語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【波止場日記】6月4日 ~政治における女性の役割~

2018年09月30日 | ●エリック・ホッファー
 日中アメリカの政治における女性の役割について考えた。一般的にいって女性は労働者に敵対する票を投ずるような気がする。女性は支配階級的なものなら何にでも味方する。
 On and off during the day I have been thinking about woman's role in American political life. My feeling is that, on the whole, women will vote against the workingman. They will side with anything that smacks of upper or ruling class.

□エリック・ホッファー(田中淳訳)『波止場日記』(みすず書房、1971)
□Eric Hoffer : Working and Thinking on the Waterfront / A JOURNAL : June 1958-May 1959 (HARPER & ROW, PUBLISHERS, NEW YORK, EVANSTON, AND LONDON)

 【参考】
【波止場日記】6月1日 ~疲労と独善性、組合~
【波止場日記】のエリック・ホッファー、沖仲仕の社会哲学者/労働と独学
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【佐藤優】施しをするときは

2018年09月30日 | ●佐藤優
 <あなたは施しをする場合、右の手のしていることを左の手に知らせるな。それは、あなたのする施しが隠れているためである。 --「マタイによる福音書」6章3-4節

 人間は、仕事であっても勉強であっても、評価を求める。ユダヤ教もそうだ。ユダヤ教においては、施しなどの善行が積極的に奨励された。人間は善行を自由意思によって行う。それだから、善行には律法を守る以上の積極的な宗教的意義があるとされた。そのために、ラビ(宗教指導者)たちも、隠れた善行を勧めた。もっともラビたちはそのような善行が、算定、評価可能と考えた。しかし、こういう動機があると、善行は見返りを求める偽善になる。
 善行を行うときに「右の手のしていることを左の手に知らせるな」というイエスの姿勢は、善行によって他者の賞讃を受けようとする態度を戒めるだけでなく、神からの報いを受けるという発想も根源的に断ち切っている。イエスが説いたのは、人間が悔い改めて、イエス・キリストを通じて神を信じることだ。信仰によってのみ、人間は救われるのである。善行を含むあらゆる人間の行為は救済に関係しないのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「施しをするときは」を引用

 【参考】
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】呪ってはならない

2018年09月29日 | ●佐藤優
 <あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。祝福して、のろってはならない。喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい --「ローマ人への手紙」12章14-15節

 キリスト教は、この世の終わりが近いと考える。従って、キリスト教徒だけでなく、すべての人に対して「悔い改めよ、神の国は近づいた」と呼びかける。この呼びかけに反発し、キリスト教徒を迫害する人も少なからずいる。「ローマ人への手紙」の著者であるパウロ自身が、かつては迫害者だった。迫害者を呪ってはならないというのは、抽象的な概念ではなく、具体的な指令だ。同様に祝福しなさいというのも具体的な指令である。
 キリスト教において、祈ることは、同時に行動することでもある。呪いは呪いの連鎖を呼んで、人間は憎しみの罠から抜け出せなくなってしまう。この呪いの連鎖を断ち切るために、祝福することが必要になる。祝福することは、神から霊の賜物を受けたキリスト教徒の名誉ある使命なのである。祝福の対象は、具体的に接触している隣人だ。その隣人があなたを迫害する者であっても、隣人と共に喜び、隣人と共に泣くような共感力をキリスト教は求めるのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「呪ってはならない」を引用

 【参考】
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟

2018年09月28日 | ●佐藤優
 ①岡本裕一朗『人工知能に哲学を教えたら』(SB新書 820円)
 ②野口悠紀雄『世界経済入門』(講談社現代新書 800円)
 ③田原総一朗『創価学会』(毎日新聞出版 1,480円)

 (1)①は、AI(人工知能)の発達が人間の思想に与える影響について包括的に論じた意欲的な作品だ。
 <現代では、書物としての『聖書』を読まなくても、インターネットでイエスの言動や思想を検索することは容易にできます>
 というような箇所に聖書学者や神学者は、「聖書のテキストからイエスの言動を確定することはほぼ不可能なので、このようなアプローチはナンセンスだ」というような反応をするであろう。
 しかし、細部の事実誤認を突いて、岡本氏が提起する本質的な問題から目をそらすような姿勢はよくない。建設的対話によって本書の内容をバージョンアップしていく姿勢が重要だ。

 (2)②は、基礎知識を固めた上で現状分析を行うという手堅い構成になっている。
 <FTAとは、参加国が関税や輸入割り当てを撤廃したり削減したりする協定です。
 TPPは、環太平洋地域の国々による経済連携協定(EPA)です。
 FTAやTPPは貿易自由化の協定であると考えられています。しかし、これは大きな誤解です。
 これらは、自由化ではなく、自由貿易の原則に反するブロック化協定です。(中略)FTAやTPPは、経済学では「関税同盟」と呼ばれます。
 経済圏やブロック化協定、関税同盟は、自由貿易と混同されています。いくつかの国で集まって、その域内では関税を引き下げ、または撤廃しようとするものだからです>
 TPPやFTAが自由貿易に対立する関税同盟だという基本を押さえておけば、世界経済の構図がよく分かる。

