語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

2015年09月30日 | 医療・保健・福祉・介護
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

 (1)秋の行楽シーズンに遠出できないあなたにオススメなのが、「都会のオアシス」水族館。夏休みの喧噪が過ぎた今、意外と見頃だ。
 しかも、「水族館の展示を眺めていると血圧と心拍数が低下する」【英国国立水族館、プリマス大学、エクセター大学の、先日報告された共同研究結果】。

 (2)研究チームは、国立水族館が改修された際、
   全長14.3m×幅6.2m×深さ6m
の巨大水槽が導入されるのを機に研究を開始。水槽では、英国周辺の海洋生態系が再現され、中の様子は
   14m×4.25m
のパネル越しに公開されている。
 研究チームは、特定の場所で、来場者や協力者の気分、血圧、心拍数を測定。鑑賞前後で比較した結果、水槽の前で過ごす最初の5分間で被験者の
    上下の血圧値
    心拍数
が明らかに低下した。また続く5分間で次第に落ち着いてリラックスした気分になっていった。
 海洋生物の数や種類が多いほうが、水槽前で過ごす時間が長くなり、心身へ好影響する、という。

 (3)今回の研究対象は巨大水槽だが、小さなアクアリウムが心身の健康に及ぼす良い効果も見逃せない、という。
 <例>歯科や外科の待合室、ストレス満載のオフィスの一角に備えられたアクアリウムも、それを意図しているのだろう。

 (4)英国と同じ海洋立国の日本でも、水族館は人気がある。幸いと、英国国立水族館と同じ規模の施設が、各地に点在している。
 ちなみに、日本最大の水槽「黒潮の海」(沖縄美ら海水族館)は、
   全長35m×幅27m×深さ10m
で、水量は7,500立米(750万リットル)と一桁、規模が違う。海洋生物の種類も豊富で、長時間眺めても見飽きることがない。
 日々の生活にストレスを感じたら、アクアリウムの中で漂い、悠々と泳ぐ生物たちを眺めてみよう。ホンの5分間で足りるのだから。

□井出ゆきえ(医学ライター)「水族館でリラックス効果、血圧・心拍数に好影響 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.268~」(週刊ダイヤモンド」2015年9月26日号)
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【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」

2015年09月30日 | ●佐藤優
 (1)日本はロシアになめられている。
 9月21日、ロシアのモスクワを訪れている岸田文雄・外相が、セルゲイ・ラブロフ外相と会談した。
 <会談後ラブロフ氏は「北方領土問題については協議しなかった。協議したのは、平和条約締結問題だ」と述べ、日本と北方領土交渉を行うことを拒否する姿勢を鮮明にした。
 ラブロフ氏は「ロシア側のアプローチは、日本が第2次大戦後の歴史の現実と国連憲章を受け入れることが問題の前進のために不可欠だということだ」と述べた。第2次大戦の結果、北方四島はロシアのものとなり、敗戦国の日本に異議を唱える資格はない、という強硬な主張だ。「平和条約交渉とは、領土問題をめぐる交渉のことだ」という日本の立場は否定したとみられる。
 日本側が年内の実現を目指しているプーチン大統領の訪日日程も決まらなかった。>【注】

 (2)ラブロフ外相は、「第二次世界大戦の敗戦国であった日本は、連合国の一員であったソ連が獲得した北方四島について云々する資格はない」という強圧的態度をとっている。
 東京宣言(1993年10月)で、細川護煕・首相とエリツィン大統領は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の名称を明示し、これら北方四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を締結することに合意した。
 四島の帰属に関する問題の解決には、論理的に考えて、
   日4露0
   日3露1
   日2露2
   日1露3
   日0露4
の5通りの可能性がある。ロシア側が4島すべてがロシア領であるという主張を展開することは可能だ。
 しかし、北方領土問題に関する協議そのものを拒否することは、東京宣言に反する。
 さらに、イルクーツク声明(2001年3月)で、東京宣言の有効性をプーチン大統領と森喜朗・首相が明示的に確認している。
 今回のラブロフ首相の発言は、プーチン大統領の従来の発言とも齟齬をきたす。

