語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い

2016年07月16日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)女性なら一度は、「生理がなかったら楽なのに」とため息をついたことがあるだろう。
 寝込むほどの痛みや吐き気、気分の変調を伴う「月経困難症」であればことさら。繁忙期や出張に月経が重なったときの心身の負担は語りつくせない。二日酔いの朝の状態が一日中続き、ひどい腹痛や腰痛を抱えて働き続ける自分が想像できるだろうか。それが毎月1週間~10日間は繰り返されるのだ。

 (2)男性陣にはあまり知られていないが(関心がない?)、経口避妊薬の低用量ピルは月経をコントロールする側面を持つ。月経に伴う症状を軽減し、月経周期を自分のスケジュールに合わせてずらすことだってできる。
 問題は、低用量ピルの長期服用には「肺塞栓症」のリスクがつきまとうことだ。
 肺塞栓症は、ふくらはぎの静脈にできた血栓がはがれ、肺動脈を詰まらせる病気だ。一般に、
   ・低用量ピル非服用者の塞栓症リスクは1万人当たり1~5人/年
   ・低用量ピル服用者の塞栓症リスクは1万人当たり3~9人/年
とされる。

 (3)メーカー各社は副作用を減らすべく、有効成分の含有量や組成、投与法に工夫をこらしてきた。
 先日、2010年7月~12年9月にフランス在住の女性で、低用量ピルを服用している15~49歳が対象の調査結果が報告された。
 544万3,916人の女性のうち、病気を発症したのは次のとおりだった。
   ・肺塞栓症・・・・1,800人(1万人当たり3.3人)。
   ・脳梗塞・・・・1,049人(1万人当たり1.9人)。
   ・心筋梗塞・・・・407人(1万人当たり0.7人)。
 低用量ピル別で肺塞栓症リスクが有意に低かったのは、有効成分のエストロゲン量が0.02mgの「超」低用量ピル。なかでも、もう一つの有効成分である黄体ホルモンとして、第2世代の「レボノルゲストレル」が配合されている複合錠剤が最も低かった。

 (4)現在、日本で使用可能な超低用量ピルは、2010年以降に承認された2種類のみ。それぞれ第1世代、第3世代の黄体ホルモン複合剤だ。第2世代の著低用量ピルは承認されていない。
 女性の社会参加を促すなら、こうした面での支援も必要ではないか。

□井出ゆきえ(医学ライター)「塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.305~」(「週刊ダイヤモンド」2016年6月25日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。