラリー、1993)

 (1)綱野善彦(1928~2004年)は、ユニークな歴史家で、毀誉褒貶があるが、中世日本における天皇と被差別民の関係、また中世に日本が海洋交通を通じて東アジアから東南アジアにかけて開かれていたという歴史観を示すことで、アカデミズムに大きな衝撃を与えた。
 また、専門家だけでなく一般読者の興味を引くテキストを構成する能力があったので、日本中世史に対する社会の関心を向ける上でも大きな役割を果たした。
 特に、南北朝時代の後醍醐天皇(1288~1339年/在位1318~39年)を扱った『異形の王権』がよく読まれた。網野は、後醍醐天皇に対する評価が、太平洋戦争を境にして大きく変化したことに注目し、概要次のように述べる。
 後醍醐天皇が天皇史上きわめて特異な役割を果たしたことは、その評価はさておき、事実として広く認められている。建武新政府崩壊後、南北朝動乱を境に、前近代天皇のあり方、その権威と権力の実質が大変化を遂げたことも異論の余地はあるまい。それだけに、後醍醐の政治に係る研究は、①建武の中興ととらえた戦前と、②前後に類を見ない専制、反動的な政治と見る戦後とでは、その評価が大いに揺れ動いている、云々。

 (2)後醍醐天皇の特徴は、従来と異なる人々を自らの権力基盤を強化するために活用したことだ。この文脈で注目されるのが、「異類」や「異形」と呼ばれた人々だ。網野は、概要次のように言う。
 建武政権の末期に近い1335(建武2)年、新政府の発した「陣中の法条々」は、このころ陣中-内裏の内部に「異形の輩」が出入りしていたことを明らかに物語っている。内裏=天皇の居所の中にゴミを捨てたり、汚したりする者が出入りし、それを政府が制止するために法令を発する。異様といえば異様だが、笠松宏至はそこに建武政府の特徴を見出し、この内裏に出入りする者の中の一つのグループとして①「全国各地から蝟集してくるおびただしい訴訟人の群れ」を挙げ、他のグループとして②物売りや「聖俗いずれとも判断のつかない者ども」があったとしているが、網野は②の中に、覆面をつけ、足駄をはいた・「悪党」のいたことは確実だと考える、云々。
 制止や禁止を定めた法令が公布されるのは、そのような事実が存在するからだ。被差別民を含む人々、従来は天皇の権力に直接組み入れられていなかった人々糾合し、権力基盤を強化することによって、後醍醐天皇は大胆な改革を実行しようとしたのである。

 (3)このような改革を行う場合、イデオローグが不可欠になる。その機能を果たしたのが男女間のセックスを教義に取り入れた真言密教の僧侶・文観だ。文観は同時に「異類」や「異形」との人脈を持っていた。綱野は、次のように指摘する。
 <後醍醐は文観を通じて「異類異形」といわれた「悪党」、「職人」的武士からまでをその軍事力として動員し、内裏にまでこの人々が出入りする事態を現出させることによって、この風潮を都に広げ、それまでの服制の秩序を大混乱に陥れた。>
 結局、後醍醐天皇が天皇親政の回復を目指した建武の中興は頓挫した。
 その結果、権力の実体は武士である足利尊氏がトップを務める幕府に移った。
 しかし、足利幕府は、天皇自体を否定することはせずに大覚寺統の後醍醐とは別の系譜の持明院統の天皇を擁立する。しかし、その後も足利尊氏は後醍醐天皇に対して畏怖の念を抱き続ける。
 そして、足利幕府は、第3代将軍・足利義満のイニシアティブで南北朝の合同を実現した。実態としては、足利幕府に後押しされた北朝による南朝の吸収であった。

 (4)しかし、南北朝時代にどちらの王朝が正統であったかという論争が明治時代末期に起こり、政府は南朝を正統とした。その結果、学校教科書では南北朝時代という言葉が使えなくなり、吉野朝時代と呼ばれるようになった。そして、皇国史観の中心に後醍醐天皇が置かれるようになった。
 敗戦後、GHQの主導で民主化教育が進められる過程で、後醍醐天皇は否定的に評価されるようになった。網野自身は、講座派(日本共産党系)の歴史家で、共産党を離れてからも発想自体は典型的な講座派だった。後醍醐天皇に民衆を糾合する力があったと主張する言説を展開することは、講座派の歴史家としては勇気を要することだった。

 (5)網野は、結論部で、次のように述べる。天皇陛下の生前退位が問題となっている現今、本書は読み返されるべき一冊である。
 <後醍醐天皇は、を動員し、セックスそのものの力を王権強化に用いることを通して、日本の社会の深部に天皇を突き刺した。このことと、現在、日本社会の「暗部」に、ときに熱狂的なほどに天皇制を支持し、その権力の強化を求める動きがあることとは決して無関係ではない、と私は考える。いかに「近代的」な装いをこらし、西欧的な衣装を身につけようと、天皇をこの「暗部」と切り離すことはできないであろう。それは後醍醐という異常な天皇を持った、天皇家の歴史そのものが刻印した、天皇家の運命なのであり、それを「象徴」としていただくわれわれ日本人すべても、この問題から身をそらすわけには決していかないのである。>

□佐藤優「後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考 ~名著、再び ビジネスパーソンの教養講座 第31回~」(「週刊現代」2017年4月8日号)
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 【参考】
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