 (3)首相官邸や外務省の一部には、プーチンの政治決断で北方領土交渉が進む、という希望的観測を持っている人がいるようだ。
 しかし、それは幻想だ。
 プーチンの対日観は変化した。安倍政権はG7の一員として、ウクライナ問題を巡る対露制裁に参加しつつ、同時にロシアとの対決を避ける、というコウモリ的外交を展開していた。
 しかし、今年6月、安倍首相がウクライナを訪問し、2,000億円超の支援を行い、ロシアとの外交を「対話と圧力」、つまり対北朝鮮外交と同じスタンスで進める、と公言したことにより、プーチンは安倍政権と本気で北方領土交渉に取り組む意思をなくした、と見られる。

 (4)今後、ロシアは対日政策を一層硬化させるであろう。
 <例>ビザなし交流を廃止し、日本人の元島民が故郷訪問や墓参で北方四島に渡航する際、パスポートにロシア政府が発給するビザを要求してくる可能性がある。
 プーチンの訪日を焦る必要はない。ロシアが強硬な対日姿勢をとる間は、日本から敢えてプーチン政権に擦り寄る必要はない。

 【注】記事「北方領土問題、ロシア側が交渉拒否 日ロ外相会談」(朝日新聞デジタル 2015年9月22日)

□佐藤優「ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」 ~佐藤優の人間観察 第129回~」(「週刊現代」2015年10月10日号)
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 【参考】
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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【詩歌】会田綱雄「二月の鬼」

2015年09月30日 | 詩歌
 鬼だって生きなければならない
 いや
 鬼だからこそ生きなければならないのだ
 と一匹の鬼は考える
 二月の夜にしては
 変にナマあったかいけれども
 鰯の頭を神妙につるして
 あわれや
 人間どもは寝しずまり
 鬼は外
 空咳をしながら
 薬莢をひろってあるいていると
 涙がうっすっらにじんでくる
 御心配無用
 悲しいんじゃない
 あいつらに狙われた傷がうずいて
 笑いだしたいくらいなんだ
 痩せ我慢じゃない

□会田綱雄「二月の鬼」(『狂言』、思潮社、1964)
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 【参考】
【詩歌】会田綱雄「鴨」
【詩歌】会田綱雄「醜聞」
【詩歌】会田綱雄「聖家族」
【詩歌】会田綱雄「鹹湖」
【詩歌】会田綱雄「伝説」
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【戦争】おやじ、一緒に牧野村へ帰ろう ~戦没者の遺族の声~

2015年09月29日 | 批評・思想
 (1)木村迪夫(農民詩人/山形県上山(かみのやま)市牧野在住)は、10歳にして父を亡くした。1946年春、出征先の中国で戦病死したのだ。
 それからおよそ70年経た今夏、木村は父親の最後の地を訪れた。

 (2)「もう思い残すことはない」と自宅で語る木村の、最新の詩が次の「まぎの村へ帰ろう」だ。
   敗戦から七十年
   父親の果てた中国への思いは
   わたしの心から長い年月消え去ることはなかった
   父親の死地は武漢から長江沿いを二〇〇キロほど下った黄崗(こうこう)という三国志にも出てくる街の郊外の
   余家湾という静かな農村であるという
   わたしの瞼から
   少年時に別れた 父親のたくましさも
   心やさしい面影も
   ついぞ消え去ることはなかった
   七〇年もの長い年月
   そう 七〇もの長い年月

   わたしはとうとう余家湾にやってきた
   「おれの声が聴こえるか」
   「この叫ぶ声が
    あなたの耳もとに届いたか」
   いまわたしはあなたの面前に立っている
   末の弟のテルオも
   あなたの面影ははっきりと二人には見える
   瞼に映って見える
   一緒に帰ろう
   姉や妹たちの待っている
   日本へ帰ろう