 (3)③は、いわゆる学会ウオッチャーの本とは異なり、世界宗教としての展開を急速に進める創価学会の内在的論理をつかもうと努力している。
 <私はジャーナリストという職業柄、徹底した現実主義者である。(中略)なぜ宿命転換が可能なのか、不治の病で亡くなる学会員もいるではないか。また学会員は「三世の生命」をよく口にするが、来世は本当にあるのか。それは今でもわからない。しかし、学会員は「どう生きるべきか」「どう死について考えるか」という問いへの答えを宿命転換や三世の生命観に求めている。それが人生を前向きに生きるための希望となっているのであろう。
 創価学会が多くの人の心をつかみ、さらに世界へと広がっていった、その原動力になっているのは、誰もが生きる希望を持てるようになることではないか。宗教とはロマンを求める生き方そのものを指す、それが私の導き出した答えである>
 という田原氏の指摘は適切と思う。人々に希望を与える力がこの教団には内在している。

□佐藤優「自由貿易に対立する関税同盟 ~知を磨く読書 第265回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年9月29日号)

 【参考】
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
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【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
コメント

【佐藤優】敵を愛しなさい

2018年09月27日 | ●佐藤優
 <「隣り人を愛し、敵を憎め」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 --「マタイによる福音書」5章43-44節

 この言葉はよく誤解されている。イエスは、敵と味方を一緒にして、誰でも愛せというような博愛主義を説いているのではない。「敵を愛する」前提として、味方と敵を峻別しなくてはならない。その上で敵に対しては、有り余る憎しみがあるので、愛するくらいの感覚を持たないと判断を誤る、と説くのだ。もっとも、敵を愛しているうちに、敵とか味方とかいった区分が徐々に解消していく。迫害をする者のために祈っているうちに、迫害する者も変化していくという人間観がイエスにはある。
 イエスの理解では、愛は何らかの目的のために行使されるものではない。愛はただその行為によって充足的に成り立っているのである。従って、最初の動機はどのようなものであっても構わないが、愛を実践しているうちに人間は変容していく。繰り返すが、聖書に記されているから愛を実践するのではない。イエスは、まことの神の子であるから、理由なく、ひたすら愛を実践するのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「敵を愛しなさい」を引用

 【参考】
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~
コメント

【佐藤優】目標をめざして

2018年09月26日 | ●佐藤優
 <わたしがすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているとか言うのではなく、ただ捕らえようとして追い求めているのである。そうするのは、キリスト・イエスによって捕らえられているからである。兄弟たちよ。わたしはすでに捕らえたとは思っていない。ただこの一事を努めている。すなわち、後のものを忘れ、前のものに向かってからだを伸ばしつつ、目標を目ざして走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる神の賞与を得ようと努めているのである。 --「ピリピ人への手紙」3章12-14節

 世の中には、自分は完全な者であると勘違いしている輩がいる。パウロは、このような輩を頭に置いて、人生の目標について語っている。
 キリスト教徒の人生の目標は、「神の国」に入り、「永遠の命」を得ることだ。しかし、完全な人間にならなくては、この目標を達成できないと考えるのは、大きな間違いだ。不完全な人間であることを自覚しながら、少しでも完全な人間になる努力を続けていくことが重要なのである。このような努力が、同時に人生の目標を追求することにもなる。過去のことばかり考えてくよくよしても仕方がない、常に前を見なくてはならない。イエス・キリストに完全に従うことができるような人間になろうと努力を継続していくことが重要なのである。
 右肩下がりの時代、サラリーパーソンは、いくら一生懸命働いても昇給や昇進にはつながらない場合が多い。それであっても勤勉さを失わなければ、いつか必ず報いられるというのがキリスト教の教えである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「苦難に負けない言葉」の「目標をめざして」を引用

 【参考】
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】試練を喜ぶ

2018年09月25日 | ●佐藤優
 <わたしの兄弟たちよ。あなたがたが、いろいろな試練に会った場合、それをむしろ非常に喜ばしいことと思いなさい。あなたがたの知っているとおり、信仰がためされることによって、忍耐が生み出されるからである。だから、なんら欠点のない、完全な、でき上がった人となるように、その忍耐力を十分に働かせるがよい。 --「ヤコブの手紙」1章2-4節

 ヤコブの手紙の著者が誰かは、よくわかっていない。著者がパウロでないことは確実であるが、パウロの信仰理解には共感を示している。この手紙では、キリスト教徒は、非キリスト教徒によって構成される世俗の社会の影響を極力受けるべきではないという内容が強調されている。試練とは、誘惑と言い換えてもいいが、試練を克服することによって人間は自由を獲得する。それだから、試練を喜びと思えと説いている。
 実は、キリスト教徒の強さは、このような価値観の転換にある。いつの日か、キリスト教徒は、再臨したキリストの審判によって救われるという確信を持っている。救われるという未来の現実から、現在を見ることによって、試練や苦難に、積極的な意味を付与することができる。
 非キリスト教徒の日本人でも、「自分の目的がかなった状態」から現在の自分を見るということを試みると、直面している苦難や試練のつらさも軽減するはずだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「苦難に負けない言葉」の「試練を喜ぶ」を引用

 【参考】
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】永遠の命のために

2018年09月24日 | ●佐藤優
 <たといわたしたちの外なる人は滅びても、内なる人は日ごとに新しくされていく。なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えるないものは永遠につづくのである。 --「コリント人への第二の手紙」4章16-18節

