語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク ~背景にストレスや運動不足~

2016年02月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)便秘がちで下剤を使用している人は、脳・心血管疾患リスクが高いようだ。
 大阪大学医学部公衆衛生学教室の研究から。

 (2)この研究は、1988~90年に、心血管疾患や脳卒中の既往がない日本在住の男女72,014人(男性29,668人、女性42,346人)対象のデータを基にしたもの。調査開始時に排便回数と下剤の使用の有無を質問した後、2009年まで追跡している。追跡期間中、
  (a)死亡した人
   冠動脈疾患で977人(男性561人、女性416人)
   脳梗塞・脳出血で2,024人(男性1,028人、女性996人)
  (b)排便回数との関係は、年齢の影響を調整して検討すると、
   ①毎日排便する男性に比べ、排便回数が2、3日に一度がやっとという男性は、心血管死や脳卒中死リスクが有意に高かった。
   ②しかし、高血圧や2型糖尿病の既往歴など他の危険因子の影響を調整すると、その差は消滅している。
  (c)下剤使用との関係は、
   ①下剤使用者は、冠動脈疾患死のリスクが非使用者と比べて、女性は1.28倍、男性は1.56倍にのぼった。
   ②女性ではむしろ下剤使用と虚血脳卒中(脳血管が詰まる)との関連が強く、非使用者との比較では1.45倍だった(男性は1.37倍)。

 (3)研究者らは、
   「便秘がちで下剤を使用している人は、糖尿病や精神的ストレス、運動不足など脳・心血管疾患リスク要素を高率に抱えている」
と指摘し、特に
   「下剤の使用は、男性の冠動脈疾患死と虚血性脳卒中死、女性では虚血性脳卒中死と強く関連する」
としえいる。

 (4)国民生活基礎調査(2013年)によると、便秘を自覚している人の割合は、1,000人対で、
   男性26.0
   女性48.7
 しかし、男性の割合は50歳を過ぎたころから上昇する傾向にあり、脳・心血管疾患の好発年齢と重なる。
 便秘がち=脳・心臓への黄色信号として生活習慣を見直してみよう。

 (5)便秘と脳・心血管疾患リスクの両者を改善するには、食物繊維を摂り、適度に腹筋運動を行うとよい。散歩やジョギングを追加すれば、ストレス解消との一石二鳥となる。

□井出ゆきえ(医学ライター)「下剤は脳・心血管疾患リスク!? 背景にストレスや運動不足 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.287~」(週刊ダイヤモンド」2016年2月13日号)
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