語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~

2015年12月31日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)廃れる一方だ、と言われながらも根強く残る日本のお正月。元旦くらい親子そろって過ごす家庭が多いだろう・・・・お年玉が目当てだとしても。
 もし初日の出参りを計画しているなら、ご来光から30分ほどは日の光を浴びて散歩しよう。新しい一年を気分良く過ごす端緒となるかもしれない。
 以下、カナダはブリティッシュ・コロンビア大学の報告から。

 (2)冬になると気分が落ち込む季節性の鬱に対しては、高い照度の光を浴びる「高照度光照射法」が有効であることが知られている。
 しかし、季節とは無関係な大鬱病については、有効か無効かの結着はついていなかった。

 (3)その研究・・・・
  (a)実験・・・・研究者らは、大鬱病の成人患者(19~60歳)122人を次のように割り付け、8週間にわたり治療を行った。
   ①起床後、30分間1万ルクスの光を浴びる光療法単独群(32人)
   ②抗鬱剤のSSRI単独群(31人)
   ③光療法+SSRI併用群(29人)
   ④偽薬+偽光療法群(30人)

  (b)評価
  治療効果は、治療終了後の「MADRS」鬱病評価尺度(10項目、合計0~60点で評価、30点以上で重症)によって判定した。鬱病スコア平均改善値は、
   ①13.4点・・・・・二番目
   ②8.8点・・・・・三番目
   ③16.9点・・・・最高
   ④6.5点・・・・・最低
  鬱病スコアが50点以上改善された患者の割合は、
   ①で50%
   ②で29%・・・・薬物療法単独では有意な治療効果を示すことができなかった。
   ③で75.9%
   ④で33.3%・・・・薬物療法単独では有意な治療効果を示すことができなかった。
  鬱病スコアが健常な人並みに寛解した人の割合は、①で44%、③で59%と、半数以上が寛解している。どうやら人間が抑鬱に陥らずに過ごすためには、薬よりも光をしっかり浴びることが必要らしい。

 (c)「治療」に必要な1万ルクスを太陽光で得るなら、晴天の昼ごろが最適。初日の出は、少々及ばない。
 とはいえ、新年の高揚感との相乗効果で、気分良く1年を始めるには十分な明るさがある。

□井出ゆきえ(医学ライター)「伝統をあなどるなかれ ご来光は30分間浴びましょう ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.281~」(「週刊ダイヤモンド」2015年12月26日・2016年1月2日・新年合併号)
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