 キリスト教徒であることで、さまざまな困難に直面することがある。しかし、それを恐れるには及ばないとパウロは説く。われわれはいつか死ぬ。しかし、イエス・キリストを救済主と信じる人は、終わりの日に肉体と魂が復活し、最後の審判を経て「永遠の命」を得る。この希望をキリスト教徒は人生の基準に据えなくてはならないと、パウロは主張する。
 具体的には、人生で困難な状況に直面したときには、よく考えて、より困難な選択をすることが必要とされる。なぜならば、イエス・キリストが苦難を通じて自由を得たからである。キリスト教徒はイエスのように生きることを試みなくてはならない。それによって、いかに不利益を受けようとも、いずれそれを撥ね返すことができる。
 キリスト教徒はイエス・キリストを信じることによって自分たちは確実に救われるという希望を持っている。それ故に、この世界で絶望的な状況に直面しても、落ち着いて対応することができるのだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「苦難に負けない言葉」の「永遠の命のために」を引用

 【参考】
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ

2018年09月23日 | ●佐藤優
★千葉雅也『メイキング・オブ・勉強の哲学』(文藝春秋、2018)

(1)千葉氏の頭の中を見えるようにした本
 <千葉雅也氏(1978年生まれ、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授)の『勉強の哲学』(文藝春秋、2017年)は、21世紀の『学問のすすめ』という性格を帯びた優れた作品だ。ロングセラーになっている。本書『メイキング・オブ・勉強の哲学』は、『勉強の哲学』の製作過程とこの作品を書いた意図について詳しく記したユニークな書だ。千葉氏の頭の中を見えるようにした作品と言ってもいい。評者のように文書を綴ることを仕事にしている者にとっては、メモの技法やプロット(筋書き)の作成についても参考になる事柄が多々含まれている。>

(2)アイロニーとユーモアの技法
 <親は子どもに勉強をしろというが、それは成績を上げ、難関校に入学すると、安定する将来が保証されると考えているからである。いわば勉強を立身出世の手段として考えているのだ。しかし、高等教育レベルで本格的な勉強をし、学知を身につけると、世間の常識とは異なる思考をするようになり、当然、行動も変わってくる。大多数の親は、子どもが変人になることは望んでいない。それだから、一生懸命に勉強する大学生に対する親の姿勢は「勉強はそこそこでいい。もっと社会の現実に親しんだほうがいい」というようなものになる。このような俗物的圧力を巧みにかわして、真の学知を得る技法を千葉氏は伝授している。この技法がアイロニーとユーモアだ。少し長くなるが、重要な部分なので正確に引用しておく。
 〈同調圧力の強い日本では、「出る杭は打たれる」と言われるように、自分独自の考えを持ったり、批判意識を持つと、周囲のノリからズレてしまうということがよくあります。しかし、勉強するというのはつまり、そうしたズレを生きることなのです。この本ではそれを「浮く」とか、周囲から見て「キモく」なると表現しているのですが、それを恐れるな、とまずは言いたい。いままでのノリから別のノリへ引っ越す途中では、居心地の悪い思いをするかもしれない。でもそれは、いまより可能性をたくさん描けるようになるための変身過程だと捉えてほしいのです。
 では、勉強を深めると浮く、キモくなるのだとして、周りのノリから意識的に距離をとるには、どうしたらいいのか。この本では、そのためのメソッドを「アイロニー」と「ユーモア」という二つの概念によって説明しています。アイロニーとは、ものごとの根拠を疑うこと。会話のシーンで考えるならば、話のちゃぶ台をひっくり返すような発言をすることですね。「不倫は悪だ」とみんなが話しているとして、「本当に悪なの?」と突っ込みを入れるような発言。他方でユーモアとは、別の視点を持ち込んで、話を転々とさせること。本書で挙げた例では、たとえば「不倫は音楽のようなものだ」と、ボケるような発言をすることです。こうした発言をする人は周囲のノリから浮くし、キモくなります。しかし、アイロニーとユーモアこそが勉強の第一歩であり、自由のための思考スキルに対応している、というのが僕の考えです〉>

(3)常識の世界と学知の世界の自由な移行
 <この発想は実に興味深い。ヘーゲルの弁証法的な「正-反-合」の構成をしているからだ。第一段階(正)において、われわれは、同調圧力ととらわれた常識の世界に生きている。第二段階(反)において、勉強を進めることでノリが悪くなり、キモくなる。第三段階(合)では、アイロニーとユーモアの技法を自由自在に操ることで、ノリの悪さとキモさを超克して、常識の世界でも生きられるようになる。ただし、常識の世界の人々と同じ言葉を使っていても、考えていることは学知を踏まえた別のことである。言い換えると常識の世界と学知の世界を自由に移行できるようになるということだ。
 本書を読んで、マスメディアで活躍する知識人は、表現形態は異なっていてもアイロニーとユーモアを巧みに駆使していることに気付いた。千葉氏の言説は普遍的性格を帯びている。>