   母親の眠る まぎの村へ
   祖母が悲しみと怨念のうたをうたって逝った
   まぎの村へ

   おやじよ
   七〇年ぶりの親子ともどものまぎの村へ
   いまも緑濃い大地へ
   そして田圃へ出よう
   田植をしよう
   畑へ行こう

 ここで「中略」としなければならないが、この詩は、

   ふたたび戦争などない
   まぎの村の未来へ
   一緒に帰ろう

と結ばれる。

 (3)木村の母は典型的な軍国の花だった。だから、木村の叔父の良一が戦死した時には、「良一はお国のために死んだんだ」と言っていた。
 しかし、続いて父の文左エ門の死を知った祖母は、三日三晩泣き通した。
 「ばばはん、まま(飯)くてけろ」
と木村の母親が呼びかけても泣き続け、食わないと死んでしまう、というと、 
 「死んだほえ(死んだほうがいい)、死んだほえ」
と食膳に向かうことを拒んだ。そして、
 「天子さまのいたずらじゃあ! むごいあそびじゃあ!」
と叫びながら、以後、神棚に手を合わせることがなくなった。

 (4)日本の日の丸はどうして赤いのか。そう問いかけて、木村の祖母は自ら答える。 

   にほんのひのまる
   なだてあかい
   かえらぬ
   おらがむすこの
   ちであかい

 還らぬ自分の息子の血で赤いのだ、と。

 (5)木村は、働き手を戦争に奪われた戦争遺族の悲哀を厭というほど味わってきた。自分のような遺族、遺児をもう生んではいけない、と木村は語る。
 そんな彼を描いたドキュメンタリー映画
   「無音の叫び声 農民詩人木村迪夫の牧野村物語」
が山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映される。

□佐高信「おやじ、一緒に牧野村へ帰ろう ~新・政経外科 第47回~」(週刊金曜日」2015年9月18日号)
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【詩歌】会田綱雄「鴨」

2015年09月29日 | 詩歌
 鴨にはなるなと
 あのとき
 鴨は言ったか

 ノオ

 羽をむしり
 毛を焼き
 肉をあぶって食いちらしたおれたちが
 くちびるをなめなめ
 ゆうもやの立ちこめてきた沼のほとりから
 ひきあげとうとしたときだ

 「まだまえだ
  骨がしゃぶれるよ」

 おれたちはふりかえり
 鴨の笑いと
 光る龍骨を見た


□会田綱雄「鴨」(『鹹湖』、緑書房、1957):第一回高村光太郎賞
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 【参考】
【詩歌】会田綱雄「醜聞」
【詩歌】会田綱雄「聖家族」
【詩歌】会田綱雄「鹹湖」
【詩歌】会田綱雄「伝説」
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【読売】国民のための仕事人をつぶす「読売新聞」と自民党

2015年09月28日 | 社会
 (1)訪問販売で、高齢者や認知症患者などの被害が絶えない。
 この訪問販売に一定の制限をかけるべく検討していた消費者庁の担当者が、8月の人事で相次いで異動となった。
 訪問販売を規制する特定商取引法の改正には、読売新聞社(山口寿一・社長)と自民党が猛反対していた。
 
 (2)特商法改正の審議に関与していた官僚で、今回異動になったのは、服部高明・前消費者庁審議官だ(金融庁参事官へ異動)。そして、山田正人・前同庁取引対策課長だ(関東経済産業局地域経済部長へ異動)。
 とりわけ山田前消費者庁取引対策課長に対する風当たりは強く、「FACTA」2015年7月号では、「イクメン課長が『消費者庁暴走』の元凶」という記事で、顔写真入りで批判された。
 霞が関関係者は語る。
 「経産官僚でありながら核燃料サイクル政策に疑問を呈したり、みずから育休をとったりと、山田氏は改革派官僚として知られた人物。横浜市副市長として保育所待機児童ゼロを実現したことでも有名です。去年から出向していた消費者庁では訪問販売規制に取り組み、読売と自民党の標的になっていました。6月頃、経産省幹部が『山田は読売とケンカしているのか』と驚くなど、経産省内では大騒ぎになっていたそうです」

 (3)山田氏は、1991年に経産省入省。2002年に原子力政策課の課長補佐に就くと、匿名で「19兆円の請求書--止まらない核燃料サイクル」と題する文書を作成した、と言われる。
 山田氏の地方局への異動について、消費者団体や消費者保護を専門とする弁護士の間では、「読売と自民党が霞が関の人事に口を出したのではないか」という疑念が広がっている。
 8月31日、消費者団体から山口俊一・内閣府特命担当大臣に抗議書が提出された。

□野中大樹(編集部)「改革派経産官僚に左遷人事 背景には『読売新聞』と自民党か」(週刊金曜日」2015年9月18日号)
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 【参考】
【古賀茂明】国民のために働く官僚の左遷 ~読売新聞の問答無用~ 

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【詩歌】会田綱雄「醜聞」

2015年09月28日 | 詩歌
 耳の上に
 耳が生えてくる
 耳の上に耳を生やして安心してはいられない
 菌(きのこ)のように引っこぬければいいのだが
 そんな生やさしいシロモノではない
 血もかよっている
 毒もまわっているだろう
 安全剃刀の刃でそいつをひと思いに削ぎおとす
 痛いけれども我慢はできる
 我慢できないのは
 切っても切ってもそいつが生えてくることなのだ
 真実
 耳ふり
 泣きたくなる
 切りとった耳の始末にもこまる
 豚の耳なら酢で殺して食えるが
 こいつ川へ流しても土に埋めても死なないのだ
 川へ流された耳に流れこむ遠い悲鳴や微かな呻きごえ
 土に埋められた耳に忍びこむ暗い囁きや低い笑いごえ
 それらがみんな聞こえてきて
 ひっきりなしに聞こえてきて
 夜もろくろく眠れない
 せっかく生えてくる耳ではないか
 むざむざ削ぎおとすことはない
 人目に曝して図太く生きろと
 苦しまぎれの掛けごえだけは掛けるのだが
 それができない言いわけもある
 新しい耳が生えてくると古い耳が萎びてくる
 どうにも折りあいがつかないのだ
 耳の上に
 耳が生えてくる

□会田綱雄「醜聞」(『鹹湖』、緑書房、1957):第一回高村光太郎賞
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【詩歌】会田綱雄「聖家族」
【詩歌】会田綱雄「鹹湖」
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【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~

2015年09月27日 | ●佐藤優
 「週刊ダイヤモンド」は3年間予約購読すると、誌代が55%程度に下がる。
 しかし、毎週送られてくるこの週刊誌は、55%も読んでいない。
 ちゃんと読んでいる45%未満のうち、わけても私が欠かさずに読むのは佐藤優の「Book Reviews」(「知を磨く読書」)だ。このたびは連載第118回目。

 ①山内昌之/佐藤優『第3次世界大戦の罠』(徳間書店、1,500円)
 ②茂櫛勉『ロシアの街角で出会った人々』(文芸社、800円)
 ③関谷直人『牧会の羅針盤 メンタルヘルスの視点から』(キリスト新聞社、1,800円)

 ①は、地政学の視座から現下の国際情勢を読み解いたユニークな本だ。山内昌之は、
 <そして大事なことは、いまのイラン・イスラーム革命の指導者たち、ルーホッラー・ホメイニーからアリー・ハーメネイに至るシーア派指導者たちも、イランの「中華思想」を決して捨てていません>
と指摘する。
 国際社会の混乱要因となっているイランをシーア派原理主義という観点からだけではなく、ペルシア(イラン)帝国主義の復活という要因も加え、それが中東の地政学に構造的変化を与えていると説く。