(4)アイロニーとユーモアをつくる読書
 <本書には、千葉氏が後輩の東大生と行った質疑応答も収録されている。
 〈Q 日々本を読んだり、芸術を鑑賞したりしていても上の空というか、千葉先生の言うところの「自己破壊感」がないです。アイロニー、ユーモアを獲得したいけれどもストックが自分のなかにない気がして「どうしましょうか」という感じで生きているのですが・・・・。
 (千葉)これはおそらく読書量が足りないんじゃないでしょうか。たとえば、ある絵を見たときにどういうツッコミ方ができるのかというパターンは、研究者や批評家が言葉を尽くして、歴史的に蓄積されているものだから、アクセスして学ぶことができます〉
 読書が不足していて、思いつきだけで物を言う自分は頭が良いと勘違いしている学生に対し、千葉氏は冷や水を浴びせている。教育者として、こういう姿勢も重要だ。>

(5)思考の「小島」
 <思考の技法については、ネットとアナログの関係についての考察が興味深い。千葉氏は、
 〈現代においては、現存社会と直結した接続過剰的なツールと、そこから逃れるためのツールを区別して使いこなすのがいいと考えています。
 SNSは前者の最たるもので、情報収集のために欠かせませんが、しかし、おそらく何かを作り出そうと欲望するためには、そこから自分を切断する、別の場所で自分を「有限化」するための別のツールが必要だと思うんです。それはデジタルツールでもできる。Evernoteやアウトライナーで、思考の「小島」を作るのもいい。あるいは、紙のノートのように、ネットから完全に切断されたアナログ的なものを使ってみるのでもいい〉
 と述べる。評者はまさにこの方法を用いており、大学ノートとEvernoteによって過剰接続から逃れる「小島」を作っている。>

□佐藤優「「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ ~ビジネスパーソンの教養講座第86回~」(「週刊現代」2018年6月23日号)

 【参考】
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
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【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【食】ブルーベリーの美肌効果 ~100%カラダにいい食品(5)~

2018年09月23日 | 医療・保健・福祉・介護
 <ワインとの相性が抜群なのが、チーズ(★★)です。良質なタンパク質が多く含まれる一方、血糖値の上昇を防いでくれます。またカルシウムも多く含まれますから、骨粗しょう症予防にもつながる。
 チーズは乳酸菌などの働きで自然に牛乳を固めたナチュラルチーズと、加熱した上で乳化剤などを添加して成型したプロセスチーズに分かれます。加熱すると乳酸菌が死んでしまいますから、ナチュラルチーズのほうが断然いい。特に、モッツァレラはAGEが少ないのでオススメです。
 コーヒー(★★)は、最近になって糖尿病の発症を抑えたり、動脈硬化を予防する効果があることがわかり、すっかりブームです。1日に1杯は飲んでほしいと思います。
 ただし、インスタントはオススメできません。面倒でコストもかかりますが、自分で豆を挽いたコーヒーでないと時間が経つにつれAGEは増えてしまいます。
 コーヒーとは似て非なるものが「コーヒー飲料」。コンビニなどで売られているペットボトルに入ったカフェオレなどは、1本につき角砂糖10個分以上の糖分が含まれているものもあります。健康にとっては百害あって一利なしです。
 高熱で焙煎された豆も多くのAGEを含むので要注意です。選ぶ際は黒く焦げているものはできるだけ避けること。酸味が強く飲みにくいですが、薄茶色の浅炒りの豆の方が健康にはいいのです。
 果物は糖質が多いので摂りすぎには注意して欲しいと思います。ただ、ブルーべり-(★★★)は積極的に摂って欲しい食材です。豊富に含まれるポリフェノールの一種、アントシアニンは抗酸化作用を持ちAGEも抑制してくれる。また美肌効果もあります。世界的な化粧品メーカーのロレアルの研究所では、肌の老化を防止する効果を検証しています。私もメーカーとともに、ブルーベリーの成分を入れた美容マスクを開発しています。
 玉子(★)は人体に必要な必須アミノ酸を全て含むなど栄養価が豊富。ただ以前はコレステロールを上げるとされ敬遠されがちでした。
 ところが最近になって、コレステロールの約9割は肝臓で作られていて、食事から摂取するのは1割ほどしかないことがわかりました。その結果、2015年から日本でもアメリカでも食事によるコレステロールの摂取基準が撤廃されています。
 健康な人が1日に2、3個程度食べる分には問題ないでしょう。ただし、コレステロール値が高めの人は1日1個までに制限した方が良いと思います。
 これまで合計18の健康に良い食品を紹介してきましたが、摂取する際には次の三点がポイントとなります。
  ①加熱調理は避け、生で食べられるものは生で食べる
  ②少し値が張っても安心できる食品を選ぶ
  ③糖分が多いものは極力避け、炭水化物の摂り過ぎに注意する
 加齢に伴い酸化や糖化は確実に進み、AGEは少しずつ体内に蓄積されていきます。いま食生活を意識して代えることが5年、10年後の健康を左右するのです。いつまでも若く健康であるために毎日の食事に気を配って下さい。>

□牧田善二(AGE牧田クリニック院長)「100%カラダにいい食品(18品目リスト付き) 世界最高峰の医学雑誌が保証する 一週間に一回は摂って欲しい」(文芸春秋 2018年9月号)から一部引用

 【参考】
【食】ワインは一日一、二杯 ~100%カラダにいい食品(4)~
【食】「老けない食品の王様」 ~100%カラダにいい食品(3)~
【食】「焼く、揚げる」に要注意 ~100%カラダにいい食品(2)~
【食】酸化・糖化・AGE ~100%カラダにいい食品(1)~