 ②は、モスクワを拠点にロシアに長期滞在した日本人ビジネスマンによる優れた備忘録だ。著者は、ロシアのコネ社会についてこう述べる。
 <ロシアはある意味超法規的な国で、法よりそれをつくり運用する人間のほうが優先される。だからコネがあれば、ことがスムーズに運ぶということは、わたしもおおく体験した。そこで、サンクトペテルブルグとモスクワの間を、ロシア人と同じ値段で飛行機で往復できた、ときもあった。ロシアにいったばかりのころ、もちろんそういうビザをもっていたので、外国人ながらその特典を受ける権利は有していたのだが、じっさいに行使するときは、飛行機会社に説明をもとめられることもあった。しかしその時コネがあると電話一本ですんでしまう>
 佐藤優がモスクワに勤務していた1980年代末に、ロシア人と外国人の航空券の価格差は10倍以上あった。佐藤もコネを上手に使い、モスクワ市内のタクシー代よりも安い値段で、シベリアやソチに出張した。コネをつくるには、誰に権限があるか、そしてその人と親しくなるにはどうすればいいか、というノウハウが必要になる。こういうノウハウは、外交やビジネスにも生かせる。モスクワの日本大使館員がロシア人とのコネをつくることができていないので、北方領土交渉も進展しないのだ。

 キリスト教では、宗教的指導者と信者の関係を羊飼いと羊に例えることがある。それだから、牧師の仕事を牧会という。
 ③で、著者の関谷直人・同志社大学神学部教授は、
 <多くの牧師の子どもは、教会で信者に接している時と、牧師館で自分に接する時の親のギャップに戸惑いを感じている。(中略)教会では説教壇の上から立派な説教を語り、いつもニコニコして、愛をもって信者に接しているのに、自分たちの家族、特に連れ合いに対する言葉づかいや態度にはそういう配慮や愛が感じられない・・・・>
と記す。
 世間一般には知られていない牧師の世界を本音で描いた好著だ。
  
□佐藤優「コネ社会ロシアの備忘録 ~知を磨く読書 第118回~」(「週刊ダイヤモンド」2015年10月3日)
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【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
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【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
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【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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【食】一部の「有機ワイン」に入っている添加物 ~亜硫酸塩~

2015年09月27日 | 医療・保健・福祉・介護
 ①「ボン・ジュール有機ワイン(赤)」(メルシャン)
 ②「カノン・デュ・マレシャル ルージュ2013」(メルシャン)
 ③「レ・グランザルブル ヴァン・ド・フランス ルージュ(赤)」(リードオフジャパン)
 ④シャトー・オー・ヴュー・シェーヌボルドー」(東京実業貿易)

 (1)①はボトルの表に大きく「有機」と銘打つが、裏側の表示によれば「酸化防止剤(亜硫酸塩)」が使われている。
 この製品は、メルシャンが製造している。「輸入有機ワイン・輸入有機ぶどう果汁使用」と表示され、「メルシャンが各国から選び抜いたブドウ果汁を国内で醸造し、輸入ワインとブレンドする事で日本人の味覚に合う高品質な味わいをお届けしています」とある。
 また、「世界的な有機認証機関である『ECOCERT』【注】の日本法人『ECOCERT JAPAN』の認証を受けた有機ワインです」ともある。

 (2)日本では、JAS法の定めにより、勝手に「有機」と表示することはできない。
 以前は、野菜や果物などに勝手に「有機」という表示がなされ、通常の農作物が有機農作物として高値で売られ、市場が混乱したため、1999年から有機認証制度が実施された。つまり、有機認証機関が「有機」であると認証した農作物や加工食品しか「有機」という表示ができなくなった。

 (3)ワインは加工食品に当たる。加工食品の有機の条件は、
   「原材料は、水と食塩を除いて、95%以上が有機農産物、有機畜産物、有機加工食品であること」
   「化学的に合成された食品添加物や薬剤の使用を避けることを基本とする」
というもの。ここで有機農産物とは、
   栽培を開始する前の2年以上と栽培期間中に原則として化学肥料や農薬を使わずに生産された農作物
のことだ。ただし、ブドウのような多年生作物の場合は、「2年以上」が「3年以上」と厳しくなる。

 (4)①は、「ECOCERT JAPAN」によって、(3)の条件を満たしている、ということだ。
 ただし、問題になってくるのは、「食品添加物や薬剤の使用を避けることを基本とする」という部分だ。単に「避ける」ではなく、それを「基本とする」なのだ。見方を変えれば、「場合によっては使用を認める」とも解釈できる。
 そのため、酵母の増殖や雑菌の繁殖などの防止目的でワインに亜硫酸塩が使われていても、有機ワインとして認証されている、と考えられる。

 (5)しかし、毒性のある亜硫酸塩を添加しているにもかかわらず「有機」として販売するのは問題だ。
 ワインには、5種類ある亜硫酸塩のうち二酸化硫黄が使われている。その気体は亜硫酸ガスで、火山や工場排煙に含まれる有毒ガスだ。空気中に0.003%以上あると植物は枯死し、0.012%以上あると人体に害が出る。
 そんな毒性物質だから、二酸化硫黄を含むワインを飲むと、人によっては頭痛を起こす。ごく簡単な調査では、4人に1人くらいはいるようだ。市販のワインの場合、一般に国産も外国産も二酸化硫黄が添加されているので、こうしたことになるのだ。
 「有機」という表示を見てワインを買う人は、添加物が何も使われていないという期待を持っている人が多いのではないか。
 しかし、実際には違うのだ。①から④までの4製品は、いずれも「有機」とうたいながら、亜硫酸塩を添加している。
 これは、ある意味で消費者を欺いていると言っていい。

 (6)「有機」ワインで、亜硫酸塩を添加していない製品もある。
   ⑤「ポリフェノールたっぷり 酸化防止剤無添加赤ワイン<有機プレミアム>」(サッポロワイン)
   ⑥「ドメーヌ・アンクロ・ド・ラ・クロワ サン・スフル」(東京実業貿易)
などだ。また、最近では、酸化防止剤の亜硫酸塩を添加していないワイン(有機ではない)が増えて、コンビニでも買うことができる。
 ワインを飲むと頭痛がする人は、⑤、⑥や亜硫酸塩を添加していないワイン(有機ではない)を飲むといい。

 【注】フランスに本部を置く国際認証機関。 

□渡辺雄二「添加物が入っていても「有機ワイン」? ~新買ってはいけない 第212回~」(週刊金曜日」2015年9月18日号)
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【詩歌】会田綱雄「聖家族」

2015年09月27日 | 詩歌
 おんなは
 へそのおを
 貝をちりばめたふくろにたたみ
 ちぶさにあてがっていた
 発見されて
 こどもは死にましたと
 泣いた
 それもうそだと
 おとこはおんなをけっとばし
 あやしげな酒場で
 めちゃくちゃにおどっていたが
 おんなを死なせてはならぬと
 かけもどり
 へそのおを焼かせた
 そのときから
 おとこはわかれたがったが
 わかれれば死ぬとおもい
 なんねんもいっしょにくらしたあげく
 なぜ死なせてはならぬのか
 とうとうわからぬままに
 旅さきで死にたえ
 おんなは死に目にもあえなかったが
 やがて再縁さきで
 りっぱににどめのこどもをうんだ

□会田綱雄「聖家族」(『鹹湖』、緑書房、1957):第一回高村光太郎賞
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 【参考】
【詩歌】会田綱雄「鹹湖」
【詩歌】会田綱雄「伝説」

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【芭蕉】獅子庵 ~各務支考~

2015年09月26日 | □旅
重複アップに付き、こちらをどうぞ。

【芭蕉】獅子庵 ~各務支考~
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【芭蕉】獅子庵 ~各務支考~