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【食】ワインは一日一、二杯 ~100%カラダにいい食品(4)~

2018年09月22日 | 医療・保健・福祉・介護
 <豆腐や豆乳、納豆などの大豆製品(★★★★★)も日本人の健康長寿に大きく貢献してきた食品です。
 ポリフェノールの一種である大豆イソフラボンは、AGEの生成を抑えてくれます。女性ホルモンに近い作用もありますから、肌のくすみ防止や美白効果も期待できる。さらには、細胞や脳の若返り効果があるレシチンも含まれ、理想的なアンチエイジング食品といえるのです。
 特に大豆イソフラボンを多く含むのが納豆です。発酵食品ですからビタミン類やアミノ酸なども豊富。できれば毎日1パック食べてほしい。
 豆腐に含まれる良質なタンパク質は、血圧を下げる効果もあります。豆腐は朝食のお味噌汁にたっぷり入れれば、それだけで十分な量の栄養分が摂れます。1日で豆腐半丁が摂取の目安です。
 牛乳を毎日飲んでいる方は豆乳に代えることをオススメします。ただ、糖分が添加されている商品も多いので購入時には成分に注意を。必ず無調整の豆乳を選んでください。
 夕食時の適量のお酒は身体にいいのでオススメします。なかでもポリフェノールを豊富に含むワイン(★★★)の健康作用は、既に一流の医学雑誌に数々の研究が発表されており、もはやお墨付きです。
 赤ワインにはレスペラトロールやケルセチン、カテキンといった成分が含まれ、AGEを抑えて動脈硬化を防いでくれます。
 白ワインも健康効果では負けていません。1日に120cc、つまりグラス1杯程度の白ワインを3ヵ月飲み続けると、体重減少に加え、体脂肪や血圧の値が改善されたという研究があります。これは白ワインに多く含まれる酒石酸というミネラルの影響だと考えられます。また、血糖値を下げるという研究もあります。
 私は夕食の際には妻と一緒に白ワインを飲むことにしています。翌朝、血糖値を測ってみるとたしかに下がっているのです。ただし、要注意は甘味が強いワイン。糖質の少ない辛口がオススメです。
 いくら「百薬の長」とはいえ、飲み過ぎは禁物です。適量はどのくらいなのでしょうか。
 それを教えてくれるのが、今年4月に「ランセット」に掲載された飲酒量と死亡率との関係を示す研究です。約60万人を対象とした83の研究を分析したところ、最も死亡率が低かったのは、純アルコールの摂取量が1週間に100g未満のグループでした。これはワインのアルコール度数で計算するとボトル1本程度。一方、摂取量が200gを超えると、脳卒中や心不全のリスクは直線的に上昇しました。
 日本人は欧米人と比べると脳卒中が多いので、ワインなら週にボトル2本を超えないように。週に一度は肝休日を設けて、1日にグラスワイン1、2杯程度です。
 晩酌のおつまみにも健康に良い食品があります。
 まずオススメできるのはチョコレート(★★★★)。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは、強力な抗酸化作用があります。
 1997年に人類史上最高齢の122歳で亡くなったジャンヌ・カルマンさんというフランス人女性は、ワインとチョコレートが大好物で多いときは1週間で約1kgもチョコレートやカカオ成分を多く含むショコラショーというドリンクを飲んでいたそうです。
 ただし、チョコレートで注意すべきは糖分。甘いものは血糖値を上昇させるため逆効果になります。また、ホワイトチョコはカカオポリフェノールの含有量が少ないため、ブラックの方がいい。健康にいいと言えるのは、カカオ成分が70%以上のビターチョコです。目安は1日に25g、個包装になっている小さな板チョコであれば5枚程度食べても構いません。
 地中海食でよく食べられるナッツ類(★★)もいい。クルミやアーモンド、カシューナッツにはビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれ、心疾患や糖尿病など様々な病気を予防してくれます。
 ただし、市販のナッツは塩分が過剰に含まれるので、購入の際は「無塩」のものを選んでください。また輸入ものが多いナッツ類は防カビ剤が添加されているものもあります。私は国産の無添加性落花生をオススメしています。落花生は木の実であるツリーナッツではありませんが、健康に与える効果は変わりません。
 添加物と健康の関係には、様々な議論がありますが、2015年に世界保健機関(WHO)がハムなどの加工肉に発がん性があると発表しました。これは加工肉に含まれる保存料が原因だと考えられています。WHOのような国際機関が注意喚起をするのですからよほどのことです。
 私はパンに含まれるイーストフードに注意を払っています。これはパンを膨らませるイースト菌の働きを強める添加物です。パンを買うときは必ずイーストフードが入っていないものを選んでいます。添加物の悪影響は全てわかっているわけではありませんが、私は、少量であれば大丈夫という考え方はむしろ危険ではないかと考えているのです。>

□牧田善二(AGE牧田クリニック院長)「100%カラダにいい食品(18品目リスト付き) 世界最高峰の医学雑誌が保証する 一週間に一回は摂って欲しい」(文芸春秋 2018年9月号)から一部引用