2015年09月26日 | □旅
 支考(寛文5(1665)年-享保16(1731)年)、享年67。
 美濃国(岐阜県)の人。各務(かがみ)氏。別号、東華坊・西華坊・見龍(竜)・獅子庵、変名に蓮二坊など。幼時、郷里の禅寺に入山したが、19歳で下山して遊歴、元禄3(1690)年、26歳で芭蕉に入門し、『続猿蓑』の撰に加わるなど頭角を現した。師の没後は年毎にその追善供養を営む一方、地元美濃や俳諧発祥の地伊勢を拠点に、遠く北越方面や九州地方にまで精力的な行脚を重ね、広く蕉風俳諧を伝播することに成功した。蕉門随一の論客として、『葛の松原』『二十五条』『俳諧十論』など、多数の俳論書を著わし、姿情論や虚実論を中心とした表現論、また七名八体説などの連句付合論に、豊かな才気を発揮している。正徳元(1711)年。47歳のときには、自らの「終焉記」を作り佯死して、世人の悪評を被るような面もあったが、晩年は後継者に廬元坊里紅を得て、いよいよ自派(美濃派)の隆盛を導き、以後一門の流れは今日にまで及んでいる。作風は「俗談平話」を旨として平明であるが、また軽い談理を含んで卑俗なところもある。俳文の確立にも意欲を示し、『本朝文鑑』『和漢文操』などの俳文集を編んでいる。また発句は『蓮二吟集』(一浮編、宝暦5年刊)にまとめられている。

 以上、堀切実が紹介するところの略歴。
 以下、『蕉門名家句選(上)』所収の94句のうち5句。

 08)食堂(じきどう)に雀啼くなり夕時雨
 74)腹立てる人にぬめくるなまこ哉
 75)船頭の耳のとうさよ桃の花
 80)野に死なば野を見て思へ草の花
 85)気みじかし夜ながし老いの物狂ひ

□堀切実「支考」(『蕉門名家句選(上)』、岩波文庫、1989)

 *

 獅子庵は、各務支考(美濃派俳諧の始祖、松尾芭蕉十哲の一人)が正徳元(1711)年から住んだ住居。
 獅子庵の周囲には、各務支考の遺骨を納めた「梅花仏」や歴代道統の句碑、池などがあり、昭和38(1963)年に岐阜県指定史跡に指定された。

   

    獅子庵
   

    獅子庵に隣接の蓮池
   

    梅花佛
   
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 【参考】
【芭蕉】奧の細道の結びの地 ~大垣~
【芭蕉】奧の細道の石山 ~那谷~
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【本】「盲人の国」 ~多数と少数の相対性、ユニバーサルデザイン~

2015年09月26日 | 批評・思想
 『ウェルズSF傑作集2 世界最終戦争の夢』はSF短編集である。
 たとえば、表題作の「盲人の国」では、主人公ヌネスはアンデス山脈の某所に迷いこむ。
 そこでは、代々すべての住民が盲人であり、壁の塗り方や衣類の繕い方にチグハグな一面があるものの、総じて安定した社会生活が営まれている。この国では、見える人とか盲人という言葉はない。ヌメスは、目で見えるものを住民に解説すると、正気ではない、劣っている者とみなされた。恋におちるが、視覚を取り除く手術を受けることが結婚の条件とされた。ヌメスは、「盲人の国」から脱出する・・・・。

 わが国に似た噺がある。落語「一眼国」は、「盲人の国」よりももっと辛辣である。
 ある香具師が一眼国のうわさを聞きつけ、教えられた方角へ道を辿った。数日歩くと、果てが知れない原っぱにさしかかった。大木が一本、どうやら例の場所がここらしい。
 木の下まで行くと「おじさん」と声がかかった。
 見ると、一眼の子どもだ。シメタ、と追いかけ、捕まえたと思ったら、真っ暗な穴に墜落してしまった。
 正気づいたところはお白州。「面をあげよ」の指図に顔をあげると、正面の奉行も一眼。いわく、
 「御同役、これは珍しい、こやつ二ツ目である。さっそく見せ物にいたそう」