 【参考】
【食】「老けない食品の王様」 ~100%カラダにいい食品(3)~
【食】「焼く、揚げる」に要注意 ~100%カラダにいい食品(2)~
【食】酸化・糖化・AGE ~100%カラダにいい食品(1)~

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【佐藤優】「若い女性」のマリアは誤訳によって「処女」になった ~ギリシャ語聖書~

2018年09月22日 | ●佐藤優
 それから「神を生んだ人」に二つ目のギリシャ語の注記があります。これは「テオトコス」と読みます。
 ここでは、マリアははたしてテオトコス(神を生んだ人)か、クリストトコス(キリストを生んだ人)かの論争がありました。ネストリウスという5世紀の神学者が、このクリストトコスを唱えましたが、これは異端として追放されてしまいます。それは、マリアをクリストトコスとすると、キリストの神性が十分に担保されない、つまりテオトコスよりも一段次元の低い神である、とされてしまうと非難されたのです。キリストは真の神だから、テオトコスでもクリストトコスでも、どちらでも構わないじゃないか、とはいかないのです。
 このあたりの論争は、調べ始めると非常に面白い。でも、みんなどう思う? マリアは聖霊によって身籠もった。だから「処女」降誕ということが、キリスト教の教義になっている。でも、これは文献実証的には、かなり証明されるんだけれど、じつは誤訳なんです。本来は「若い女性」という言葉で訳さないといけないものだった。ところがギリシャ語に翻訳するときに、ギリシャではアルテミス信仰、すなわち処女は特別の力を持っているという信仰があるから、そこのところで処女という訳語があてられたのです。
 だから実証研究においては、処女降誕とは、当時の文脈においては、適齢期の女性が子どもを生んだということだった。ただ、聖霊の力によって生んだということだから、そこでは処女性に問題はなかったはずです。だから神学的には、処女降誕とは、処女で生んだわけだから、マリアは生んだあとも処女ということになる。
 そうすると、非常に神秘的な形のマリアに、果たして原罪があるのか否かの論争が、次に出てくる。この論争はキリスト教の長い歴史の中でも共通認識をつくりだせないままになっていましたが、19世紀になってから、急速にカトリックのほうで神学的な整備が進み、マリアには実は罪がない、と19世紀の半ばぐらいに確立します。これを一般に「無原罪の御宿り」とか「無原罪懐胎」と呼んでいます。
 となると、原罪がないならば、死後のマリアがどうなるかで、また矛盾が生じかねない。つまり、キリスト教では人は死後、基本的には陰府(よみ)で寝ていて、最後の審判を待っているわけです。神の右に座している、すなわち天国に、「神の国」に入っているのはイエス・キリストだけ。でも、無原罪で罪を負っていないマリアは、どうなる?
 ここでもカトリックは、1950年代に、マリア無原罪の昇天ということを、教義として確立してしまいます。だから天国には、今のところ人間ではただ一人、マリアだけがいる。マリア自身は無原罪であるがゆえに、既に天国にいる、という教義の組み立てにしたのです。
 これはカトリックの考えであって、プロテスタントはそうは考えない。神学の初心者段階では、「へぇ~、そうなっているんだ」というエピソードとして覚えておいてくれれば構いません。ただ、プロテスタントとカトリックのこうした違いは、救済観や人間観など、折々に顔を出してくることがあることも覚えておいてください。

□佐藤優『悪魔の勉強術 年収一千万稼ぐ大人になるために』(文春文庫、2017)の第3講の「*「処女」は「若い女性」である」を引用

 

 【参考】
【佐藤優】臨床で有効なコフート心理学 ~『悪魔の勉強術』~




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【佐藤優】臨床で有効なコフート心理学 ~『悪魔の勉強術』~

2018年09月22日 | ●佐藤優
 <そもそもキリスト教は、博愛主義ではありません。「あなたの隣人をあなた自身と同じように愛せ」、これを博愛主義とするのは、間違った解釈です。自己愛のない人は、他人を愛することはできません。
 自己愛をマネジメントできない人との付き合いを考える上で、われわれキリスト教徒は心理学の方向にも目を広げて行かないといけません。日本国内だと、関東では元々フロイト学派の影響が強く、このフロイトから派生したラカンも次第に影響力を増しています。ただフロイト学派の精神科医が臨床の現場に出ると、いろいろ言っても最後は「ちゃんと薬を飲んでくださいね」と投薬に委ねることになってしまう。基本的には脳内の分泌から出てくる問題だという結論だから、いかに薬を飲ませるかが問題で、カウンセリング療法とかはほとんど信用していないのですね。
 現在の心理学の実践の現場では、ハインツ・コフートの自己愛心理学がよく使われています。一昔前はユング、少し下って1980年代のポストモダン以降にはラカンの流行がありましたが、今や心理学の臨床の現場ではコフートの役割が非常に大きくなっている。それは時代との相性もあるのでしょうが、コフート心理学の特徴をひとことで言えば、「自己愛を肯定的に評価する」ということになります。そこでは自己愛のマネジメントがものすごく重要になるわけです。
 日本へのラカンの紹介者として、ポストモダン思想の中心的な役割を果たした斎藤環さんという精神科医とこの前話したときに、「いまや臨床現場ではコフートしか、使えないですよ」と言われてびっくりしたんです。
「先生はラカニアンじゃないんですか」と聞いたら、「いや、それは学術的な発言であって、臨床においては全然ラカンなんか使えないですよ」として、こう言葉を継いだのが印象的でした。
「人間が千年生きているんだったら、ラカンでもなんとかなるかもしれないけれど、人間の寿命が百年程度だったら、フロイトやラカンが言っているような自己愛の解体なんかできません。だから、コフートのように自己愛を認めるところからスタートしないといけない」
 この発言は人間の抱える宿命を孕んでいる大事な指摘ですね。人類は、やはりこの世での救済を求めているのです。>