 これら寓意性にみちた小説/噺にはいろいろな解釈をほどこすことができる。
 第一、ストレートに解釈するなら、視覚が欠損してもそれなりに普通に生活を営むことができる、という思想である。事実そうなのだ。
 H.G.ウェルズ(1866~1946)の生きていたころにはノーマライゼーションという言葉はなかったし【注】、当然その思想は(仮に存在しても)社会のものではなかった。ましてや、バリアフリーもユニバーサルデザインも登場していなかった。この意味で、『盲人の国』はやはりフィクションだ。しかし、H.G.ウェルズらしく、時代の先を読み取ったフィクションである。
 第二、価値の相対化。視覚欠損の者がマジョリティの集団の中では、視覚のある人はマイノリティになり、「劣っている者」となる。要するに、人数の多寡が価値ないし正否を決める。
 アテネの住民を「視覚欠損のある集団」、ソクラテスを「劣っている者」に見立ててもよい。ソクラテスに死刑を宣告したアテネ市民は、『盲人の国』の盲人たちであった。
 だが、多数と少数は相対的なもので、状況が変われば、逆転する。あるいは歴史の進歩がマイノリティを・・・・マジョリティにしないまでも、相克や対立を減少させていくこともある。

 【注】デンマークで、世界で初めてノーマライゼーションという用語をもちいた法律ができたのは1959年である。

□H.G.ウェルズ(阿部 知二訳)『盲人の国』(『ウェルズSF傑作集2 世界最終戦争の夢』所収、創元文庫、1970)
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【詩歌】会田綱雄「鹹湖」

2015年09月26日 | 詩歌
  ~オッセンドフスキイ「アジアの人と神秘」より~

 生きていることが
 たえまなしに
 僕に毒をはかせる
 いやおうなさのなかで
 僕が殺してきた
 いきものたちの
 おびただしい
 なきがらを沈めながら
 いまでは僕も
 神のように
 僕自身をゆるしているけれど
 まもなく
 あの暗い天の奧から
 僕をめがけて
 ふってくる雪が
 邪悪な僕の
 まなこをとざすとき
 僕のなきがらが
 なきがらだけの重みで
 そのまましずかに
 沈んで行くよう

□会田綱雄「鹹湖」(『鹹湖』、緑書房、1957):第一回高村光太郎賞
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 【参考】
【詩歌】会田綱雄「伝説」

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【旅】大和ミュージアム

2015年09月25日 | □旅
 大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)
 広島県呉市宝町5-30
 ●館内マップ

   宿毛沖にて全力公試中の「大和」、1941年10月20日
  

   呉海軍工廠の「大和」、1941年9月20日
  

   「大和」の九六式二十五粍高角機銃(10分の1模型)
  

  

   「大和」の艦橋(10分の1模型)
  

   「大和」(10分の1模型)
  

  

   戦艦「陸奥」の41センチ砲(「大和」の主砲は46センチ)
  
   
   特殊潜航艇「海龍」後期量産型
  

  

  

   甲標的甲型(番組撮影用内部セット)
  

  

   伊号第25は、全長108.7m、基準排水量2,230トン。日本海軍は水上偵察機を多用し、潜水艦にも搭載した。搭載機は甲板前部に設けられたカタパルトで発進させ、海面に着水した搭載機をデリックで吊り上げて収容した。1943年9月16日頃、南太平洋フィジー方面で消息を絶った。
  

   伊号第401は、全長122m、基準排水量3,530トン、水中排水量6,560トン。伊400潜の2番艦で、米国本土攻撃用特殊攻撃機「晴嵐」を3機搭載。海底空母と呼ばれた。南太平洋のウルシー泊地を攻撃する途中、終戦を迎えた。1960年に米原潜「イーサンアレン」が建造されるまで、世界最大の潜水艦だった。
  

  

  

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