□佐藤優『悪魔の勉強術 年収一千万稼ぐ大人になるために』(文春文庫、2017)の第1講の「*自己愛を分析する武器としての神学」から引用

 
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【食】「老けない食品の王様」 ~100%カラダにいい食品(3)~

2018年09月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 <牛肉、豚肉と聞くと警戒する人がいるかもしれません。これまで牛肉や豚肉に多く含まれる飽和脂肪酸は、動脈硬化や血管系疾患を招く「悪玉」と考えられてきたからです。しかし最近、「ランセット」にこの常識を覆す論文が掲載されました。
 「ランセット」に掲載された大規模な追跡研究「ピュア・スタディ」は、世界五つの大陸、18の国の約13万5千人を対象として、世界的な話題を呼んでいる研究の一つです。
 昨年11月に発表された「ピュア」によれば、飽和脂肪酸を含む総脂肪の摂取量が多ければ多いほど総死亡率が低下することが分かったというのです。これだけで十分衝撃的な結果ですが、さらに脂肪は心筋梗塞など心血管病での死亡リスクと関連性がなく、脳卒中のリスクに限って言えば、飽和脂肪酸の摂取量が増えるほどリスクが低下したのです。
 脂肪を「悪玉」と考えるのはお腹に付いた脂肪からの連想でしょう。ところが脂肪は人体におよそ37兆個あるとされる細胞の膜や、生体を調整する様々なホルモンなどの元となる重要な役割があります。お腹の脂肪の原因は炭水化物の摂りすぎ。牛肉や豚肉を敵視するのは間違いなのです。
 ただし、鶏むね肉と同様、ここでも重要となるのが調理方法です。
 今年5月、「ダイアビーティス・ケア」が発表した研究によれば、赤身肉を直火で加熱調理した場合、糖尿病リスクが23%、肥満リスクは44%も上昇したという。また、オーブンで長時間加熱した場合も、同様にリスクが上がりました。つまり、牛肉や豚肉も「焼く」のは避けたほうがいいのです。
 私は牛肉や豚肉を食べるときは、しゃぶしゃぶにすることにしています。糖尿病や肥満のリスクを防ぎ、AGEの発生も抑えてくれます。
 ただ、そうは言ってもたまには焼き肉やステーキを食べたくなるものです。その場合は、フライパンなどで調理して絶対に直火を避けてください。つまり網焼きやバーベキューは良くない。先ほどの「ダイアビーティス・ケア」の研究では、フライパンで調理した場合、糖尿病リスクは15%下がったと報告されています。
 それと焼肉の際には、ぜひお酢(★★★)を活用してください。
 お酢にはAGEの発生を未然に防ぐ効果があります。肉を焼く前にお酢に浸してマリネにする。そのひと手間でAGEの発生量が2分の1以下になります。
 また、お酢には血圧と血糖値を下げる効果もあります。クエン酸やアミノ酸など疲労回復に効果がある成分も多く含まれますから、夏には積極的に摂って欲しい調味料です。
 お酢が苦手という方には「自家製ドレッシング」で摂ることをオススメします。お酢はオリーブオイルとの相性がいい。私も自宅で実践していますが、オリーブオイルにお酢、そして少量の塩と胡椒を混ぜるだけで立派なドレッシングになります。
 注意点としては、天然の醸造酢を選ぶこと。加工酢には、砂糖や甘味料が多く添加されています。
 オリーブオイル(★★★★★)は「老けない食品の王様」です。その健康効果は、「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」などで繰り返し裏付けられており、非の打ち所がない。
 主成分であるオレイン酸は強力な抗酸化作用があり、動脈硬化も防ぎますから、脳梗塞や心筋梗塞の予防にもつながる。また、前出の「ダイアビーティス・ケア」が2015年に発表した研究によれば、地中海食にオリーブオイルを多めに加えると、糖尿病リスクが40%も低下する。
 私は患者さんに必ず食後に血糖値を測るように指導しています。
 この結果がじつに面白い。油の少ない和風パスタとオリーブオイルをたっぷり絡めたペペロンチーノを比べると、ペペロンチーノの方が血糖値の上昇が明らかに緩やかです。パンについても同様で、パン単体で食べるよりもオリーブオイルを付けて食べた方が血糖値の上昇は緩やかになります。これは、オリーブオイルがパスタやパンをコーティングすることで、消化の速度が緩やかになるからだと考えられます。
 オリーブオイルは酸化の度合いによって格付けされています。なかでも酸度が低く、加熱されていないエクストラバージンオイルはとり強い抗酸化作用、抗AGE力があります。
 私も調理用油に浸かったり、サラダにたっぷりかけたりして積極的に摂っていますが、そのまま飲むこともオススメします。毎日、新鮮なエクストラバージンオイルをおちょこ一杯程度飲むことで、アンチエイジング効果が期待できるからです。ただしエクストラバージンは高価なものも多いので、直接飲むものをエクストラバージンにして、調理用油は安価なものを使うようにしてはどうでしょうか。>

□牧田善二(AGE牧田クリニック院長)「100%カラダにいい食品(18品目リスト付き) 世界最高峰の医学雑誌が保証する 一週間に一回は摂って欲しい」(文芸春秋 2018年9月号)から一部引用

 【参考】
【食】「焼く、揚げる」に要注意 ~100%カラダにいい食品(2)~
【食】酸化・糖化・AGE ~100%カラダにいい食品(1)~

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【食】「焼く、揚げる」に要注意 ~100%カラダにいい食品(2)~

2018年09月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 <どんな食べ物にも良い面と悪い面があるのが普通ですが、今回は「100%カラダにいい」と言える食品を選んで紹介したいと思います。いずれも医学的に裏付けられたもので、一週間に一回は絶対に摂って欲しいものばかりです。
 174ページから始まる表をご覧ください。食品をオススメ度別にランキングにしてみました。まずは五つ星の食品から紹介します。
 今年は記録的な猛暑が続き、夏バテ気味の方も多いと思います。そんな方に食べてもらいたいのが、ウナギ(★★★★★)です。疲れや肩こり解消に効果があるビタミンB1が豊富で、古くから夏バテ防止の代表格とされてきました。
 それに加えて私が注目するのは、カルノシンというアミノ酸の一種。これはウナギなどの回遊魚に多く含まれており、酸化、糖化どちらに対しても優れた抑制効果を発揮する「最高の抗酸化・抗糖化物質」なのです。ウナギは他の食品に比べ、とりわけ多く含まれ、「カルノシンの王様」といっていい。
 動物は筋肉やエネルギーを使うと、必ず酸化物質が発生します。酸化物質が体内に溜まると細胞が傷つきエネルギー代謝に異常が生じる。マリアナ海溝付近で生まれたウナギが何千キロも泳いで日本の川を遡上して来られるのは、カルノシンが活性酸素を除去してくれるおかげ。ヒトもカルノシンを多く持っていますが、加齢と共に減少してしまうので、特に高齢の方は食生活で補って欲しいと思います。
 私は平日の仕事に備えて、毎週日曜日の夜にはウナギを食べることにしています。「1週間これからがんばるぞ」という時にはぴったりの食材なのです。
 ウナギと同じ回遊魚のマグロ(★★★★★)とカツオ(★★★★★)も多くのカルノシンを含みます。
 マグロとカツオは種が近く、動脈硬化を防ぐタウリンやビタミンB群が豊富です。また、マグロには肝機能を活性化させるメチオニンが含まれ、カツオには高い抗酸化作用を持つビタミンEやアンセリンが非常に豊富に含まれています。これからの季節、キハダマグロや戻りガツオが旬を迎えますから積極的に食べて欲しいと思います。
 ほかにカルノシンが豊富に含まれている食品は鶏むね肉(★★★★★)です。鶏むね肉はビタミンB群を多く含み、AGEの発生を初期段階で抑えてくれます。また牛肉の10倍以上もビタミンAが含まれていますから、皮膚も粘膜も丈夫にしてくれます。
 マグロやカツオ、鶏むね肉はできれば毎日でも食べて欲しいですが、調理方法には注意が必要です。
 魚や肉は高温で調理すると、AGEが大量に発生します。焼き魚は、生と比べてAGEは2倍以上。また、鶏肉を焼いた場合、生と比べて7倍以上、揚げた場合はなんと10倍のAGEが発生します。特に、鶏皮の焼き鳥やフライドチキンは非常に多くのAGEが含まれる。おいしいのはわかりますが、決してオススメはできません。
 魚は生食ができますから、できるだけ生で食べてください。マグロは絶対に刺身がオススメです。マグロ自体に栄養素が豊富ですし、付け合わせに緑黄色野菜を添えればより完璧な栄養バランスになります。カツオは、表面を火で炙ったタタキでもOKです。中身は生ですからAGEはほとんど発生していません。
 鶏肉は食中毒のリスクもありますから、生で食べるのは控えたほうがいいでしょう。ぜひ覚えていただきたいのは「蒸す、煮る、ゆでる」という三つの調理方法の方が「焼く、揚げる」よりずっと身体にいいということです。蒸し鶏や鶏肉の煮込みなど、少しずつ調理方法を変えて毎日の食卓に加えてください。
 主菜として、できれば二日に一回は食べて欲しいのが牛肉と豚肉(★★★)です。
 牛肉には豊富なタンパク質がバランスよく含まれているほか、鉄や亜鉛といった人体に必須のミネラルが充実しています。豚肉はビタミンB群が豊富です。糖質の代謝を促進することでAGEの発生を予防してくれます。>

□牧田善二(AGE牧田クリニック院長)「100%カラダにいい食品(18品目リスト付き) 世界最高峰の医学雑誌が保証する 一週間に一回は摂って欲しい」(文芸春秋 2018年9月号)から一部引用

 【参考】
【食】酸化・糖化・AGE ~100%カラダにいい食品(1)~

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